JP6510279B2 - 印刷用シート - Google Patents

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Description

本発明は印刷用シート、その一例として、インキの印刷用シートに対する密着性を高めるための印刷用コート層を基材とともに備える印刷用シートに関する。
各種の印刷に用いられる印刷用シートとして、基材として樹脂系材料からなるシート(以下、「樹脂系シート」ともいう。)が使用されてきている。印刷用シートの基材の材料は、生産安定性、コストおよび機械特性(特に柔軟性)の観点から二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)を代表とするポリオレフィン系の樹脂からなる樹脂系シートが今後主流となる可能性がある。
印刷用シートの基材の材料として、ポリオレフィン系の樹脂等からなる樹脂系シートを用いる場合には、一般的に、インキとの密着性を良好にするため、基材の表面に印刷用コート層が設けられている。特許文献1には、ポリプロピレンフィルムからなる基材を用いた印刷可能なフィルムが開示されている(特許文献1参照)。
特許第4027977号公報
基材を与える樹脂系シートとしてポリオレフィン系樹脂を用いた場合には、現在一般的に用いられているポリエステル系の樹脂に比べて、基材の表面部の極性が低いため、印刷用シートの基材上に形成される印刷用コート層や粘着剤層と基材との密着性が低い傾向にある。これに対処するため、基材樹脂の表面にコロナ放電処理などの表面処理を施すことが考えられる。
ところで、上記のような印刷用シートは、一般にロール状に巻かれた状態で保管、輸送され、印刷等の加工の際に繰り出される。ここで、巻き重なった印刷用シートにおける印刷用コート層の基材とは反対側の面と、印刷用シートの印刷用コート層とは反対側の面(例えば、基材の印刷用コート層とは反対側の面)とが密着し、ブロッキングが発生し、印刷用シートをロールの状態から繰り出すときに繰り出し不良が生じたり、印刷用コート層が巻き重なった基材等に転写されてしまい外観不良や印刷等の加工の不具合が生じたりすることがある。
かかるブロッキングの問題は、基材の印刷用コート層とは反対側の面に、前述したコロナ放電処理等の表面処理を施した場合、特に顕著に生じ得る。これに対し、ブロッキングを抑制すべく耐ブロッキング剤を印刷用コート層に添加すると、印刷用コート層のインキに対する密着性が低下してしまうという問題があった。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、インキとの密着性が維持され、かつ、基材等とのブロッキングが生じ難い印刷用コート層を備える印刷用シートを提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく本発明者が検討したところ、印刷用シートにおける印刷用コート層について、樹脂組成物およびフィラーを含有する材料にて構成し、かかる印刷用コート層の厚さとフィラーの平均粒径との比を所定の範囲に規定することで、上記課題を解決できるとの知見を得た。
すなわち、第1に本発明は、シート状の基材と前記基材の一方の面側に積層された印刷用コート層とを備えた印刷用シートであって、前記印刷用コート層は、樹脂組成物およびフィラーを含有する材料から構成され、前記印刷用コート層の厚さをt(nm)、前記フィラーの平均粒径をd(nm)としたときに、下記の式を満たす
0.45≦d/t≦4
ことを特徴とする印刷用シートを提供する(発明1)。
なお、本明細書において、「シート」にはテープの概念およびフィルムの概念が含まれるものとする。
上記発明(発明1)に係る印刷用シートは、その印刷用コート層を構成する材料がフィラーを含有し、印刷用コート層におけるd/tが上記範囲にあることで、印刷用コート層とインキとの密着性が維持され、かつ、印刷用コート層と基材等とのブロッキングが生じ難いものとなる。
上記発明(発明1)において、前記フィラーの平均粒径は、10〜200nmであることが好ましい(発明2)。
上記発明(発明1,2)において、前記印刷用コート層の厚さは、15〜120nmであることが好ましい(発明3)。
上記発明(発明1〜3)において、前記印刷用コート層における前記フィラーの含有量は、前記樹脂組成物100質量部に対して5〜40質量部であることが好ましい(発明4)。
上記発明(発明1〜4)において、前記フィラーは、シリカフィラーからなることが好ましい(発明5)。
上記発明(発明1〜5)において、前記樹脂組成物は、ウレタン変性ポリエステル系樹脂を含むことが好ましい(発明6)。
上記発明(発明1〜6)において、前記樹脂組成物は、イソシアネート系架橋剤によって架橋された樹脂を含むことが好ましく(発明7)、かかる発明(発明7)において、前記樹脂組成物は、架橋促進剤を含有することが好ましい(発明8)。
上記発明(発明1〜8)において、前記樹脂組成物は、活性エネルギー線重合性基を含むことが好ましい(発明9)。
上記発明(発明1〜9)において、前記基材は、二軸延伸ポリプロピレンから構成されることが好ましい(発明10)。
上記発明(発明1〜10)において、前記基材の他方の面は、コロナ処理されていてもよく(発明11)、さらにこれらの発明(発明1〜11)において、前記基材の他方の面側には、粘着剤層が積層されていてもよい(発明12)。
本発明に係る印刷用シートは、印刷用コート層の厚さとフィラーの平均粒径との関係が制御された印刷用コート層を備えることにより、インキとの密着性が維持され、かつ、基材等とのブロッキングが生じ難いものとなる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
本発明の一実施形態に係る印刷用シートは、基材と基材の一方の面側に積層された印刷用コート層とを備える。
1.基材
本実施形態に係る印刷用シートが備える基材の材料は特に限定されないが、通常は樹脂系の材料を主成分とする樹脂系シートから構成される。
樹脂系シートに係る樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、アセテート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合(ABS)樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステルアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ−p−フェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエステル樹脂などが挙げられ、これらを単独でまたは2種以上の混合物を使用することができる。
基材は上記の樹脂系の材料を含有してなる単層より構成されていてもよいし、樹脂系の材料を含有してなる同種または2種以上の層が複数層積層されて基材を構成していてもよい。また、樹脂系シートは未延伸のものであってもよいし、縦または横などの一軸方向または二軸方向に延伸されたものであってもよい。
近年、生産安定性、コストおよび特性(特に柔軟性)の観点から、基材を構成する材料の主成分としてポリオレフィン樹脂を主剤とするポリオレフィン系の樹脂が採用される傾向が高まっている。かかる樹脂の具体例を挙げれば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが例示される。ポリプロピレンの中でも二軸延伸のもの(すなわちOPP)が生産安定性、コストおよび柔軟性などの特性の観点から注目されている。
なお、ポリオレフィン系樹脂は特に低極性であるため、印刷用コート層や粘着剤層との密着性を高めるために、後述する表面処理(コロナ放電処理等)を施すことが多いが、その表面処理はブロッキングを誘発する一因となっていた。しかし、本実施形態に係る印刷用シートは、後述する印刷用コート層を備えることによりブロッキングが効果的に抑制されるため、表面処理を施したポリオレフィン系樹脂であっても基材として好適に用いることができる。
また、基材を構成する材料が着色材料(カーボンブラック、二酸化チタンなどの顔料、および染料が例示される。)を含有することにより、基材が着色されていてもよい。さらに、機械特性を高めたり耐ブロッキング性を付与したりする観点から、基材を構成する材料がシリカなどの微粒子を含有していてもよい。
基材の厚さに特に制限はないが、通常20μm以上300μm以下程度、好ましくは25μm以上200μm以下である。
樹脂系シートからなる基材を用いる場合には、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面または両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は基材を構成する材料に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果および操作性などの面から、好ましく用いられる。また、プライマー処理を施すこともできる。
ここで、コロナ放電処理等の表面処理を施した基材は、その表面に設けられる層との密着性が向上する一方で、例えば、印刷用コート層等とのブロッキングが発生し易いことが問題となっていた。しかし、本実施形態に係る印刷用シートは、以下に述べる印刷用コート層を備えることにより、基材に表面処理を施したとしても、ブロッキングが発生し難いものとなる。
2.印刷用コート層
本実施形態に係る印刷用シートが備える印刷用コート層は、樹脂組成物およびフィラーを含有する材料から構成されるものであり、印刷用コート層の厚さをt(nm)、フィラーの平均粒径をd(nm)としたときに、下記の式を満たす。
0.45≦d/t≦4
(1)d/t比
本実施形態の印刷用コート層は、印刷用コート層の厚さtとフィラーの平均粒径dとの比d/tが上記範囲にあることで、当該印刷用コート層はインキとの密着性が維持され、かつ、印刷用シートにおいて当該印刷用コート層と基材等とのブロッキングが生じ難いものとなる。ここで、d/tが4を超えると、インキ密着性の維持が困難となり、一方d/tが0.45未満であると、印刷用コート層と基材等とのブロッキングが生じ易いものとなってしまう。かかる観点から、上記d/tは、0.5以上3以下であることが好ましく、0.6以上2.5以下であることが特に好ましく、0.7以上2以下であることがさらに好ましい。
ここで、本実施形態において、印刷用コート層の厚さt(nm)は、分光エリプソメーターにより測定した値である。また、フィラーの平均粒径d(nm)は、比重と、JIS Z8830(ISO9277)に準拠するBET法(窒素吸着法)により測定された比表面積とに基づき、真球換算にて算出した値である。
なお、従来の印刷用シートにおいて、耐ブロッキング性を付与するために印刷用コート層等にフィラーを添加する場合、耐ブロッキング性能を重視し、d/tを上記範囲よりはるかに大きい値とし、また印刷用シートにおける表面粗さを大きくする方法が一般的であった。しかし、この方法においては、印刷用コート層のインキとの密着性が低下してしまうという問題があった。これに対し、本実施形態においては、印刷用コート層においてd/tが0.45以上であれば耐ブロッキング性に支障はなく、しかも印刷用コート層の表面粗さは本実施形態の耐ブロッキング性向上にほとんど寄与しないという予想外の知見が得られており、さらにd/tを4以下とすることで、インキ密着性も維持することが可能となった。
本実施形態における印刷用コート層の厚さtは、15〜120nmであることが好ましく、40〜110nmであることが特に好ましく、50〜100nmであることがさらに好ましい。かかる厚さtを有する印刷用コート層は、インキとの密着性に優れ、また基材等とのブロッキングが効果的に抑制される。
(2)フィラー
本実施形態においては、印刷用コート層と基材等とブロッキングを抑制するため、印刷用コート層を構成する材料にフィラーを含有させる。ここで、フィラーとしては、無機フィラーおよび有機フィラーを使用することができるが、中でも無機フィラーを用いることが好ましい。
無機フィラーとしては、クレー、タルク、マイカ、カオリン、ゼオライト、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等のケイ酸塩;シリカ、ケイ藻土、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、バリウムフェライト、酸化バリウム、軽石等の酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム等の水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、ドーソナイト等の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、亜硫酸カルシウム等の硫酸塩または亜硫酸塩;などが挙げられ、1種を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。これらの中でも、印刷用コート層に付与されるブロッキング抑制効果と、印刷用コート層のインキ密着性との観点から、本実施形態のフィラーとしてシリカフィラーを用いることが好ましく、フィラーはシリカフィラーからなることがさらに好ましい。
本実施形態において、フィラーの平均粒径dは、10〜200nmであることが好ましく、30〜150nmであることが特に好ましく、50〜120nmであることがさらに好ましい。かかる平均粒径dを有するフィラーを印刷用コート層に含有させることで、印刷用コート層のインキとの密着性を低下させることなく、基材等とのブロッキングが効果的に抑制される。
本実施形態において使用し得るフィラーは、市販品として入手可能である。例えば、シリカフィラーとしては、メタノールシリカゾル、MA−ST−MS、IPA−ST、IPA−ST−MS、IPA−ST−L、IPA−ST−ZL、EG−ST、NPC−ST−30、MEK−ST、MEK−ST−40、MEK−ST−L、MEK−ST−ZL、MEK−ST−MS、MIBK−ST、XBA−ST、PMA−ST、DMAC−ST、(以上,日産化学工業社製);OSCAL1132、1332、1532、1722、EOM ST−1003SIV(以上,日揮触媒化成社製)などが挙げられる。
本実施形態において、印刷用コート層における上記フィラーの含有量は、後に詳述する樹脂組成物100質量部に対し、固形分換算で5〜40質量部であることが好ましく、7.5〜35質量部であることが特に好ましく、10〜30質量部であることがさらに好ましい。上記フィラーの含有量をかかる範囲とすることにより、印刷用コート層の透明性を維持しつつ、印刷用コート層におけるブロッキングの抑制およびインキ密着性の維持との本実施形態の効果が、さらに良好に発揮される。
(3)樹脂組成物
本実施形態における印刷用コート層を構成する材料は、前述したフィラーのほか、樹脂組成物を含有する。樹脂組成物の種類は特に限定されないが、具体的に例示すれば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレンなどの重合体を含む樹脂組成物が挙げられる。これらの中でも、インキ密着性等の観点から、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどが好ましい。これらの中でポリエステルについてやや詳しく説明する。
ポリエステルは、単量体としてのポリオールと多価カルボン酸および/またはカルボン酸無水物(本実施形態において「カルボン酸成分」ともいう。)とが共重合してなるエステル結合を主鎖中に有する重合体である。
上記のポリオールの具体例として、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリン、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
一方、上記のカルボン酸成分の具体例として、マロン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、コハク酸、グルタル酸、ヘキサクロロエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、エンドメチレンヘキサヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、デカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、トリメシン酸、シクロペンタンジカルボン酸等の多価カルボン酸およびこれらの多価カルボン酸の無水物が挙げられる。
これらのポリオールおよびカルボン酸成分の組み合わせは限定されず、ポリエステルは、1種類の組み合わせに係る重合体であってもよいし、複数種類の組み合わせに係る重合体であってもよい。
さらに、ポリエステルは、ウレタン変性ポリエステルであってもよい。ウレタン変性ポリエステルの具体例として、上記のポリオールとカルボン酸成分とを縮重合させて得られた重合体の末端にヒドロキシル基を有するポリエステルポリオールに、各種のポリイソシアネート化合物(その具体例は、後述する架橋構造に係るイソシアネート架橋剤に含有されうるポリイソシアネート化合物と同様である。)を反応させて得られた重合体(ポリエステルウレタン)などを挙げることができる。本実施形態において、ポリエステル、ウレタン変性ポリエステルなど、エステル結合を主鎖中に有する樹脂材料をポリエステル系樹脂という。ポリエステル系樹脂、中でもウレタン変性ポリエステル系樹脂は、インキの密着性に優れた印刷用コート層が得られるため、本実施形態における樹脂組成物は、ウレタン変性ポリエステル系樹脂を含むことが好ましい。
本実施形態における樹脂組成物は、活性エネルギー線重合性基を含むことが好ましい。活性エネルギー線重合性官能基は、活性エネルギー線、すなわち電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線、電子線などを照射することにより、他の化合物に対する結合性を有する官能基であって、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基などを含む官能基が挙げられる。なお、本明細書において、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基およびメタクリロイル基の両方を意味する。他の類似用語も同様である。
ここで、近年の印刷業界においては、フレキソ印刷の需要が増えてきており、このフレキソ印刷のインキは紫外線硬化型のインキ(以下「UVインキ」という場合がある。)が主流である。フレキソ印刷では、通常のオフセット印刷等に比べて、インキの粘度が低くなるように反応性希釈剤が多く添加される。このため、UVインキを用いてフレキソ印刷を施すとインキの硬化収縮の程度が大きく、インキの脱落が生じてしまうことがある。しかし、本実施形態における樹脂組成物が、活性エネルギー線重合性基を含んだ場合、かかる活性エネルギー線重合性基とUVインキとが結合する反応が生じ、硬化したインキと印刷用コート層との密着力を高めることができる。
かかるUVインキを用い、本実施形態に係る印刷用シートに印刷する場合、印刷用コート層と接することとなるUVインキは、UV硬化性を有する官能基としてエチレン性不飽和結合を有する官能基が用いられる場合が多い。そのため、活性エネルギー線重合性官能基も同様にエチレン性不飽和結合を有する官能基、具体例を挙げればビニル基や(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、反応性の高さの観点から(メタ)アクリロイル基であることがより好ましい。
活性エネルギー線重合性官能基がUV照射によってUVインキと反応すると、印刷用コート層に含有される活性エネルギー線重合性官能基を部分構造として有する成分(以下、「活性エネルギー線重合性成分」ともいう。)は、硬化したUVインキと化学的に結合する。その結果、活性エネルギー線重合性成分と印刷用コート層を構成する他の材料との間で有する相互作用、具体的にはアンカー効果、分子の絡み合い、水素結合などによって、硬化したUVインキは印刷用コートに対する密着力が向上し、硬化に伴いUVインキが収縮しても、UVインキと印刷用コート層との界面での剥離が生じにくくなる。
ここで、樹脂組成物に含有される活性エネルギー線重合性成分は、樹脂組成物を構成する樹脂とは独立した成分として配合されてもよく、また活性エネルギー線重合性官能基を有する樹脂として含まれていてもよい。
活性エネルギー線重合性成分のうち、樹脂とは独立して配合した成分の具体例として、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。上記の印刷用コート層を構成する他の材料との相互作用が容易となる観点から、少なくとも一つの水酸基が残留した(メタ)アクリレートが好ましい一例として挙げられる。そのような(メタ)アクリレートとして、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピルアクリレート(HPA)、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4−HBA)などが例示される。これらは、1種類を単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。活性エネルギー線重合性成分の配合量は、樹脂組成物を構成する重合体100質量部に対し、固形比で0.5〜30質量部が好ましく、1〜25質量部がさらに好ましく、3〜20質量部が特に好ましい。
また、前述のように、樹脂組成物に含まれる活性エネルギー線重合性成分は、活性エネルギー線重合性官能基を有する樹脂として含まれていてもよい。ここで、活性エネルギー線重合性樹脂の調製方法は任意である。一例を挙げれば、樹脂を構成する重合体を形成するために単量体等の重合反応を行うにあたり活性エネルギー線重合性官能基を有する化合物を共存させ、この化合物と単量体等との反応も進行させることによって、重合体の骨格(側鎖)にこの化合物が取り込まれ、活性エネルギー線重合性官能基を有する重合体として、活性エネルギー線重合性樹脂を得ることができる。あるいは、活性エネルギー線重合性官能基を有する化合物を共存させずに合成した重合体に、活性エネルギー線重合性官能基を有する低分子量成分、オリゴマー等を別途配合することによっても得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物は、架橋剤によって架橋された樹脂を含むことが好ましい。ここで、前述したように、UVインキを用いてフレキソ印刷を施すとインキの硬化収縮の程度が大きいため、インキの硬化収縮により印刷用コート層に収縮応力が付与され、印刷用コート層と基材との界面で剥離が発生したりすることがあった。しかし、本実施形態の樹脂組成物は、架橋剤によって架橋された樹脂を含むことで、印刷用コート層の硬度が高くなるため印刷用コート層が変形しにくくなり、収縮応力が付与されても印刷用コート層と基材との剥離が生じにくいものとなる。
架橋剤の種類としては、例えば、イソシアネート系化合物、エポキシ系化合物、金属キレート系化合物、アジリジン系化合物等のポリイミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、ジアルデヒド類、メチロールポリマー、金属アルコキシド、金属塩等が挙げられる。これらの中でも、架橋反応を制御しやすいことなどの理由により、架橋剤はイソシアネート基を有するイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
ここで、イソシアネート系架橋剤によって架橋された樹脂を含む場合、当該樹脂におけるイソシアネート架橋剤と反応する部位である反応性官能基の具体的な種類は限定されない。水酸基、カルボキシル基、アミノ基などが反応性官能基の具体例として挙げられ、この反応性官能基は、樹脂を構成する重合体に係る重合反応に関与するもの(すなわち主鎖形成に関与するもの)もよいし、付加的に設けられたものであってよい。例えば、樹脂組成物がウレタン変性ポリエステル系樹脂等のポリエステル系樹脂を含む場合には、ポリオールに基づく構成単位が水酸基を有していたり、カルボン酸成分に基づく構成単位がカルボン酸を有していたりする場合がある。重合体ないし樹脂におけるこれらの残留水酸基や残留カルボン酸が上記の反応性官能基となりうる。
本実施形態において用いる架橋剤としては、前述したイソシアネート系架橋剤の中でも、イソシアネート基を複数有するポリイソシアネート化合物であることが特に好ましい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどの脂環式イソシアネート化合物;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートが挙げられる。
また、これらの化合物の、ビウレット体、イソシアヌレート体や、これらの化合物と、エチレングリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の非芳香族性低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体などの変性体も用いることができる。
本実施形態に係るイソシアネート系架橋剤を構成するポリイソシアネート化合物は1種類であってもよいし、複数種類であってもよい。UVインキの密着性の観点から、本実施形態に係るポリイソシアネート化合物はヘキサメチレンジイソシアネート系の化合物を含有することが好ましく、さらには、ヘキサメチレンジイソシアネート化合物のイソシアヌレート体であることが、印刷用コート層内での凝集破壊を防ぐ点で特に好ましい。
上記樹脂組成物におけるイソシアネート系架橋剤の添加量は、樹脂組成物を構成する重合体100質量部に対して固形分換算で10質量部以上であることが好ましい。この架橋剤量が過度に低い場合には、印刷用コート層の硬度が低く、印刷用コート層上に設けられたUVインキが硬化した際に、印刷用コート層内での凝集破壊の可能性が高まることが懸念される。また、耐水性が低下することも懸念される。上記の問題の発生を安定的に回避する観点から、架橋剤量は15質量部以上であることが好ましく、30質量部以上であることが特に好ましい。架橋剤量の上限は特に限定されないが、過度に高い場合には経済的観点から不利益が生じる可能性があり、さらに印刷用コート層が過度に硬くなって、硬化したUVインキがむしろ剥離しやすくなることが懸念される場合もある。したがって、架橋剤量は、樹脂組成物を構成する重合体100質量部に対して固形比で70質量部以下とすることが好ましく、60質量部以下とすることがより好ましい。
印刷用コート層中において、樹脂組成物を構成する重合体同士の架橋構造の程度(換言すれば、架橋点の存在密度)は特に限定されない。過度に低い場合には印刷用コート層の形状を保つことが困難となって印刷品質が低下することが懸念され、過度に高い場合には印刷用コート層に接する他の構成要素、特に基材との硬度差が大きくなって界面剥離が生じる可能性が高まることを考慮して、適宜設定すればよい。
(4)他の含有成分
本実施形態に係る印刷用コート層を構成する樹脂組成物は、上記イソシアネート系架橋剤を含有する場合、架橋剤の架橋反応を促進する観点から架橋促進剤を含有することが好ましい。具体的には、金属有機化合物からなる架橋促進剤が挙げられる。ここで、「金属有機化合物」とは、金属−炭素間結合を少なくとも1つ有する有機金属化合物、および、金属−ヘテロ原子間結合を少なくとも1つ有する有機金属化合物を含む。具体的には、例えば、ジメチルスズジクロライドのような有機金属化合物、ジメチルスズジラウレートのような有機金属化合物の脂肪酸塩、ジメチルスズビス(オクチルチオグリコール酸エステル)塩のような有機金属化合物のチオグリコール酸エステル塩、オクチル酸ビスマスのような金属石鹸が金属有機化合物の概念に含む。なお、金属石鹸とは、脂肪酸のアルカリ金属塩(狭義の石鹸)以外の金属塩をいう。
金属有機化合物に含有される金属は特に限定されないが、好ましくは、スズ、亜鉛、鉛、ビスマスから選ばれる少なくとも1種である。スズを含む金属有機化合物としては、例えば、ジメチルスズジクロライド等の有機スズ化合物;ジメチルスズジラウレート、ジメチルスズジ(2−エチルヘキサノエート)、ジメチルスズジアセテート、ジヘキシルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート等の有機スズ化合物の脂肪酸塩;ジメチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)塩、ジオクチルスズビス(イソオクチルチオグリコール酸エステル)塩等の有機スズ化合物のチオグリコール酸エステル塩;オクチル酸スズ、デカン酸スズ等の金属石鹸などが挙げられる。亜鉛を含む金属有機化合物としては、例えば、2−エチルヘキシル酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。鉛を含む金属有機化合物としては、例えば、ステアリン酸鉛、2−エチルヘキシル酸鉛、ナフテン酸鉛等が挙げられる。ビスマスを含む金属有機化合物としては、例えば、2−エチルヘキシル酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が挙げられる。
架橋促進剤の含有量は特に限定されないが、印刷用コート層全体に対して、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2質量%以下がより好ましい。
本実施形態に係る印刷用コート層は上記の成分に加えて、染料、顔料等の着色材料、アニリド系、フェノール系等の酸化防止剤、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系等の紫外線吸収剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、分散剤、レベリング剤などを含有してもよい。これらの成分の含有量は任意であるが、これらの成分全体として、印刷用シート層全体に対して10質量%を超えないこと好ましい。
(5)印刷用コート層の形成方法
印刷用コート層の形成方法は特に限定されない。一例を挙げれば次のとおりである。印刷用コート層を形成するための塗工液を用意し、例えばグラビアロール方式、エアナイフ方式、ワイヤーバーコーティング方式などにより、基材の一方の面側に塗工液を塗布する。この塗工液の塗膜を乾燥させることにより、印刷用コート層が形成される。イソシアネート系架橋剤によって架橋させる場合は、架橋反応を十分に進行させるために、例えば23℃、相対湿度50%の環境で養生させることが好ましい。養生期間は特に限定されないが、通常1週間程度とされる場合が多い。
上記の塗工液の組成は特に限定されないが、一例として、樹脂組成物およびフィラー、好ましくは活性エネルギー線重合性成分およびイソシアネート系架橋剤、さらに必要に応じて用いられる架橋促進剤などのその他の成分を、溶剤とともに含有する塗工液が例示される。この塗工液の調製にあたり、樹脂組成物と活性エネルギー線重合性成分との相互作用が容易となるように、これらの成分をあらかじめ混合してなる混合物を調製し、この混合物とイソシアネート系架橋剤などの他の成分や溶媒とを混合してもよい。
塗工液の別の一例として、活性エネルギー線重合性官能基を有する樹脂およびフィラー、好ましくはイソシアネート系架橋剤、さらに必要に応じて用いられる架橋促進剤などのその他の成分を、溶剤とともに含有する塗工液が例示される。この塗工液の調製にあたり活性エネルギー線重合性官能基を有する樹脂を製造する方法は特に限定されない。その製造方法の一例として、活性エネルギー線重合性官能基を有する重合体の単量体および/またはオリゴマーとインキ反応基を有する化合物とを共存させた状態で重合反応を行うことにより、この活性エネルギー線重合性官能基を有する化合物を重合体の骨格に取り込ませる方法が挙げられる。この方法によれば、得られた重合体が単位質量あたりに有する活性エネルギー線重合性官能基数(個/g)を容易に見積もることができ、印刷用コート層における、UVインキが剥離する可能性を低減させる機能の程度を制御することが容易となる。
上記の塗工液に用いられる溶媒としては特に制限はないが、塗工液に含有されるイソシアネート架橋剤の安定性を考慮すれば、非水系、すなわち溶剤系であることが好ましい。そのような溶剤系の溶媒の具体例として、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒などを挙げることができる。
塗工液における固形分濃度としては、塗工可能な濃度であればよく、特に制限はないが、通常0.5質量%以上10質量%以下程度、好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
3.その他の物性・構成要素
印刷用シートを、透明性が要求される用途に使用する場合、本実施形態に係るに係る印刷用シートは、ヘーズが1〜4%であることが好ましく、さらには1.5〜3%であることが好ましい。かかるヘーズを有することにより、本実施形態に係る印刷用シートは、非印刷部分の透明性に優れ、また透明インキ等による印刷にも好適に使用できるものとなる。ここで、従来の印刷用シートにおいて印刷用コート層に耐ブロッキング性を付与する場合、粒径の大きなフィラーを配合するため、ヘーズをこのような低い値に規定することは非常に困難であった。しかし、本実施形態においては、印刷用コート層の厚さt(nm)とフィラーの平均粒径d(nm)との比が従来のものよりも小さな値となっているため、粒径の小さなフィラーを使用することができ、印刷用シートのヘーズを上記範囲に規定することも可能となる。
また、本実施形態に係る印刷用シートは、上記の基材および印刷用コート層以外の構成要素を備えていてもよい。そのような構成要素として、基材における印刷用コート層が形成されている側と反対側の面に形成される粘着剤層が例示される。かかる粘着剤層を形成することにより、本実施形態に係る印刷用シートを印刷用粘着シートとすることができる。
粘着剤層に用いられる粘着剤としては特に限定されないが、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、エマルション系粘着剤等の公知の粘着剤を使用することができる。ここで、エマルション系粘着剤は、樹脂系シートからなる基材、特に低極性であるポリオレフィン系樹脂からなる基材に対し、密着性が低いため、エマルション系粘着剤を用いる場合、基材における粘着剤層を積層する面に、コロナ放電処理等の表面処理をあらかじめ施すことが多かった。しかし、このような表面処理はブロッキングの問題を誘発するため、ポリオレフィン系樹脂からなる基材にエマルション系粘着剤を使用することには制約があった。これに対し、本実施形態に係る印刷用シートは、上記印刷用コート層を備えているため、耐ブロッキング性に優れる。そのため、例えば、エマルション系粘着剤など基材の表面に表面処理を施す必要がある粘着剤であっても、本実施形態の印刷用シートに好適に使用することができる。
粘着剤層は、基材の印刷用コート層を有する面とは反対側の面に、粘着剤層を形成するための塗工液を塗布することにより設けてもよいし、剥離材の剥離面に上記の塗工液を塗布して粘着剤層を形成して、この粘着剤層を基材の印刷用コート層側と反対側の面に貼り合わせることにより、剥離材付き粘着剤層を形成してもよい。
粘着剤層を形成する方法は、特に限定されることがなく通常の方法を使用することができ、例えば、グラビアロール方式、ロールナイフ方式等により形成することができる。
本発明において粘着剤層の厚さは特に制限されるものではないが、通常5μm以上100μm以下の範囲内であり、10μm以上50μm以下の範囲内であることが好ましい。
粘着剤層における基材側と反対側の面は露出させていてもよいが、通常は、使用に供するまでの間において粘着剤層を保護するために剥離材を積層しておく。
剥離材はシート状の支持基材を備え、少なくとも片面が剥離性を有する剥離面となっている。この剥離面は、剥離性を有さない支持基材の表面上に設けられた剥離剤層の支持基材側と反対側の面であってもよいし、剥離性を有する支持基材の表面であってもよい。
剥離材の支持基材としては、例えば紙、合成紙、樹脂系フィルムなどが挙げられる。紙としては、例えばグラシン紙、ポリエチレンラミネート紙などが挙げられ、樹脂系フィルムとしては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのポリオレフィン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル樹脂、アセテート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂などのフィルムなどが挙げられる。剥離剤層を構成する剥離処理剤として、シリコーン樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、長鎖アルキル含有樹脂などが例示される。その表面が剥離性を有する支持基材としては、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルムなどのポリオレフィン樹脂フィルム、これらのポリオレフィン樹脂フィルムを紙や他のフィルムにラミネートしたフィルムが例示される。
剥離材の支持基材の厚みは特に制限されないが、通常は15μm以上300μm以下程度であればよい。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
例えば、上記印刷用シートにおける基材と印刷用コート層との間には、他の層が介在していてもよい。
以下、実施例等により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例等に限定されるものではない。
〔実施例1〕
樹脂組成物を構成する重合体として、ウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡社製,バイロンUR1700,固形分:30%)70質量部およびウレタン変性ポリエステル樹脂(東洋紡社製,バイロンUR8700,固形分:30%)30質量部、活性エネルギー線重合性成分としてペンタエリスリトールトリアクリレート(新中村化学工業社製,A−TMM−3L,固形分:100%)3.2質量部、架橋剤としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(東ソー社製,コロネートHX,固形分:100%)15質量部、架橋促進剤としてジオクチルスズジラウレート溶液(固形分25%)2質量部、ならびにフィラーとして粒径70〜100nmのシリカフィラー(日産化学工業社製,MEK−ST−ZL,平均粒径実測値:85nm,固形分:30%)20質量部を混合し、トルエンにて希釈し固形分1.5%の塗工液を調製した。
基材として厚さ50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製,アルファンP)の両面にコロナ処理を施した上で、一方の面に、バーコーティングにより上記の塗工液を塗布し、70℃にて1分間乾燥させ、樹脂組成物とフィラーとからなる厚さ60nmのコート層が設けられた積層シートを得た。得られた積層シートをさらに23℃、相対湿度50%の条件下で7日間養生して、評価対象としての印刷用シートを得た。乾燥後の膜厚は分光エリプソメーター(J.A.Woollan社製,M−2000)にて測定した。
〔実施例2〕
コート層の厚さを80nmとした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例3〕
シリカフィラーの添加部数を30質量部とした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例4〕
コート層の厚さを80nmとした以外は実施例3と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例5〕
コート層の厚さを100nmとした以外は実施例3と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例6〕
フィラーの添加部数を40質量部とした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例7〕
コート層の厚さを80nmとした以外は実施例6と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例8〕
シリカフィラーの添加部数を80質量部とした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例9〕
フィラーとして粒径40〜50nmのシリカフィラー(日産化学工業社製,MEK−ST−L,平均粒径実測値:45nm,固形分:30%)20質量部を使用し、コート層の厚さを30nmとした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例10〕
コート層の厚さを30nmとした以外は実施例3と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例11〕
コート層の厚さを150nmとした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例12〕
シリカフィラーの添加部数を30質量部とした以外は実施例11と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例13〕
シリカフィラーの添加部数を40質量部とした以外は実施例11と同様にして印刷用シートを得た。
〔実施例14〕
シリカフィラーの添加部数を10質量部とした以外は実施例5と同様にして印刷用シートを得た。
〔比較例1〕
シリカフィラーの添加部数を10質量部とし、コート層の厚さを120nmとした以外は実施例9と同様にして印刷用シートを得た。
〔比較例2〕
フィラーとして粒径10〜15nmのシリカフィラー(日産化学工業社製,MEK−ST−40,平均粒径実測値:13nm,固形分:40%)10質量部を使用した以外は実施例14と同様にして印刷用シートを得た。
〔比較例3〕
コート層の厚さを15nmとした以外は実施例1と同様にして印刷用シートを得た。
〔試験例1〕<耐ブロッキング試験>
実施例および比較例で得られた印刷用シートのフィルム面と印刷用コート層側の面とが対向するように、これらを交互に各5枚重ね合わせた。この重ね合わせにより得られた積層体に196mN/cmの荷重を加えた状態で60℃、相対湿度95%の環境下に7日間放置した。その後、その積層体を23℃、相対湿度50%の環境下に4時間放置した後、その積層体における印刷用シートの印刷用コート層側の面とフィルム面との積層状態、その積層体からフィルムを剥がすときの剥がしやすさ、およびフィルムを剥がして表出させた印刷用コート層側の面(以下、「表出面」ともいう。)の外観を評価項目として、下記の判定基準で評価した。
A:フィルム面と印刷用コート層側の面とには特段の圧着部分は認められず、両者は容易に剥離した。
B:フィルム面と印刷用コート層側の面とには局所的な圧着部分が認められるが、両者を手で容易に剥がすことができ、表出面には目視で観察する限り積層加圧する前と変化ない。
C:フィルム面と印刷用コート層側の面とには局所的な圧着部分が認められ、両者を手で剥がすのにやや力を要するが、剥がした後の表出面は目視で観察する限り積層加圧する前と変化ない。
F:フィルム面と印刷用シート側の面とが広い面積で圧着しており、両者を手で剥がすことが不可能であるか、あるいは両者を手で剥がすことが可能であるが剥がした後の表出面に変化(印刷画像の部分欠如など)が認められる。
〔試験例2〕<インキ密着性評価>
(印刷条件)
実施例および比較例で得られた印刷用シートのそれぞれについて、印刷用コート層面にUVインキ(T&KTOKA社製、フレキソ白500)を用いてフレキソ印刷機(マーカンディー社製、MA−2200、印刷速度50m/min)でフレキソ印刷を施し、UV照射(メタルハライドランプ4kW)を行い、印刷画像を得た。フレキソ印刷機のアニロックスローラーのセルは亀甲型#200で、セル容量は16cm/mであった。
(密着性評価)
上記の印刷を行うことにより印刷画像が形成された印刷用シートのそれぞれを、23℃、相対湿度50%の環境下に24時間静置した。その後、印刷画像が形成された印刷用シートの印刷画像が形成された側の面に、JIS K5600−5−6:1999(ISO 2409:1992)のクロスカット法に基づき、カット間隔1mm、カットライン10本×10本としてマス目数100のクロスカット部を作製し、インキと印刷用シートとの密着性を評価した。クロスカット部にニチバン社製セロテープ(登録商標)を貼付し、テープ引きはがし後の状態を観察して、以下の6段階の基準で評価した。
0:カットの縁が完全に滑らかで、どの格子の目にもはがれがない。
1:カットの交差点における塗膜の小さなはがれがある。クロスカット部分で影響を受けるのは、明確に5%を上回ることはない。
2:塗膜がカットの縁に沿って、及び/又は交差点においてはがれている。クロスカット部分で影響を受けるのは明確に5%を超えるが15%を上回ることはない。
3:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は目のいろいろな部分が、部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響をうけるのは、明確に15%を超えるが35%を上回ることはない。
4:塗膜がカットの縁に沿って、部分的又は全面的に大はがれを生じており、及び/又は数か所の目が部分的又は全面的にはがれている。クロスカット部分で影響をうけるのは、明確に35%を超えるが65%を上回ることはない。
5:はがれの程度が分類4を超える場合。
〔試験例3〕<ヘーズ測定>
実施例および比較例で得られた印刷用シートのそれぞれについて、ヘーズメーター(日本電色工業社製,製品名「NDH2000」)を用いて、JIS K7136:2000に準じてヘーズ値(%)を測定した。
Figure 0006510279
表1に示されるように、本発明の条件を満たす実施例の印刷用シートによれば、ブロッキングが発生し難く、かつUVインキとの密着性に優れていた。
本発明の印刷用シートは、インキ密着性が維持されながらもブロッキングが発生し難いため、基材表面にコロナ放電処理等の表面処理が必要な再剥離性粘着剤を使用することができ、印刷用再剥離性粘着シートとして特に好適である。

Claims (10)

  1. シート状の基材と前記基材の一方の面側に積層された印刷用コート層とを備えた印刷用シートであって、
    前記基材は、二軸延伸ポリプロピレンから構成され、
    前記基材の他方の面は、コロナ処理されており、
    前記印刷用コート層は、樹脂組成物およびフィラーを含有する材料から構成され、
    前記印刷用コート層の厚さをt(nm)、前記フィラーの平均粒径をd(nm)としたときに、下記の式を満たす
    0.45≦d/t≦4
    ことを特徴とする印刷用シート。
  2. 前記フィラーの平均粒径は、10〜200nmであることを特徴とする請求項1に記載の印刷用シート。
  3. 前記印刷用コート層の厚さは、15〜120nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の印刷用シート。
  4. 前記印刷用コート層における前記フィラーの含有量は、前記樹脂組成物100質量部に対して5〜40質量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の印刷用シート。
  5. 前記フィラーは、シリカフィラーからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の印刷用シート。
  6. 前記樹脂組成物は、ウレタン変性ポリエステル系樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の印刷用シート。
  7. 前記樹脂組成物は、イソシアネート系架橋剤によって架橋された樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の印刷用シート。
  8. 前記樹脂組成物は、架橋促進剤を含有することを特徴とする請求項7に記載の印刷用シート。
  9. 前記樹脂組成物は、活性エネルギー線重合性基を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の印刷用シート。
  10. 前記基材の他方の面側には、粘着剤層が積層されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の印刷用シート。
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