JPH10217379A - 導電性積層フィルム - Google Patents

導電性積層フィルム

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JPH10217379A
JPH10217379A JP9035521A JP3552197A JPH10217379A JP H10217379 A JPH10217379 A JP H10217379A JP 9035521 A JP9035521 A JP 9035521A JP 3552197 A JP3552197 A JP 3552197A JP H10217379 A JPH10217379 A JP H10217379A
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JP
Japan
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conductive
conductive layer
film
surface resistance
polyaniline
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JP9035521A
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English (en)
Inventor
Kazuhiro Abe
和洋 阿部
Juji Konagaya
重次 小長谷
Chikao Morishige
地加男 森重
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Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱可塑性フィルムの優れた点を生かせつつ、
低湿度下でも帯電防止性があり、加熱後も充分な帯電防
止性を保持する導電性積層フィルムを得ることことを目
的とする。 【解決手段】 熱可塑性フィルムの少なくとも片面に導
電層を積層したフィルムにおいて、導電層の25℃、1
5%RH雰囲気下での初期表面抵抗値が106〜1012
Ω/□であり、250℃で1分間加熱後の導電層の表面
抵抗値の変化率が5.0倍以内であることを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は導電性積層フィルム
に関するものであり、詳しくは低湿度下でも帯電防止性
及び導電性に優れている導電性積層フィルムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ポリエステル、ナイロン等か
らなる熱可塑性フィルムは、寸法安定性、機械的強度等
に優れるため、包装用フィルム、工業用フィルムとし
て、多量かつ広い範囲に使用されている。熱可塑性樹脂
は一般的に疎水性であるため、熱可塑性樹脂からなる構
造形成体の表面に静電気が発生しやすく、ほこり等が上
記成形体表面に付着しやすくなり、様々なトラブルを引
き起こしている。
【0003】これらのフィルムの帯電性を改善するため
の帯電防止剤として界面活性剤が用いられるが、界面活
性剤では塵、ほこり等の付着を抑制するのに充分な表面
抵抗(1012Ω/□以下)が得難いのみならず、帯電防
止能が周囲の湿気や水分の影響を受け変化しやすい。特
に、界面活性剤の働きにより低下したフィルムの表面抵
抗が、低湿度下では大幅に増大して所望の帯電防止能が
得られなくなるという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】その結果、フィルムの
表面にほこりの付着が起こり、様々なトラブルの原因と
なる。よりハイテク化した今日、低湿度環境下で静電気
障害のないフィルムが求められつつあり、そのためには
低湿度下で1012Ω/□以下の表面抵抗値を与える帯電
防止剤の出現が望まれている。
【0005】また、フィルムヘの塗布をフィルム中に製
膜工程内で同時に行なうインラインコート工程や塗布後
の後加工工程等で200℃以上の高温をかけた場合、導
電層中の導電剤組成が分解して、導電性が無くなり、制
電性が大幅に低下することがあった。
【0006】本発明は、上記の問題点に着目してなされ
たものであり、その目的は、本来の熱可塑性フィルムの
ような構造形成体の優れた点を保持しつつ、低湿度下で
も静電気障害を克服するに充分な帯電防止能を持ち、か
つ、インラインコート法や2次加工等で200℃以上の
高温をかけた場合でも表面抵抗値に変化が無く、帯電防
止性及び透明性を失わない実用的な熱可塑性フィルムを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の導電性積層フィ
ルムは、熱可塑性フィルムの少なくとも片面に導電層を
積層したフィルムにおいて、導電層の25℃、15%R
H雰囲気下での初期表面抵抗値が106〜1012Ω/□
であり、250℃での1分間加熱後の導電層の表面抵抗
値の変化率が5.0倍以内であることを特徴とする。
【0008】上記の構成からなる導電性積層フィルム
は、低湿度雰囲気下でも帯電防止性及び導電性に優れて
おり、かつ、温度依存性がない。
【0009】この場合において、導電層が導電性高分子
を含むことができる。
【0010】上記の構成からなる導電性積層フィルム
は、帯電防止性及び導電性に湿度依存性が大幅に小さ
く、かつ、温度依存性がない。
【0011】また、この場合において、導電性高分子が
ポリアニリンであることができる。
【0012】上記の構成からなる導電性積層フィルム
は、導電層の塗布性、延展性、塗布体の硬度の向上の点
において優れている。
【0013】また、この場合において、ポリアニリンが
アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸を主成分と
するスルホン化ポリアニリンであることができる。
【0014】上記の構成からなる導電性積層フィルム
は、導電層の塗布性、延展性、塗布体の硬度の向上の点
において特に優れている。
【0015】この場合において、導電性積層フィルムは
光線透過率が80%以上であることができる。
【0016】上記の構成からなる導電性積層フィルム
は、高度の透明性が維持される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の導電性積層フィル
ムの実施の形態の詳細を示す。
【0018】本発明は、熱可塑性フィルムの少なくとも
片面に導電層を積層したフィルムにおいて、導電層の初
期表面抵抗値が25℃、15%RH雰囲気下での106
〜1012Ω/□であり、250℃で1分間加熱後の導電
層の表面抵抗値の変化率が5.0倍以内であることを特
徴とする導電性積層フィルムであり、熱可塑性フィルム
の少なくとも片面に、導電性高分子、特にポリアニリン
を含んだ導電層を積層したフィルムに関するものであ
る。
【0019】ここで変化率は、次の式で算出される。2
50℃で1分間加熱後の導電層の表面抵抗値の変化率 変化率(倍)=(B)/(A) (A)25℃、60%RH雰囲気下での導電層の表面抵
抗値 (B)250℃で1分間加熱後の25℃、60%RH雰
囲気下での導電層の表面抵抗値
【0020】本発明の導電性積層フィルムを構成する熱
可塑性フィルムとしては、ポリエステル、ナイロン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の単一ポ
リマーによるフィルム、あるいはそれらのポリマー混合
体によるフィルム、同一又は異なるフィルムを積層した
フィルム等の何れであっても良い。また、互いに非相溶
なポリマーを混合したポリマー混合体又は多量の不活性
微粒子を混合した組成物からなるシート状物を少なくと
も一軸に延伸することにより得られた空洞含有フィルム
を用いることもできる。
【0021】熱可塑性フィルムの厚さは導電性積層フィ
ルムの用途により任意に定めることができるが一般に5
〜1000μm程度、典型的には10〜500μmとす
ることができる。また、熱可塑性フィルムは無延伸フィ
ルム、1軸延伸フィルム、2軸延伸フィルム等を必要に
応じて用いることができる。
【0022】本発明の導電性積層フィルムを構成する導
電層は、25℃、15%RH雰囲気下での初期表面抵抗
値が106〜1012Ω/□であり、250℃で1分間加
熱後の導電層の表面抵抗値の変化率が5.0倍以内であ
ることが必要であるが、実用的には導電性材料、特に導
電性高分子を熱可塑性フィルムに積層したものが好まし
い。導電性高分子は、そのまま溶剤に溶解又は分散させ
ることにより、或いはさらにバインダーを併用すること
により積層することができる。本発明における導電層に
用いる導電性高分子としては、ポリアニリンが好適であ
る。ポリアニリンは、アニリンとアルデヒド或いはフル
フラールとの反応で得られる樹脂であり、アニリンにア
ルコキシ基、SO3H基その他の置換基を有する誘導体
であるものも含まれ、導電性を有する重合体である。特
にスルホン化ポリアニリンが好適であり、さらにはアル
コキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸を主成分とする
スルホン化ポリアニリンが本発明の導電性積層体の導電
層の基本素材に好適である。なかでも、アミノアニソー
ルスルホン酸類を主成分とするスルホン化ポリアニリン
が好適である。
【0023】ここで、アミノアニソールスルホン酸類の
具体例として、2−アミノアニソール−3−スルホン
酸、2−アミノアニソール−4−スルホン酸、2−アミ
ノアニソール−5−スルホン酸、2−アミノアニソール
−6−スルホン酸、3−アミノアニソール−2−スルホ
ン酸、3−アミノアニソール−4−スルホン酸、3−ア
ミノアニソール−5−スルホン酸、3−アミノアニソー
ル−6−スルホン酸、4−アミノアニソール−2−スル
ホン酸、4−アミノアニソール−3−スルホン酸等を挙
げることができる。
【0024】アニソールのメトキシ基がエトキシ基、i
so一プロポキシ基等のアルコシキ基に置換された化合
物を用いることも可能である。しかし、2−アミノアニ
ソール−3−スルホン酸、2−アミノアニソール−4−
スルホン酸、2−アミノアニソール−5−スルホン酸、
2−アミノアニソール−6−スルホン酸、3−アミノア
ニソール−2−スルホン酸、3−アミノアニソール−4
−スルホン酸、3−アミノアニソール−6−スルホン酸
が好ましく用いられる。
【0025】本発明における導電層を形成するためのコ
ート剤の製造に用いる上記スルホン化ポリアニリン等の
導電性材料の使用割合は溶剤100重量部に対して0.
01−10重量部であり、好ましくは0.1−2重量部
である。前記スルホン化ポリアニリン等の導電性材料の
使用割合が0.01重量部未満では表面のコート層(導
電層)にピンホールが発生しやすくなりコート面の導電
性が著しく劣ることになり、溶液の長期保存性も悪くな
る。また、使用割合が10重量部を越えると該ポリアニ
リン等の導電性材料の溶媒系への溶解性、分散性及びコ
ート剤の塗布性が悪くなる傾向があり、好ましくない。
溶媒は、前記熱可塑性フィルムを溶解又は膨潤しないな
らばいかなる溶媒も使用可能であるが、水又は水/アル
コール等の有機溶媒との混合溶媒を用いることが使用環
境面で好ましいのみならず、熱可塑性フィルムへの塗布
性及び導電層の導電性が向上する場合もある。
【0026】有機溶媒はメタノール、エタノール、プロ
パノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケト
ン等のケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ
等のセロソルブ類、メチルプロピレングリコール、エチ
ルプロピレングリコール等のプロピレングリコール類、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミ
ド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等
のピロリドン類等が好ましく用いられる。これらは、水
と任意の割合で混合して用いられる。この例として、具
体的には、水/メタノール、水/エタノール、水/プロ
パノール、水/イソプロパノール、水/メチルプロピレ
ングリコール、水/エチルプロピレングリコール等を挙
げることができる。用いられる割合は水/有機溶媒=1
/10〜10/1が好ましい。
【0027】さらに、本発明においては、導電層を形成
する導電性材料とともに任意の材料、例えば高分子化合
物又は/及び界面活性剤を併用することができる。導電
性材料の塗布性、延展性、導電層の硬度の向上等を目的
として高分子化合物を併用することができ、熱可塑性フ
ィルムの濡れ性の向上を目的として界面活性剤を使用す
ることができる。
【0028】本発明の導電性積層フィルムの導電層に含
有することができる高分子化合物としては、例えば、ポ
リアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性樹
脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート等のホモポリエステルないし水酸基又はカルボ
ン酸基を含んだ水溶性又は水分散性の共重合ポリエステ
ルであるエステル樹脂、ポリアクリル酸、ポリメタクリ
ル酸等のアクリル酸樹脂、ポリアクリル酸エステルポリ
メタクリル酸エステル等のアクリル酸エステル樹脂、ポ
リスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリクロロメ
チルスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルフ
ェノール等のスチレン樹脂、ポリビニルメチルエーテ
ル、ポリビニルエチルエーテル等のビニルエーテル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポ
リビニルブチラール等のポリビニルアルコール類、ノボ
ラック、レゾール等のフェノール樹脂等がある。なかで
も、上記ポリアニリン等の導電性材料との相溶性及びポ
リエステル等の熱可塑性フィルムからなる基材との接着
性の点から水酸基又はカルボン酸基を含んだ水溶性又は
水分散性共重合ポリエステル及びポリビニルアルコール
類が好ましい。
【0029】上記高分子化合物を併用する場合の量は、
好ましくは、スルホン化ポリアニリン等の導電性材料1
00重量部に対して50〜2000重量部、さらに好ま
しくは100〜1500重量部であり、特に好ましくは
200〜1000重量部用いるのがよい。高分子化合物
の量が2000重量部を越えるとスルホン化ポリアニリ
ン等の導電性材料の導電性が十分に現れず、本来の帯電
防止機能が発揮されない。
【0030】本発明において、導電層には導電性材料を
固着させるために高分子化合物をバインダーとして用い
ることができる。なかでも、共重合ポリエステルを用い
るのが好適であり、特にスルホン酸基又はそのアルカリ
金属塩基からなる群より選択される少なくとも1種の基
が結合した共重合ポリエステル(以下、スルホン酸基含
有共重合ポリエステルという)を用いるのが好ましい。
ここでスルホン酸基含有共重合ポリエステルとは、ジカ
ルボン酸成分及び/又はグリコール成分の一部にスルホ
ン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる群より選択さ
れる少なくとも1種の基が結合したポリエステルをい
い、なかでも、スルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基
からなる群より選択される少なくとも1種の基を含有し
た芳香族ジカルボン酸成分を全酸成分に対して4〜10
モル%の割合で用いて調整した共重合ポリエステルが好
ましい。このようなジカルボン酸の例としては、5−ナ
トリウムスルホイソフタル酸が好適である。この場合、
他のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフ
タル酸、フタル酸、p−β−オキシエトキシ安息香酸、
2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボ
キシジフェニル、4,4’−ジカルボキシベンゾフェノ
ン、ビス(4−カルボキシフェニル)エタン、アジピン
酸、セバシン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン
酸等が挙げられるが、表面硬度の高い導電性積層フィル
ムを得るという点からは全酸性分中96〜90モル%を
テレフタル酸及びイソフタル酸とし、4〜10モル%を
前記のスルホン酸基又はそのアルカリ金属塩基からなる
群より選択される少なくとも1種の基を含有した芳香族
ジカルボン酸とするのが好ましい。
【0031】スルホン酸基含有共重合ポリエステルを製
造するためのグリコール成分としては、エチレングリコ
ールが主として用いられ、この他に、プロピレングリコ
ール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエ
チレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビス
フェノールAのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレ
ングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラ
メチレングリコール等を用いることができる。中でも、
エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジ
オール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコー
ル、シクロヘキサンジメタノール等を共重合成分として
用いると、ポリアニリンとの相溶性が向上するという点
で好ましい。
【0032】この他、共重合ポリエステルの共重合成分
として、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結
合、カーボネート結合等を含有するジカルボン酸成分、
グリコール成分を含んでも良い。さらに、得られる塗膜
の表面硬度を向上させるために、トリメリット酸、トリ
メシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水
ピロメリット酸等の多カルボキシル基含有モノマーを5
モル%以下の割合で上記ポリエステルの共重合成分とし
て用いることも可能である。5モル%を越える場合に
は、得られるスルホン酸基含有共重合ポリエステルが熱
的に不安定となり、ゲル化しやすく、本発明の導電層の
成分として好ましくない。
【0033】スルホン酸基含有共重合ポリエステルは、
例えば、前記ジカルボン酸成分、グリコール成分、及び
必要に応じて、多カルボキシル基含有モノマーを用い
て、常法により、エステル化、エステル交換、重縮合反
応等により得ることができる。得られたスルホン酸基含
有共重合ポリエステルは、例えば、n−ブチルセロソル
ブのような溶媒とともに加熱攪拌され、さらに攪拌しな
がら徐々に水を加えることにより、水溶液又は水分散液
として用いることができる。
【0034】本発明における導電層において高分子化合
物を併用する場合、通常、導電性材料と高分子化合物と
を溶剤に溶解又は分散させて、所望の熱可塑性フィルム
からなる基体表面に塗布して形成する。ここで用いられ
る溶剤は、前述の溶媒がそのまま使用可能であり、水、
又は水と有機溶媒との混合溶媒を用いることは、使用環
境面で好ましいだけでなく、得られる本発明の導電性積
層フィルムの帯電防止性を向上させる場合もあり好まし
い。
【0035】本発明における導電層を形成するためのコ
ート剤に、前記溶剤に可溶な界面活性剤をさらに併用す
ることにより、濡れ性の悪い熱可塑性フィルムヘの塗布
性が向上する。
【0036】併用するのに好ましい界面活性剤として
は、例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエー
テル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキ
シエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン界面
活性剤及びフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロ
アルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンス
ルホン酸、パーフルオロアルキル4級アンモニウム、パ
ーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等の
フッ素系界面活性剤がある。
【0037】界面活性剤を用いる場合、その量は、スル
ホン化ポリアニリン等の導電性材料100重量部に対し
て通常0.001重量部〜10重量部である。界面活性
剤の量が10重量部を越えると非コート面にコート層中
の界面活性剤が裏移りすることがあり、2次加工等で問
題を生じることがある。
【0038】本発明の導電性積層フィルムの導電層に
は、上記の他に、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々
の添加剤を含有することができる。このような添加剤と
しては、TiO2、SiO2、カオリン、CaCO3、A
23、BaSO4、ZnO、タルク、マイカ、複合粒
子等の無機粒子;ポリスチレン、ポリアクリレート、又
はそれらの架橋体で構成される有機粒子等が挙げられ
る。導電性のさらなる向上を目的として、SnO2、Z
nOの粉末、それらを被覆した無機粒子(TiO2、B
aSO4等)、カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維
等のカーボン系導電性フィラー等を添加することもでき
る。上記添加剤の含有量は、通常、ポリアニリン等の導
電性材料100重量部に対して4000重量部以下の割
合である。4000重量部を越える場合には、導電層を
形成するコート剤の粘度上昇により塗布ムラの原因とな
るおそれがある。
【0039】熱可塑性フィルム表面に導電層を積層する
方法としては、グラビアロールコーティング法、リバー
スロールコーティング法、ナイフコート法、ディップコ
ート法、スピンコート法等を用いることができるが、導
電性組成物に適したコート法は特に制限はない。フィル
ムヘの塗布を製膜工程内で同時に行うインラインコート
法と製膜ロール製造後コーチングを独立して行うオフラ
インコート法があるが、本発明を構成する導電層は耐熱
性に優れるため用途に応じて好ましい製造方法を選ぶこ
とが可能で、特に制限はない。本発明における導電層の
厚さは導電性積層フィルムの用途により任意に定めるこ
とができるが、一般に0.01〜50μm、典型的には
0.05〜10μm程度である。また、導電層は熱可塑
性フィルムの片面又は両面にその用途に応じて形成する
ことができる。
【0040】本発明の導電性積層フィルムを内容物を透
視できる包装材料用途に用いる場合には光線透過率が8
0%以上であることが好ましく、この場合には熱可塑性
フィルムは空洞含有フィルムではなく透明フィルムが好
適である。また、導電層にも光線透過率を低下させるよ
うな量の無機または有機微粒子の配合は控えるのが好ま
しい。
【0041】上記のごとき方法で、25℃、15%RH
雰囲気下での初期表面抵抗値が106〜1012Ω/□で
あり、250℃で1分間加熱後の導電層の表面抵抗値の
変化率が5.0(倍)以内である導電性積層フィルムを
得ることができる。
【0042】本発明の導電性積層フィルムの用途として
は具体的には磁気テープ、OHP、シールド材、LC
D、感熱紙、受像紙、写真フィルム、刷版等に用いる、
導電層を積層した工業用フィルム、キャリアテープ、ト
レー、マガジン、IC・LSIパッケージ等に用いる導
電層を積層した包装用フィルム等が挙げられるがこれら
に限定されるものではない。
【0043】
【実施例】次に、本発明の実施例及び比較例を示すが、
本発明はこれに限定されない。また本発明に用いる評価
法を以下に示す。
【0044】1)表面抵抗値 三菱油化(株)社製表面抵抗測定器Hiresta H
T−210を用い印加電圧500V、25℃、15%R
H及び60%RHの条件下で測定した。単位:Ω/□
(Ω/sqとも表す)
【0045】2)耐熱性 導電性積層フィルムをESPEC社製HIGH−TEM
P OVEN PHH−101を用いて、250℃で1
分間加熱し、その前後の表面抵抗値を上記1)と同様の
方法で測定し、その比を算出した。250℃で1分間加
熱後の導電層の表面抵抗値の変化率 変化率(倍)=(B)/(A) (A):25℃、60%RH雰囲気下での導電層の表面
抵抗値 (B):250℃で1分間加熱後の25℃、60%RH
雰囲気下での導電層の表面抵抗値。
【0046】3)透明性の変化 導電性積層フィルムをESPEC社製HIGH−TEM
P OVEN PHH−101を用いて、250℃で1
分間加熱し、その前後で導電層表面にブロムライトで光
を照射し、透明性の変化(白化の有無)を以下のように
評価した。 ・導電層表面に白化部が全くない。 :○ ・導電層表面の一部が白化した。 :×
【0047】(合成例1)スルホン酸基含有共重合ポリ
エステル及びその水分散液の調整 まず、スルホン酸基含有ポリエステルを次の方法により
合成し、次いでその分散液を調整した。ジカルボン酸成
分としてジメチルテレフタレート46モル%、ジメチル
イソフタレート47モル%及び5−スルホイソフタル酸
ナトリウム7モル%を使用し、グリコール成分としてエ
チレングリコール50モル%及びネオペンチルグリコー
ル50モル%を用いて、常法によりエステル交換反応及
び重縮合反応を行った。得られたスルホン酸基含有共重
合ポリエステルのガラス転移点は69℃であった。この
スルホン酸基含有共重合ポリエステル300重量部とn
−ブチルセロソルブ150重量部とを加熱攪拌して、粘
ちょうな溶液とし、さらに攪拌しつつ水550部を徐々
に加えて、固形分30重量%の均一な淡白色の水分散液
を得た。
【0048】この分散液をさらに水とイソプロパノール
の等量混合液中に加え、固形分が8重量%のスルホン酸
基含有ポリエステル水分散液を調整した。
【0049】(合成例2)スルホン酸基含有ポリアニリ
ンコート剤の調整 2−アミノアニソール−4−スルホン酸100モルを2
3℃で4モル/リットルのアンモニア水溶液に攪拌溶解
し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100モルの水溶液
を滴下した。滴下終了後23℃で10時間さらに攪拌し
た後、反応生成物を濾別洗浄、乾燥し、粉末状の共重合
体を13gを得た。この共重合体の体積固有抵抗値は1
2.3Ωcmであった。上記重合体3重量部を0.3モ
ル/リットルの硫酸水溶液100重量部に室温で攪拌溶
解し導電性組成物を調整した。この時のスルホン化ポリ
アニリンのスルホン酸基の含有量は100%であった。
【0050】上記スルホン化ポリアニリン2重量部を、
水50重量部及びイソプロパノール50重量部に溶解し
た。この液を合成例1で示した分散液と混合した液を、
熱可塑性フィルムの片面に塗布した。このコート液は濃
黄色で外観上は不溶物が全く見られなかった。
【0051】(基材フィルムの製造)平均粒径0.5μ
mの炭酸カルシウム微粒子を4000ppm分散したポ
リエチレンテレフタレートを290℃で溶融押し出し
し、30℃の冷却ロールで冷却して、厚さ約185μm
の未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを85℃
に加熱された周速の異なる一対のロール間で縦方向に
3.4倍延伸して基材フィルムとした。
【0052】(積層フィルムの製造)得られた厚さ約5
0μmの基材(PET)フィルム上に、後記実施例に示
す割合で混合して固形分濃度4%に調整したコート液を
厚さ約10μmにコートし、次いで横方向に110℃の
温度で3.5倍に延伸し、導電性積層フィルムを得た。
【0053】(実施例1)前記のコート液をスルホン化
ポリアニリンとスルホン酸基含有共重合ポリエステルの
固形分比が20/80、さらに、界面活性剤エマルゲン
810(花王(株)製)をスルホン化ポリアニリンとの
比が5/100になるように添加し、前記積層フィルム
の製造法にしたがって導電性積層フィルムを製造した。
【0054】(実施例2)合成例1でジメチルテレフタ
レートを47モル%、ジメチルイソフタレートを48モ
ル%及び5−スルホイソフタル酸ナトリウムを5モル%
にし、かつ合成例2で硫酸水溶液の濃度を0.30モル
/リットルにする以外は実施例1と同様に行った。
【0055】(実施例3)スルホン化ポリアニリンとス
ルホン酸基含有共重合ポリエステルの固形分比を10/
90にし、かつ界面活性剤の添加比を30/100にす
る以外は実施例1と同様に行った。
【0056】(実施例4)合成例1と同様の塗布液で固
形分濃度を1%にし、既に2軸に延伸されたフィルムに
塗布し、160℃で1分間乾燥して、導電性積層フィル
ムを製造した。
【0057】(比較例1)コート液としてアニオン性帯
電防止剤ケミスタットSA−9(三洋化成工業(株)
製)を用い、実施例1と同様に積層フィルムを製造し
た。
【0058】(比較例2)コート液としてカチオン性帯
電防止剤ケミスタット6300−H(三洋化成工業
(株)製)を用い、実施例1と同様に積層フィルムを製
造した。
【0059】(比較例3)コート液としてアニオン性帯
電防止剤ケミスタットSA−9(三洋化成工業(株)
製)を用い、実施例4と同様に積層フィルムを製造し
た。
【0060】(比較例4)コート液としてカチオン牲帯
電防止剤ケミスタット6300−H(三洋化成工業
(株)製)を用い、実施例4と同様に積層フィルムを製
造した。
【0061】以上の積層フィルムの評価結果を表1に示
した。表1に示す様に、実施例は何れも低湿度雰囲気下
での表面抵抗値が低く充分な帯電防止性があり、かつ耐
熱性にも優れていた。一方、比較例1、3は耐熱性は良
好であったが低湿度雰囲気下での表面抵抗値が大きく帯
電防止性が不十分であった。また、比較例2、4は低湿
度では表面抵抗値がやや大きくなり帯電防止性が不十分
であり、耐熱性もなく、加熱後に透明性が低下した。
【0062】
【発明の効果】請求項1記載の導電性積層フィルムは、
耐熱性に優れ、温度依存性がなく、かつ、低湿度下でも
優れた帯電防止性を発揮する。
【0063】請求項2記載の導電性積層フィルムは、帯
電防止性及び制電性に温度依存性がなく、また、湿度依
存性も小さい。
【0064】請求項3記載の導電性積層フィルムは、導
電層を構成するコート剤の塗布性、延展性、導電層の硬
度の向上の点において優れている。
【0065】請求項4記載の導電性積層フィルムは、導
電層を構成するコート剤の塗布性、延展性、導電層の硬
度の向上の点においてとくに優れている。
【0066】請求項5記載の導電性積層フィルムは、高
度の透明性が維持されている。
【表1】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性フィルムの少なくとも片面に導
    電層を積層したフィルムにおいて、導電層の25℃、1
    5%RH雰囲気下での初期表面抵抗値が106〜1012
    Ω/□であり、250℃で1分間加熱後の導電層の表面
    抵抗値の変化率が5.0倍以内であることを特徴とする
    導電性積層フィルム。
  2. 【請求項2】 導電層が導電性高分子を含むことを特徴
    とする請求項1記載の導電性積層フィルム。
  3. 【請求項3】 導電性高分子がポリアニリンであること
    を特徴とする請求項2記載の導電性積層フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリアニリンがアルコキシ基置換アミノ
    ベンゼンスルホン酸を主成分とするスルホン化ポリアニ
    リンであることを特徴とする請求項3記載の導電性積層
    フィルム。
  5. 【請求項5】 光線透過率が80%以上であることを特
    徴とする請求項1、2、3又は4記載の導電性積層フィ
    ルム。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20030086784A (ko) * 2002-05-07 2003-11-12 우진물산 주식회사 방음 및 전자파차단 시트
US7413766B2 (en) 2003-04-21 2008-08-19 Nitto Denko Corporation Antistatic optical film, method for manufacturing the same and image viewing display
US8703297B2 (en) 2004-10-21 2014-04-22 Nitto Denko Corporation Charge-preventing optical film, charge-preventing adhesive optical film, manufacturing method thereof, and image display device
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WO2020116282A1 (ja) * 2018-12-05 2020-06-11 リンテック株式会社 保護膜形成用複合シート、及び半導体チップの製造方法

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