JP7263487B1 - プライマー組成物、キット、積層体及び粘着テープ - Google Patents
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Abstract
Description
基材フィルムと粘着層との密着性を高める目的で、基材フィルムの粘着層が設けられる側の表面にプライマー処理を施して、基材フィルムの表面にプライマー層を設ける場合がある。
プライマー処理に用いられるプライマー組成物として、例えば特許文献1には、高分子バインダー成分と平均粒子径が100nm以下の粒子成分とを含むプライマー組成物が開示されている。
また、粘着テープを例えば光学フィルム等の光学用途に用いる場合、プライマー層にはブロッキングしにくいことに加えて、透明性にも優れることが求められる。
[1] バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)とを含有するプライマー組成物であって、
レーザー回折法で測定した前記無機粒子(B)の体積平均粒子径が5μm超、15μm以下であり、
前記無機粒子(B)の含有量が、前記バインダー樹脂(A)100質量部に対して1~40質量部である、プライマー組成物。
[2] 前記バインダー樹脂(A)が、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる1種以上を含む、前記[1]のプライマー組成物。
[3] 前記バインダー樹脂(A)が、ポリウレタン樹脂及びポリエステル樹脂の少なくとも一方を含む、前記[2]のプライマー組成物。
[4] チキソトロピック剤(C)をさらに含有する、前記[1]~[3]のいずれかのプライマー組成物。
[5] 前記チキソトロピック剤(C)が、脂肪酸アマイドを含む、前記[4]のプライマー組成物。
[6] 前記[1]~[5]のいずれかのプライマー組成物と、ポリイソシアネート化合物とを各々独立して含有するキットであって、
前記バインダー樹脂(A)が、ヒドロキシ基及びアミノ基の少なくとも一方を含有する、キット。
[7] 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられたプライマー層とを備えた積層体であって、
前記プライマー層が、前記[1]~[5]のいずれかのプライマー組成物又は前記[6]のキットを用いて形成された層である、積層体。
[8] 前記[7]の積層体と、前記積層体の前記プライマー層側の表面に設けられた粘着層とを備えた、粘着テープ。
[9] ダイシングテープとして用いられる、前記[8]の粘着テープ。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル樹脂」とは、「アクリル樹脂」及び「メタクリル樹脂」の総称である。「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の総称である。「(メタ)アクリルポリオール」とは、「アクリルポリオール」及び「メタクリルポリオール」の総称である。
本発明の一実施形態に係るプライマー組成物は、以下に示すバインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)とを含有する。
プライマー組成物は、チキソトロピック剤(C)をさらに含有することが好ましい。
プライマー組成物は、必要に応じて溶剤(D)をさらに含有してもよい。また、プライマー組成物は、必要に応じてバインダー樹脂(A)、無機粒子(B)、チキソトロピック剤(C)及び溶剤(D)以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
バインダー樹脂(A)は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体からなる群より選ばれる1種以上(以下、「(A1)成分」ともいう。)を含むことが好ましい。これらの中でも、本発明のプライマー組成物を基材フィルムの一方の面上に塗布して得られる積層体がカールしにくくなる(低カール性に優れる)点で、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
多価イソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物であり、例えば脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。
多価イソシアネート化合物としては、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;上記ジイソシアネートを用いて、アロファネート構造、ヌレート構造、ビウレット構造等を有する多量体化した多価イソシアネート系化合物;1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートヘキサン等のトリイソシアネート;4,4’-ジフェニルジメチルメタン-2,2’-5,5’-テトライソシアネート等のポリイソシアネートなどが挙げられる。これらの多価イソシアネート化合物は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
鎖伸長剤としては、例えばエチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン類;イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン等の脂環式ジアミン類;トルイレンジアミン等の芳香族ジアミン類;キシレンジアミン等の芳香脂肪族ジアミン類;N-(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、N,N’-ジ(2-ヒドロキシエチル)エチレンジアミン等のヒドロキシ基を有するジアミン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のジオール化合物;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類などが挙げられる。これらの鎖伸長剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
反応停止剤としては、例えばn-プロピルアミン、n-ブチルアミン等のモノアルキルアミン類;ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン類;エタノール等のモノアルコール類などが挙げられる。これらの反応停止剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
プライマー組成物に含まれるウレタン樹脂は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。
多価カルボン酸としては、例えば無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、コハク酸、シトラコン酸、アジピン酸、セバシン酸等のエチレン性飽和多価カルボン酸;無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、フマル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸などが挙げられる。これらの多価カルボン酸は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
プライマー組成物に含まれるポリエステル樹脂は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリレートの単独重合体、2種以上の(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリレートと(メタ)アクリレート以外の単量体との共重合体などが挙げられる。これらの(メタ)アクリル樹脂は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
プライマー組成物に含まれる塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。
(A2)成分としては、例えばセルロース樹脂、ポリアミド樹脂、塩素化エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル樹脂、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などが挙げられる。
プライマー組成物に含まれる(A2)成分は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。
なお、「プライマー組成物の固形分」とは、プライマー組成物に含まれる成分のうち、溶剤(D)以外の全成分を意味する。
無機粒子(B)としては、例えばシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、沈降性硫酸バリウムなどが挙げられる。これらの中でも屈折率が低いことにより透明性が高くなる点、比重が小さいことにより沈降しにくい点、ビーズミル等の分散機を使用せずとも、ディゾルバー撹拌のみで分散可能な点などから、シリカが好ましい。
プライマー組成物に含まれる無機粒子(B)は、1種類でもよいし、2種類以上であってもよい。
無機粒子(B)の体積平均粒子径が上記上限値以下であれば、プライマー組成物の印刷適性を良好に維持できる。
レーザー回折法による粒子径測定方法としては、JIS Z 8825:2013に記載の方法を用いる。
プライマー組成物中の無機粒子(B)の体積平均粒子径は、プライマー組成物から無機粒子(B)を取り出して測定すればよい。プライマー組成物から無機粒子(B)を取り出す方法としては特に制限されないが、例えば濾過などの方法が挙げられる。プライマー組成物の粘度が高いなどの理由から濾過することが困難な場合は、濾過が可能な濃度になるまで溶剤でプライマー組成物を希釈した後に、濾過すればよい。希釈に用いる溶剤としては、後述の溶剤(D)が挙げられる。
また、例えば後述の積層体を構成するプライマー層中の無機粒子(B)の体積平均粒子径を測定する場合は、バインダー樹脂(A)を溶解することが可能な溶剤を用いてプライマー層を溶解させ、プライマー層から無機粒子(B)を取り出せばよい。
なお、無機粒子(B)の含有量を過度に増やしても、耐ブロッキング性の効果は頭打ちとなるばかりか、プライマー層の透明性や光沢性が低下してしまう。これは、無機粒子(B)の含有量が増えるほどプライマー層の表面の凹凸がより顕著となり、プライマー層の表面において光が散乱、拡散しやすくなり、その結果、プライマー層の透明性や光沢性が低下するものと考えられる。無機粒子(B)の含有量が上記上限値以下であれば、透明性に優れるプライマー層を形成できる。加えて、光沢性に優れるプライマー層が得られやすくなる。
チキソトロピック剤(C)としては、チキソトロピック性を有する化合物であれば特に制限されないが、例えば脂肪酸アマイド、脂肪酸エステル、ひまし油、硬化ひまし油、酸化ポリエチレンなどが挙げられる。これらの中でも、沈降防止性が向上する観点から、脂肪酸アマイドが好ましい。
なお、「チキソトロピック性」とは、せん断応力(撹拌、圧送、塗装作業等)をかけることで粘度が低下し、静置状態では粘度が上昇する性質である。プライマー組成物にこのような性質を付与すると、タレ止めや沈降を防止することができる。
溶剤(D)としては、水、有機溶剤、これらの混合溶剤などが挙げられる。これらの中でも、有機溶剤が好ましい。
有機溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン系溶剤;トルエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、エチルシクロペンタン等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、及び酢酸ブチル等のエステル系溶剤;タノール、エタノール、n-プロパノール、i-プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール系溶剤;プエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
任意成分としては、例えば可塑剤、レベリング剤、消泡剤、顔料分散剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、増粘剤、滑剤、安定剤、ブロッキング防止剤などが挙げられる。これらの任意成分は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
本実施形態のプライマー組成物は、例えば、バインダー樹脂(A)及び無機粒子(B)と、必要に応じてチキソトロピック剤(C)及び任意成分の1つ以上とを溶剤(D)に溶解又は分散させることで得られる。
各成分の混合方法としては特に限定されず、種々の方法により各成分を混合することができる。
以上説明した本実施形態のプライマー組成物は、上述したバインダー樹脂(A)と、特定量かつ特定の粒子径を有する無機粒子(B)とを含有するので、耐ブロッキング性及び透明性に優れるプライマー層を形成できる。
本発明の一実施形態に係るキットは、上述した本発明のプライマー組成物と、ポリイソシアネート化合物とを各々独立して含有する。
ここで「独立して」とは、プライマー組成物とポリイソシアネート化合物とが互いに非接触とされた状態で存在することを意味し、例えばキットは、プライマー組成物が収容された第1の容器と、ポリイソシアネート化合物が収容された第2の容器とを備えている。
ヒドロキシ基を含有するバインダー樹脂(A)としては、ポリエステル樹脂、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート単位を有する(メタ)アクリル樹脂(すなわち、(メタ)アクリルポリオール)などが挙げられる。
アミノ基を含有するバインダー樹脂(A)としては、アミノ基含有(メタ)アクリレート単位を有する(メタ)アクリル樹脂などが挙げられる。
他の成分としては、例えば溶剤、安定剤などが挙げられる。
溶剤としては、プライマー組成物の説明において先に例示した溶剤(D)が挙げられる。
プライマー組成物とポリイソシアネート化合物とを混合する際は、プライマー組成物の固形分100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物が1~40質量部の割合となるように、両者を混合することが好ましく、より好ましくは2~30質量部であり、さらに好ましくは3~20質量部である。ポリイソシアネート化合物の割合が上記下限値以上であれば、硬化反応が十分に進行する。ポリイソシアネート化合物の割合が上記上限値以下であれば、良好な基材密着性が得られ、また、耐溶剤性も優れたものになる。
また、本発明のプライマー組成物を2液型プライマーとして用いることで、1液型プライマーに比べて後述する基材フィルムに対するプライマー層の密着性が向上する。加えて、プライマー層自体の強度が高まる。また、プライマー層の耐溶剤性が高まるので、詳しくは後述するが、プライマー層上に粘着層を設ける際に、溶剤を含む粘着剤をプライマー層に塗布しても、プライマー層が溶け出したり基材フィルムから剥離したりしにくい。
図1に、本発明の一実施形態に係る積層体の一例を示す。なお、図1における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
この例の積層体10は、基材フィルム11と、基材フィルム11上に設けられたプライマー層12とを備える。
プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリ乳酸等のポリエステルフィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;セロファン等のセルロースフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂フィルム;エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂フィルム;ポリアミド(Ny)フィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられる。これらのプラスチックフィルムは、用途に応じて適宜選択できる。例えば、積層体10を光学用途に使用する場合は透明性等の観点から、PETフィルムが好ましい。
上述のプラスチックフィルムとしては、例えば、二軸延伸PPフィルム及び無延伸PPフィルム等のように、延伸及び無延伸のいずれのプラスチックフィルムも用いることができる。プラスチックフィルムの表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理等の表面処理が施されていてもよい。
なお、図1において、プライマー層12中の無機粒子(B)は省略する。
本発明のキットを用いてプライマー層12を形成する場合、キットに含まれるプライマー組成物と、ポリイソシアネート化合物とを混合して混合物を調製し、得られた混合物を基材フィルム11上に塗布し、乾燥させてプライマー層12を形成すればよい。プライマー組成物とポリイソシアネート化合物とを混合する際の混合割合は、上述した通りである。
プライマー組成物又は混合物の塗布量は特に限定されないが、塗布面の単位面積当たりの乾燥(固形分)質量で、0.1~10g/m2が好ましく、0.5~5g/m2がより好ましく、1~3g/m2がさらに好ましい。
本実施形態の積層体10は、本発明のプライマー組成物又はキットを用いて形成されたプライマー層12を備えているので、複数重ねて積み上げたり、巻芯に巻き取ったりしてもブロッキングが生じにくい。
図2に、本発明の一実施形態に係る粘着テープの一例を示す。なお、図2における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。また、図2中、図1と同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する場合がある。
この例の粘着テープ20は、積層体10と、積層体10のプライマー層12側の表面に設けられた粘着層21とを備える。
積層体10は、上述した本発明の積層体である。
粘着剤としては特に限定されず、公知のものを使用できるが、例えば天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、(メタ)アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などが挙げられる。粘着剤は、溶剤系、エマルジョン系、水系のいずれであってもよい。これらの粘着剤は、用途に応じて適宜選択できる。例えば、粘着テープ20を光学用途に使用する場合は透明性等の観点から、(メタ)アクリル系粘着剤が好ましい。
粘着剤には、必要に応じて他の助剤が添加されてもよい。他の助剤としては、例えば増粘剤、pH調整剤、架橋剤、消泡剤、防腐防黴剤、無機充填剤、安定剤、湿潤剤などが挙げられる。
剥離フィルムとしては、剥離処理したプラスチックフィルムが挙げられる。プラスチックフィルムとしては、積層体の説明において先に例示したプラスチックフィルムが挙げられる。
剥離処理に用いる剥離剤としては特に限定されないが、例えばシリコーン系剥離剤、長鎖アルキル系剥離剤、フッ素系剥離剤などが挙げられる。
また、剥離フィルム上に粘着剤を塗布し、乾燥させて粘着層21を形成して粘着層付剥離フィルムを作製しておき、積層体10のプライマー層12と粘着層付剥離フィルムの粘着層21とが接するように、積層体10と粘着層付剥離フィルムとを貼り合わせてもよく、その後に必要に応じて剥離フィルムは剥離してもよい。
基材フィルム11上又は剥離フィルム上に塗布された粘着剤の乾燥温度は特に限定されず、例えば40~180℃の範囲とすることができる。乾燥時間も特に限定されず、例えば10~1000秒の範囲とすることができる。
バインダー樹脂(A)として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:ポリウレタン樹脂(三洋化成工業株式会社製、商品名「サンプレンIB-918」、固形分30質量%)。
・A-2:アクリルポリオール(大成ファインケミカル株式会社製、商品名「アクリット6BF-203」、固形分50質量%)。
・A-3:塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体溶液(日信化学工業株式会社製の商品名「ソルバインTA5R」をメチルエチルケトン(MEK)で溶解させ、固形分30質量%に調製した樹脂溶液)。
・A-4:ポリエステル樹脂溶液(東洋紡株式会社製の商品名「バイロン200」をMEK及びトルエンの混合溶剤で溶解させ、固形分27.3質量%に調製した樹脂溶液)。
・B-1:シリカ(東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールE220A」、体積平均粒子径:4.2μm)。
・B-2:シリカ(東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップシールE1030」、体積平均粒子径:8.3μm)。
・B-3:シリカ(東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップジェルAY-603」、体積平均粒子径:10.8μm)。
・B-4:シリカ(東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニップジェルBY-001」、体積平均粒子径:14.3μm)。
・C-1:脂肪酸アマイド(楠本化成株式会社製、商品名「ディスパロンPFA220」、固形分20質量%)。
・C-2:酸化ポリエチレン(楠本化成株式会社製、商品名「ディスパロンPF-911」、固形分10質量%)。
・C-3:脂肪酸アマイド(楠本化成株式会社製、商品名「ディスパロン6900-10X」、固形分10質量%)。
・D-1:メチルエチルケトン:トルエン:i-プロパノール=4:4:2(質量比)の混合溶剤。
・D-2:メチルエチルケトン:トルエン=1:1(質量比)の混合溶剤。
<沈降防止性の評価>
プライマー組成物をガラス瓶に収容した状態で、0~40℃循環環境下で30日間静置した後、目視にて観察し、以下の評価基準にて沈降防止性を評価した。
◎:沈降物が全く認められない。
〇:沈降物がわずかに認められるが、ガラス瓶を振ると均一に分散する。
△:沈降物が固まっているが、撹拌機を用いて撹拌すれば沈降物がほぐれて分散する。
×:沈降物が固まっており、撹拌機を用いて撹拌しても沈降物をほぐすのが困難である。
プライマー組成物100質量部に対して、ポリイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製、商品名「タケネートD160N」、固形分75質量%)を1.5部添加して均一に撹拌して、混合物を得た。次いで、ザーンカップNo.3で計測したときの粘度が20℃で17秒となるように、混合物を混合溶剤(MEK/トルエン/IPA=40/40/20)で希釈して、希釈液を得た。
基材フィルムとして厚さ25μmの片面処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E-5102」)の処理面に、深さ30μmの網グラビア印刷版を備えたグラビア印刷機を用いて、塗布面の単位面積当たりの乾燥(固形分)質量が2g/m2となるように上記希釈液を印刷し、基材フィルム上に形成された被膜の外観を目視にて観察し、以下の評価基準にて印刷適性を評価した。
〇:被膜にカスレが認められない。
△:被膜にカスレが若干認められる。
×:被膜にカスレが多く認められる。
厚さ25μmの片面処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E-5102」)の未処理面と、積層体(1)の被膜側の面とが重なるように、片面処理PETフィルムと積層体(1)とを重ね合わせ、4kg/cm2の荷重をかけた状態で40℃の恒温槽内で24時間放置した(エージング処理)。次いで、片面処理PETフィルムと積層体(1)とを剥離したときの剥離抵抗力と、積層体(1)の外観変化から、以下の評価基準にて耐ブロッキング性を評価した。
◎:剥離抵抗がなく、未処理面への積層体(1)の被膜の転移が認められない。
〇:ごくわずかに剥離抵抗を感じるが、未処理面への積層体(1)の被膜の転移が認められない。
△:若干の剥離抵抗を感じるが、未処理面への積層体(1)の被膜の転移が認められない。
×:剥離抵抗をかなり感じ、未処理面への積層体(1)の被膜の転移が認められる。
ヘイズメーター(スガ試験機株式会社製、製品名「HZ-2型」)を用い、D65光源を使用して、積層体(2)のプライマー層側の表面のヘイズを測定し、以下の評価基準にてプライマー層の透明性を評価した。
◎:ヘイズ値が20%未満。
〇:ヘイズ値が20%以上、40%未満。
△:ヘイズ値が40%以上、60%未満。
×:ヘイズ値が60%以上。
光沢計(BYK Gardner社製、製品名「micro-TRI-gloss」)を用い、積層体(2)のプライマー層側の表面の60°グロス(60°鏡面光沢度)を測定し、以下の評価基準にてプライマー層の光沢性を評価した。
◎:60°グロスが75以上。
〇:60°グロスが50以上、75未満。
△:60°グロスが25以上、50未満。
×:60°グロスが25未満。
積層体(2)のプライマー層に幅18mmのセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けて指で圧着した後、このセロハンテープを速やかに剥がし、基材フィルム上に残ったプライマー層の状態を目視にて確認し、以下の評価基準にてプライマー層の基材フィルムに対する密着性を評価した。
◎:プライマー層が全く剥離していない。
〇:プライマー層の総面積に対して、剥離したプライマー層の面積の割合が0%超、1%未満である。
△:プライマー層の総面積に対して、剥離したプライマー層の面積の割合が1%以上、10%未満である。
×:プライマー層の総面積に対して、剥離したプライマー層の面積の割合が10%以上である。
酢酸エチル又はi-プロパノール(IPA)を染み込ませた綿棒で、積層体(2)のプライマー層を30往復擦った後、目視にてプライマー層を観察し、以下の評価基準にてプライマー層の耐溶剤性を評価した。
◎:プライマー層が全く変化していない。
〇:綿棒が接した部分のプライマー層の面積に対して、基材フィルムが露出した面積の割合が0%超、1%未満である。
△:綿棒が接した部分のプライマー層の面積に対して、基材フィルムが露出した面積の割合が1%以上、10%未満である。
×:綿棒が接した部分のプライマー層の面積に対して、基材フィルムが露出した面積の割合が10%以上である。
<プライマー組成物の調製>
表1~3に示す配合に従って、バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)と、チキソトロピック剤(C)と、溶剤(D)とを混合し、プライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、沈降防止性を評価した。結果を表1~3に示す。
先に得られたプライマー組成物100質量部と、ポリイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製、商品名「タケネートD160N」、固形分75質量%)1.5質量部とを混合して、混合物を得た。
基材フィルムとして厚さ25μmの片面処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E-5102」)の処理面に、深さ30μmの網グラビア印刷版を備えたグラビア印刷機を用いて、塗布面の単位面積当たりの乾燥(固形分)質量が2g/m2となるように混合物を印刷して、基材フィルム上に被膜が形成された積層体(1)を得た。
次いで、積層体(1)を40℃の恒温槽内で24時間放置して(エージング処理)、基材フィルム上にプライマー層が形成された積層体(2)を得た。
得られた積層体(1)について耐ブロッキング性を評価し、積層体(2)について透明性及び光沢性を評価した。また、印刷適性を評価した。結果を表1~3に示す。
また、実施例1、6、11で得られた積層体(2)については、密着性及び耐溶剤性についても評価した。結果を表4に示す。
<プライマー組成物の調製>
表1~3に示す配合に従って、バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)と、チキソトロピック剤(C)と、溶剤(D)とを混合し、プライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、沈降防止性を評価した。結果を表1~3に示す。
基材フィルムとして厚さ25μmの片面処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E-5102」)の処理面に、深さ30μmの網グラビア印刷版を備えたグラビア印刷機を用いて、塗布面の単位面積当たりの乾燥(固形分)質量が2g/m2となるようにプライマー組成物を印刷して、基材フィルム上に被膜が形成された積層体(1)を得た。
次いで、積層体(1)を40℃の恒温槽内で24時間放置して(エージング処理)、基材フィルム上にプライマー層が形成された積層体(2)を得た。
得られた積層体(1)について耐ブロッキング性を評価し、積層体(2)について透明性、光沢性、密着性及び耐溶剤性を評価した。また、印刷適性を評価した。結果を表1~4に示す。
沈降防止性については、無機粒子(B)の体積平均粒子径が小さいほど良好であった。また、チキソトロピック剤(C)を配合することで、沈降防止性が向上した。
印刷適性については、無機粒子(B)の体積平均粒子径が小さいほど良好であった。
また、表4の結果から明らかなように、硬化剤であるポリイソシアネート化合物を併用すると(実施例1、6、11)、プライマー層の基材フィルムに対する密着性及び耐溶剤性が向上した。
体積平均粒子径が4.2μmである無機粒子(B)を用いた比較例2、4、6で得られたプライマー組成物から形成されたプライマー層は、透明性及び光沢性に劣っていた。
<プライマー組成物の調製>
表5に示す配合に従って、バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)と、チキソトロピック剤(C)と、溶剤(D)とを混合し、プライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、沈降防止性を評価した。結果を表5に示す。
また、実施例1の結果についても表5に示す。
先に得られたプライマー組成物100質量部と、ポリイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製、商品名「タケネートD160N」、固形分75質量%)1.5質量部とを混合して、混合物を得た。
基材フィルムとして厚さ25μmの片面処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E-5102」)の処理面に、深さ30μmの網グラビア印刷版を備えたグラビア印刷機を用いて、塗布面の単位面積当たりの乾燥(固形分)質量が2g/m2となるように混合物を印刷して、基材フィルム上に被膜が形成された積層体(1)を得た。
次いで、積層体(1)を40℃の恒温槽内で24時間放置して(エージング処理)、基材フィルム上にプライマー層が形成された積層体(2)を得た。
得られた積層体(1)について耐ブロッキング性を評価し、積層体(2)について透明性及び光沢性を評価した。結果を表5に示す。
また、実施例1の結果についても表5に示す。
一方、無機粒子(B)を用いていない比較例7で得られたプライマー組成物から形成されたプライマー層は、耐ブロッキング性に劣っていた。
バインダー樹脂(A)100質量部に対する無機粒子(B)の含有量が0.6質量部である比較例8で得られたプライマー組成物から形成されたプライマー層は、耐ブロッキング性に劣っていた。
バインダー樹脂(A)100質量部に対する無機粒子(B)の含有量が44.4質量部である比較例9で得られたプライマー組成物から形成されたプライマー層は、透明性及び光沢性に劣っていた。
<プライマー組成物の調製>
表6に示す配合に従って、バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)と、チキソトロピック剤(C)と、溶剤(D)とを混合し、プライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、沈降防止性を評価した。結果を表6に示す。
また、実施例1の結果についても表6に示す。
先に得られたプライマー組成物100質量部と、ポリイソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートトリメチロールプロパンアダクト体(三井化学株式会社製、商品名「タケネートD160N」、固形分75質量%)1.5質量部とを混合して、混合物を得た。
基材フィルムとして厚さ25μmの片面処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「E-5102」)の処理面に、深さ30μmの網グラビア印刷版を備えたグラビア印刷機を用いて、塗布面の単位面積当たりの乾燥(固形分)質量が2g/m2となるように混合物を印刷して、基材フィルム上に被膜が形成された積層体(1)を得た。
次いで、積層体(1)を40℃の恒温槽内で24時間放置して(エージング処理)、基材フィルム上にプライマー層が形成された積層体(2)を得た。
得られた積層体(1)について耐ブロッキング性を評価し、積層体(2)について透明性及び光沢性を評価した。結果を表6に示す。
また、実施例1の結果についても表6に示す。
<プライマー組成物の調製>
バインダー樹脂(A)としてA-1と、無機粒子(B)としてB-2と、溶剤(D)としてD-1とを、バインダー樹脂(A)の固形分濃度が18質量%、無機粒子(B)の固形分濃度が5質量%となるように混合して、ウレタン系マットインキを調製した。
得られたウレタン系マットインキ100質量部に、表7に示す種類と量のチキソトロピック剤(C)を添加し、プライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物について、沈降防止性を評価した。結果を表7に示す。
11 基材フィルム
12 プライマー層
20 粘着テープ
21 粘着層
Claims (8)
- バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)とを含有するプライマー組成物であって、
前記バインダー樹脂(A)が、ポリウレタン樹脂を含み、
前記無機粒子(B)が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及び沈降性硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上を含み、
レーザー回折法で測定した前記無機粒子(B)の体積平均粒子径が5μm超、15μm以下であり、
前記バインダー樹脂(A)の含有量が、前記プライマー組成物の固形分の総質量に対して71.4~99質量%であり、
前記無機粒子(B)の含有量が、前記バインダー樹脂(A)100質量部に対して1~40質量部である、プライマー組成物。 - バインダー樹脂(A)と、無機粒子(B)とを含有するプライマー組成物であって、
前記バインダー樹脂(A)が、ポリエステル樹脂を含み、
前記無機粒子(B)が、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、及び沈降性硫酸バリウムからなる群より選ばれる1種以上を含み、
レーザー回折法で測定した前記無機粒子(B)の体積平均粒子径が5μm超、15μm以下であり、
前記バインダー樹脂(A)の含有量が、前記プライマー組成物の固形分の総質量に対して71.4~99質量%であり、
前記無機粒子(B)の含有量が、前記バインダー樹脂(A)100質量部に対して1~40質量部である、プライマー組成物(但し、金属板に塗布するためのプライマー組成物を除く)。 - チキソトロピック剤(C)をさらに含有する、請求項1又は2に記載のプライマー組成物。
- 前記チキソトロピック剤(C)が、脂肪酸アマイドを含む、請求項3に記載のプライマー組成物。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載のプライマー組成物と、ポリイソシアネート化合物とを各々独立して含有するキットであって、
前記バインダー樹脂(A)が、ヒドロキシ基及びアミノ基の少なくとも一方を含有する、キット。 - 基材フィルムと、前記基材フィルムの一方の面上に設けられたプライマー層とを備えた積層体であって、
前記プライマー層が、請求項1~4のいずれか一項に記載のプライマー組成物又は請求項5に記載のキットを用いて形成された層である、積層体。 - 請求項6に記載の積層体と、前記積層体の前記プライマー層側の表面に設けられた粘着層とを備えた、粘着テープ。
- ダイシングテープとして用いられる、請求項7に記載の粘着テープ。
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