JP2005186484A - 印刷用透明ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 片面の印刷性、インキ密着性に優れ、かつ、枚葉印刷時の高速給紙安定性に優れ、さらに断裁し積み重ねた状態で放置しても、フィルム同士が密着し難く、取り扱い性の良好な印刷用ポリエステルフィルムを提供すること。
【解決手段】 ポリエステル基材フィルムの両面に印刷面および易滑面の塗布層を有するフィルムであり、フィルムの厚みが50〜250μmであり、ヘーズが2%以下であり、印刷面と易滑面との間の静摩擦係数および動摩擦係数が共に0.5以下であり、易印刷面の水との接触角が60度以上であり、JIS K5600−3−5に準拠した耐圧着性試験において、表裏を重ね合わせた状態で、荷重0.1MPaを24時間印加した後に密着しないことを特徴とする、印刷用ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷用ポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは、片面の印刷性、インキ密着性に優れ、かつ、枚葉印刷時の高速給紙安定性に優れ、さらに断裁し積み重ねた状態で放置しても、フィルム同士が密着し難く、取り扱い性の良好な印刷用ポリエステルフィルムに関する。
二軸延伸ポリエステルフィルムは、その機械的強度、耐熱性、耐薬品性、寸法安定性、価格とのバランスから各種産業資材用途、民生用途などに広範囲で使用されている。特に透明フィルムに印刷を施す各種商業印刷用途、電飾版、ダミー缶、ラベルなどでは不可欠な存在となっている。しかしながら一般的にポリエステルフィルムは印刷インキとの接着性が悪いため、易接着性を有する樹脂を用いたアンカー塗布層を設けることが一般的である。なかでもポリエステルを中心とした比較的極性の高いフィルムに対しては、水溶性あるいは水分散性のポリエステル系樹脂あるいはアクリル系樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4参照)。しかし上記ポリエステル系樹脂はフィルムロール状態での耐ブロッキング性に劣りやすく、また上記アクリル系樹脂はベースフィルムおよび印刷インキに対する接着性に劣りやすい欠点がある。そこでこれらの改善のため上記ポリエステル系樹脂と上記アクリル系樹脂とを混合して用いることも提案されている(例えば、特許文献5参照)が欠点の改善は充分とは言い難い。さらにグラフト変性を中心とした種々の変性ポリエステルを使用することも提案されている。また、水溶化あるいは水分散できる親水基含有ポリエステル樹脂に不飽和結合含有化合物をグラフト化させた樹脂がポリエステルフィルムのアンカーコート剤として好適であることが開示されている(例えば、特許文献6、特許文献7および特許文献8)。しかし接着性、耐水性の面ではまだ性能不充分であった。さらに、ポリエステルのグラフト変性樹脂が開示されている(例えば、特許文献9および特許文献10参照)が、凝集力に乏しいため脱落、傷等に問題を残した。
これらは、印刷用途ではスクラッチ傷の発生、塗膜・滑剤粒子の脱落、インキの転移不良・剥離をもたらす致命的な欠陥につながる。とくに枚葉オフセット印刷用途では、給紙・搬送時に強い摩擦を受けること、UV硬化型インキの使用により高度な易接着性の要求があること、などにより不可欠な特性である。
ここで、近年、ポリエステルフィルムに印刷を施す方式の一つとして枚葉UVオフセット多色刷印刷機の比率が高まり、印刷速度の高速化(1枚当り0.5秒前後の給紙速度)が進んできている。これは主に印刷機の改良、進化によるものであるが、この印刷の際にはフィルムに対して、インキの転移性、易接着性、湿し水適性、帯電防止性が必要なことはもちろん、さらに高速給紙時に重送せず安定した給紙が出来るフィルムの易滑性が必要となる。この高速印刷、高速給紙に耐えられるポリエステルフィルムは従来存在しなかった。
また、高速給紙に対応するためには、印刷前の断裁品棒積状態でフィルム同士が真空密着しないことの必要性が経験的に知られている。そのため、従来、棒積フィルム間への空気入れ、さらに粉打ち、などの対処がされていたが、印刷面の汚染などの弊害発生、効果の不充分さなどで安定状態が維持できていなかった。この真空密着とは、枚葉印刷用に断裁し包装した後のパレット積、さらに印刷機給紙部に5,000〜10,000枚程度の棒積状態で放置すると、フィルム間の空気が押し出されて真空密着状態が発生することを言う。特に両面に塗布層を有する透明性の高いフィルムで顕著であった。
特開昭54−43017号 特公昭49−10243号 特開昭52−19786号 特開昭52−19787号 特開昭58−124651号 特開平2−3307号 特開平2−171243号 特開平2−310048号 特開平3−273015号 特開平3−67626号
棒積時の真空密着を防止するためには、枚葉印刷用コート紙のように、「両面が数μm以上の凹凸を有すること」、「表裏いずれの塗布層も加圧での密着が生じにくいこと」が必要である。しかしながら従来の塗布層では、両面が数μm以上の凹凸を有し、フィルムヘーズが2%を超えるような滑剤含有ベースフィルムを用いて両面易接着塗布層加工フィルムを作製しても、棒積時には真空密着が発生していた。これを嫌い、凹凸を有しさらにガラス転移点の高い塗布層樹脂に変更することで密着し難い塗布層にした場合は、印刷インキの接着性が劣り印刷用途には適さなかった。さらに片面塗布層に限定した場合には非塗布面の帯電によりフィルムの共ずれが生じ高速給紙に適さなかった。これらから両面に高い印刷性、密着性を設けることは困難であり、密着防止には耐ブロッキング剤が必要であること、少なくとも片面に帯電防止性が必要であることが判った。しかしながら単なる印刷面、易滑面構成の両面異種フィルムでは、従来の印刷層として使用されている樹脂組成では、枚葉UVオフセット多色刷印刷に要求される印刷適性の面で満足するは得られなかった。
種々の検討の結果、印刷適性すなわちインキの転移性、易接着性、湿し水適性を満足する印刷面を形成し、さらには棒積状態で放置しても真空密着を生じないものとして、本発明の印刷面と易滑面との組合せで高速印刷に耐えられるオフセット印刷用のポリエステルフィルムが得られることが判った。
本発明の構成は以下のようなものである。
本発明は、ポリエステル基材フィルムの両面に塗布層を有するフィルムであって、該フィルムの片面は、以下:(a)ポリエステル系グラフト共重合体、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂;ならびに(c)平均粒子径φ1〜5μmの粒子、を含む塗布層で形成された易印刷面であり、該易印刷面の反対面は、以下:(a)ポリエステル系グラフト共重合体、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂;(b)スルホン酸基を有する物質;(c)平均粒子径φ1〜5μmの粒子;ならびに(d)ワックス類、を含む塗布層で形成された易滑面であり、該フィルムの厚みが50〜250μmであり、ヘーズが2%以下であり、該印刷面と易滑面との間の静摩擦係数および動摩擦係数が共に0.5以下であり、該易印刷面の水との接触角が60度以上であり、JIS K5600−3−5に準拠した耐圧着性試験において、易印刷面と易滑面とを重ね合わせた状態で、荷重0.1MPaを24時間印加した後に密着しないことを特徴とする、印刷用ポリエステルフィルムである。
好ましい実施形態において、本発明の印刷用ポリエステルフィルムは、易印刷面の塗布層が、二重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以上含有するポリエステル系グラフト共重合体を含むことを、1つの大きな特徴としている。
別の好ましい実施形態において、本発明の印刷用ポリエステルフィルムは、易印刷面または易滑面の塗布層の少なくとも一方が、少なくとも一軸以上に延伸され、熱固定されたことを、1つの大きな特徴としている。
本発明によれば、印刷適性すなわちインキの転移性、易接着性、湿し水適性を満足する印刷面を形成し、さらには棒積状態で放置しても真空密着を生じないポリエステルフィルムを提供することができ、このようなフィルムは、印刷面と易滑面との組合せで高速印刷に耐えられ、オフセット印刷用のポリエステルフィルムとして有用である。
以下、本発明を説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。
(用語)
以下に本明細書において特に使用される用語の定義を列挙する。
本明細書における「易印刷面」とは、本発明の印刷用透明ポリエステルフィルムの印刷される側の面を意味し、本明細書では「印刷面」と互換可能に使用され得る。
本明細書における「易滑面」とは、本発明の印刷用透明ポリエステルフィルムの「易印刷面」と反対側の面を意味し、本明細書では「裏面」と互換可能に使用され得る。
本発明における「易印刷面と易滑面との間の静摩擦係数および動摩擦係数」とは、本発明の二枚の印刷用透明ポリエステルフィルムを重ね合わせた場合に、互いに重ねあったいる一方のフィルムの「易印刷面」と他方のフィルムの「印刷面」との間の静摩擦係数および動摩擦係数を意味し、その測定方法に関しては、下記の実施例の(試験方法)の項に示す。
(基材フィルム用ポリエステル樹脂)
本発明に用いられる基材フィルムのポリエステルとは、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸のごとき芳香族ジカルボン酸又はそのエステルとエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールのごときグリコールとを重縮合させて製造されるポリエステルである。これらのポリエステルは芳香族ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させる方法のほか、芳香族ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいは芳香族ジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させるなどの方法によって製造することができる。かかるポリエステルの代表例としてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートあるいはポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。このポリエステルはホモポリマーであってもよく、第三成分を共重合したものであっても良い。いずれにしても本発明においては、エチレンテレフタレート単位、ブチレンテレフタレート単位あるいはエチレン−2,6−ナフタレート単位が70モル%以上、好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上であるポリエステルが好ましい。
また、このポリエステルには重縮合触媒、エステル交換反応触媒、燐酸または燐酸化合物などの熱安定剤も用いられる。このほかに溶融押し出し時の静電密着性改善のためアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩も適量含有してもよい。
また、フィルム中には、ヘイズが2%を超えない範囲で、再生レジン由来の微量の無機または有機の粒子を含んでもよい。含有の可能のある粒子としては、シリカ、カオリナイト、タルク、炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化亜鉛、有機白色顔料等が例示されるが特に限定されるものではない。
本発明のポリエステル基材フィルムは、同種または異種の合成樹脂フィルム層を内部に複合した複層構成としてもよい。かかる複合に用いられる合成樹脂フィルム層は、共押出し法によって得られる。合成樹脂フィルム層としては、たとえばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートや各種ポリエステル系共重合体を1種または2種以上を主成分とする層を表層や芯部に積層したフィルムを用いることが出来る。また、前記合成樹脂フィルム層には、必要に応じて溶出物が浮遊しない範囲で無機粒子、有機粒子、末端封鎖剤、着色剤、耐光剤、蛍光剤、帯電防止剤などを添加することも可能である。
本発明のフィルム厚みは、50〜250μmが好ましく、特に好ましくは75〜250μmである。フィルム厚みが50μm未満では剛性が不十分となり枚葉印刷適性が劣る。一方フィルム厚みが250μmを越えると、印刷物の重量増加、剛直化による高速印刷適性の低下が生じる。
本発明のフィルムヘーズは2%以下が好ましい。2%を超える場合には、印刷面をフィルム側から観察した場合の外観、透明感が劣りやすい。ヘーズは低い方が好ましいが、両面に塗布層を設ける場合、0%は困難である。
本発明のJIS K5600−3−5にしめす耐圧着性試験において表裏を重ね合わせた状態で、荷重0.1MPa、24時間印加後に密着しないことが好ましい。密着が発生する場合には、断裁し積み重ねた状態で放置するとフィルム同士が密着し、印刷機への投入時に、フィルムをたわませ密着を取り除くなどの作業が必要になり、取り扱い性が劣りやすい。ここでいう密着とはフィルム間の空気が押し出された状態を言い、密着を取り除いた際に必ずしも視認できる塗布層の脱落、破壊が生じるとは限らない状態を指す。
本発明のフィルムの印刷面は水との接触角が60度以上とすることが必要である。水との接触角が60度未満の場合には、オフセット印刷時に湿し水適性(水負け性)が悪化し、インキ転移不良、印刷濃度ムラが生じやすい。
本発明のポリエステル基材フィルムの製造方法は任意であり、特に制限されるものではないが、例えばポリエステルレジンをフィルム状に成形して未延伸フィルムとした後、該未延伸フィルムを延伸するという一般的な方法を用いる事が出来る。未延伸シートを延伸・配向処理する条件は、塗布層の形成と密接に関係する。以下では、最も好んで用いられる逐次二軸延伸方法、特に未延伸シートを長手方向次いで幅方向に延伸する方法を例にとり、延伸・配向条件を説明する。まず、第1段の縦延伸工程では、周速が異なる2本あるいは多数本のロール間で延伸する。このときの加熱手段としては、加熱ロールを用いる方法でも非接触の加熱方法を用いる方法でもよく、それらを併用してもよい。延伸温度をポリエステルの二次転移温度Tg+50℃以下で3〜5倍に延伸する。次いで一軸延伸フィルムをテンターに導入し、幅方向にポリエステルの融点Tm−10℃以下の温度で2.5〜5倍に延伸する。このようにして得られた2軸延伸フィルムに対し、必要に応じて熱処理を施す。熱処理はテンター中で行うのが好ましく、ポリエステルの融点Tm−50℃〜Tmの範囲で行うのが好ましい。
本発明における塗布層にポリエステル系グラフト共重合体を用いる場合は、二重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以上含有することが必要である。このラジカル重合体を含まない、または5%未満の場合は耐圧着性、塗膜強度向上の効果が充分に得られない。この酸無水物を樹脂中に導入することにより、樹脂分子間で架橋反応を行うことが可能となる。すなわち樹脂中の酸無水物は塗液中では加水分解などによりカルボン酸に変化し、乾燥および製膜中の熱履歴により、分子間で酸無水物または他の分子の活性水素基と反応してエステル基などを生成し塗布層の樹脂の架橋を行い、耐圧着性、塗膜強度向上の効果が発現出来るようになる。このラジカル重合体としては加熱後に分解して極性が低下するカルボン酸のアミン塩が例示できる。使用することのできるアミンは塗膜の乾燥中に気化できるものであり例えばアンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどがあげられる。
2重結合を有する酸無水物を含有するモノマーとしては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、ラジカル重合体は他の重合性不飽和単量体との共重合体であってもよい。
他の重合性不飽和単量体としては、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステル;マレイン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル;イタコン酸、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル;フェニルマレイミド等のマレイミド等;スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体;ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなど;アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)などのアクリル重合性単量体;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体;N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体;アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体、などが挙げられる。
本発明における塗布層のポリエステル系グラフト共重合体の「グラフト化」とは、幹ポリマー主鎖に、主鎖とは異なる重合体からなる枝ポリマーを導入することにある。グラフト重合は、一般には、疎水性共重合性ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤を使用して少なくとも一種の重合性不飽和単量体を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合性ポリエステルと重合性不飽和単量体とのグラフト共重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合性ポリエステル樹脂および疎水性共重合性ポリエステル樹脂にグラフト化しなかった上記不飽和単量体をも含有している。本発明におけるポリエステル系グラフト共重合体とは、上記したポリエステル系グラフト共重合体ばかりではなくこれに未反応の疎水性共重合性ポリエステル、グラフト化しなかった不飽和単量体なども含む反応混合物をも含む。
本発明における(a)疎水性共重合性ポリエステル樹脂に少なくとも1種の二重結合を有する酸無水物がグラフトしたポリエステル系グラフト共重合体の詳細を説明する。
(グラフト重合体)
本発明のグラフト重合は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物の酸価は600eq/10g以上であることが好ましい。より好ましくは、反応物の酸価は1200eq/10g以上である。反応物の酸価が600eq/10g未満である場合は、本発明の目的である印刷インキ層との接着性が十分とはいえない。
また、本発明の目的に適合する望ましい疎水性共重合ポリエステル樹脂とラジカル重合性単量体の重量比率は、ポリエステル/ラジカル重合性単量体=40/60〜95/5の範囲が望ましく、更に望ましくは55/45〜93/7、最も望ましくは60/40〜90/10の範囲である。
疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が40重量%未満であるとき、ポリエステル樹脂の優れた接着性を発揮することができない。一方、疎水性共重合ポリエステル樹脂の重量比率が95重量%より大きいときは、ポリエステル樹脂の欠点であるブロッキングが起こりやすくなる。
本発明のグラフト重合反応物は、有機溶媒の溶液または分散液、あるいは、水系溶媒の溶液または分散液の形態になる。特に、水系溶媒の分散液つまり、水分散樹脂の形態が、作業環境、塗布性の点で好ましい。この様な水分散樹脂を得るには、通常、有機溶媒中で、前記疎水性共重合ポリエステル樹脂に、親水性ラジカル重合性単量体を含むラジカル重合性単量体をグラフト重合し、次いで、水添加、有機溶媒留去により達成される。
本発明での水分散樹脂は、レーザー光散乱法により測定される平均粒子系は500nm以下であり、半透明ないし乳白色の外観を呈する。重合方法の調整により、多様な粒子径の水分散樹脂が得られるが、この粒子径は10〜500nmが適当であり、分散安定性の点で、400nm以下が好ましく、より好ましくは300nm以下である。500nmを越えると被覆膜表面の光沢の低下がみられ、被覆物の透明性が低下し、10nm未満では、本発明の目的である耐水性が低下するため、好ましくない。
本発明における水分散樹脂の重合に使用する親水性ラジカル重合性単量体とは、親水基を有するか、後で親水基に変化できる基を指す。親水基を有するラジカル重合性単量体として、カルボキシル基、水酸基、リン酸基、亜リン酸基、スルホン酸基、アミド基、第4級アンモニウム塩基等を含むラジカル重合性単量体を挙げることができる。一方、親水基に変化できるラジカル重合性単量体として、酸無水物基、グリシジル基、クロル基などを挙げることができる。これらの中で、水分散性の点から、カルボキシル基が好ましく、カルボキシル基を有するか、カルボキシル基を発生する基を有するラジカル重合性単量体が好ましい。
本発明の酸価を上げる点で、カルボキシル基を含有しているか、カルボキシル基を発生するラジカル重合性単量体が含まれているほうが好ましい。
グラフト共重合体のガラス転移温度は特に規制は無いが、高温高湿環境下での接着性に関しては、好ましくは20℃以上、より好ましくは40℃以上である。
(ポリエステル)
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂とは、本来それ自身で水に分散または溶解しない本質的に水不溶性である必要がある。水に分散するまたは溶解するポリエステル樹脂を、グラフト重合に使用すると、本発明の目的である接着性、耐水性が悪くなる。
この疎水性共重合ポリエステル樹脂のジカルボン酸成分の組成は、芳香族ジカルボン酸60〜99.5モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜40モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸0.5〜10モル%であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸が60モル%未満である場合や脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸が40モル%を越えた場合は、接着強度が低下する。
また、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸が0.5モル%未満の場合、ポリエステル樹脂に対するラジカル重合性単量体の効率的なグラフト化が行われにくくなり、逆に10モル%を越える場合は、グラフト化反応の後期に余りにも粘度が上昇し、反応の均一な進行を妨げるので好ましくない。より好ましくは、芳香族ジカルボン酸は70〜98モル%、脂肪族ジカルボン酸および/または脂環族ジカルボン酸0〜30モル%、重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸2〜7モル%である。
芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸等を挙げることができる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の親水基含有ジカルボン酸は、本発明の目的である耐水性が低下する点で、用いない方が好ましい。脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸等を挙げることができ、脂環族ジカルボン酸としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物等を挙げることができる。
重合性不飽和二重結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸として、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸として、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。このうち好ましいのは、重合性の点から、フマル酸、マレイン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
一方、グリコール成分は、炭素数2〜10の脂肪族グリコールおよび/または炭素数6〜12の脂環族グリコールおよび/またはエーテル結合含有グリコールよりなるが、炭素数2〜10の脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール等を挙げることができ、炭素数6〜12の脂環族グリコールとしては、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。
エーテル結合含有グリコールとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、さらにビスフェノール類の二つのフェノール性水酸基に、エチレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドを付加して得られるグリコール類、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパンなどを挙げることができる。ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールも必要により使用しうる。
本発明で使用される共重合ポリエステル樹脂中に、0〜5モル%の3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールを共重合することができるが、3官能以上のポリカルボン酸としては、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、(無水)ベンゾフェノンテトラカルボン酸、トリメシン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)等が使用される。一方、3官能以上のポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が使用される。3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオールは、全酸成分あるいは全グリコール成分に対し0〜5モル%、望ましくは0〜3モル%の範囲で共重合されるが、5モル%を越えると重合時のゲル化が起こりやすく、好ましくない。
また、疎水性共重合ポリエステル樹脂の分子量は、重量平均で5000〜50000の範囲が好ましい。分子量が5000未満の場合は接着強度の低下があり、逆に50000を越えると重合時のゲル化等の問題が起きてしまう。
(重合性不飽和単量体含有ポリマー)
本発明の重合性不飽和単量体を例示する
フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸のモノエステルまたはジエステルマレイン酸とその無水物、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸のモノエステルまたはジエステル、イタコン酸とその無水物、イタコン酸のモノエステルまたはジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミド等また、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン、ジビニルベンゼンなどである。またアクリル重合性単量体は、例えば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等):2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのヒドロキシ含有アクリル単量体:アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミドのアミド基含有アクリル単量体:N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレートのアミノ基含有アクリル単量体:グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートのエポキシ基含有アクリル単量体:アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩)等のカルボキシル基またはその塩を含有するアクリル単量体が挙げられる。好ましくは、マレイン酸無水物とそのエステルである。上記モノマーは1種もしくは2種以上を用いて共重合させることが出来る。
本発明のグラフト重合は、一般には、疎水性共重合ポリエステル樹脂を有機溶剤中に溶解させた状態において、ラジカル開始剤およびラジカル重合性単量体混合物を反応せしめることにより実施される。グラフト化反応終了後の反応生成物は、所望の疎水性共重合ポリエステル−ラジカル重合性単量体混合物間のグラフト重合体の他に、グラフト化を受けなかった疎水性共重合ポリエステル及び疎水性共重合ポリエステルにグラフト化しなかったラジカル重合体をも含有しているが、本発明におけるグラフト重合体とは、これらすべてが含まれる。
(重合開始剤およびその他添加剤)
本発明で用い得るグラフト重合開始剤としては、当業者には公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を用い得る。
有機過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、有機アゾ化合物として、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルパレロニトリル)などを挙げることが出来る。グラフト重合を行うための重合開始剤の使用量は、重合性モノマーに対して、少なくとも0.2重量%以上、好ましくは0.5重量%以上である。
重合開始剤の他に、枝ポリマーの鎖長を調節するための連鎖移動剤、例えばオクチルメルカプタン、メルカプトエタノール、3−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソールなどを必要に応じて用い得る。この場合、重合性モノマーに対して0〜5重量%の範囲で添加されるのが望ましい。
(反応溶媒)
本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒は沸点が50〜250℃の水性有機溶媒から構成されることが好ましい。ここで水性有機溶媒とは20℃における水に対する溶解性が少なくとも10g/L以上、望ましくは20g/L以上であるものをいう。沸点が250℃を越えるものは、余りに蒸発速度がおそく、塗膜の高温焼付によっても充分に取り除くことが出来ないので不適当である。また沸点が50℃以下では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに解裂する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。共重合ポリエステル樹脂をよく溶解しかつカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的良く溶解する第一群の水性有機溶媒としては、エステル類例えば酢酸エチル、ケトン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、グリコ−ルエ−テル類例えばエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等を例示する事が出来る。
これに対し、共重合ポリエステル樹脂をほとんど溶解しないがカルボキシル基含有重合性単量体を含む重合性単量体混合物およびその重合体を比較的よく溶解する第二群の水性有機溶媒として、水、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類などを挙げることが出来るが、本発明の実施に特に好ましいものとしては炭素数1〜4のアルコール類およびグリコール類である。
グラフト化反応を単一溶媒で行なう場合は、第一群の水性有機溶媒からただ一種を選んで行なうことが出来る。混合溶媒で行なう場合は第一群の水性有機溶媒からのみ複数種選ぶ場合と、第一群の水性有機溶媒から少なくとも一種を選びそれに第二群の水性有機溶媒から少なくとも一種を加える場合がある。
グラフト重合反応溶媒を第一群の水性有機溶媒からの単一溶媒とした場合と、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒とした場合のいずれにおいてもグラフト重合反応を行なうことができる。しかし、グラフト化反応の進行挙動、グラフト化反応生成物およびそれから導かれる水分散体の外観、性状などに差異がみられ、第一群および第二群の水性有機溶媒のそれぞれ一種からなる混合溶媒を使用する方が好ましい。
第一群の溶媒中では共重合ポリエステル分子鎖は広がりの大きい鎖ののびた状態にあり、一方第一群/第二群の混合溶媒中では広がりの小さい糸まり状に絡まった状態にあることがこれら溶液中の共重合ポリエステルの粘度測定により確認された。共重合ポリエステルの溶解状態を調節し分子間架橋を起こりにくくすることがゲル化防止に有効である。効率の高いグラフト化とゲル化抑制の両立は後者の混合溶媒系において達成される。第1群/第2群の混合溶媒の重量比率はより望ましくは95/5〜10/90さらに望ましくは90/10〜20/80、最も望ましくは85/15〜30/70の範囲である。最適の混合比率は使用するポリエステルの溶解性などに応じて決定される。
(水分散化)
本発明にかかわるグラフト化反応生成物は塩基性化合物で中和することが好ましく、中和することによって容易に水分散化することが出来る。塩基性化合物としては塗膜形成時、或は硬化剤配合による焼付硬化時に揮散する化合物が望ましく、アンモニア、有機アミン類などが好適である。望ましい化合物の例としては、トリエチルアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノ−ルアミン、アミノエタノールアミン、N−メチル−N,N−ジエタノールアミン、イソプロピルアミン、イミノビスプロピルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−ジエチルアミノプロピルアミン、sec−ブチルアミン、プロピルアミン、メチルアミノプロピルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン、3−メトキシプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを挙げることが出来る。塩基性化合物は、グラフト化反応生成物中に含まれるカルボキシル基含有量に応じて、少くとも部分中和、若しくは、完全中和によって水分散体のpH値が5.0〜9.0の範囲であるように使用するのが望ましい。沸点が100℃以下の塩基性化合物を使用した場合であれば、乾燥後の塗膜中の残留塩基性化合物も少なく、金属や無機蒸着膜の接着性や他材料と積層した時の耐水性や耐熱水接着性が優れる。また100℃以上の塩基性化合物使用した場合や乾燥条件を制御し、乾燥後の塗膜中に塩基化合物を500ppm以上残留させることにより、印刷インクの転移性が向上する。
本発明により生成される水系分散体では、ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量は500〜50000であるのが好ましい。ラジカル重合性単量体の重合物の重量平均分子量を500以下にコントロールすることは一般に困難であり、グラフト効率が低下し、共重合ポリエステルへの親水性基の付与が十分に行なわれない傾向がある。また、ラジカル重合性単量体のグラフト重合物は分散粒子の水和層を形成するが、十分な厚みの水和層をもたせ、安定な分散体を得るためにはラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量は500以上であることが望ましい。またラジカル重合性単量体のグラフト重合物の重量平均分子量の上限は溶液重合における重合性の点で50000が好ましい。この範囲内での分子量のコントロールは開始剤量、モノマー滴下時間、重合時間、反応溶媒、モノマー組成あるいは必要に応じて連鎖移動剤や重合禁止剤を適宜組み合わせることにより行なうことが出来る。
本発明において、疎水性共重合ポリエステル樹脂にラジカル重合性単量体をグラフト重合させた反応物は、自己架橋性を有する為高度な耐溶剤性を発揮する。常温では架橋しないが、乾燥時の熱で、架橋剤なしで架橋する。これにより初めて、本発明の目的である接着性、耐水性を発現できる。塗膜の架橋性については、様々の方法で評価できるが、疎水性共重合ポリエステル樹脂およびラジカル重合体の両方を溶解するクロロホルム溶媒での不溶分率で調べることができる。80℃以下で乾燥し、120℃で5分間熱処理して得られる塗膜の不溶分率が、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上である。塗膜の不溶分率が50%未満の場合は、接着性、耐水性が十分でないばかりでなく、ブロッキングも起こしてしまう。
本発明における塗布層の共重合性ポリエステル樹脂は、一般的に使用されている共重合ポリエステルでもかまわない。カルボン酸成分とジオール成分およびその他のエステル形成成分の重縮合物である。共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有されるジカルボン酸成分としては例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸などを挙げることができるが、テレフタル酸、およびイソフタル酸が好ましく、その他少量であれば他のジカルボン酸を加えてもよい。
共重合ポリエステル系樹脂に含有されるジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタール等の脂環族ジオール、4,4’−ビス(ヒドロキシエチル)ビスフェノールA等の芳香族ジオール、さらにビス(ポリオキシエチレングリコール)ビスフェノールエーテル等を挙げることができるが、エチレングリコール、ジエチレングリコールが最も好ましく、その他少量のジオール成分を用いてもよい。上記ジカルボン酸成分の他に、樹脂に水分散性を付与させるため5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましく、その他スルホテレフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等を用いることができる。
本発明における塗布層にはポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂およびこれらの混合物や共重合物などが適用可能である。さらにこれらの樹脂組成物のなかでも、分子内にスルホン基を含有する水不溶性の水性共重合ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂を混合使用した場合において、広い範囲に良好な密着力を得る事が出来る。この場合、該水性共重合ポリエステル系樹脂と水性ポリウレタン系樹脂の配合は1/9〜9/1である場合が特に好ましく用いる。
水性共重合ポリエステル系樹脂とは、ジカルボン酸成分とジオール成分およびその他のエステル形成成分の重縮合物である。共重合ポリエステル系樹脂に構成成分として含有されるジカルボン酸成分としては例えばテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和ジカルボン酸などを挙げることができる。
上記ジカルボン酸成分の他に、樹脂に水分散性を付与させるため、5−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸の塩類を用いることができる。なかでも5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1〜10モル%の範囲で使用するのが好ましい。
共重合ポリエステル系樹脂に含有されるジオール成分としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタール等の脂環族ジオール、4、4’−ビス(ヒドロキシエチル)ビスフェノールA等の芳香族ジオール、さらにビス(ポリオキシエチレングリコール)ビスフェノールエーテル等を挙げることができる。
水性ポリウレタン系樹脂には、通常の活性水素を2個以上有するポリオール類と有機ポリイソシアネートとを反応させて得られるものを用いても良い。ポリオール類としては、例えば飽和ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類(例えばポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等)、アミノアルコール類(例えばエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等)、更には不飽和ポリエステルポリオール類(例えば不飽和多価カルボン酸、或いは飽和多価カルボン酸との混合物と、飽和多価アルコール類、不飽和多価アルコール類との混合物とを重縮合させて得られるもの)、ポリブタジエンポリオール類(例えば1,2−ポリブタジエンポリオール、1,4−ポリブタジエンポリオール等)、アクリルポリオール類(各種アクリル系モノマーとヒドロキシル基を有するアクリル酸系モノマーとを共重合させて得られるヒドロキシル基を側鎖に有するアクリルポリオール類)等の不飽和二重結合を有するポリオール類を挙げる事が出来る。有機ポリイソシアネートとしては、例えば芳香族ポリイソシアネート類(例えばジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネートなど)、脂肪族ポリイソシアネート類(例えばヘキサメチレンジイソシアネートなど)、脂環族ポリイソシアネート類(例えばイソホロンジイソシアネートなど)、芳香族・脂肪族ポリイソシアネート類(例えばキリレンジイソシアネート)、さらにこれらのイソシアネート類と低分子量ポリオールとを予め反応させて得られるポリイソシアネート類を挙げる事が出来る。
このポリウレタン系樹脂の製造は公知の方法により行う事が出来る。製造の際に生成プレポリマー中の未反応のイソシアネート基が2個以上存在するようにする必要がある。このイソシアネート基はブロック化することが好ましく、特に水系塗液を調製するときはこのブロック化は必須である。このブロック化はイソシアネートのブロック化として良く知られているものであり、加熱によって遊離イソシアネート基を再生出来るものである。ブロック化剤としては、例えば重亜硫酸塩類、アルコール類、オキシム類、活性メチレン化合物、イミダゾール類、ラクタム、イミン化合物、アミド化合物、イミド化合物などを挙げる事が出来る。
これらブロック化剤とポリウレタンプレポリマー中のイソシアネート基との反応は、常温〜100℃の温度で行う事が出来、必要に応じてウレタン化触媒を用いる事が出来る。ここで、ポリウレタンプレポリマーには安定な水分散性、水溶性を付与するために、分子内に親水性基を導入するとよい。この親水性基としては、−SOM(ここで、Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属である)、−OH、−COOR(ここで、Rはアンモニア、第三級アミンの残基である)などを例示出来る。これらのうち特にアンモニア、または第三級アミンで中和されたカルボキシル基が好ましい。アンモニア、または第三級アミンで中和されたカルボキシル基をポリウレタンプレポリマー中に導入するには、例えばポリウレタンプレポリマー合成時反応原料の一つとしてカルボキシル基含有ポリヒドロキシ化合物を用いる方法、未反応イソシアネート基を有するポリウレタンプレポリマーの該イソシアネート基に水酸機含有カルボン酸やアミノ基含有カルボン酸を反応させ、ついで反応生成物を高速攪拌中下でアンモニア水または第三級アミン水溶液中に添加し中和する方法、などの方法がある。
これらの印刷面および裏面の樹脂成分は、塗布層中に30〜95重量%の範囲で含まれる事が好ましい。30重量%を下回ると膜強度が不足し、摩擦などの外力が加わった際に膜の脱落が生じ易くなる。さらに、粒子の脱落が生じ易くなる。また、95重量%を上回ると膜としての強度は向上するが、帯電防止性能、滑り性等の目的とする性能が発現しにくくなる。好ましくは50〜90重量%である。
本発明の易滑面における(b)スルホン酸塩基を有する化合物は、帯電防止性を付与する目的で使用する物質であり、例えばスルホン酸塩基を有する不飽和単量体(例えばビニルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸アンモニウム、メタクリルスルホン酸カリウム、スチレンスルホン酸リチウム等)の1種以上の重合体からなる高分子型帯電防止剤や、R−SOX(ここで、Rはアルキル基、アリール基、又はアルキル基を有する芳香族基を、Xは金属イオン(例えばLi,Na,K等)、アンモニウムイオン、アミンイオン、リン酸エステルイオンを示す。)の低分子型帯電防止剤やその二量体等が挙げられるが、それに限る物ではなく、耐熱性に優れたスルホン酸塩基を有し、帯電防止性が発現すれば良い。
前記アルキルスルホン酸塩としてはペンタンスルホン酸ソーダ、オクタンスルホン酸ソーダ、オクタンスルホン酸リチウム、オクタンスルホン酸カリ、テトラデシルスルホン酸ソーダ等を、前記アリールスルホン酸塩としてはベンジルスルホン酸ソーダ、トルイルスルホン酸ソーダ、ナフチルスルホン酸ソーダ等を、アルキル基を有する芳香族スルホン酸塩としてはアルキル(C8〜C20)ベンゼンスルホン酸金属塩(例えばLi,K,Na等);例えばドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ等、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、アルキルフェニールエーテルジスルホン酸ソーダ等を、それぞれ例示することができる。
またスルホン酸塩基を有する不飽和単量体の重合体からなる高分子型帯電防止剤は、例えばポリスチレンスルホン酸塩のような分子内にスルホン酸塩基成分を含有するスチレン系樹脂を使用することが好ましい。この高分子型帯電防止剤の特徴は、そのスルホン酸成分の親水性の高さにある。分子内にスルホン酸塩基成分を含有するスチレン系樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸のナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩などのホモポリマー、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどのアクリル系単量体とスチレンスルホン酸単量体との共重合物などが挙げられる。
本発明で使用されるポリスチレンスルホン酸塩の分子量は1千〜15万、好ましくは1万〜7万が好ましい。分子量が1千以下になると塗膜の耐水性が得られなくなり、15万以上になると、共重合ポリエステルとの均一混合が困難になる。
本発明のスルホン酸塩基を有する化合物の各層に混合比率は低分子化化合物の場合は0.5〜15重量%、好ましくは2〜10重量%、高分子化合物場合は5〜50%重量、好ましくは10〜30重量%である。低分子化合物、高分子化合物を混合して使用してもかまわない。添加した面の目標の表面抵抗値として、23℃、50%RHの条件で10の13乗以下にしないと、帯電によるともずれにより枚葉フィルムの搬送性が満足出来ず、高速印刷機における使用が困難になる。
本発明の平均粒子径φ1〜5μmの粒子としては、無機系としては、シリカ、炭酸カルシウム、アルミナ等があり、有機系粒子としては、ポリオレフィン、アクリル、スチレン、ウレタン、ポリアミド、ポリエステルなどが例示できるがこれらに限定されるものではない。粒子の粒径としてより好ましくは1〜3μmの範囲である。また概粒子の樹脂成分に対する混合比率は0.3〜10%、好ましくは0.7〜5%である。粒径が1μm以下であったり、混合比率が0.3%以下であると、適度な凹凸が形成されず、その結果フィルム間に空気層が溜まりにくく、加重解放直後の摩擦を下げることが出来ず、印刷速度が上げられない。10μmを超えたり、混合比率が10%以上であると、ヘイズが高くなり透明性が悪化、粒子脱落による印刷面の汚れや印刷品位の問題、機台の汚染が発生する。
本発明の易滑面におけるワックス類は、透明性の阻害、製膜工程での飛散、圧着時のブロッキング発生などがないものであれば特に限定されるものではなく従来公知のものが使用可能である。例えば、高級脂肪酸エステル類、カルナバワックス、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン系、ポリプロピレン系などの水分散性または水溶性のワックス類が例示できる。好ましくは高分子系ワックスであり、分子量は1000〜10000でありより好ましくは1500〜6000の範囲である。分子量が1000を下回るものは塗布層からの滲み出しによる印刷面への転移汚染が生じやすくインキの転移性、インキ密着力に悪影響を与える。分子量が10000を超えるものは滑り性の改善効果が不充分になる。ワックス成分の樹脂成分に対する混合比率は1〜10%、好ましくは2〜8%である。少ない場合は、充分に摩擦係数を下げることが出来ず印刷速度が上げられない。多い場合はワックス成分の脱落による印刷面への汚染、さらには透明性、ヘイズの悪化を招く。
該塗布層の塗布する段階としては、フィルムの延伸前に塗布する方法、縦延伸後に塗布する方法、配向処理の終了したフィルム表面に塗布する方法などのいずれの方法も可能であるが中でも基材ポリエステルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、その後、少なくとも1方向に延伸した後、ポリエステルフィルムの結晶配向を完了させる、インラインコート法が本発明の効果をより顕著に発現させることができるので好ましい方法である
該共重合ポリエステルとスルホン酸塩基を有する化合物は親水性の差があり分離し易いため、コート液は塗布直前に1000(1/秒)以上のせん断速度をかけた直後2秒以内に基材に塗布、その後2秒以内に70℃以下、湿度50%RH、風速10〜20m/秒で1〜3秒予備乾燥後、90℃以上で乾燥する。これにより共重合ポリエステル樹脂とスルホン酸塩基を有する化合物が均一に分散し、良好な表面抵抗値が得られる。乾燥後、延伸後の熱固定条件はに規制は無いが、特に印刷層でポリエステル系グラフト共重合体を使用する場合は、ポリエステル系グラフト共重合体のもつ自己架橋性を発現するために、基材フィルム及び該グラフト共重合体に熱劣化が起こらない範囲内で、熱量を多くする条件が好ましい。具体的には200℃〜250℃、さらに好ましくは220℃〜250℃である。ただし熱固定時間を長くすることにより、比較的低い温度でも、十分な自己架橋性を発現するため、上記の条件に限らない。
塗布層を設ける方法としては、グラビアコート方式、キスコート方式、ディップ方式、スプレイコート方式、カーテンコート方式、エアナイフコート方式、ブレードコート方式、リバースロールコート方式など通常用いられている方法が適用できる。
塗布層の厚みは特に限定しないが、本発明においては乾燥塗布厚みが0.05〜1.0μm、好ましく、より好ましくは0.07〜0.5μm、更に好ましくは0.09〜0.3μmである。
本発明の塗液中には、本発明の効果を阻害しない範囲において公知の添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機潤滑剤、有機または無機の粒子(例えば、平均粒径0.02μmのコロイダルシリカ等)、核剤等を添加しても良い。
本発明においては、フィルム印刷面とその反対面の易滑面との滑りが従来に無く良好である。これは印刷面の樹脂の高い架橋効果、両面に含有する平均粒子径1〜10μmの粒子によるフィルム間での空気保持効果、少なくとも裏面に含有するスルホン酸金属塩による静電気密着防止効果、さらに裏面に含有する高分子系ワックス成分による静摩擦係数の低下による。これらがすべて揃わないと、断裁したフィルムの静止状態から動き始めた時の滑らかさの不足、棒積み状態からの搬送性、給紙時の噛み込み安定性に劣り、印刷速度を高めることが出来ない。
本発明においては、両面に塗布層を有しながらも高い透明性を有する。これは基材フィルムに意識的な添加粒子を含まないためであり、これにより、透過光による照明時の明るさの達成、易滑面側(非印刷面)からフィルムを通して印刷面を見た場合の鮮鋭性の達成を得ている。
本発明においては印刷面が、用いられるUV硬化型印刷インキおよび溶剤型印刷インキに対する密着力がJIS−K5400に示す碁盤目評価にて1mm角桝目の数100枡のうち80枡以上が残存することが好ましく、より好ましくは100枡のうち96枡以上が残存することである。密着力がこの値を下回ると印刷後のインキ脱落が生じ、外観の低下、ハンドリング性の低下につながる。一般的にオフセット印刷ではインキ厚みが1μm〜数μmであるためインキ脱落は生じにくいが、スクリーン印刷では数μm〜10μm以上の場合があり、スクリーン印刷インキにも対応できる密着力を有する性能が印刷用透明ポリエステルフィルムには必要である。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明を以下の実施例に基づいて説明するが本発明はこれらによって限定されるものではない。本発明における諸特性の評価は以下に示す方法に従って実施した。
(試験方法)
(1)摩擦係数
易印刷面と易滑面との間の静摩擦係数(μs)および動摩擦係数(μs)についての測定は、JIS−C2151に準拠
平板用試験片:幅130mm、長さ250mmで非印刷面側を使用
そり用試験片:幅120mm、長さ120mmで印刷面側を使用
測定雰囲気:23℃、50%RH
そり重量:200g
試験速度:150mm/分。
(2)耐圧着性
JIS K5600−3−5に準拠
試験片:幅30mm、長さ150mm
表裏を90度の角度で重ね合わせた状態で、油圧プレスを用いて荷重0.1MPaを24時間印加
判定方法として、透過光による目視観察および剥離時の抵抗を観察した;
○は、密着による虹模様無く、剥離時も軽く剥離したことを示す;
△は、虹模様は未発生だが剥離音が発生したことを示す;
×は、密着による虹模様が発生し剥離音を伴いながら剥離したことを示す。
(3)棒積時の密着
フィルム厚み188μmで菊全判(636×939mm)に断裁したものを用意、これを200枚ずつ包装したものを10束重ねて重さ約10kgのプラスチック製パレットの上に載せた、同じ形で用意したパレットをその上に重ね2段積みにし、その状態で3日間放置した(環境雰囲気:20℃×65%RH)。その後、最下段のフィルム包みを取り出し、フィルムの密着状態を観察した。
判定方法として、最下段のフィルム包みを取り出し、そのフィルムの密着状態を観察した;
○は、密着が無かったことを示す;
△は、密着による虹模様は無いが、長辺の両端をつかみ90度に曲げると剥離音が発生したことを示す;
×は、密着による虹模様が発生し、90度に曲げると剥離音を伴いながら剥離したことを示す。
(4)水との接触角
サンプルを23℃、65%RHの雰囲気下で24時間放置後、その雰囲気下で接触角計(協和界面化学製、CA−X)を用い、同様の条件下で保管した蒸留水を用いてサンプルの印刷面表面と水との接触角を測定した。測定は10点おこないそれらの平均値を接触角の値とした。
(5)光線透過率、ヘイズ
JIS−K7105に準拠し、積分球式光線透過率測定装置(日本電色工業製、NDH−1001DP)を用いて、全光線透過率およびヘイズを測定した。
(6)表面固有抵抗率
表面抵抗計(三菱油化(株)製、HIRESUTA MCP HT-260)を用い、23℃、50%RHの雰囲気中におけるポリエステルフィルムの帯電防止層の表面固有抵抗率(Ω/□)を測定した。測定条件は次の通り。
印加電圧:500V
測定時間:10秒
使用プローブ:TypeHRS
(7)印刷機テスト
・使用印刷機:ハイデルベルグ スピードマスター 8色刷り機
印刷速度 低速時:4000枚/時間
・フィルム寸法:菊全判(636×939 mm)
・判定基準 :
○は、紙詰まりが未発生であったことを示す;
△は、印刷開始後、1000枚当たりに1回は搬送不良発生であったことを示す;
×は、印刷開始後、30枚以内で搬送不良が発生したことを示す。
(8)インキ密着力
JIS−K5400に示す碁盤目評価に準拠;
フィルムの印刷面に下記インキを印刷後、クロスカットガイドを用いて1mm桝目100個をカッター刃で作成した。その後、ニチバンセロハンテープを用いて、桝目部分の密着力を評価した(残存升目数96以上で○、80〜95で△、79以下は×);
・UV硬化型インキ:
東華色素「ベストキュアー161(RIテスターによる印刷後100mjのUV照射)
セイコーアドバンス「UVA」(#300スクリーン印刷後500mjのUV照射
・溶剤型インキ:
東洋インキ「TSP−400G」(RIテスターによる印刷後24時間放置乾燥)
十條インキ「テトロン」(#250スクリーン印刷後24時間放置乾燥)
(9)平均粒子径
少なくとも200個以上の粒子を電子顕微鏡法により複数枚写真撮影し、OHPフィルムに粒子の輪郭をトレースし、該トレース像を画像解析装置にて円相当径に換算して算出した。種類の異なる粒子を併用している場合は、X線マイクロアナライザーでマッピング処理して、粒子の種類と存在位置を電子顕微鏡写真と対比させて判別した。
(実施例1)
(1.1 疎水性共重合性ポリエステルの調製)
攪拌機、温度計および部分還流式冷却器を具備したステンレス製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート218部、ジメチルイソフタレート194部、エチレングリコール488部、ネオペンチルグリコール200部およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5部を仕込み、160℃から220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行った。次いでフマル酸13部およびセバシン酸51部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温しエステル化反応を行った。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、0.22mmHgの減圧下で1時間30分反応させポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステルは、淡黄色透明であった。
(1.2 水分散性ポリエステル系グラフト共重合体の調製)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、疎水性共重合性ポリエステル75部、メチルエチルケトン56部およびイソプロピルアルコール19部を入れ、65℃で加熱、撹拌し樹脂を溶解した。樹脂が完溶した後、無水マレイン酸15部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5部を12部のメチルエチルケトンに溶解した溶液を0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノールを5部添加した。次いで、水300部およびトリエチルアミン15部を反応溶液に加え、1時間半撹拌した。その後、反応器内温を100℃に上げメチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散性ポリエステル系グラフト共重合体を得た。得られたポリエステル系グラフト共重合体は、淡黄色透明で、ガラス転移温度は40℃であった。
(1.3 塗液Aの調製:印刷面)
水とイソプルピルアルコールの重量比60/40の混合溶媒に全固形分濃度が5%となるように、水分散したポリエステル系グラフト共重合体、粒子として平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子(日本触媒製)、平均粒径0.02μmのコロイダルシリカ(触媒化成製)をそれぞれ固形分重量比で「50/1/3」になるよう混合し、塗液Aを調整した。
(1.4 塗液Bの調製:裏面)
水とイソプルピルアルコールの重量比60/40の混合溶媒に全固形分濃度が5%となるように、水分散性ポリエステル系共重合体(東洋紡製、バイロナールMD−16)と、スルホン酸金属塩としてドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム(松本油脂製、アニオン系帯電防止剤)、高分子系ワックス剤としてポリエチレン系エマルジョンワックス(東邦化学製)、粒子として平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子(日本触媒製)、平均粒径0.04μmのコロイダルシリカ(日産化学製)をそれぞれ固形分重量比で「50/2.5/2.5/0.5/5」になるよう混合し、塗液Bを調整した。
(1.5 ポリエステルフィルムの作製)
原料として固有粘度が0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート(PET)を用いかつ粒子を含有しないペレットを135℃で6時間減圧乾燥(1.3hPa)した後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出して表面温度20℃に保った金属ロール上で静電密着法を用いて急冷固化し、厚さ1900μmのキャストフィルムを得た。次にこのキャストフィルムを、加熱されたロール群および赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後、周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して一軸配向PETフィルムを得た。次いで上記の塗液AおよびBを一軸配向PETフィルムのそれぞれの面にリバースコート法で塗布した。ロールギャップ間で1000(1/秒)以上のせん断速度をかけ、2秒以内に基材に塗布後、65℃、湿度60%RH、風速15m/秒、2秒間乾燥後、130℃、風速20m/秒で3秒間乾燥し水分を除去した後、連続的に端部をクリップで把持しながらテンターに導き、120℃に加熱して3.7倍に横延伸し、幅固定して230℃で5秒間の熱処理を施し、更に200℃で幅方向に4%緩和させることにより、厚さ188μmの二軸延伸された両面塗布ポリエステルフィルムを得た。最終的な塗液A、Bの乾燥塗布量は共に0.1g/mであった。評価結果を表1に示す。
(実施例2)
印刷面の塗液Aを、水分散性ポリエステル系共重合体(東洋紡製、バイロナールMD−16)/ブロックイソシアネート基を有する自己架橋型ポリウレタン樹脂(第一工業製薬社製、エラストロンH−3)/ポリウレタン用触媒(第一工業製薬社製、Cat64)/平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子/平均粒径0.02μmのコロイダルシリカをそれぞれ固形分重量比で「25/25/0.25/3/3」に変えた以外は、実施例1と同様にして最終的にフィルム厚みが188μmの両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例3)
印刷面の塗液Aを、水分散性ポリエステル系共重合体(東洋紡製、バイロナールMD−16)/平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子/平均粒径0.02μmのコロイダルシリカをそれぞれ固形分重量比で「50/3/3」に変えた以外は、実施例1と同様にして最終的にフィルム厚みが188μmの両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例4)
易滑面の塗液Bを水分散性ポリエステル系共重合体(東洋紡製、バイロナールMD−16)/ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム(松本油脂製、アニオン系帯電防止剤)/てポリエチレン系エマルジョンワックス(東邦化学製)/平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子(日本触媒製)/平均粒径0.04μmのコロイダルシリカ(日産化学製)をそれぞれ固形分重量比で「50/5/2.5/0.5/5」に変えた以外は、実施例1と同様にして最終的にフィルム厚みが150μmの両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例5)
易滑面の塗液Bの水分散性ポリエステル系共重合体(東洋紡製、バイロナールMD−16)を印刷面の塗布液で使用したポリエステル系グラフト共重合体に変えた以外は、実施例1と同様にして最終的にフィルム厚みが75μmの両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例6)
印刷面の塗液Aを、ポリエステル系グラフト共重合体/ドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウム/平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子/平均粒径0.02μmのコロイダルシリカをそれぞれ固形分重量比で「50/0.5/1/3」に変えた以外は、実施例1と同様にして最終的にフィルム厚みが125μmの両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例7)
印刷面の塗液Aを水分散したポリエステル系グラフト共重合体/ポリスチレンスルホン酸アンモニウム塩、分子量70、000(日本NSC(株)製)/平均粒径2.2μmのスチレン−ベンゾグアナミン系球状有機粒子(日本触媒製)/平均粒径0.02μmのコロイダルシリカ(触媒化成製)をそれぞれ固形分重量比で「50/10/1/3」になるよう混合した以外は、実施例1と同様にして最終的にフィルム厚みが150μmの両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(実施例8)
実施例1における(1.1 疎水性共重合性ポリエステルの調製)、(1.2 水分散したポリエステル系グラフト共重合体の調製)を下記の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして厚さ188μmの二軸延伸された両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(8.1 疎水性共重合ポリエステル樹脂の調製)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート163重量部、ジメチルイソフタレート163重量部、1,4ブタンジオール169重量部、エチレングリコール324重量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5重量部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。次いで、フマル酸14重量部およびセバシン酸203重量部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、29Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂は、淡黄色透明であった。
(8.2 水分散性ポリエステル系グラフト共重合体の調製)
撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、共重合ポリエステル樹脂(A−1)75重量部、メチルエチルケトン56重量部およびイソプロピルアルコール19重量部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、無水マレイン酸15重量部をポリエステル溶液に添加した。次いで、スチレン10重量部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5重量部をメチルエチルケトン12重量部に溶解した溶液を、0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール5重量部を添加した。次いで、水300重量部とトリエチルアミン15重量部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。その後、反応器の内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、水分散性グラフト重合樹脂B−1を得た。該水分散性グラフト樹脂(B−1)は淡黄色透明であった。
(比較例1)
実施例1において、裏面の塗液Bから高分子系ワックス剤を抜いた以外は、実施例1と同様にして両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、印刷面の塗液Aから平均粒子径2.2μmの粒子を抜いた以外は、実施例1と同様にして両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例4において、印刷面の塗布液へのドデシルジフェニルオキサイドジスルホン酸ナトリウムを増加させそれぞれ固形分重量比で「50/2.5/2/5に変えた以外は実施例1と同様にして両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
(比較例4)
実施例1において、基材フィルムに平均粒子径1.4μmのシリカを0.3重量%含む固有粘度0.62dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂に変更し、さらに両面の塗布層に含む平均粒子径2.2μmの粒子を抜いた以外は、実施例1と同様にして両面塗布ポリエステルフィルムを得た。評価結果を表1に示す。
Figure 2005186484
本発明の印刷用透明ポリエステルフィルムは、印刷面側では優れたインキ密着力、湿し水適性、枚葉印刷機給紙安定性、透明性が得られるため、ダミー缶や各種商業印刷などにおけるオフセット印刷用透明フィルムとして好適なことはもちろん、高いインキ密着力が求められるスクリーン印刷用途、印刷後に後加工する用途になど幅広い印刷用途に好適である。さらに、本発明の印刷用透明ポリエステルフィルムは、耐棒積性、滑り性が向上し、高速度で給紙・搬送を行う多色刷り枚葉オフセット印刷機に適合できる。

Claims (3)

  1. ポリエステル基材フィルムの両面に塗布層を有するフィルムであって、該フィルムの片面は、以下:
    (a)ポリエステル系グラフト共重合体、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂;ならびに
    (c)平均粒子径φ1〜5μmの粒子、
    を含む塗布層で形成された易印刷面であり、
    該易印刷面の反対面は、以下:
    (a)ポリエステル系グラフト共重合体、共重合ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂およびアクリル系樹脂からなる群から選択される1種以上の樹脂;
    (b)スルホン酸基を有する物質;
    (c)平均粒子径φ1〜5μmの粒子;ならびに
    (d)ワックス類、
    を含む塗布層で形成された易滑面であり、
    該フィルムの厚みが50〜250μmであり、ヘーズが2%以下であり、該印刷面と易滑面との間の静摩擦係数および動摩擦係数が共に0.5以下であり、該易印刷面の水との接触角が60度以上であり、JIS K5600−3−5に準拠した耐圧着性試験において、該易印刷面と該易滑面とを重ね合わせた状態で、荷重0.1MPaを24時間印加した後に密着しないことを特徴とする、印刷用ポリエステルフィルム。
  2. 前記易印刷面の塗布層が、二重結合を有する酸無水物を含有する少なくとも1種のモノマーからなるラジカル重合体を5重量%以上含有するポリエステル系グラフト共重合体を含むことを特徴とする、請求項1に記載の印刷用ポリエステルフィルム。
  3. 前記易印刷面または易滑面の塗布層の少なくとも一方が、少なくとも一軸以上に延伸され、熱固定されたことを特徴とする、請求項1に記載の印刷用ポリエステルフィルム。




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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016193759A (ja) * 2015-04-01 2016-11-17 住友ベークライト株式会社 青果物カビ増殖抑制包装袋、青果物入り包装体および青果物の鮮度保持方法

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