JP7307866B1 - マットコートインキ、マットコートインキセット、及び積層体 - Google Patents

マットコートインキ、マットコートインキセット、及び積層体 Download PDF

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Abstract

【課題】ハロゲンを含む材料を含有しなくとも、各種の基材に対する密着性に優れているとともに、耐ブロッキング性及び耐熱性に優れたマットコート層を形成することが可能なマットコートインキを提供する。【解決手段】バインダー樹脂、マット化剤、及び有機溶剤を含有し、バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)を含み、ポリウレタン樹脂(A)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率が、0.6MPa未満であり、ポリウレタン樹脂(B)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率が、0.6MPa以上であり、ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比((A):(B))が、5:95~60:40であり、マット化剤が、無機マット化剤及び有機マット化剤を含むマットコートインキである。【選択図】なし

Description

本発明は、マットコートインキ、マットコートインキセット、及び積層体に関する。
プラスチック製のフィルム等の各種基材の表面に艶消し感(マット感)を付与するための材料として、硫酸バリウムやシリカ等の無機粒子、或いはアクリル樹脂やポリオレフィン樹脂等の樹脂製のビーズを含有するマットコートインキが用いられている。
例えば、艶消し効果を高めるべく、硫酸バリウム及び樹脂微粒子をマット化剤として含有するマットコート剤が提案されている(特許文献1)。また、高温熱水に曝されるレトルトパウチ等の食品用包装容器の製造に用いることが可能な、ポリウレタン樹脂と、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のその他の樹脂とを含有するマットコート剤が提案されている(特許文献2及び3)。
特許第6994615号公報 特許第6917694号公報 特開2022-95299号公報
しかし、引用文献1~3等で提案された従来のマットコート剤を用いて形成されるマットコート層は、各種の基材に対する密着性の他、耐ブロッキング性及び耐熱性が必ずしも良好であるとはいえなかった。また、近年、環境への配慮等の観点から、ハロゲン原子を実質的に含まないハロゲンフリーな材料が注目されている。しかしながら、ハロゲンフリーな材料のみで構成したマットコート剤で形成されるマットコート層は、基材への密着性、耐ブロッキング性、及び耐熱性が必ずしも良好であるとはいえず、改善の余地があった。
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その課題とするところは、ハロゲンを含む材料を含有しなくとも、各種の基材に対する密着性に優れているとともに、耐ブロッキング性及び耐熱性に優れたマットコート層を形成することが可能なマットコートインキを提供することにある。また、本発明の課題とするところは、このマットコートインキを用いたマットコートインキセット及び積層体を提供することにある。
すなわち、本発明によれば、以下に示すマットコートインキが提供される。
[1]バインダー樹脂、マット化剤、及び有機溶剤を含有し、前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)を含み、前記ポリウレタン樹脂(A)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率が、0.6MPa未満であり、前記ポリウレタン樹脂(B)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率が、0.6MPa以上であり、前記ポリウレタン樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)の質量比((A):(B))が、5:95~60:40であり、前記マット化剤が、無機マット化剤及び有機マット化剤を含むマットコートインキ。
[2]ワックスをさらに含有する前記[1]に記載のマットコートインキ。
[3]前記無機マット化剤の平均粒子径が、0.1~5μmであり、前記有機マット化剤の平均粒子径が、1~10μmである前記[1]又は[2]に記載のマットコートインキ。
[4]前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記ポリウレタン樹脂(B)の数平均分子量が、それぞれ、5,000~50,000であり、前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記ポリウレタン樹脂(B)の重量平均分子量が、それぞれ、10,000~100,000である前記[1]~[3]のいずれかに記載のマットコートインキ。
[5]前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記ポリウレタン樹脂(B)のガラス転移温度が、それぞれ、-60~-20℃である前記[1]~[4]のいずれかに記載のマットコートインキ。
[6]硬化剤をさらに含有する前記[1]~[5]のいずれかに記載のマットコートインキ。
[7]硬化剤とともに使用される前記[1]~[5]に記載のマットコートインキ。
また、本発明によれば、以下に示すマットコートインキセットが提供される。
[8]前記[1]~[5]のいずれかに記載のマットコートインキと、硬化剤との組み合わせを含むマットコートインキセット。
さらに、本発明によれば、以下に示す積層体が提供される。
[9]基材と、前記基材の表面上に設けられたマットコート層と、を備え、前記マットコート層が、前記[1]~[6]のいずれかに記載のマットコートインキで形成された硬化層である積層体。
本発明によれば、ハロゲンを含む材料を含有しなくとも、各種の基材に対する密着性に優れているとともに、耐ブロッキング性及び耐熱性に優れたマットコート層を形成することが可能なマットコートインキを提供することができる。また、本発明によれば、このマットコートインキを用いたマットコートインキセット及び積層体を提供することができる。
<マットコートインキ>
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。本発明のマットコートインキの一実施形態は、バインダー樹脂、マット化剤、及び有機溶剤を含有し、このバインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)を含む。ポリウレタン樹脂(A)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率は、0.6MPa未満であり、ポリウレタン樹脂(B)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率は、0.6MPa以上である。また、マットコートインキ中のポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比((A):(B))は、5:95~60:40である。そして、マット化剤が、無機マット化剤及び有機マット化剤を含む。以下、本実施形態のマットコートインキの詳細について説明する。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂は、マットコート層を設ける基材の表面にマット化剤等を固着させるための成分である。バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)を含む。すなわち、本実施形態のマットコートインキは、特性の異なる2種のポリウレタン樹脂をバインダー樹脂として含有する。
ポリウレタン樹脂(A)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率(E’;動的貯蔵弾性率)は0.6MPa未満であり、好ましくは0.5MPa以下、さらに好ましくは0.45MPa以下である。一方、ポリウレタン樹脂(B)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率(E’)は0.6MPa以上であり、好ましくは0.7MPa以上、さらに好ましくは0.8MPa以上である。すなわち、ポリウレタン樹脂(A)の貯蔵弾性率の値は、ポリウレタン樹脂(B)の貯蔵弾性率の値に比して、相対的に小さい。このように特性が異なる2種のポリウレタン樹脂をバインダー樹脂として用いることで、基材に対する密着性、耐ブロッキング性、及び耐熱性に優れたマットコート層を形成することができる。
ポリウレタン樹脂(A)の貯蔵弾性率の下限は特に限定されないが、0.05MPa以上であることが好ましく、0.1MPa以上であることがさらに好ましい。また、ポリウレタン樹脂(B)の貯蔵弾性率の上限は特に限定されないが、20.0MPa以下であることが好ましく、10.0MPa以下であることがさらに好ましい。ポリウレタン樹脂(ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B))の貯蔵弾性率は、ポリウレタン樹脂の乾燥膜(フィルム状試料)について、動的粘弾性測定装置を用いて、温度100℃及び周波数11Hzの条件で動的粘弾性を測定して得られる値である。
マットコートインキ中、ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比((A):(B))は、5:95~60:40であり、好ましくは10:90~50:50、さらに好ましくは12:88~40:60である。ポリウレタン樹脂(A)とポリウレタン樹脂(B)の質量比を上記の範囲内とすることで、形成されるマットコート層の基材に対する密着性、耐ブロッキング性、及び耐熱性を高めることができる。
ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)(以下、纏めて単に「ポリウレタン樹脂」とも記す)は、例えば、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応物であるウレタンプレポリマーに、必要に応じて鎖伸長剤及び反応停止剤を反応させて得られたものを用いることができる。
ジイソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2-ニトロジフェニル-4,4-ジイソシアネート、2,2-ジフェニルプロパン-4,4-ジイソシアネート、3,3-ジメチルジフェニルメタン-4,4-ジイソシアネート、4,4-ジフェニルプロパンジイソシアネート、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレン-1,4-ジイソシアネート、ナフチレン-1,5-ジイソシアネート、及び3,3-ジメトキシジフェニル-4,4-ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;並びにイソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水添化トリレンジイソシアネート、水添化キシリレンジイソシアネート、及び水添化ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂には、ジイソシアネート化合物の1種が単独で用いられていてもよく、2種以上の組み合わせが用いられていてもよい。
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びポリエーテルポリオール等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂には、ポリオール化合物の1種が単独で用いられていてもよく、2種以上の組み合わせが用いられていてもよい。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価カルボン酸類と、多価アルコール類又は第2~3級アミン類との脱水重縮合反応で得られる、ポリエステルポリオール又はポリエステルアミドポリオールを挙げることができる。多価カルボン酸類の具体例としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、ヘキサヒドロオルソフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸、及びトリメリット酸等のポリカルボン酸、並びにそれらの酸エステル、及びそれらの酸無水物等を挙げることができ、これらのうちの1種以上を用いることができる。多価アルコール類の具体例としては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン、グリセリン、及びペンタエリスリトール等の低分子アルコール化合物、並びにモノエタノールアミン及びジエタノールアミン等の低分子アミノアルコール化合物等を挙げることができ、これらのうちの1種以上を用いることができる。第2~3級アミン類の具体例としては、ヘキサメチレンジアミン、キシリレンジアミン、及びイソホロンジアミン等の低分子アミン化合物等を挙げることができ、これらのうちの1種以上を用いることができる。また、ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子アルコール化合物及び低分子アミノアルコール化合物等を開始剤として、ε-カプロラクトン及びγ-バレロラクトン等の環状エステル(ラクトン)モノマーを開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオールを用いることもできる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物とホスゲンとの脱塩酸反応で得られるもの;この低分子アルコール化合物と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びジフェニルカーボネート等とのエステル交換反応で得られるもの;を挙げることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオールの合成に用いられる低分子アルコール化合物、低分子アミン化合物及び低分子アミノアルコール化合物、並びにフェノール類等を開始剤として、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシド等のアルキレンオキシド、並びにテトラヒドロフラン等を開環重合させたポリオキシエチレンポリオール、ポリオキシプロピレンポリオール、ポリテトラメチレンエーテルポリオール、及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオール等を挙げることができる。さらに、前述のポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオールを開始剤とするポリエステルエーテルポリオールを挙げることができる。
鎖伸長剤としては、分子内にイソシアネート基との反応可能な官能基(アミノ基及び水酸基等)を2以上有する化合物を用いることができる。鎖伸長剤としては、例えば、エチレンジアミン、1,3-プロピレンジアミン、1,4-ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、及び2-エチルアミノエチルアミン等のジアミン化合物;ジエチレントリアミン、及びトリエチレンテトラミン等のポリアミン化合物;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、及びトリエチレングリコール等の低分子ジオール化合物;アミノエチルエタノールアミン、並びにアミノプロピルエタノールアミン等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂には、鎖伸長剤の1種が単独で用いられていてもよく、2種以上の組み合わせが用いられていてもよい。
反応停止剤としては、n-プロピルアミン及びn-ブチルアミン等のモノアルキルアミン;ジ-n-ブチルアミン等のジアルキルアミン;モノエタノールアミン及びジエタノールアミン等のアルカノールアミン;並びにメタノール及びエタノール等のモノアルコール等を挙げることができる。ポリウレタン樹脂には、反応停止剤の1種が単独で用いられていてもよく、2種以上の組み合わせが用いられていてもよい。
ジイソシアネート化合物とポリオール化合物を反応させて得られるウレタンプレポリマーの製造において、ジイソシアネート化合物のNCOとポリオール化合物のOHのモル当量比(ジイソシアネート化合物のNCOのモル当量/ポリオール化合物のOHのモル当量)は、1.3~3で反応させることが好ましく、1.5~2で反応させることがさらに好ましい。
上記ウレタンプレポリマーからのポリウレタン樹脂の製造において、ウレタンプレポリマーの残存するイソシアネート基に対して、鎖伸長剤を0.5~0.95当量程度の範囲で反応させることが好ましい。また、鎖伸長後のポリウレタン樹脂1モルに対して、反応停止剤を2モル程度の比率で反応させることが好ましい。
ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)の数平均分子量(Mn)は、それぞれ、5,000~50,000であることが好ましく、8,000~40,000であることがさらに好ましく、10,000~35,000であることが特に好ましい。ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は、それぞれ、10,000~100,000であることが好ましく、20,000~90,000であることがさらに好ましく、30,000~80,000であることが特に好ましい。本明細書におけるMw及びMnは、いずれも、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定されるポリスチレン換算の値である。具体的には、Mw及びMnは、以下の条件にて測定することができる。
・装置:商品名「HLC-8220GPC」(東ソー社製)
・カラム:商品名「Guardcolumn α」;1本及び「TSKgel α-M」;1本(いずれも東ソー社製)
・試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
・溶液注入量:100μL
・流量:1mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン
ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)のガラス転移温度は、それぞれ、-60~-20℃であることが好ましく、-50~-30℃であることがさらに好ましい。
バインダー樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、ポリウレタン樹脂以外のその他の樹脂をさらに含んでもよい。その他の樹脂としては、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体及びセルロース系樹脂等を挙げることができる。但し、ハロゲンフリーのマットコートインキとする観点から、バインダー樹脂は、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のハロゲン含有樹脂を実質的に含まないことが好ましい。
セルロース系樹脂としては、セルロース、及びセルロースが有する水酸基の一部が他の基に置換されたセルロース誘導体等を用いることができる。なかでも、セルロース誘導体が好ましい。セルロース系樹脂としては、例えば、ニトロセルロース(ニトロ基置換体);セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、及びセルロースアセテートブチレート等の低級アシル基置換体;メチルセルロース及びエチルセルロース等の低級アルキル基置換体;ベンジルセルロース等のアラルキル基置換体;並びにヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシメチルプロピルセルロース等のヒドロキシアルキル基を有するセルロース誘導体等を挙げることができる。
(マット化剤)
マット化剤は、マットコートインキで形成されるマットコート層に艶消し感(マット調)を付与する成分である。本実施形態のマットコートインキに用いるマット化剤は、無機マット化剤及び有機マット化剤を含む。すなわち、材質及び特性の異なる2種のマット化剤を併用することで、基材に対する密着性、耐ブロッキング性、及び耐熱性に優れたマットコート層を形成可能なマットコートインキとすることができる。
無機マット化剤は、無機材料で形成された固体粒子である。無機マット化剤としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、及びアルミナ等の固体粒子を挙げることができる。
無機マット化剤の平均粒子径は、0.1~5μmであることが好ましく、0.12~3μmであることがさらに好ましい。平均粒子径が上記の範囲内である無機マット化剤を用いることで、耐ブロッキング性がより向上したマットコート層を形成することができる。なお、本明細書における「平均粒子径」は、体積基準の粒度分布における累積50%粒子径(メジアン径(D50))を意味する。
有機マット化剤は、有機材料で形成された固体粒子である。有機マット化剤としては、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、及びベンゾグアナミン系樹脂等の固体粒子を挙げることができる。有機マット化剤の平均粒子径は、1~10μmであることが好ましく、1.5~8μmであることがさらに好ましい。
本実施形態のマットコートインキは、ワックスをさらに含有することが好ましい。ワックスは、マット化剤として機能する成分である。このため、ワックスをさらに含有させることで、基材に対する密着性、耐ブロッキング性、及び耐熱性がより向上したマットコート層を形成可能なマットコートインキとすることができる。
ワックスとしては、天然ワックス及び合成ワックスのいずれも用いることができる。好適な天然ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス等を挙げることができる。好適な合成ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレン(PE)ワックス、ポリプロピレン(PP)ワックス、及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス等を挙げることができる。なかでも、ブロッキング防止剤としての機能も有することから、PEワックス、PPワックス、及びPTFEワックスが好ましい。
(有機溶剤)
マットコートインキは、有機溶剤を含有する。このため、マットコートインキを液状組成物に調製しやすくなり、マットコート層を設ける対象物にマットコートインキを印刷等の手法で塗布しやすくなる。有機溶剤としては、マットコートインキ中の各成分を溶解又は分散させるものを用いることができる。有機溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、及びアルコール系溶剤等を挙げることができ、それらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、及びシクロヘキサノン等を挙げることができる。炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;n-ヘキサン、n-ヘプタン、及びn-オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;並びにシクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びシクロオクタン等の脂環族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、及び酢酸イソブチル等を挙げることができる。エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等を挙げることができる。グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、及びn-ブタノール等の1価アルコール;並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の多価アルコール等を挙げることができる。
(硬化剤)
マットコートインキは、硬化剤をさらに含有することが好ましい。硬化剤をさらに含有することで、基材に対する密着性や耐熱性がより向上したマットコート層を形成することができる。また、マットコートインキは、硬化剤とともに使用されるものであることも好ましい。すなわち、マットコートインキは、基材等の対象物に付与される直前に硬化剤と混合されることが好ましい。
硬化剤としては、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。イソシアネート系架橋剤は、1分子中にイソシアネート基を2以上有する化合物である。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,2’-MDI、2,4’-MDI、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-TDI、m-キシリレンジイソシアネート(XDI)、及び1,4-フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(水添XDI)、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート(水添MDI)、及び1-メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアナート(水添TDI)等の脂環族ジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;並びに各種ジイソシアネートのアダクト体、各種ジイソシアネートのイソシアヌレート体、HDIのビウレット体、及びHDIのアロファネート体等のイソシアネートプレポリマー;等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
(その他の添加剤)
マットコートインキには、必要に応じて、さらにその他の添加剤を含有させることができる。その他の添加剤としては、例えば、顔料、染料、分散剤、レベリング剤、可塑剤、沈降防止剤、ブロッキング防止剤、消泡剤、及びシランカップリング剤等を挙げることができる。
(マットコートインキの調製方法)
マットコートインキを調製する方法については、特に制限されず、上述のポリウレタン樹脂(A)、ポリウレタン樹脂(B)、無機マット化剤、有機マット化剤、及び有機溶剤、並びに必要に応じて用いられる任意成分を混合することにより、マットコートインキを調製することができる。各成分を混合する際には、例えば高速撹拌装置を用いることができる。イソシアネート系架橋剤等の硬化剤は、マットコートインキを印刷手法等により基材に付与する直前に、マットコートインキに配合することが好ましい。
(マットコートインキ中の各成分の含有量)
マットコートインキ中のバインダー樹脂の含有量は、マットコートインキの全固形分質量を基準として、30~90質量%であることが好ましい。マットコートインキの塗工適性やマットコート層の強度の観点から、バインダー樹脂の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがさらに好ましい。また、マットコート層において良好なマット調が得られる程度にマット化剤の含有量を確保する観点から、バインダー樹脂の上記含有量は、90質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがさらに好ましい。
マットコートインキ中のマット化剤の含有量は、マットコートインキの全固形分質量を基準として、10~60質量%であることが好ましい。マットコート層に十分なマット感を付与し、マットコート層の性能をバランスよく発現させる観点から、マット化剤の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましく、60質量%以下であることが特に好ましく、50質量%以下であることが最も好ましい。
マットコートインキ中の有機溶剤の含有量は、マットコートインキの全質量を基準として、30~90質量%であることが好ましい。印刷等の手法により塗工しやすいマットコートインキを調製する観点から、有機溶剤の含有量は、30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましく、50質量%以上であることが特に好ましい。
マットコートインキ中の硬化剤の使用量(含有量)は、マットコートインキの全固形分質量を基準として、1~20質量%であることが好ましい。マットコート層の耐熱性をより高める観点から、硬化剤の使用量(含有量)は、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがさらに好ましく、4質量%以上であることが特に好ましい。また、適度な柔軟性及び靭性を有するマットコート層が得られやすい観点から、硬化剤の使用量(含有量)は、20質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
<マットコートインキセット>
本発明のマットコートインキセットの一実施形態は、前述のマットコートインキと、硬化剤との組み合わせを含む。すなわち、本実施形態のマットコートインキセットは、好ましくは、前述のマットコートインキと、前述の硬化剤との組み合わせであり、印刷手法等によりマットコートインキを基材に付与する直前に、マットコートインキに硬化剤を配合して用いる。これにより、基材に付与する前の段階ではマットコートインキと硬化剤をそれぞれ安定した状態で保存することができる。そして、マットコートインキと硬化剤を混合して基材等に付与した後は、速やかにマットコート層を形成することができる。
<積層体>
本発明の積層体の一実施形態は、基材と、この基材の表面上に設けられたマットコート層とを備える。そして、このマットコート層が、前述のマットコートインキで形成された硬化層である。
(基材)
マットコートインキを塗布・塗工等して付与する対象物である基材は、特に制限されない。基材の材質としては、例えば、プラスチック、ゴム、セラミックス、金属、木材、布、及び紙等を挙げることができる。好適な材質としては、アート紙、コート紙、上質紙、グラビア用紙、和紙、板紙、及び合成紙等の紙;織布及び不織布等の布;プラスチックフィルム;並びにこれらのうちの1種又は2種以上の積層体;等を挙げることができる。
基材としては、プラスチックフィルムがより好適である。プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;各種のポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル樹脂フィルム;セロファン等のセルロースフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂フィルム;エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂フィルム;ナイロン(NY)フィルム等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;等を挙げることができる。例えば、二軸延伸PPフィルム及び無延伸PPフィルム等のように、延伸及び無延伸のいずれのプラスチックフィルムも用いることができる。また、アルミニウム蒸着等の金属蒸着層が設けられたプラスチックフィルムや、アルミナ及びシリカ等の透明蒸着層が設けられたプラスチックフィルムを用いることもできる。さらに、表面に、コロナ放電処理やプラズマ処理等の各種表面処理が施されたプラスチックフィルムや、着色インキによる印刷層が設けられたプラスチックフィルムを用いることもできる。プラスチックフィルムの厚さは、特に制限されず、例えば、1~300μmの範囲内であることが好ましく、5~100μmの範囲内であることがさらに好ましい。
(マットコート層)
マットコート層は、前述のマットコートインキで形成される硬化層である。マットコート層は、例えば以下の手順にしたがって基材の表面上に設けることができる。まず、必要に応じて硬化剤を添加したマットコートインキを基材に付与した後、乾燥して有機溶剤等の揮発成分を揮発させる。次いで、必要に応じて適度に加熱して硬化させることで、硬化層であるマットコート層が形成され、基材の表面上に設けることができる。
マットコートインキの基材への付与は、印刷方式により行うことが好ましく、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式により行うことがさらに好ましく、グラビア印刷方式により行うことが特に好ましい。基材へのマットコートインキの付与は、基材におけるマットコートインキを塗工する面の全体に行ってもよく、当該面の一部に行ってもよい。また、例えば、フィルム状やシート状の基材にマットコートインキを塗工する場合、基材の片面に塗工してもよいし、両面に塗工してもよい。
基材に塗工したマットコートインキを乾燥する際の温度は、20~100℃であることが好ましく、30~90℃であることが好ましく、40~80℃であることがさらに好ましい。形成されるマットコート層の厚さは、特に制限されないが、例えば、0.1~20μmの範囲内であることが好ましく、0.5~10μmの範囲内であることがさらに好ましい。
本実施形態の積層体は、プラスチックフィルム等の基材と、この基材の表面上に優れた密着性で設けられたマットコート層とを備えるものであり、このマットコート層は、耐ブロッキング性及び耐熱性に優れている。このため、本実施形態の積層体は、例えば、食品、飲料品、衣料品、医薬品、医薬部外品、化粧品、パーソナルケア用品、洗剤、宝飾品、衣類品、ペット用品、及び家庭用化学製品等の包装材を構成する材料として有用である。
また、包装材が用いられる用途として、さらには、電子部品、電気部品、電気製品、自動車部品、各種のシート及びカード、並びに製品に設けられるラベル及びタグ等を挙げることもできる。包装材の形態としては、例えば、袋、箱、及びボトル等の容器の他、フィルム、シート、テープ、ライナー、ラベル、及びステッカー等を挙げることができる。これらのなかでも、レトルトパウチ等の食品用包装材や飲料品用包装材が好ましい。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。
<材料の用意>
以下に示す材料を用意した。
・ポリウレタン樹脂(1):貯蔵弾性率0.14MPa、Mn21,000、Mw69,000、水酸基価11.1mgKOH/g、ガラス転移温度-45℃
・ポリウレタン樹脂(2):貯蔵弾性率0.30MPa、Mn27,100、Mw74,600、水酸基価3.0mgKOH/g、ガラス転移温度-44℃
・ポリウレタン樹脂(3):貯蔵弾性率0.89MPa、Mn23,000、Mw66,000、水酸基価9.9mgKOH/g、ガラス転移温度-44℃
・ポリウレタン樹脂(4):貯蔵弾性率3.9MPa、Mn12,000、Mw33,200、水酸基価4.2mgKOH/g、ガラス転移温度-38℃
・ニトロセルロース樹脂:製品名「DHX30-50」、稲畑産業社製
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体:製品名「ソルバインA」、日信化学工業社製
・無機マット化剤(1):沈降性硫酸バリウム、製品名「沈降性硫酸バリウム100」、堺化学工業社製、平均粒子径0.6μm
・無機マット化剤(2):沈降性硫酸バリウム、製品名「BARIFINE BF-1L」、堺化学工業社製、平均粒子径0.1μm
・無機マット化剤(3):沈降性炭酸カルシウム、製品名「ホモカルD」、白石工業社製、平均粒子径0.14μm
・有機マット化剤(1):ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、製品名「エポスターMS」、日本触媒社製、平均粒子径2μm
・有機マット化剤(2):ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド縮合物、製品名「エポスターM05」、日本触媒社製、平均粒子径5μm
・ポリエチレンワックス:製品名「ポリコンB-158」、ポリコン社製
・有機溶剤:トルエン、イソプロピルアルコール(IPA)、及びメチルエチルケトン(MEK)の混合溶媒(トルエン:IPA:MEK=62:20:18)
<マットコートインキの調製>
(実施例1)
ポリウレタン樹脂(1)2.1部、ポリウレタン樹脂(3)12.0部、無機マット化剤(1)15.4部、有機マット化剤(1)1.3部、ポリエチレンワックス3.5部、及び有機溶剤65.7部を混合した。その後、ペイントシェイカーを使用して練肉し、マットコートインキを調製した。
(実施例2~13、比較例1~8)
表1-1及び1-2に示す組成としたこと以外は、前述の実施例1と同様にして、マットコートインキを調製した。なお、表1-1及び1-2中の各成分の量(部)は、固形分の量を表す。
Figure 0007307866000001
Figure 0007307866000002
<積層体の製造>
調製したマットコートインキ100部に硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート、固形分30%)を固形分が5部となるように添加した。ホモディスパーを使用して混合し、塗料組成物を調製した。なお、実施例13で調製したマットコートインキについては硬化剤を添加せず、そのまま塗料組成物とした。PETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ25μm)、OPPフィルム(二軸延伸ポリプロピレンフィルム、厚さ25μm)、及びONYフィルム(二軸延伸ナイロンフィルム、厚さ12μm)のコロナ処理面に、調製した塗料組成物をグラビア印刷によりそれぞれ塗布した。80℃で1分間熱風乾燥した後、40℃で48時間エージングして、各基材(フィルム)の表面上に硬化層であるマットコート層が形成された積層体を得た。
<評価>
(ハロゲン非含有)
以下に示す評価基準にしたがってマットコートインキの「ハロゲン非含有」を評価した。結果を表2に示す。
5:ハロゲンを含む材料を含有する。
1:ハロゲンを含む材料を含有しない。
(基材密着性)
製造した積層体の硬化層(マットコート層)の表面にセロハン粘着テープ(ニチバン社製、幅18mm)を貼付した。その後、貼着したセロハン粘着テープを剥離するとともに、下記式(1)より残留率を算出し、以下に示す評価基準にしたがってマットコート層の基材密着性を評価した。結果を表2に示す。
残留率(%)=(A/A)×100 ・・・(1)
:セロハン粘着テープの貼付面積
:セロハン粘着テープ剥離後に残留したマットコート層の面積
[評価基準]
5:残留率が90%以上であった。
4:残留率が70%以上90%未満であった。
3:残留率が50%以上70%未満であった。
2:残留率が30%以上50%未満であった。
1:残留率が30%未満であった。
(耐ブロッキング性)
PETフィルムを用いて製造した積層体(但し、エージング前の状態のもの)を裁断して、2枚の試験片を作製した。塗膜面同士が接触するように2枚の試験片を積層するとともに、積層方向に4kg/cmの荷重をかけた状態とし、40℃の恒温機内で48時間保管した。その後、2枚の試験片を剥離し、以下に示す評価基準にしたがって耐ブロッキング性を評価した。結果を表2に示す。なお、「塗膜の取られ面積率」は、下記式(2)より算出した。
塗膜の取られ面積率(%)=(B/B)×100 ・・・(2)
:接触させた塗膜の面積
:基材から剥離して対向する塗膜に転移した塗膜の面積
[評価基準]
5:剥離時に抵抗がなかった。
4:剥離時に抵抗があったが、塗膜の取られ面積率は0%であった。
3:塗膜の取られ面積率が0%超30%以下であった。
2:塗膜の取られ面積率が30%超60%以下であった。
1:塗膜の取られ面積率が60%超であった。
(耐熱性)
PETフィルムを用いて製造した積層体を裁断して、2枚の試験片を作製した。塗膜面(マットコート層の表面)同士が接触するように2枚の試験片を積層した後、ヒートバーを使用し、80~130℃、2kg/cmで1秒間加熱した。その後、2枚の試験片の塗膜面の状態を確認し、以下に示す評価基準にしたがって耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
5:130℃で加熱しても塗膜面同士の貼り付きがなかった。
4:120℃まで加熱しても塗膜面同士の貼り付きがなかったが、130℃で加熱すると塗膜面同士の貼り付きがあった。
3:110℃まで加熱しても塗膜面同士の貼り付きがなかったが、120℃で加熱すると塗膜面同士の貼り付きがあった。
2:100℃まで加熱しても塗膜面同士の貼り付きがなかったが、110℃で加熱すると塗膜面同士の貼り付きがあった。
1:100℃未満の加熱で塗膜面同士の貼り付きがあった。
Figure 0007307866000003
本発明のマットコートインキは、例えば、レトルトパウチ等の食品用包装材や飲料品用包装材をはじめとする各種の包装材を構成する積層フィルム等の積層体の形成材料として有用である。

Claims (9)

  1. バインダー樹脂、マット化剤、及び有機溶剤を含有し、
    前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂(A)及びポリウレタン樹脂(B)を含み、
    前記ポリウレタン樹脂(A)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率が、0.6MPa未満であり、
    前記ポリウレタン樹脂(B)の温度100℃、周波数11Hzにおける貯蔵弾性率が、0.6MPa以上であり、
    前記ポリウレタン樹脂(A)と前記ポリウレタン樹脂(B)の質量比((A):(B))が、5:95~60:40であり、
    前記マット化剤が、無機マット化剤及び有機マット化剤を含むマットコートインキ。
  2. ワックスをさらに含有する請求項1に記載のマットコートインキ。
  3. 前記無機マット化剤の平均粒子径が、0.1~5μmであり、
    前記有機マット化剤の平均粒子径が、1~10μmである請求項1に記載のマットコートインキ。
  4. 前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記ポリウレタン樹脂(B)の数平均分子量が、それぞれ、5,000~50,000であり、
    前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記ポリウレタン樹脂(B)の重量平均分子量が、それぞれ、10,000~100,000である請求項1に記載のマットコートインキ。
  5. 前記ポリウレタン樹脂(A)及び前記ポリウレタン樹脂(B)のガラス転移温度が、それぞれ、-60~-20℃である請求項1に記載のマットコートインキ。
  6. 硬化剤をさらに含有する請求項1に記載のマットコートインキ。
  7. 硬化剤とともに使用される請求項1に記載のマットコートインキ。
  8. 請求項1~5のいずれか一項に記載のマットコートインキと、硬化剤との組み合わせを含むマットコートインキセット。
  9. 基材と、前記基材の表面上に設けられたマットコート層と、を備え、
    前記マットコート層が、請求項1~6のいずれか一項に記載のマットコートインキで形成された硬化層である積層体。
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