JP7001859B1 - インキ組成物、及びシート体 - Google Patents

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Abstract

【課題】基材シートに設けることにより、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制されたシート体を製造しやすいインキ組成物を提供する。【解決手段】インキ組成物であって、バインダー樹脂;酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子;並びに滑剤を含有し、前記無機粒子の含有量は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%であるインキ組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、インキ組成物、及びシート体に関する。
種々の産業分野において、基材への印字、情報付与、装飾、及び表面保護等のために、インキが広く使用されている。例えば包装材のように、インキが設けられる対象となる基材には、紙やプラスチックフィルム等のフィルム状又はシート状の形態の基材(基材シート)が用いられることも多い。
基材シートにインキを塗布又は印刷等してインキ層が設けられたシート体を、工業的に大量生産する場合、そのシート体は複数枚が積み重ねられることが多く、その状態でしばらく置かれることも多い。そうすると、シート体におけるインキ層同士、又はインキ層と基材シートの表面とが密着して簡単に剥離できなくなる現象(ブロッキング)が生じることがある。このように、インキ層同士、又はインキ層と基材シートの表面が密着したときに互いに接着しない又は接着し難いような性能(耐ブロッキング性)が、基材シートに設けられるインキに要求される。
インキの耐ブロッキング性を向上させるための一つの手段として、インキにシリカを含有させることが行われている。例えば、特許文献1には、所定の積層体の印刷層を形成するためのラミネート用グラビアインキであって、有機顔料、所定のバインダー樹脂、有機溶剤、並びに所定量のシリカ粒子及び脂肪酸アミドを含有するものが開示されている。
特開2018-135411号公報
本発明者らは、基材シートにインキ組成物を塗布又は印刷することで、インキ組成物の乾燥皮膜層(インキ層)が設けられたシート体を製造するにあたり、シート体の耐ブロッキング性を向上させるために、シリカを配合したインキ組成物を用いて検討を行った。その結果、耐ブロッキング性を向上させるために、インキ組成物にシリカを含有させると、インキ組成物に含有させるバインダー樹脂の種類や、インキ組成物を設ける対象となる基材シートの種類にも影響するが、インキ層を設けた基材シートの端に反り(以下、「カール」と記載することがある。)が生じる場合があることがわかった。
そこで本発明は、基材シートに設けることにより、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制されたシート体を製造しやすいインキ組成物を提供しようとするものである。
本発明は、インキ組成物であって、バインダー樹脂;酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子;並びに滑剤を含有し、前記無機粒子の含有量は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%であるインキ組成物を提供する。
本発明によれば、基材シートに設けることにより、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制されたシート体を製造しやすいインキ組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
前述の通り、本発明者らは、基材シートにインキ組成物を塗布又は印刷して乾燥皮膜層が設けられたシート体を製造するにあたり、シート体の耐ブロッキング性を向上させるために、シリカを配合したインキ組成物を用いて検討を行った。その結果、シリカの配合により、シート体の耐ブロッキング性は良好であったが、インキ組成物に含有させるバインダー樹脂の種類や、基材シートの種類にも影響するが、シリカを配合しない場合に比べるとシート体にカールが生じやすいことが判明した。
シート体にカールが存在する場合、その外観を損なうばかりでなく、シート体の用途によっては、製品の性能不良や作業性の低下等の原因ともなりかねない。カールの現象は、基材シート(例えば紙)へのインキの吸収、基材シート(例えばプラスチックフィルム)とインキ層との性質(例えば膨張係数等)の違い、残留しうる揮発成分の影響によるインキ層の収縮、温度及び湿度等の環境変化等が原因と考えられる。しかし、これらの原因は、例えば、製品の種類や生産状況等によっても変わりうるものと考えられ、また、複数の原因でカールが生じる場合もありうる。さらに、カールの現象は、基材シートの厚さが薄いほど生じやすいと考えられるところ、電気・電子部品に代表される製品の薄型化は、様々な分野の製品にも要求されうる。以上から、耐ブロッキング性の向上のみならず、カールを抑制しうるインキ組成物は、産業上有用と考えられる。
そこで本発明者らは、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制されたシート体を製造しやすいインキ組成物の提供を目的として、シリカの代わりに、種々の無機粒子を用いて鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者らは、インキ組成物に、バインダー樹脂及び滑剤とともに、特定の無機粒子を特定量含有させることによって、耐ブロッキング性及びカール抑制を両立できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の一実施形態のインキ組成物は、バインダー樹脂と、酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子と、滑剤とを含有する。このインキ組成物中の上記無機粒子の含有量は、インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%である。なお、本明細書において、酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子をまとめて単に「無機粒子」と記載することがある。
インキ組成物を塗布又は印刷等の手法によって、後述する基材シートに設けることで、基材シートにインキ組成物の乾燥皮膜層が設けられたシート体(塗布物又は印刷物)を得ることができる。インキ組成物は、バインダー樹脂及び滑剤とともに、酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子をインキ組成物の固形分中に1~15質量%含有する。そのため、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制されたシート体を得ることができる。以下、この効果を奏しやすい観点から、インキ組成物の好ましい構成等を説明する。
インキ組成物は、酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子を含有する。この特定の無機粒子を含有するインキ組成物によって、耐ブロッキング性が良好でカールが抑制されたシート体を製造しやすいことに加えて、抗菌性を発現しうる乾燥皮膜層を形成しうることが期待できる。銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子は、無機イオン交換体である六方晶リン酸ジルコニウムに、イオン交換で銀イオンを担持させた粒子である。本明細書において、「銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子」を、「銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子」と記載することがある。また、本明細書において、「酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子」を、「酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子」、又は単に「リン酸塩ガラス粒子」と記載することがある。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子の各平均粒子径は、0.1~20μmであることが好ましい。インキ組成物への混合分散のしやすさや取り扱いやすさの観点から、上記の平均粒子径は、0.1μm以上であることが好ましく、0.2μm以上であることがより好ましく、0.3μm以上であることがさらに好ましい。一方、カールをより抑制しやすい観点、及び乾燥皮膜層の耐摩擦性を高める観点から、上記の平均粒子径は、15μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがより好ましく、5μm以下であることがさらに好ましく、2μm以下であることがよりさらに好ましい。本明細書において、平均粒子径は、レーザー回折・散乱法により測定される体積基準の粒度分布における累積50%となる粒子径(メディアン径;D50)を意味する。
インキ組成物は、上記無機粒子として、少なくとも上記のリン酸塩ガラス粒子(酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子)を含有することがさらに好ましい。酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の形状としては、球状、及び多面体等を挙げることができ、複数の角や面から構成された多面体(例えば6~20面体)であることが好ましい。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の形状が多面体である場合、インキ組成物中に酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を混合分散しやすくなる。また、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の形状が多面体である場合、インキ組成物の乾燥皮膜層(インキ層)において、バインダー樹脂中に酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を均一に分散しやすくなる。さらに、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の形状が多面体である場合、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の製造時や、インキ組成物の成分としての使用時等に再凝集しにくいため、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の平均粒子径を制御しやすくなる。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、酸化銀(AgO)を構成成分として含有する。インキ組成物及び/又はその乾燥皮膜層において、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、ガラス成分が溶解して、Agイオンを溶出しうる。そのAgイオンの存在によって、抗菌性を長時間発現しうる乾燥皮膜層を形成することも可能である。インキ組成物中では、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、上述のAgイオンの溶出により、ガラス成分と、酸化銀とが解離した状態で存在しうるが、その場合であっても本開示では、インキ組成物は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を含有するものとする。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子中のAgOの含有量は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の質量を基準として、0.2~5質量%であることが好ましく、1~4質量%であることがより好ましく、1.5~3質量%であることがさらに好ましい。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、ガラス形成成分であるP(五酸化二リン)を含むリン酸塩ガラス粒子である。この酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、酸化物ガラスの一種である。一般的に、酸化物ガラスは、ガラス化に必要な主成分であるガラス形成成分(網目構造を形成する酸化物)と、修飾成分(網目構造を修飾する酸化物)とからできている。ガラス形成成分が二酸化ケイ素(SiO)の場合はケイ酸塩ガラス、ガラス形成成分が酸化ホウ素(B)+SiOの場合はホウケイ酸塩ガラス、ガラス形成成分がBだけであればホウ酸塩ガラス、ガラス形成成分がPの場合はリン酸塩ガラスと称される。修飾成分には、例えば、ZnO、CaO、MgO、V、及びCeO等がある。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子中のPの含有量は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の質量を基準として、30~80質量%であることが好ましい。酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の透明性が高まること、Agイオンが溶出しやすいこと、及び機械的強度が高まることから、Pの上記含有量は、30質量%以上であることが好ましい。一方、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の黄変を抑制しやすいこと、及び機械的強度が高まることから、Pの上記含有量は、80質量%以下であることが好ましく、75質量%以下であることがより好ましく、70質量%以下であることがさらに好ましい。
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、酸化銀(AgO)及びPに加えて、ZnO、CaO、及びBを含有することが好ましい。ZnO(酸化亜鉛)は、リン酸塩ガラス粒子における修飾成分としての機能を果たす。酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子が、修飾成分として、ZnOを含有することにより、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の黄変を抑制する機能を有しやすく、また、抗菌性を高めうる機能を有しやすい。ZnOによる上記機能を有しやすい観点から、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子中のZnOの含有量は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の質量を基準として、2~60質量%であることが好ましく、5~50質量%であることがより好ましく、10~40質量%であることがさらに好ましい。
CaO(酸化カルシウム)は、リン酸塩ガラス粒子における修飾成分としての機能を果たす。酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子が、修飾成分として、CaOを含有することにより、当該酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を製造する際の加熱温度を低下させることができ、また、ZnOとともに黄変を抑制する機能を有しやすい。これらの観点から、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子中のCaOの含有量は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の質量を基準として、0.1~15質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましく、2~7質量%であることがさらに好ましい。
(酸化ホウ素)は、酸化物ガラスにおいて基本的にガラス形成成分としての機能を果たすが、その他に、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子において、その透明性を高める機能やAgイオンの溶出性を高める機能を有しうる。これらの観点から、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子中のBの含有量は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の質量を基準として、0.1~15質量%であることが好ましく、1~12質量%であることがより好ましく、5~10質量%であることがさらに好ましい。
上述の通り、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子が、AgO、P、ZnO、CaO、及びBを含有する場合、CaOに対するZnOの質量比率(ZnO/CaO)は、1.1~15であることが好ましく、1.2~10であることがより好ましく、1.5~8であることがさらに好ましい。さらには、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、AgO、P、ZnO、CaO、及びBを含有する場合、ガラス組成が下記組成式(1)で表されるものであることが特に好ましい。
1/3AgO・(P・ZnO)10・(2CaO・B (1)
(組成式(1)中のnは、1.1~1.4の数を表す。)
酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、上述した構成成分以外に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、CeO、MgO、NaO、Al、KO、SiO、及びBaO等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上が酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子に含有されていてもよい。
また、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を本体粒子とし、その本体粒子と、その本体粒子を被覆するように本体粒子の周囲に設けられた外添粒子とを含むことが好ましい。酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子中の外添粒子の含有割合は、本体粒子100質量部に対して、0.1~30質量部であることが好ましく、0.5~20質量部であることがより好ましく、1~10質量部であることがさらに好ましい。
外添粒子の素材としては、例えば、沈降シリカ、シリカゲル、及びコロイダルシリカ等の非晶質シリカ;アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、及びポリカーボネート系樹脂等の樹脂ビーズ;並びに酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸化鉛、酸化錫、及びホワイトカーボン等を挙げることができる。これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子は、外添粒子として、非晶質シリカを含有することが好ましい。
上述した酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の製造方法は特に制限されないが、例えば、以下に述べるように、工程A及び工程Bを含む製造方法によって、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を製造することが可能である。
工程Aは、AgO及びP(好ましくはさらにZnO、CaO、及びB)を含むガラス原材料を、所望のガラス組成のリン酸塩ガラス粒子が得られる配合率にて混合して原材料混合物を得た後、原材料混合物を溶融させてガラス融液を得る工程である。ガラス原材料を混合する際には、万能撹拌機(プラネタリーミキサ)、アルミナ磁器擂潰機、ボールミル、又はプロペラミキサ等の混合機械(ミキサ)を使用することが好ましい。ガラス融液を得る際には、例えばガラス溶融炉を用いて原材料混合物を溶融させることができ、その際の溶融温度は600~1500℃、溶融時間は0.1~24時間とすることが好ましい。
工程Bは、工程Aで得られたガラス融液を粉砕する工程である。工程Bでは、以下に述べるような粗粉砕工程、中粉砕工程、及び微粉砕工程を行うことが好ましい。粗粉砕工程は、平均粒子径が10mm程度になるように、リン酸塩ガラスを粉砕する工程である。粗粉砕として、通常、ガラス融液を、静水に注入することにより、所定の平均粒子径とする水砕を行うことが好ましい。中粉砕工程は、平均粒子径が100μm程度になるように、粗粉砕後のリン酸塩ガラスを粉砕する工程である。中粉砕として、平均粒子径10mm程度のリン酸塩ガラスを平均粒子径が1mm程度のリン酸塩ガラスとする一次中粉砕粉と、平均粒子径が1mm程度のリン酸塩ガラスを平均粒子径が100μm程度のリン酸塩ガラスとする二次中粉砕とを行うことが好ましい。一次中粉砕粉には、例えば、回転ロール等を用いることができる。二次中粉砕には、例えば、回転うす等を用いることができる。微粉砕工程は、平均粒子径が0.1~50μmになるように、中粉砕後のリン酸塩ガラスを粉砕する工程である。微粉砕工程では、例えば、回転うす、回転ロール、振動ミル、ボールミル、サンドミル、又はジェットミル等を用いることができる。上記の中粉砕工程、及び微粉砕工程を経ることにより、多面体のリン酸塩ガラス粒子を得ることが可能である。
なお、上述した本体粒子と外添粒子とを含む酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を得る際には、上記の工程A及び工程Bの少なくともいずれかに外添粒子を添加することが好ましく、上記の微粉砕工程において、外添粒子を添加することがさらに好ましい。これにより微粉砕時にリン酸塩ガラス粒子の再凝集を抑えやすくなる。
インキ組成物中の無機粒子の含有量は、インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%である。インキ組成物中の無機粒子の含有量は、インキ組成物中の酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子の総含有量を意味する。例えばインキ組成物が、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子のうち、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子のみを含有する場合には、インキ組成物中の無機粒子の含有量は、インキ組成物中の酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子の合計含有量を意味する。また、インキ組成物が、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子のうち、銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子のみを含有する場合には、インキ組成物中の無機粒子の含有量は、インキ組成物中の銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子の合計含有量を意味する。インキ組成物が、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子の両方を含有する場合には、インキ組成物中の無機粒子の含有量は、インキ組成物中の酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子の合計含有量を意味する。
インキ組成物中の無機粒子の上記含有量は、耐ブロッキング性をより高めやすいことから、1.5質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。一方、カールをより抑制しやすいことから、当該無機粒子の上記含有量は、14質量%以下であることが好ましく、12質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
また、インキ組成物中の無機粒子の含有量は、バインダー樹脂100質量部に対して、2~20質量部であることが好ましい。耐ブロッキング性をより高めやすいことから、当該無機粒子の上記含有量は、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。一方、カールをより抑制しやすいことから、当該無機粒子の上記含有量は、15質量部以下であることがより好ましく、13質量部以下であることがさらに好ましい。
インキ組成物中の無機粒子の含有量(質量%)は、インキ組成物中の滑剤の含有量(質量%)に対して、0.3~5倍であることが好ましく、0.5~4.5倍であることがより好ましく、0.7~4.5倍であることがさらに好ましい。
インキ組成物は、上述の酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子、及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子とともに、バインダー樹脂を含有する。インキ組成物がバインダー樹脂を含有することにより、インキ組成物による乾燥皮膜層を設ける対象物に対して、インキ組成物に含有される無機粒子等の成分を定着させることができる。
バインダー樹脂には、従来からインキの分野で用いられているバインダー樹脂をいずれも用いることが可能である。バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10,000~150,000であることが好ましく、20,000~70,000であることがより好ましい。バインダー樹脂の数平均分子量(Mn)は、7,000~100,000であることが好ましく、15,000~50,000であることがより好ましい。本明細書において、バインダー樹脂のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求められる標準ポリスチレン換算の値をとる。
バインダー樹脂の樹脂種としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、エチレン-酢酸ビニル系共重合樹脂、エポキシ樹脂、及びセルロース系樹脂等を挙げることができる。インキ組成物が適用される用途に応じて、適当なバインダー樹脂を用いることができる。また、バインダー樹脂の1種又は2種以上を用いることができる。
アクリル系樹脂には、例えば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体;複数種の(メタ)アクリル酸エステルの共重合体;(メタ)アクリル酸エステル、及び(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能な他の重合性単量体との共重合体;ウレタン変性アクリル系樹脂;並びにシリコーン変性アクリル系樹脂等が含まれる。本明細書において、「(メタ)アクリル」の文言には、「アクリル」及び「メタクリル」の両方の文言が含まれる。
ポリウレタン系樹脂には、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、及びポリヒドロキシウレタン樹脂等が含まれる。ポリエステル系樹脂には、例えば、ジカルボン酸等の多価カルボン酸とジオール等のポリオールとの重縮合反応により得られるポリエステル樹脂や、ロジンエステル等のロジンエステル系樹脂等が含まれる。ポリオレフィン系樹脂には、例えば、ポリエチレン樹脂、及びポリプロピレン樹脂、並びに塩素化ポリオレフィン樹脂等のハロゲン化ポリオレフィン樹脂等が含まれる。塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂には、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合樹脂、及び塩化ビニル-酢酸ビニル-(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル共重合樹脂等が含まれる。セルロース系樹脂には、例えば、セルロース樹脂;並びにニトロセルロース樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂、メチルセルロース樹脂、及びヒドロキシプロピルセルロース樹脂等のセルロース誘導体等が含まれる。
インキ組成物において、バインダー樹脂は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。なかでも、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、セルロース系樹脂、ロジンエステル系樹脂、及び塩素化ポリオレフィン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
上記のなかでも、バインダー樹脂は、アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせ;ポリアミド樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせ;並びにポリウレタン系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂の組み合わせ;のいずれかの組み合わせを含むことがより好ましい。ここでいう「組み合わせ」とは、当該組み合わせに係る樹脂を併用することを意味する。また、バインダー樹脂は、上記組み合わせを含む場合でも、その組み合わせに係る樹脂以外の樹脂を含んでいてもよい。アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせを含むバインダー樹脂を含有するインキ組成物は、例えば、飲料包装材(ラベル等)用としてより好適に用いうる。また、ポリアミド樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせを含むバインダー樹脂を含有するインキ組成物は、例えば、食品包装材用としてより好適に用いうる。さらに、ポリウレタン系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂の組み合わせを含むバインダー樹脂を含有するインキ組成物は、例えば、食品包装材用や電気・電子部品用として、より好適に用いうる。
上記の組み合わせのなかでも、上記無機粒子として好適な酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子を特定量含有することによる効果が有意に発現しやすいことから、バインダー樹脂は、ポリアミド樹脂及びセルロース系樹脂を含むことがさらに好ましい。
インキ組成物に用いる際のバインダー樹脂の形態は、特に制限されず、例えば粉体等の固体状でもよいが、インキ組成物を調製しやすいことから、エマルジョン及びディスパージョン等の分散液状、並びに溶液状、及び液状ポリマー等の液体状が好ましい。
インキ組成物中のバインダー樹脂の含有量は、インキ組成物の固形分の質量を基準として、50~98質量%であることが好ましく、60~95質量%であることがより好ましく、65~90質量%であることがさらに好ましい。このバインダー樹脂の含有量は、樹脂分としての含有量を意味する。例えば、上記の分散液状又は溶液状等のバインダー樹脂が用いられる場合には、その樹脂分である不揮発分(固形分)の、インキ組成物の固形分中の含有量を意味する。
インキ組成物は、滑剤を含有する。滑剤には、従来からインキの分野で用いられている滑剤を用いることが可能である。滑剤としては、例えば、炭化水素系、脂肪酸系、高級アルコール系、脂肪酸アマイド系、金属石鹸系、及びエステル系等の滑剤を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
炭化水素系滑剤としては、例えば、石油由来炭化水素系ワックス及び合成炭化水素系ワックス等の炭化水素系ワックス;並びに鉱油及び流動パラフィン等の炭化水素系オイル等を挙げることができる。炭化水素系ワックスのJIS K 2207の規定に準拠して測定される25℃での針入度は、1~20であることが好ましく、1~15であることがより好ましい。石油由来炭化水素系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス及びマイクロクリスタリンワックス等を挙げることができる。合成炭化水素系ワックスとしては、例えば、フィッシャートロプシュワックス、ポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、及びポリテトラフルオロエチレンワックス等を挙げることができる。
脂肪酸系滑剤としては、例えば、ステアリン酸、及びベヘニン酸等を挙げることができる。高級アルコール系滑剤としては、例えば、ステアリルアルコール等を挙げることができる。脂肪酸アマイド系滑剤としては、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、及びメチレンビスステアリン酸アミド等を挙げることができる。金属石鹸としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸鉛、及びステアリン酸亜鉛等を挙げることができる。
上記の滑剤のなかでも、炭化水素系ワックス、及び脂肪酸アマイドが好ましい。さらには、前述の酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子との組み合わせによる相乗効果が生じやすいことから、滑剤は、ポリオレフィンワックス、及び脂肪酸アマイドからなる群より選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
インキ組成物中の滑剤の含有量は、インキ組成物の固形分の質量を基準として、0.5~10質量%であることが好ましく、1~8質量%であることがより好ましく、1~5質量%であることがさらに好ましい。
インキ組成物は、上述した無機粒子、バインダー樹脂、及び滑剤を含有していれば、インキ組成物の形態は特に制限されない。インキ組成物の形態としては、例えば、溶液状、ペースト状、及び粉体状等を挙げることができる。使用時(塗布又は印刷時等)において用いやすいことから、インキ組成物は、溶液状の形態であることが好ましい。インキ組成物は、固形分として、上述した無機粒子、バインダー樹脂、及び滑剤を含有することができる。
溶液状の形態である場合のインキ組成物の固形分(不揮発分)は、インキ組成物の全質量を基準として、5~50質量%であることが好ましく、10~50質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることがさらに好ましい。
インキ組成物は、上述の通り、溶液状の形態であることが好ましいことから、さらに有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤には、インキ組成物における上述の各成分を溶解又は分散させるものを使用することができる。また、上述のバインダー樹脂として、分散液状又は溶液状のものを用いる場合には、当該バインダー樹脂を分散させている分散媒又は溶解させている溶媒をそのままインキ組成物の有機溶剤成分として使用することもできる。有機溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤等を挙げることができ、それらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、及びジアセトンアルコール等を挙げることができる。炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;n-ヘキサン、n-ヘプタン、及びn-オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;並びにシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、及びシクロオクタン等の脂環族炭化水素系溶剤等を挙げることができる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸n-ブチル、及び酢酸イソブチル等を挙げることができる。エーテル系溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等を挙げることができる。グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等を挙げることができる。アルコール系溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、及びn-ブタノール等の1価アルコール;並びにエチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等の多価アルコール等を挙げることができる。
インキ組成物中の有機溶剤の含有量は、インキ組成物の全質量を基準として、50~95質量%であることが好ましく、50~90質量%であることがより好ましく、60~80質量%であることがさらに好ましい。
インキ組成物は、顔料及び染料等の着色剤を含有してもよいし、着色剤を含有しなくてもよい。着色剤を含有しないインキ組成物は、クリアインキ(メジウムインキとも称される)として使用することができる。そのようなクリアインキが、トップコートのクリアインキ層として、別の着色インキ層等の下地層上に設けられることで、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制された積層シートを得ることも可能である。
着色剤しては、インキや塗料で使用されている各種の顔料及び染料の1種又は2種以上を用いることができ、それらのなかでも顔料が好ましい。顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉛、硫化亜鉛、アルミニウム、雲母、酸化チタン被覆雲母(パール顔料)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、及びカーボンブラック等の無機顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、シリカ、マイカ、カオリン、及びクレイ等の体質顔料(無機顔料);モノアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ピロロピロール系顔料、アゾメチンアゾ系顔料、ペリノン系顔料、及びペリレン系顔料等の有機顔料;等を挙げることができる。
インキ組成物は、目的とするインキ組成物が得られる限りにおいては、例えば、耐ブロッキング性をより良好にする目的等で、前述の無機粒子(酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子)以外の無機フィラーを含有してもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、アルミナ、ジルコニア、チタン酸バリウム、三酸化アンチモン、酸化チタン、グラファイト、亜鉛華、沈降性炭酸カルシウム、石膏、クレイ、珪藻土、カオリン、硫酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、及びバライト粉等を挙げることができる。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
インキ組成物には、必要に応じて、さらにその他の添加剤を含有させてもよい。その他の添加剤としては、例えば、顔料、染料、可塑剤、ブロッキング防止剤、分散剤、界面活性剤、沈降防止剤、レベリング剤、消泡剤、艶消し剤、pH調整剤、硬化剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、難燃剤、顕色剤、キレート剤、及びカップリング剤等を挙げることができる。その他の添加剤の1種又は2種以上を用いることができる。
インキ組成物として必須成分である前述の特定の無機粒子、バインダー樹脂、及び滑剤を配合し、さらに必要に応じて、有機溶剤、着色剤、及びその他の添加剤等を配合して混合物を調製することで、インキ組成物を製造することができる。
上記混合物を調製する際には、上記無機粒子等が均一に分散しうるように、分散機を用いて各成分を混合することが好ましい。分散機としては、例えば、ペイントシェーカー、ボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、ダイノミル、ロールミル、超音波ミル、及び高圧衝突分散機等を挙げることができる。分散機の1種又は2種以上を用いてもよい。また、1種の分散機を使用して一回又は複数回分散処理してもよいし、2種以上の分散機を併用して複数回分散処理してもよい。
インキ組成物を塗布又は印刷等の手法で使用するにあたり、上記混合物を調製する際、又は上記混合物を調製した後、上記混合物に希釈のための有機溶剤を加え、所望の粘度に希釈することが好ましい。これにより、インキ組成物の粘度が塗布又は印刷の手法に適した粘度になるまで有機溶剤で希釈して、目的のインキを製造することができる。
インキ組成物は、有機溶剤により溶液状の形態とされた上で、基材シートに対して、塗布又は印刷等されることにより、乾燥皮膜層を形成することができる。そのため、基材シートと、基材シートに設けられたインキ組成物の乾燥皮膜層とを備えるシート体(塗布物又は印刷物)を得ることができる。インキ組成物は、バインダー樹脂及び滑剤とともに、特定の無機粒子を特定量含有するため、耐ブロッキング性が良好であるとともにカールが抑制されたシート体を得ることもできる。
上記のシート体は、基材シートにインキ組成物を塗布又は印刷した後、インキ組成物中の揮発成分を乾燥除去し、インキ組成物の乾燥皮膜層を形成することを含む製造方法によって、製造することができる。乾燥皮膜層の厚さは、0.1~20μmの範囲内であることが好ましく、0.5~10μmの範囲内であることがより好ましく、1~5μmの範囲内であることがさらに好ましい。乾燥皮膜層は、基材シートの全体又は一部に設けることができ、その基材シートにおける片面に設けてもよく、両面に設けてもよく、片面の全体に設けてもよく、片面の一部に設けてもよい。
基材シートにインキ組成物の乾燥皮膜層を形成するにあたり、インキ組成物の塗布又は印刷等の方法は、特に限定されず、目的に応じて、公知の各種のコーティング方法及び印刷方法の様々な方法を用いることができる。コーティング方法としては、例えば、バーコーター、グラビアコーター、コンマコーター、ロールコーター、エアガン塗装、及び浸漬塗装等を挙げることができる。印刷方法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、凸版印刷、及びスクリーン印刷等を挙げることができる。これらのなかでも、印刷方法が好ましく、後述する好適な基材シートに対して低コストで大量生産が可能である観点から、インキ組成物は、グラビア印刷用又はフレキソ印刷用であることがより好ましい。また、インキ組成物は、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子及び/又は銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子を特定量含有することで抗菌性を発現しうる乾燥皮膜層を形成可能であるため、その抗菌性を活かせるように、表刷り用であることが好ましい。
基材シートは、フィルム状又はシート状であれば特に制限されない。インキ組成物によって、耐ブロッキング性を良好にでき、かつ、カールを抑制しうることから、基材シートとしては、紙又はプラスチックフィルムが好適である。インキ組成物が有する特性を十分に活かせる観点から、基材シートの厚さは、5~200μmであることが好ましく、5~100μmであることがより好ましく、5~50μmであることがさらに好ましく、5~30μmであることがよりさらに好ましい。
基材シートに用いられる紙としては、例えば、アート紙、コート紙、上質紙、グラビア用紙、和紙、及び合成紙等を挙げることができる。基材シートに用いられるプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、及びポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;セロファン等のセルロースフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂フィルム;エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂フィルム;ナイロン(Ny)フィルム等のポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルム;等を挙げることができる。例えば、二軸延伸PPフィルム及び無延伸PPフィルム等のように、延伸及び無延伸のいずれのプラスチックフィルムも用いることができる。また、アルミニウム蒸着等の金属蒸着層が設けられた基材や、アルミナ及びシリカ等の透明蒸着層が設けられた基材を用いることもできる。さらに、基材の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、及びコート処理等の各種表面処理、並びに着色インキを用いた印刷等による各種加飾等が施されていてもよい。
上記のシート体においては、基材シートにおけるインキ組成物の乾燥皮膜層が設けられた面側に、さらに樹脂層を設けて、積層構造のシート体(積層シート)とすることもできる。すなわち、基材シートと、樹脂層と、基材シート及び樹脂層の間に設けられたインキ組成物の乾燥皮膜層とを備えたシート体とすることもできる。インキ組成物の乾燥皮膜層と樹脂層との間には、接着剤層やアンカーコート剤層を有することが好ましい。樹脂層としては、前述の基材シートとして用いうるプラスチックフィルムで説明した材質の樹脂を用いることができる。樹脂層の積層方法としては、基材シートに設けられた乾燥皮膜層上に、接着剤層を介してプラスチックフィルム(樹脂層)を積層するドライラミネート法や、必要に応じてアンカーコート剤層を介して溶融樹脂を積層する押し出しラミネート法等の公知のラミネート方法をとることができる。樹脂層の厚さは、特に制限されず、例えば、1~300μmであることが好ましく、5~200μmであることがより好ましく、10~100μmであることがさらに好ましい。
シート体の用途は特に限定されない。また、シート体の形態は、用途に応じて、フィルム状及びシート状のほか、袋状、箱状、パウチ状、及びパック状等の種々の形態をとりうる。さらに、シート体は、用途に応じて、粘着剤層や接着剤層が設けられた構成(例えば、テープ、ライナー、ラベル、及びステッカー等)であってもよい。シート体の用途としては、例えば、包装材(例えば、食品、飲料品、化粧品、医薬品、医療材、及び電気・電子部品等の包装材)のほか、電気・電子部品、及びサニタリー用品等の各種物品を挙げることができる。
なお、上述した通り、本発明の一実施形態では、以下の構成をとり得る。
[1]インキ組成物であって、バインダー樹脂;酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子;並びに滑剤を含有し、前記無機粒子の含有量は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%であるインキ組成物。
[2]前記無機粒子として、少なくとも前記リン酸塩ガラス粒子を含有する上記[1]に記載のインキ組成物。
[3]前記リン酸塩ガラス粒子の平均粒子径は0.1~20μmである上記[2]に記載のインキ組成物。
[4]前記リン酸塩ガラス粒子は、前記酸化銀及びPに加えて、ZnO、CaO、及びBを含有する上記[2]又は[3]に記載のインキ組成物。
[5]前記リン酸塩ガラス粒子のガラス組成は下記組成式(1)で表される上記[2]~[4]のいずれかに記載のインキ組成物。
1/3AgO・(P・ZnO)10・(2CaO・B (1)
(前記組成式(1)中のnは、1.1~1.4の数を表す。)
[6]前記無機粒子の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して、2~20質量部である上記[1]~[5]のいずれかに記載のインキ組成物。
[7]前記インキ組成物中の前記無機粒子の含有量(質量%)は、前記インキ組成物中の前記滑剤の含有量(質量%)に対して、0.3~5倍である上記[1]~[6]のいずれかに記載のインキ組成物。
[8]前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含む上記[1]~[7]のいずれかに記載のインキ組成物。
[9]前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせ;ポリアミド樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせ;並びにポリウレタン系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂の組み合わせ;のいずれかの組み合わせを含む上記[1]~[8]のいずれかに記載のインキ組成物。
[10]前記滑剤は、ポリオレフィンワックス、及び脂肪酸アマイドからなる群より選択される少なくとも1種を含む上記[1]~[9]のいずれかに記載のインキ組成物。
[11]さらに有機溶剤を含有する上記[1]~[10]のいずれかに記載のインキ組成物。
[12]グラビア印刷用又はフレキソ印刷用である上記[1]~[11]のいずれかに記載のインキ組成物。
[13]基材シートと、基材シートに設けられた上記[1]~[12]のいずれかに記載のインキ組成物の乾燥皮膜層とを備えるシート体。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明の一実施形態のマットコート剤をさらに具体的に説明するが、そのマットコート剤は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の文中において、「部」及び「%」との記載は、特に断らない限り、質量基準(それぞれ「質量部」及び「質量%」)である。
<インキ組成物の調製>
1.バインダー樹脂
以下のバインダー樹脂を使用した。
(1)アクリル系樹脂;三菱ケミカル株式会社製の商品名「ダイヤナールBR106」(重量平均分子量:60000、ガラス転移温度(Tg):50℃、酸価:3.5mgKOH/g)
(2)セルロースアセテートブチレート(以下、CAB)樹脂;EASTMAN CHEMICAL社製の商品名「CAB381-0.5」(数平均分子量:30000、Acetyl含有率:13.5%、Butyryl含有率:38%、Hydroxyl含有率:1.3%、Tg:130℃)
(3)ポリアミド樹脂;花王株式会社製の商品名「レオマイドS-7100」(酸価:5mgKOH/g以下、アミン価:2mgKOH/g以下)
(4)ニトロセルロース樹脂(硝化綿);稲畑産業株式会社製の商品名「DHX8-13」
(5)ロジンエステル;ハリマ化成グループ株式会社製の商品名「ハリエスターDS-822N」
(6)塩素化ポリオレフィン樹脂;日本製紙株式会社製の商品名「スーパークロンC」(塩素化ポリオレフィン樹脂のトルエン溶液品、塩素含有率:35%、粘度:500-2000mPa・s(25℃)、固形分:55%)
(7)ポリウレタン系樹脂;昭和電工マテリアルズ株式会社製の商品名「TA24-215E」(ノントルエン型グラビアインキ用ポリウレタン樹脂溶液、固形分:約30%、粘度:800-1300mPa・s(25℃)、アミン価:1mgKOH/g未満、希釈溶剤:MEK/酢酸エチル/IPA)
(8)塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂(以下、VC-VAc系共重合樹脂);日信化学工業株式会社製の商品名「ソルバインA」(塩化ビニル-酢酸ビニル-ビニルアルコール共重合樹脂;塩化ビニル(VC)含有率:92%、酢酸ビニル(VAc)含有率:3%、ビニルアルコール(VA)含有率:5%、水酸基価:69.3mgKOH/g、Tg:76℃、Mw:73000、Mn:35000)
2.滑剤
以下の滑剤を使用した。
(1)ポリエチレンワックス1;三井化学株式会社製の商品名「ハイワックス220P」(分子量(粘度法):2000、密度(JIS K7112):920kg/m、結晶化度(X線回折法)、融点(DSC法):110℃、軟化点(JIS K2207):113℃、針入度(JIS K2207):1.3mm)
(2)ポリエチレンワックス2;Honeywell社製の商品名「ACポリエチレン6A」(低密度ポリエチレンワックス;融点:106℃)
(3)脂肪酸アマイド;日油株式会社製の商品名「アルフローS-10」(ステアリン酸アマイド、透明融点:100-105℃、酸価:2mgKOH/g以下)
3.無機フィラー
以下の無機フィラー1~7を用いた。
(1)無機フィラー1~3;平均粒子径が1μm(無機フィラー1)、3μm(無機フィラー2)、又は10μm(無機フィラー3)である酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子(興亜硝子株式会社製の商品名「ミリオンガード」;銀含有リン酸塩ガラスパウダー97%以上、非晶質シリカ系粉砕助剤3%未満、化学特性(ガラス成分表記):1/3AgO・(P・ZnO)10・(2CaO・B1.1~1.4
(2)無機フィラー4;ゲルタイプシリカ(東ソー・シリカ株式会社製の商品名「NIPGEL AZ204」、平均粒子径:2.9μm)
(3)無機フィラー5;平均粒子径が0.9μmである銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子(東亞合成株式会社製の商品名「ノバロンAG300」)
(4)無機フィラー6;平均粒子径が1.3μmである銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子(東亞合成株式会社製の商品名「ノバロンAGZ330」)
(5)無機フィラー7;ゼオライトに銀イオンを担持させた粒子(株式会社シナネンゼオミック製の商品名「ゼオミックAD10W」)
4.その他の添加剤
以下の添加剤を使用した。
(1)可塑剤1;クエン酸アセチルトリブチル
(2)可塑剤2;フタル酸ジメチル
(3)可塑剤3;N-エチル-o/p-トルエンスルホンアミド
(4)チタンキレート;チタンジイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)(マツモトファインケミカル株式会社製の商品名「オルガチックスTC-100」、成分濃度:75%)
5.有機溶剤
以下の混合溶剤1~3を使用した。
(1)混合溶剤1;イソプロパノール(44.7質量%)/酢酸エチル(29.9質量%)/n-プロパノール(13.8質量%)/酢酸n-プロピル(11.6質量%)の混合溶剤
(2)混合溶剤2;トルエン(50.8質量%)/イソプロパノール(31.1質量%)/酢酸エチル(18.1質量%)の混合溶剤
(3)混合溶剤3;酢酸エチル(74.2質量%)/イソプロパノール(25.7質量%)/メタノール(0.1質量%)の混合溶剤
(試験例1~26)
表1~3の上段に示す各成分(単位:質量部)を混合した後、ペイントシェーカーで練肉し、インキ組成物を調製した。試験例1~26で得られたインキ組成物を、それぞれインキ組成物1~26と記載する。なお、表1~3の上段に示すバインダー樹脂及び無機フィラー等の量(単位:質量部)は、固形分又は有効成分の換算値である。例えば、バインダー樹脂の量は、バインダー樹脂の溶液を使用した場合、当該溶液中の樹脂分、すなわち、固形分の量を意味する。また、例えば、無機フィラー1~7の量は、当該無機フィラー中の有効成分(主成分)である無機化合物としての量を意味する。表1~3の中段には、インキ組成物の固形分中の無機フィラー1~7の含有量(質量%)、バインダー樹脂100質量部に対する無機フィラー1~7の含有量(質量部)、及び滑剤の含有量(質量%)に対する無機フィラー1~7の含有量(質量%)の比(倍)を示した。
<シート体の製造>
(試験例1~5)
試験例1~5では、それぞれ、インキ組成物1~5を用いて、基材シートにインキ組成物の乾燥皮膜層を設けたシート体を製造した。具体的には、コロナ放電処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「東洋紡エステル E5102」、厚さ:12μm)の処理面に、インキ組成物をバーコーター#10(R.D.SPECIALITIES社製)を用いて塗布(印刷)した後、40℃で10分間乾燥させて、厚さ約5μmの乾燥皮膜層を形成し、シート体を得た。
(試験例6~26)
試験例6~26では、それぞれ、インキ組成物6~26を用いて、基材シートにインキ組成物の乾燥皮膜層を設けたシート体を製造した。具体的には、コロナ放電処理PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「東洋紡エステル E5102」、厚さ:12μm)の処理面に、インキ組成物をバーコーター#18(R.D.SPECIALITIES社製)を用いて塗布(印刷)した後、40℃で10分間乾燥させて、厚さ約9μmの乾燥皮膜層を形成し、シート体を得た。
<評価>
試験例1~26で製造したシート体を用いて、耐ブロッキング性、及び耐カール性を評価した。また、試験例6~8、14~17及び21については、グロス値(60°)の測定も行い、試験例6~8、16及び17については、耐摩擦性の評価も行った。評価結果を表1~3の下段に示す。
(耐ブロッキング性)
シート体を幅5cm及び長さ5cmの大きさに切りとったサンプルシートを用意し、そのサンプルシート2枚におけるインキ組成物の乾燥皮膜層同士を重ね合わせて、4kgf/cmの荷重をかけた状態にて、40℃の恒温槽に24時間置いた。その後、2枚のサンプルシートを剥離したときの乾燥皮膜層の剥離及び乾燥皮膜層同士の貼り付きの程度による剥離抵抗に関して、以下の評価基準にしたがって、耐ブロッキング性を評価した。以下の評価基準におけるAを耐ブロッキング性が良好であると判断した。
A:乾燥皮膜層の剥離がなく、剥離抵抗もほとんどないか僅かである。
B:わずかに乾燥皮膜層の剥離が認められ、剥離抵抗がある。
C:大きな剥離抵抗がある。
(カール高さ)
シート体を幅2.5cm及び長さ15cmの大きさに切りとったサンプルシートを、25℃で60%RHの環境下に1時間置いた。その後、平らな台の上に、サンプルシートをカールした側を上に向けて置き、サンプルシートの両端が台からどれだけ浮いていたか(カール高さ)を測定した。1つの試験例につき、サンプルシートを3枚用意し、サンプルシートの幅方向における両端の左右それぞれについて測定(3枚×2(左右)=6点の測定)を行い、それらの測定値の平均値をカール高さとして算出した。
(耐カール性)
各試験例におけるカール高さに基づき、以下の評価基準にしたがって、カールの抑制効果(耐カール性)を評価した。カール高さが3mm未満である場合を「○」と表記し、耐カール性が良好であると判断した。
○:カール高さが3mm未満である。
×:カール高さが3mm以上である。
(耐摩擦性)
シート体を学振型摩擦試験器(スガ試験機株式会社製)に取り付け、シート体におけるインキ組成物の乾燥皮膜層に対して、以下に示す摩擦子を荷重200gの条件で、距離10.5mmを50往復させる摩擦試験を行った。摩擦子には、試験対象と同じシート体を用い、その摩擦子(シート体)におけるインキ組成物の乾燥皮膜層で、試験対象であるシート体の乾燥皮膜層を摩擦させた。摩擦試験後の試験対象であるシート体におけるインキ組成物の乾燥皮膜層の剥がれ具合を観察することにより、以下の評価基準にしたがって、耐摩擦性を評価した。なお、評価基準における「つや戻り」とは、乾燥皮膜層の表面の微細な凹凸が摩擦によって潰れて平滑化し、外観が異なって見えることを表す。
A:乾燥皮膜層の剥がれ又はつや戻りがないか、僅かにある。
B:乾燥皮膜層の剥がれ又はつや戻りがある。
C:乾燥皮膜層の剥がれ又はつや戻りが多い。
(グロス値)
グロスメーター(BYK Gardner社製)を用いて、シート体におけるインキ組成物の乾燥皮膜層の60°でのグロス値を測定した。
Figure 0007001859000001
Figure 0007001859000002
Figure 0007001859000003
Figure 0007001859000004
試験例1~3、6~15、及び22~24では、バインダー樹脂及び滑剤とともに、酸化銀含有リン酸塩ガラス粒子又は銀イオン担持リン酸ジルコニウム粒子を特定量含有するインキ組成物を用いたことで、耐ブロッキング性及び耐カール性がいずれも良好な乾燥皮膜層を得られることが確認された。

Claims (12)

  1. インキ組成物であって、
    バインダー樹脂;酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子;並びに滑剤を含有し、
    前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせ;ポリアミド樹脂及びセルロース系樹脂の組み合わせ;並びにポリウレタン系樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂の組み合わせ;のいずれかの組み合わせを含み、
    前記無機粒子の平均粒子径は、0.1~20μmであり、
    前記無機粒子の含有量は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%であり、
    前記滑剤は、ポリオレフィンワックス、及び脂肪酸アマイドからなる群より選択される少なくとも1種を含む、インキ組成物。
  2. インキ組成物であって、
    バインダー樹脂;酸化銀を含有するリン酸塩ガラス粒子、及び銀イオンを担持させたリン酸ジルコニウム粒子のうちの少なくとも1種の無機粒子;並びに滑剤を含有し、
    前記バインダー樹脂は、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
    前記無機粒子の平均粒子径は、0.1~20μmであり、
    前記無機粒子の含有量は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、1~15質量%であり、
    前記滑剤は、ポリオレフィンワックス、及び脂肪酸アマイドからなる群より選択される少なくとも1種を含む、インキ組成物(ただし、ロジン変性フェノール系樹脂を含有するものを除く。)
  3. 前記無機粒子として、少なくとも前記リン酸塩ガラス粒子を含有する請求項1又は2に記載のインキ組成物。
  4. 前記リン酸塩ガラス粒子の平均粒子径は0.3~15μmである請求項に記載のインキ組成物。
  5. 前記リン酸塩ガラス粒子は、前記酸化銀及びPに加えて、ZnO、CaO、及びBを含有する請求項又はに記載のインキ組成物。
  6. 前記リン酸塩ガラス粒子のガラス組成は下記組成式(1)で表される請求項のいずれか1項に記載のインキ組成物。
    1/3AgO・(P・ZnO)10・(2CaO・B (1)
    (前記組成式(1)中のnは、1.1~1.4の数を表す。)
  7. 前記無機粒子の含有量は、前記バインダー樹脂100質量部に対して、2~20質量部である請求項1~のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  8. 前記バインダー樹脂の含有量(質量%)は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、50~98質量%であり、
    前記滑剤の含有量(質量%)は、前記インキ組成物の固形分の質量を基準として、0.5~10質量%である請求項1~7のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  9. 前記インキ組成物中の前記無機粒子の含有量(質量%)は、前記インキ組成物中の前記滑剤の含有量(質量%)に対して、0.3~5倍である請求項1~のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  10. さらに有機溶剤を含有する請求項1~のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  11. グラビア印刷用又はフレキソ印刷用である請求項1~10のいずれか1項に記載のインキ組成物。
  12. 基材シートと、基材シートに設けられた請求項1~11のいずれか1項に記載のインキ組成物の乾燥皮膜層とを備えるシート体。
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