JPH08118572A - 積層ポリエステルフィルム及びその製造方法 - Google Patents

積層ポリエステルフィルム及びその製造方法

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JPH08118572A
JPH08118572A JP6259985A JP25998594A JPH08118572A JP H08118572 A JPH08118572 A JP H08118572A JP 6259985 A JP6259985 A JP 6259985A JP 25998594 A JP25998594 A JP 25998594A JP H08118572 A JPH08118572 A JP H08118572A
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polyester film
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育 高田
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、
水溶性高分子プロトン酸及び/又はその塩によるポリア
ニリン水分散体を主体とする積層膜を設けたことを特徴
とする積層ポリエステルフィルムに関するものである。 【効果】 本発明によって得られる積層ポリエステルフ
ィルムは、帯電防止性、更には易接着性に優れた積層膜
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は積層ポリエステルフィル
ム及びその製造方法に関し、詳しくは帯電防止性、更に
は易接着性に優れた積層ポリエステルフィルム及びその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムは、機械
的性質、電気的性質、寸法安定性、耐薬品性等に優れた
特性を有することから、磁気記録材料、感光材料、製図
材料、写真材料、包装材料、電気絶縁材料等多くの分野
の基材フィルムとして使用されている。しかし、基材そ
のものが絶縁体であるため、静電気による帯電が著しい
こと、表面が高度に結晶配向されているため、各種塗
料、接着剤、インキ等との接着性が乏しい等の欠点を有
している。そのため従来からポリエステルフィルム表面
に種々の方法で帯電防止性を付与したり、易接着性を与
えたりしてきた。
【0003】帯電防止性を付与する方法としては、基材
ポリエステルフィルム中に各種の帯電防止剤、例えばド
デシルベンゼンスルホン酸またはその塩等の低分子量界
面活性剤、ポリスチレンスルホン酸またはその塩を練り
込んだり、あるいは塗剤中に低分子量界面活性剤を配合
して塗布したりする方法(特開昭50−30979等)
が取られてきた。
【0004】又、易接着化のための方法としては、フィ
ルム表面のコロナ放電処理、紫外線照射処理、プラズマ
処理、火焔処理等による表面活性化法、酸、アルカリ、
アミン水溶液、トリクロロ酢酸等の薬剤による表面エッ
チング法、フィルム表面にポリエステル、アクリル、ポ
リウレタン等の各種樹脂をプライマ層として設ける方法
(特開昭55−15825、特開昭58−78761
等)が既に知られている。特に、塗布によって帯電防止
性や易接着性を付与する方法として、結晶配向が完了す
る前のポリエステルフィルムに塗布し、乾燥後、延伸、
熱処理を施して結晶配向を完了させる方法(インライン
コート法)が盛んに行われている。この方法は、二軸延
伸後のポリエステルフィルムに塗剤を塗布して積層膜を
形成する方法と比べて、フィルム製膜と塗布工程を一連
の工程中で実施するため、コスト面で有利であるだけで
なく、積層膜と基材フィルムとの密着性が良好なものが
得られるという特徴がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ドデシルベン
ゼンスルホン酸又はその塩等の低分子量界面活性剤など
を練り込んだり、塗剤中に配合して塗布したものは、帯
電防止剤が表面や界面にブリードアウトしたり、経時と
ともにマイグレーションを起こし弱境界層を形成するた
め、基材フィルムとの密着性や各種バインダとの接着性
を低下させる等の欠点がある。更に、インラインコート
法に適用した場合には、結晶配向を完了させるための高
温での熱処理よってその帯電防止性を失う等の欠点を有
する。
【0006】また、ポリマタイプでは上記した問題の発
生は抑えられるが、導電性高分子であるポリアニリンは
一般に水不溶性で、N−メチル−2−ピロリドン等の有
機溶媒にのみ可溶である。この時、塗布工程上の問題点
として、高価な防爆装置が必要である、有機溶媒の回収
設備が必要である等、多くの問題がある。
【0007】ポリスチレンスルホン酸又はその塩を練り
込んだものは、ポリエステルとの親和性が悪いため、延
伸により界面が剥離するといった現象が生じポリエステ
ルフィルムの特性が悪化するという欠点が発生し、塗布
した場合にも二軸延伸によって塗膜に亀裂が生じ、帯電
防止性や密着性を低下させるという欠点を有している。
【0008】易接着化のための基材表面の活性化処理で
は、一時的な濡れ性の改良による接着性向上は期待でき
るが、経時的に失効するものであるし、それによって得
られる接着力は必ずしも満足できるものではない。ま
た、エッチング法では、強固な接着性は期待できるもの
の、処理液自身が有害であったり、大気汚染源となる
上、装置面の発錆、腐食の原因となるため、万全の注意
を必要とする問題がある。プライマ層を設ける方法で
は、プライマ層を別工程で塗布し、その上に所望のバイ
ンダ層を設ける方法が一般的であり、処理工程中にゴミ
等が混入し、清浄な表面が得られないという欠点を有す
る。特に磁気材料などの精密な品質を要求される用途に
は不向きである。
【0009】本発明の目的は、まず第一に帯電防止性に
優れた積層二軸配向ポリエステルフィルムを提供するこ
とにあり、更に易接着性が改良され、基材フィルムとの
密着性も良好な積層二軸配向ポリエステルフィルムを提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエステル
フィルムの少なくとも片面に、水溶性高分子プロトン酸
及び/又はその塩によるポリアニリン水分散体を主体と
する積層膜を設けることをその骨子とするものである。
【0011】本発明のポリエステルとは、エステル結合
を主鎖の主要な結合鎖とする高分子の総称であって、好
ましいポリエステルとしては、エチレンテレフタレー
ト、エチレンナフタレート、ブチレンテレフタレート等
から選ばれた少なくとも1種の構成単位を主要構成成分
とするものが挙げられる。これら構成単位は1種のみ用
いても、2種以上併用してもいずれでもよいが、中でも
品質、経済性を総合的に判断するとエチレンテレフタレ
ートを主要構成成分とするポリエステルが特に好まし
い。また、電子写真、感熱記録、各種印刷などの情報記
録用受像シートなど、基材に熱が作用する用途において
は耐熱性や剛性に優れたポリエチレンナフタレートが好
ましい。
【0012】また、これらポリエステルには、更に他の
ジカルボン酸成分やジオール成分が一部、好ましくは2
0モル%以下共重合されていてもよい。
【0013】更に、このポリエステル中には、公知の各
種添加剤、例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、対候安定
剤、紫外線吸収剤、有機の易滑剤、顔料、染料、有機ま
たは無機の微粒子、帯電防止剤、核剤等がその特性を悪
化させない程度に添加されていてもよい。
【0014】上述したポリエステルの極限粘度(25
℃、o-クロロフェノール中で測定)は、0.40〜1.
20dl/gが好ましく、更に好ましくは0.50〜
0.80dl/gの範囲にあるものが本発明の内容に好
適である。
【0015】上記ポリエステルを使用したポリエステル
フィルムは積層膜が設けられた状態においては二軸配向
されたものが好ましい。二軸配向ポリエステルフィルム
とは、未延伸状態のポリエステルシートまたはフィルム
を長手方向および幅方向に通常各々2.5〜5.0倍程
度延伸され、その後熱処理を施し、結晶配向を完了させ
たものであり、広角X線解析で二軸配向パターンを示す
ものをいう。
【0016】ポリエステルフィルムの厚みは特に限定さ
れず、用途に応じて適宜選択される。
【0017】水溶性高分子プロトン酸及び/又はその塩
によるポリアニリン水分散体は、以下の方法により得る
ことができる。塩酸等の酸性水溶液中で、モノマとして
アニリンもしくはその誘導体を溶解し重合原液とする。
また、これとは別に上記モノマを化学酸化重合させる酸
化剤として過硫酸アンモニウム等を上記アニリンもしく
はその誘導体1モルに対して0.1〜10モル程度溶解
した酸化剤水溶液を調製し、これを上記重合原液中に徐
々に滴下しよく撹拌する。重合系の真空度は常圧でも減
圧下でもよく、雰囲気についても不活性ガス下でも空気
中でも良い。反応温度は、−10℃〜系の沸点以下、好
ましくは室温以下で反応させることが望ましい。また、
重合は速やかに進行するが、数分から数十時間、好まし
くは数十分から数時間かけて撹拌させることが好まし
い。この時、水溶性高分子プロトン酸及び/又はその
塩、例えばポリスチレンスルホン酸及び/又はその塩等
を反応系中に等モル以上存在させておくと、重合生成物
であるポリアニリン及びその誘導体が上記プロトン酸等
によってドーピングされ、更にポリスチレンスルホン酸
及び/又はその塩との相互作用によって水分散体として
得られる。反応後は、不純物を含んだ溶液状態になって
いるため、水混和性有機溶媒中に投入し、ポリアニリン
を沈殿させ、濾取、洗浄、乾燥後、水に再溶解させ目的
とするポリアニリン水分散体を得る。
【0018】本発明で用いる水溶性高分子プロトン酸と
は、ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、
2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等
を挙げることができ、水溶性高分子プロトン酸塩として
は、それらのリチウム、ナトリウム、カリウム等のアル
カリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土
類金属塩、アンモニウム塩あるいはアミン塩等を挙げる
ことができる。
【0019】これら水溶性高分子の分子量は、ポリアニ
リンを水に分散できる範囲のものであれば良いが、通常
は1万から100万のものが好ましく、更に3万から3
0万のものが分散後の液の状態からみてより好ましい。
【0020】本発明においては、上記した水溶性高分子
プロトン酸及び/又はその塩によるポリアニリン水分散
体に、水溶性あるいは水分散性樹脂を加えることによっ
て更に密着性も向上させることができる。用いる水溶性
あるいは水分散性樹脂としては、ポリエステル樹脂、ア
クリル樹脂、ポリウレタン樹脂等、あるいはそれらの混
合物を挙げることができる。
【0021】該ポリエステル樹脂としては、従来公知の
もので特に限定されないが、全ジカルボン酸成分のう
ち、少なくとも60モル%以上が芳香族ジカルボン酸、
7〜40モル%(好ましくは10〜20モル%)がエス
テル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物であり、全
グリコール成分のうち60モル%以上が脂肪族または脂
環族グリコール、0〜40モル%(好ましくは1〜18
モル%)がジエチレングリコールからなる共重合ポリエ
ステル樹脂が好ましい。更に分子量400〜10000
のポリエチレングリコールを5〜30重量%含有したポ
リエーテルエステルを用いてもよい。
【0022】本発明における共重合ポリエステル樹脂の
芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソ
フタル酸、フタル酸、2,5−ジメチルテレフタル酸、
1,4−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボ
ン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,2−ビス
(フェノキシ)エタン−p,p−ジカルボン酸及びそれ
らのエステル形成性誘導体を用いるのが好ましい。ま
た、エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物と
しては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル
酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,
7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリコー
ル、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)
ベンゼン等のアルカリ金属塩(スルホン酸のアルカリ金
属塩を示す)及びこれらのエステル形成性誘導体を用い
るのが好ましく、5−スルホイソフタル酸、スルホテレ
フタル酸のナトリウム塩及びこれらのエステル形成性誘
導体を用いるのが好ましい。また、他の共重合成分とし
て脂肪族、脂環族等のジカルボン酸を用いてもよい。
【0023】本発明における共重合ポリエステル樹脂の
グリコール成分の脂肪族または脂環族グリコールとして
は、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノール等を用いるのが好ましい。
【0024】本発明のポリエステルフィルムに積層する
共重合ポリエステル樹脂の製造方法としては、例えば酸
成分としてテレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、グリコール成分としてエチレングリコール、ジ
エチレングリコールからなる水溶性共重合ポリエステル
について説明すると、テレフタル酸、5−ナトリウムス
ルホイソフタル酸とエチレングリコール、ジエチレング
リコールとを直接エステル化反応させるか、テレフタル
酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチ
ル及びエチレングリコール、ジエチレングリコールとを
エステル交換反応させる第一段階と、この第一段階の反
応生成物を重縮合反応させる第二段階とによって製造す
る方法等を挙げることができる。
【0025】この際、反応触媒として、従来公知のアル
カリ金属、アルカリ土類金属、マンガン、コバルト、亜
鉛、アンチモン、ゲルマニウム、チタン化合物等が用い
られ、更に着色防止剤としてリン酸化合物等を用いても
よい。
【0026】また、本発明のポリエステルフィルムに積
層する共重合ポリエステル樹脂の極限粘度は特に限定さ
れないが、接着性の点で0.3dl/g以上、好ましく
は0.35dl/g以上、更に好ましくは0.4dl/
g以上が望ましい。
【0027】また、該共重合ポリエステル樹脂には必要
に応じて、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染
料、脂肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤あるいはシ
リコーン等の消泡剤を配合してもよく、更には滑り性等
を付与する目的でクレー、マイカ、酸化チタン、炭酸カ
ルシウム、カオリン、湿式及び乾式法シリカ、コロイド
状シリカ、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ
等の無機粒子、更にはアクリル系、スチレン系のモノマ
を構成成分とする有機粒子や架橋高分子粒子などを配合
してもよい。
【0028】本発明のポリエステルフィルムに積層する
共重合ポリエステル樹脂は、水に溶解し、水溶液として
使用することができる。この水溶液とは、物理的、化学
的な意味で厳密性を有するものではないが、80℃以上
の熱水で0.5〜10時間撹拌溶解させたとき、その5
0重量%以上が溶解あるいは消散するものをいう。
【0029】前記アクリル樹脂としては、従来公知のも
ので特に限定されない。
【0030】該アクリル共重合体のモノマとしては例え
ば、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート
(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、
t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル
基、フェニル基、ベンジル基、フェニルエチル基等)、
2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエ
チルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、等のヒ
ドロキシ基含有モノマ、アクリルアミド、メタクリルア
ミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリ
ルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロ
ールメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリル
アミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メト
キシメチルメタクリルアミド、N−フェニルアクリルア
ミド等のアミド基含有モノマ、N,N−ジエチルアミノ
エチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメ
タクリレート等のアミノ基含有モノマ、グリシジルアク
リレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含
有モノマ、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩
(リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等)等のカル
ボキシル基またはその塩を含有するモノマ等が挙げられ
る。これらは他種のモノマと併用することができる。他
種のモノマとしては例えば、アリルグリシジルエーテル
等のエポキシ基含有モノマ、スチレンスルホン酸、ビニ
ルスルホン酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウム
塩、アンモニウム塩等)等のスルホン酸基またはその塩
を含有するモノマ、クロトン酸、イタコン酸、マレイン
酸、フマール酸及びそれらの塩(ナトリウム塩、カリウ
ム塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基またはそ
の塩を含有するモノマ、無水マレイン酸、無水イタコン
酸等の酸無水物を含有するモノマ、ビニルイソシアネー
ト、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエ
ーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリスアルコキ
シシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキル
フマール酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリ
ロニトリル、アルキルイタコン酸モノエステル、塩化ビ
ニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられる。上
述のモノマは1種もしくは2種以上を用いて共重合され
る。
【0031】前記ポリウレタン樹脂としては、カルボン
酸塩基、スルホン酸塩基、又は硫酸半エステル塩基によ
り水への親和性が高められたものを挙げることができ
る。但し、カルボン酸塩基、スルホン酸塩基、又は硫酸
半エステル塩基等の含有量は、0.5〜15重量%が好
ましい。又、ポリウレタンの合成に用いるポリヒドロキ
シ化合物としては、例えば、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ポリエチレン・プロピレン
グリコール、ポリテトラメチレングリコール、ヘキサメ
チレングリコール、ヘキサメチレングリコール、テトラ
メチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリカプ
ロラクトン、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリテト
ラメチレンアジペート、トリメチロールプロパン、トリ
メチロールエタン、グリセリン等を挙げることができ
る。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキ
サメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソ
シアネート、トリレンジイソシアネートとトリメチロー
ルプロパンの付加物、ヘキサメチレンジイソシアネート
とトリメチロールエタンの付加物などを挙げることがで
きる。
【0032】ここでポリウレタン形成成分の主要な構成
成分は、上記ポリイソシアネート化合物、ポリヒドロキ
シ化合物の他に、鎖長延長剤、架橋剤などを含んでいて
も良い。
【0033】又、分子量300〜20000のポリオー
ル、ポリイソシアネート、反応性水素原子を有する鎖長
延長剤及びイソシアネート基と反応する基、及びアニオ
ン性基を少なくとも1個有する化合物からなる樹脂が好
ましい。
【0034】ポリウレタン樹脂中のアニオン性基は、好
ましくは−SO3 H、−OSO2 H、−COOH及びこ
れらのアンモニウム塩、リチウム塩、ナトリウム塩、カ
リウム塩あるいはマグネシウム塩として用いられる。
【0035】ポリウレタン樹脂中のアニオン性基の量
は、0.05重量%〜8重量%が好ましい。
【0036】積層膜は、本発明の水系塗剤をポリエステ
ルフィルムに塗布することによって形成される。塗布手
段としては、大別してインラインコーティング法とオフ
ラインコーティング法とがあるが、中でも基材ポリエス
テルフィルムの結晶配向が完了する前に塗布し、乾燥
後、少なくとも1方向に延伸された後、ポリエステルフ
ィルムの結晶配向を完了させる、インラインコーティン
グ法が本発明の効果をより顕著に発現させることができ
るので好ましい方法である。即ち、未延伸あるいは長手
方向に延伸された基材ポリエステルフィルムの片面ある
いは両面にコロナ放電処理を施し、その処理面に本発明
の水系塗剤を塗布する。その後、連続的にクリップで把
持しながら約80〜130℃の熱風ゾーンに導き、水分
を除去し、乾燥した後、連続的に幅方向に2.5〜5.
0倍程度に延伸する。その後連続的に160〜240℃
の熱処理ゾーンに導き約1〜30秒の熱処理を行い、結
晶配向を完了させる方法である。また、幅方向の延伸後
であっても熱処理前の段階において更に長手方向に1.
1〜1.8倍の延伸を施してもよい。
【0037】本発明の積層膜中には、本発明の効果を阻
害しない範囲において公知の添加剤、例えば酸化防止
剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機の易
滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、帯電防止
剤、核剤などを添加してもよい。特に架橋剤の添加は易
接着性をより向上させる点で好ましい。架橋剤の具体例
を挙げれば、メチロール化あるいはアルキロール化され
た尿素系、メラミン系、アクリルアミド系、ポリアミド
系、エポキシ系、ブロック化されたイソシアネート化合
物、オキサゾリン化合物、チタンキレート化合物等の有
機金属化合物等がある。
【0038】塗布の方法は、公知の塗布方法、例えばリ
バースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、
ダイコート法等任意の方法を用いることができる。
【0039】次に、本発明の積層ポリエステルフィルム
の製造方法について、ポリエチレンテレフタレート(以
下PETと略称する)を例にして説明するが、当然これ
に限定されるものではない。実質的に粒子を含有しない
PETのペレットを十分に真空乾燥した後、押し出し機
に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しし、冷
却固化せしめて未延伸PETシートを作成する。このシ
ートを80〜120℃に加熱したロールで長手方向に
2.5〜5.0倍延伸して一軸配向PETフィルムを得
る。このフィルムの片面にコロナ放電処理を施し、その
処理面に所定の濃度に希釈した本発明の水溶性高分子プ
ロトン酸及びその塩によるポリアニリン水分散体と、水
溶性あるいは水分散性樹脂とを主体とする混合物の水系
塗剤を塗布する。塗布後、フィルムの端部をクリップで
把持して80〜130℃に加熱された熱風ゾーンに導
き、乾燥後幅方向に2.5〜5.0倍に延伸する。引き
続き160〜240℃の熱処理ゾーンに導き、1〜30
秒間の熱処理を行い、結晶配向を完了させる。この熱処
理工程中で必要に応じて幅方向あるいは長手方向に3〜
12%の弛緩処理を施してもよい。かくして得られた積
層ポリエステルフィルムは帯電防止性、更には易接着性
に優れたものであり、磁気記録材料、印刷用、その他一
般工業材料用ベースフィルム等に好適に使用できる。
【0040】
【特性の測定方法及び効果の評価方法】本発明における
特性の測定方法及び効果の評価方法は次のとうりであ
る。
【0041】(1)塗布層の厚み 日立製作所(株)製透過型電子顕微鏡HU−12型を用
い、積層フィルムの塗布面の断面を観察した写真から求
めた。厚みは測定視野内の30個の平均値とした。
【0042】(2)表面比抵抗 23℃、65%RHの雰囲気中でデジタル超高抵抗/微
小電流計R8340A(アドバンテスト(株)製)を用
いて測定した。
【0043】(3)接着性−1(基材フィルムと積層膜
との密着性) 積層膜に1mm2 のクロスカットを100個入れ、ニチ
バン(株)製“セロハンテープ”をその上に貼り付け指
で強く押し付けた後、90゜方向に急速に剥離し、残存
した積層膜の個数により4段階評価(◎:100、○:
80〜99、△:50〜79、×:0〜49)した。
(◎)、(○)を接着性良好とした。
【0044】(4)接着性−2(磁性塗料接着性) “ダイフェラコート”CAD−4301(大日精化工業
(株)製)100重量部に“スミジュール”N−75
(住友バイエル(株)製)1重量部を加え、固形分濃度
20重量%の塗料を作成し、バーコーターを用いて塗布
し、100℃で5分間乾燥した。接着性評価は上記
(3)と同様の方法で行った。
【0045】(5)平面性 上記(4)で塗布、硬化させた磁性塗料積層体の平面性
を塗布面を上にしてガラス板上に置き、カールの程度を
目視で測定し、以下の基準で評価した。
【0046】 ◎:全くカールがなく、極めて平面性が良好 ○:端部が僅かにカールしているが、良好 △:中央部付近までカールが及んでいる ×:カールが著しい
【0047】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を説明する
が、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0048】実施例1 実質的に粒子を含まないPET(極限粘度0.65dl
/g)ペレットを十分に真空乾燥した後、280℃の加
熱された押し出し機に供給しT字型口金よりシート状に
押し出した。このシートを表面温度50℃の鏡面ドラム
に巻き付けて冷却固化せしめて未延伸PETフィルムを
作成した。このPETフィルムを95℃の加熱ロール郡
を通過させながら長手方向に3.5倍延伸し、一軸配向
フィルムとした。このフィルムの片面にコロナ放電処理
を施し、その処理面に水系塗剤としてポリスチレンスル
ホン酸アンモニウム塩(分子量12万)によるポリアニ
リン水分散体を結晶配向完了後において積層厚みが0.
1μmになるように塗布した。塗布後、連続的に端部を
クリップで把持しながら110℃の加熱ゾーンに導き、
予熱、乾燥を経て幅方向に4.0倍延伸し、更に230
℃の加熱ゾーンで30秒間熱処理を施し、基材PETフ
ィルム厚みが75μm、積層厚みが0.1μmの積層二
軸配向PETフィルムを得た。得られたフィルムは表面
比抵抗が1×108 (Ω/□)であり、帯電防止性に優
れていた。
【0049】比較例1 水系塗剤を塗布せずに、実施例1と同様にして積層ポリ
エステルフィルムを作成した。得られたフィルムは表面
比抵抗が2×1014(Ω/□)であり、帯電防止性に劣
っていた。
【0050】比較例2 実施例1の水系塗剤として水系アクリル樹脂塗剤を用い
た以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィ
ルムを作成した。結果を表1に示す。
【0051】実施例2 実施例1の水系塗剤に水系アクリル樹脂塗剤を添加し水
系塗剤1とした以外は、実施例1と同様にして積層ポリ
エステルフィルムを作成した。結果を表1に示す。
【0052】「水系塗剤1」:下記成分を(A)/
(B)=80/20(重量比)で混合した2重量%液。
【0053】(A):ポリスチレンスルホン酸アンモニ
ウム塩(分子量12万)によるポリアニリン水分散体 (B):メチルメタクリレート/エチルアクリレート/
アクリル酸/N−メチロールアクリルアミドを50/4
5/3/2(重量%)の比率で乳化重合させた分子量約
30万の水系アクリル樹脂 実施例3 実施例2の水系塗剤で、成分(B)アクリル樹脂の代わ
りに下記した共重合ポリエステル樹脂とした水系塗剤2
を用いた以外は実施例1と同様にして積層ポリエステル
フィルムを作成した。結果を表1に示す。
【0054】「水系塗剤1」:下記成分を(A)/
(B)=80/20(重量比)で混合した2重量%液。
【0055】(A):ポリスチレンスルホン酸アンモニ
ウム塩(分子量12万)によるポリアニリン水分散体 (B):共重合ポリエステル樹脂 TPA/SSIA//EG/DEG 87.5 / 12.5 // 95 / 5 (モル%) TPA :テレフタル酸 SSIA:5−ナトリウムスルホイソフタル酸 EG :エチレングリコール DEG :ジエチレングリコール 上記共重合ポリエステル樹脂を90℃の熱水中で、2重
量%となるように1時間撹拌溶解し、室温に冷却後濾過
して使用した。
【0056】実施例4〜6 実施例3の水系塗剤2で、成分(A)ポリアニリン水分
散体と(B)共重合ポリエステル樹脂との混合比を変え
た以外は、実施例1と同様にして積層ポリエステルフィ
ルムを作成した。結果を表1に示す。
【0057】実施例7 ポリエステルフィルムとしてポリエチレンナフタレート
フィルムを用いる以外は、実施例3と同様にして積層ポ
リエステルフィルムを作成した。結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
【発明の効果】本発明によって得られる積層ポリエステ
ルフィルムは、帯電防止性、更には易接着性に優れた積
層膜を有する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 302 V 7415−4F B29C 55/08 7639−4F B32B 7/02 104 9349−4F C08J 7/04 CFD D E // B29K 67:00 B29L 7:00 9:00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルフィルムの少なくとも片面
    に、水溶性高分子プロトン酸及び/又はその塩によるポ
    リアニリン水分散体を主体とする積層膜を設けたことを
    特徴とする積層ポリエステルフィルム。
  2. 【請求項2】 該積層膜が、水溶性及び/又は水分散性
    樹脂を含んでなることを特徴とする請求項1記載の積層
    ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 水溶性及び/又は水分散性樹脂が、水溶
    性及び/又は水分散性共重合ポリエステル樹脂であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の積層ポリエステル
    フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルフィルムがエチレンテレフ
    タレート又はエチレンナフタレートを主要構成成分とす
    るポリエステルからなることを特徴とする請求項1〜3
    記載の積層ポリエステルフィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4記載の積層ポリエステルフ
    ィルムの積層膜を設けるに際し、結晶配向が完了する前
    のポリエステルフィルムの少なくとも片面に、該積層膜
    成分を主体とする水系塗剤を塗布し、次いで乾燥、延
    伸、熱処理を施して結晶配向を完了させたことを特徴と
    する積層ポリエステルフィルムの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO1997037843A1 (fr) * 1996-04-11 1997-10-16 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Stratifie conducteur electriquement
JP2001261984A (ja) * 2000-02-19 2001-09-26 Mitsubishi Polyester Film Gmbh 白色不透明難燃性フィルム
JP2006306106A (ja) * 1998-06-22 2006-11-09 Toyobo Co Ltd 高制電性積層体およびそれを用いた成形品
JP2012214658A (ja) * 2011-04-01 2012-11-08 Teijin Dupont Films Japan Ltd 難燃性ポリエステルフィルム

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