JP6994615B1 - マットコート剤およびそれを用いた積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐摩耗性、各種基材(特に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、PETフィルム等)との基材密着性に優れ、かつ塗布した場合に十分な艶消し効果の得られるマットコート剤を提供することにある。【解決手段】バインダー樹脂、マット化剤および有機溶剤を含有するマットコート剤であって、前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂を含み、前記マット化剤が、硫酸バリウムおよび樹脂微粒子を含み、バインダー樹脂とマット化剤との質量比率(バインダー樹脂/マット化剤)が、1:1~1:3であるマットコート剤。【選択図】なし

Description

本発明は、基材表面の保護や包装材料の意匠性向上の為に、優れた耐摩耗性や艶消し感を与えるマットコート剤に関する。
従来から、各種基材には、表面保護や意匠性向上のために、各種マットコート層が施される場合がある。マットコート層は艶消し感、濁り感を与えるもので、形態としては、マットコート剤の印刷ないし塗工により積層体(以下、代表的な形態である印刷物で本発明を説明する)の最外層に形成され、基材を被覆する事で基材の表面保護を目的とするものや、必要に応じて光沢と艶消し、透明性と濁りを調整して必要な意匠性を付与する。更には触感や滑り性を付与する場合等にもマットコート層を施す場合がある。用途は食品包装、医薬品包装、生活雑貨材料、電子材包装、反射材料、電気製品、自動車向け等、多分野に渡る。
上記マットコート層は、積層体の最外層に配置されるため、耐摩耗性が要求される。耐摩耗性を向上させるために、例えば特許文献1では、ポリウレタン樹脂を含むバインダー樹脂の硬化性成分として、イソシアネート基を含有する化合物を用いて、架橋構造を形成させることが行われている。更に、ワックス成分の添加、PP樹脂粒子、ガラスビーズの添加も知られている。また、耐摩耗性の向上のため、ポリテトラフルオロエチレンワックス粒子の添加も提案されている。
更に、特許文献2では、マットコート剤は、バインダー樹脂に固体微粒子あるいは樹脂微粒子を分散させた樹脂組成物からなり、バインダー樹脂としてはアミノ樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、及びアクリル樹脂等が用いられ、固体微粒子としてアクリル樹脂ビーズ、アミノ樹脂ビーズ、ポリオレフィン樹脂ビーズ、アルミナビーズ、シリカビーズ、及びガラスビーズ等が用いられている。
しかしながら、上記マットコート剤はいずれも、十分な艶消し効果とともに、各種基材への密着性および耐摩耗性を満たすことが困難であった。
特開2018-070847号公報 特開2019-131666号公報
本発明の課題は、耐摩耗性、各種基材(特に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、PETフィルム等)との基材密着性に優れ、かつ塗布した場合に十分な艶消し効果の得られるマットコート剤を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究の結果、本発明のマットコート剤が、上記課題を達成することを見出し本発明するに至った。
すなわち、本発明は、バインダー樹脂、マット化剤および有機溶剤を含有するマットコート剤であって、
前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂を含み、前記マット化剤が、硫酸バリウムおよび樹脂微粒子を含み、バインダー樹脂とマット化剤との質量比率(バインダー樹脂:マット化剤)が、1:1~1:3であるマットコート剤に関する。
また、本発明は、バインダー樹脂が、更に、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂を含む、上記マットコート剤に関する。
また、本発明は、硫酸バリウムの含有量が、マットコート剤の不揮発成分総質量中に30~65質量%である、上記マットコート剤に関する。
また、本発明は、樹脂微粒子の含有量が、マットコート剤の不揮発成分総質量中に5~20質量%である、上記マットコート剤に関する。
また、本発明は、樹脂微粒子が、ポリアクリル微粒子、ポリアミノ微粒子、ポリオレフィン微粒子、およびポリスチレン微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、上記マットコート剤に関する。
また、本発明は、樹脂微粒子の平均粒径が、0.5~15μmである、上記マットコート剤に関する。
また、本発明は、樹脂微粒子の屈折率が、1.48以上である、上記マットコート剤に関する。
また、本発明は、基材上に、上記マットコート剤からなるマットコート層を有する積層体に関する。
本発明により、耐摩耗性、各種基材(特に、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、PETフィルム等)との基材密着性に優れ、かつ塗布した場合に十分な艶消し効果の得られるマットコート剤を提供することが出来る。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明のマットコート剤は、バインダー樹脂、マット化剤および有機溶剤を含有する。
本発明のマットコート剤において、バインダー樹脂とマット化剤の質量比率(バインダー樹脂/マット化剤)は、1:1~1:3であることが必要である。より好ましくは、2:3~1:2の範囲である。耐摩耗性、艶消し効果、基材密着性を良化させるためである。
以下、マットコート剤を単に「コート剤」と略記する場合があるが同義である。また、マットコート剤により形成された「マットコート層」のことを「コート層」と略記する場合があるが同義である。
<バインダー樹脂>
本発明で用いられるバインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂を含む。バインダー樹脂とは本発明のマットコート剤における結着樹脂をいう。
(ポリウレタン樹脂)
本発明で用いられるポリウレタン樹脂は、例えば、ポリイソシアネートと、ポリオールおよびヒドロキシ酸を反応させて得られたウレタンプレポリマーに、さらにポリアミン(鎖伸長剤)と必要に応じて反応停止剤を反応させて得られるポリウレタン樹脂が挙げられる。当該ポリウレタン樹脂は、ウレタン結合を有する樹脂であればよく、ウレタン結合のほかにウレア結合などを有していても上記ポリウレタン樹脂の概念に当たる。ポリウレタン樹脂としては、ポリエステル由来の構成単位を有することが好ましい。ポリエステル由来の構成単位を得るためには、例えば、上記ポリオールとしてポリエステルポリオールを使用した場合に達成される。
(ポリイソシアネート)
ポリイソシアネートの形態をしてジイソシアネートを含むことが好ましい。当該ジイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;
シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネートやダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートなどの脂環族ジイソシアネート;
α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4、4’-ジベンジルイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネートおよび2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどが挙げられる。これらの中でも、反応の制御が簡単で、得られるポリウレタン樹脂の性能のバランスが良好である観点から、脂環族または芳香脂肪族ジイソシアネートが好ましく、特に、イソホロンジイソシアネート、α,α,α’,α’-テトラメチルキシリレンジイソシアネートが好ましい。ジイソシアネートは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
(ポリオール)
ポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオールのほか、ポリオレフィンポリオールなども使用可能である。
本発明で用いるポリオールとして数平均分子量は500~10,000であることが好ましい。ここでポリオールに用いる数平均分子量は水酸基価から算出されるものであり、水酸基価は、樹脂中の水酸基をエステル化またはアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JISK0070に従って行った値である。ポリオールの数平均分子量が10,000以下であると、プラスチックフィルムに対する耐ブロッキング性に優れる。また、ポリオールの数平均分子量が500以上であると、ポリウレタン樹脂被膜の柔軟性に優れプラスチックフィルムへの密着性に優れ、良好な皮膜特性を有するマットコート剤が得られる。以上の理由より、より好ましくは数平均分子量が1,000~5,000である。
ポリオールとしてはジオールであることが好ましい。なお、ジオールとは1分子中に水酸基を2個有する化合物をいう。上記ジオールとしては、例えば、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネート、ポリブタジエングリコールなどのポリオールが挙げられる。ジオールは、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールをしては、ポリエステルジオールであることが好ましく、当該ポリエステルジオールとしては、ジオールとジカルボン酸の縮合物であるポリエステルジオールであることが好ましい。
当該ポリエステルジオールとしてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3,3,5-トリメチルペンタンジオール、2、4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,12-オクタデカンジオール、1,2-アルカンジオール、1,3-アルカンジオール、1-モノグリセライド、2-モノグリセライド、1-モノグリセリンエーテル、2-モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が好適に挙げられる。ポリエステルポリオールは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。分岐ジオールを含むジオールとジカルボン酸との縮合物であるポリエステルジオールであることが好ましい。また、環状エステル(ラクトンなど)を開環反応させて得られるポリエステルジオールであってもよい。
当該ジカルボン酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が好適に挙げられ、中でもアジピン酸、コハク酸、セバシン酸などが好ましい。
さらにポリエステルポリオールの原料としてヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
これらの中でも好ましい具体例として、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸その他の二塩基酸と分岐構造を有するジオールからなるポリエステル由来の構造単位を含むものが好ましい。プラスチック基材との密着性やインキ組成物の溶解性を向上させることができるためである。なお、分岐構造を有するジオールとは、アルキレングリコールの少なくとも1の水素がアルキル基で置換された構造を有するジオールであることが好ましく、分岐構造を有するジオールとしては例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルジオール、1,4-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,4-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジオールなどが好適に挙げられる。中でも好ましいのは1,2-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールから選ばれる少なくとも1種であり、1,2-プロパンジオールおよび/または3-メチル-1,5-ペンタンジオールを含むポリエステルポリオールの使用がなお好ましい。
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランなどの重合体または共重合体が好適に挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。より具体的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよびこれらのいずれかからなる共重合体を含むことが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールを含むことがなお好ましい。
また、一実施形態として、ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネート、ポリオールおよびヒドロキシ酸を反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを、さらにポリアミンと反応させて(鎖延長反応)なるポリウレタン樹脂であることも好ましい。この場合ウレタン結合に加え、ウレア結合が生成する。当該ポリイソシアネート、ポリオールは上記と同様の実施形態が好ましい。ヒドロキシ酸としては以下に記載の態様が好ましい。ただしこれらに限定されない。
(ヒドロキシ酸)
ヒドロキシ酸とは、活性水素基である水酸基と酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物をいう。上記ヒドロキシ酸としては特に限定されないが、例えば2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等のジメチロールアルカン酸が好ましい。これらは単独または2種以上を混合して用いることができ、ポリウレタン樹脂の酸価が15~70mgKOH/gとなるように適宜調整して使用すればよい。なお当該酸価とはJISK0070による測定値をいう。
なお一実施形態として、上記の如く、ヒドロキシ酸由来の構成単位を有する場合には水性ポリウレタン樹脂としての形態も好ましい。その場合には、ヒドロキシ酸のカルボキシル基は未反応で残存し、中和されることで水性ポリウレタン樹脂とすることが可能である。当該中和の化合物としては、アンモニア、トリエチルアミンその他の有機塩基化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムその他の無機塩基化合物などが好ましい。
当該水性ポリウレタン樹脂の場合であってはマットコート剤を構成する主媒体(全媒体の50質量%以上)は水であることが好ましい。ただし、印刷適性や印刷効果の面から、有機溶剤は一定量含有する必要があり、当該含有量は全媒体中2~35質量%であることが好ましい。なお、マットコート剤の形態はこれに限定されない。
(ポリアミン)
鎖伸長剤は、ポリアミンであることが好ましい。当該ポリアミンとしては、以下に限定されないが、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等などのジアミンが好適に挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
なお、鎖延長にはアミノ酸も使用することができる。アミノ酸とは、アミノ基と酸性官能基の両方を一分子中に有する化合物をいい、グルタミン、アスパラギン、リジン、ジアミノプロピオン酸、オルニチン、ジアミノ安息香酸、ジアミノベンゼンスルホン酸等が好適に挙げられる。なお、ポリウレタン樹脂の合成過程において当該酸性基はイソシアネート基と未反応である確率が高いためポリウレタン樹脂において当該酸価を保持させることができるものである。
反応停止剤は、ウレタン化工程のみで生成できるポリウレタン樹脂の場合、モノアルコールまたはモノアミンの使用が好ましく、ウレタン化工程に加えてウレア化反応工程を行って生成するポリウレタン樹脂の場合はモノアミンを使用することが好ましい。
当該モノアルコールとしては置換もしくは未置換のアルコールが好ましく、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、1-ブタノール、などが好適に挙げられる。当該モノアミンとしては置換もしくは未置換のモノアミンが好ましく、n-ブチルアミン、n-ジブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどが好適に挙げられる。また、前記反応停止剤としては、前記鎖伸長剤として挙げた化合物も利用でき、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリイソシアネートとポリオールを反応させて得られる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーの製造において、ポリイソシアネートのNCOとポリオールのOHのモル当量比(ポリイソシアネートのNCOのモル当量/ポリオール化合物のOHのモル当量)は、1.3~3で反応させることが好ましく、1.5~2で反応させることがより好ましい。
上記鎖伸長剤は、任意に使用でき、ポリウレタン樹脂の目標のアミン価、水酸基価その他の性質にするため、または、目的の重量平均分子量得るために、使用量が決定される。
反応停止剤は、鎖伸長後のポリウレタン樹脂1モルに対して、2モル程度の比率で反応させることが好ましい。
ポリウレタン樹脂は、水酸基価および/またはアミン価を有することが好ましい。有機溶剤への親和性および樹脂との親和性を生むためである。マットコート剤の耐水性を高める観点から、水酸基価2mgKOH/g以上であることが好ましく、4mgKOH/g以上であることがより好ましく、60mgKOH/g以下であることが好ましく、50mgKOH/g以下であることがより好ましい。アミン価を有する場合は、0.5~15mgKOH/gであることが好ましく、1~10mgKOH/gであることがなお好ましい。
ポリウレタン樹脂の重量平均分子量は、5,000~80,000であることが好ましく、5,000~50,000であることがなお好ましく、10,000~30,000であることが更に好ましい。
なお、本発明の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社製)、カラムとしてPLgel、5μm、MIXED-D(Polymer Laboratories社製)を使用することができる。展開溶媒としてテトラヒドロフラン、1,2,4-トリクロルベンゼン、N,N-ジメチルホルムアミド(0.01N-臭化リチウム添加)などを使用することができ、カラム温度120~160℃、流速0.5~1.5ミリリットル/分であることが好ましい。検出はRI検出器などが使用でき、試料注入濃度は0.5~1.5ミリグラム/ミリリットル、注入量は0.1~1.0マイクロリットル等の条件下で測定可能である。重量平均分子量は、ポリスチレン換算値として求めることができる。
<他のバインダー樹脂>
本発明のポリウレタン樹脂以外に、他のバインダー樹脂を含有する場合も好ましい。良好な耐摩耗性を付与できるためである。他のバインダー樹脂としては、例えば、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂などが好適に挙げられ、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂において、ポリウレタン樹脂と、他のバインダー樹脂を質量比で95:5~50:50で含有することが好ましく、90:10~80:20で含有することがなお好ましい。塗膜の強さや凝集力、耐摩耗性、基材密着性向上のためである。
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂は、塩化ビニル単位および酢酸ビニル単位を有する。更にビニルアルコール単位を有する場合もまた好ましい。塩化ビニル単位と酢酸ビニル単位の質量比(塩化ビニル単位:酢酸ビニル単位)は、マットコート剤の耐熱水性および耐ブロッキング性を向上させ、支持体(基材)フィルムに対する密着性の低下を抑制する観点から、98:2~70:30であることが好ましく、95:5~80:20であることがより好ましい。
塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の水酸基価は、基材に対する密着性を高める観点から、60mgKOH/g以上であることが好ましく、100mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、230mgKOH/g以下であることが好ましく、180mgKOH/g以下であることがより好ましい。前記塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂の重量平均分子量は、5,000~50,000であることが好ましく、10,000~35,000であることがより好ましい。
セルロース系樹脂は、例えば、ニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのアシル基置換セルロース、メチルセルロース、エチルセルロースなどのアルキル基置換セルロース、ベンジルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロースなどの水酸基を有するセルロースなどが挙げられる。セルロース系樹脂は、マットコート剤の耐熱水性を高める観点から、ニトロセルロースが好ましく、マットコート剤の基材に対する密着性を高める観点から、アシル基置換セルロースおよび/またはアルキル基置換セルロースが好ましい。また、セルロース系樹脂の水酸基の置換度は30~85%程度が好ましい。セルロース系樹脂は、少なくとも1種を用いればよく、2種以上を組み合わせて用いることができる。
セルロース系樹脂の重量平均分子量は、10,000~500,000であることが好ましく、分子量が高くなるにつれて有機溶剤に溶解させることが困難となり、また、マットコート剤が高粘度になりやすく含有量が制約されるため、重量平均分子量は10,000~300,000であることがより好ましく、10,000~100,000であることが更に好ましい。
<マット化剤>
マット化剤は、艶消し効果を付与するために添加される成分である。マット化剤は、マットコート層の表面に微細な凹凸を形成して、光を乱反射させることにより、艶消し効果が発現すると推察される。本発明において、マット化剤は、硫酸バリウムおよび樹脂微粒子を含むものである。上記バインダー樹脂とマット化剤の質量比率は、1:1~1:3であることが好ましく、2:3~1:2であることがより好ましい。マットコート剤の耐摩耗性や基材密着性、艶消し効果の向上のためである。
(硫酸バリウム)
本発明に使用できる硫酸バリウムの好ましい態様としては、艶消し効果、耐摩耗性の観点から、平均粒径は、0.1~3μmであるものが好ましく、0.1~1μmであるものがなお好ましく、0.1~0.6μmであることが更に好ましい。また、吸油量としては1~40mL/100gであることが好ましく、5~25mL/100gであることがなお好ましい。また、かさ密度としては、50~600mL/100gであることが好ましく、100~500mL/100gであることがなお好ましく、200~400mL/100gであることが更に好ましい。かさ密度は、JISK5115-1965などで測定できる。更に硫酸バリウムのpHとしては、pH5~9であるものが好適に使用される。分散性を良好とするためである。
また、マットコート剤の不揮発成分総質量中における硫酸バリウムの含有率は、30~65質量%であることが好ましく、35~60質量%であることがなお好ましく、35~55質量%であることが更に好ましい。滑り性(耐摩耗性)や艶消し効果の程度に効果があり、添加する硫酸バリウムの粒径、種類等に応じて、で適宜に決定される。
(他の無機粒子)
なお、マットコート剤は、補助的に硫酸バリウム以外に他の無機粒子を含んでよく、例えば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、シリカ、硫酸バリウム、酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、アルミナの固体粒子などが挙げられる。硫酸バリウムと併用する場合、特に限定はないが、硫酸バリウム:他の無機粒子の質量比が、99:1~80:20であることが好ましく、99:1~90:10であることがなお好ましく、99:1~94:6でああることが更に好ましい。
(樹脂微粒子)
本発明のマットコート剤において樹脂微粒子は固有の屈折率によって光拡散性の制御が可能であり、光沢、艶消し、透明性等によって求める意匠性を付与する事ができる。使用する樹脂微粒子の屈折率は1.48以上であることが好ましく、1.50以上であることがなお好ましい。1.51より大きいことが更に好ましい。また、1.75以下であることが好ましく、1.70以下であることがなお好ましく、1.64以下であることが更に好ましい。当該樹脂微粒子としては、ポリアクリル微粒子、ポリアミノ微粒子、ポリオレフィン微粒子、ポリスチレン微粒子などが挙げられ、上記微粒子から選ばれる少なくとも一種を含有することが好ましく。中でもポリスチレン粒子であることが好ましい。樹脂微粒子の平均粒径は、0.5~15μmであることが好ましく、1~10μmであることがなお好ましく、3~8μmであることが更に好ましい。耐摩耗性と艶消し効果向上のためである。
平均粒径、は電子顕微鏡(SEM等)による測定値をいう。例えば、粒子が球状の場合はその直径を、粒子が非球状の場合は最長径(観察視野またはその写真上で、個々の粒子を平行な2本の線分で挟み込んだときの最長距離)および最短径(観察視野またはその写真上で、個々の粒子を平行な2本の線分で挟み込んだときの最短距離)を求め、その算術平均値をその粒子の平均直径とする。さらに粒子20個程度の直径または平均直径を算術平均し、その値を平均粒径とすればよい。
マットコート剤の不揮発成分総質量中における樹脂微粒子の含有率は、求める滑り性(耐摩耗性)や艶消し効果の程度、添加する樹脂微粒子の粒径、種類等に応じて、5~20質量%の範囲で好適である。7~18質量%であることがなお好ましい。マット化剤中の上記硫酸バリウムと樹脂微粒子は、質量比において、98:2~55:45であることが好ましく、なお好ましくは95:5~60:40であり、更に好ましくは85:15~65:35である。
当該樹脂微粒子としては、ポリアクリル微粒子は、根上工業社製アートパールGSシリーズ、ポリアミノ微粒子は、日産化学社製オプトビーズシリーズ、ポリオレフィン微粒子は、住友精化社製フロービーズLEシリーズ、ポリスチレン樹脂微粒子は、綜研化学社製ファインパウダーMPシリーズ、積水化成社製テクポリマーSBXシリーズ、テクポリマーSSXシリーズなどが挙げられる。
<有機溶剤>
マットコート剤は液状媒体の主成分(全媒体中50質量%以上)として有機溶剤を含むことが好ましい。印刷性能を向上させるためである。使用される有機溶剤としては、二種以上の有機溶剤からなる混合溶剤としての使用が好ましく、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、などのアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤など公知の有機溶剤を使用できる。中でも、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)がより好ましい。更に好ましくは芳香族系有機溶剤および/またはメチルエチルケトン(以下「MEK」と表記する)などのケトン系有機溶剤を含まない有機溶剤が更に好ましい。また、印刷適性が向上するため、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤の混合溶剤であることが好ましい。エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤の好ましい質量比率(エステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤)は40/60~90/10である。
<その他添加剤>
本発明のマットコート剤には、他に任意の成分として、スルホンアミド、ポリエステル、リン酸エステル、クエン酸エステル、エポキシ化植物油等の可塑剤、アクリル樹脂、変性シリコン等のレベリング剤、更には、界面活性剤、シランカップリング剤、硬化剤、分散剤、泡消剤等の添加剤を含有させることができる。
<マットコート剤の製造>
本発明のマットコート剤を製造する方法は、単に混合するだけでは沈降しやすくなるので、一般に使用される分散機、例えばサンドミル、アトライター、ペブルミル、ボールミル、ローラーミル等を用い混練して製造する。
より具体的には、硫酸バリウムおよびポリウレタン樹脂を加えて10~30分間撹拌機で撹拌したのち、サンドミルで10~30分間分散処理する。その後、当該分散液に樹脂微粒子、ポリウレタン樹脂および塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂を配合して再度よく撹拌すれば、本発明のマットコート剤を製造できる。
<マットコート層の形成>
本発明マットコート剤を基材に印刷あるいは塗工し、熱風により有機溶剤を蒸発させて乾燥した後加温下で保存することによってマットコート層が形成される。印刷あるいは塗工の方法は、グラビア印刷、フレキソ印刷及びスクリーン印刷等の印刷方式が好適に挙げられる。そのほか、ロールコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、マイクログラビアコート、カーテンコート、スプレーコート、ダイコート等の塗装方式にも適用できる。
乾燥温度は、通常、40℃以上100℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がさらに好ましいが、処理温度および処理時間は、使用する基材の耐熱性や熱変形性などに応じて適宜調整すればよい。
マットコート層の厚さは、通常、1~10μmであることが好ましく、1~5μmであることがより好ましい。乾燥状態の塗布量は、1~5g/m程度が好ましい。
(基材)
基材は、プラスチックフィルムであれば、制限なく使用できるが、例えば、ナイロン(Ny)であるナイロン6、ナイロン66、ナイロン46等のポリアミド樹脂、ポリエチレンフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリ乳酸等のポリヒドロキシカルボン酸、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル系樹脂に代表される生分解性樹脂、ジアセチルセルロースやトリアセチルセルロースなどのセルロース樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアリレート樹脂またはそれらの混合物等の熱可塑性樹脂よりなるフィルムやこれらの積層体が挙げられるが、中でも、ポリエステル、ポリアミド、ポリプロピレンからなるフィルムが好適に使用できる。これらのフィルムは、未延伸フィルムでも延伸フィルムでも良く、その製法も限定されるものではない。また、基材フィルムの厚さも特に限定されるものではないが、通常は1~500μmの範囲であればよい。
基材は、マットコート剤の印刷適性(濡れ性や密着性)を良好にする観点から、表面がコロナ処理やプラズマ処理等により表面処理されていてもよく、また、ガスバリア性を向上させる観点から、透明な無機酸化物の蒸着層などが積層されていてもよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(各種測定パラメータの測定方法)
(水酸基価)
JIS K0070に従って求めた。
(酸価)
JIS K0070に従って求めた。
(アミン価)
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数でJISK0070に準じて以下の方法に従って求めた。試料を0.5~2g精秤した(試料固形分:Sg)。精秤した試料にメタノール/メチルエチルケトン=60/40(質量比)の混合溶液50mLを加え溶解させた。得られた溶液に指示薬としてブロモフェノールブルーを加え、得られた溶液を0.2mol/Lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で滴定を行なった。溶液の色が緑から黄に変化した点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い、下記(式1)によりアミン価を求めた。
(式1)アミン価=(A×f×0.2×56.108)/S [mgKOH/g]
(合成例1)(ポリウレタン樹脂の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに数平均分子量2000の3-メチル-1,5-ペンタンジオールとアジピン酸の縮合物であるポリエステルポリオール(「PMPA」と略記する)130質量部、ネオペンチルグリコール18.2質量部、イソホロンジイソシアネート101.4質量部、2-エチルヘキシル酸第一錫0.03質量部及び酢酸エチル62.6質量部を仕込み、窒素気流下に90℃で3時間反応させ、酢酸エチル125.7質量部を加え冷却し、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液438.0質量部を得た。
次いでイソホロンジアミン43.8質量部、ジ-n-ブチルアミン1.24質量部、酢酸エチル301.7質量部、イソプロピルアルコール210質量部の混合物に、得られた末端イソシアネートプレポリマー438.0質量部を室温で徐々に添加、次に50℃で1時間反応させた。その後、イソホロンジイソシアネート5.3質量部を加えて粘度調整した後、酢酸エチル/イソプロピルアルコールを質量比で7/3の割合で混合した溶剤で固形分を30質量%に調整し、質量平均分子量35,000のポリウレタン樹脂を得た。
[実施例1]<マットコート剤S1の製造>
上記ポリウレタン樹脂溶液18.5質量、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液(日信化学社製、製品名ソルバインTA5R 固形分24質量%)を8.4質量部、硫酸バリウムA(堺化学工業(株)社製、製品名:バリエースB-31 平均粒径0.3μm、吸油量18mL/100g、かさ密度330mL/100g、pH6)を17質量部、ポリスチレン樹脂微粒子A(住友化学社製、製品名ファインパールPB-3006E 平均粒径6.0μm 屈折率1.59)を5質量部、有機溶剤として酢酸n-プロピルを8部添加し、バッチ式ビーズミルにて10分間分散し、上記ポリウレタン樹脂溶液18.5質量、混合有機溶剤(酢酸n-プロピルを7部、酢酸エチルを10.3部、n-プロパノールを5部、イソプロピルアルコールを2.3部)24.6質量部を加え、実施例1のマットコート剤S1を製造した。なお、表1においては、ポリウレタン樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂およびセルロース樹脂並びにマット化剤固形分質量で示した。一方、マットコート剤S1に含まれる有機溶剤は、樹脂溶液に含まれていたか分散時に添加した有機溶剤であり、酢酸n-プロピル、酢酸エチル、n-プロパノールおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤である。
[実施例2~22、比較例1~7]<マットコート剤S2~S20、T1~T7の製造>
実施例1において、マットコート剤の製造に用いたバインダー樹脂の種類と、各成分の組成比、マット化剤の粒径、屈折率を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様の操作を行い、マットコート剤S2~S20、T1~T7を製造した。
なお、ポリウレタン樹脂は、仕込み予定全量のうち半分をポリウレタン樹脂以外のバインダー樹脂やマット化剤と一緒に分散し、その後、残る半分を加えた。また、ビーズミル分散時の固形分が実施例1と同様52質量%となるよう酢酸n-プロピルで調整し、分散後に添加する混合有機溶剤の量は、マットコート剤の含む有機溶剤が表に示した有機溶剤の値となるように調整した。なお表中の略称は以下を表す。
・セルロース樹脂:ICI Novel enterprises社製 ニトロセルロース 製品名DLX5-8
・硫酸バリウムB:堺化学工業(株)社製 製品名バリエースB-30、平均粒径0.3μm、吸油量18mL/100g、かさ密度330mL/100g、pH8
・ポリアクリル微粒子:根上工業社製 製品名アートパールGS-850TC 平均粒径6.0μm、屈折率1.55
・ポリアミノ微粒子:日産化学社製 製品名オプトビーズ6500M 平均粒径6.5μm、屈折率1.65
・ポリオレフィン微粒子:住友精化社製 製品名フロービーズLE-1080 平均粒径6.0μm、屈折率1.51
・ポリスチレン樹脂微粒子B:綜研化学社製 製品名ファインパウダーMP-5500 平均粒径0.4μm 屈折率1.58
・ポリスチレン樹脂微粒子C:積水化成社製 製品名テクポリマーSBX-17 平均粒径17μm 屈折率1.59
・ポリスチレン樹脂微粒子D:積水化成社製 製品名テクポリマーSSX-106EXE 平均粒径6.0μm 屈折率1.51
・有機溶剤:酢酸n-プロピル、酢酸エチル、n-プロパノール、およびイソプロピルアルコールからなる混合溶剤
<マットコート剤S1の印刷>
ヘリオ175線のグラビア印刷用ベタ版を備えたグラビア校正機を用いて、上記で得られた実施例1のマットコート剤S1を、40m/minの塗工速度で10秒間、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム(東洋紡社製、商品名:E-5102、膜厚:12μm)に、乾燥膜厚が約2μmになるように塗工して、60℃(風量80%)の熱風で乾燥し、印刷物を得た。
<マットコート剤S2~S20、T1~T7の印刷>
マットコート剤S1をマットコート剤S2~S20またはT1~T7に変更した以外は上記マットコート剤S1の印刷と同様の方法でそれぞれの印刷物を得た。
上記の実施例および比較例で得られた、マットコート剤および印刷物について以下の評価を行った。評価結果を表1および表2に示す。
<耐摩耗性の評価>
学振型耐摩擦試験器(大栄科学社製)を用い、乾綿布を用い、荷重500g、30回の条件で上記印刷物のマットコート層をKライナー紙で摩耗試験し、擦られた部分の塗膜の状態を以下の基準で目視評価した。以下の説明において「逆艶」とはコート層の擦られた部分に艶が発生することを表す。
5:塗膜の傷やKライナー紙への転移や逆艶は全く認められなかった。
4:Kライナー紙への転移はなかったが、逆艶が認められた。
3:コート層の10%未満がKライナー紙に転移した。
2:コート層の10%以上30%未満がKライナー紙に転移した。
1:コート層の30%以上がKライナー紙に転移した。
実用可能なレベルは5、4、3である。
<基材密着性の評価>
マットコート剤S1~S20、T1~T7の印刷物を、それぞれ、JIS K-5600に準じて基材密着性を評価した。
5:いずれの碁盤目にも剥がれがない。
4:カットの交点におけるコート層の小さな剥がれがある。
3:コート層がカットの線に沿って部分的に剥がれている。
2:コート層全体の50%未満の剥がれがある。
1:コート層全体の50%以上の剥がれがある。
の目視5段階評価とする。
実用可能なレベルは5、4、3である。
<艶消し効果の評価>
光沢;BYK CHEMIE社製マイクロトリグロス光沢計にて、入射角60°-反射角60°における印刷物の光沢を測定した。以下の基準で評価した。
5:コート層表面の光沢値が5未満
4:コート層表面の光沢値が5以上10未満
3:コート層表面の光沢値が10以上25未満
2:コート層表面の光沢値が25以上40未満
1:コート層表面の光沢値が40以上
実用可能なレベルは5、4、3である。
Figure 0006994615000001
Figure 0006994615000002

Claims (8)

  1. バインダー樹脂、マット化剤および有機溶剤を含有するマットコート剤であって、
    前記バインダー樹脂が、ポリウレタン樹脂を含み、前記マット化剤が、硫酸バリウムおよび樹脂微粒子を含み、
    前記硫酸バリウムと前記樹脂微粒子との質量比が、98:2~55:45であり、
    バインダー樹脂とマット化剤との質量比率(バインダー樹脂:マット化剤)が、1:1~1:3であるマットコート剤。
  2. バインダー樹脂が、更に、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂および/またはセルロース系樹脂を含む、請求項1記載のマットコート剤。
  3. 硫酸バリウムの含有量が、マットコート剤の不揮発成分総質量中に30~65質量%である、請求項1または2に記載のマットコート剤。
  4. 樹脂微粒子の含有量が、マットコート剤の不揮発成分総質量中に5~20質量%である、請求項1~3のいずれかに記載のマットコート剤。
  5. 樹脂微粒子が、ポリアクリル微粒子、ポリアミノ微粒子、ポリオレフィン微粒子、およびポリスチレン微粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1~4のいずれかに記載のマットコート剤。
  6. 樹脂微粒子の平均粒径が、0.5~15μmである、請求項1~5のいずれかに記載のマットコート剤。
  7. 樹脂微粒子の屈折率が、1.48以上である、請求項1~6のいずれかに記載のマットコート剤。
  8. 基材上に、請求項1~7いずれかに記載のマットコート剤からなるマットコート層を有する積層体。
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