JP7245381B1 - 積層体、及び包装体 - Google Patents

積層体、及び包装体 Download PDF

Info

Publication number
JP7245381B1
JP7245381B1 JP2022177760A JP2022177760A JP7245381B1 JP 7245381 B1 JP7245381 B1 JP 7245381B1 JP 2022177760 A JP2022177760 A JP 2022177760A JP 2022177760 A JP2022177760 A JP 2022177760A JP 7245381 B1 JP7245381 B1 JP 7245381B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
ink
adhesive
adhesive layer
polyol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022177760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2024067570A (ja
Inventor
寛樹 野田
博明 高位
通久 小藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Original Assignee
Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Ink SC Holdings Co Ltd filed Critical Toyo Ink SC Holdings Co Ltd
Priority to JP2022177760A priority Critical patent/JP7245381B1/ja
Priority to JP2023004770A priority patent/JP2024068052A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7245381B1 publication Critical patent/JP7245381B1/ja
Priority to US18/502,063 priority patent/US20240150098A1/en
Priority to KR1020230152302A priority patent/KR20240066115A/ko
Publication of JP2024067570A publication Critical patent/JP2024067570A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D65/00Wrappers or flexible covers; Packaging materials of special type or form
    • B65D65/38Packaging materials of special type or form
    • B65D65/42Applications of coated or impregnated materials
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B32LAYERED PRODUCTS
    • B32BLAYERED PRODUCTS, i.e. PRODUCTS BUILT-UP OF STRATA OF FLAT OR NON-FLAT, e.g. CELLULAR OR HONEYCOMB, FORM
    • B32B7/00Layered products characterised by the relation between layers; Layered products characterised by the relative orientation of features between layers, or by the relative values of a measurable parameter between layers, i.e. products comprising layers having different physical, chemical or physicochemical properties; Layered products characterised by the interconnection of layers
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B65CONVEYING; PACKING; STORING; HANDLING THIN OR FILAMENTARY MATERIAL
    • B65DCONTAINERS FOR STORAGE OR TRANSPORT OF ARTICLES OR MATERIALS, e.g. BAGS, BARRELS, BOTTLES, BOXES, CANS, CARTONS, CRATES, DRUMS, JARS, TANKS, HOPPERS, FORWARDING CONTAINERS; ACCESSORIES, CLOSURES, OR FITTINGS THEREFOR; PACKAGING ELEMENTS; PACKAGES
    • B65D65/00Wrappers or flexible covers; Packaging materials of special type or form
    • B65D65/38Packaging materials of special type or form
    • B65D65/40Applications of laminates for particular packaging purposes

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)

Abstract

【課題】水性フレキソインキを用いたインキ層に接して無溶剤型接着剤を用いた接着剤層を備える構成において、優れた柔軟性・基材追従性を有し、且つ、接着強度良好な積層体の提供。該積層体を用いた基材追従性及び接着強度に優れる包装体の提供。【解決手段】上記課題は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体であって、以下の(1)~(3)を満たす積層体によって解決される。(1)前記インキ層が、水性フレキソインキ(F)を用いて形成された層である。(2)前記接着剤層は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含む無溶剤型接着剤(S)を用いて形成された層であり、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が、600MPa以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、食品、医療品、化粧品等の包装材料に適用可能な積層体及び該積層体を用いた包装体に関する。さらに本発明は、水性フレキソインキからなるインキ層と無溶剤型接着剤からなる接着剤層とを備え、優れた基材追従性及び接着強度を有し、品質安定性に優れる積層体及び該積層体を用いた包装体に関する。
従来、食品、医療品、化粧品等の包装に用いる包装材料として、少なくともインキ層及び接着剤層が2つの基材間に配置された積層体が好適に用いられている。そして、環境負荷低減の観点から、上記インキ層及び接着剤層を、有機溶剤を含まない若しくは有機溶剤の含有量が非常に少ない水性インキ、及びポリオールとポリイソシアネートとからなる反応性無溶剤型接着剤を用いて形成することが検討されている。
一般的に上記反応性無溶剤型接着剤は、含有するポリオール及びポリイソシアネートの分子量を低く設定することで粘度を下げ、塗工性を確保している。そのため、無溶剤型接着剤を硬化した硬化物の分子量は、溶剤型接着剤の硬化物の分子量より低くなり、凝集力不足による物性不良が生じやすい。
上記状況において、例えば特許文献1には、水性インキから形成されたインキ層と、部分的に末端酸変性されたポリオール成分を必須とする無溶剤型接着剤から形成された接着剤層とを順に備える、外観良好な積層体が開示されている。
また、例えば特許文献2には、水性インキから形成されたインキ層と、無溶剤型接着剤から形成された接着剤層とを順に備える、ガスバリア性に優れる積層体が開示されている。
特開2021-066031号公報 特開2020-168837号公報
一方、包装材料として用いられる積層体は、製袋過程、充填過程、流通過程等において折り曲げられ、長期間にわたり歪みが加えられた状態となるため、接着剤層には、折り曲げられた状態においても、基材から剥離しないための基材追従性が求められる。
しかしながら、上述のように無溶剤型接着剤は分子量を低く設定しているため、含有するイソシアネート成分の分子量も低く設定されていることが多い。そのため、インキ層上に塗布した際に、接着剤中のイソシアネートモノマーのような低分子量成分がインキ層に浸透しやすく、インキ層中の成分との反応が進行する。特に、水性インキを用いて形成された水性インキ層は、溶剤インキを用いて形成された溶剤インキ層に比べて、水やその他の水酸基成分が残留しやすい。そのため、水性インキ層上に無溶剤型接着剤を塗布すると、接着剤層中の低分子ポリイソシアネート成分がインキ層中の残留水分及び水酸基成分と反応し、ウレア結合が生成する。このようにして生じたウレア結合は、ウレタン結合に比べて結合エネルギーが高いため、接着剤層中の高分子の自由度が低下し、接着剤層が剛直になってしまう。
すなわち、水性インキ層と無溶剤型接着剤層とが接する積層体においては、前述の理由で接着剤層が剛直になりやすく、基材追従性が低下しやすいという課題がある。特に水性フレキソインキは顔料濃度が高いことからインキ層中の空隙率が高くなりやすく、それによりインキ層中の残留水分が増加し、より基材追従性の低下が生じやすいという課題がある。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、接着剤層を形成する無溶剤型接着剤として、ポリエステル系のポリオール成分を有することが開示されているが、ポリオール成分としてポリエステル系のポリオール成分のみを用いているため、硬化後の接着剤は剛直な硬化物となり、柔軟性が不足し基材追従性に劣るという問題がある。
したがって本発明の目的は、水性フレキソインキを用いたインキ層に接して無溶剤型接着剤を用いた接着剤層を備える構成でありながら、優れた柔軟性・基材追従性を有し、且つ、接着強度良好な積層体を提供することにある。また、本発明の目的は、該積層体を用いた基材追従性及び接着強度に優れる包装体を提供することにある。
本発明の一態様に係る積層体は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体であって、以下の(1)~(3)を満たすことを特徴とする。
(1)前記インキ層が、水性フレキソインキ(F)を用いて形成された層である。
(2)前記接着剤層は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含む無溶剤型接着剤(S)を用いて形成された層であり、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が、600MPa以下である。
本発明の一態様に係る積層体は、前記ポリオール(A)が、ポリエステルポリオール(a1)と、蓖麻子油系ポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオール(a2)と、を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記ポリイソシアネート(B)が、数平均分子量が1,000~3,000であるポリエステルポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)との反応生成物であるポリウレタンポリイソシアネートを含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記インキ層が、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が1000MPa以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記接着剤層が、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における損失正接(tanδ)が、0.2~0.8であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記インキ層が、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における損失正接(tanδ)が0.20~0.80であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装体は、前記積層体を使用したことを特徴とする。
本発明により、水性フレキソインキを用いたインキ層に接して無溶剤型接着剤を用いた接着剤層を備える構成でありながら、優れた柔軟性・基材追従性を有し、且つ、接着強度良好な積層体を提供することができる。また、本発明により、該積層体を用いた基材追従性及び接着強度に優れる包装体を提供することができる。
本発明は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体であって、以下の(1)~(3)を満たすことを特徴とする。
(1)前記インキ層が、水性フレキソインキ(F)を用いて形成された層である。
(2)前記接着剤層は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含む無溶剤型接着剤(S)を用いて形成された層であり、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が、600MPa以下である。
接着剤層の貯蔵弾性率が上記数値を満たすことで、水性インキ層と接着剤層とが接する構成において、接着剤層の柔軟性に優れ、積層体が曲げられた状態で長時間放置されてもデラミが抑制される。これにより、加工工程や流通工程など多くの歪みを受ける形態で使用した場合にも、品質を維持できる。
また、損失正接を所定範囲であると、柔軟性(粘性)と弾性のバランスがより良好となり、接着剤層の伸びによる応力緩和能と、基材同士を接着させる凝集力との両立に優れる。
<<接着剤層>>
本発明における接着剤層は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含む無溶剤型接着剤(S)を用いて形成された層(硬化物)であり、本実施形態における無溶剤型接着剤(S)は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体における硬化後の状態において、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が600MPa以下であることが重要である。
<貯蔵弾性率(Er)>
貯蔵弾性率(Er)が600MPa以下であることで、水性フレキソインキ(F)からなるインキ層と接着剤層とが隣接している場合においても、接着剤層は柔軟性を発現し、優れた基材追従性を発現する。
耐熱性向上の観点から、貯蔵弾性率は、好ましくは5MPa以上、より好ましくは10MPa以上である。また、柔軟性向上の観点から、貯蔵弾性率は、好ましくは500MPa以下、より好ましくは450MPa以下である。
貯蔵弾性率は、例えば、JIS K 7244に基づき以下の方法で求めることができる。
無溶剤型接着剤(S)を、市販の自転公転式真空脱泡機(シンキー社製「ARV-310P」)を用いて均一に混合した後、コロナ未処理のCPPフィルム上に、厚み10~100μmになるようにアプリケーターを用いて薄く広げ、上から同じフィルムで挟み、40℃65%RHの環境下で10日間放置して接着剤を硬化させ、積層体を作製する。続いて積層体を長さ20mm、幅5mmに切り抜き、CPPフィルムを剥離させて、長さ20mm、幅5mm、厚み100μmの硬化膜を得る。得られた硬化膜を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度20℃、周波数10Hz、昇温速度10℃/分で当該試験片の貯蔵弾性率を測定し、20℃における貯蔵弾性率の値を算出する。
<損失正接(tanδ)>
本実施形態における無溶剤型接着剤(S)は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体における硬化後の状態において、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における損失正接(tanδ)が0.2~0.8であることが好ましい。損失正接が0.2以上であると、柔軟性(粘性)が向上して基材追従性が向上するため好ましい。損失正接が0.8以下であると、隣接する基材及びインキ層を引き付ける凝集力(弾性)が高まり接着強度が向上するため好ましい。より好ましくは0.2~0.5である。
損失正接は、例えば以下の方法で求めることができる。
無溶剤型接着剤(S)を、市販の自転公転式真空脱泡機(シンキー社製「ARV-310P」)を用いて均一に混合した後、コロナ未処理のCPPフィルム上に、厚み10~100μmになるようにアプリケーターを用いて薄く広げ、上から同じフィルムで挟み、40℃65%RHの環境下で10日間放置して接着剤を硬化させ、積層体を作製する。続いて積層体を長さ20mm、幅5mmに切り抜き、CPPフィルムを剥離させて、長さ20mm、幅5mm、厚み100μmの硬化膜を得る。得られた硬化膜を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度20℃、周波数10Hz、昇温速度10℃/分で当該試験片の損失正接を測定し、20℃における損失正接の値を算出する。
<ポリオール(A)>
ポリオール(A)は、水酸基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリオールから選択することができる。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、蓖麻子油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
またポリオール(A)は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタンポリオールであってもよい。ウレタン結合を有するポリウレタンポリオールを含むことで接着剤層の凝集力が向上して接着強度が良化するため好ましい。ポリイソシアネートとしては、後述の<ポリイソシアネート(B)>の項に記載された化合物を用いることができる。
ポリオール(A)は、水酸基の一部に酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものであってもよい。前記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としてはは、例えば、炭素数2~30のアルキレングリコール又はアルカントリオールを無水トリメリット酸でエステル化反応させてなるエステル化合物が挙げられ、エチレングリコールビスアンハイドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンハイドロトリメリテート等を用いることができる。
これらのポリオール(A)は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリオール(A)は、接着強度及び基材追従性の観点から、ポリエステルポリオール(a1)と、蓖麻子油系ポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオール(a2)と、を含むことが好ましい。ポリオール(A)がポリエステルポリオール(a1)を含むことで接着剤層の凝集力が高まり接着強度が向上する。また、蓖麻子油系ポリオール及びポリエーテルポリオールから選択される1種であるポリオール(a2)を含むことで、接着剤層の凝集力向上に伴う柔軟性の低下を抑制し、接着剤層の基材追従性が向上する。
前記ポリエステルポリオール(a1)としては、多塩基酸と多価アルコールとの反応生成物が挙げられる。該多塩基酸は、好ましくは脂肪族多塩基酸を90質量%以上、より好ましくは100質量%含むものであり、該多価アルコールは、好ましくは脂肪族多価アルコールを90質量%以上、より好ましくは100質量%含むものである。
本明細書において、脂肪族多塩基酸を90質量%以上含む多塩基酸と、脂肪族多価アルコールを90質量%以上含む多価アルコールとの反応生成物であるポリエステルポリオールを脂肪族ポリエステルポリオールという。前記ポリエステルポリオールが脂肪族ポリエステルポリオールを含むと接着剤層の柔軟性が向上して基材追従性が良化するため好ましい。
前記蓖麻子油系ポリオールとしては、例えば、蓖麻子油、蓖麻子油をウレタン化することで得られる蓖麻子油ウレタンポリオール、蓖麻子油をエステル化することで得られる蓖麻子油エステルポリオール、脱水蓖麻子油、蓖麻子油の水素添加物である蓖麻子硬化油、蓖麻子油脂肪酸、脱水蓖麻子油脂肪酸、蓖麻子油脂肪酸縮合物、蓖麻子油のエチレンオキサイド5~50モル付加体が挙げられる。これらの中でも、柔軟性付与の観点から蓖麻子油が好ましい。
蓖麻子油系ポリオールは市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、工業用一号蓖麻子油(豊国製油社製)、CO-FA(蓖麻子油脂肪酸、豊国製油社製)、HS 2G-120(蓖麻子油系ポリオール、豊国製油社製)、HS 2G-160R(蓖麻子油系ポリオール、豊国製油社製)、HS 2G-270B(蓖麻子油系ポリオール、豊国製油社製)が挙げられる。
前記ポリエーテルポリオールは、水酸基とエーテル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよく、2官能ポリエーテルポリオール、3官能以上のポリエーテルポリオールのいずれであってもよい。柔軟性付与の観点から、ポリエーテルポリオールとして好ましくは2官能ポリエーテルポリオールである。
<ポリイソシアネート(B)>
ポリイソシアネート(B)としては、例えば、ポリオール(b1)とポリイソシアネート(b2)とを、イソシアネート基が過剰である条件で反応させてなるポリウレタンポリイソシアネートを含む。このようなウレタン結合を有するポリイソシアネートを含むことで接着剤層の凝集力が高まり、接着強度が向上するため好ましい。
[ポリオール]
前記ポリオールとしては、上述の<ポリオール(A)>の項に記載のものを援用できるが、接着剤層の凝集力が上がり接着強度が向上する観点から、好ましくはポリエステルポリオールを含む。該ポリエステルポリオールの分子量は、凝集力の観点から、好ましくは1,000以上である。また基材追従性の観点から、好ましくは3,000以下である。
すなわち、ポリイソシアネート(B)は、数平均分子量が1,000~3,000であるポリエステルポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)との反応生成物であるポリウレタンポリイソシアネートを含むことが好ましい。
前記ポリウレタンポリイソシアネートを得る際の、ポリイソシアネート(b2)のイソシアネート基数とポリオール(b1)の水酸基数との比(NCOモル数/OHモル数)は、好ましくは3~5である。同比が3以上であると、接着剤層のウレタン結合の濃度が高まり、接着強度が向上するため好ましい。同比が5以下であると、残留イソシアネートモノマー量が低減し、接着剤層の柔軟性が向上して基材追従性が良化するため好ましい。
前記ポリエステルポリオールとしては、多塩基酸と多価アルコールとの反応生成物が挙げられる。該多塩基酸は、好ましくは脂肪族多塩基酸を90質量%以上、より好ましくは100質量%含むものであり、該多価アルコールは、好ましくは脂肪族多価アルコールを90質量%以上、より好ましくは100質量%含むものである。
本明細書において、脂肪族多塩基酸を90質量%以上含む多塩基酸と、脂肪族多価アルコールを90質量%以上含む多価アルコールとの反応生成物であるポリエステルポリオールを脂肪族ポリエステルポリオールという。前記ポリエステルポリオールが脂肪族ポリエステルポリオールを含むと接着剤層の柔軟性が向上して基材追従性が良化するため好ましい。
[ポリイソシアネート]
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(芳香族ポリイソシアネート)
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;が挙げられる。
(芳香脂肪族ポリイソシアネート)
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
(脂肪族ポリイソシアネート)
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
(脂環式ポリイソシアネート)
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;が挙げられる。
ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、アロファネート型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビウレット型変性体、アダクト型変性体が挙げられる。また、ポリイソシアネートの変性体として、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である、ウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いてもよい。
上記ポリイソシアネートの変性体を形成するポリオールは特に制限されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
上記ポリイソシアネートは、好ましくは芳香族ポリイソシアネートであり、より好ましくはジフェニルメタンジイソシアネートである。すなわち、ポリイソシアネート(B)は、芳香族ポリイソシアネート由来の構成単位を有することが好ましい。芳香族ポリイソシアネート由来の構成単位を有すると、接着剤層の凝集力が上がり、剪断応力が速やかに上昇する。これにより外観が良化するため好ましい。また、短時間の保管で次のラミネート工程や包装袋加工が可能になるため好ましい。
ポリイソシアネート(B)は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であるポリウレタンポリイソシアネートを含むことが望ましい。ウレタン結合を有するイソシアネート末端プレポリマーを含むことで接着剤層の凝集力が向上して接着強度が良化するため好ましい。
ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基含有率は、好ましくは5質量%~25質量%、より好ましくは8質量%~20質量%、さらに好ましくは12質量%~20質量%の範囲である。同含有率が5質量%以上であると、接着剤層のウレタン結合の濃度が高まり、接着強度が向上するため好ましい。同含有率が25質量%以下であると、残留イソシアネートモノマー量が低減し、接着剤層の柔軟性が向上して基材追従性が良化するため好ましい。
無溶剤型接着剤(S)において、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを配合する際の、ポリイソシアネート(B)のイソシアネート基数とポリオール(A)の水酸基数との比(NCOモル数/OHモル数)は、好ましくは1.0~3.0であり、より好ましくは1.2~2.2である。上記範囲であると架橋密度のバランスに優れ、接着強度と基材追従性とを両立できるため好ましい。
<その他成分>
無溶剤型接着剤(S)は、接着剤又は包装体に要求される各種物性を満たすために、上記以外のその他成分を含有してもよい。これらのその他成分は、ポリオール(A)又はポリイソシアネート(B)のいずれに配合してもよいし、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを配合する際に添加してもよい。これらのその他成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(シランカップリング剤)
無溶剤型接着剤(S)は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;が挙げられる。
シランカップリング剤の含有量は、接着剤の固形分全量を基準として、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.2~3質量%である。上記範囲とすることで、金属箔に対する接着強度を向上することができるため好ましい。
(リン酸又はリン酸誘導体)
無溶剤型接着剤(S)は、金属箔等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、リン酸又はリン酸誘導体を含有することができる。
前記リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸のようなリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸のような縮合リン酸類;が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、例えば、上述のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化したものが挙げられる。該アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンのような脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノールのような芳香族アルコール;が挙げられる。
リン酸又はその誘導体の含有量は、接着剤の固形分全量を基準として、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~1質量%である。
(レベリング剤又は消泡剤)
無溶剤型接着剤(S)は、積層体の外観を向上させるため、さらにレベリング剤及び/又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物が挙げられる。
(反応促進剤)
無溶剤型接着剤(S)は、硬化反応を促進するため、さらに反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレートのような金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7のような3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン;が挙げられる。
(その他添加剤)
無溶剤型接着剤(S)は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒が挙げられる。
<接着剤層の形成>
無溶剤型接着剤(S)は、ロールコート等の公知のラミネート加工後、例えば20~60℃の条件下で24時間~1週間程度硬化させることで硬化し、接着剤層を形成する。
接着剤層の厚みは、積層体外観及び物性向上の観点から、好ましくは1.0μm~5.0μmであり、より好ましくは1.5μm~4.5μmである。接着剤層の厚みが1.0μm以上であると、接着剤塗工後のレベリング性が向上し、且つ印刷表面の凹凸を埋めて外観性能が向上するため好ましい。また、積層体が折り曲げられた時に接着剤層の伸び率が上がって基材追従性が向上するため好ましい。接着剤層の厚みが5.0μm以下であると、接着剤層の凝集力が高まり、噛みこんだ微細な気泡の動きを抑制し、外観性能が向上するため好ましい。
<<インキ層>>
本発明におけるインキ層は、水性フレキソインキ(F)を用いて形成された層であり、少なくとも、着色剤及び水性樹脂を含有するものである。
<着色剤>
着色剤としては、無機系着色剤及び有機系着色剤等の顔料を好適に使用できる。
無機系着色剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化クロム、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)が挙げられる。着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から、白色着色剤として酸化チタンが好ましく、より好ましくは、顔料表面が塩基性である酸化チタンである。アルミニウムは粉末又はペースト状であるが、取扱い性及び安全性の面からペースト状で使用するのが好ましく、リーフィング又はノンリーフィングを使用するかは輝度感及び濃度の点から適宜選択される。
有機系着色剤としては、例えば、一般のインキ、塗料、及び記録剤等に使用されている有機顔料及び染料を挙げることができる。このような有機系着色剤としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトピロロピロール系、イソインドリン系の顔料が挙げられる。着色剤としては、カラーインデックス収載の任意の化合物を用いることができ、藍インキには銅フタロシアニン、黄インキにはコスト・耐光性の点からC.I.Pigment Yellow83を用いることが好ましい。
<水性樹脂>
水性樹脂は、水溶性又は水分散性(エマルジョン)の樹脂を表し、該樹脂としては例えば、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ウレタンアクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリオレフィンが挙げられる。水性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
[水性ウレタン樹脂]
水性樹脂は、ラミネート物性の観点から、水性ウレタン樹脂が好適に用いられる。水性ウレタン樹脂は、樹脂内にカルボキシ基、スルホン基等のイオン性基を有していることが好ましく、例えば、ポリオール、ポリイソシアネート、及びポリヒドロキシ酸のようなイオン性基を有するポリオールを反応させた後、当該イオン性基を中和することにより得ることができる。イオン性基は、耐水性の観点からカルボキシ基が好ましい。
[ポリオール]
水性ポリウレタン樹脂の合成に利用可能なポリオールとしては、例えば、PEG(ポリエチレングリコール)、PPG(ポリプロピレングリコール)やPTMG(ポリオキシテトラメチレングリコール)等のポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタジオール、メチルペンタジオール、ヘキサジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、メチルノナンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等の低分子グリコール類と、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ダイマー酸等の二塩基酸、若しくはこれらの無水物とを脱水縮合して得られるポリエステルポリオール類;N-メチルジエタノールアミン、N-エチルジエタノールアミン、N-ブチルジエタノールアミン、N-t-ブチルジエタノールアミン、ジヒドロキシイソプロピルエチルアミン、ジヒドロキシイソプロピルn-ブチルアミン、ジヒドロキシイソプロピルt-ブチルアミン、N,N-ビス(2-ヒドロキシプロピル)アニリン等の3級アミノ基を有するポリオール;ポリカーボネートジオール類、ポリブタジエングリコール類、ビスフェノールAに酸化エチレン又は酸化プロピレンを付加して得られるグリコール類、ダイマージオール類等の各種公知のポリオールが挙げることができる。
これらのポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。該ポリオールは、水性フレキソインキ(F)の再溶解性の観点から、ポリエーテルポリオール類を含有することが好ましく、より好ましくは、PEG(ポリエチレングリコール)を含む。
水性ウレタン樹脂は、ポリエチレングリコール由来の構成単位の含有量(水性ウレタン樹脂中のポリエチレングリコールの固形分質量比率、以下PEG%と略する)が5~50質量%の範囲であることが好ましい。PEG%が5質量%以上であると、樹脂の親水性が高まるため、水性フレキソインキ(F)の安定性が良化する。50質量%以下であると、樹脂の粘度が低くなり、インキ中のバインダー有効量を満たし、インキ被膜の強度低下を抑制できる。
樹脂内にイオン性基を導入するには、イオン性基を有するポリオールを利用することが好ましい。イオン性基として好ましくはカルボキシ基である。このようなイオン性基を有するポリオールとしては、例えば、ジメチロール酢酸、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸等のジメチロールアルカン酸や、ジヒドロキシコハク酸、ジヒドロキシプロピオン酸、ジヒドロキシ安息香酸が挙げられる。これらは単独又は2種以上を混合して用いることができる。
水性ポリウレタン樹脂の合成に用いるポリオールは、各々、数平均分子量が3,000以下であることが好ましい。数平均分子量は水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化又はアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値であり、JIS K 0070に準拠して測定できる。数平均分子量が3,000以下であるポリオールを用いることで、水溶化のために組み込んだイオン性基を水性ポリウレタン樹脂中に点在化させることができ、再溶解性が向上する。一方、ポリオールの数平均分子量が大きいほど、ポリウレタン樹脂皮膜が柔らかくなり、ラミネート強度が良化する傾向にあるため、数平均分子量は500以上であることが好ましい。
(ポリイソシアネート)
水性ポリウレタン樹脂の合成に利用可能なポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族、脂肪族又は脂環族の各種公知のジイソシアネート類を挙げることができる。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4'-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、mーテトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4、4'-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートが挙げられる。
[水性ウレタンウレア樹脂]
水性ウレタン樹脂は、ポリオール(イオン性基を有するポリオールを含む)、及びポリイソシアネートを反応させてポリウレタン樹脂とした後、さらに鎖延長剤及び反応停止剤を用いて尿素結合を導入した水性ウレタンウレア樹脂であってもよい。本発明における水性ウレタン樹脂は、尿素結合を導入することで、塗膜がより強靭となり、塗膜物性が向上する傾向にあるため、水性ウレタンウレア樹脂であることが好ましい。
(鎖延長剤)
上記鎖延長剤としては公知のアミン類を使用することができ、例えば、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシ基をアミノ基に転化したダイマージアミンが挙げられる。これらアミン類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。上記アミン類として好ましくは、水酸基を有するアミン類であり、再溶解性が良好となるため好ましい。
(反応停止剤)
上記反応停止剤としては、例えば、ジ-n-ジブチルアミン等のジアルキルアミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、N-ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N-ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するアミン類;グリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸等のモノアミン型アミノ酸類;が挙げられる。
(中和)
水性ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂中のイオン性基を塩基性化合物で中和することが好ましい。塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基化合物;メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モルホリン等の有機塩基化合物;が挙げられ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせで用いてもよい。該塩基性化合物は、印刷物の耐水性、残留臭気等の点から、好ましくはアンモニア、有機塩基化合物である。
本発明における水性ウレタン樹脂は、溶解性、耐ブロッキング性の観点から、酸価が15~65mgKOH/g、重量平均分子量が5,000~100,000であることが好ましい。
<その他成分>
(アセチレングリコール系化合物)
水性フレキソインキ(F)は、更にアセチレングリコール系化合物を含有してもよい。アセチレングリコール系化合物を含有することでインキ層のレベリング性が向上する場合がある。
アセチレングリコール系化合物は、アセチレン基を中央に持ち、左右対称の構造をした非イオン性界面活性剤である。アセチレングリコール系化合物の市販品としては、例えば、日信化学工業社製のオルフィンE1010、オルフィンE1020、サーフィノール104、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485が挙げられる。アセチレングリコール系化合物を含有する場合、ラミネート物性の観点から、アセチレングリコール系化合物の含有率は、水性フレキソインキ(F)の固形分質量を基準として、好ましくは0.3~15質量%、より好ましくは0.6~9質量%、さらに好ましくは1.5~6質量%である。
(体質顔料)
水性フレキソインキ(F)は、更に体質顔料を含有してもよい。体質顔料を含有することで、インキ層の耐ブロッキング性が向上する場合がある。
体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリンクレイ、シリカなどが挙げられ、これらは1種、又は2種以上の組み合わせで用いられる。体質顔料を含有する場合、ラミネート物性の観点から、体質顔料の含有率は、水性フレキソインキ(F)の固形分質量を基準として、好ましくは1~45量%、より好ましくは3~30量%、さらに好ましくは10~20質量%である。
(添加剤)
水性フレキソインキ(F)は、必要に応じて添加剤を含有してもよい。該添加剤としては、例えば、接着助剤、硬化剤、消泡剤、ワックス、シランカップリング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤が挙げられる。
接着助剤としては、ヒドラジド基を含有する化合物が好ましく、例えば、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)が挙げられる。ヒドラジド基を含有する化合物を用いることで、後述する樹脂中や硬化剤のケト基と相互作用して、プラスチックフィルムへの密着性、インキ皮膜強度が良化する。
硬化剤としては、例えば、カルボジイミド基やケト基等の反応性基を含有する樹脂微粒子分散体が挙げられる。このような樹脂微粒子分散体の市販品としては、例えば、日清紡社製、カルボジライトE-02、SV-02、V-02、V-02-L2、V-04、BASF社製、アクロナールYJ2716D、YJ2720D、YJ2727DN、YJ2741D、YJ2746DS、DSMネオレジン社製、NEOCRYLA-1127、A-1125、A-1120、A-1131が挙げられる。
上記硬化剤を用いることにより、基材への密着性、インキ皮膜強度をさらに向上させることができる。硬化剤の含有率は、水性フレキソインキ(F)の固形分を基準として、好ましくは1~45質量%、より好ましくは5~20質量%である。
水性フレキソインキ(F)は、媒体として、水を含み、更にアルコール類を含むことが好ましい。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、iso-ブタノールが挙げられる。食品包材に適用する場合、安全衛生性と残留臭気の点から、アルコール類として、エタノール、1-プロパノール又は2-プロパノールを使用することが好ましい。
更に、乾燥調整を目的とて、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びこれらのモノ又はジエーテル類を必要に応じて使用してもよい。
また、インキ層は、本発明の効果を損なわない範囲で、水性ウレタン樹脂以外のその他樹脂を含んでもよい。このようなその他樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、スチレン-アクリル樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、セルロース系樹脂、及び塩素化ポリオレフィン等の水性樹脂が挙げられ、これらを2種以上併用してもよい。
<水性フレキソインキ(F)の製造>
水性フレキソインキ(F)の製造方法は特に制限されず、上記の原料を、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミル等の公知の分散機を用いて分散・混合することにより製造することができる。水性フレキソインキ(F)中に気泡や予期せずに粗大粒子等が含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過等により取り除くことが好ましい。濾過機は従来公知のものを使用することができる。
(インキ層表面の最小自己相関長さSal)
本発明における水性フレキソインキ(F)は、該水性フレキソインキ(F)を用いて形成されたインキ層表面の最小自己相関長さ(Sal)が10μm以下であることが好ましい。
インキ層表面の最小自己相関長さSalとは、ISO 25178に準拠して規定された値であり、目の細かさを表現する評価指標である。具体的には、インキ層表面の凹凸状態の密集度合いを長さの単位で数値化したものであり、最小自己相関長さSalの値が小さいほど目が細かいと言える。
Salは、例えば、白色光干渉式表面性状測定機(AМETEK(アメテック)社のタリサーフCCIMP-HS)を用いて測定することができる。
インキ層表面の最小自己相関長さSalは、より好ましくは1~10μm、さらに好ましくは2~8μm、特に好ましくは4~7μmである。Salが1μm以上であると、インキ層表面の表面積が小さくなり、無溶剤型接着剤(S)中のイソシアネート成分のインキ層への浸透、及び、インキ層中の低分子水酸基成分の接着剤層への浸透が抑制される。これにより、良好な残タック抑制、接着強度、ヒートシール強度等の物性が得られる。Salが10μm以下であると、インキ層表面の目が細かくなり、無溶剤型接着剤(S)を塗工する際に、インキ層と接着剤層間に気泡が噛み込み難くなるために、ラミネート後の外観が良化する。
<インキ層の形成>
インキ層は、上記水性フレキソインキ(F)を、後述する基材上に印刷することにより形成することができる。印刷方式としては、公知のフレキソ印刷方式、グラビア印刷方式が好適に用いられ、上記印刷方式を用いて塗布し、オーブン等を用いて乾燥させて定着することで得られる。乾燥温度は通常40~100℃程度である。インキ層の厚みは、好ましくは0.1~5μm、より好ましくは0.1~2μmである。
上記印刷方式としてはフレキソ印刷がより好適に用いられる。フレキソ印刷に使用されるアニロックスとしては、セル彫刻が施されたセラミックアニロックスロール、クロムメッキアニロックスロール等を使用することができる。優れたドット再現性を有する印刷物を得るために印刷する際に使用する版線数の5倍以上好ましくは6倍以上の線数を有するアニロックスロールが好ましい。例えば、使用する版線数が75lpiの場合は375lpi以上のアニロックスが好ましい。アニロックス容量は、水性フレキソインキ(F)の乾燥性とブロッキング性の観点から、好ましくは1~8cc/m、より好ましくは2~6cc/mである。
フレキソ印刷に使用される版としてはUV光源による紫外線硬化を利用する感光性樹脂版またはダイレクトレーザー彫刻方式を使用するエラストマー素材版が挙げられる。フレキソ版の画像部の形成方法に関わらず版のスクリーニング線数において75lpi以上のものが好ましい。版を貼るスリーブやクッションテープについては任意のものを使用することができる。
フレキソ印刷機としてはCI型多色フレキソ印刷機、ユニット型多色フレキソ印刷機等があり、インキ供給方式についてはチャンバー方式、2ロール方式が挙げることができ、適宜の印刷機を使用することができる。
[貯蔵弾性率(Er)]
本実施形態における水性フレキソインキ(F)は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体における硬化後の状態において、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が1000MPa以下であることが好ましい。貯蔵弾性率(Er)が1000MPa以下であることで、積層体の柔軟性が向上し、基材追従性が良化するため好ましい。
耐熱性向上の観点から、貯蔵弾性率は、好ましくは50MPa以上、より好ましくは100MPa以上である。また、柔軟性向上の観点から、貯蔵弾性率は、より好ましくは800MPa以下である。
インキ層の貯蔵弾性率は、例えば以下の方法で求めることができる。
水性フレキソインキ(F)を、乾燥後の厚みが10~1000μmになるようにシリコン製容器に流し込み、溶剤を揮発させる。その後、インキ層を幅5mm×長さ20mmに切り出して試験片を作製する。動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度20℃、周波数10Hz、昇温速度10℃/分で当該試験片の貯蔵弾性率を測定し、20℃における貯蔵弾性率の値を算出する。
[損失正接(tanδ)]
本実施形態における水性フレキソインキ(F)は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体における硬化後の状態において、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における損失正接(tanδ)が0.2~0.8であることが好ましい。損失正接が0.2以上であると、柔軟性(粘性)が向上して基材追従性が向上するため好ましい。損失正接が0.8以下であると、隣接する基材及び接着剤層を引き付ける凝集力(弾性)が高まり接着強度が向上するため好ましい。より好ましくは0.2~0.5である。
インキ層の損失正接は、例えば以下の方法で求めることができる。
水性フレキソインキ(F)を、乾燥後の厚みが10~1000μmになるようにシリコン製容器に流し込み、溶剤を揮発させる。その後、インキ層を幅5mm×長さ20mmに切り出して試験片を作製する。動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度20℃、周波数10Hz、昇温速度10℃/分で当該試験片の損失正接を測定し、20℃における損失正接の値を算出する。
<積層体の製造>
本発明の積層体は、第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備えるものであって、好ましくは、以下の工程(1)及び(2)を有する製造方法により製造されるものである。
工程(1):第1基材上に水性フレキソインキ(F)をフレキソ印刷して、インキ層を形成する工程。
工程(2):前記インキ層上に、無溶剤型接着剤(S)を塗工して接着剤層を形成する工程。
[基材]
第1及び第2の基材は特に制限されず、例えば、従来公知のプラスチックフィルム、紙、金属箔等が挙げられ、2つの基材は同種のものでも異種のものでもよい。
プラスチックフィルムとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができ、好ましくは熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
第1及び第2の基材は、金属又は金属酸化物の蒸着層等からなるバリア層を備えていてもよく、該バリア層としては、アルミニウム、シリカ、アルミナ等の蒸着層が挙げられる。
第1基材は、好ましくはプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムとしては、包装材に一般的に使用されるものが挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
第2基材が積層体の最外層となる場合、第2基材はプラスチックフィルムの中でもシーラント基材であることが好ましい。
シーラント基材としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーが挙げられる。
また、シーラント基材に数μm程度の高低差を有する凸凹を設けることで、滑り性や包装袋の引き裂き性を付与することができる。
第1基材の厚みは、任意に選択できるが、成形性、透明性の観点から、好ましくは5μm~50μmであり、より好ましくは10μm~40μmである。第1基材の膜厚が5μm以上であると、積層体の剛性が上がって積層体としての強度が向上し、例えば、衝撃が加わった際に生じやすいデラミネーションや皴の発生を抑制できるため好ましい。第1基材の厚みが50μm以下であると、積層体の柔軟性が上がり、例えば、包装袋に内容物を充填する際の加工が容易になるため好ましい。
第2基材の膜厚は、任意に選択できるが、包装材料としての強度等の観点から、好ましくは5μm~500μmであり、より好ましくは10μm~250μmであり、さらに好ましくは15μm~200μmである。第2基材の厚みが5μm以上であると、ヒートシール強度が向上する。これにより、より重い内容物を充填可能になり、包装袋としてのアプリケーションが拡大するため好ましい。また、第2基材の厚みが500μm以下であると、コスト抑制につながり、且つ積層体の柔軟性が上がり、例えば、上述の内容物充填の加工性が向上するため好ましい。
基材は、インキ層又は接着剤層との密着性を向上させるために、ラミネート又は蒸着前に、コロナ放電処理、オゾン処理のほか、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理;グロー放電処理等の物理的な処理;化学薬品を用いた酸化処理等の化学的な処理;接着剤層、プライマーコート剤層、アンダーコート層、若しくは蒸着アンカーコート剤層等を形成する処理;及びその他処理のような表面処理を行ってもよい。また、該表面処理後に無機蒸着層を設け、さらに、該無機蒸着層上にバリアコート層を設けてもよい。
第1基材及び第2基材に用いる樹脂のフィルムは、例えば、前記の樹脂の群から選ばれる1種又は2種以上の樹脂を使用し、公知の製膜化法を用いて製造することができる。このような製膜化法としては、例えば、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法、多層共押し出し法が挙げられる。さらに、フィルムの強度、寸法安定性、耐熱性の観点から、例えば、テンター方式、チューブラー方式を利用して1軸ないし2軸方向に延伸することができる。
プラスチックフィルムは、必要に応じて、加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度等を改良、改質する目的で、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料等のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、他の性能に悪影響を与えない範囲で目的に応じて任意に添加することができる。
本発明の積層体は、例えば、第1基材上に水性フレキソインキ(F)を印刷し、乾燥後、無溶剤型接着剤(S)を塗布し、第2基材を重ね合わせた後、エ-ジング工程により接着剤を硬化させることで、製造することができる。インキ層及び第2基材は、複数設けてもよい。例えばインキ層は、色インキ層/白インキ層、色インキ層/白インキ層/白インキ層、色インキ層/色インキ層/白インキ層/白インキ層、のような構成であってもよい。
本発明の積層体の構成の一例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。積層体が複数の接着剤層を備える場合、接着剤層の内少なくとも1層が、本発明における無溶剤型接着剤(S)から形成された接着剤層であればよい。また以下において、透明蒸着とはシリカ又はアルミナの蒸着層を意味する。
二軸延伸ポリプロピレン(OPP)/インキ層/接着剤層/未延伸ポリプロピレン(CPP)、
OPP/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
OPP/インキ層/接着剤層/AL蒸着ポリエチレンテレフタレート(AL蒸着PET)、
OPP/インキ層/接着剤層/ポリエチレン(PE)、
OPP/インキ層/接着剤層/AL蒸着ポリエチレン(AL蒸着PE)、
PET/インキ層/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET、
PET/インキ層/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PE、
PE/インキ層/接着剤層/CPP、
PE/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
PE/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET、
PE/インキ層/接着剤層/PE、
PE/インキ層/接着剤層/AL蒸着PE、
ナイロン(NY)/インキ層/接着剤層/CPP、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET、
NY/インキ層/接着剤層/PE、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PE
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/PE、
透明蒸着PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
透明蒸着PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/PE、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/CPP、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/NY/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/AL/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/NY/接着剤層/PE
<<包装体>>
本発明の包装体は、上記積層体を使用したものであればよく、例えば、二方袋、三方袋、チャック付三方袋、合掌袋、ガゼット袋、底ガゼット袋、スタンド袋、スタンドチャック袋、二方袋、四方柱平底ガゼット袋、サイドシール袋、ボトムシール袋が挙げられる。本発明の包装体は、水性フレキソインキ(F)由来の残留水酸基成分と、無溶剤型接着剤(S)由来のイソシアネート成分との反応により生じる接着剤層の柔軟性低下、及び基材追従性の低下を抑制できるため、特に、水性フレキソインキ(F)中に残留水酸基成分が残りやすい夏季、並びに高湿度環境地域において、好適に用いられる。また、加工工程や充填工程、流通工程などで包装袋が長時間歪みをかけられるような場合、特に効果を発揮する。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に指定がない場合は「質量部」及び「質量%」を意味する。
<接着剤層の貯蔵弾性率、及び損失正接>
接着剤層の貯蔵弾性率は、JIS K 7244に基づき以下のようにして測定した。まず、調整した無溶剤型接着剤を、自転公転式真空脱泡機(シンキー社製「ARV-310P」)を用いて均一に混合した後、コロナ未処理のCPPフィルム上に、厚み10~100μmになるようにアプリケーターを用いて薄く広げ、上から同じフィルムで挟み、40℃65%RHの環境下で10日間放置して接着剤を硬化させ、積層体を作製した。続いて積層体を長さ20mm、幅5mmに切り抜き、CPPフィルムを剥離させて、長さ20mm、幅5mm、厚み100μmの試験片(硬化膜)を得た。得られた試験片を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度20℃、周波数10Hz、昇温速度10℃/分の条件で、当該試験片の貯蔵弾性率及び損失正接を測定し、20℃における貯蔵弾性率及び損失正接の値を算出した。
<インキ層の貯蔵弾性率、及び損失正接>
インキ層の貯蔵弾性率は以下のようにして測定した。まず、調整した水性フレキソインキを、乾燥後の厚みが10~1000μmになるようにシリコン製容器に流し込み、40℃加熱下で溶剤を揮発させた。続いて、乾燥後のインキ層を幅5mm×長さ20mmに切り出して試験片を作製した。得られた試験片を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製「DVA-200」)を用いて、測定温度20℃、周波数10Hz、昇温速度10℃/分の条件で、当該試験片の貯蔵弾性率及び損失正接を測定し、20℃における貯蔵弾性率及び損失正接の値を算出した。
<数平均分子量>
数平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用いて測定した。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
<ポリオール(A)の製造>
(ポリオールA-1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、アジピン酸332.7部、イソフタル酸126.1部、テレフタル酸126.1部、エチレングリコール83.4部、ジエチレングリコール285.1部、ネオペンチルグリコール46.6部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら240℃まで昇温した。酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行い、1mmHgで反応を継続し、余剰のアルコールを除去して、数平均分子量2,500のポリエステルポリオール1を得た。
次いで、撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記得られたポリエステルポリオール1を400.0部、蓖麻子油400.0部を仕込み、80℃で1時間攪拌することで、ポリオール(A-1)を得た。
<ポリイソシアネート(B)の製造>
(ポリイソシアネート(B-1))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上述と同様にして得られた数平均分子量2,500のポリエステルポリオール1を574.0部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(質量比50:50)226.0部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行うことで、NCO含有率7.1%のポリエステルポリウレタンポリイソシアネートであるポリイソシアネート(B-1)を得た。
なお、ウレタン化におけるポリオールの水酸基数とポリイソシアネートのイソシアネート基数との比(NCO/OH)は4であった。
(ポリイソシアネート(B-2))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、アジピン酸291.6部、イソフタル酸165.8部、テレフタル酸165.8部、エチレングリコール139.9部、ジエチレングリコール119.6部、ネオペンチルグリコール117.353部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら240℃まで昇温した。酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行い、1mmHgで反応を継続し、余剰のアルコールを除去して、数平均分子量3,300のポリエステルポリオール2を得た。
次いで、撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上記得られた数平均分子量3,300のポリエステルポリオール2を618.5部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(質量比50:50)181.5部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行うことで、NCO含有率5.7%のポリエステルポリウレタンポリイソシアネートであるポリイソシアネート(B-2)を得た。
なお、ウレタン化におけるポリオールの水酸基数とポリイソシアネートのイソシアネート基数との比(NCO/OH)は4であった。
(ポリイソシアネート(B-3))
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、上述の同様にして得られた数平均分子量2,500のポリエステルポリオール1を503.0部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(質量比50:50)297.0部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行うことで、NCO含有率10.4%のポリエステルポリウレタンポリイソシアネートであるポリイソシアネート(B-3)を得た。
なお、ウレタン化におけるポリオールの水酸基数とポリイソシアネートのイソシアネート基数との比(NCO/OH)は6であった。
<印刷物の作製>
(印刷物1の作製:PET/インキ層)
水性フレキソインキを、フレキソ版(感光性樹脂版KODAK社製FLEXCELNXHデジタルフレキソプレート版厚1.14mm版線数150lpi)及びアニロックスロール(900lpi3cc/m)を具備したフレキソ印刷機(MIRAFLEXCM)にて、コロナ処理ポリエステル(PET)基材(東洋紡社製「E5102」、厚み12μm)に速度200m/分にて印刷を行い、厚み1.4~1.6μmのインキ層を有する印刷物1を得た。なおインキ層の乾燥条件は色間ドライヤー100℃、トンネルドライヤー100℃とした。
(印刷物2の作製:OPP/インキ層)
印刷物1と同様にして、水性フレキソインキをコロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)基材(東洋紡社製「P2161」、厚み20μm)に速度200m/分にて印刷を行い、厚み0.9~1.1μmのインキ層を有する印刷物2を得た。
<積層体の作製>
[実施例1~7、比較例1~3]
得られたポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を表1に示す配合比(質量)で混合して、各々無溶剤型接着剤を得た。得られた無溶剤型接着剤を用いて、以下のようにして、構成1及び構成2の積層体を作製した。
(構成1の積層体:PET/インキ層/接着剤層/VM-PET)
表1に記載の水性フレキソインキを、フレキソ版(感光性樹脂版KODAK社製FLEXCELNXHデジタルフレキソプレート版厚1.14mm版線数150lpi)及びアニロックスロール(900lpi3cc/m)を具備したフレキソ印刷機(MIRAFLEXCM)にて、コロナ処理ポリエステル(PET)基材(東洋紡社製「E5102」、厚み12μm)に速度200m/分にて印刷を行い、厚み1.4~1.6μmのインキ層を有する印刷物1を得た。なおインキ層の乾燥条件は色間ドライヤー100℃、トンネルドライヤー100℃とした。
次いで、常温環境下にてラミネーターを用いて、印刷物1のインキ面と、厚み12μmのアルミ蒸着ポリエステル(PET)基材(麗光社製「ダイアラスターH27」、以下、VM-PET)のアルミ蒸着面とを、表1に記載の無溶剤型接着剤を用いて貼り合わせ、長さ1000mの積層体を得た。ラミネートの速度は200m/分、接着剤層の厚みは1.9~2.1μmとした。
貼り合わせた積層体を、40℃環境下に保管し、48時間後に取り出すことで「PET/インキ層/接着剤層/VM-PET」の構成(構成1)である積層体を得た。
(構成2の積層体作製:OPP/インキ層/接着剤層/VM-CPP)
印刷物1と同様にして、表1に記載の水性フレキソインキを、コロナ処理二軸延伸ポリプロピレン(OPP)基材(東洋紡社製「P2161」、厚み20μm)に速度200m/分にて印刷を行い、厚み0.9~1.1μmのインキ層を有する印刷物2を得た。
次いで、常温環境下にてラミネーターを用いて、印刷物2のインキ面と、厚み25μmのアルミ蒸着未延伸ポリプロピレンフィルム(東レ社製「2703」、以下、VM-CPP)のアルミ蒸着面とを、表1に記載の無溶剤型接着剤を用いて貼り合わせ、長さ1000mの積層体を得た。ラミネートの速度は250m/分、接着剤層の厚みは1.7~1.9μmとした。
貼り合わせた積層体を、40℃環境下に保管し、48時間後に取り出すことで「OPP/インキ層/接着剤層/VM-CPP」の構成(構成2)である積層体を得た。
<積層体の評価>
得られた2種類の積層体を用いて以下の評価を行った。結果を表1に示す。
<基材追従性(経時折り曲げデラミ耐性)>
構成1の積層体を、幅10cm、長さ15cmに切り取って試験片とした。該試験片を三つ折りにして、折り目部分をゼムクリップで留めて固定した。該折り曲げ試験片を、温度40℃、相対湿度70%の環境に保管し、1日ごとに試験片を取り出してゼムクリップで留められている部分を広げて観察し、その後ゼムクリップで再び留めて同環境に戻す、という操作を繰り返した。その過程で観察された変化について、下記基準で評価を行った。
A:7日経過してもデラミネーションは確認されなかった(非常に良好)
B:5日経過時点でデラミネーションが確認された(良好)
C:3日経過時点でデラミネーションが確認された(使用可能)
D:1日経過時点でデラミネーションが確認された(使用不可)
<接着強度>
構成2の積層体を、幅15mm、長さ300mmに切り取って試験片とした。JIS K6854に基づき、インストロン型引張試験機を用いて、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、300mm/分の剥離速度で引張り、OPPとVM-CPPとの間のT型剥離強度[N/15mm]を測定した。測定は5回行い、その平均値を用いて下記基準で評価を行った。
A:1.5[N/15mm]以上(非常に良好)
B:1.0[N/15mm]以上、1.5[N/15mm]未満(良好)
C:0.5[N/15mm]以上、1.0[N/15mm]未満(使用可能)
D:0.5[N/15mm]未満(使用不可)
<VM/CPP間の剥離>
上記構成2の積層体を用いた接着強度評価を実施した後の、剥離した試験片について、VM(蒸着アルミニウム)層/CPP間の剥離状態を目視で観察し、VM層がCPPから剥離した面積%を求めた。VM層がCPPから剥離していない場合を0面積%、VM層が全てCPPから剥離した場合を100面積%とした。
接着剤層が剛直(貯蔵弾性率が高い)ほど、接着剤層/VM層間ではなく、VM層/CPP間で剥離する。
Figure 0007245381000001
表1中の略称を下記に示す。
<水性フレキソインキ>
・TW100藍:東洋インキ(株)製 水性フレキソ藍インキ「TW100AQ39藍」
・TW100白:東洋インキ(株)製 水性フレキソ白インキ「TW100AQ63白」
・HW870藍:東洋インキ(株)製 水性フレキソ藍インキ「HW870アクワリオナR39藍」
<ポリオール>
・TSN-5092A:東洋モートン(株)製無溶剤型接着剤「エコアドTSN-5092A」(脂肪族ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを含む)
・EA-N373B:東洋モートン(株)製無溶剤型接着剤「エコアドEA-N373B」(ポリエーテルポリウレタンポリオール)
・TSN-4864A:東洋モートン(株)製無溶剤型接着剤「エコアドTSN-4864A」(ポリエステルポリオール)
・A-1:ポリエステルポリオールと蓖麻子油ポリオールとの混合物
<ポリイソシアネート>
・TSN-5092C:東洋モートン(株)製、無溶剤型接着剤「エコアドTSN-5092C」(数平均分子量が2,000である脂肪族ポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物((NCO/OH)=4)であるポリエステルポリウレタンポリイソシアネート、NCO含有率15.7%)
・TSN-5092B:東洋モートン(株)製、無溶剤型接着剤「エコアドTSN-5092B」(ポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物((NCO/OH)=4)であるポリエーテルポリウレタンポリイソシアネート、NCO含有率21.5%)
・B-1:数平均分子量が2,500であるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(質量比50:50))との反応生成物((NCO/OH)=4)であるポリエステルポリウレタンポリイソシアネート、NCO含有率7.1%
・B-2:数平均分子量が3,300であるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(質量比50:50))との反応生成物((NCO/OH)=4)であるポリエステルポリウレタンポリイソシアネート、NCO含有率5.7%
・B-3:数平均分子量が2,500であるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネート(4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートの混合物(質量比50:50))との反応生成物((NCO/OH)=6)であるポリエステルポリウレタンポリイソシアネート、NCO含有率10.4%
評価結果によれば、接着剤層の貯蔵弾性率が所定値を満たす本発明の積層体は、基材追従性と接着強度に優れていた。
特に、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを含むポリオール(A)を用いた実施例1は、ポリエーテルポリウレタンポリオールのみを含むポリオール(A)を用いた実施例6に比べて、tanδの値が小さく、即ち弾性が高く、接着強度に優れていた。
また、数平均分子量が2,000であるポリエステルポリオールと、ポリイソシアネートとの反応生成物((NCO/OH)=4)であるポリエステルポリウレタンポリイソシアネートを含むポリイソシアネート(B)を用いた実施例1は、ポリエーテルポリウレタンポリイソシアネートを含むポリイソシアネート(B)を用いた実施例7に比べて、tanδの値が小さく、即ち接着剤層の弾性が高く、接着強度に優れていた。
また、脂肪族ポリエステルポリオールを含むポリオール(A)を用いた実施例1は、脂肪族ポリエステルポリオールに該当しないポリオールを含むポリオール(A-1)を用いた実施例4に比べて20℃におけるtanδの値が小さく、即ち接着剤層の弾性が高く、接着強度に優れていた。
脂肪族ポリエステルポリオールから誘導されたポリイソシアネート(B)を用いた実施例1は、脂肪族ポリエステルポリオールに該当しないポリオールから誘導されたポリイソシアネート(B-1)を用いた実施例5に比べて、20℃におけるtanδの値が小さく、即ち接着剤層の弾性が高く、接着強度に優れていた。
20℃におけるtanδの値が0.2~0.5の範囲である水性フレキソインキを用いた実施例1は、20℃におけるtanδの値が0.5を超えた水性フレキソインキを用いた実施例3よりもインキ層の弾性が高く、接着強度に優れていた。

Claims (9)

  1. 第1基材層、インキ層、接着剤層、及び第2基材層をこの順に備える積層体であって、以下の(1)~(2)を満たす積層体。
    (1)前記インキ層が、水性フレキソインキ(F)を用いて形成された層である。
    (2)前記接着剤層は、ポリオール(A)及びポリイソシアネート(B)を含む無溶剤型接着剤(S)を用いて形成された層であり、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が、600MPa以下である。
  2. 前記ポリオール(A)が、ポリエステルポリオール(a1)と、蓖麻子油系ポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選択される少なくとも1種のポリオール(a2)と、を含む、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記ポリエステルポリオール(a1)が、脂肪族多塩基酸を90質量%以上含む多塩基酸と、脂肪族多価アルコールを90質量%以上含む多価アルコールとの反応生成物を含む、請求項2に記載の積層体。
  4. 前記ポリイソシアネート(B)が、数平均分子量が1,000~3,000であるポリエステルポリオール(b1)と、ポリイソシアネート(b2)との反応生成物であるポリウレタンポリイソシアネートを含む、請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記ポリエステルポリオール(b1)が、脂肪族多塩基酸を90質量%以上含む多塩基酸と、脂肪族多価アルコールを90質量%以上含む多価アルコールとの反応生成物を含む、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記インキ層は、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における貯蔵弾性率(Er)が1000MPa以下である、請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
  7. 前記接着剤層は、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における損失正接(tanδ)が、0.2~0.8である、請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
  8. 前記インキ層は、JIS K 7244に基づいて測定される20℃における損失正接(tanδ)が0.2~0.8である請求項1~3いずれか1項に記載の積層体。
  9. 請求項1~3いずれか1項に記載の積層体を使用した包装体。
JP2022177760A 2022-11-07 2022-11-07 積層体、及び包装体 Active JP7245381B1 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022177760A JP7245381B1 (ja) 2022-11-07 2022-11-07 積層体、及び包装体
JP2023004770A JP2024068052A (ja) 2022-11-07 2023-01-17 積層体、及び包装体
US18/502,063 US20240150098A1 (en) 2022-11-07 2023-11-05 Laminate and package
KR1020230152302A KR20240066115A (ko) 2022-11-07 2023-11-07 적층체, 및 포장체

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022177760A JP7245381B1 (ja) 2022-11-07 2022-11-07 積層体、及び包装体

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023004770A Division JP2024068052A (ja) 2022-11-07 2023-01-17 積層体、及び包装体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP7245381B1 true JP7245381B1 (ja) 2023-03-23
JP2024067570A JP2024067570A (ja) 2024-05-17

Family

ID=85703391

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022177760A Active JP7245381B1 (ja) 2022-11-07 2022-11-07 積層体、及び包装体
JP2023004770A Pending JP2024068052A (ja) 2022-11-07 2023-01-17 積層体、及び包装体

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2023004770A Pending JP2024068052A (ja) 2022-11-07 2023-01-17 積層体、及び包装体

Country Status (3)

Country Link
US (1) US20240150098A1 (ja)
JP (2) JP7245381B1 (ja)
KR (1) KR20240066115A (ja)

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019189334A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 大日本印刷株式会社 包装材料用ポリエチレン積層体及び該積層体からなる包装材料
JP2019217763A (ja) * 2018-06-18 2019-12-26 大日本印刷株式会社 無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋
JP2019217764A (ja) * 2018-06-18 2019-12-26 大日本印刷株式会社 無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭易開封性ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋
JP2020079360A (ja) * 2018-11-13 2020-05-28 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤組成物、及び積層体
JP2021031572A (ja) * 2019-08-23 2021-03-01 東洋インキScホールディングス株式会社 水性グラビアまたはフレキソインキ
JP2021095481A (ja) * 2019-12-16 2021-06-24 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤組成物及び積層体
JP2021098825A (ja) * 2019-12-23 2021-07-01 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤及び積層体
JP2021165322A (ja) * 2020-04-06 2021-10-14 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤、積層体及び包装体

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020168837A (ja) 2019-04-05 2020-10-15 Dic株式会社 ガスバリア性積層体、包装材
JP7427909B2 (ja) 2019-10-18 2024-02-06 Toppanホールディングス株式会社 積層フィルム、包装袋、積層フィルムの製造方法、および、包装袋の製造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019189334A (ja) * 2018-04-27 2019-10-31 大日本印刷株式会社 包装材料用ポリエチレン積層体及び該積層体からなる包装材料
JP2019217763A (ja) * 2018-06-18 2019-12-26 大日本印刷株式会社 無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋
JP2019217764A (ja) * 2018-06-18 2019-12-26 大日本印刷株式会社 無溶剤接着剤を用いた低溶剤臭易開封性ガスバリア積層体、及び該積層体からなる低溶剤臭ガスバリア包装材料と包装袋
JP2020079360A (ja) * 2018-11-13 2020-05-28 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤組成物、及び積層体
JP2021031572A (ja) * 2019-08-23 2021-03-01 東洋インキScホールディングス株式会社 水性グラビアまたはフレキソインキ
JP2021095481A (ja) * 2019-12-16 2021-06-24 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤組成物及び積層体
JP2021098825A (ja) * 2019-12-23 2021-07-01 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤及び積層体
JP2021165322A (ja) * 2020-04-06 2021-10-14 東洋インキScホールディングス株式会社 無溶剤型接着剤、積層体及び包装体

Also Published As

Publication number Publication date
JP2024068052A (ja) 2024-05-17
US20240150098A1 (en) 2024-05-09
KR20240066115A (ko) 2024-05-14
JP2024067570A (ja) 2024-05-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6090522B1 (ja) 積層体とその製造方法
WO2012006156A1 (en) Solventless laminating adhesive for flexible packaging laminations and laminated structures made with the adhesive
JP6406047B2 (ja) グラビアまたはフレキソ印刷インキ用ポリウレタンウレア樹脂組成物
JP7463819B2 (ja) 無溶剤型接着剤、積層体及び包装体
JP2017171910A (ja) 印刷用コート剤組成物及び印刷物
JP7460014B2 (ja) 無溶剤型接着剤及び積層体
JP2020196808A (ja) 複合フィルムからの脱離性を有するラミネート接着剤、積層体、及びシート状基材のリサイクル方法
JP6664846B2 (ja) 積層体とその製造方法
JP2021107159A (ja) 包装材、及びリサイクル基材製造方法
JP2021102485A (ja) 包装用材料及び包装容器
JP2004010655A (ja) 2液硬化型ポリウレタン樹脂組成物およびガスバリア性ラミネート用接着剤
JP2024037964A (ja) 接着剤組成物、及び積層体
JP6664845B2 (ja) 積層体とその製造方法
JP2021088184A (ja) 包装材及び包装容器
JP7245381B1 (ja) 積層体、及び包装体
WO2020111226A1 (ja) 接着剤、包装材、及び包装容器、並びに、リサイクル基材製造方法
JP6915728B1 (ja) ガスバリア性ラミネート接着剤、積層体及び包装体
JP7392213B1 (ja) 積層体の製造方法
JP2023073092A (ja) 積層体の製造方法
JP2022103714A (ja) ラミネート接着剤、積層体及び包装体
JP2023176091A (ja) 積層体、包装体、及び積層体の製造方法
JP7148705B1 (ja) 無溶剤型接着剤組成物、積層体、包装体及び積層体の製造方法
JP2023042982A (ja) 2液硬化型接着剤、積層体及び包装体
JP6777258B1 (ja) 2液硬化型接着剤、積層体及び包装体
JP2023148008A (ja) 無溶剤型接着剤、積層体及び包装体

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221115

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20221115

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20221115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230110

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20230113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230310

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7245381

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151