JP2023148008A - 無溶剤型接着剤、積層体及び包装体 - Google Patents

無溶剤型接着剤、積層体及び包装体 Download PDF

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Abstract

【課題】低湿度環境下でも接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりが速く、且つポットライフが良好でハンドリング性に優れる無溶剤型接着剤、並びに該接着剤を用いて作製した積層体及び包装袋の提供。【解決手段】上記課題は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを含み、下記(1)及び(2)を満たす無溶剤型接着剤によって解決される。(1)ポリオール(A)がポリエステルポリオール(a1)を含有し、該ポリエステルポリオール(a1)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。(2)ポリオール(A)が蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)を含有し、該蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、各種プラスチックフィルム及び金属蒸着フィルムの積層に好適に用いられる、無溶剤型接着剤及びそれを用いた積層体に関する。さらに、本発明は、食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨等に用いられる、前記積層体を用いた包装体に関する。
近年、法規制の強化及び環境保全又は安全性への配慮から、包装材料に用いられるラミネート接着剤において、無溶剤化の要望が高まっている。また、世界的に温室効果ガス削減の動きが強まっている中で、バイオマス由来の原料を用いたバイオマス接着剤が求められている。
上記状況に対して、例えば、特許文献1には、特定のポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であり、ヒマシ油等のバイオ系ポリオールを用いたポリウレタンポリイソシアネート成分を含む無溶剤型接着剤が、結合強度と耐薬品性に優れることが開示されている。
特開2021-107555号公報
無溶剤型接着剤は、一般的に、ハンドリング性の観点から、接着剤に含まれる樹脂の分子量が低く設計されており、凝集力の立ち上がりが遅いという課題がある。特に冬場のような低湿度のエージング環境下では、さらに凝集力の立ち上がりが遅くなるため、生産効率が大きく低下する。
しかしながら、特許文献1に記載の無溶剤型接着剤は、ポリイソシアネート成分を特定するものであって、ポリオール成分として、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、及びそれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1種のポリオールを用いるのみであり、ポリオール成分として、ポリエステルポリオールと、蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体を選択し組み合わせることは行っていない。そのため、低湿度環境下における物性の立ち上がりが遅いという課題を解決できていない。
したがって本発明の目的は、低湿度環境下でも接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりが速く、且つポットライフが良好でハンドリング性に優れる無溶剤型接着剤、並びに該接着剤を用いて作製した積層体及び包装体を提供することにある。
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを含み、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)ポリオール(A)がポリエステルポリオール(a1)を含有し、該ポリエステルポリオール(a1)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。
(2)ポリオール(A)が蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)を含有し、該蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、前記ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量が、500以上、3,000以下であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、前記ポリエステルポリオール(a1)が、脂肪族ポリエステルポリオールを含有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、さらに下記(3)を満たすことを特徴とする。
(3)ポリオール(A)が、3官能以上のポリオール(a3)を含有し、該ポリオール(a3)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、5質量%以上、30質量%以下である。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、前記ポリイソシアネート(B)が、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、前記ポリオールが有する水酸基数の総和に対する、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基数の総和の比率(NCO/OH)が、2.5~4.5であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、前記ポリオールが、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る無溶剤型接着剤は、前記ポリイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネートを含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る硬化物は、上記無溶剤型接着剤を硬化させたことを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、上記無溶剤型接着剤を接着剤層に用いたことを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記接着剤層に接してインキ層を有することを特徴とする。
本発明の一態様に係る積層体は、前記インキ層が、水性インキを用いて形成された層であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装体は、上記積層体を使用したことを特徴とする。
本発明により、低湿度環境下でも接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりが速く、且つポットライフが良好でハンドリング性に優れる無溶剤型接着剤、並びに該接着剤を用いて作製した積層体及び包装袋を提供することができる。
〔無溶剤型接着剤組成物〕
本発明の無溶剤型接着剤は、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを含み、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする。
(1)ポリオール(A)がポリエステルポリオール(a1)を含有し、該ポリエステルポリオール(a1)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。
(2)ポリオール(A)が蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)を含有し、該蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。
本発明の無溶剤型接着剤は、ポリエステルポリオール(a1)を所定範囲量含有することにより、塗膜に強靭性を付与することができ、これにより接着強度の立ち上がりが速くなる。
また、蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)を所定範囲量含有することで、蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)に含まれる多分岐水酸基が、ヒートシール強度の立ち上がりを向上させる。
また、蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)を所定範囲量含むことで、無溶剤型接着剤の粘度を低く抑えることができる。さらに、ポリエステルポリオール(a1)中の水酸基と、蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)中の水酸基とは、ポリイソシアネート(B)に対する反応性が異なるため、配合後の反応が緩やかとなり、過剰な増粘を抑制することができる。これによりハンドリング性が向上する。
上記により、本発明の無溶剤型接着剤、並びに該接着剤を用いた積層体及び包装体は、食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨等の様々な用途における包装材料に利用することができる。また、詰め替え用包装材料に好適に用いることができる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
<ポリオール(A)>
本発明で用いられるポリオール(A)は、ポリエステルポリオール(a1)と蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)とを必須成分とし、(a1)及び(a2)の含有量は、ポリオール(A)の全質量を基準として、各々、30質量%以上70質量%以下であることを特徴とする。ポリエステルポリオール(a1)と蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)とを併用することで、接着強度とヒートシール強度の立ち上がりを速めることができる。
[ポリエステルポリオール(a1)]
ポリエステルポリオール(a1)は、水酸基とエステル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であって、エステル結合を繰り返し単位として有するものである。このようなポリエステルポリオール(a1)としては、例えば、カルボキシ基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が挙げられる。
上記カルボキシ基成分は公知のものであれば特に制限されず、単官能カルボン酸又は多価カルボン酸を用いることができる。このようなカルボキシ基成分としては、例えば、安息香酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸のような芳香環を有する単官能のカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、無水マレイン酸、フマル酸のような非環状脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸のような脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、ナフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、1,2-ビス(フェノキシ)エタン-p,p’-ジカルボン酸のような芳香族ジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物あるいはエステル形成性誘導体;p-ヒドロキシ安息香酸、p-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸及びこれらのジヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体、ダイマー酸等の多塩基酸類;が挙げられる。
中でも接着性能及び耐熱性の観点から、カルボキシ基成分として好ましくは、非環状脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸であり、より好ましくは非環状脂肪族ジカルボン酸である。非環状脂肪族ジカルボン酸として好ましくはアジピン酸であり、芳香族ジカルボン酸として好ましくはイソフタル酸及びテレフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
非環状脂肪族ジカルボン酸のような脂肪族系カルボキシ基成分であると、塗膜が柔軟になり、接着強度が向上するため好ましい。また、脂肪族系カルボキシ基成分であると粘度が低減し、ポットライフが改善されるため好ましい。
上記水酸基成分は公知のものであれば特に制限されないが、例えば、ジオールや3官能以上のポリオールが挙げられ、好ましくはジオールである。ジオールであると、ポリイソシアネートと混合した際に過度な架橋形成を抑制し、ポットライフが良化するため好ましい。
前記ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3,3‘-ジメチロールヘプタン、1,4-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサンのような脂肪族ジオール;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリオキシエチレングリコールのようなエーテルグリコール;前記脂肪族ジオールと、エチレンオキシド、テトラヒドロフランのような種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルジオール;前記脂肪族ジオールと、ラクタノイド、ε-カプロラクトンのような種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFのようなビスフェノールにエチレンオキサイド等を付加して得られるビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物;が挙げられる。ジオールとして好ましくは脂肪族ジオールであり、より好ましくは、エチレングリコール、ネオペンチルグリコール、及び1,6-ヘキサンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1種である。
前記3官能以上のポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールのような脂肪族ポリオール;前記脂肪族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルのような種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記脂肪族ポリオールと、ε-カプロラクトンのような種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;が挙げられる。3官能以上のポリオールとして好ましくは脂肪族ポリオールであり、より好ましくはトリメチロールプロパンである。
すなわち、ポリエステルポリオール(a1)は、好ましくは脂肪族ポリエステルポリオールを含むものである。該脂肪族ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールを構成するカルボキシ基成分及び水酸基成分がいずれも、上述する脂肪族成分であることを意味する。このような脂肪族ポリエステルポリオールを含むことで、粘度が低減し、ハンドリング性が向上するため好ましい。
ポリエステルポリオール(a1)の含有率は、ポリオール(A)全質量を基準として、30~70質量%であることが重要であり、好ましくは40~60質量%である。30質量%以上であると、塗膜の凝集力が向上し、低湿度下における接着強度の立ち上がりが速くなる。70質量%以下であると、ポリイソシアネート(B)と配合した際の粘度が低下し、さらに、その後の粘度上昇が緩やかになる。
ポリエステルポリオール(a1)は、物性の立ち上がりとハンドリング性とを両立する観点から、数平均分子量が500~3,000であることが好ましい。より好ましくは1,000~2,000である。数平均分子量が500以上であると、ポリエステルポリオール(a1)による凝集力が向上し、低湿度下における接着強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。数平均分子量が3,000以下であると、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。
前記ポリエステルポリオール(a1)の合成に用いる水酸基成分の水酸基数とカルボキシ基成分のカルボキシ基数との比(OH/COOH)は、好ましくは1.2~2.0であり、より好ましくは1.2~1.5である。1.2以上であるとポリエステルポリオール(a1)の凝集力が向上して低湿度下においても接着強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。2.0以下であると、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。
ポリエステルポリオール(a1)の水酸基価は、好ましくは40~150(mgKOH/g)であり、より好ましくは60~150(mgKOH/g)である。40(mgKOH/g)以上であると、ポリエステルポリオール(a1)の粘度が低減し、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。150(mgKOH/g)以下であると、ポリエステルポリオール(a1)の凝集力が向上し、低湿度下における接着強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。
ポリエステルポリオール(a1)は、水酸基の一部にジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したもの(以下、ポリエステルポリウレタンポリオールと略記する場合がある)であってもよい。前記ジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
また、ポリエステルポリオール(a1)は、水酸基の一部に酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したもの(以下、酸変性と略記する場合がある)であってもよい。前記酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物は、例えば、炭素数2~30のアルキレングリコール又はアルカントリオールを無水トリメリット酸でエステル化反応させてなるエステル化合物が挙げられ、具体的には、エチレングリコールビスアンハイドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンハイドロトリメリテート等を用いることができる。
[蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)]
蓖麻子油は市販されているものを使用することができる。このような市販品としては、例えば、工業用一号蓖麻子油(豊国製油社製)が挙げられる。
また、蓖麻子油誘導体は、水酸基を有するものであり、例えば、蓖麻子油をウレタン化することで得られる蓖麻子油ウレタンポリオール、蓖麻子油をエステル化することで得られる蓖麻子油エステルポリオール、脱水蓖麻子油、蓖麻子油の水素添加物である蓖麻子硬化油、蓖麻子油脂肪酸、脱水蓖麻子油脂肪酸、蓖麻子油脂肪酸縮合物、蓖麻子油のエチレンオキサイド5~50モル付加体、又は蓖麻子油系ポリオールが挙げられる。これら蓖麻子油誘導体としては、市販されているものを使用してもよい。このような市販品としては、CO-FA(蓖麻子油脂肪酸、豊国製油社製)、HS 2G-120(蓖麻子油系ポリオール、豊国製油社製)、HS 2G-160R(蓖麻子油系ポリオール、豊国製油社製)、HS 2G-270B(蓖麻子油系ポリオール、豊国製油社製)などが挙げられる。
これらの中でも、レベリング性向上及び粘度低減の観点から蓖麻子油が好ましい。
蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)は、ポリオール(A)全質量を基準として、30~70質量%であることが重要であり、好ましくは40~60質量%である。30質量%以上であると、優先的に三次元構造が構築され、低湿度下におけるヒートシール強度の立ち上がりが速くなる。70質量%以下であると、塗膜の凝集力が向上して接着強度の立ち上がりを速めることができる。また、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できる。
[3官能以上のポリオール(a3)]
ポリオール(A)は、さらに3官能以上のポリオール(a3)を含有することが好ましい。上述する(a1)および(a2)に3官能以上のポリオール(a3)を併用することで、低湿度下においても三次元構造が優先的に構築されて凝集力が向上し、接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。
3官能以上のポリオール(a3)は、上述する(a1)及び(a2)を除く、1分子中における水酸基数が3以上の化合物であり、(ポリエステルポリオール(a1))の項における3官能以上のポリオールの記載を援用することができる。
3官能以上のポリオール(a3)の末端水酸基の数は、好ましくは3~5であり、より好ましくは3~4であり、特に好ましくは3である。5以下であるとポリオール(A)全体の水酸基価が高くなりすぎず、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。
3官能以上のポリオール(a3)の数平均分子量は、好ましくは100~1,000であり、より好ましくは200~500である。数平均分子量が100以上であると、ポリオール(A)全体の水酸基価が高くなりすぎず、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。数平均分子量が1,000以下であると、3官能以上のポリオール(a3)の水酸基の反応性が向上し、優先的に三次元構造を構築でき、接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。
3官能以上のポリオール(a3)は、接着強度及びヒートシール強度の立ち上がり向上及びポットライフ向上の観点から、好ましくは、グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した付加物(トリオール)であり、より好ましくは、数平均分子量300~5000のトリオールである。
ポリオール(A)は、ポリオール(A)の全質量を基準として、3官能以上のポリオール(a3)を、5~30質量%の範囲で含むことが好ましい。より好ましくは5~15質量%である。5質量%以上であると、優先的に三次元構造を構築し、接着剤塗膜の凝集力が上昇して接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりが速くなる。30質量%以下であると、ポリイソシアネート(B)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。
ポリオール(A)は、本発明の効果を損なわない範囲で、さらにその他ポリオールを含有することができる。上記その他ポリオールとしては、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
これらのその他ポリオールは、水酸基の一部にジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したもの(例えば、ポリエーテルウレタンポリオール)であってもよく、水酸基の一部に酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものであってもよい。
該ジイソシアネート及び酸無水物としては、上述する(ポリエステルポリオール(a1))の項における記載を援用することができる。
<ポリイソシアネート(B)>
本発明の無溶剤型接着剤を構成するポリイソシアネート(B)は特に制限されず、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;が挙げられる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;が挙げられる。
ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、アロファネート型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビウレット型変性体、アダクト型変性体が挙げられる。また、ポリイソシアネートの変性体として、ポリイソシアネートとポリオールとの反応生成物である、ウレタン結合を有するポリイソシアネートを用いてもよい。
上記ポリイソシアネートの変性体を形成するポリオールは特に制限されず、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオールが挙げられる。
[ウレタン結合を有するポリイソシアネート]
ポリイソシアネート(B)は、好ましくはウレタン結合を有するポリイソシアネートを含み、より好ましくは、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を含む。
上記ポリオールとしては、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種が好適に用いられ、より好ましくはポリエステルポリオールを含む。特に好ましくは、ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを共に含むものである。
ポリエステルポリオールとポリエーテルポリオールとを併用することで、接着剤層の凝集力と柔軟性とを両立することができる。これにより、接着強度及びヒートシール強度の立ち上がりを速くすることができるため好ましい。
本明細書において、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を、ポリエステルポリウレタンポリイソシアネートと略記する場合がある。また、ポリエーテルポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を、ポリエーテルポリウレタンポリイソシアネートと略記する場合がある。
ウレタン結合を有するポリイソシアネートは、ポリオールとポリイソシアネートとを、イソシアネート基が過剰である条件で反応させて得ることができる。上述の通り、ポリオールとして好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールである。
(ポリエステルポリオール)
上記ポリエステルポリオールとしては、水酸基とエステル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよく、前述の[ポリエステルポリオール(a1)]の項に記載したものを援用することができる。
中でも、好ましくは脂肪族ポリエステルポリオールを含むものである。該脂肪族ポリエステルポリオールは、ポリエステルポリオールを構成するカルボキシ基成分及び水酸基成分がいずれも、上述する脂肪族成分であることを意味する。このような脂肪族ポリエステルポリオールを含むことで、粘度が低減し、ハンドリング性が向上するため好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、物性の立ち上がりとハンドリング性とを両立する観点から、数平均分子量が500~3,000であることが好ましい。より好ましくは1,000~2,000である。数平均分子量が500以上であると、ポリエステルポリオールによる凝集力が向上し、低湿度下における接着強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。数平均分子量が3,000以下であると、ポリオール(A)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。
上記ポリエステルポリオールの合成に用いる水酸基成分の水酸基数とカルボキシ基成分のカルボキシ基数との比(OH/COOH)は、好ましくは1.2~2.0であり、より好ましくは1.2~1.5である。1.2以上であるとポリエステルポリオールの凝集力が向上して低湿度下においても接着強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。1.5以下であると、ポリオール(A)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。
上記ポリエステルポリオールの水酸基価は、好ましくは40~150(mgKOH/g)であり、より好ましくは60~150(mgKOH/g)である。40(mgKOH/g)以上であると、ポリエステルポリオールの粘度が低減し、ポリオール(A)と混合した後の粘度上昇が緩やかになり、経時での塗工性の低下を抑制できるため好ましい。150(mgKOH/g)以下であると、ポリイソシアネート(B)の凝集力が向上し、低湿度下における接着強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。
上記ポリエステルポリオールは、水酸基の一部にジイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよく、水酸基の一部に酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したものであってもよい。
(ポリエーテルポリオール)
上記ポリエーテルポリオールは、水酸基とエーテル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよく、2官能ポリエーテルポリオール、3官能ポリエーテルポリオールのいずれであってもよい。これらのポリエーテルポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2官能のポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル;が挙げられる。
また、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオール開始剤に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合した付加重合体をポリエーテルポリオールとして用いてもよい。
該付加重合体としては、例えば、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
3官能以上のポリエーテルポリオールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトールのような脂肪族ポリオール;前記脂肪族ポリオールと、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテルのような種々の環状エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール;前記脂肪族ポリオールと、ε-カプロラクトンのような種々のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール;が挙げられる。
塗膜柔軟性と樹脂相溶性との観点から、ポリエーテルポリオールの数平均分子量は、好ましくは400~2,000である。数平均分子量が400以上であると、接着剤における高分子鎖の柔軟性が増すため好ましい。数平均分子量が2,000以下であると、イソシアネート成分との相溶性が向上し、ウレタン化反応が容易に進行するため好ましい。
(ポリイソシアネート)
ウレタン結合を有するポリイソシアネートを形成するポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、又はこれらの変性体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記芳香族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、又はこれらの変性体は、上述する<ポリイソシアネート(B)>の項の記載を援用できる。
上記ポリイソシアネートは、接着剤塗膜の凝集力向上の観点から、好ましくは芳香族ポリイソシアネートを含み、より好ましくは、ジフェニルメタンジイソシアネートを含む。ジフェニルメタンジイソシアネートは、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートのいずれであってもよい。
ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を形成する、ポリオールの有する水酸基の総和に対する、ポリイソシアネートの有するイソシアネート基の総和のモル比(NCOモル数/OHモル数)は、好ましくは2.5~4.5であり、より好ましくは3.0~4.0である。モル当量比が2.5以上であると、増粘が抑制され、ポットライフが向上するため好ましい。モル当量比が4.5以下であると、得られるポリイソシアネートの分子量が高くなり、接着強度とヒートシール強度の立ち上がりが速くなるため好ましい。
ポリイソシアネート(B)のポリイソシアネート基含有率は、好ましくは8.0質量%~16.0質量%、より好ましくは9.0質量%~14.5質量%の範囲である。上記範囲であると、架橋密度が最適化され接着強度が向上するため好ましい。
<その他成分>
本発明の無溶剤型接着剤は、各種要求性能を満たすために、ポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)以外の成分を含有してもよい。このようなその他成分は、ポリオール(A)又はポリイソシアネート(B)のいずれに配合してもよく、ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを混合する際に配合してもよい。その他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(シランカップリング剤)
本発明の無溶剤型接着剤は、金属箔、金属蒸着層等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、シランカップリング剤を含有することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基を有するトリアルコキシシラン;3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基を有するトリアルコキシシラン;3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有するトリアルコキシシラン;が挙げられる。
シランカップリング剤の含有率は、全ポリオール(A)全質量を基準として、好ましくは0.1~5質量%であり、より好ましくは0.2~3質量%である。上記範囲とすることで、金属箔に対する接着強度を向上することができるため好ましい。
(リン酸又はリン酸誘導体)
本発明の無溶剤型接着剤は、金属箔、金属蒸着層等の金属系素材に対する接着強度を向上させる観点から、リン酸又はリン酸誘導体を含有することができる。
前記リン酸としては、遊離の酸素酸を少なくとも1個有しているものであればよく、例えば、次亜リン酸、亜リン酸、オルトリン酸、次リン酸のようなリン酸類;メタリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、ポリリン酸、ウルトラリン酸のような縮合リン酸類;が挙げられる。また、リン酸の誘導体としては、例えば、上述のリン酸を遊離の酸素酸を少なくとも1個残した状態でアルコール類と部分的にエステル化したものが挙げられる。該アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、エチレングリコール、グリセリンのような脂肪族アルコール;フェノール、キシレノール、ハイドロキノン、カテコール、フロログリシノールのような芳香族アルコール;が挙げられる。
リン酸又はその誘導体の含有率は、無溶剤型接着剤の質量を基準として、好ましくは0.01~10質量%であり、より好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~1質量%である。
(レベリング剤又は消泡剤)
本発明の無溶剤型接着剤は、積層体の外観を向上させるため、レベリング剤及び/又は消泡剤を含有することができる。レベリング剤としては、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、アクリル系共重合物、メタクリル系共重合物、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アクリル酸アルキルエステル共重合物、メタクリル酸アルキルエステル共重合物、レシチンが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン溶液、アルキルビニルエーテルとアクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとの共重合物が挙げられる。
(反応促進剤)
本発明の無溶剤型接着剤は、硬化反応を促進するため、反応促進剤を含有することができる。反応促進剤としては、例えば、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレートのような金属系触媒;1,8-ジアザ-ビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7、1,5-ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン-5、6-ジブチルアミノ-1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン-7のような3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン;が挙げられる。
(添加剤)
本発明の無溶剤型接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤、硬化反応を調整するための触媒が挙げられる。
<硬化物、積層体>
本発明の無溶剤型接着剤は、後述する基材同士を貼り合わせた後、例えば20~60℃の条件下で硬化させることで、本発明の硬化物となる。本発明の積層体は、上述の無溶剤型接着剤からなる接着剤層が、少なくとも2つのシート状基材の間に積層されたものである。一例として、無溶剤接着剤を第一のシート状基材に塗布した後、塗布面に第二のシート状基材を積層し、両シート状基材の間に位置する接着剤層を硬化させて得ることができる。無溶剤型接着剤の塗布量は、好ましくは1.0~5.0g/m、より好ましくは1.5~4.5g/mである。積層体の厚みは、好ましくは10μm以上である。
[シート状基材]
シート状基材は特に制限されず、例えば、従来公知のプラスチックフィルム、紙、アルミ箔等の金属箔が挙げられ、2つのシート状基材は同種のものでも異種のものでもよい。プラスチックフィルムとしては、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができ、好ましくは熱可塑性樹脂のフィルムである。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリスチレン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、繊維素系プラスチックが挙げられる。
シート状基材は、金属又は金属酸化物の蒸着層等からなるバリア層を備えていてもよく、該バリア層としては、アルミニウム(AL)、シリカ、アルミナ等の蒸着層等が挙げられる。
第一のシート状基材は、好ましくはプラスチックフィルムである。プラスチックフィルムとしては、包装材に一般的に使用されるものが挙げられ、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン(NY)6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体等が挙げられる。中でも、機械的強度や寸法安定性を有するものが好ましい。
プラスチックフィルムは、好ましくは5~50μm、より好ましくは10~30μmの厚さを有するものである。
第二のシート状基材が積層体の最外層となる場合、第二のシート状基材はシーラント基材であることが好ましい。
シーラント基材としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)や高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーが挙げられる。
シーラント基材の厚みは特に制限されず、包装材への加工性やヒートシール性等を考慮すると、好ましくは10~150μmであり、より好ましくは20~70μmである。また、シーラント基材に数μm程度の高低差を有する凸凹を設けることで、滑り性や包装材の引き裂き性を付与することができる。
第二のシート状基材が、積層体の中間層となる場合、第二のシート状基材としては、前述のプラスチックフィルム、紙、金属箔等を好適に用いることができる。
[インキ層]
シート状基材は、基材上にインキ層を有していてもよく、該インキ層は、接着剤層に接していてもよい。
インキ層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層であり、全面印刷であるベタ印刷層であってもよい。
一般的にインキ層は、顔料や染料等の着色剤を含む印刷インキを用いて形成される。印刷インキとしては、例えば、油性インキ、水性インキ、UVインキ等が挙げられる。印刷方法としては、例えば、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法が挙げられる。印刷工程では、必要に応じて、送風、加熱、減圧乾燥、紫外線照射等を行ってもよい。
インキ層は、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは1~5μm、さらに好ましくは1~3μmの厚みを有するものである。
本発明の積層体が、接着剤層に接してインキ層を有する場合、該インキ層を形成するインキは特に制限されない。しかし、本発明の積層体は、インキ層が水性インキを用いて形成された場合であっても、厳しい低湿度環境においても、接着強度やヒートシール強度といった物性の立ち上がりを速くすることができる。
一般に、水性インキを用いた水性インキ層は、油性インキを用いたインキ層に比べて水酸基成分が残留しやすい。そのため、水性インキ層上に接着剤を塗布すると、残留水酸基成分が接着剤中のイソシアネートを消費し、接着剤のウレタン化反応による高分子量化が阻害されてしまう。これにより、接着剤層の凝集力が低下し、接着強度やヒートシール強度といった物性の立ち上がりが遅くなる傾向にある。
しかしながら、本発明の無溶剤型接着剤を用いた接着剤層と水性インキ層とが隣接することで、接着剤層の凝集力を維持することができ、厳しい低湿度環境においても、接着強度やヒートシール強度といった物性の立ち上がりを速くすることができる。
水性インキ層に含まれる樹脂としては、例えば、溶解型、ハイドロゾル型若しくはエマルジョン型の天然樹脂又は合成樹脂、及びそれらの変性樹脂からなる群れより選択される少なくとも1種を使用することができる。
上記樹脂としては、例えば、ポリアルリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN-ビニルピロリドン系樹脂、ポリウレタン系樹脂(2液硬化型ポリウレタン系樹脂)、ポリウレタンウレア系樹脂(2液硬化型ポリウレタンウレア系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、アミノ系樹脂、フェノ-ル系樹脂、合成ゴム等の合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類、天然ゴム等の天然高分子;が挙げられ、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合し用いてもよい。
上記ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂としては、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ヒドロキシルエチルアクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のニトリル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系モノマー;該アミド系モノマーのN-アルコキシ置換体、同N-メチロ-ル置換体;スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、ジビニルベンゼン等のスチレン系モノマー;ジアリルフタレート、アリルグリジジルエーテル、トリアリルイソシアヌレート等のアリル系モノマー;酢酸ビニル、N-ビニルピロリドン等の重合性二重結合を有するモノマー;の少なくとも1種と、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシ基含有化合物又は酸無水物と、の共重合体を使用することができる。
本発明の積層体について、一例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。積層体が複数の接着剤層を備える場合、接着剤層の内少なくとも1層が、本発明の無溶剤型接着剤から形成された接着剤層であればよい。また、以下において、透明蒸着とはシリカ又はアルミナの蒸着層を意味する。
OPP/インキ層/接着剤層/CPP、
インキ層/OPP/接着剤層/CPP、
OPP/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
インキ層/OPP/接着剤層/AL蒸着CPP、
OPP/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET、
インキ層/OPP/接着剤層/AL蒸着PET、
OPP/インキ層/接着剤層/PE、
インキ層/OPP/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/CPP、
インキ層/PET/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
インキ層/PET/接着剤層/AL蒸着CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET、
インキ層/PET/接着剤層/AL蒸着PET、
PET/インキ層/接着剤層/PE、
インキ層/PET/接着剤層/PE、
NY/インキ層/接着剤層/CPP、
インキ層/NY/接着剤層/CPP、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着CPP、
インキ層/NY/接着剤層/AL蒸着CPP、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET、
インキ層/NY/接着剤層/AL蒸着PET、
NY/インキ層/接着剤層/PE、
インキ層/NY/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/PE、
透明蒸着PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
透明蒸着PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/PE、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/CPP、
NY/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL蒸着PET/接着剤層/NY/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/AL/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/NY/接着剤層/AL/接着剤層/PE、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/NY/接着剤層/CPP、
PET/インキ層/接着剤層/AL/接着剤層/NY/接着剤層/PE
<包装体>
本発明の包装体は、上記積層体を使用したものであればよく、例えば、二方袋、三方袋、チャック付三方袋、合掌袋、ガゼット袋、底ガゼット袋、スタンド袋、スタンドチャック袋、二方袋、四方柱平底ガゼット袋、サイドシール袋、ボトムシール袋が挙げられる。特に本発明の無溶剤型接着剤を用いた包装体は、低湿度下での接着強度やヒートシール強度の立ち上がりの速さに優れるため、成型加工やヒートシール加工を必要とする包装袋に好適に用いられる。また、本発明の無溶剤型接着剤を用いた包装体は、冬季や低湿度環境地域にて流通する包装袋に好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に指定がない場合は「質量部」及び「質量%」を意味する。
〔数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)の測定方法〕
数平均分子量及び重量平均分子量は、昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「ShodexGPCSystem-21」を用いて測定した。GPCは溶媒に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーであり、溶媒としてはテトロヒドロフラン、分子量の決定はポリスチレン換算で行った。
〔水酸基価(OHV)の測定方法〕
共栓三角フラスコ中に試料約1gを精密に量り採り、トルエン/エタノール(容量比:トルエン/エタノール=2/1)混合液100mLを加えて溶解した。更にアセチル化剤(無水酢酸25gをピリジンで溶解し、容量100mLとした溶液)を正確に5mL加え、約1時間攪拌した。これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続する。その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。水酸基価は次の(式2)により求めた。水酸基価は樹脂の乾燥状態の数値とした。
(式2)水酸基価(mgKOH/g)=[{(b-a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
S:試料の採取量(g)
a:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
b:空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(mL)
F:0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価
D:酸価(mgKOH/g)
〔NCO含有率(質量%)の測定方法〕
200mLの三角フラスコに試料約1gを量り採り、これに0.5Nジ-n-ブチルアミンのトルエン溶液10mL、及びトルエン10mLを加えて溶解した。次に、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した後、溶液が淡紅色を呈するまで0.25N塩酸溶液で滴定した。NCO含有率(質量%)は以下の(式3)により求めた。
(式3):NCO(質量%)={(b-a)×4.202×F×0.25}/S
ただし、S:試料の採取量(g)
a:0.25N塩酸溶液の消費量(ml)
b:空実験の0.25N塩酸溶液の消費量(ml)
F:0.25N塩酸溶液の力価
〔ICI粘度の測定方法〕
東亜工業株式会社製コーンプレート粘度計「CV-1S」を用いて粘度を測定した。数値が安定した時点の表示値をICI粘度とした。
<ポリオール(A)の製造>
(ポリエステルポリオール(a1-1)の合成)
撹拌機、温度系、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、アジピン酸402.3部、ネオペンチルグリコール186.3部、1,6-ヘキサンジオール211.4部を仕込み、窒素気流下で攪拌しながら240℃まで昇温した。酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応を続けた後に、徐々に減圧を行い、1mmHgで反応を継続し、余剰のアルコールを除去して、ポリエステルポリオール(a1-1)を得た。
(ポリエステルポリオール(a1-2~a1-7)の合成)
原料を表1に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(a1-1)と同様にしてエステル化反応を行い、ポリエステルポリオール(a1-2~a1-7)を得た。
<蓖麻子油誘導体の合成>
撹拌機、温度系、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、蓖麻子油746.7部、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4‘-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(質量比50:50)53.3部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行うことで、ウレタン結合を有する蓖麻子油誘導体を得た。
<ポリイソシアネート(B)の製造>
(ポリイソシアネート(B-1)の合成)
撹拌機、温度系、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、数平均分子量400のポリプロピレングリコール54.7部、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール100.1部、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール198.8部、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート286.4部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行うことで、ウレタン結合を有するポリイソシアネートを得た。
次いで、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート160.0部を加え、70℃で30分攪拌しながら混合することで、イソシアネート基含有率が14.6質量%の、ポリイソシアネート(B-1)を得た。
(ポリイソシアネート(B-2)の合成)
撹拌機、温度系、還流冷却管、滴下槽及び窒素ガス導入管を備えた反応容器に、数平均分子量400のポリプロピレングリコール54.6部、数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール88.9部、数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール176.5部、グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量400のトリオール35.8部、トリメチロールプロパン5.8部、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物(質量比50:50)438.4部を仕込み、窒素ガス気流下で攪拌しながら80℃~90℃で3時間加熱してウレタン化反応を行うことで、イソシアネート基含有率が13.2質量%の、ウレタン結合を有するポリイソシアネート(B-2)を得た。
(ポリイソシアネート(B-3)の合成)
原料を表2に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(B-2)と同様にしてウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が12.0質量%の、ウレタン結合を有するポリイソシアネート(B-3)を得た。
(ポリイソシアネート(B-4)の合成)
原料を表2に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(B-1)と同様にしてウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が14.3質量%の、ウレタン結合を有するポリイソシアネート(B-4)を得た。
(ポリイソシアネート(B-5)の合成)
原料を表2に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(B-2)と同様にしてウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が13.9質量%の、ウレタン結合を有するポリイソシアネート(B-5)を得た。
(ポリイソシアネート(B-6)の合成)
原料を表2に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(B-2)と同様にしてウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が11.8質量%の、ウレタン結合を有するポリイソシアネート(B-6)を得た。
(ポリイソシアネート(B-7)の合成)
原料を表2に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(B-1)と同様にしてウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が13.1質量%の、ウレタン結合を有するポリイソシアネート(B-7)を得た。
(ポリイソシアネート(B-8)の合成)
原料を表2に記載の配合(質量部)に変更した以外は、(B-1)と同様にしてウレタン化反応を行い、イソシアネート基含有率が9.5質量%の、ポリイソシアネート(B-8)を得た。
表2中の略称を以下に示す。
P-400:数平均分子量400のポリプロピレングリコール
PTMG-1000:数平均分子量1,000のポリテトラメチレングリコール
P-2000:数平均分子量2,000のポリプロピレングリコール
グリセリンPPG付加物:グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量400のトリオール
4,4’-MDI:4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート
2,4’-MDIと4,4’-MDIの混合物:2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートと4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートの質量比50/50の混合物
HDIビウレット:ビウレット型ポリイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体
<無溶剤型接着剤の製造>
[実施例1~23、比較例1~2]無溶剤型接着剤C-1~C-25
表3の配合に従ってポリオール(A)、ポリイソシアネート(B)を混合し、無溶剤型接着剤1~25を得た。
<無溶剤型接着剤の評価>
得られた無溶剤型接着剤について、以下のようにして積層体1~4を作製し、接着強度及びヒートシール剥離試験を実施した。また、無溶剤型接着剤のポットライフ評価を実施した。結果を表3及び表4に示す。
(積層体1の作製:OPP/油性インキ層/接着剤層/VM-PET)
油性インキ(東洋インキ(株)製、リオアルファR631白)を、酢酸エチル/IPA混合溶剤(質量比70/30)にて、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。厚み20μmのOPPフィルム(東洋紡社製「P2161」)上に、希釈したインキを、版深35μmのベタ版を備えたグラビア校正機を用いて、印刷速度50m/分で印刷した後、50℃で乾燥した。インキ層の厚みは0.5~1μmの範囲内とした。
次いで、常温環境下にてラミネーターを用いて、上記で得られた印刷物のインキ面と、厚み12μmのアルミ蒸着ポリエチレンテレフタレート(VM-PET)フィルム(麗光社製「ダイアラスターH27」)の蒸着面とを、得られた無溶剤型接着剤を用いて貼り合わせた。ラミネートの速度は150m/分、塗布量は2.0g/mとした。
貼り合わせた積層体を、40℃、20%RHの低湿度環境下に24時間保管し、「OPP/油性インキ層/接着剤層/VM-PET」の構成である積層体1を得た。
(積層体2の作製:OPP/水性インキ層/接着剤層/VM-PET)
水性インキ(東洋インキ(株)製、アクワエコールR631白)を、水/n-プロパノール混合溶剤(質量比50/50)にて、粘度が16秒(25℃、ザーンカップNo.3)となるように希釈した。厚み20μmのOPPフィルム(東洋紡社製「P2161」)上に、希釈したインキを、版深35μmのベタ版を備えたグラビア校正機を用いて、印刷速度50m/分で印刷した後、60℃で乾燥した。インキ層の厚みは0.5~1μmの範囲内とした。
次いで、得られた印刷物を用いた以外は(積層体1の作製)と同様にしてラミネート及びエージングを行い、「OPP/水性インキ層/接着剤層/VM-PET」の構成である積層体2を得た。
(積層体3の作製:NY/油性インキ層/接着剤層/LLDPE)
(積層体1の作製)に記載の方法と同様にして、油性インキ(東洋インキ(株)製、リオアルファR631白)を、厚み15μmのNYフィルム(ユニチカ社製「エンブレムON-RT」)上に、0.5~1μmの厚みで印刷した。
次いで、常温環境下にてラミネーターを用いて、上記で得られた印刷物のインキ面と、厚み50μmのLLDPEフィルム(三井化学東セロ社製「TUX-FCD」)とを、得られた無溶剤型接着剤を用いて貼り合わせた。ラミネートの速度は150m/分、塗布量は2.0g/mとした。
貼り合わせた積層体を、40℃、20%RHの低湿度環境下に24時間保管し、「NY/油性インキ層/接着剤層/LLDPE」の構成である積層体3を得た。
(積層体4の作製:NY/水性インキ層/接着剤層/LLDPE)
(積層体2の作製)に記載の方法と同様にして、水性インキ(東洋インキ(株)製、アクワエコールR631白)を、厚み15μmのNYフィルム(ユニチカ社製「エンブレムON-RT」)上に、0.5~1μmの厚みで印刷した。
次いで、得られた印刷物を用いた以外は(積層体3の作製)と同様にして、「NY/水性インキ層/接着剤層/LLDPE」の構成である積層体4を得た。
〔接着強度〕OPP/油性又は水性インキ層/接着剤層/VM-PET
積層体1及び積層体2を、幅15mm、長さ300mmに切り取って試験片とした。JIS K6854に基づき、インストロン型引張試験機を用いて、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、300mm/分の剥離速度で引張り、OPPとVM-PETとの間のT型剥離強度[N/15mm]を測定した。測定は5回行いその平均値を用いて下記基準で評価を行った。
A:2.0[N/15mm]以上(非常に良好)
B:1.5[N/15mm]以上、2.0[N/15mm]未満(良好)
C:1.0[N/15mm]以上、1.5[N/15mm]未満(使用可能)
D:1.0[N/15mm]未満(使用不可)
〔ヒートシール剥離試験〕NY/油性又は水性インキ層/接着剤層/LLDPE
積層体3及び積層体4を、幅15mm、長さ300mmに切り取って試験片とし、シーラント面を重ねるように折り曲げ、180℃、2kg、1秒でヒートシールを施した。その後、JIS K6854に基づき、インストロン型引張試験機を用いて、温度20℃、相対湿度65%の環境下で、300mm/分の剥離速度で引張り、フィルム破断、ヒートシール部分の破壊等により引張強度が下がるまで試験を実施した。次いで、試験実施後のサンプルを観察し、形態によって下記基準で評価を行った。試験は5回行い、最も多かった形態を採用した。
A:ラミネートフィルムが破断したが、ヒートシール部分は変化なし(非常に良好)
B:ラミネートフィルムは破断せず、LLDPEフィルムのみが破断した(良好)
C:ラミネートフィルムは破断せず、ヒートシール部分のNY/LLDPE間が剥離し始め、次いでLLDPEフィルムが破断した(使用可能)
D:フィルムの破断は発生せず、ヒートシール部分のNY/LLDPE間が剥離した(使用不可)
〔ポットライフ評価〕
製造直後の無溶剤型接着剤をガラス瓶に注入・密閉し、40℃の温浴に30分間静置した後、40℃下におけるICI粘度を測定した。
A:3,000[mPa・s]未満(非常に良好)
B:3,000[mPa・s]以上、4,000[mPa・s]未満(良好)
C:4,000[mPa・s]以上、5,000[mPa・s]未満(使用可能)
D:5,000[mPa・s]以上(使用不可)
表3及び表4中の略称を以下に示す。
蓖麻子油:工業用一号蓖麻子油(豊国製油社製)
グリセリンPPG付加物:グリセリンにポリプロピレングリコールを付加した数平均分子量400のトリオール(官能基数3)
トリメチロールプロパン:官能基数3、分子量134
ペンタエリスリトール:官能基数4、分子量136
評価結果によれば、本発明の無溶剤型接着剤は、40℃、20%RHという低湿度環境のエージングにおいても、24時間後には接着強度とヒートシール強度が良好であり、立ち上がりが速いことが確認された。
特に、ポリエステルポリオール(a1)を40~60質量%の範囲、且つ蓖麻子油を40~60質量%の範囲で用いた実施例C-4は、ポリエステルポリオール(a1)を35質量%、且つ蓖麻子油を65質量%で用いた実施例C-2、及びポリエステルポリオール(a1)を65質量%、且つ蓖麻子油を35質量%で用いた実施例C-3よりも、接着剤塗膜の凝集力及び三次元構造の構築が両立できており、接着強度とヒートシール強度の立ち上がりが速く、優れていた。
また、ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量が1,000~2,000の範囲である実施例C-4は、同数平均分子量が1,000未満である実施例C-8及びC-9よりも、接着剤塗膜の凝集力が高く、接着強度の立ち上がりが速く、優れていた。また、実施例C-4は、同数平均分子量が2,000を超える実施例C-10及びC-11よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の増粘が緩やかであり、ポットライフに優れていた。
また、ポリエステルポリオール(a1)が脂肪族ポリエステルポリオールである実施例C-4は、ポリエステルポリオール(a1)が芳香族ポリエステルポリオールである実施例C-6よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の増粘が緩やかであり、ポットライフに優れていた。
また、ポリエステルポリオール(a1)が2官能の多塩基酸及び2官能の多価アルコールにより形成されたポリエステルポリオールである実施例C-4は、3官能の多価アルコールを用いて形成されたポリエステルポリオールである実施例C-7よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の増粘が緩やかであり、ポットライフに優れていた。
また、3官能以上のポリオール(a3)をポリオール(A)中に含む実施例C-4は、3官能以上のポリオール(a3)をポリオール(A)中に含まない実施例C-1よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の架橋形成が速く、接着強度とヒートシール強度の立ち上がりが速く、優れていた。
また、3官能以上のポリオール(a3)をポリオール(A)全量に対して5~15質量%の範囲で用いた実施例C-4は、同成分を20質量%で用いた実施例C-12、及び同成分を40質量%で用いた実施例C-13よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の増粘が緩やかであり、ポットライフに優れていた。
また、3官能以上のポリオール(a3)の分子量が200~500の範囲である実施例C-4は、同分子量が200未満である実施例C-14よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の増粘が緩やかであり、ポットライフに優れていた。
また、3官能以上のポリオール(a3)の水酸基の個数が3である実施例C-4は、同個数が4である実施例C-15よりも、ポリイソシアネート(B)と混合した後の増粘が緩やかであり、ポットライフに優れていた。

Claims (13)

  1. ポリオール(A)とポリイソシアネート(B)とを含み、下記(1)及び(2)を満たすことを特徴とする無溶剤型接着剤。
    (1)ポリオール(A)がポリエステルポリオール(a1)を含有し、該ポリエステルポリオール(a1)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。
    (2)ポリオール(A)が蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)を含有し、該蓖麻子油又は蓖麻子油誘導体(a2)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、30質量%以上、70質量%以下である。
  2. 前記ポリエステルポリオール(a1)の数平均分子量が、500以上、3,000以下である、請求項1に記載の無溶剤型接着剤。
  3. 前記ポリエステルポリオール(a1)が、脂肪族ポリエステルポリオールを含有する、請求項1又は2に記載の無溶剤型接着剤。
  4. さらに下記(3)を満たす、請求項1~3いずれか1項に記載の無溶剤型接着剤。
    (3)ポリオール(A)が、3官能以上のポリオール(a3)を含有し、該ポリオール(a3)の含有率が、ポリオール(A)の全質量を基準として、5質量%以上、30質量%以下である。
  5. 前記ポリイソシアネート(B)が、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物を含む、請求項1~4いずれか1項に記載の無溶剤型接着剤。
  6. 前記ポリオールが有する水酸基数の総和に対する、前記ポリイソシアネートが有するイソシアネート基数の総和の比率(NCO/OH)が、2.5~4.5である、請求項5に記載の無溶剤型接着剤。
  7. 前記ポリオールが、ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項5又は6に記載の無溶剤型接着剤。
  8. 前記ポリイソシアネートが、芳香族ポリイソシアネートを含む、請求項5~7いずれか1項に記載の無溶剤型接着剤。
  9. 請求項1~8いずれか1項に記載の無溶剤型接着剤を硬化させた硬化物。
  10. 請求項1~8いずれか1項に記載の無溶剤型接着剤を接着剤層に用いた積層体。
  11. 前記接着剤層に接してインキ層を有する、請求項10に記載の積層体。
  12. 前記インキ層が、水性インキを用いて形成された層である、請求項11に記載の積層体。
  13. 請求項10~12いずれか1項に記載の積層体を使用した包装体。
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