JP2006124439A - 生分解性水性分散体および生分解性積層フィルム - Google Patents

生分解性水性分散体および生分解性積層フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】 帯電防止性能だけでなく、生分解性、透明性、耐水性、基材フィルムとの密着性、耐ブロッキング性を有する被膜を得ることのできる生分解性水性分散体を提供するとともに、この生分解性水性分散体を積層した生分解性積層フィルムを提供する。
【解決手段】 ポリ乳酸系樹脂と酸化スズ系超微粒子とが水性媒体中に分散されて水性分散体を形成し、前記水性分散体は、前記ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して前記酸化スズ系超微粒子を30〜2000質量部含有することを特徴とする生分解性水性分散体である。また、生分解性フィルムの少なくとも一方の面に上記の生分解性水性分散体の被膜を積層した生分解性積層フィルムである。
【選択図】 なし

Description

本発明は生分解性水性分散体および生分解性積層フィルムに関し、詳しくは、生分解性水性分散体と、その水性分散体からなる生分解性帯電防止コート剤を生分解性フィルムに塗工した生分解性積層フィルムとに関するものである。
従来、一般的な工業材料や磁気記録材料や農業用フィルムなどとして、ポリエチレンテレフタレートやポリプロピレンのフィルムが広く使用されている。しかし、これらは石油由来であり、生分解性ではないために、廃棄する場合、自然界での分解性に乏しく、自然環境や野生生物に悪影響を及ぼすなど、環境面での問題が懸念されている。
そこで、これらの環境問題に配慮するために注目されてきたのが、ポリ乳酸をはじめとする生分解性樹脂フィルムである。例えば、ポリ乳酸は、とうもろこしやさつまいもなどの農作物を原料とする植物由来であり、資源的にも有利で、生分解性であり、更に透明性、熱溶融成型性、耐熱性に優れている。また、燃焼熱はポリエチレンなどの約1/3なので焼却炉を傷めることがなく、有毒ガスを発生させないなどの利点も挙げられる。
しかしながら、ポリ乳酸をはじめとする生分解性フィルムは、電気絶縁性が大きく、静電気による帯電を受けやすい欠点があり、ごみやほこりが付着するという問題が生じているため、帯電防止性能を付与することが必要である。
フィルムに帯電防止性能を付与する方法として、フィルム表面に帯電防止被膜を形成する方法がある。このような帯電防止皮膜を形成するために使用可能な帯電防止剤として、特許文献1、2に記載されたものが知られている。
このうち、特許文献1は、帯電防止剤である酸化スズ系超微粒子のゾルおよびその製法に関するものであるが、この酸化スズ系超微粒子を生分解性フィルムに塗工しようとしても、フィルムとの密着性が十分ではなかった。
特許文献2に記載のものは、導電性を有する酸化スズ系超微粒子とバインダー樹脂として非生分解性であるポリエステル樹脂粒子とからなるコート剤をフィルムに塗工するものである。しかし、バインダー樹脂が非生分解性であるため、このコート剤を生分解性フィルムに塗工しても完全な生分解性帯電防止フィルムとはいえない。
特開2003−081632号公報 特開2002−265860号公報
本発明の目的は、帯電防止性能だけでなく、生分解性、透明性、耐水性、基材フィルムとの密着性、耐ブロッキング性を有する被膜を得ることのできる生分解性水性分散体を提供するとともに、この生分解性水性分散体を積層した生分解性積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、このような課題を解決するために鋭意検討した結果、ポリ乳酸系樹脂の水性分散体と酸化スズ系超微粒子の水分散体とから調製した水性分散体を塗工することで形成された被膜は、帯電防止性能、生分解性、透明性、耐水性、基材との密着性、耐ブロッキング性に優れているという事実を見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1は、ポリ乳酸系樹脂と酸化スズ系超微粒子とが水性媒体中に分散されて水性分散体を形成し、前記水性分散体は、前記ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して前記酸化スズ系超微粒子を30〜2000質量部含有することを特徴とする生分解性水性分散体である。本発明の第2は、上記の生分解性水性分散体の被膜を積層した生分解性積層フィルムである。
本発明の生分解性水性分散体は、酸化スズ系超微粒子を帯電防止剤としかつ生分解性樹脂であるポリ乳酸系樹脂をバインダーとするコート剤を構成することができ、これによれば、生分解性を有し、帯電防止性能、透明性、耐水性、密着性、耐ブロッキング性に優れた被膜を得ることが可能になる。したがって、このコート剤を生分解性フィルムに適用することで、高い帯電防止性能が必要とされる工業材料や磁気記録材料に利用可能な生分解性帯電防止フィルムとすることが可能である。
本発明の生分解性水性分散体は、ポリ乳酸系樹脂と酸化スズ系超微粒子が水性媒体中に分散された水性分散体であり、この水性分散体は、前記ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して前記酸化スズ系超微粒子を30〜2000質量部含有するものであることを特徴とする。
ここで、水性分散体とは、水性媒体の主成分が水である分散体をいう。なかでも、水性媒体の60質量%以上が水であることが好ましい。
本発明の生分解性水性分散体は、ポリ乳酸系樹脂水性分散体と、酸化スズ系超微粒子水分散体とを混合することによって得ることができる。
ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径は、水性分散体の液混合性の観点から300nm未満が好ましく、低温造膜性およびこれにともなう透明性、密着性の観点から200nm以下がより好ましい。ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径が300nmを超えると、混合安定性、透明性、密着性が不十分となる場合がある。ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径および後述する体積平均粒子径は、後述の酸化スズ系超微粒子と同様の動的光散乱法によって測定される。
本発明の水性分散体におけるポリ乳酸系樹脂の原料としては、乳酸類やヒドロキシカルボン酸類等がある。乳酸類の具体例として、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸、それらの混合物や乳酸の環状2量体のラクタイドなどがあげられる。また、乳酸類と併用できるヒドロキシカルボン酸類の具体例としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5ーヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカルボン酸を挙げることができる。さらに、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、グリコール酸の2量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトンを挙げることができる。
上記したポリ乳酸系樹脂の製造方法は、特に限定されないが、例えば、ポリ乳酸の場合、L−乳酸、D−乳酸、DL−乳酸を直接脱水重縮合する方法や、乳酸の環状2量体であるラクタイドを開環重合する方法などがあげられる。これらに代えて、市販されているポリ乳酸系樹脂を用いてもよい。
ポリ乳酸系樹脂を用いた水性分散体の製造方法は、特に限定されず、転相乳化法、強制乳化法などが挙げられる。例えば、密閉可能な容器に、ポリ乳酸系樹脂、水、塩基性化合物、親水性有機溶剤などの原料を投入し、次いで、槽内の温度を45〜200℃、好ましくは60〜150℃、さらに好ましくは80〜120℃に保ちつつ、好ましくは粗大粒子が無くなるまで(例えば、5〜120分間)撹拌を続けることにより、ポリ乳酸系樹脂を十分に分散化させ、その後、好ましくは撹拌下で40℃以下に冷却することにより、分散体を得ることができる。このとき、槽内の温度が45℃未満の場合は、ポリ乳酸系樹脂の分散化が困難になる。槽内の温度が200℃を超える反応は、不経済なうえポリ乳酸系樹脂の加水分解反応が著しく進行する場合があるので好ましくない。その後、親水性有機溶剤を留去して、ポリ乳酸系樹脂水性分散体を得ることができる。
このように製造することに代えて、市販されているポリ乳酸系樹脂水性分散体を用いてもよい。市販の水性分散剤としては、例えば、第一工業製薬社製のプラセマL110やミヨシ油脂社製のランディPLシリーズなどがあげられる。
本発明の生分解性水性分散体は、ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して酸化スズ系超微粒子30〜2000質量部を含有している必要がある。好ましくは100〜1700質量部、より好ましくは300〜1500質量部である。酸化スズ系超微粒子の割合が30質量部未満では、この水性分散体を用いて得られる被膜の帯電防止性が不十分になる。酸化スズ系超微粒子の数平均粒子径は、50nm以下であることが好ましく、より好ましくは数平均粒子径が50nm以下であってかつ体積平均粒子径が200nm以下である。水性分散体中において酸化スズ系超微粒子が凝集して体積平均粒子径が200nmを超えると、被膜の透明性、密着性が低下する場合がある。
酸化スズ系超微粒子の具体例としては、酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウム、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体などが挙げられ、それらの溶媒和物や配位化合物も用いることができる。なかでも導電性などの性能に優れかつそれとコストとがバランスのとれた酸化スズ、アンチモンドープ酸化スズ、酸化スズドープインジウムおよびそれらの溶媒和物や配位化合物が好ましく用いられる。
上記の酸化スズ系超微粒子の製造方法は、特に限定されない。たとえば酸化スズ超微粒子は、金属スズやスズ化合物を加水分解または熱加水分解する方法や、スズイオンを含む酸性溶液をアルカリ加水分解する方法や、スズイオンを含む溶液をイオン交換膜やイオン交換樹脂によりイオン交換する方法などにより製造することができる。酸化スズ系超微粒子水分散体についても、その製造方法は特に限定されない。例えば、分散安定剤としてアルキルアミンを用いて酸化スズ系超微粒子水分散体を製造する方法などがあげられる。また、市販されている酸化スズ系超微粒子水分散体を使用することもできる。例えば、酸化スズ超微粒子水分散体としては、山中化学工業社製 EPS−6、アンチモンドープ酸化スズ系超微粒子水分散体としては、石原産業社製 SN100D、酸化スズドープインジウム超微粒子としては、シーアイ化成社製 ITOなどがある。
本発明の生分解性水性分散体の製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリ乳酸系樹脂粒子と酸化スズ系超微粒子との分散安定性の観点から、ポリ乳酸系樹脂の水性分散体と酸化スズ系超微粒子の水分散体とを別々に調製しておき、これを混合して得る方法が最も好ましい。
別々の操作によって得られたポリ乳酸系樹脂と酸化スズ系超微粒子とを混合する際には、ポリ乳酸系樹脂水性分散体に酸化スズ系超微粒子水分散体を加えて混合してもよく、逆に酸化スズ系超微粒子水分散体にポリ乳酸系樹脂水性分散体を加えて混合してもよく、混合順序は任意である。使用する装置としては、液/液撹拌装置として広く知られている装置を使用することが可能であり、混合液の分散性が良好であるため、極めて短時間かつ簡単な混合操作でよい。また、混合液の分散安定性を維持するために、必要に応じて、混合液のpHが8〜12になるようにpH調整を行うことが好ましい。さらに、混合後の固形分濃度の調整方法としては、例えば、所望の固形分濃度となるように水性媒体を留去したり、水により希釈したりする方法が挙げられる。
本発明の生分解性水性分散体には、塗布性能を向上させるために、沸点が100℃以下の親水性有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール(以下、「IPA」と称する)等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する)等のエーテル類を用いることができ、これらを2種以上混合してもよい。これらの親水性有機溶剤の中でも、低温乾燥性の点から、エタノール、n−プロピルアルコール、IPAが特に好ましい。これらの親水性有機溶剤は、ポリ乳酸系樹脂水性分散体と酸化スズ系超微粒子水分散体とを混合した後に加えるのが好ましい。
本発明の生分解性水性分散体における固形分濃度すなわちポリ乳酸系樹脂と酸化スズ系超微粒子との総濃度は、1〜40質量%が好ましい。固形分濃度が1質量%以下では、基材に塗布する際に十分な厚さの被膜を形成しにくくなる傾向があり、一方40質量%を越えると、酸化スズ系超微粒子の分散性が不十分になることがある。
また、本発明の生分解性水性分散体には、その特性が損なわれない範囲で、架橋剤、酸化防止剤、滑剤、着色剤、安定化剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤等を添加することができる。これらの種類は特に限定されない。
このようにして、本発明の生分解性水性分散体およびそれからなる帯電防止コート剤が得られる。このコート剤は、基材上に均一に塗布され、この後、加熱・乾燥することにより、基材上に被膜が形成される。塗布方法としては、マイヤーバー法、ディップコート法、はけ塗り法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、カーテンフローコート法、各種印刷法などが挙げられる。乾燥には、熱風循環型のオーブンや赤外線ヒーターなどを用いる。乾燥温度は60〜140℃が好ましく、帯電防止性能の観点から60〜100℃がより好ましく、被膜の透明性の観点から60〜80℃が特に好ましい。乾燥時間は15秒間〜30秒間が好適である。このときに形成される被膜の厚さとしては、強度および傷が付きにくい均一な厚さの被膜が得られる0.01〜100μmが好ましく、0.05〜20μmがより好ましく、0.1〜5μmがさらに好ましい。
基材としてのフィルムは、生分解性フィルムを用いるが、この種類は特に限定されない。例えば、ポリ乳酸系樹脂を用いた生分解性フィルムや天然多糖類のキトサンを用いた生分解性フィルム等があげられる。生分解性フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常0.5〜1000μm、好ましくは1〜500μm、より好ましくは1〜100μm、特に好ましくは1〜50μmである。
本発明の生分解性水性分散体からなる生分解性帯電防止コート剤を生分解性フィルムに塗布、乾燥して被膜を形成した生分解性積層フィルムは、表面固有抵抗値が1010Ω/□以下と低く、このため優れた帯電防止性能を有する。また同時に耐水性、密着性、耐ブロッキング性にも優れる。さらに、ヘイズが10%以下となる。すなわち非常に高い透明性を有する。
こうして得られた生分解性積層フィルムは、例えば、包装材料、磁気テープ、磁気ディスク等の磁気記録材料や電子材料、グラフィックフィルム、製版フィルム、OHPフィルム等の用途に使用することができる。また、使用後、自然環境下に廃棄された場合でも、比較的速やかに分解するので、自然環境や野生生物への影響を軽減することができる。
[実施例]
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下の実施例・比較例において、各分析は、下記の方法に従って行った。
(1)被膜の厚さ
接触式膜厚計により、生分解性積層フィルムの全体の厚さを求め、その結果から基材フィルムの厚さを減じて求めた。
(2)ヘイズ
JIS−K7361−1に基づいて、濁度計(日本電色工業社製、NDH2000)を用いて、生分解性積層フィルムのヘイズ測定を行った。ただし、この評価値は、各実施例で用いたPLAフィルムの濁度(濁度:3.5%、厚さ:25μm)を含んだものであった。
(3)生分解性積層フィルムの帯電防止特性
JIS−K6911に基づいて、アドバンテスト社製デジタル超高抵抗/微少電流計、R8340を用いて、生分解性積層フィルムの被膜の表面固有抵抗値を次の2つの条件下で測定して、それぞれについて評価した。
(3−a)標準特性評価
温度23℃、湿度65%の雰囲気下で測定した。
(3−b)耐流水性評価
生分解性積層フィルムを流水中に60秒間さらした後、3−aと同一条件で測定した。
(4)密着性
基材フィルムと塗布層との密着性を、テープ剥離により評価した。すなわち、生分解性積層フィルムの塗膜面に粘着テープ(ニチバン社製TF−12)を張りつけた後、勢い良くテープを剥離し、塗膜面の状態を目視で観察して、以下のように評価した。
○:剥離無し
×:剥離有り
(5)耐ブロッキング性
生分解性積層フィルムの被膜面と基材フィルム面とを重ね合わせた状態で、200g/cmの負荷をかけ、40℃の雰囲気下で24時間放置後、その耐ブロッキング性を、以下の基準により評価した。
○:フィルムに軽く触れる程度で被膜面と基材フィルム面とが剥離
△:フィルムを引っ張ることで被膜面と基材フィルム面とが剥離
×:ブロッキングにより被膜面と基材フィルム面とが剥離せず
(6)粒子径
ポリ乳酸系樹脂微粒子および酸化スズ系超微粒子の数平均粒子径は、それぞれ日機装社製マイクロトラック粒度分布計、UPA150(Model No.9340)を用いて、動的光散乱法によって測定した。
実施例1
(ポリ乳酸系樹脂水性分散体の調製)
ヒーター付きの密閉できる耐圧1リットル容ガラス容器を備えた撹拌機を用いて、100.0gのポリ乳酸系樹脂(カーギル・ダウ社製、6300D)、100.0gのTHF、5.0gのトリエチルアミン(以下、「TEA」と称する)、7.0gの乳化剤(旭電化工業社製、アデカプルロニックP−85)、288.0gの蒸留水をガラス容器内に仕込み、撹拌機の撹拌翼の回転速度を600rpmとして撹拌した。そうしたところ、容器底部には樹脂粒状物の沈澱は認められず、樹脂粒状物が浮遊状態となっていることが確認された。そこでこの状態を保ちつつ、10分後にヒーターの電源を入れて加熱した。そして、系内温度を80℃に保って、さらに75分間撹拌した。その後、水浴につけて、回転速度500rpmとして撹拌しつつ室温(約25℃)まで冷却した後、300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、乳白色の均一なポリ乳酸系樹脂水性分散体を得た。
得られたポリ乳酸系樹脂水性分散体500gを1リットルの2口丸底フラスコに仕込み、ロータリーエバポレーターを用い、浴温40〜45℃で、親水性有機溶媒を留去した。続いて、冷却を行った後、フラスコ内の液状成分を300メッシュのステンレス製フィルター(線径0.035mm、平織)で加圧濾過(空気圧0.2MPa)し、濾液の固形分濃度を測定したところ、25.0質量%であった。この水性分散体の数平均粒子径は200nmであった。
(酸化スズゾルの調製)
塩化第二スズ五水和物0.1モルを200ミリリットルの水に溶解して0.5Mの水溶液とし、撹拌しながら28%のアンモニア水を添加することで、pH1.5の白色酸化スズ超微粒子含有スラリーを得た。得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーを70℃まで加熱した後、50℃前後まで自然冷却したうえで純水を加えて1リットルの酸化スズ超微粒子含有スラリーとし、遠心分離器を用いて固液分離を行った。分離された含水固形分に800ミリリットルの純水を加えて、ホモジナイザーにより撹拌・分散を行った後、遠心分離器を用いて固液分離を行うことで、洗浄を行った。この洗浄は3回行った。洗浄後の含水固形分に純水を75ミリリットル加えて、酸化スズ超微粒子含有スラリーを調製した。
得られた酸化スズ超微粒子含有スラリーにTEA3.0ミリリットルを加えて撹拌し、透明感が出てきたところで70℃まで昇温した後、加温をやめ自然冷却することで、固形分濃度10.5質量%の、有機アミンを分散安定剤とする酸化スズゾルを得た。この酸化スズゾルの数平均粒子径は7.5nmであった。
(生分解性水性分散体の調製)
前記酸化スズゾルに、前記ポリ乳酸系樹脂水性分散体を、ポリ乳酸系樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が900質量部となるように混合した。その後、塗布性能を向上させるためにIPAを全液量の10質量%相当添加し、手動で軽く撹拌することで、生分解性水性分散体を得た。
得られた生分解性水性分散体を、2軸延伸ポリ乳酸フィルム(ユニチカ社製、製品名テラマックフィルムTFE−25、厚さ25μm)の片面に、フィルムアプリケーター(安田精機製作所社製、542-AB)を使用して塗布し、その後、60℃で30秒間乾燥することにより、ポリ乳酸フィルム面に厚さ1.0μmの被膜を形成した生分解性積層フィルムを得た。そして、この積層フィルムについて、各種評価を行った。
実施例2
実施例1に比べ、ポリ乳酸系樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が1000質量部となるようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
実施例3
実施例1に比べ、ポリ乳酸系樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が1500質量部となるようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
実施例4
実施例1に比べ、ポリ乳酸系樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が300質量部となるようにした。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
実施例5
実施例1に比べ、IPAの代わりにエタノールを同量添加した。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
実施例6
実施例1に比べ、ポリ乳酸系樹脂水性分散体として、第一工業製薬社製のプラセマL110(樹脂固形分濃度:52.0質量%、数平均粒子径:600nm)を用いた。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
比較例1
実施例1に比べ、ポリ乳酸系樹脂固形分100質量部に対して酸化スズ超微粒子が10質量部となるように混合した。また、フィルムへの塗布後に、100℃で30秒間乾燥した。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
比較例2
実施例1に比べ、ポリ乳酸系樹脂を混合せず、酸化スズゾル(酸化スズ超微粒子100質量部)のみをフィルムに塗工した。そして、それ以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、各種評価を行った。
実施例1〜6および比較例1、2についての評価結果を表1に示す。
Figure 2006124439
実施例1〜5の生分解性積層フィルムは、表1に示したようにいずれも高い帯電防止性を示し、透明性に優れ、流水処理によっても表面固有抵抗が変化せず、すなわち耐水性に優れ、また密着性、耐ブロッキング性にも優れていた。
実施例6の生分解性積層フィルムは、ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径が600nmと大きかったために、透明性、密着性に劣っていたが、同様に高い帯電防止性能を示した。
比較例1の生分解性積層フィルムは、生分解性水性分散体中に含有する酸化スズ系超微粒子の量が少なかったため、表面固有抵抗値が高く、帯電防止性能が不十分であった。
比較例2の生分解性積層フィルムは、バインダー樹脂としてのポリ乳酸系樹脂がないものであったため、密着性に劣っていた。また、塗工性も劣っていた。
以上の実施例・比較例から明らかなように、本発明の生分解性水性分散体から得られる生分解性積層フィルムは、高い帯電防止性能を有し、透明性が高く、耐水性、基材との密着性、耐ブロッキング性に優れた積層フィルムであった。

Claims (6)

  1. ポリ乳酸系樹脂と酸化スズ系超微粒子とが水性媒体中に分散されて水性分散体を形成し、前記水性分散体は、前記ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して前記酸化スズ系超微粒子を30〜2000質量部含有することを特徴とする生分解性水性分散体。
  2. ポリ乳酸系樹脂の数平均粒子径が300nm未満であることを特徴とする請求項1記載の生分解性水性分散体。
  3. 請求項1または2に記載の生分解性水性分散体からなることを特徴とする生分解性帯電防止コート剤。
  4. ポリ乳酸系樹脂100質量部に対して酸化スズ系超微粒子を30〜2000質量部含有する層が、生分解性フィルムの少なくとも一方の面に形成されていることを特徴とする生分解性積層フィルム。
  5. 表面固有抵抗値が1010Ω/□以下であることを特徴とする請求項4記載の生分解性積層フィルム。
  6. ヘイズが10%以下であることを特徴とする請求項4または5記載の生分解性積層フィルム。
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