JP7173823B2 - 触感を有する印刷物の印刷方法及び印刷物 - Google Patents
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Description
しかし、ビーズ類の粒径が大きすぎるとグラビア版ではドクターでニス中のビーズ類がかきとられてしまい、塗膜中にビーズ類が残らない為に充分な触感が得られない傾向にあり、グラビア印刷方式で印刷する場合の困難さがあるのが現状である。
更に、手触りによる触感を付与する事ができても、印刷後の例えば印刷物の断裁、容器への立体成型等の後加工において耐摩耗性が弱く、実用性に欠けるものも少なくない。
こういった中、艶消し被覆組成物の検討がなされている(例えば、特許文献1)。
しかし、特許文献1は熱硬化型及び電子放射線硬化型の化粧材に関する発明である。
従って、手で触ったときの凹凸による触感に加えて、耐傷性、耐摩耗性等の特性を兼備した低温加熱乾燥処理する一般的なグラビア印刷方式による手法の確立が望まれる。
前記樹脂ビーズの直径μmと、ニス(A)の膜厚μmと、ニス(B)の膜厚μmと、グラビア版の版深μmとの関係が特定の数値範囲であることを特徴とする、触感を有する印刷物の印刷方法を見出した。
前記樹脂ビーズの直径μmと、ニス(A)の膜厚μmと、ニス(B)の膜厚μmと、グラビア版の版深μmとが、式(1)で算出される値が3~20の範囲であり、式(2)で算出される値が0.15~1.1の範囲であることを特徴とする触感を有する印刷物の印刷方法。
ニス(A)は主に基材と密着しその印刷物に触感を付与する塗膜を形成するものであり、ニス(B)は主にニス(A)により形成された塗膜、及びニス(A)に含まれる樹脂ビーズと密着し、ニス(A)が形成する塗膜をニス(B)が形成する塗膜が全面的に覆う事で、印刷物の傷防止を目的とするものである。
前記版深は、直接ニス(A)、(B)各々が形成する膜厚に影響するからである。
また、傷防止を付与するニス(B)の版深が必要以上に深くても、触感を付与するニス(A)の塗膜表面から一部分を飛び出した樹脂ビーズをすっかり覆い隠してしまい手触り感が得られ難い。
一方で、触感を付与するニス(A)の版深が極端に浅く、使用する樹脂ビーズの直径サイズが版深と同等か版深より大きい場合、印刷時にグラビア版のセル中に樹脂ビーズが充填される事なくドクターにより掻きとられる傾向にあり、ニス(A)の塗膜中に樹脂ビーズが残らない為に結果的に手触り感が得られ難い。
また、傷防止を付与するニス(B)の版深が必要以上に浅くても、ニス(A)の塗膜中の樹脂ビーズがニス(B)の塗膜表面を突き抜けて印刷物表面に現れ易くなる事から、樹脂ビーズが突起となって印刷物の耐傷性が低下する傾向と成り易い。
前記樹脂ビーズの直径μmと、ニス(A)の膜厚μmと、ニス(B)の膜厚μmと、グラビア版の版深μmとが、式(1)で算出される値が3~20の範囲であり、式(2)で算出される値が0.15~1.1の範囲
とする事により、ニス(A)中の樹脂ビーズが印刷時のドクターに掻き出される事なく、印刷表面に適度の突起を形成し、手触りによる凹凸の触感を持ちながら、耐傷性、耐摩耗性を保持する事が出来るものである。また、樹脂ビーズの素材、サイズ、添加量を好適に選択する事により、見た目の透明性をも制御する事ができるものである。
尚、前記樹脂ビーズの直径とは、その平均粒子径に基付くものであり、真球状の樹脂ビーズである事がより好ましい。
平均粒子径の測定は電子顕微鏡(SEM等)による観察を行い、樹脂ビーズが真球状の場合はその直径を、ビーズがレンズ状または略球状の場合は最長径(観察視野またはその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最長距離)および最短径(観察視野またはその写真上で、個々のビーズを平行な2本の線分で挟み込んだときの最短距離)を求め、その算術平均値をそのビーズの平均直径としてよい。さらにビーズ20個についての直径または平均直径を算術平均し、その値を平均粒子径としてよい。
ニス(A)を構成するバインダー樹脂としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、セルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく用いられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。
また、多価アミン類などの鎖伸長剤又は架橋剤で、架橋又は変性されていてもよく、例えば、多価アミン類によって変性されたポリウレタンポリ尿素樹脂であってもよい。
本発明における(メタ)アクリル酸とはアクリル酸及びそれに対応するメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート及びそれに対応するメタクリレートを意味する。
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸オリゴエチレンオキシド、(メタ)アクリル酸オリゴプロピレンオキシド、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
中でも、メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体が形成する塗膜は固く、表面がさらっとしていてよく滑る仕上がりとなり好適である。
前記(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量として15,000~100,000が好ましく、更に好ましくは20,000~70,000の範囲である。
前記沈降防止剤の添加量としては、固形分比率でニス(A)全量の5~11質量%が好ましい。
また、必要に応じてワックス、可塑剤等を添加してもよい。
ニス(B)を構成するバインダー樹脂としては、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、セルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂からなる群から選ばれる1種以上が好ましく用いられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数組み合わせて使用してもよい。
前記した様に、本発明の触感を有する印刷物の印刷方法では、ニス(A)中の樹脂ビーズが印刷時のドクターに掻き出される事なく、印刷表面に適度の突起を形成し、手触りによる触感を発現させる。仕上がった印刷物表面に樹脂ビーズにより生ずる僅かな凹凸を形成する事から、この僅かな凹凸が擦り傷を生じない様に表面を滑らせ、傷が生じ難くする目的で前記ニス(B)に滑剤を用いる。
前記滑剤としては、シリコン、各種ワックス類等が挙げられ、中でもシリコン、又はテフロンワックスが好ましい。
前記シリコンの添加量としては、固形分比率でニス(B)全量の0.5~2.5質量%が好ましい。0.5質量%以上であれば、滑性が確保でき印刷物表面から樹脂ビーズの剥離を抑制でき、2.5質量%以下であれば、耐磨耗性の低下を抑制できる傾向となり好ましい。
前記テフロンワックスの添加量としては、固形分比率でニス(B)全量の1質量%以下である事が好ましい。1質量%を超えると泡立ちが顕著となる傾向にある。これら滑剤は単独でも、複数組み合わせて使用してもよく、滑剤の添加量の総量としては、固形分比率でニス(B)全量の1~15質量%が好ましい。
また、耐摩耗性の低下を懸念してシリカの添加量を抑えてマット感を保持する目的で、体質顔料を併用してもよい。
前記無機微粒子は、固形分比率でニス(B)全量の10~50質量%が好ましい。
また、基材としてプラスチックフィルムも好適であり、前記プラスチックフィルムとしてはポリプロピレン(PP)が中心となり使用されているが、特に限定は無く、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリ(エチレンサクシネート)、ポリ(ブチレンサクシネート)等の脂肪族ポリエステル系樹脂に代表される生分解性樹脂、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。
これらのフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでも良く、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
また、フィルムの印刷面には、コロナ放電処理がされていれば更に基材密着性を向上させる事ができ好ましい。また、シリカ、アルミナ等が蒸着されていてもよい。
また印刷方法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷などの既知の版を使用する印刷方式で印刷できるが、特にグラビア版を用いたグラビア印刷方式で印刷することが好ましい。グラビア印刷に用いられるシリンダーは、彫刻タイプ、腐食タイプ等公知のものが用いられる。
尚、本発明の触感を有する印刷物の印刷方法に使用する前記ニス(A)、ニス(B)は通常グラビア印刷された直後に40℃~80℃の乾燥炉にて乾燥される事が好ましい。
尚、本発明におけるGPCによる数平均分子量、及び重量平均分子量(ポリスチレン換算)の測定は東ソー(株)社製HLC8220システムを用い以下の条件で行った。
分離カラム:東ソー(株)製TSKgelGMHHR-Nを4本使用。カラム温度:40℃。移動層:和光純薬工業(株)製テトラヒドロフラン。流速:1.0ml/分。試料濃度:1.0重量%。試料注入量:100マイクロリットル。検出器:示差屈折計。
また、樹脂ビーズの平均粒子径は、平均粒子径測定法として日立製作所製操作型電子顕微鏡S-3400Nを用いて測定した度数分布の状況から算出した。
ガラス転移温度(Tg)の測定は、示差雰囲気下、冷却装置を用い温度範囲-80~450℃、昇温温度10℃/分の条件下、DMA法で実施した。
。
バインダー樹脂として、ソルバインA(塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、樹脂モノマー組成が質量%で塩化ビニル/酢酸ビニル/ビニルアルコール=92/3/5、数平均分子量35,000、ガラス転移温度76℃、日信化学工業株式会社製)を酢酸エチルで固形分25%溶液とし、これをニスベースIとした。
バインダー樹脂として、CAB381-0.1(セルロースアセテートブチレート、アセチル含量13.5%、ブチリル含量38%、ヒドロキシル含量1.3%、数平均分子量20,000、ガラス転移温度123℃、イーストマンケミカル社製)を溶剤酢酸エチルで固形分20%溶液とし、これをニスベースII-aとした。
バインダー樹脂として、CAB482-0.5(セルロースアセテートブチレート、アセチル含量13.5%、ブチリル含量38%、ヒドロキシル含量1.3%、数平均分子量30,000、ガラス転移温度130℃、イーストマンケミカル社製)を溶剤酢酸エチルで固形分20%溶液とし、これをニスベースII-bとした。
バインダー樹脂として、工業用硝化綿DHL120-170(硝化綿、不揮発分70%、JIS規格H20相当品、Nobel NC社製)と工業用硝化綿DLX8-13(硝化綿、不揮発分70%、JIS規格L1/4相当品、Nobel NC社製)を質量比率1:1に対して溶剤酢酸エチル/イソプロピルアルコール=質量比40/60で固形分29%溶液として、これをニスベースIIIとした。
バインダー樹脂として、ニューマイド838(ポリアミド樹脂、アミン価:1.2、軟化点:132℃、ハリマ化成株式会社製)とサンマイド563(脂肪族ポリアミド樹脂、アミン価:2、軟化点:110℃、エアプロダツクアンドケミカルズ社製)を質量比率1:1に対して溶剤メチルシクロヘキサン/メタノール/エチルアルコール=質量比60/18/22で固形分38%溶液として、これをニスベースIVとした。
バインダー樹脂として、バーノックECL-201(固形分40%、溶剤酢酸エチル/イソプロピルアルコール=質量比66.7/33.3 ポリウレタンポリ尿素樹脂、DIC株式会社製)をニスベースVとした。
バインダー樹脂としてアクリディックWCL-476(メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体、固形分40%、溶剤酢酸プロピル/ノルマルプロピルアルコール=質量比1/1 Tg=75℃、重量平均分子量:27,000 DIC株式会社製)をニスベースVIとした。
表1、2に示す配合に従って、ミキサーを使用して25℃で十分攪拌しニス(a1)~ニス(a12)を作製した。
樹脂ビーズとしては、下記6種類を使用した。
ビーズE:アートパールC400透明タイプ(真球状架橋ウレタン樹脂ビーズ、平均粒子径14μm、ガラス転移点-13℃、屈折率1.51、透明タイプ、根上工業株株式会社製)
ビーズF:アートパールC300透明タイプ(真球状架橋ウレタン樹脂ビーズ、平均粒子径21μm、ガラス転移点-13℃、屈折率1.51、透明タイプ、根上工業株株式会社製)
ビーズG:テクポリマーARX-30(真球状架橋ポリアクリル酸エステル樹脂ビーズ、平均粒子径30μm、真比重1.10、屈折率1.49、積水化成品工業株式会社製)
ビーズH:Texture5378(ポリエチレンビーズ、平均粒子径50μm、シャムロック・テクノロジー社製)
ビースI:テクポリマーSBX-4(スチレンジビニルベンゼン共重合体樹脂ビーズ、平均粒子径4μm、真比重1.06、屈折率1.59、積水化成品工業株式会社製)
ビーズJ:タフチックAR650ML(架橋(メタ)アクリル樹脂ビーズ、主成分ポリメタクリル酸メチル、平均粒子径80μm、東洋紡株式会社製)
ビーズK:エポスターMS(ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合樹脂ビーズ、
真比重1.4、屈折率1.66、平均粒子径3μm、株式会社日本触媒社製)
尚、表中の脂肪酸アマイド(沈降防止剤)としてはディスパロンPFA-220(脂肪酸アマイド固形分20%含むワックス、楠本化学株式会社製)、ワックスとしてはハイワックス220MP(ポリエチレンワックス、三井化学株式会社製)、可塑剤としてはエポサイザーW-100-EL(エポキシ化大豆油 DIC株式会社製)を使用した。
表中の数値は質量基準による部数、又は質量%を示す。
表3に示す配合に従って、ミキサーを用いて25℃で十分攪拌しニス(n1)~ニス(n4)を作製した。
表3に示す、シリコーン化合物、ワックス、可塑剤、シリカ、体質顔料、及びチタンキレートの詳細は下記の通りである。
シリコーン化合物:シリコンKP359 変性シリコーンオイル、信越化学(株)社製
ワックス:ミツイハイワックス220MP ポリエチレンワックス、三井化学(株)製
可塑剤:エポサイザーW100EL エポキシ化大豆油、酸価0.5KOHmg/g DIC(株)社製
シリカ:サイリシア350 二酸化ケイ素、富士シリシア化学(株)社製
体質顔料:沈降性硫酸バリウム100、堺化学(株)社製
チタンキレート:オルガチックスTC-400 チタンテトラアセチルアセトネート
マツモトファインケミカル社製
表4、5に示す各々のニス(A)、ニス(B)について、各々下記のレジューサーを用いて各々所定の粘度に調整した。
ニスa1~a3、n1については、ダイレジューサーV No.20(酢酸エチル/トルエン/メチルエチルケトン=質量比40/35/25、DICグラフィックス(株)社製)を追加溶剤として25℃にてザーンカップ#3で、実施例1、2は20秒となる様に調整し、実施例3については25秒になる様に調整し、n1については30秒になる様に調整した。
ニスa4、a7~a11、n3~4については、ダイレジューサーPA No.20(トルエン/酢酸エチル/イソプロピルアルコール=質量比58/12/30、DICグラフィックス(株)社製)を用いて同様の要領にてニスの粘度を調整した。
ニスa5については、ファインラップVAレジューサー(酢酸プロピル/メチルエチルケトン/酢酸エチル/エチルグリコールモノノルマルプロピルエーテル=質量比45/30/20/5、DICグラフィックス(株)社製)を用いて同様の要領にてニスの粘度を調整した。
ニスa6については、ユニビアNTレジューサーNo.3K(酢酸プロピル/メチルエチルケトン/酢酸エチル/イソプロピルアルコール=質量比49/32/9/10、DICグラフィックス(株)社製)を用いて同様の要領にてニスの粘度を調整した。
ニスn4については、ファインラップPS 傷防止用レジューサーK(酢酸エチル/酢酸プロピル/イソプロピルアルコール=質量比20/15/65、DICグラフィックス(株)社製)を用いて同様の要領にてニスの粘度を調整した。
a12については、アクリディックWCL-476(メチルメタクリレート-ブチルメタクリレート共重合体、固形分40%、酢酸プロピル/ノルマルプロピルアルコール=質量比1/1)DIC(株)社製を原液のまま使用した。
版深40μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機(DICエンジニアリング株式会社製)により、二軸延伸ポリプロピレンフィルムV(以下、OPPフィルム、東洋紡績株式会社製 P2161 厚さ20μm)のコロナ処理面側に、まずニス(A)としてa1ニスを印刷した後、次いでインラインにて版深22μmのグラビア版にてn1を印刷した後、24時間保管し印刷物を完成させた。
実施例2、3についてはニス(A)としてのa2ニス、a3ニスを版深45μmのグラビア版を用いた他は、表4、5に従って実施例1と同様の手順にて印刷物を作製した。
(印刷物の評価方法1:手触りによる触感)
本発明の触感を有する印刷物の印刷方法で作製した印刷物表面の手触りによる凹凸の触感の評価として、被験者は、本研究と関係の無い従業員10名へのアンケート調査による評価方法を用いた。被験者は塗工面を手、指で触り、その「凹凸による触感」を10人中何人感じたか集計をとり、これを評価基準とした。
○:10人中8人以上が手触りによる触感を感じた。
×:10人中手触りによる触感を感じた者が2人以下であった。
得られた印刷物表面を、爪でニス塗工面を引掻き、塗膜の傷つき程度から
耐スクラッチ性を目視評価した。実用レベルは3以上である。
5:傷が全く生じない
4:僅かに傷を生じる
3:4と2の中位の傷を生ずる
2:傷を生じる
1:著しく傷が生じ、ニス塗膜が剥がれる現象が見らえる
得られた印刷物表面を学振型耐摩擦性試験機にて、上質紙を用いて荷重200gで往復100回摩擦し、ニス層の剥離度合いを目視判定した。
実用レベルは3以上である。
5:ニス塗膜が全く剥離しない
4:ニス塗膜がフィルムから面積比率で全体の15%未満の範囲で剥離する
3:ニス塗膜がフィルムから面積比率で全体の15%以上、30%未満の範囲で
剥離する
2:ニス塗膜がフィルムから面積比率で全体の30%以上、50%未満の範囲で
剥離する
1:ニス塗膜がフィルムから面積比率で全体の50%以上の範囲で剥離する
ニス(A)、(B)の印刷に使用したグラビア版の版深、及び各膜厚(μm)、
式(1)、式(2)による計算結果、及び各印刷物の評価結果を示す。
尚、ニス(A)、(B)による各膜厚はデジタルマイクロスコープ電子顕微鏡で実測した平均値である。
Claims (4)
- 前記樹脂ビーズの直径が5~40μmである請求項1に記載の、触感を有する印刷物の印刷方法。
- 前記ニス(A)が含有するバインダー樹脂が、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂、硝化綿、セルロースエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、及び(メタ)アクリル樹脂から成る群から選ばれる何れか1つ以上である請求項1又は2に記載の触感を有する印刷物の印刷方法。
- 請求項1~3の何れか1つに記載の触感を有する印刷物の印刷方法で得た印刷物。
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