JP2006306106A - 高制電性積層体およびそれを用いた成形品 - Google Patents

高制電性積層体およびそれを用いた成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】低湿度下でも、また水中浸せき後や成形後も帯電防止性に優れ、あらゆる環境下で静電気発生を確実に防止し、且つ、すぐれた透明性、耐ブロッキング性を有し、導電層の欠損率が極めて低い高制電性積層体およびそれを用いた成形品を提供する。
【解決手段】本発明の高制電性積層体は、基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体であって、(1)当該導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS0 )が1011Ω/□以下であり、かつ(2)当該高制電性積層体を40℃純水中に1時間浸漬した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS1 )とRS0 との比(RS1/RS0 )がl0以下であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性、耐ブロッキング性を維持しつつ、低湿度下での帯電防止性及び耐水性、耐温水性に優れた高制電性積層体およびそれを用いた成形品に関する。より詳しくは、本発明は、IC、LSI、シリコンウェーハー、ハードディスク、液晶基板、電子部品等の電子材料の保管、移送、装着に際して、それらの電子材料を静電気等による破壊やゴミの付着等から保護するために、導電性を付与した、キャリアテープ、カバーテープ、容器(トレイ等)、クリーンルームなどに用いられる部屋の仕切り板等に特に好適な、またOHP、X線写真フィルム、銀塩コート写真用フィルム、印画紙、合成紙等の基材に適した高制電性積層体およびそれを用いた成形品に関する。
近年、小型電子部品、特にIC、トランジスタ、ダイオード、水晶発振器等のチップ型電子部品の需要が著しい伸びを示している。これらはプラスチック成形品からなるキャリアテープのポケット(凹部)に収納し、カバーフィルムで密封して包装体として供給または移送され、使用時にカバーフィルムを剥離して取り出して基板等に装着される。
包装体の供給時や移送時にキャリアテープに静電気が発生して帯電したり、またカバーフィルム剥離工程でキャリアテープに帯電がきわめておこり易い。キャリアテープの帯電は電子部品の確実な実装を困難にしたり、静電破壊等の問題を引き起こす。
これらの問題を解消するため、キャリアテープの原材料となるポリスチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂シートには、導電性又は帯電防止性を付与することが行われており、カーボンブラックや、界面活性剤を練り込んだり、塗布する方法が採用されてきた。
しかし、カーボンブラックを絞り込んだ熱可塑性樹脂シートから十分な導電性を有するキャリアテープを得るには、カーボンブラックを10〜30重量%程度添加する必要があり、その結果、成形されたキャリアテープの引張り、引裂強度、伸び等の物性が低下したり、透明性が悪くなるためキャリアテープのポケットに収納された電子部品を確認することが困難となり、光センサー等を用いた位置決めが困難を招く等の問題があった。
上記の問題を解決するために、カーボンブラックをバインダー等に分散させた塗料をプラスチックシート表面に薄く塗工し、導電層の形成と透明性を確保する試みがある。しかし、光線透過率はやや改良されるものの未だ不十分であり、キャリアテープのポケットに収納された電子部品を確認するのが依然として困難である。また、深絞り加工等でポケットを形成する際のシートの伸びにカーボンブラックが追随しないので、所望の導電性が得られないという問題が生じる。
また、界面活性剤を使用したシートから得られるキャリアテープは、透明性が良好であるが、導電性が低く、且つ導電性の湿度依存性が大きいため、安定した帯電防止性能が得られない問題があった。
また、最近では、制電処理された電子材料用容器を繰り返し使用する動きが活発化している。上記のごとき界面活性剤を用いた制電性容器を繰り返し使用のため水等で洗浄すると、界面活性剤が溶出するため、再使用できないのが現状である。
また、ブロッキング防止のために熱可塑性樹脂シート、たとえばポリエステルシートの表面にシリコンが塗布されているが、シリコンを塗布すると印刷性や、ヒートシール性が著しく低下する欠点がある。
本発明は、従来技術の欠点を解消するものであり、低湿度下でも、また水中浸漬後や成形後も帯電防止性に優れ、あらゆる環境下で静電気発生を確実に防止し、且つ、すぐれた透明性、耐ブロッキング性を有し、導電層の欠損率が極めて低い高制電性積層体およびそれを用いた成形品を提供するものである。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体であって、(1)当該導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS0 )が1011Ω/□以下であり、かつ(2)当該高制電性積層体を40℃純水中に1時間浸漬した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS1 )とRS0 との比(RS1/RS0 )がl0以下であることを特徴とする高制電性積層体。
[2]高制電性積層体を150%伸張した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS2 )とRS0 との比(RS2 /RS0 )がl0以下であることを特徴とする上記[1]に記載の高制電性積層体。
[3]導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする上記[1]に記載の高制電性積層体。
[4]導電層が、導電性高分子および界面活性剤を含み、かつ硬化した層であることを特徴とする上記[1]に記載の高制電性積層体。
[5]導電層が、さらに熱可塑性高分子を含むことを特徴とする上記[4]に記載の高制電性積層体。
[6]上記[1]に記載の高制電性積層体を成形してなることを特徴とする電子部品用容器。
[7]トレイである上記[6]に記載の電子部品用容器。
[8]当該トレイは凹部とその外周のフランジ部とからなり、
(1)当該フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS3 )が1011Ω/□以下で、(2)当該トレイを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS4 )とRS3 との比(RS4 /RS3 )がl0以下であり、(3)フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS5 )とRS3 との比(RS5 /RS3 )が100以下であり、かつ(4)導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする上記[7]に記載の電子部品用容器。
[9]上記[1]に記載の高制電性積層体を成形してなることを特徴とする電子部品用キャリアテープ。
[10]当該キャリアテープは長手方向に沿って複数配置された、電子部品を収納するための複数の凹部と、その外周のフランジ部とからなり、(1)当該フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS6 )が1011Ω/□以下であり、(2)当該キャリアテープを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS7 )とRS6 との比(RS7 /RS6 )がl0以下であり、(3)フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS8 )とRS6 との比(RS8 /RS6 )が100以下であり、かつ(4)導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする上記[9]に記載の電子部品用キャリアテープ。
[11]容器と、対向する一対の端部が容器内に固定された、被包装物を挟持するための一対の伸縮性フィルムとを有する緩衝性包装部材であって、当該伸縮性フィルムが上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高制電性積層体からなることを特徴とする緩衝性包装部材。
[12]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の高制電性積層体をICカード基体として用いたことを特徴とするICカード。
[21]基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体であって、当該導電層が導電性高分子および界面活性剤を含みかつ硬化した層であることを特徴とする高制電性積層体。
[22]導電層が、さらに熱可塑性高分子を含む上記[21]に記載の高制電性積層体。
[23]導電層が、架橋剤の架橋反応により硬化した層である上記[21]または[22]に記載の高制電性積層体。
[24]導電性高分子が、水または有機溶媒に可溶な導電性高分子である上記[21]に記載の高制電性積層体。
[25]導電性高分子が、ポリアニリン及び/またはその誘導体である上記[21]に記載の高制電性積層体。
[26]導電性高分子が、スルホン酸基含有ポリアニリン及び/またはその誘導体である上記[21]に記載の高制電性積層体。
[27]導電性高分子が、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸を重合成分として含む重合体である上記[21]に記載の高制電性積層体。
[28]導電性高分子が、アミノアニソールスルホン酸を重合成分として含む重合体である上記[21]に記載の高制電性積層体。
[29]熱可塑性高分子が、親水性基を有するポリエステルである上記[22]に記載の高制電性積層体。
[30]熱可塑性高分子が、全ジカルボン酸成分に対し、親水性基を有するジカルボン酸を0.5〜15モル%、および/または全ジオール成分に対し、親水性基を有するジオールを0.5〜15モル%共重合した共重合ポリエステルである上記[22]に記載の高制電性積層体。
[31]熱可塑性高分子が、ポリエステルに親水性基を有するビニル系モノマーをグラフト重合したグラフトポリエステルである上記[22]に記載の高制電性積層体。
[32]架橋剤が、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、多官能オキサゾリン化合物、多官能ビニル化合物、多官能アクリル化合物、多官能カルボン酸化合物、多官能アミン化合物、多官能ヒドロキシ化合物および多官能メルカプト化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記[23]に記載の高制電性積層体。
[33]導電層が、導電性高分子および/または熱可塑性高分子の自己架橋により硬化した層である上記[21]または[22]に記載の高制電性積層体。
[34]基材が有機樹脂からなるフィルムまたはシートであり、かつ積層体のヘイズが5.0以下である上記[21]に記載の高制電性積層体。
[35]基材が、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタンからなる群から選ばれたフィルムまたはシートである上記[21]に記載の高制電性積層体。
[36]基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体であって、(1)当該導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS0 )が1011Ω/□以下であり、かつ(2)当該高制電性積層体を40℃純水中に1時間浸漬した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS1 )とRS0 との比(RS1/RS0 )がl0以下であることを特徴とする高制電性積層体。
[37]高制電性積層体を150%伸張した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS2 )とRS0 との比(RS2 /RS0 )がl0以下である上記[36]に記載の高制電性積層体。
[38]導電層の欠損率が30%以下である上記[36]に記載の高制電性積層体。
[39]導電層が、導電性高分子および界面活性剤を含みかつ硬化した層である上記[36]に記載の高制電性積層体。
[40]導電層が、さらに熱可塑性高分子を含む上記[39]に記載の高制電性積層体。
[41]上記[21]または[36]に記載の高制電性積層体を成形してなることを特徴とする電子部品用容器。
[42]トレイである上記[41]に記載の電子部品用容器。
[43]上記[21]または[36]に記載の高制電性積層体を成形してなることを特徴とする電子部品用キャリアテープ。
[44]基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体を成形してなる電子部品用トレイであって、当該トレイは凹部とその外周のフランジ部とからなり、(1)当該フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS3 )が1011Ω/□以下で、(2)当該トレイを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS4 )とRS3との比(RS4 /RS3 )がl0以下であり、(3)フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS5 )とRS3 との比(RS5 /RS3 )が100以下であり、かつ(4)導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする電子部品用トレイ。
[45]上記[21]、[36]〜[38]のいずれかに記載の高制電性積層体を成形してなる上記[44]に記載の電子部品用トレイ。
[46]基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体を成形してなる電子部品用キャリアテープであって、当該キャリアテープは長手方向に沿って複数配置された、電子部品を収納するための複数の凹部と、その外周のフランジ部とからなり、(1)当該フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS6 )が1011Ω/□以下であり、(2)当該キャリアテープを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS7 )とRS6 との比(RS7 /RS6 )がl0以下であり、(3)フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS8 )とRS6 との比(RS8 /RS6 )が100以下であり、かつ(4)導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする電子部品用キャリアテープ。
[47]上記[21]、[36]〜[38]のいずれかに記載の高制電性積層体を成形してなる上記(26)に記載の電子部品用キャリアテープ。
[48]容器と、対向する一対の端部が容器内に固定された、被包装物を挟持するための一対の伸縮性フィルムとを有する緩衝性包装部材であって、当該伸縮性フィルムが上記[21]および[36]〜[38]に記載の高制電性積層体から選ばれることを特徴とする緩衝性包装部材。
[49]上記[21]、[36]〜[38]のいずれかに記載の高制電性積層体をICカード基体として用いたことを特徴とするICカード。
本発明の高制電性積層体においては、導電層は、導電性高分子、熱可塑性高分子および界面活性剤を含有し、かつ硬化した層であるため、帯電防止性はもちろんのこと、透明性、耐水性、耐ブロッキング性に優れ、導電層の欠損率が極めて低い。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高制電性積層体は、基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体である。
本発明における基材の種類は特に限定しないが、無機性基材及び/または有機性基材が使用でき、無機性基材としては、スチール、アルミ、ステンレス等の金属材料、シリカ、アルミニウム、チタン等のアルコラートの加水分解で得られる無機高分子材料等からなる基材が適用可能であり、有機性基材としては、ポリエステル、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂材料の単一または2種以上の混合材料からなる単層または2層以上の基材、熱硬化性樹脂材料等からなる基材が適用可能である。上記熱可塑性樹脂材料のうち、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリウレタンが好適に使用できる。また、上記無機材料と有機材料とのハイブリッド材料からなる基材も適用可能である。
上記の基材の形態としてはフィルム、シート等の平面性を有するものが好ましい。例えば、ポリエステルフィルムまたはシート、あるいはスチール板、アルミ板、ステンレス板等が挙げられる。
以下、基材としてポリエステルシートあるいはフィルムを中心に詳細に述べるが、本発明の高制電性積層体の基材は、ポリエステルシートまたはフィルムに限定されるものではない。ここでいうポリエステルとは、主として脂肪族および/または芳香族ジカルボン酸成分と脂肪族および/または芳香族ジオール成分とからなる高分子であり、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のホモポリマーはもちろんのこと、PETのテレフタル酸成分のすべてまたは一部を、オルソフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、セバシン酸、ナフタレンジカルボン酸等のごとき他の1種以上のジカルボン酸成分に置換したもの、PENのナフタレンジカルボン酸成分のすべてまたは一部を、テレフタル酸、オルソフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェニルエーテルカルボン酸、セバシン酸等のごとき他の1種以上のジカルボン酸成分に置換したもの、PETおよび/またはPENのエチレングリコール成分のすべてまたは一部を、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール、ブチレングリコール、トリメチレングリコール等のごとき他の1種以上のグリコール成分で置換したもの等が挙げられる。
またこのポリエステルシートまたはフィルムには、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、アルミナ、シリカアルミナ、酸化チタン、ゼオライト、ポリスチレン粒子等の無機または有機の滑剤が含まれていてもよい。透明性の点から、滑剤の量は少ない方が好ましく、その添加量は滑剤の粒子径に依存する。一般的に好ましい滑剤の平均粒径は5ミクロン以下、より好ましくは2ミクロン以下、また添加量は好ましくは5000ppm以下、より好ましくは3000ppm以下である。また、ポリマーの本質的な性質を変えない範囲内で添加剤、紫外線吸収剤、安定剤および顔料を加えることも出来る。
上記の基材の少なくとも片面には導電層が積層されており、当該導電層は導電性高分子および界面活性剤を含みかつ硬化した層である。導電性高分子を含有することにより、導電性を付与でき、特に低湿度下での帯電防止性が良好となる。
本発明における導電性高分子は、特に限定しないが、π電子共役構造を有する導電性高分子、例えば、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンおよびそれらの誘導体が挙げられ、中でも、水または有機溶媒、特に水に溶解または分散可能な導電性高分子や、ドーパントにより水または有機溶媒に可溶化あるいは分散化される導電性高分子が好ましい。
このような導電性高分子としては、塩酸、過塩素酸、硫酸等の無機酸やベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸などスルホン酸基含有化合物等のドーパントで可溶化あるいは分散化したポリアニリンまたはその共重合体、ポリアニリンの一部または全てのベンゼン環の1つまたはそれ以上の水素原子をスルホン酸基で置換したスルホン化ポリアニリン、長鎖アルキル基の結合したポリピロール、ポリチオフェン及びその誘導体が挙げられ、本発明においては、スルホン化ポリアニリン、ドーパントである上記酸性化合物で可溶化されたポリアニリン及びその誘導体が特に好ましい。
本発明に用いられるスルホン化ポリアニリンについてはさらに詳述する。該スルホン化ポリアニリンはポリアニリン骨格の一部または全てのベンゼン環の1つまたはそれ以上の水素原子をスルホン酸基で置換したポリマーであり、その構造については特に限定しない。ポリアニリンを濃硫酸でスルホン化することにより得られるスルホン化ポリアニリンや、アミノベンゼンスルホン酸類を単独重合またはその他のアニリン類と共重合することにより得られるスルホン化ポリアニリンがある。本発明においては、後者のスルホン化ポリアニリンが好適であり、アミノベンゼンスルホン酸類として、アルコキシ基置換アミノベンゼンスルホン酸類、特にアミノアニソールスルホン酸類が好適である。
アミノアニソールスルホン酸類の具体例として、2−アミノアニソール−3−スルホン酸、2−アミノアニソール−4−スルホン酸、2−アミノアニソール−5−スルホン酸、2−アミノアニソール−6−スルホン酸、3−アミノアニソール−2−スルホン酸、3−アミノアニソール−4−スルホン酸、3−アミノアニソール−5−スルホン酸、3−アミノアニソール−6−スルホン酸、4−アミノアニソール−2−スルホン酸、4−アミノアニソール−3−スルホン酸等を挙げることができる。上記アミノアニソールスルホン酸類のメトキシ基が、エトキシ基、イソプロポキシ基等の他のアルコキシ基に置換された化合物を用いることも可能である。上記のアミノアニソールスルホン酸類の中でも、2−アミノアニソール−3−スルホン酸、2−アミノアニソール−4−スルホン酸、2−アミノアニソール−5−スルホン酸、2−アミノアニソール−6−スルホン酸、3−アミノアニソール−2−スルホン酸、3−アミノアニソール−4−スルホン酸、3−アミノアニソール−6−スルホン酸が好ましく用いられる。
本発明に用いられるスルホン化ポリアニリンは、スルホン酸基含有量は、ベンゼン環に対して好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、特に好ましくは100モル%である。また、スルホン酸基を含むベンゼン環と含まないベンゼン環が混在したり、交互に並んだりしても、本発明の目的には問題はない。スルホン酸基含有率が70モル%未満であると、スルホン化ポリアニリンの水、アルコールまたはそれらの混合溶媒系等への溶解性または分散性が不充分になり、結果として基材への塗布性及び延展性が悪くなり、得られる塗布層の導電性が著しく低下する傾向になる。
本発明に用いられるスルホン化ポリアニリンの数平均分子量は、好ましくは300〜500000であり、特に10000以上が前述の溶媒への溶解性及び塗布層の強度の点で好ましい。また、低分子量のスルホン化ポリアニリンおよびその誘導体を、ジエポキシ化合物、ジイソシアネート化合物等の2個以上のアミノ基と反応し得る基を有する化合物で高分子量化したものを使用することもできる。
スルホン化ポリアニリンを基材に塗布するには、まず所定の溶媒から塗布液を調製するが、その濃度は溶剤100重量部に対して、スルホン化ポリアニリンは好ましくは0.01−10重量部、より好ましくは0.1−2重量部である。スルホン化ポリアニリンの使用量が0.01重量部未満では、溶液の長期保存性が悪くなり、塗布層にピンホールが発生しやすくなり、塗布層の導電性が著しく劣る。また、使用量が10重量部を越えるとスルホン化ポリアニリンの水又は水/有機溶媒系への溶解性、分散性及び基材への塗布性が悪くなる傾向があり、好ましくない。
前記溶媒は、ポリエステルフィルム等の基材を溶解または膨潤させないならば、いかなる溶媒も使用可能であるが、水または水/アルコール等の有機溶媒との混合溶媒を用いる方が、使用環境面で好ましいのみならず、基材への塗布性及び導電性が向上する場合もある。
有機溶媒はメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類、メチルプロピレングリコール、エチルプロピレングリコールなどのプロピレングリコール類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどのピロリドン類などが好ましく用いられる。これらは、水と任意の割合で混合して用いられる。
この例として、具体的には、水/メタノール、水/エタノール、水/プロパノール、水/イソプロパノール、水/メチルプロピレングリコール、水/エチルプロピレングリコールなどを挙げることができる。用いられる割合は水/有機溶媒=1/10〜10/1が好ましい。
基材への密着性、延展性、強度の点から、導電層は熱可塑性高分子を含有することが好ましい。本発明で使用される熱可塑性高分子は、ポリエステル、ポリアミド(ナイロン、芳香族ポリアミド等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリアミドイミド、ポリイミド等の熱可塑性高分子を含むものであり、その形態は特に限定されない。水への分散性の点から、親水性基を有する熱可塑性高分子が本発明には好適である。親水性基とは、水に対して親和性を示す基であり、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等の酸性基又はそのアルカリ金属塩基、アンモニウム塩基やアミノ基、水酸基が挙げられる。また、親水性基に変化し得る基を有する熱可塑性高分子を用い、後の工程で当該高分子を親水性基を有する熱可塑性高分子としてもよい。親水性基に変化し得る基としては、エステル基、アミド基、酸無水物基、グリシジル基、ニトリル基、クロロ基等が挙げられる。
上記の熱可塑性高分子の水系分散液を得るためには、熱可塑性高分子を適当な水溶性有機化合物に溶解し、その溶液を水に分散させることが望ましい。例えば、好ましくは親水性基を有する熱可塑性高分子と水溶性有機化合物とを50〜200℃で予め混合、溶解し、この混合物に水を加え攪拌して分散する方法、あるいは逆にこの混合物を水に加え、攪拌して分散する方法、あるいは親水性基を有する熱可塑性高分子を水溶性有機化合物の存在下、水中で40〜120℃で攪拌する方法がある。
上記水溶性有機化合物とは、20℃での水に対する溶解度が20g/l以上の有機化合物であり、例えば、脂肪族および脂環族のアルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類等であり、具体的には、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどの1価アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−ブチルセロソルブなどのグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸エステルなどのエステル類、メチルエチルケトンなどのケトン類である。これら有機化合物は単独または2種以上を併用することが出来る。上記水溶性有機化合物の中でも、水への分散性、基材への塗布性の点からイソプロパノール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブが好ましい。
本発明においては、熱可塑性高分子として、導電性の点から、親水性基含有ポリエステルが好適に使用できる。当該ポリエステルにおいて、親水性基の導入方法として、例えば、ポリエステルに濃硫酸を反応させスルホン酸基を導入する方法や、親水性基を有するモノマーを共重合成分とする方法があるが、後者が生産上好ましい。
本発明に好適な親水性基含有ポリエステルは、全ジカルボン酸成分に対し、親水性基を有するジカルボン酸を0.5〜15モル%および親水性基を有しないジカルボン酸85〜99.5モル%、および/または全ジオール成分に対し、親水性基を有するジオールを0.5〜15モル%および親水性基を有しないジオール85〜99.5モル%を重合させて得られた実質的に水不溶性の共重合ポリエステルである。親水性基を有するジカルボン酸および/又はジオールの含有量が15モル%を超えると共重合ポリエステルの耐水性が低下するおそれがあり、逆に0.5モル%未満では共重合ポリエステルが水に分散しにくくなるおそれがあり、水分散液として基材に塗布することが困難になる場合がある。
本発明においては、親水性基としては、スルホン酸金属塩基が特に好ましく、この場合、スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸をモノマー原料として使用するのが好ましい。スルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸としては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸等の金属塩などがあげられ、特に好ましいのは5−ナトリウムスルホイソフタル酸、ナトリウムスルホテレフタル酸である。これらのスルホン酸金属塩基含有ジカルボン酸成分は全ジカルボン酸成分に対して、好ましくは0.5〜15モル%、特に好ましくは2.0〜10モル%である。
上記ポリエステルの水に対する分散性は、共重合成分、溶剤としての水溶性有機化合物の種類および配合比などによって異なるが、親水性基の含有量は水に対する分散性を損なわない限り少量の方が耐水性の面から好ましい。
上記ポリエステルの、親水性基を有しないジカルボン酸としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などをあげることが出来る。これらの芳香族ジカルボン酸は全ジカルボン酸成分の40モル%以上であることが好ましく、40モル%未満ではポリエステルの機械的強度や耐水性が低下する。脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などがあげられる。
上記ポリエステルのグリコール成分としては、炭素数2−8個の脂肪族グリコールが主として用いられ、具体的にはエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどである。またポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルも使用可能である。さらにp−オキシエトキシ安息香酸の様なオキシカルボン酸成分を共重合させてもかまわない。また、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有するジカルボン酸および/またはグリコール成分を共重合させてもかまわない。
上記親水性基含有ポリエステルは、例えば、上記ジカルボン酸成分、上記グリコール成分を用いて、常法により、エステル交換反応、重縮合反応などを行うことにより得られる。得られた親水性基含有ポリエステルは、例えば、n−ブチルセロソルブのような溶媒とともに加熱攪拌され、さらに攪拌しながら徐々に水を加えることにより、水溶液または水分散液とされて用いられ得る。
また、本発明においては、熱可塑性高分子として、幹ポリマーであるポリエステルの側鎖に枝ポリマーの重合成分である親水性基を有するビニル系モノマーをグラフト重合したグラフトポリエステルも使用可能である。当該ポリマーを使用することにより、透明性、基材への密着性、耐久性をさらに向上させることができる。
ポリエステルにグラフトさせることができる親水性基を有するビニル系モノマーとしては、カルボキシル基、スルホン酸基またはそれらのアルカリ金属塩基あるいはアンモニウム塩基や、水酸基、アミド基などを有するビニル系モノマー、親水性基に変化させることができる基として、エステル基、アミド基、酸無水物基、グリシジル基、クロル基、ニトリル基などを有するビニル系モノマーが挙げられる。そのなかでカルボキシル基またはそのアルカリ金属塩基あるいはアンモニウム塩基を有するビニル系モノマーが最も好ましい。
例えば、アクリル酸、メタクリル酸及びそれらの塩(アルカリ金属塩、アンモニウム塩等)等のカルボキシル基又はその塩を含有するモノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート等のアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート等のアルキルメタクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−メトキシメチルメタクリルアミド、N,N−ジメチロールアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド等のアミド基含有モノマー、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基含有モノマー等があげられる。
そのほかの親水性基を有するモノマーとしては、例えば、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及びそれらの塩等のスルホン酸基又はその塩を含有するモノマー、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸及びそれらの塩等のカルボキシル基またはその塩を含有するモノマー、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物基を有するモノマーがあげられる。
これらは他のモノマーと併用することができる。他のモノマーとしては、例えば、ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化ビニル等が挙げられ、これらの中から1種類または2種類以上を用いて共重合することができる。親水性基を有するモノマーとそれ以外のモノマーとの比率はモル比で30/70〜100/0の範囲が好ましい。親水性基を有するビニル系モノマーの比率が30モル%未満では塗布層の透明性を高める効果が十分に発揮されない。
上記グラフトポリエステルの幹ポリマーであるポリエステルのジカルボン成分としては、芳香族、脂肪族、脂環族のジカルボン酸が使用できる。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などをあげることが出来る。これらの芳香族ジカルボン酸は全ジカルボン酸成分の40モル%以上であることが好ましく、40モル%未満ではグラフトポリエステルの機械的強度や耐水性が低下する。脂肪族および脂環族のジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などがあげられる。グリコール成分としては、炭素数2−8個の脂肪族グリコールが主として用いられ、具体的にはエチレングリコール、トリメチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどである。またポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのポリエーテルも使用可能である。さらにp−オキシエトキシ安息香酸の様なオキシカルボン酸成分を共重合させてもかまわない。また、少量のアミド結合、ウレタン結合、エーテル結合、カーボネート結合などを含有するジカルボン酸および/またはグリコール成分を共重合させてもかまわない。
親水性基を有するビニル系モノマーをポリエステルにグラフトさせる方法としては公知のグラフト重合法を用いることが出来る。その代表例として以下の方法があげられる。
例えば、光、熱、放射線等によって幹ポリマーであるポリエステルにラジカルを発生させてからビニル系モノマーをグラフト重合させるラジカル重合法、或いはAlCl3 、TiCl4 等の触媒を用いてカチオンを発生させてからビニル系モノマーをグラフト重合させるカチオン重合法、或いは金属Na、金属Li等を用いてアニオンを発生させてからビニル系モノマーをグラフト重合させるアニオン重合法等がある。
また、あらかじめ幹ポリマーであるポリエステルに重合性不飽和二重結合を導入しこれにビニル系モノマーを反応させる方法もあげられる。これに用いられる重合性不飽和二重結合を有するモノマーとしては、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸およびその無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等をあげることができる。このうち最も好ましいものはフマール酸、マレイン酸、及び2,5−ノルボルネンジカルボン酸である。
さらに、側鎖に官能基を有する幹ポリマーのポリエステルと、末端に前記の官能基と反応する基を有する枝ポリマーを反応させる方法があげられる。例えば、側鎖に−OH基、−SH基、−NH2 基、−COOH基、−CONH2 基等の活性水素を有するポリエステルと、片末端が−N=C=O基、−C=C=O基、エポキシ基、グリシジル基、エチレンスルフィド基等の水素受容基を有するビニル系重合体とを反応させる方法、この逆の組み合わせで反応させる方法があげられる。
本発明において、幹ポリマーであるポリエステルとグラフトされるビニル系モノマーの重量比は、好ましくは40/60〜95/5、より好ましくは55/45〜93/7、特に好ましくは60/40〜90/10の範囲である。ポリエステルの重量比が40%未満であると、ビニル系モノマーが完全に反応しないまま残るため従来のポリエステルの持つ耐熱性、加工性等の特性が損なわれる場合がある。逆にポリエステルの重量比が95%を越えるときは、本発明の目的である導電性、透明性の向上効果が充分に発揮されない場合がある。
さらに、導電層の表面硬度を向上させるために、上記親水性基含有ポリエステルやグラフトポリエステルの重合成分として、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸などの多カルボキシ基含有モノマーを5モル%以下の割合で用いることも可能である。5モル%を越える場合には、得られるポリマーが熱的に不安定となり、ゲル化しやすく、本発明の導電層の成分として好ましくない。
後述するように、熱可塑性高分子を自己架橋させる場合には、当該熱可塑性高分子に架橋性反応基を導入するが、架橋性反応基としては、例えば、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シラノール基、酸クロリド基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。これらの架橋性反応基の導入は、架橋性反応基を有する重合成分を重合させる方法が採用され得る。例えば、熱可塑性高分子が上記の親水性基含有ポリエステルの場合、ポリエステルのジカルボン酸成分および/またはジオール成分として架橋性反応基を有するモノマーを使用し、熱可塑性高分子が上記のグラフトポリエステルの場合、ポリエステルのジカルボン酸成分および/またはジオール成分として架橋性反応基を有するモノマーを使用するか、あるいはビニル系モノマーとして架橋性反応基を有するモノマーを使用する。
上記熱可塑性高分子の含有量は、特に限定しないが、得られる導電層の導電性および機械的特性から、スルホン化ポリアニリン等の導電性高分子100重量部に対して50〜2000重量部が好ましく、さらに好ましくは100〜1500重量部、最も好ましくは200〜1000重量部である。
本発明の高制電性積層体は、導電層の耐水性を向上させて、水に浸漬した後の制電性の低下を抑えるため、導電層は3次元の架橋により硬化していることが必要である。架橋方法としては、架橋剤を用いる方法、導電性高分子および/または熱可塑性高分子に架橋性反応基を導入して自己架橋させる方法、過度の加熱や放射線照射により導電性高分子および/または熱可塑性高分子を架橋させる方法等が挙げられる。
本発明で使用される架橋剤としては、自身が分子間で架橋反応して三次元網状構造を形成するか、または活性水素を有する有機化合物、無機化合物、高分子化合物(上記の導電性高分子や熱可塑性高分子であってもよい。)と反応して架橋結合を形成することが可能な反応性基(例えば、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シラノール基、酸クロリド基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基等)を分子内に2個以上有する化合物、または水等の溶媒中において通常の条件下では保護されて反応しないが、加熱、pH調整などの処理により、イソシアネート基などの上記反応性基に再生する基を分子内に2個以上有する化合物である。このような化合物としては、多官能ビニル化合物、多官能アクリル化合物、多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、多官能オキサゾリン化合物、多官能カルボン酸化合物、多官能アミン化合物、多官能ヒドロキシ化合物、多官能メルカプト化合物等が挙げられる。
多官能エポキシ化合物としては、ビスフェノールAを出発原料としたビスフェノールA系エポキシ樹脂、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、アジピン酸グリシジルエステル、o−フタル酸グリシジルエステル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、等があげられる。
上記多官能エポキシ化合物は、共存する導電性高分子および/または熱可塑性高分子と反応する以外に、他の活性水素を有する化合物を添加して反応させることも可能である。そのような化合物としては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリオキシプロピレンポリアミン、トリエチレングリコールジアミン、テトラエチレングリコールジアミンなどの脂肪族ポリアミン、キシリレンジアミン、スピロアセタールジアミン、イソホロンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの環状ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族ポリアミン、ポリアミンとジカルボン酸との縮合により合成される分子内に活性アミノ基を多数有するポリアミノアミド、アミンアダクト硬化剤、マンニッヒ型硬化剤等の変性アミンなどがあげられる。
多官能イソシアネート化合物としては、例えば、熱反応型水溶性ウレタン樹脂であるエラストロン(商品名、第一工業製薬(株))などがあげられる。これは、末端イソシアネート基がブロック剤により保護されて、水中においても安定に取り扱えるように工夫した反応性ウレタン樹脂である。エラストロンのブロック剤にはカルバモイルスルホネート基(−NHCOSO3 −)なる強力な親水性基を有する化合物が使用されている。エラストロンは一定の熱処理されると、ブロック剤が解離し、活性イソシアネート基が再生される特徴を有する。具体的には、100℃以下で予備乾燥し、120−170℃の数分の熱処理により、エラストロンはそれ自身単独で再生したイソシアネート基により、分子間で自己架橋反応して3次元の網目構造をもったポリウレタン被膜を形成する。また他の活性水素含有化合物と混合して熱処理を行うと、それらの化合物を架橋により改質することができる。例えばポリビニルアルコールと混合して熱処理を行うと耐水化させることができる。
多官能ビニル化合物としては、例えば、ポリブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
多官能アクリル化合物としては、例えば、アロニックス(商品名 東亜合成(株)製)が挙げられ、具体的には、ビスフェノールF EO変性(4モル)ジアクリレート(M−208)、ビスフェノールA EO変性(4モル)ジアクリレート(M−210)、イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート(M−215)、トリプロピレングリコールジアクリレート(M−220)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(nは約7、PPG#400、M−225)、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート(M−233)、ポリエチレングリコールジアクリレート(nは約4、PPG#200、M−240)、ポリエチレングリコールジアクリレート(nは約9、PPG#400、M−245)、ポリエチレングリコールジアクリレート(nは約13〜14、PPG#600、M−260)、ポリプロピレングリコールジアクリレート(nは約12、M−270)、ペンタエリスリトールトリアクリレート(M−305)、トリメチロールプロパントリアクリレート(M−309)、トリメチロールプロパンPO変性(3モル)トリアクリレート(M−310)、イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(M−315)、トリメチロールプロパンPO変性(6モル)トリアクリレート(M−320)、トリメチロールプロパンEO変性(3モル)トリアクリレート(M−350)、トリメチロールプロパンEO変性(6モル)トリアクリレート(M−360)、ジペンタエリスリトールペンタおよびヘキサアクリレート(M−400)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(M−408)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(M−450)、ウレタンアクリレート(M−1100)、ポリエステルアクリレート(M−7000シリーズ、M−8000シリーズ、M−7100、M−8060)が挙げられる。
多官能オキサゾリン化合物としては、例えば、エポクロス(商品名、日本触媒(株)製)等が挙げられる。
多官能カルボン酸化合物としては、例えば、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメシン酸等が挙げられる。
多官能アミン化合物としては、例えば、バーサミン、バーサミド(商品名、ヘンケルジャパン(株)製)のようなポリアミンまたはポリアミドアミン化合物、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等が挙げられる。
多官能ヒドロキシ化合物としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多官能メルカプト化合物としては、例えば、トリビニルシクロヘキサン変性トリメチレンジオール等が挙げられる。
上記に述べた架橋剤は、導電層形成時に使用する溶剤に溶け、安定ならば如何なるものも使用可能である。中でも多官能エポキシ化合物、多官能イソシアネート化合物、特に水に可溶で安定な水系多官能イソシアネート化合物が好ましい。
また、上記の多官能反応性基含有化合物中に、モノビニル化合物、モノアクリル化合物、モノエポキシ化合物、モノイソシアネート化合物、モノオキサゾリン化合物、モノカルボン酸化合物、モノアミン化合物、モノヒドロキシ化合物、モノメルカプト化合物等を含んでもよい。
導電性高分子および/または熱可塑性高分子を自己架橋させる場合、これらの高分子は架橋性反応基を有することが必要であり、このような架橋性反応基としては、例えば、アクリル基、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基、オキサゾリン基、シラノール基、酸クロリド基、カルボキシル基、アミノ基、水酸基、メルカプト基等が挙げられる。
本発明の積層体を電子部品用容器(特にトレイ)に成形して使用する場合には、水洗を繰り返しながらトレイを再使用するが、架橋硬化することにより、水洗による制電性の低下を防止できるだけでなく、水洗後トレイに付着する水の振り切り性が良くなるという効果がある。また、架橋硬化により導電層は水洗直後の吸水量が少なく膨潤していないため、乾燥時間を短縮できる。ゴミの付着が少ない、水洗時の傷つきが少ないといった効果もある。
しかし、架橋硬化が強すぎると、加工等で高制電性積層体を伸張した場合、導電層が伸びに追従できず、伸張部分での制電性の低下が起こるため、150%伸張した時に表面抵抗値が10倍より大きくならないように、架橋硬化させる必要がある。
なお、導電層中にポリエチレングリコールが含有されていると、延展性が良好となり好ましい。ポリエチレングリコールは単独で導電層組成物中に配合してもよいし、あるいは上記親水性基含有ポリエステルやグラフトポリエステル中のポリエステルの共重合成分としてもよいし、上記グラフトポリエステルの枝ポリマーに導入してもよい。また、他の熱可塑性樹脂に組み込まれてもよい。
本発明においては、基材上への導電層の形成方法は、特に限定されないが、例えば、導電性高分子、熱可塑性高分子、必要に応じて架橋剤等を含有する導電層用組成物を溶融体とし、それを適当なダイから押し出す、溶融押し出し法や、あるいは水または適当な有機溶媒に上記組成物を分散または溶解して塗布液を調製し、これを基材に塗布する、コーティング法があるが、塗布層の厚みを、薄くかつコントロールでき、得られる積層体の透明性が良好となる点からも、後者が好ましい。
上記組成物はさらに界面活性剤を含有する。これにより、特にコーティング法による導電層形成時、塗布時のハジキ、むらなどを防止して塗れ性を向上でき、導電層の欠損部分を殆ど無くすることができる。
本発明で使用できる界面活性剤としては、イオン系、非イオン系を問わず、いかなるものでも使用可能であり、例えば、フルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルベンゼンスルホン酸、パーフルオロアルキル4級アンモニウム、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノールなどフッ素系界面活性剤;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤が好適に使用できる。
導電性高分子が、ドーパントにより水溶化または水分散化されたポリアニリン(例えばスルホン化ポリアニリン)のような水溶性または水分散性導電性高分子の場合には、非イオン系界面活性剤の使用が好ましい。
本発明に用いられる界面活性剤の量は、スルホン化ポリアニリン等の導電性高分子100重量部に対して、0.001重量部以上10重量部以下が好ましい。界面活性剤量が10重量部を越えると、高制電性積層体を重ねたりロール状物として導電層が基材裏面と接触した際に、界面活性剤が基材裏面に移ってしまい、ラミ、蒸着、印刷等の2次加工時で問題を生じやすい。0.001重量部未満であると、導電層の欠損部分が発生してしまう恐れがある。
得られる積層体の滑り性を向上させるために、上記の導電層用組成物は、さらに脂肪酸金属塩や不活性粒子を含有してもよい。
本発明で使用できる脂肪酸金属塩としては、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、メリシン酸ナトリウム、ヘルタコサン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウムなどが挙げられ、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩が好ましいが、中でもナトリウム塩が特に好ましい。
本発明で使用できる不活性粒子としては、酸化チタン(TiO2 )、酸化珪素(SiO2 )、カオリン、炭酸カルシウム(CaCO3 )、アルミナ(Al2 3 )、硫酸バリウム(BaSO4 )、酸化亜鉛(ZnO)、タルク、マイカ、複合粒子などの無機粒子;ポリスチレン、ポリアクリレート、またはそれらの架橋体で構成される有機粒子などが挙げられる。これらの粒子の平均一次粒子径は0.2ミクロン以下が塗布層の透明性の点から好ましい。また添加量は導電層組成物中1000ppm以下が透明性の点から好ましい。
また、導電層の導電性のさらなる向上を目的として、SnO2 (酸化スズ)、ZnO(酸化亜鉛)の粉末、またはそれらを被覆したTiO2 、BaSO4 などの無機粒子あるいは有機粒子;カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維などのカーボン系導電性フィラー;ポリアニリン、スルホン化ポリアニリン、ポリピロール、溶解性ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性高分子を塗布あるいは積層した無機または有機粒子を添加することも可能である。透明性の点から、それらの粒子の平均一次粒子径は0.2ミクロン以下が好ましい。上記添加剤の含有量は、スルホン化ポリアニリン等の導電性高分子100重量部に対して、4000重量部以下の割合であることが好ましい。4000重量部を越える場合には、塗布液の粘度アップにより塗布ムラの原因となるおそれがあるのみならず、透明性の点からも好ましくない。
基材への塗布量は乾燥重量で0.01〜6.0g/m2 が好ましい。塗布量が0.01g/m2 未満では、所望の導電性が得られない恐れがある。また6.0g/m2 を超えるとブロッキング性が悪くなる恐れがある。
基材、特に熱可塑性樹脂シートやフィルム表面に導電層を形成する方法としては、グラビアロールコーティング法、リバースロールコーティング法、ナイフコータ法、ディップコート法、スピンコート法、噴霧法などがあるが、導電性組成物に適したコート法は特に制限はない。シートやフィルムへの塗布を製膜工程内で同時に行うインラインコート法と、製膜ロール製造後独立して行うオフラインコート法があるが、用途に応じて好ましい方法を選ぶことが可能で、特に制限はない。
本発明で用いる導電性高分子、なかでもスルホン化ポリアニリンは250℃以上の高温では不安定であるが、200℃で約3分間の熱処理でも熱安定性が良好であるので、共存する熱可塑性高分子及び添加剤の種類にもよるが、通常短時間の200℃加熱ならば導電性に悪影響を与えず、透明性及び良好な帯電防止性を維持しつつ、強い表面強度を与えることができ好ましい。
導電性組成物を含有する塗布液を基材に塗布する前に、基材が有機性基材の場合、コロナ処理、窒素雰囲気下でのコロナ処理、紫外線照射処理を施したり、アンダーコート層を設けてもよく、これにより、塗布液の塗布性が良くなり、また基材との密着性が改善される。
また導電層形成後、当該導電層にコロナ処理や紫外線照射処理を施すことにより、導電層表面の塗れ性や印刷性を向上させることができ、当該導電層上にさらに層形成したり印刷する際に良好に行うことができる。
さらに、導電性を損なわない程度に、導電層上に薄い保護層を形成してもよい。
本発明の高制電性積層体の表面抵抗は非常に低く、導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS0 )が1011Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下、より好ましくは109 Ω/□以下であり、低湿度下においても優れた帯電防止性を有する。また帯電減衰時間が好ましくは2.0秒以下、より好ましくは0.5秒以下である。ここで、表面抵抗値とは、導電層表面の電気の流れに難さを示すものであり、帯電減衰時間とは、一旦帯電した電荷の逃げやすさを示すものである。いずれも帯電防止性の目安である。
また、本発明の高制電性積層体は耐水性にも優れており、本発明の高制電性積層体を40℃純水中に1時間浸漬した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS1 )とRS0 との比(RS1 /RS0 )がl0以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下であり、水に浸漬しても帯電防止性が低下することがほとんど無いので、水洗による繰り返し使用、水に濡れる恐れがある場合での使用が可能となる。
さらに成形性にも優れており、本発明の高制電性積層体を150%伸張した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS2 )とRS0 との比(RS2 /RS0 )が好ましくはl0以下、より好ましくは8以下、特に好ましくは5以下であり、成形時の伸びによっても帯電防止性の低下がほとんどない。
導電層のRS0 が1011Ω/□以下、RS1 /RS0 がl0以下、かつRS2/RS0 がl0以下である高制電性積層体を製造するには、導電層組成物として、導電性高分子、熱可塑性高分子および界面活性剤を含む上述の組成物を用いて塗布層を形成し、この塗布層を硬化させる方法等が採用される。
さらに耐熱性にも優れており、本発明の高制電性積層体を250℃で1分間加熱した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS9 )とRS0 との比(RS9 /RS0 )が好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下であり、成形時の熱によっても帯電防止性の低下がほとんどない。
さらにまた、本発明の高制電性積層体は、ヘイズが好ましくは5.0以下、より好ましくは3.0以下であり、透明性に優れている。
本発明の高制電性積層体の可視光線透過率はJIS7105の測定で75%以上、さらには80%以上、最適には85%以上であることが好ましい。可視光線透過率を75%以上にすることにより、高制電性積層体を包装材料として用いた場合に、内容物の目視による確認、テレビカメラによる自動監視、内容物に貼られたバーコードの処理、などが容易に行える。
本発明の高制電性積層体の導電層の可視光線透過率は75%以上、さらには80%以上、最適には85%以上であることが好ましい。このような高い可視光線透過率の導電層を用いることにより、可視光線透過率が多少低かったり、半透明な基材でも用いることができ、用いる基材の種類が増える。さらに、上記のように光学的に内容物を監視する場合の誤動作を防ぐため、表面マット処理等を行う場合があるが、この場合でもマット化による可視光線透過率の低下をカバーすることができる。
導電層の可視光線透過率(X)は高制電性積層体の可視光線透過率(Z)、基材の可視光線透過率(Y)を測定することで、Z=XYの関係式から概算することができる。基材の可視光線透過率は、高制電性積層体の導電層を溶剤等で膨潤させ、こすり落とす等して剥がして測定することができる。また、マット化された場合には、被測定物とほぼ同等の屈折率を持ちかつ被測定物を犯さない適当な溶剤を表面に塗布することにより測定することができる。
本発明の高制電性積層体は、導電層の欠損率が好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。ここで、本発明においては、導電層の欠損率とは、導電層の欠損部分の面積の、積層体表面(導電層側)全体の面積に対する割合をいう。導電層の欠損率が30%を超えると、その部分での導電性がないため、制電性を発揮できず、静電気の除去が十分に発揮できない。このような積層体を成形してトレイやキャリアテープ等とすると、内容物(電子部品等)が破壊されることがある。なお、高制電性積層体の導電層がメッシュ状等の一定のパターンで印刷されている場合には、パターン全体に対するパターンの欠損部分をいう。
導電層の欠損率を30%以下とするためには、例えば、導電性組成物の塗布液に、導電性高分子、熱可塑性樹脂、溶媒、基材等に種類に応じて選択される適正な界面活性剤を添加することにより達成できる。
通常、導電層をコーティング法により形成する場合、塗布液の極性が高いと、塗布直後に塗布液が基材上で凝集するはじきといわれる現象が起こり、そのまま乾燥させると導電層が形成されていない欠損部分が生じる。この現象はプラスチック基材の場合に特に著しく起こり、欠損部分が多いと実用に耐えるものではない。
このように、本発明の高制電性積層体は、低湿度下においても、また水に浸漬後や成形後においても帯電防止性に優れ、透明性、耐ブロッキング性に優れたものであるので、IC、LSI、シリコンウェーハー、ハードディスク、液晶基板、電子部品等の電子材料の保管、移送、装着に際して、それらの電子材料を静電気等による破壊やゴミの付着等から保護するために使用されるキャリアテープ、容器(トレイ)、マガジンや、包装材料、ICカードの基材等に好適に使用される。
電子部品用トレイ、キャリアテープの場合、樹脂を成形した後、導電層をその上に形成してもよいが、熱可塑性フィルムを基材とした高制電性積層体をプレス成形(例えば250℃で1分間加熱)することが好ましい。本発明の高制電性積層体は、成形時の伸びや熱による帯電防止性の低下がほとんどなく、導電層の剥がれがないので、プレス成形しても所望のトレイ、キャリアテープが得られる。
電子部品用トレイに使用する場合には、本発明の高制電性積層体をプレス加工して、例えば、凹部(加工部)とその外周のフランジ部を有する形状に成形する。当該電子部品用トレイにおいては、フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS3 )が1011Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下、より好ましくは109 Ω/□以下であり、低湿度下においても優れた帯電防止性を有する。
また、当該トレイを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS4 )とRS3 との比(RS4 /RS3 )がl0以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下であり、水に浸漬しても帯電防止性が低下することがほとんど無く、水洗による繰り返し使用、水に濡れる恐れがある場合での使用が可能となる。
さらに、フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS5 )とRS3 との比(RS5 /RS3 )が100以下、好ましくは80以下、より好ましくは50以下であり、プレス成形時の伸びや熱によっても凹部の帯電防止性の低下が少ない。
さらに、トレイの導電層の欠損率が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。導電層の欠損部分の面積が30%を超えると、その部分での導電性がないため、制電性を発揮できず、静電気の除去が十分に発揮できない。このようなトレイではその内容物(電子部品等)が破壊される。ここで、本発明においては、トレイの導電層の欠損率とは、トレイのフランジ部と凹部の全体の導電層の欠損部分の面積の、トレイのフランジ部と凹部の表面(導電層側)全体の面積に対する割合をいう。
また、本発明の高制電性積層体を電子部品用キャリアテープ用に使用する場合には、本発明の高制電性積層体をプレス加工して、例えば、長手方向に沿って複数配置された、電子部品を収納するための複数の凹部(加工部)と、その外周のフランジ部を有する形状に成形する。当該電子部品用キャリアテープにおいては、フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS6 )が1011Ω/□以下、好ましくは1010Ω/□以下、より好ましくは109 Ω/□以下であり、低湿度下においても優れた帯電防止性を有する。
また、当該キャリアテープを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS7 )とRS6 との比(RS7 /RS6 )がl0以下、好ましくは8以下、より好ましくは5以下であり、水に浸漬しても帯電防止性が低下することがほとんど無く、水洗による繰り返し使用、水に濡れる恐れがある場合での使用が可能となる。
さらに、フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS8 )とRS6 との比(RS8 /RS6 )が100以下、好ましくは80以下、より好ましくは50以下であり、プレス成形時の伸びや熱によっても凹部の帯電防止性の低下が少ない。
さらに、キャリアテープの導電層の欠損率が30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。導電層の欠損部分の面積が30%を超えると、その部分での導電性がないため、制電性を発揮できず、静電気の除去が十分に発揮できない。このようなキャリアテープではその内容物(電子部品等)が破壊される。ここで、本発明においては、キャリアテープの導電層の欠損率とは、キャリアテープのフランジ部と凹部の全体の導電層の欠損部分の面積の、キャリアテープのフランジ部と凹部の表面(導電層側)全体の面積に対する割合をいう。
さらに、本発明の高制電性積層体を包装材料、特に緩衝性包装材料に使用する場合には、例えば、図1に示すように、一対の伸縮性フィルム2が電子材料等の被包装物3を挟持した状態で、当該伸縮性フィルム2の対向する一対の端部が容器1内に固定された(図1では枠5に挟持されて固定されている)ような緩衝性包装部材に使用でき、伸縮性フィルム2として、本発明の高制電性積層体を使用することができる。
このように、本発明の高制電性積層体をキャリアテープ、トレイ、マガジンや、包装材料、ICカードの基材に使用した場合、低湿度下においても、また水に浸漬後や成形後においても帯電防止性に優れており、水洗による繰り返し使用ができ、成形後の凹部の帯電防止性の低下がほとんどない。
本発明を以下の実施例で述べるが、本発明が本実施例に限定されるものではない。また本発明に用いる評価法を以下に示す。
1.へイズ
JIS K7105に準じ、日本電色工業製ヘイズメーター1001DPを用いて測定した。
2.表面抵抗値(RS0 、RS3 、RS6
高制電性積層体(またはトレイまたはキャリアテープ、これらの場合はフランジ部)の導電層について、タケダ理研社製表面抵抗測定器を用いて印加電圧500V、25℃、15%RHの条件下で測定した。また、トレイまたはキャリアテープにおいては、フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗値(RS5 、RS8 )を求め、フランジ部の導電層の表面抵抗値(RS3 、RS6 )との比(RS5 /RS3 、RS8 /RS6 )を求めた。なお、トレイまたはキャリアテープにおいては、フランジ部および凹部の厚みをデジタル厚み計で確認しながら、表面抵抗値を測定し、厚み、表面抵抗値共に5点の平均を取った。
3.導電層の耐水性評価(表面抵抗変化率)
高制電性積層体(またはトレイまたはキャリアテープ)の40℃の純水中に1時間浸漬した後の導電層の表面抵抗値(RS1 、RS4 、RS7 )を25℃、15%RHの条件下で測定し、浸漬前の導電層の表面抵抗値(RS0 、RS3 、RS6 )との比(RS1 /RS0 、RS4 /RS3 、RS7 /RS6 )によりその耐水性評価を行った。
4.伸張後の表面抵抗変化率
東洋精機(株)製2軸延伸装置を用い、窒素雰囲気下、予熱時間15秒、引張速度5m/mimで高制電性積層体(92mm×92mm)を1軸方向に150%伸張した。この時の温度は、基材がI 、II、III 、IV、V の場合にそれぞれ110 ℃、130 ℃、110 ℃、100 ℃、150 ℃とした。伸張した後の導電層の表面抵抗値(RS2 )を25℃、15%RHの条件下で求め、伸張前の導電層の表面抵抗値(RS0 )との比(RS2 /RS0 )を求めた。
5.耐ブロッキング性
40℃、80%RHの雰囲気下で、高制電性積層体の導電層ともう1つの高制電性積層体の基材裏面(導電層非形成面)とを重ね、100g/cm2 の荷重をかけ24時間放置した後、その2枚のサンプルの剥離時の状況を以下のように評価した。
剥離時、何ら抵抗のない場合:○
剥離時、若干抵抗がある場合:△
剥離時、抵抗がかなり大きい場合:×
6.導電層の欠損率
40cm×60cmの高制電性積層体の表面(導電層側)を目視で観察し、欠損部分を油性インクで塗った。この欠損部分の面積を画像解析装置(東洋紡績(株)製 V10)を用いて測定し欠損率を算出した。トレイ、キャリアテープの場合、表面(導電層側)を目視で観察し、欠損部分を油性インクで塗った後、平面に切り開き、これについて上記と同様の方法により測定し算出した。
合成例1:スルホン化ポリアニリンの合成及びその水/アルコール溶液(Paq)の調製
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを23℃で4モル/リットルのアンモニア水溶液に攪はん溶解し、ペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後23℃で10時間さらに攪はんした後、反応生成物を濾別洗浄、乾燥し、粉末状の重合体13gを得た。上記重合体3重量部を0.3モル/リットルの硫酸水溶液100重量部に室温で攪はん溶解しスルホン化ポリアニリンを得た。この時のスルホン化ポリアニリンのスルホン酸基の含有量は100%であった。上記スルホン化ポリアニリン2重量部を、水50重量部及びイソプロパノール50重量部に溶解し、水/アルコール溶液(Paq)を調製した。
合成例2:スルホン酸塩基含有共重合ポリエステル(A)の合成及びその水/アルコール分散液(Aaq)の調製
スルホン酸基含有共重合ポリエステルを次の方法により合成、さらにその分散液を以下のごとく調製した。ジカルボン酸成分としてジメチルテレフタレート48モル%、ジメチルイソフタレート48モル%及び5−スルホイソフタル酸ナトリウム4モル%を使用し、グリコール成分としてエチレングリコール80モル%及びジエチレングリコール20モル%を用いて、常法によりエステル交換反応及び重縮合反応を行った。得られたスルホン酸塩基含有共重合ポリエステルのガラス転移温度は61℃であった。このスルホン酸塩基含有共重合ポリエステル300部とn−ブチルセロソルブ150部とを加熱攪拌して、粘ちょうな溶液とし、さらに攪拌しつつ水550部を徐々に加えて、固形分30重量%の均一な淡白色の水分散液を得た。この分散液をさらに水とイソプロパノールの等量混合液中に加え、固形分が8重量%のスルホン酸塩基含有共重合ポリエステル水分散液を(Aaq)を調製した。
合成例3:グラフトポリエステル(B)の合成及びその水分散液(Baq)の調製
攪拌機、温度計及び部分還流式冷却器を備えたステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート5モル、ジメチルイソフタレート4.5モル、エチレングリコール6.5モル、1,3−プロピレングリコール3.5モル、及びテトラ−n−ブチルチタネート0.002モルを仕込み、160〜220℃まで4時間かけてエステル交換反応を行った。ついでフマル酸0.5モルを加え、200〜220℃まで1時間かけて昇温し、反応系を徐々に減圧したのち、0.2mmHgの減圧化で1時間30分反応させ、ポリエステル(Bo)を得た。
次いで 攪拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に上記のポリエステル(Bo)300部、メチルエチルケトン360部、イソプロピルアルコール120部を入れ、加熱、攪拌し還流状態で樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、マレイン酸25部とアクリル酸エチル65部、オクチルメルカプタン1.5部の混合物、アゾビスイソブチロニトリル6部を、メチルエチルケトン90部、イソプロピルアルコール30部の混合液に溶解した溶液とを1.5時間かけてポリエステル溶液中にそれぞれ滴下し、さらに3時間反応させ、グラフト重合体(B)溶液を得た。このグラフト重合体溶液を室温まで冷却した後、トリエチルアミン59部を添加し中和した後にイオン交換水800部を添加し30分攪拌した。その後、加熱により溶媒中に残存する溶媒を留去し水分散体とし、この分散液をさらに水とイソプロパノールの等量混合液中に加え、固形分が8重量%のアルコール/水分散体(Baq)を調製した。
合成例4:ポリビニルアルコール/水系ポリイソシアネート架橋剤混合水分散液(Caq)の調製
ポリビニルアルコール(ケン化率98%)の10%水溶液を調製し、そのポリビニルアルコール固形分100重量部に対して、第一工業製薬〔株〕品エラストロンBN69を10重量部混合し、ポリビニルアルコール/架橋剤混合水分散液(Caq)とし、以下の塗布液の調合に用いた。
合成例5:基材シートの作製
本実施例中に用いた基材シートは以下のごとくで、その製法を示した。
[基材シートI]PET(ポリエチレンテレフタレート)を290℃で溶融押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却して、厚さ500μmの未延伸シートを得、これを基材シートIとした。可視光線透過率95%
[基材シートII]PEN〔ポリエチレンナフタレート〕を300℃で溶融押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却して、厚さ500μmの未延伸シートを得、これを基材シートIIとした。可視光線透過率94%
[基材シートIII]ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール成分の30モル%をシクロヘキサンジメタノールに置換した共重合体を290℃で溶融押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却して、厚さ500μmの未延伸シートを得、これを基材シートIIIとした。可視光線透過率95%
[基材シートIV]ポリエチレンテレフタレートのエチレングリコール成分の30モル%をネオペンチルグリコールに置換した共重合体を290℃で溶融押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却して、厚さ500μmの未延伸シートを得、これを基材シートIVとした。可視光線透過率95%
[基材シートV]ポリカーボネートを290℃で溶融押し出しし、30℃の冷却ロールで冷却して、厚さ500μmの未延伸シートを得、これを基材シートVとした。可視光線透過率95%
実施例1−1〜5
合成例1で得たスルホン化ポリアニリンの水/アルコール溶液(Paq)と合成例2で得たスルホン酸塩基含有共重合ポリエステルの水/アルコール分散液(Aaq)とを固形分比(重量比)が20/80となるように、また、ノニオン系界面活性剤エマルゲン810(花王製)を合成例1で得た溶液(Paq)中のスルホン化ポリアニリンとの重量比が8/100となるように、さらに、合成例4のポリビニルアルコール/水系ポリイソシアネート架橋剤混合水分散液(Caq)を合成例2で得た分散液(Aaq)との固形分比(重量比)が20/100となるように、それぞれ混合し、本実施例の塗布液を調製した。基材シートI、II、III、IVおよびV上に上記塗布液を固形分濃度が0.5g/m2 になるように塗布し、70℃の熱風で乾燥した。これらのシートの評価結果を表1に示す。
実施例2−1〜5
実施例1において、合成例2で得た分散液(Aaq)の代わりに、合成例3で得たグラフトポリエステルの水分散液(Baq)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を調製した。基材シートI、II、III、IVおよびV上に上記塗布液を固形分濃度が0.5g/m2 になるように塗布し、70℃の熱風で乾燥した。これらのシートの評価結果を表1に示す。
実施例3−1〜5
実施例1において、合成例4で得た水分散液(Caq)の代わりに、グリセロールポリグリシジルエーテルを用い、グリセロールポリグリシジルエーテルを合成例2で得た分散液(Aaq)との固形分比(重量比)が2/100になるように添加したこと以外は、実施例1と同様にして塗布液を調製した。基材シートI、II、III、IVおよびV上に上記塗布液を固形分濃度が0.5g/m2 になるように塗布し、70℃の熱風で乾燥した。これらのシートの評価結果を表1に示す。
実施例4−1〜5
合成例1で得たスルホン化ポリアニリン溶液(Paq)、合成例2で得たスルホン酸塩基含有共重合ポリエステル分散液(Aaq)およびスミマールM−30W(メチル化メラミン樹脂、住友化学工業製)を固形分比(重量比)で10/85/5となるように配合し、これを混合溶媒(水/イソプロパノール=50/50(重量比))で固形分濃度2〜5%の溶液とした。この溶液に対して、メガファックF−142D(フッ系界面活性剤、大日本インキ製)を0.08重量%添加し、塗布液を調製した。基材シートI、II、III、IVおよびV上に上記塗布液を固形分濃度が0.3g/m2 になるように塗布し、70℃の熱風で乾燥した。これらのシートの評価結果を表1に示す。
比較例1、2
実施例1、2において、合成例4で得た水分散液(Caq)を添加しなかったこと以外は、それぞれ実施例1、2と同様にして塗布液を調製し、実施例1、2と同様の方法によりシートを得た。
比較例3
実施例3において、グリセロールポリグリシジルエーテルを添加しなかったこと以外は、実施例3と同様にして塗布液を調製し、実施例1、2と同様の方法によりシートを得た。
比較例4
界面活性剤を配合しない以外は実施例1と同様の塗布液を使用し、基材シートIにコロナ放電処理を行った後にこの塗布液を塗布したこと以外は、実施例1と同様の方法によりシートを得た。塗布直後に塗布液のはじきが観察された。実施例および比較例の評価結果を表1、2に示す。
Figure 2006306106
Figure 2006306106
実施例5:トレイ
三和興業(株)真空成型機(PLAVAC)を用い、110℃、13秒の予備加熱、55℃、15秒の成形条件で、9cm×6cm、深さ4cmの凹部を3列×4行有し、フランジ部の幅が3cmのトレイを成形した。なお実施例1−1、1−3、2−1、3−1、4−1、4−3および4−5で得られたシートを使用した。評価結果を表3に示す。
Figure 2006306106
実施例6:キャリアテープ
トレイと同じ成形条件で、8mm×8mm、深さ5mmの凹部を1列有する、50×50cmのシートを作成し、凹部の1列を幅20mmにカットし、これをつなぎあわせてキャリアテープのモデルとした。なお実施例1−1、1−3、2−1、3−1、4−1、4−3および4−5で得られたシートを使用した。評価結果を表4に示す。
Figure 2006306106
実施例7:包装材
ポリエチレンとポリウレタンを多層押出し、さらにインフレーション製膜機で、ポリエチレン・ポリウレタン(各膜厚100ミクロン、80ミクロン)の2層フィルムを得、これを基材シートVIとした。実施例2の塗布液を基材シートVIのポリウレタン表面に塗布した。十分乾燥させた後、ポリエチレン層を剥離し、導電性ポリウレタンフィルムを得た。このフィルムの導電層の25℃、15%RHの条件下で表面抵抗値は2×109 Ω/□であった。また、このフィルムを150%伸張した後の25℃、15%RHの条件下で表面抵抗値は1010Ω/□以下であった。図1に示すように、このフィルム2をダンボール製枠5(25cm×30cm、開口部15cm×20cm)に両面テープで張りつけ、この2枚のフィルム2付き枠5間に回路基板3を挟み、これを段ボール製の箱1に、回路基板3がフィルム2により箱1内の空中に保持されるように入れた。
本発明の緩衝性包装材料の一例を示す図である。
符号の説明
1 容器
2 高制電性積層体(伸縮性フィルム)
3 被包装物
4 ふた
5 枠

Claims (12)

  1. 基材の少なくとも片面に導電層を積層してなる高制電性積層体であって、
    (1)当該導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS0 )が1011Ω/□以下であり、かつ
    (2)当該高制電性積層体を40℃純水中に1時間浸漬した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS1 )とRS0 との比(RS1/RS0 )がl0以下であることを特徴とする高制電性積層体。
  2. 高制電性積層体を150%伸張した後の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS2 )とRS0 との比(RS2 /RS0 )がl0以下であることを特徴とする請求項1に記載の高制電性積層体。
  3. 導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする請求項1に記載の高制電性積層体。
  4. 導電層が、導電性高分子および界面活性剤を含み、かつ硬化した層であることを特徴とする請求項1に記載の高制電性積層体。
  5. 導電層が、さらに熱可塑性高分子を含むことを特徴とする請求項4に記載の高制電性積層体。
  6. 請求項1に記載の高制電性積層体を成形してなることを特徴とする電子部品用容器。
  7. トレイである請求項6に記載の電子部品用容器。
  8. 当該トレイは凹部とその外周のフランジ部とからなり、
    (1)当該フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS3 )が1011Ω/□以下で、
    (2)当該トレイを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS4 )とRS3 との比(RS4 /RS3 )がl0以下であり、
    (3)フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS5 )とRS3 との比(RS5 /RS3 )が100以下であり、かつ
    (4)導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする請求項7に記載の電子部品用容器。
  9. 請求項1に記載の高制電性積層体を成形してなることを特徴とする電子部品用キャリアテープ。
  10. 当該キャリアテープは長手方向に沿って複数配置された、電子部品を収納するための複数の凹部と、その外周のフランジ部とからなり、
    (1)当該フランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS6 )が1011Ω/□以下であり、
    (2)当該キャリアテープを40℃純水中に1時間浸漬した後のフランジ部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS7 )とRS6 との比(RS7 /RS6 )がl0以下であり、
    (3)フランジ部の厚みを1とした場合の厚み0.7〜0.5に相当する凹部の導電層の25℃、相対湿度15%での表面抵抗(RS8 )とRS6 との比(RS8 /RS6 )が100以下であり、かつ
    (4)導電層の欠損率が30%以下であることを特徴とする請求項9に記載の電子部品用キャリアテープ。
  11. 容器と、対向する一対の端部が容器内に固定された、被包装物を挟持するための一対の伸縮性フィルムとを有する緩衝性包装部材であって、
    当該伸縮性フィルムが請求項1〜3のいずれか一項に記載の高制電性積層体からなることを特徴とする緩衝性包装部材。
  12. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の高制電性積層体をICカード基体として用いたことを特徴とするICカード。
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