JPH08134244A - 制電性フイルム - Google Patents

制電性フイルム

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JPH08134244A
JPH08134244A JP6279019A JP27901994A JPH08134244A JP H08134244 A JPH08134244 A JP H08134244A JP 6279019 A JP6279019 A JP 6279019A JP 27901994 A JP27901994 A JP 27901994A JP H08134244 A JPH08134244 A JP H08134244A
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JP
Japan
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film
antistatic
polyester
coating
resin
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JP6279019A
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English (en)
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Sadami Miura
定美 三浦
Satoshi Kitazawa
諭 北澤
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 制電性が優れ、かつ帯電防止剤の背面転写性
を改良した制電性フィルムを提供する。 【構成】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、
分子内にリン酸エステル塩基を有する重合体からなる帯
電防止剤を含む水性塗液を塗布し、乾燥、延伸してつく
られた制電性塗膜が設けられている制電性フイルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は制電性フイルムに関し、
更に詳しくは帯電防止性に優れ、帯電防止剤の背面転写
性を改良した、磁気カード(例えばテレホンカード、プ
リペイドカード)、磁気テープ(例えばオーディオテー
プ、ビデオテープ)、磁気ディスク(例えばフロッピー
ディスク)等の磁気記録材料や電子材料、グラフィック
材料、製版フィルム、OHPフィルム等に有用な制電性
フイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートやポリエチ
レンナフタレート等のポリエステルからなるフイルムは
磁気カード、磁気テープ等の磁気記録材料用として、ま
た包装材料、写真材料、グラフィック材料等の一般工業
材料用として広く使用されている。しかしながら、かか
るポリエステルフイルムは表面固有抵抗が大きく、摩擦
等で帯電し易いという欠点を有している。フイルムが帯
電すると、フイルム表面にゴミやほこりが付着し、これ
らによるトラブルが生じる。また、加工工程で放電が起
こり、有機溶剤を用いている場合には引火の危険が生じ
る。
【0003】このような帯電によるトラブルを防ぐ方法
の一つとして、フイルム表面に制電性塗膜を形成する方
法が種々提案され、かつ実用化されている。この制電性
塗膜に含有させる帯電防止剤としては低分子型のものや
高分子型のものが知られているが、それぞれ長短を有す
る。そこで、帯電防止剤はその特性を用途に合わせて使
い分けられている。
【0004】例えば低分子型の帯電防止剤としては、ス
ルホン酸塩基を有する長鎖アルキル化合物(特開平4―
28728号)等のような界面活性剤型のアニオン系帯
電防止剤が知られており、また高分子型の帯電防止剤と
しては、主鎖にイオン化された窒素元素を有するポリマ
ー(特開平3−255139号、特開平4−28812
7号、特開平6−172562号)や、ポリスチレンス
ルホン酸塩(特開平5−320390号)等が知られて
いる。
【0005】しかし、このような低分子型の帯電防止剤
を用いた制電性塗膜では、帯電防止剤が塗膜中を移動し
て界面に集積しフイルムの反対面等に移行する(以下
『背面転写性』ということがある)という問題や、帯電
防止性(以下『制電性』ということがある)が経時的に
悪化するという問題がある。一方、高分子型の帯電防止
剤を用いた制電性塗膜では、制電性を良好なものとする
ため帯電防止剤を多量に配合することや、膜厚の厚い制
電性塗膜を形成させることが必要であるため経済的でな
く、また低湿度の条件では制電性が低下するという問題
がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
る従来技術の問題点を解消し、制電性や背面転写性を改
良した制電性フィルムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するため、次の構成からなる。ポリエステルフィル
ムの少なくとも片面に、分子内にリン酸エステル塩基を
有する重合体からなる帯電防止剤(A)を含む水性塗液
を塗布し、乾燥、延伸してつくられた制電性塗膜が設け
られている制電性フイルム。
【0008】以下、本発明について詳細に説明する。
【0009】[ベースフイルム]本発明において、ベー
スフイルムはポリエステルフイルムであるが、該フイル
ムを構成するポリエステルは、ジカルボン酸成分とグリ
コール成分からなる線状ポリエステルである。
【0010】このジカルボン酸成分としては、例えばテ
レフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカル
ボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4´−ジフェ
ニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン
ジカルボン酸等を挙げることができ、特にテレフタル
酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸がポリエステルフ
イルムの機械的特性、熱的特性等に優れるため好まし
い。
【0011】また、グリコール成分としては、例えばエ
チレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレン
グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタ
ンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタ
ンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサ
ンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等を挙げることができ、特にエチレ
ングリコールがポリエステルフイルムの機械的特性、熱
的特性等に優れるため好ましい。
【0012】かかるポリエステルとしては、ポリエチレ
ンテレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフタ
レートを好ましく例示することができる。このポリエチ
レンテレフタレート或いはポリエチレン―2,6―ナフ
タレートは、上記ジカルボン酸成分或いはグリコール成
分等を共重合したポリエステルであってもよく、三官能
以上の多価カルボン酸成分或いはポリオール成分をポリ
エステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以
下)で少量共重合したポリエステルであってもよい。か
かるポリエステルは常法によりつくることができ、平均
分子量は10,000以上であることがフイルムの機械
的特性が良好となるため好ましい。
【0013】上記のポリエステルには、フイルムの滑り
性を良好なものとするため有機や無機の微粒子を滑剤と
して、例えば0.001〜5重量%の配合割合で含有さ
せることができる。かかる微粒子の具体例として、炭酸
カルシウム、酸化カルシウム、酸化アミルニウム、酸化
チタン、グラファイト、カオリン、シリカ、アルミナ、
酸化珪素、酸化亜鉛、カーボンブラック、炭化珪素、酸
化錫、アクリル樹脂粒子、架橋ポリスチレン樹脂粒子、
メラミン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等を好ましく挙
げることができる。
【0014】前記微粒子以外にも着色剤、公知の帯電防
止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、蛍光増白剤、可塑
剤、架橋剤、滑り剤、紫外線吸収剤、他の樹脂等を必要
に応じて添加することができる。
【0015】ポリエステルフイルムの厚さは、延伸後に
1〜300μmとなるものが好ましい。また、制電性フ
イルムの用途によってベースフイルムには透明ポリエス
テルフイルムや白色ポリエステルフイルムを用いること
ができ、透明ポリエステルフイルムを用いる場合は光線
透過率が60%以上のものが好ましく、白色ポリエステ
ルフイルムを用いる場合は例えば酸化チタン、硫酸バリ
ウム或いは酸化珪素等を5〜30重量%配合した光線透
過率が60%未満のもの、特に30%以下のものが好ま
しい。白色ポリエステルフイルムをベースフイルムに用
いた白色の制電性フイルムは特に磁気カード用に好まし
く用いられる。
【0016】本発明におけるポリエステルフイルムは、
従来から知られている方法で製造することができる。例
えば、前記ポリエステルを溶融し冷却ドラム上にキャス
トして未延伸フイルムとし、次いで該未延伸フイルムを
縦方向に延伸し、続いて横方向に延伸することで製造で
きる。さらに縦方向及び/又は横方向に再度延伸するこ
ともできる。延伸処理はポリエステルの二次転移点(T
g)より高い温度で、夫々の方向に2倍以上、さらには
3倍以上延伸することで行うのが好ましい。その際、面
積延伸倍率は8倍以上、さらには9倍以上とするのが望
ましい。面積延伸倍率の上限は、フイルムの用途にもよ
るが、35倍、さらには30倍とするのが好ましい。延
伸後に熱処理して配向結晶化を完結させることもでき
る。
【0017】[帯電防止剤]本発明において、制電性塗
膜は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、分子
内にリン酸エステル塩基を有する重合体からなる帯電防
止剤(A)(以下単に『帯電防止剤(A)』ということ
がある。)を含む水性塗液を塗布し、乾燥、延伸してつ
くられる。この帯電防止剤(A)は例えば分子内に不飽
和二重結合とリン酸エステル塩基を有する化合物5モル
%以上を用いて得られる重合体或いは共重合体である。
【0018】上記の分子内に不飽和二重結合とリン酸エ
ステル塩基を有する化合物としては、例えば下記の化合
物を挙げることができる。
【0019】
【化1】CH2 =CHOP(=O)(OM)2 CH2 =CHOP(=O)(OM)(OR1 ) CH2 =CHOROP(=O)(OM)2 CH2 =CHCOOROP(=O)(OM)2 CH2 =CHCOOROP(=O)(OM)(OR1 ) CH2 =C(CH3 )COOROP(=O)(OM)2 CH2 =C(CH3 )COOROP(=O)(OM)
(OR1 ) CH3 CH=CHCOOROP(=O)(OM)(OR
1 ) CH2 =CHCONHCH2 OP(=O)(OM)2 [ここで、Rは二価有機基、R1 は炭素数1〜4のアル
キル基、ポリアルキレンオキシド基;Mは1価の金属元
素、アンモニウム基、第1級〜第4級アンモニウム基を
示す]
【0020】上記の二価有機基としては、例えば−CH
2 CH2 −、−CH2 CH2 CH2−、−C6 4
(o−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレ
ン基)等を挙げることができ、炭素数1〜4のアルキル
基とは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブ
チル基であり、ポリアルキレンオキシド基としては、例
えばポリエチレンオキシド基、ポリプロピレンオキシド
基、ポリエチレンオキシド・ポリプロピレンオキシド共
重合体基等を挙げることができ、1価の金属元素として
は例えばNa、K、Li等を挙げることができる。ま
た、アンモニウム基とはNH4 、第1級〜第4級アンモ
ニウム基とはNH3 2 1 、NH2 2 2 、NH1 2
3 、NR2 4(R2 は炭素数1〜4のアルキル基)のこ
とである。
【0021】帯電防止剤(A)には前記の分子内にリン
酸エステル塩基を有する化合物以外の化合物(以下『そ
の他の成分』ということがある)を共重合割合が0〜9
5モル%の範囲で共重合成分として用いることができ
る。その他の成分としては、例えばアクリル酸エチル、
アクリル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、ア
クリル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル
酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタク
リル酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルア
ミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロ
ールアクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、
塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエー
テル、メタリル酸ソーダ等を挙げることができる。
【0022】帯電防止剤(A)の平均分子量は任意であ
るが、500〜300,000であることがが好まし
い。この平均分子量が500未満であると制電性塗膜が
脆くなるため、或いはバインダー樹脂との相溶性が悪く
なるため好ましくない。また、平均分子量が300,0
00を越えると水性塗液の粘度が高くなりすぎポリエス
テルフイルムに均一に塗布し難くなるため好ましくな
い。
【0023】[バインダー樹脂(B)]本発明における
制電性塗膜には、塗膜とベースフイルムとの接着をより
強固なものとするため、帯電防止剤(A)とバインダー
樹脂(B)とからなる組成物が含まれることが好まし
い。このバインダー樹脂(B)としてはポリエステル樹
脂(B−1)、アクリル樹脂(B−2)、アクリル変性
ポリエステル樹脂(B−3)を例示することができ、こ
れらの樹脂から選ばれる1種以上、特に2種以上の樹脂
を用いることが好ましく、ポリエステル樹脂(B−1)
とアクリル樹脂(B−2)とを用いることが特に好まし
い。
【0024】[ポリエステル樹脂(B−1)]ポリエス
テル樹脂(B−1)は、ジカルボン酸成分とグリコール
成分とを構成成分とする線状ポリエステルである。
【0025】このジカルボン酸成分としてはテレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4´
−ジフエニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、
ドデカンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等を
好ましく例示することができる。
【0026】また、グリコール成分としてはエチレング
リコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ビスフェノールA−アル
キレンオキシド付加体、水添ビスフェノールA−アルキ
レンオキシド付加体、1,4−シクロヘキサンジメタノ
ール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール等を好ましく例示することができる。
【0027】このポリエステル樹脂(B−1)には親水
性を付与するためにスルホン酸塩基を有する成分を共重
合することが好ましい。ポリエステル樹脂(B−1)に
親水性を付与すると、水性塗液中での分散性が良好とな
るので好ましい。かかる成分としては、例えば5−Na
スルホイソフタル酸、5−Kスルホイソフタル酸等を挙
げることができる。
【0028】ポリエステル樹脂(B−1)は、三官能以
上の多価カルボン酸成分、ポリオール成分を実質的に線
状のポリマーとなる範囲で少量(例えば5モル%以下)
共重合したものであってもよい。かかる三官能以上の多
価カルボン酸、ポリオールとしては、トリメリット酸、
ピロメリット酸、ジメチロールプロピオン酸、グリセリ
ン、トリメチロールプロパン等を例示することができ
る。
【0029】[アクリル樹脂(B−2)]アクリル樹脂
(B−2)は、例えばアクリル酸エチル、アクリル酸メ
チル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリル酸ソー
ダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル酸ブチ
ル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエチルア
クリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−
メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリ
ルアミド等で示されるアクリル系単量体を主成分とする
重合体或いは共重合体であり、スチレン、α−メチルス
チレン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニル、塩化
ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニルスル
ホン酸ソーダ、メタリル酸ソーダ等を共重合成分とした
共重合体であってもよい。
【0030】[アクリル変性ポリエステル樹脂(B−
3)]アクリル変性ポリエステル樹脂(B−3)は、前
記ポリエステル樹脂の存在下でアクリル酸エチル、アク
リル酸メチル、アクリル酸、アクリル酸ブチル、アクリ
ル酸ソーダ、アクリル酸アンモニウム、メタクリル酸エ
チル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、メタクリル
酸ブチル、メタクリル酸グリシジル、2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミ
ド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メチロー
ルアクリルアミド等で示されるアクリル系単量体を重合
させてつくられた共重合体であり、スチレン、α−メチ
ルスチレン、スチレンスルホン酸ソーダ、塩化ビニル、
塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ビニル
スルホン酸ソーダ、メタリル酸ソーダ等の単量体を共重
合成分として含むものであってもよい。
【0031】[その他のバインダー樹脂]上記以外のバ
インダー樹脂としては、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹
脂、ビニル樹脂、ポリエーテル樹脂、水溶性樹脂等を挙
げることが出来る。
【0032】[制電性塗膜]本発明における制電性塗膜
は、前記の帯電防止剤(A)を含む塗膜であるが、更に
バインダー樹脂(B)を含む組成物からなる塗膜である
ことが好ましい。制電性塗膜に含まれる帯電防止剤
(A)の割合は、制電性を良好なものにするため5重量
%以上であることが好ましく、10重量%以上であるこ
とが更に好ましい。帯電防止剤(A)の割合が5重量%
未満であると制電性が不足する。
【0033】[水性塗液]本発明においては、前記帯電
防止剤(A)を含む水性塗液を用いて制電性塗膜を塗設
するが、この水性塗液には制電性塗膜表面の滑り性を良
好なものとし、フイルムの耐ブロッキング性を良好なも
のとするため滑剤を添加することができる。かかる滑剤
としては、例えばポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メ
ラミン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、
ベンゾグアナミン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル
樹脂等の微粒子を挙げることができ、架橋された樹脂の
微粒子であってもよい。これらの樹脂の微粒子は、制電
性塗膜に微粒子状で含まれるものであれば熱可塑性であ
っても熱硬化性のものであってもよい。
【0034】水性塗液には、更にその他の成分として界
面活性剤、酸化防止剤、帯電防止剤(A)以外の帯電防
止剤、着色剤、顔料、蛍光増白剤、可塑剤、架橋剤、滑
り剤(ワックス等の滑り性付与剤)、紫外線吸収剤等を
配合することができる。
【0035】水性塗液の固形分濃度は、1〜30重量%
が好ましく、特に2〜20重量%が好ましい。固形分濃
度がこの範囲にであると水性塗液の粘度が塗布に適した
ものになる。本発明に用いる水性塗液は、水溶液、水分
散液、乳化液等任意の形態で用いることができる。ま
た、水性塗液には少量の溶剤が含まれていてもよい。
【0036】[制電性塗膜の塗設]本発明においては、
ポリエステルフイルムの少なくとも片面に、前記水性塗
液を塗布し、加熱乾燥、延伸することにより制電性塗膜
を塗設するが、水性塗液の塗布方法としては、公知の任
意の塗工法が適用でき、例えばグラビアコート法、リバ
ースロールコート法、ダイコート法、キスコート法、リ
バースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マ
イヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコ
ート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコー
ト法等を単独または組み合わせて適用することができ
る。水性塗液のWET塗布量は走行しているフイルム1
2 当り1〜20g、特に2〜12gが好ましい。塗布
量がこの範囲にあると乾燥が容易になり、かつ塗布斑が
生じ難いので好ましい。
【0037】本発明で水性塗液を塗布するポリエステル
フイルムとは、延伸可能なポリエステルフイルムであ
り、例えばポリエステルを熱溶融せしめ、そのままフイ
ルム状とした未延伸フイルム;未延伸フイルムを縦方向
(長手方向)または横方向(幅方向)の何れか一方に延
伸せしめた一軸延伸フイルム;縦方向或いは横方向の一
軸延伸フイルムを横方向或いは縦方向に逐次延伸せしめ
た(更に延伸可能な)二軸延伸フイルム、または未延伸
フイルムを縦方向および横方向の二方向に同時延伸せし
めた(更に延伸可能な)二軸延伸フイルム;二軸延伸フ
イルムを熱固定および/または熱弛緩せしめた(更に延
伸可能な)二軸延伸熱処理フイルムを挙げることができ
る。
【0038】かかるポリエステルフイルムの厚さは、未
延伸フイルムでは10〜1000μm、一軸延伸フイル
ムでは2〜500μm、二軸延伸フイルムおよび二軸延
伸熱処理フイルムでは1〜300μmが好ましい。
【0039】水性塗液は前記ポリエステルフイルムのう
ち一軸延伸フイルム、特に縦方向の一軸延伸フイルムに
塗布することが、制電性塗膜の接着性か強固なものにな
り、かつ効率良く制電性フイルムを製造できるため好ま
しい。例えば、ポリエステルを熱溶融し、シート状に押
出し冷却して未延伸フイルムとし、この未延伸フイルム
を縦方向に延伸して一軸延伸フイルムとした後、水性塗
液を塗布し、乾燥しつつ横方向に延伸し、必要なら更に
縦や横に再延伸した後熱処理して制電性塗膜を塗設した
制電性フィルムがつくられる。
【0040】塗設した制電性塗膜の厚さは0.005〜
3μm、特に0.015〜1μmが好ましい。塗膜の厚
さが0.005μmよりも薄いと制電性が不足すること
があり、1μmを超えると塗膜が削れ易くなったり、塗
膜表面の形状が不均一になることがあるため好ましくな
い。
【0041】[乾燥及び延伸条件]本発明で水性塗液を
塗布した後、乾燥させる温度は80〜150℃とするこ
とが塗液を迅速に乾燥させることができるため好まし
い。この乾燥のための加熱はポリエステルフイルムを延
伸する過程の加熱を兼ねことができる。また、ポリエス
テルフイルムを熱処理温度は180〜250℃とするこ
とができる。
【0042】[制電性フイルム]本発明の制電性フィル
ムは用途によって、光透過率が60%以上の透明な制電
性フイルムや、光線透過率が60%未満の白色の制電性
フイルムとすることができる。透明な制電性フイルムの
ベースフイルムには光透過率が60%以上のポリエステ
ルフイルムを用い、白色の制電性フイルムのベースフイ
ルムには光透過率が60%未満、特に30%以下の白色
ポリエステルフイルムを用いることが好ましい。
【0043】白色ポリエステルフイルムをベースフイル
ムに用いた白色の制電性フイルムは特に磁気カード用に
好ましく用いられる。尚、ここでいう磁気カードとは、
例えば制電性フイルムの片面に磁気記録層を設け、もう
一方の面にUVインキ等により絵柄層等を印刷したカー
ドのことであり、フイルムの厚みは例えば100〜30
0μm、特に180〜250μmのものが好ましく用い
られる。
【0044】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明する。各特性値は下記の方法で測定した。
【0045】1.表面固有抵抗 サンプルフイルムを21℃×52%RHで19時間放置
した後、フイルム塗布面の表面固有抵抗を振動容量型電
位差測定器TR―84M型(タケダ理研社製)を用いて
測定した。尚、印加電圧は100Voltとした。
【0046】2.背面転写性 サンプルフイルムの水性液塗布面と非塗布面とを重ねて
6Kg/cm2 の荷重を加え、50℃×70%RHの条
件で8時間放置した後、非塗布面の水接触角(θ:背面
転写性の代用特性)を測定し、下記の基準により評価し
た。 A: θ≧55° ……背面転写性良好 B:55°>θ≧48° ……背面転写性やや良好 C:48°>θ ……背面転写性不良 水接触角は上記サンプルフイルムをフイルムの水性液非
塗布面を上にして接触角測定装置(エルマ社製)にセッ
トし、温度23℃の条件にて水滴を落下させてから1分
後の接触角を読み取ることにより測定した。尚、背面転
写が全く無いフイルムの水接触角は60〜75°であ
り、背面転写性良好なフイルムの水接触角は55°以上
であり、背面転写が著しい(背面転写性不良)フイルム
の水接触角は48°未満である。
【0047】[実施例1]固有粘度0.63のポリエチ
レンテレフタレートを溶融して冷却ドラム上にキャスト
し、次いで95℃にて縦方向に3.6倍延伸して一軸延
伸フイルムとした。この一軸延伸フイルムの片面に、C
2 =CHCOOCH2 CH2 OP(=O)(ONa)
(OC1225)(52モル%)、CH2 =CHCOOP
(=O)(OK)(OC8 17)(36モル%)及びア
クリル酸ソーダ(12モル%)を重合して得られた共重
合体(平均分子量:8,800)である帯電防止剤(a
−1)72重量%と、ジカルボン酸成分がテレフタル酸
(65モル%)、イソフタル酸(30モル%)及び5−
Kスルホイソフタル酸(5モル%)、グリコール成分が
エチレングリコール(82モル%)及びジエチレングリ
コール(18モル%)の共重合体(平均分子量:17,
600、ガラス転移温度:51℃)であるポリエステル
樹脂(b−1)16重量%並びにポリオキシエチレンノ
ニルフェニルエーテル12重量%からなる組成物の3重
量%水性液をグラビアコーターで塗布した。次いで塗布
フイルムを95℃で乾燥後、109℃で横方向に3.8
倍延伸し、225℃で熱処理して制電性塗膜を塗設した
厚さ75μmのフイルムをつくった。フイルムの制電性
塗膜の厚さは0.23μm、光透過率は84%であっ
た。このフイルムの特性を表1に示す。
【0048】[比較例1]水性液を塗布しない以外は実
施例1と同様にして得たフイルムの特性を表1に示す。
【0049】[実施例2〜8および比較例2〜4]塗液
の組成、塗布厚さを表1に記載のように変更した以外は
実施例1と同様にして得たフイルムの特性を表1に示
す。
【0050】[実施例9]酸化チタン10重量%を含む
固有粘度0.65のポリエチレンテレフタレートをベー
スフィルム用ポリエステルに使用し、フィルム厚みを1
50μmとし、塗液の組成、塗布厚さを表1に記載のよ
うに変更した以外は実施例1と同様にして光線透過率が
2%のフイルムを得た。このフイルムの特性を表1に示
す。
【0051】
【表1】
【0052】表1の制電性塗膜組成において帯電防止剤
[a−1]、[a−2]、[a−3]、[a−4]およ
びバインダー樹脂[b−1]、[b−2]、[b−3]
はそれぞれ下記の共重合体あるいは混合物である。
【0053】
【化2】[a−1]:CH2 =CHCOOCH2 CH2
OP(=O)(ONa)(OC1225)(52モル
%)、CH2 =CHCOOP(=O)(OK)(OC8
17)(36モル%)、アクリル酸ソーダ(12モル
%)を重合して得られた共重合体(平均分子量:8,8
00) [a−2]:アクリル酸エチル(52モル%)、ビニル
スルホン酸ソ−ダ(19モル%)、アクリル酸ブチル
(11モル%)、アクリル酸アンモニウム(8モル
%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(10モル
%)共重合体(平均分子量:24,000)。 [a−3]:アクリル酸エチル(6モル%)、スチレン
スルホン酸ソーダ(85モル%)、メタクリル酸メチル
(6モル%)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(3
モル%)共重合体(平均分子量:62,000)。 [a−4]:C1429SO3 Na(76重量%)とC12
256 4 SO3 K(24重量%)の混合物。
【0054】
【化3】[b−1]:テレフタル酸(65モル%)、イ
ソフタル酸(30モル%)、5−Kスルホイソフタル酸
(5モル%)、グリコール成分がエチレングリコール
(82モル%)、ジエチレングリコール(18モル%)
の共重合体(平均分子量:17,600、ガラス転移温
度:51℃) [b−2]:[b−1]のポリエステル樹脂(40重量
%)と、アクリル酸エチル(11モル%)、アクリル酸
ブチル(21モル%)、アクリル酸ソーダ(5モル
%)、メタクリル酸エチル(47モル%)、メタクリル
酸グリシジル(8モル%)、2−ヒドロキシエチルアク
リレート(3モル%)、N−メトキシメチルアクリルア
ミド(5モル%)共重合体(平均分子量:125,00
0)(47重量%)の混合物 [b−3]:[b−1]のポリエステル樹脂58重量%
に対してアクリル酸エチル(24モル%)、アクリル酸
ブチル(11モル%)、アクリル酸アンモニウム(7モ
ル%)、メタクリル酸メチル(40モル%)、メタクリ
ル酸グリシジル(10モル%)、2−ヒドロキシエチル
アクリレート(8モル%)の共重合成分42重量%をグ
ラフトした分子量96,000の共重合体
【0055】
【発明の効果】本発明の制電性フイルムは制電性、背面
転写性が優れ、磁気カ−ド等の磁気記録媒体、包装材
料、写真材料、グラフィック材料、製版フィルム、OH
Pフィルム等に有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C09D 167/00 PLB B29K 67:00 B29L 9:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、分子内にリン酸エステル塩基を有する重合体からな
    る帯電防止剤(A)を含む水性塗液を塗布し、乾燥、延
    伸してつくられた制電性塗膜が設けられている制電性フ
    イルム。
  2. 【請求項2】 水性塗液が、分子内にリン酸エステル塩
    基を有する重合体からなる帯電防止剤(A)5〜100
    重量%と、ポリエステル樹脂(B−1)、アクリル樹脂
    (B−2)およびアクリル変性ポリエステル樹脂(B−
    3)からなる群から選ばれた少なくとも1種のバインダ
    ー樹脂(B)0〜95重量%からなる組成物を含む水性
    塗液である請求項1記載の制電性フイルム。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフイルムが光線透過率が6
    0%未満の白色ポリエステルフイルムであり、磁気カー
    ドに用いる請求項1記載の制電性フイルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフイルムが光線透過率が6
    0%以上の透明ポリエステルフイルムである請求項1記
    載の制電性フイルム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002001882A (ja) * 2000-06-23 2002-01-08 Teijin Ltd 積層熱可塑性樹脂フィルム
JP2010143955A (ja) * 2008-12-16 2010-07-01 Takamatsu Oil & Fat Co Ltd 耐水性及び耐溶剤性を有する皮膜を形成する水分散性樹脂組成物

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JP2010143955A (ja) * 2008-12-16 2010-07-01 Takamatsu Oil & Fat Co Ltd 耐水性及び耐溶剤性を有する皮膜を形成する水分散性樹脂組成物

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