JP2006281596A - 化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 合板に紙質系基材を用いた化粧シートを貼付して得られる、平滑性に優れた高級感を有する化粧板を提供すること。
【解決手段】 基材上に、絵柄層及び/又は着色層と表面保護層を有する化粧シートであって、該基材が複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持される樹脂フィルムからなる化粧シートを合板に貼付した化粧板である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、合板に紙質系基材を用いた化粧シートを貼付して得られる、平滑性に優れた高級感を有する化粧板に関するものである。
従来から壁等の建築物内装材、扉等の建具や家具等の棚、表面材等の材料として、合板、もしくは木質系基材に絵柄や木目柄等の印刷を施した化粧シートを貼付した化粧板がよく用いられている。
合板はそれ自体の表面は粗いため、パテ剤等で合板表面を全面補修し、該合板表面に突板、紙等を接着して使用する(特許文献1参照)、もしくはパテ剤等で合板表面を全面補修し、サンディング処理をしてそのまま使用するのが一般的である。しかし、合板表面の平滑性を出すための上記処理には手間及び時間がかかっていた。
また、上記化粧板としては、例えば合板に木目柄の印刷を施した化粧シートを貼付した化粧板や、合板と中密度繊維板(MDF)を積層した積層体の板面に化粧シートを貼付した化粧板一般的に使用される。しかし、該化粧板の表面は、基板の繊維質に由来する凹凸形状が化粧シートに映るため、いかにも合板に化粧シートを張ったことが分かる質感となり、高級感を出すには十分ではないという問題があった。
特開平6−63905号公報
本発明の目的は、上記課題に対して、合板に紙質系基材を用いた化粧シートを貼付することで、平滑性に優れた高級感を有する化粧板を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、基材として複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持される樹脂フィルムからなる化粧シートを合板に貼付することによって、前記課題を解決し得ることを見出した。本発明はかかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に、絵柄層及び/又は着色層と表面保護層を有する化粧シートであって、該基材が複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持される樹脂フィルムからなる化粧シートを合板に貼付した化粧板、
(2)化粧シートが表面保護層を有し、該表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものである上記(1)に記載の化粧板、
(3)紙質系基材がJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.1:2000 A法により測定した値が18以上である上記(1)又は(2)に記載の化粧板、
(4)紙層を構成する複数の紙質系基材の坪量が、それぞれ18〜40g/m2である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の化粧板、
(5)基材のヤング率が800〜1400MPaである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の化粧板、
(6)樹脂フィルムがポリオレフィンフィルムである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の化粧板、
(7)ポリオレフィンフィルムが電子線の照射により架橋硬化する上記(6)に記載の化粧板、及び
(8)ポリオレフィンフィルムが高密度ポリエチレンである上記(7)に記載の化粧板、
を提供するものである。
本発明によれば、合板に紙質系基材を用いた化粧シートを貼付することで、平滑性に優れた高級感を有する化粧板を提供することができる。
本発明の化粧シートで用いる基材は、複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持される樹脂フィルム層からなることを特徴とする。本発明における基材は、少なくとも2層の紙質系基材からなる紙層で樹脂フィルムを挟んで一体化したものである。
紙層を構成する紙質系基材は、JAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.1:2000 A法(以下「ワックスピッキング法」という。)により測定した値が18以上であることが好ましい。
ワックスピッキング法により測定した値が18以上である紙質系基材は、一般に紙間強化紙といわれ、例えば、アクリルアミド樹脂等の合成樹脂を添加し、混抄させて紙間強度を強化した薄葉紙などが挙げられる。このワックスピッキング法により測定した値が18以上であると本発明の効果が十分に得られる。効果の点からは、さらに該値が20以上であることが好ましく、また、該値が32以上である含浸紙も好適に使用し得る。
また、それぞれの紙質系基材の坪量は、18〜40g/m2であることが好ましい。18g/m2以上であると、本発明の化粧シートを木質系基板等の基板に貼付する際に、木質系基板等の充分な遮蔽性を得ることができ、一方、40g/m2以下であると、成形曲げ時の追従性が良好である。
なお、少なくとも2層の紙質系基材は、それぞれ互いに同一種であっても異種であってもよいが、製造上は同一種であることが好ましい。
本発明で使用される樹脂フィルムとしては、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されないが、例えばポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができる。
特に、ポリオレフィンフィルムが形状追従性及び安定性、機械的特性の点から好ましい。ポリオレフィンフィルムとしては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、電子線の照射により架橋硬化する樹脂が好ましい。本発明の化粧シートにおいては、必要に応じて加えられる表面保護層(後に詳述する)として、電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものを用いており、これを電子線の照射により硬化させる際に、該ポリオレフィンフィルムも架橋硬化し、基材の強度をさらに高めることができる。
上記ポリオレフィンフィルムの具体例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)及び高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などのエチレン単独重合体樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)、エチレン−メチルアクリレート共重合体樹脂(EMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体樹脂(EEA)、エチレンと炭素数3〜5のアルキルアクリレートとの共重合体樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体樹脂(EMMA)、エチレン−プロピレン共重合体樹脂などのポリエチレン系共重合体樹脂;ホモ又は共重合ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレンなどのプロピレン系共重合体樹脂、また、これらの樹脂の混合物等が挙げられる。これらうち、高密度ポリエチレンが電子線照射により充分な架橋強度が得られる点から最も好ましい。なお、ここで高密度ポリエチレンとは、密度が0.941g/cm3以上のポリエチレンをいう。
上記ポリオレフィンフィルムの厚みとしては、本発明の効果が得られる範囲であれば特に限定されないが、通常、15〜30μmの範囲である。15μm以上であると、基材に十分な強度を与えることができ、一方、30μm以下であると成形曲げ時の追従性及び安定性が良好である。
本発明の基材は、ヤング率が800〜1400MPaの範囲であることが好ましい。ヤング率が800MPa以上であると、基材として十分な強度があり、例えば過酷な使用態様となる真空プレス積層成形に用いたとしても破れることがない。一方ヤング率が1400MPa以下であると、木質系基板等に本発明の化粧シートを平面張りする場合に、基板の繊維質に由来する凹凸形状が化粧シートに映ることを抑制することができ、良好な表面平滑性を得ることができる。以上の観点から、ヤング率は、800〜1200MPaの範囲であることがさらに好ましい。
本発明の基材は、上述のようにポリオレフィンフィルムを紙質系基材で構成される紙層で挟んで一体化したものである。該基材の製造方法については、特に限定されず種々の方法を用いることができ、例えば、ポリオレフィンフィルムと紙質系基材を接着剤にて貼着させる方法、ポリオレフィンフィルムと紙質系基材を熱によって融着させる方法、2枚の紙質系基材にエクストルージョンラミネート法により、ポリオレフィンフィルムを溶融押出しすると同時にラミネートする方法などがあり、ポリオレフィンフィルムの種類によって適宜選択される。
これらのうち、エクストルージョンラミネート法が、工程が少なくてすみ効率的である。
以下、本発明の化粧板の構成について、図1を用いて具体的に説明する。図1は本発明の化粧板1の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基板9上に接着剤層7を介して化粧シート8が貼付されており、化粧シート8は、基材2上に全面を被覆する一様均一な着色層3、絵柄層4、プライマー層5、及び表面保護層6がこの順に積層されたものである。
図1に示される基材2については、紙質系基材21及び23と、該紙質系基材に挟持される樹脂フィルム22からなる。
図1に示される全面にわたって被覆される一様均一な着色層3は、本発明の化粧材の意匠性を高める目的で所望により設けられる、隠蔽層、あるいは全面ベタ層とも称されるものであり、基材2の表面に意図した色彩を与えるものである。通常不透明色で形成することが多いが、着色透明色で形成し、下地が持っている模様を活かす場合もある。基材2が白色であることを活かす場合や、基材2自身が適切に着色されている場合には着色層3の形成を行う必要はない。
着色層の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層3は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
図1に示される絵柄層4は基材2に必要に応じて装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。絵柄層4に用いる絵柄インキとしては、着色層3に用いるインキと同様のものを用いることができる。
図1に示されるプライマー層5は、所望により設けられる層であって、表面保護層6を構成する電子線硬化性樹脂が、紙質系基材23中に浸透することを抑制する機能を持つものである。また、基材2上にある着色層3、絵柄層4等の表面をならし、表面保護層6との接着性を高める機能を併せて果たすものである。
次に、表面保護層6は上述のように電子線硬化性樹脂組成物が架橋硬化したもので構成される層であり、必要に応じて積層されるものである。ここで、電子線硬化性樹脂組成物とは、電子線を照射することにより、架橋、硬化する樹脂組成物を指す。具体的には、従来電子線硬化性樹脂組成物として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、中でも多官能性(メタ)アクリレートが好ましい。なお、ここで「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、前記多官能性(メタ)アクリレートとともに、その粘度を低下させるなどの目的で、単官能性(メタ)アクリレートを、本発明の目的を損なわない範囲で適宜併用することができる。単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばエポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。ここで、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性オリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマー、あるいはノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、脂肪族ビニルエーテル、芳香族ビニルエーテル等の分子中にカチオン重合性官能基を有するオリゴマーなどがある。
本発明における電子線硬化性樹脂組成物には、表面の鏡面性及びマジック消去性を付与するため、シリコーン系の添加剤を添加することができる。これは基材として、紙質系の基材を用いているためである。すなわち、例えば本発明の化粧シートをロール状にして保管する場合に、表面保護層に接するのが紙質系基材であるため、シリコーンが該紙質系基材に一部移行しても、後述する真空プレス積層成形方法等により成形した後の剥離の問題がない。これに対し、基材の強度のみを求めて、基材としてプラスチック性の基材を用いた場合には、上述のようなシリコーンの移行のために成形後の剥離の問題が生じる。
シリコーン系の添加剤としては、特に限定されるものではないが、単官能又は二官能以上のシリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。
また本発明における電子線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤を配合することができる。この添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、着色剤などが挙げられる。
本発明においては、前記の電子線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電子線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。この塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
本発明においては、このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電子線の加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定される。電子線の加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、紙質系基材の電子線により劣化を考慮して、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。具体的には、加速電圧30〜300kVの範囲で選定される。
また、照射線量に関しては、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜100kGy、さらには30〜50kGyの範囲で選定される。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
本発明の化粧板は、合板に化粧シートを貼着して得られる。具体的には、図1に示すように、基板9に接着剤層7を介して化粧シート8を貼着し、化粧板1を得るものである。
合板は、複数枚の木材を薄くむいた板、単板を重ねて接着剤で貼り合わせた木材加工品である。一般に合板は、奇数枚の単板を繊維方向が直行するように組合せるが、該繊維方向が平行となるような平行合板も使用される。
本発明で使用される合板は、各種用途に使用できる強度を有すれば、特に制限されることはないが、該合板に化粧シートを貼着する観点より、表面に化粧等を目的としたポリエステル樹脂、メラミン樹脂、塩化ビニル樹脂等によるオーバーレイ加工及び塗装等の表面処理をせずに、単板をはり合わせただけで表面が木地のままの普通合板が好ましい。
本発明に用いる単板としては、大きく針葉樹と広葉樹の2種類に分類される.針葉樹としては、アルマシガ、ブラジリアンパイン等の南洋すぎ科材、ベイヒ、ヒバ等のヒノキ科材、トドマツ、アカマツ、ツガ、ダグラスファー等のマツ科材のほか、マキ科材、イチイ科材、スギ科材等があげられる。一方、広葉樹としては、アピトン、クルイン、ラワン等のフタバガキ材、のほか、カエデ科材、ウルシ科材、バンレイシ科材、キョウチクトウカ科材、ウコギ科材、カバノキ科材、パンヤ科材、ムラサキ科材、カンラン科材、ツゲ科材、モクマオウ科材、ニシキギ科材、カツラ科材、シクンシ科材、キク科材、ミズキ科材、クノニア科材、ダチスク科材、ビワモドキ科材、カキ科材、ツツジ科材、ブナ科材、トチノキ科材、クルミ科材、クスノキ科材、マメ科材、センダン科材、クワ科材、フトモノ科材、ヤマモガシ科材、アカネ科材、ヤナギ科材、アカテツ科材、アオギリ科材、ツバキ科材、シナノキ科材、ニレ科材当が挙げられる。
これらは単独であるいは2種以上の材を組み合わせて複合合板として使用することもできる。
本発明の化粧板は、接着剤を介して毎葉ごとにあるいは連続して化粧シートが載置された基板を、コールドプレス、ホットプレス、ロールプレス、ラミネーター、ラッピング、縁貼り機等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シートを基板表面に接着して得られる。
接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤には、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
また、本発明の化粧板は、真空プレス積層成形して得ることができる。真空プレス等の貼着装置を用いて圧締して、化粧シートを基板表面に接着し、化粧板とする。本発明の化粧シートは、基材の強度が高く、形状追従性に優れるので、真空プレス積層成形においても破れることがない。そのため、紙質系基材の持つ意匠感を、真空プレス積層成形であっても達成することができる。
以上のようにして製造される化粧板は、また、該化粧板を任意切断し、表面や木口部にルーター、カッター等の切削加工機を用いて溝加工、面取加工等の任意加飾を施すことができる。そして種々の用途、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装または外装材、窓枠、扉、手すり、幅木、廻り縁、モール等の建具の表面化粧板、キッチン、家具又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板、車両の内装、外装等に用いることができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)ヤング率
ヤング率Eは、試料片に荷重をかけた際の伸びから、以下の式により求めた。
E=(W×L)/(A×Δt)
ここで、Wは荷重(kg)、Lは試験前の標線間距離(cm)、Aは試験片の断面積、及びΔtは荷重Wにおける標線間距離(cm)である。また、使用した試料の形状は、試料長さ3.5cm、試料幅0.65cmとした。
(2)表面平滑性
実施例及び比較例にて得られた化粧板の表面平滑性(凹凸感)の評価を、目視にて行った。
実施例1
(1)基材の製造
坪数23g/m2の紙間強化紙21(ワックスピッキング法により測定した値が20)と坪数30g/m2の紙間強化紙23(ワックスピッキング法により測定した値が20)との間に、高密度ポリエチレン22(密度;0.95g/cm3)をポリエチレンフィルムの厚さが40μmとなるように挟持させ、エクストルージョンラミネート法により、3層構造の基材を得た。基材全体の厚さは100μmであった。また、上記方法によりヤング率を測定したところ、845MPaであった。
(2)化粧シートの製造
上記方法で製造した基材2の片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量20g/m2の(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色層3とした。次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン系樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、塗工量3g/m2で全面にグラビア印刷してプライマー層5を形成した。
このプライマー層5の上に3官能アクリレートモノマーであるエチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリアクリレートを60質量部と6官能アクリレートモノマーであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを40質量部、平均粒子径5μmのシリカ粒子2質量部及びシリコーンアクリレートプレポリマー1質量部からなる電子線硬化性樹脂組成物を塗工量5g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて、表面保護層6とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
(3)化粧板の製造
上記化粧シートと基板である合板とを中央理化(株)製の水性エマルジョンであるエチレン・酢酸ビニル系接着剤「BA−820」で合板に塗布量60g/m2(wet)の条件で塗工して形成した接着剤層を介して接着し、化粧板を得た。
得られた化粧板の表面は平滑性に優れており、高級感のある化粧板を製造することができた。
実施例2
2枚の坪量23g/m2の紙間強化紙21及び23(いずれもワックスピッキング法により測定した値が20)との間に、高密度ポリエチレン22(密度;0.95g/cm3)を、ポリエチレンフィルムの厚さが25μmとなるように挟持させ、エクストルージョンラミネート法により、3層構造の基材を得たこと以外は実施例1と同様にして化粧シートを得た。基材全体の厚さは74μmであった。また、上記方法によりヤング率を測定したところ、1179MPaであった。
実施例1と同様に成形加工を行ったところ、化粧板の表面は平滑性に優れており、高級感のある化粧板を製造することができた。
実施例3
ポリエチレンフィルムの厚さを15μmとしたこと以外は、実施例2と同様にして化粧シートを得た。基材全体の厚さは66μmであった。また、上記方法によりヤング率を測定したところ、1338MPaであった。
実施例1と同様に成形加工を行ったところ、基材の細かな凹凸を反映して表面の平滑性が多少劣るものの、軽微なものであり、高級感のある化粧板を製造することができた。
比較例1
基材として、坪量30g/m2、ヤング率7000MPaの紙間強化紙(ワックスピッキング法により測定した値が20)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、化粧板を製造し、同様に評価した。
得られた化粧板の表面は基板の繊維質に由来する凹凸形状が現れることで、表面の平滑性に劣り、高級感を著しく損なう化粧板となった。
本発明によれば、紙質系基材を用いた化粧シートを合板に貼付することで、平滑性に優れた高級感を有する化粧板を、さらに該化粧シートに電子線硬化性樹脂組成物による表面保護層を付与することで耐汚染性及び耐摩耗性などの表面物性に優れた化粧材を得ることができ、壁等の建築物内装材、扉等の建具や家具等の棚、表面材等の用途に好適に用いられる。
本発明の化粧板の断面を示す模式図である。
符号の説明
1.化粧板
2.基材
21.紙質系基材
22.樹脂フィルム
23.紙質系基材
3.着色層
4.絵柄層
5.プライマー層
6.表面保護層
7.接着剤層
8.化粧シート
9.基板

Claims (8)

  1. 基材上に、絵柄層及び/又は着色層と表面保護層を有する化粧シートであって、該基材が複数の紙質系基材からなる紙層と該紙層に挟持される樹脂フィルムからなる化粧シートを合板に貼付した化粧板。
  2. 化粧シートが表面保護層を有し、該表面保護層が電子線硬化性樹脂組成物の架橋硬化したものである請求項1に記載の化粧板。
  3. 紙質系基材がJAPAN TAPPI紙パルプ試験方法 No.1:2000 A法により測定した値が18以上である請求項1又は2に記載の化粧板。
  4. 紙層を構成する複数の紙質系基材の坪量が、それぞれ18〜40g/m2である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板。
  5. 基材のヤング率が800〜1400MPaである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板。
  6. 樹脂フィルムがポリオレフィンフィルムである請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板。
  7. ポリオレフィンフィルムが電子線の照射により架橋硬化する請求項6に記載の化粧板。
  8. ポリオレフィンフィルムが高密度ポリエチレンである請求項7に記載の化粧板。

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