JP5724525B2 - 化粧シート及び化粧材 - Google Patents

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Description

本発明は、屋内に設置される構造物及び床面の艶消し装飾に適した化粧シート及びそれを用いた化粧材に関する。
従来、艶消し装飾に適した化粧シートとしては、例えば、最表面層に艶消しシリカを添加した化粧シートが知られている(特許文献1、2等)。しかしながら、艶消しシリカを用いる場合には、低艶化させることは可能であるが、低艶化するほど最表面層の白濁感が増すとともに耐候性、耐汚染性、耐摺動性等の物性が低下するという問題がある。
また、最表面層に凹凸賦型することにより白濁感及び物性の低下を生じさせることなく低艶化させることも提案されているが、この方法では、十分な低艶化は困難である。
従って、白濁感及び物性の低下を生じさせることなく、十分な低艶化が達成された化粧シートの開発が望まれている。
特開2004−167779号公報 特開2004−148632号公報
本発明は、白濁感及び物性の低下を生じさせることなく、十分な低艶化が達成された化粧シートを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、化粧シートの最表面層を特定のコーティング剤の硬化塗膜から形成する場合には、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及び化粧材に関する。
1.基材シート上に1又は2以上の層が積層された化粧シートであって、
前記化粧シートの最表面層は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してポリ(メタ)アクリル酸エステル4〜10重量部を含有し、且つ、艶消しフィラーを含有するコーティング剤の硬化塗膜である
ことを特徴とする化粧シート。
.前記電離放射線硬化型樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを含有する電離放射線硬化型樹脂である、上記項1に記載の化粧シート。
.前記コーティング剤は、耐擦過傷性フィラーを含有する、上記項1又は2に記載の化粧シート。
.前記基材シート上に絵柄模様層、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層されている、上記項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
.上記項1〜のいずれかに記載の化粧シートの裏面と被着材とを貼着してなる化粧材。
以下、本発明について詳細に説明する。
コーティング剤
本発明のコーティング剤は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してポリ(メタ)アクリル酸エステル1〜30重量部を含有し、且つ、艶消しフィラーを含有することを特徴とする。このコーティング剤の硬化塗膜を化粧シートの最表面層とすることにより、白濁感及び物性の低下を生じさせることなく、十分な低艶化を達成することができる。
電離放射線硬化型樹脂としては特に限定されず、紫外線、電子線等の電離放射線の照射により重合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に含むプレポリマー(オリゴマーを含む)及び/又はモノマーを主成分とする透明性樹脂が使用できる。これらのプレポリマー又はモノマーは、単体又は複数を混合して使用できる。硬化反応は、通常、架橋硬化反応である。
具体的には、前記プレポリマー又はモノマーとしては、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基等を有する化合物が挙げられる。また、ポリエンとポリチオールとの組み合わせによるポリエン/チオール系のプレポリマーも好ましい。ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基の意味である。
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーとしては、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのプレポリマーの中でも、ウレタン(メタ)アクリレートが好ましい。これらの分子量としては、通常250〜100000程度が好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有するモノマーとしては、例えば、単官能モノマーとして、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、多官能モノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ化合物等のエポキシ系樹脂、脂肪酸系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。また、チオールとしては、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等のポリチオールが挙げられる。ポリエンとしては、例えば、ジオール及びジイソシアネートによるポリウレタンの両端にアリルアルコールを付加したものが挙げられる。
コーティング剤は、上記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してポリ(メタ)アクリル酸エステル1〜30重量部を含有する。本発明では、ポリ(メタ)アクリル酸エステルは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーの単独重合体、2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸セカンダリーブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸イソボニル、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル酸エステルモノマーの中でもメタクリル酸メチルが好ましい。即ち、ポリ(メタ)アクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチルの単独重合体であるポリメタクリル酸メチルを用いることが好ましい。
2種以上の異なる(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体としては、上記例示された中から選ばれる2種以上の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体が例示される。該共重合体としても、メタクリル酸メチルをモノマーの主成分とするものが好ましい。即ち、メタクリル酸メチルと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体が好ましく、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ノルマルブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸セカンダリーブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸イソボニル、2−メチル−2−アダマンチルメタクリレート、2−エチル−2−アダマンチルメタクリレート等が挙げられる。これらの他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの中でもアクリル酸メチルが好ましい。なお、該共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
上記メタクリル酸メチルと他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーの共重合体においては、メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位が0.1〜200モルの範囲であることが好ましい。メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、他の(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位が上記範囲内であると、耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性が向上する。例えば、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルとの共重合体においては、メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、アクリル酸メチルに由来する構成単位が0.1〜10モルの範囲であることが好ましい。メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、アクリル酸メチルに由来する構成単位が上記範囲内であると、最表面層を形成した後の表面の耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性が特に向上する。以上の点から、メタクリル酸メチルに由来する構成単位100モルに対して、アクリル酸メチルに由来する構成単位は1〜9モルの範囲がより好ましい。
(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとの共重合体については、他のモノマーは、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと共重合可能であれば限定されないが、(メタ)アクリル酸、スチレン、(無水)マレイン酸、フマル酸、ジビニルベンゼン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ジフェニルエチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルアルコール、アクリロニトリル、アクリルアミド、ブタジエン、イソプレン、イソブテン、1−ブテン、2−ブテン、N−ビニル−2−ピロリドン、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン,ノルボルネン類等の脂環式オレフィンモノマー、ビニルカプロラクタム、シトラコン酸無水物、N−フェニルマレイミド等のマレイミド類、ビニルエーテル類等が挙げられる。これらの他のモノマーの中では、スチレン及び(無水)マレイン酸が共重合成分として好適である。即ち、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとスチレン又は(無水)マレイン酸の二元共重合体、(メタ)アクリル酸エステルモノマーとスチレン及び(無水)マレイン酸の三元共重合体が好適である。なお、(メタ)アクリル酸エステルモノマーと他のモノマーとの共重合体はランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステルモノマーと、スチレン及び/又は(無水)マレイン酸との共重合体においては、(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位100モルに対して、スチレン及び/又は(無水)マレイン酸に由来する構成単位が0.1〜200モルの範囲であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルモノマーに由来する構成単位100モルに対して、スチレン及び/又は(無水)マレイン酸に由来する構成単位が上記範囲内であると、やはり耐摩耗性、耐擦傷性、耐溶剤性が向上する。
本発明で用いるポリ(メタ)アクリル酸エステルは、重量平均分子量が5万〜10万の範囲であることが好ましい。なお、重量平均分子量とは、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の値である。GPCで用いる溶媒としては通常用いられるものを適宜選択して行うことができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)等が挙げられる。
ポリ(メタ)アクリル酸エステルの含有量は、上記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜30重量部であればよいが、4〜10重量部であれば好ましい。
コーティング剤は、上記電離放射線硬化型樹脂及びポリ(メタ)アクリル酸エステルに加えて、艶消しフィラーを含有する。
艶消しフィラーとしては、シリカなどの公知の無機粒子や有機顔料などが挙げられる。艶消しフィラーとしては、低コスト及び低比重の観点からシリカが好ましく、平均粒子径は1〜50μm程度が好ましい。かかる平均粒子径であればコーティング剤の保管性がよく、更に塗膜厚さ以下の平均粒子径であればコーティングの作業性の点でも好ましい。なお、上記平均粒子径は、レーザー回折法により測定した値であり、累積頻度50%に相当する粒径(D50)を意味する。
艶消しフィラーの細孔容量は1.0ml/g以上であり、1.0ml/g以上3.0ml/g以下が好ましい。かかる細孔容量を有することにより、光の乱反射効果が効率的に得られるため、良好な艶消し効果が得られる。また、艶消しフィラーがシリカの場合には、その見かけ比重は0.05g/cm以上0.4g/cm以下が好ましい。
艶消しフィラーの含有量は上記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜20重量部程度が好ましく、5〜20重量部程度がより好ましい。
コーティング剤には、必要に応じて、公知の添加剤を配合することができる。
添加剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤などの耐候剤をはじめ、耐擦過傷性フィラー等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤が好適である。これらの耐候剤の含有量は限定されないが、紫外線吸収剤・光安定剤ともに1000〜100000重量ppm程度とすればよい。特に本発明では、トリアジン系紫外線吸収剤及び/又はヒンダードアミン系光安定剤を用いることが好ましい。
耐擦過傷性フィラーとしては、シリカ、アルミナなどが挙げられる。平均粒子径は1〜50μm程度が好ましい。かかる平均粒子径であればコーティング剤の保管性がよく、更に塗膜厚さ以下の平均粒子径であればコーティングの作業性の点でも好ましい。耐擦過傷性フィラーの細孔容量は1.0ml/g未満であり、0ml/g以上1.0ml/g未満が好ましい。また、耐擦過傷性フィラーがシリカである場合の見かけ比重は、0.4g/cm超過2.2g/cm以下である。
耐擦過傷性フィラーの含有量は上記電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して1〜20重量部程度が好ましい。
本発明のコーティング剤は、上記成分を混合することにより調製できる。例えば、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、小型バッチミキサー、連続ミキサー、ミキシングロール等の公知の混練機を用いて混合する。
なお、必要に応じて溶剤(又は分散媒)を用いることができる。例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
コーティング剤の硬化塗膜
本発明のコーティング剤は、例えば、グラビアコート、ロールコート等の公知の塗工法によりフィルム状の塗膜を形成後、塗膜を硬化させることにより硬化塗膜となる。塗膜は、化粧シートの最表面層に直接形成してもよく、剥離可能な転写シート基材に積層して形成してもよい。塗膜を硬化させるためには、例えば、電離放射線を照射すればよい。
電離放射線硬化型樹脂を硬化させるために用いる電離放射線としては、電離放射線硬化型樹脂(組成物)中の分子を硬化反応させ得るエネルギーを有する電磁波又は荷電粒子が用いられる。通常は紫外線又は電子線を用いればよいが、可視光線、X線、イオン線等を用いてもよい。
紫外線源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常190〜380nmが好ましい。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、又は直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。その中でも、特に100〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーをもつ電子を照射できるものが好ましい。
硬化塗膜の厚さは特に限定されず、化粧シートの種類に応じて適宜設定できるが、通常0.1〜50μm、好ましくは1〜20μm程度である。
化粧シート
本発明の化粧シートは、上記コーティング剤の硬化塗膜を、化粧シートの最表面に位置する表面保護層として用いる。つまり、基材シート上に1又は2以上の層が積層された化粧シートの最表面層(表面保護層)として、上記コーティング剤の硬化塗膜を用いる。
化粧シートの具体的な層構成は限定的ではないが、例えば、
(1)基材シートに表面保護層を積層した構成、
(2)基材シートにプライマー層及び表面保護層を順に積層した構成、
(3)基材シートに絵柄模様層、プライマー層及び表面保護層を順に積層した構成、
(4)基材シートに透明性樹脂層、プライマー層及び表面保護層を順に積層した構成、
(5)基材シートに接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び表面保護層を順に積層した構成、
(6)基材シートに絵柄模様層、接着剤層、透明性樹脂層、プライマー層及び表面保護層を順に積層した構成、などが挙げられる。
以下、具体的な層構成の説明として、上記(6)の層構成を例示し、表面保護層以外の層について説明する。
(基材シート)
基材シートとしては限定的ではないが、樹脂成分としてポリオレフィン系樹脂を含む基材シートが好ましい。実質的には、ポリオレフィン系樹脂からなるシートを用いる。
ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
ポリプロピレンを主成分とする単独重合体又は共重合体も好ましく、例えば、ホモポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、及び、ポリプロピレン結晶部を有し、且つプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィンが挙げられる。その他、エチレン、ブテン−1、4−メチルペンテン−1、ヘキセン−1又はオクテン−1のコモノマーを15モル%以上含有するプロピレン−α−オレフィン共重合体等も好ましい。
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントにアイソタクチックポリプロピレン、ソフトセグメントにアタクチックポリプロピレンを重量比80:20で混合したものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム状にすればよい。
基材シートの厚みは特に限定されず、製品特性に応じて設定できるが、通常40〜150μm、好ましくは50〜100μm程度である。
基材シートには、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤(下記参照)などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
着色剤としては特に限定されず、顔料、染料等の公知の着色剤を使用できる。例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料;イソインドリノン、ハンザイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(染料も含む);アルミニウム、真鍮等の金属顔料;二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。基材シートの着色態様には、透明着色と不透明着色(隠蔽着色)があり、これらは任意に選択できる。例えば、被着材(化粧シートを貼着する基材、例えば木質基材等)の地色を着色隠蔽する場合には、不透明着色を選択すればよい。一方、被着材の地模様を目視できるようにする場合には、透明着色を選択すればよい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、プライマー層を設けてもよい。
プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートの片面又は両面に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜20g/m、好ましくは0.5〜10g/m程度である。
(絵柄模様層)
基材シートの上には、絵柄模様層を形成する。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用できる。これらの着色剤には、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等がさらに配合してもよい。
結着材樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は2種以上を混合して使用できる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、乾燥後の層厚は0.1〜20μm程度である。
(着色隠蔽層)
絵柄模様層の下地として又は絵柄模様層に代えて、着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、化粧シートのおもて面から被着材の地色を隠蔽したい場合に設けられる。基材シートが透明性である場合は勿論、基材シートが隠蔽着色されている場合でも、隠蔽性を安定化するために形成してもよい。
着色隠蔽層を形成するインクとしては、絵柄模様層を形成するインクであって隠蔽着色が可能なものが使用できる。
着色隠蔽層の形成方法は、基材シート全体を被覆(全面ベタ状)するように形成できる方法が好ましい。例えば、前記したロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等が好ましいものとして挙げられる。
着色隠蔽層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、乾燥後の層厚は0.1〜20μm程度である。
(透明性接着剤層)
絵柄模様層の上には、透明性接着剤層が形成されている。透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明性接着剤層は、絵柄模様層と透明性樹脂層とを接着するために形成されている。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。
化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂等が挙げられる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層は、例えば、接着剤を絵柄模様層上に(厳密には絵柄模様層を被覆するように基材シート上に)塗布し、乾燥後、透明性樹脂層を積層した後、硬化させることにより形成できる。乾燥温度・乾燥時間等の条件は特に限定されず、接着剤の種類に応じて適宜設定すればよい。接着剤の塗布方法は特に限定されず、例えば、ロールコート、カーテンフローコート、ワイヤーバーコート、リバースコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、エアーナイフコート、キスコート、ブレードコート、スムースコート、コンマコート等の方法が採用できる。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm、好ましくは1〜20μm程度である。
(透明性樹脂層)
透明性樹脂層は透明である限り着色されていてもよく、絵柄模様層が視認できる範囲内で半透明であってもよい。
上記樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等が挙げられる。上記の中でも、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂が好ましい。より好ましくは、立体規則性を有するポリオレフィン系樹脂である。ポリオレフィン系樹脂を用いる場合は、溶融ポリオレフィン系樹脂を押し出し法により透明性樹脂層を形成することが望ましい。
透明性樹脂層には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ラジカル捕捉剤、軟質成分(例えばゴム)等の各種の添加剤が含まれていても良い。
透明性樹脂層の厚みは特に限定されないが、一般的には10〜150μm程度とする。
透明性樹脂層の表面であって、表面保護層を形成する面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
(プライマー層)
透明性樹脂層の上には、表面保護層の形成を容易とするためのプライマー層を設ける。
プライマー層は、公知のプライマー剤を透明性樹脂層に塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜20g/m、好ましくは0.5〜10g/m程度である。
(エンボス加工)
上記透明性樹脂層の上に表面保護層(最表面層)としてコーティング剤の硬化塗膜を積層した後、表面保護層のおもて面にはエンボス加工を施してもよい。
エンボス加工方法は特に限定されず、例えば、透明性アクリル系樹脂層のおもて面を加熱軟化させてエンボス版により加圧・賦形後、冷却する方法が好ましい方法として挙げられる。エンボス加工には、公知の枚葉式又は輪転式のエンボス機が用いられる。凹凸形状としては、例えば、木目板導管溝、石板表面凹凸(花崗岩劈開面等)、布表面テクスチャア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝等がある。
化粧材
本発明の化粧シートは、各種被着材と接合することにより、化粧材とできる。被着材の材質は特に限定されず、例えば、無機非金属系、金属系、木質系、プラスチック系等の材質が挙げられる。
具体的には、無機非金属系では、例えば、抄造セメント、押出しセメント、スラグセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(ガラス繊維強化コンクリート)、パルプセメント、木片セメント、石綿セメント、硅酸カルシウム、石膏、石膏スラグ等の非陶磁器窯業系材料、土器、陶器、磁器、セッ器、硝子、琺瑯等のセラミックス材料などが挙げられる。
金属系では、例えば、鉄、アルミニウム、銅等の金属材料(金属鋼板)が挙げられる。
木質系では、例えば、杉、檜、樫、ラワン、チーク等からなる単板、合板、パーティクルボード、繊維板、集成材等が挙げられる。
プラスチック系では、例えば、ポリプロピレン、ABS樹脂、フェノール樹脂等の樹脂材料が挙げられる。
このような被着体の形状は特に限定されず、通常はフローリング等への設置を考慮して平板とすればよい。
被着材と接合後は、例えば、最終製品の特性に応じて、裁断、テノーナーを用いてサネ加工、V字形状の条溝付与、四辺の面取り等を施してもよい。
本発明のコーティング剤は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してポリ(メタ)アクリル酸エステル1〜30重量部を含有し、且つ、艶消しフィラーを含有することを特徴とする。このコーティング剤の硬化塗膜を化粧シートの最表面層とすることにより、白濁感及び物性の低下を生じさせることなく、十分な低艶化を達成することができる。
実施例及び比較例で作製した化粧シートの層構成を示す模式図である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1〜8及び比較例1〜5
(化粧シートの作製)
基材シートとして、透明ポリプロピレン樹脂シート(厚さ60μm)を用意した。
上記基材シートの表面及び裏面にコロナ放電処理を施した後、表面及び裏面にそれぞれプライマー剤を塗工してプライマー層(厚さ2μm)を形成した。プライマー剤は、樹脂組成物100質量部とヘキサメチレンジイソシアネート(硬化剤)5質量部との混合物であり、上記樹脂組成物は、アクリルウレタン共重合体、アクリルポリオール、トリアジン系紫外線吸収剤(5質量%)の混合物とした。
次に、表面のプライマー層上に木目絵柄模様層(厚さ2μm)を形成し、その上に透明性接着剤層(厚さ3μm)を形成した。透明性接着剤層上に透明性熱可塑性ポリオレフィンをTダイ押出し機により加熱溶融押出しし、透明性樹脂層(厚さ80μm)を形成した。
更に、透明性樹脂層上にプライマー層(2μm)を形成し、プライマー層上に下記表1に示す組成のコーティング剤をグラビアコート法にて塗工した(硬化後厚さ15μm)。
その後、酸素濃度100ppmの雰囲気下において、コーティング剤の塗膜に加速電圧175keV及び5Mrad(50kGy)の条件で電子線を照射して塗膜を架橋硬化させて表面保護層を形成した。
Figure 0005724525
艶消しフィラー:シリカ(平均粒子径11μm、細孔容量1.0ml/g、見かけ比重0.30g/ml)
耐擦過傷性フィラー:シリカ(平均粒子径3μm、細孔容量0.05ml/g、見かけ比重0.65g/ml)
(化粧シートの評価)
各化粧シートについて、意匠性(艶消し性)、意匠性(白濁性)、耐擦過傷性及び耐摺動性について調べた。各試験方法及び評価基準は下記の通りとした。
≪意匠性(艶消し性)≫
試験方法…村上色彩製グロス計(60°)を用いて最表面の光沢値を測定した。
評価基準…○:光沢値8未満、△:光沢値8以上10未満、×:光沢値10以上
≪意匠性(白濁性)≫
試験方法…サンプルの外観を目視にて観察し評価した。
評価基準…○:白濁していない、△:少し白濁している、×:明らかに白濁している
≪耐擦過傷性≫
試験方法…サンプル表面を荷重300g/cm2でスチールウール(#0000)を用い20往復擦り試験後の表面を目視にて観察し評価した。
評価基準…○:著しい外観変化無し、○△:艶変化有り、△:傷付き有り、×:著しい傷付き有り
≪耐摺動性≫
試験方法…サンプル表面を荷重300g/cm2でガーゼを用い1000往復擦り試験後の表面を目視にて観察し評価した。
評価基準…○:著しい外観変化無し、○△:若干艶変化有り、△:艶変化有り、×:著しい艶変化有り
1.プライマー層
2.基材シート
3.木目絵柄模様層
4.透明性接着剤層
5.透明性樹脂層
6.プライマー層
7.表面保護層

Claims (5)

  1. 基材シート上に1又は2以上の層が積層された化粧シートであって、
    前記化粧シートの最表面層は、電離放射線硬化型樹脂100重量部に対してポリ(メタ)アクリル酸エステル4〜10重量部を含有し、且つ、艶消しフィラーを含有するコーティング剤の硬化塗膜である
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記電離放射線硬化型樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを含有する電離放射線硬化型樹脂である、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 前記コーティング剤は、耐擦過傷性フィラーを含有する、請求項1又は2に記載の化粧シート。
  4. 前記基材シート上に絵柄模様層、透明性樹脂層及び表面保護層が順に積層されている、請求項1〜のいずれかに記載の化粧シート。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の化粧シートの裏面と被着材とを貼着してなる化粧材。
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