JP7062933B2 - 包装材、包装容器及び蓋体 - Google Patents
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Description
表刷りの場合は、あらゆる基材に印刷することができ、印刷イメージどおりの外観が得られやすい。その反面、包装材の外表面への衝撃や摩擦等により絵柄印刷に傷や剥離が生じやすいという短所がある。
[1]少なくとも、透明マット層、透明基材、絵柄印刷層及び地色印刷層が、この順に外層側から積層された構成を備え、前記絵柄印刷層により絵柄が形成されてなる領域の前記外層側の表面の一部に、下記(a)及び(b)の少なくともいずれかの構成を有する、包装材。
(a)前記透明マット層の外層側表面に積層されたクリア層
(b)前記透明マット層の未積層部分
[2]少なくとも一部が、上記[1]に記載の包装材で形成されている包装容器。
[3]容器本体の収容部を封止するように前記容器本体に接合される蓋体であって、上記[1]に記載の包装材で形成されている蓋体。
図1に、本発明の包装材の一態様における厚み方向の積層構成の概略を示す。また、図2に、本発明の包装材の他の一態様における厚み方向の積層構成の概略を示す。これらの図においては、上が外層側(表面側)であり、下が内層側(裏面側)である。図1及び図2に示すように、本発明の包装材1は、少なくとも、透明マット層2、透明基材3、絵柄印刷層4及び地色印刷層5が、この順に外層側から積層された構成を備えている。そして、絵柄印刷層4により絵柄が形成されてなる領域の前記外層側の表面の一部に、下記(a)及び(b)の少なくともいずれかの構成を有することを特徴とする。
(a)透明マット層2の外層側表面に積層されたクリア層6
(b)透明マット層2の未積層部分
透明基材3の表面には、該透明基材3の全面にわたって透明マット層2が形成されている。透明マット層2の表面には、絵柄印刷層4により絵柄が形成されてなる領域の一部に、クリア層6が形成されている。すなわち、図1は、上記の(a)の構成を有する包装材1を示している。なお、図1は、絵柄印刷層4が有彩色層4a及び光輝性印刷層4bを有し、光輝性印刷層4bの光沢感を高めるように構成された例を示したものである。
このように、クリア層6が、絵柄印刷層4の一部の絵柄に対応する領域に形成されていることにより、該領域の絵柄は、光沢感が高まり、他の領域の絵柄と比較して、強調されているように視認することができる。
透明基材3の表面には、絵柄印刷層4により絵柄が形成されてなる領域の一部を除く領域に、透明マット層2が形成されている。すなわち、図2は、上記の(b)の構成を有する包装材1を示している。なお、図2は、絵柄印刷層4が有彩色層4a及び光輝性印刷層4bを有し、光輝性印刷層4bの光沢感を高めるように構成された例を示したものである。
このように、絵柄印刷層4の絵柄に対応する領域に、透明マット層2の未積層部分を有していることにより、該領域の絵柄は、透明基材3を通して視認される該絵柄の光沢感を損なうことなく、他の領域の絵柄と比較して、強調されているように視認することができる。
透明基材3は、包装材1の基材であるとともに、絵柄印刷層4が裏刷りされる場合の印刷基材となる。透明基材3は、絵柄印刷層4を外層側から視認できるように、光透過性を有する材料で構成される。透明基材3は、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が85%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。また、JIS K7136:2000のヘイズが1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.3%以下である。
透明基材3の厚みは、特に限定されるものではなく、包装材1の用途に応じて適宜設定することができるが、通常、5~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは8~40μm、さらに好ましくは10~25μmである。
プラスチックフィルムの材料としては、具体的には、ポリエチレン(PE)系やポリプロピレン(PP)系等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS)樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS)樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、各種ナイロン(Ny)等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)等が挙げられる。これらの中でも、汎用性の観点からは、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、耐熱性や強度等の観点からは、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂が好ましい。
プラスチックフィルムは、一軸延伸又は二軸延伸されたものであってもよい。また、上記のうちの2種以上の樹脂のフィルムが積層された複合フィルムであってもよい。また、プラスチックフィルムは、インフレーション法、あるいはまた、溶融押出しコーティング法で形成されたものであってもよい。
電子レンジ用やレトルト容器用の包装材のプラスチックフィルムの具体例としては、ポリエステルフィルムの単体、ナイロン等のポリアミドフィルムの単体、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムの一種以上を含む複合フィルムが挙げられる。前記複合フィルムの例としては、PET/Ny/PET、外層側からPET/Nyの構成からなる共押出し延伸フィルムが挙げられる。また、前記複合フィルムとしては、ポリエステルフィルム及びポリアミドフィルムのいずれか1種以上と、エチレン-ビニルアルコール共重合体フィルム及びポリ塩化ビニリデンフィルムのいずれか1種以上とを組み合わせることも好ましい。
絵柄印刷層4は、透明基材3の裏面に形成される。絵柄印刷層4とは、例えば、文字、図形、記号、模様、パターン等を含む広い概念である。絵柄印刷層4は、他の基材層やシーラント層等の表面に表刷りで形成した後、透明基材3の裏面に接着剤で貼り合わせて形成されるものであってもよいが、外層側から絵柄をよりシャープに視認できるようにする観点から、透明基材3に裏刷りで形成されることが好ましい。絵柄印刷層4は、1層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
絵柄印刷層4の総厚みは、特に限定されるものではないが、通常、1~10μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.5~5μmである。また、絵柄印刷層4は、透明基材3に対して全面印刷であっても、部分印刷であってもよい。
これに対して、透明基材3の内層側(裏面)に絵柄を設けた場合には、透明マット層2は、該透明基材3の外層側に、絵柄印刷層4を介することなく形成されるため、絵柄印刷層4の表面凹凸の影響を受けず、外層側から視認される絵柄は均一な艶消し効果が得られる。また、絵柄印刷層4の外層側の表面形状は、透明基材3の表面形状に対応して略平滑であるため、透明基材3等を透過して絵柄印刷層4に到達した光が拡散反射されず、光沢性を十分に高めることができる。
光輝性印刷層4bは、光輝性顔料を含むインキを用いて印刷された層である。光輝性顔料としては、パール顔料や金属鱗片等が挙げられる。これらのうち、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。包装材に電子レンジ加熱やレトルト処理に対する耐性を付与する観点からは、パール顔料が好ましい。一方、絵柄により高い金属光沢性を付与する観点からは、金属鱗片が好ましい。
白色パール顔料は、雲母の被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが0.1~0.15μm程度と比較的小さいものであり、光のほぼすべての波長を反射するため、白色もしくは銀色に見える。
干渉パール顔料は、雲母の被覆層が二酸化チタン等の無色高屈折率材料であり、かつ被覆層の厚みが白色パール顔料よりも大きく、0.15μm超のものである。この厚みによって、反射光及び透過光が変化し、種々の干渉色を生じる。虹彩色パール顔料や偏光パール顔料と呼ばれる場合もある。
着色パール顔料は、有彩色であり、雲母の被覆層を酸化第二鉄等の有色高屈折率材料としたもの、白色パール顔料の周囲をさらに酸化第二鉄等の有色高屈折率材料もしくはその他の有色顔料で被覆したもの、又は、雲母の被覆層中に顔料やその他の着色剤を添加したもの等がある。
この場合、特に、あらゆる方向から見ても深みのある金色の光沢感を得るためには、着色パール顔料として、白色パール顔料の周囲を酸化第二鉄で被覆した着色パール顔料又は雲母の被覆層が酸化第二鉄である着色パール顔料を用いることが好ましく、さらには、白色パール顔料及び干渉パール顔料のうちから選ばれる1種以上として、白色パール顔料を用いることがより好ましい。
白色パール顔料及び干渉パール顔料のうちから選ばれる1種以上(A)と、着色パール顔料のうちから選ばれる1種以上(B)とを組み合わせて用いる場合、A:Bは、質量比で、1:0.2~1:20であることが好ましく、より好ましくは1:0.5~1:15、さらに好ましくは1:1~1:10である。
金属鱗片は、例えば、前記金属又は合金をプラスチックフィルム上に真空蒸着してなる金属薄膜をプラスチックフィルムから剥離し、剥離した金属薄膜を粉砕、撹拌した得られたものや、前記金属又は合金の粉末と溶剤とを混合し、媒体撹拌ミル、ボールミル、アトライター等で、該粉末を展延及び/又は粉砕して得られたもの、さらに、これらの表面が樹脂コートされたもの等を用いることができる。
なお、金属鱗片の平均長さ及び平均厚みは、平滑な基材上に金属鱗片を散布した状態で、レーザ干渉式の三次元形状解析装置を用いて、20個の金属鱗片の長さ及び厚みを測定し、これらの測定値の各平均値として求められる。1個の金属鱗片の長さは、任意の軸方向において金属鱗片を平面観察した際の最大径(長さ)を意味する。1個の金属鱗片の厚みは、前記軸方向に垂直な方向(断面)における金属鱗片の最大厚み(長さ)を意味する。例えば、三次元形状解析装置による測定結果の処理画像のX軸方向を任意の軸方向(測定方向)とした場合、X軸と平行な方向において求めた1個の金属鱗片の最大径を、1個の金属鱗片の長さとする。仮に、X軸と平行ではない方向における長さが前記最大径よりも大きい場合であっても、その長さを最大径とはみなさない。レーザ干渉式の三次元形状解析装置としては、例えば、キーエンス社製の形状解析レーザ顕微鏡「VK-Xシリーズ」を用いることができる。
また、インキには、必要に応じて、例えば、充填剤、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤、架橋剤等の任意の添加剤を添加することができる。
地色印刷層5は、絵柄印刷層4の絵柄を引き立てたり、外層側から被包装物への光の透過を遮断したりする等の観点から、絵柄印刷層4の内層側に形成される。地色印刷層5は、上述した絵柄印刷層4と同様の方法を用いて形成することができ、絵柄印刷層4の裏面に裏刷りして形成されることが好ましい。地色印刷層5を形成するための印刷用インキのバインダー樹脂、溶剤及び添加剤は、上記の絵柄印刷層4についてのものと同様のものを用いることができる。
地色印刷層5は、絵柄印刷層4の裏面全面に形成されてもよく、絵柄印刷層4の裏面の一部に形成されてもよい。地色印刷層の総厚みは、1.5~5μm程度であることが好ましく、より好ましくは1.5~3μmである。
絵柄印刷層4が、特に光輝性印刷層4bを含む場合、該光輝性印刷層4bによる光沢感の深みや重厚感を増す観点からは、黒色地色層が好ましい。黒色地色層は、JIS Z8781-4:2013に準拠して測定される国際照明委員会(CIE)規格のL*a*b*表色系のL*値が20以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましい。
複合酸化物の構造は、特に限定されるものではないが、安定した構造やその発色等の観点から、ペロブスカイト構造、斜方晶構造、六方晶構造等であることが好ましく、ペロブスカイト構造であることがさらに好ましい。
マンガン系複合酸化物は、例えば、国際公開公報WO2016/125906A1に記載されている。
ペリレン系顔料は、ペリレンテトラカルボン酸二無水物の六員環を構成している酸素原子2個を脱落させた構造を有する顔料であり、例えば、ペリレンブラック等が挙げられる。
絵柄印刷層4が、特に有彩色層4aを含む場合、該有彩色層4aによる彩色を引き立てる観点からは、白色地色層が好ましい。また、白色地色層は、被包装物の種類等によっては、該被包物の印象を良くすることができる。
透明マット層2は、外層側表面の凹凸によって、外層側から視認される絵柄印刷層4の絵柄を艶消しするために形成される。透明マット層2により艶消しされた絵柄と、前記(a)又は(b)の構成を備えた領域の光沢性の高い絵柄とのコントラストにより、外層側から視認される絵柄全体の装飾効果を高めることができる。
透明マット層2の厚みは、1~15μm程度であることが好ましく、より好ましくは2~10μm、さらに好ましくは2.5~7μmである。
また、外層表面の滑り性の観点から、最大高さRyの下限は、1μm以上であることが好ましく、より好ましくは2μm以上である。
なお、本発明における最大高さRyは、透明マット層2の外層側表面における流れ方向(MD)で10箇所、及びMD方向の直角方向(TD)で10箇所の合計20箇所で測定した粗さ曲線についてのカットオフ値0.8mmでの平均値である。
なお、本発明における算術平均粗さRaは、透明マット層2の外層側表面における流れ方向(MD)で10箇所、及びMD方向の直角方向(TD)で10箇所の合計20箇所で測定した粗さ曲線についてのカットオフ値0.8mmでの平均値である。
バインダー樹脂としては、2液硬化型樹脂を用いることが好ましい。2液硬化型樹脂としては、ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型樹脂が好ましい。
マット剤は、透明マット層2の透明性(光透過性)を保持しつつ、外層側から視認される絵柄印刷層4の絵柄を十分に艶消しする観点から、透明マット層2中の含有量が全固形分の2~50質量%となるように添加されることが好ましく、より好ましくは5~40質量%となるように添加される。
また、マットインキには、さらに、必要に応じて、艶消し効果等の透明マット層2の機能を妨げない範囲において、安定剤、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の光安定剤、分散剤、増粘剤、乾燥剤、滑剤、帯電防止剤等の任意の添加剤を添加することができる。
クリア層6は、図1に示す包装材1の場合に、前記(a)の構成として、透明マット層5の外層側表面に形成され、光透過性を有する。クリア層6は、それが形成されている領域の絵柄を、透明マット層2により艶消しされた絵柄に対して、相対的に光沢感を高めて強調することができる。
クリア層6の厚みは、0.5~15μm程度であることが好ましく、より好ましくは1~10μm、さらに好ましくは2~7μmである。
水性ニスとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル-スチレン共重合体等の樹脂成分を、水と少量の揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、ノルマルプロパノール、イソプロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール類やアセトン、メチルエチルケトン、エチルアセテート等が挙げられる。
油性ニスとしては、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル系共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂等の樹脂成分を、揮発性有機溶剤に溶解又は分散させたものを用いることができる。揮発性溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、トルエン、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。
水性ニス及び油性ニスには、さらに、必要に応じて、潤滑剤や界面活性剤等の添加剤を添加することができる。水性ニス及び油性ニス中の樹脂成分は、40~85質量%であることが好ましい。
中間層7は、図1及び図2に示すように、地色印刷層5とシーラント層8との間に、必要に応じて設けることができる。中間層7としては、例えば、ガスバリア層やプラスチックフィルム層等が挙げられ、これらの層は、両面に接する層と接着剤(層)を介して接合することにより形成することができる。
中間層7の総厚みは、1~50μm程度であることが好ましく、より好ましくは2~140μm、さらに好ましくは3~30μmである。
ガスバリア層は、包装材1による被包装物と包装材1の外部環境との間で、酸素や水蒸気等の透過を遮断するものである。また、可視光や紫外線等の透過を遮断する遮光性をも付与するものであってもよい。ガスバリア層は、1層で構成されていても、2層以上の多層で構成されていてもよい。ガスバリア層は、公知の材料により構成することができ、例えば、アルミ箔や、プラスチックフィルム表面に蒸着膜や塗布膜を形成した構成とすることができる。塗布膜を形成する場合は、ガスバリア性の向上の観点から、蒸着膜の表面に形成されることが好ましい。
なお、前記プラスチックフィルム表面は、蒸着膜や塗布膜の密着性向上の観点から、予め表面処理を施しておいてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガスや窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、酸化剤処理、アンカーコート剤の塗布等が挙げられる。
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着やスパッタリング、イオンプレーティング等の物理蒸着(PVD)法、プラズマ化学気相成長や熱化学気相成長、光化学気相成長等の化学蒸着(CVD)法等が挙げられる。
蒸着膜の膜厚は、成膜材料や要求されるガスバリア性能等によって異なるが、通常、5~200nm程度であることが好ましく、より好ましくは5~150nm、さらに好ましくは10~100nmである。ケイ素酸化物やアルミニウム酸化物等の無機酸化物の場合は、5~100nm程度であることが好ましく、より好ましくは5~50nm、さらに好ましくは10~30nmである。
塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター等のロールコート、スプレーコート、スピンコート、ディッピング、刷毛、バーコート、アプリケータ等の塗布手段により行うことができる。1回又は複数回の塗布で、塗布膜の乾燥膜厚が0.01~30μm程度となることが好ましく、より好ましくは0.05~20μm、さらに好ましくは0.1~10μmである。
中間層におけるプラスチックフィルム層は、包装材1の強度の向上や加工適性の向上、他の層を形成するための基材として、必要に応じて設けられる。
プラスチックフィルム層の構成材料としては、具体的には、透明基材3と同様の材料を用いることができる。
包装材1の各構成層は、各層間の接合強度の向上の観点から、接着剤層を介して積層されていてもよい。ただし、絵柄印刷層4よりも外層側では、絵柄の視認性や光沢感に影響を及ぼさないことを条件として、接着剤を使用することができる。
接着剤層の各厚みは、0.01~20μm程度であることが好ましく、より好ましくは0.05~15μm、さらに好ましくは0.1~10μmである。
図1及び図2に示すように、地色印刷層5の内層側には、シーラント層8が積層されていることが好ましい。
シーラント層8は、包装材1の最内層に形成され、内層側の面が被包装物と直接接触し、被包装物を保護するものであり、特に、包装材1で液状物の包装容器が形成される場合には、シーラント層8は液状物に対する耐浸透性を有していることが好ましい。また、包装材1で密閉容器が形成される場合には、シーラント層8がヒートシールされることにより、密封性を確保できることが好ましい。シーラント層8は、1層で構成されても、2層以上の多層で構成されてもよい。
また、電子レンジ加熱やレトルト処理における耐熱性の観点から、シーラント層8は、例えば、プロピレン単独重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体、エチレン-プロピレンランダム共重合体等のPP系樹脂、HDPE等の耐熱性に優れた樹脂で形成されることが好ましい。PP系樹脂については、目的に応じて使い分けられることが好ましく、例えば、耐冷凍性を重視する場合はエチレン-プロピレンブロック共重合体、また、透明性を重視する場合はエチレン-プロピレンランダム共重合体、また、耐熱性が重視される場合はプロピレン単独重合体が好ましい。また、包装材1で電子レンジ用の自動蒸通機構を備えた包装容器が形成される場合は、高温時にシーラント層8でシール強度が低下し、包装容器内の蒸気を抜けやすくする観点から、エチレン-プロピレンブロック共重合体が好ましい。
イージーピール性を有するシーラント層8は、2種以上の樹脂を用いて形成することができ、具体的には、容器本体との密着性が良好である一の樹脂と、容器本体との密着性が良好ではなく、かつ、前記一の樹脂と非相溶である他の樹脂とを混合することにより形成することができる。例えば、容器本体がポリプロピレン製である場合、前記一の樹脂としてポリプロピレン単独重合体と、ポリエチレン、ポリブテン、ポリスチレン等他の樹脂との混合樹脂でシーラント層8を形成することが好ましい。なお、シーラント層8が多層構成である場合、該シーラント層は、容器本体と接合される最内層のみがイージーピール性を有していれば足りる。
包装材1を用いて、各種包装容器を形成することができる。包装容器としては、例えば、パウチや蓋付容器が挙げられる他、カップやトレーが挙げられる。包装容器は、全体が包装材1で形成されていてもよく、あるいはまた、一部が包装材1で形成されていてもよい。本発明の包装材1を用いた包装容器は、該包装容器に収容される内容物を販売するのに際し、光沢感にコントラストを有する絵柄が形成されている包装材1によって、内容物の高級感を購買者に印象づけることができるため、例えば、食品容器や化粧品容器等に好適に用いることができる。
包装材1は、これを用いて、上記のシーラント層8の説明で述べたように、容器本体の収容部を封止するように該容器本体に接合される蓋体を形成することもできる。
(実施例1)
以下のようにして、図1に示す態様の包装材1を作製した。
透明基材(1)の内層側(裏面)の一部に、下記組成の光輝性印刷層用インキをグラビア印刷で裏刷りし、厚み1.0μmの光輝性印刷層を形成し、また、光輝性印刷層が形成されていない箇所の一部に、下記組成の有彩色層用インキをグラビア印刷で裏刷りし、厚み1.0μ mの有彩色層を形成することにより、光輝性印刷層及び有彩色層を有する絵柄印刷層を形成した。次いで、絵柄印刷層上に、下記組成の黒色地色印刷層用インキをグラビア印刷で裏刷り(ベタ印刷)し、厚み0.5μmの黒色地色印刷層を形成した。
次いで、透明基材(1)の外層側(表面)の全面に、下記組成の透明マット層用インキ(1)をグラビア印刷し、厚み3.5μmの透明マット層(1)を形成した。次いで、光輝性印刷層が形成された箇所に対応する領域の透明マット層(1)上に、下記組成のクリア層用インキをグラビア印刷し、厚み3.0μmのクリア層を形成した。
そして、黒色地色印刷層の内層側(裏面)に、中間層(1)(遮光性を有するガスバリア層)として厚み12μmのアルミ蒸着PETをドライラミネート用接着剤で貼り合わせ、さらに、シーラント層として厚み100μmのポリエチレンフィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせた。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、クリア層(3.0μm)/透明マット層(1)(3.5μm)/透明基材(1)(15μm)/絵柄印刷層(1.0μm)/黒色地色印刷層(0.5μm)/接着剤層(3.0μm)/中間層(1)(12μm)/接着剤層(3.0μm)/シーラント層(1)(100μm)である。カッコ内の数値(単位:μm)は各層の厚みを表している(以下、同様。)。なお、光輝性印刷層及び有彩色層のいずれも有していない部分は、黒色地色印刷層が外層側から見える。
<透明基材(1)>
二軸延伸ナイロンフィルム:出光ユニテック株式会社製「ユニロンG-100」
<光輝性印刷層用インキ>
・白色パール顔料(平均粒径15μm):10質量部
・有色パール顔料(雲母の被覆層が酸化第二鉄である有色パール顔料、平均粒径15μm):20質量部
・沈降防止剤(微粒子シリカ):0.1質量部
・バインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂):10質量部
・溶剤(プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル及びイソプロパノールの混合溶剤):60質量部
<有彩色層用インキ>
・有機系赤色顔料:3質量部
・沈降防止剤(微粒子シリカ):2質量部
・バインダー樹脂(ポリウレタン系樹脂):20質量部
・溶剤1(ミネラルスピリット):7質量部
・溶剤2(プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル、イソプロパノールの混合溶剤):70質量部
<黒色地色印刷層用インキ>
・バインダー樹脂(アクリルウレタン系樹脂):15質量部
・黒色顔料(金属元素としてマンガン、カルシウム及びチタンを含む複合酸化物、石原産業株式会社製「MPT-370」、平均一次粒子径0.8μm):5質量部
・溶剤(メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル及びイソプロパノールの混合溶剤):80質量部
<透明マット層用インキ(1)>
・シリカ粒子(平均粒径3.0μm):30質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
<クリア層用インキ>
アクリル系熱硬化性樹脂組成物を水系溶媒(水及びイソプロピルアルコールの質量比3:7の混合溶媒)に分散してなるインキ組成物
<中間層(1)>
アルミ蒸着PET:尾池工業株式会社製「EXC」
<シーラント層(1)>
ポリエチレンフィルム:大日本印刷株式会社製「DP-402」
<ドライラミネート用接着剤>
ポリウレタン系接着剤
実施例1において、透明マット層(1)を、下記組成の透明マット層用インキ(2)を用いてグラビア印刷した透明マット層(2)に変更し、それ以外は、実施例1と同様にして包装材を作製した。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、クリア層(3.0μm)/透明マット層(2)(3.5μm)/透明基材(1)(15μm)/絵柄印刷層(1.0μm)/黒色地色印刷層(0.5μm)/接着剤層(3.0μm)/中間層(1)(12μm)/接着剤層(3.0μm)/シーラント層(1)(100μm)である。
・シリカ粒子(平均粒径3.5μm):25質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
実施例1において、透明マット層(1)を、下記組成の透明マット層用インキ(3)を用いてグラビア印刷した透明マット層(3)に変更し、それ以外は、実施例1と同様にして包装材を作製した。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、クリア層(3.0μm)/透明マット層(3)(3.5μm)/透明基材(1)(15μm)/絵柄印刷層(1.0μm)/黒色地色印刷層(0.5μm)/接着剤層(3.0μm)/中間層(1)(12μm)/接着剤層(3.0μm)/シーラント層(1)(100μm)である。
・シリカ粒子(平均粒径3.8μm):28質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル)
以下のようにして、図1に示す態様の包装材1を作製した。
透明基材(2)の内層側(裏面)に、実施例1と同様にして絵柄印刷層及び黒色地色印刷層を形成した。
次いで、透明基材(2)の外層側(表面)の全面に、下記組成の透明マット層用インキ(4)をグラビア印刷し、厚み3.5μmの透明マット層(4)を形成した。次いで、光輝性印刷層が形成された箇所に対応する領域の透明マット層(4)上に、前記クリア層用インキをグラビア印刷し、厚み3.0μmのクリア層を形成した。
そして、黒色地色印刷層の内層側(裏面)に、中間層(2)としてガスバリアフィルム及びアルミ箔をドライラミネート用接着剤で順次貼り合わせ、さらに、シーラント層(2)としてポリプロピレンフィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせた。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、クリア層(3.0μm)/透明マット層(4)(3.5μm)/透明基材(2)(12μm)/絵柄印刷層(1.0μm)/黒色地色印刷層(0.5μm)/接着剤層(3.0μm)/中間層(2)[プラスチックフィルム(15μm)+接着剤層(3.0μm)+アルミ箔(7μm)]/接着剤層(3.0μm)/シーラント層(80μm)である。
<透明基材(2)>
二軸延伸PET:東洋紡株式会社製「東洋紡エステル(登録商標)フィルムE5200」
<透明マット層用インキ(4)>
・シリカ粒子(平均粒径2.5μm):30質量部
・バインダー樹脂(ポリオールとイソシアネートとの2液硬化型ポリウレタン樹脂):100質量部
・溶剤(酢酸ノルマルプロピル、酢酸エチル、メチルエチルケトン)
<中間層(2)>
(2-1)ガスバリアフィルム:二軸延伸ガスバリアナイロンフィルム、三菱ケミカル株式会社製「スーパーニール(登録商標)SP-R-MW」
(2-2)アルミ箔
<シーラント層(2)>
無延伸ポリプロピレンフィルム、東レフィルム加工株式会社製「ZK209」
<ドライラミネート用接着剤>ポリウレタン系接着剤
実施例1において、クリア層を形成せずに、それ以外は、実施例1と同様にして包装材を作製した。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、透明マット層(1)(3.5μm)/透明基材(1)(15μm)/絵柄印刷層(1.5μm)/黒色地色印刷層(0.5μm)/接着剤層(3.5μm)/中間層(1)(12μm)/接着剤層(3.5μm)/シーラント層(1)(100μm)である。
以下のようにして、絵柄印刷層を表刷りで形成した包装材を作製した。
透明基材(1)の外層側(表面)の全面に、前記黒色地色印刷層インキを用いてグラビア印刷で表刷り(ベタ印刷)し、厚み0.5μmの黒色地色印刷層を形成した。次いで、前記光輝性印刷層用インキをグラビア印刷で表刷りし、厚み1.0μmの光輝性印刷層を形成し、光輝性印刷層が形成されていない箇所の一部に、前記有彩色層用インキをグラビア印刷で裏刷りし、厚み1.5μmの有彩色層を形成することにより、光輝性印刷層及び有彩色層を有する絵柄印刷層を形成した。
次いで、絵柄印刷層上の全面に、透明マット層用インキ(1)をグラビア印刷し、厚み3.5μmの透明マット層を形成した。次いで、光輝性印刷層が形成された箇所に対応する領域の透明マット層(1)上に、前記クリア層用インキをグラビア印刷し、厚み3.0μmのクリア層を形成した。
そして、透明基材(1)の内層側(裏面)に、中間層(1)(遮光性を有するガスバリア層)としてアルミ蒸着PETをドライラミネート用接着剤で貼り合わせ、さらに、シーラント層としてポリエチレンフィルムをドライラミネート用接着剤で貼り合わせた。
得られた包装材の外層側からの積層構成の概略は、クリア層(3.0μm)/透明マット層(1)(3.5μm)/絵柄印刷層(1.5μm)/黒色地色印刷層(0.5μm)/透明基材(1)(15μm)/接着剤層(3.5μm)/中間層(1)(12μm)/接着剤層(3.5μm)/シーラント層(1)(100μm)である。
なお、各層の構成材料等の詳細は実施例1と同様である。
上記実施例で作製した各包装材の透明マット層の外層側(表面)について、JIS B0601:1994に準じて、表面粗さを下記条件にて測定し、カットオフ値0.8mmでの最大高さRy及び算術平均粗さRaを求めた。これらの結果を下記表1に示す。
<測定条件>
・測定機器:表面粗さ測定機、株式会社東京精密製「サーフコム130A」
・基準長さ:粗さ曲線のカットオフ値λc=0.8mm
・測定速度:0.15mm/s
・測定レンジ:400μm
上記実施例及び比較例で作製した各包装材について、20人の試験モニターによる外観の視認性評価試験を行った。
試験は、室外光を遮光した室内で、蛍光灯の下で、包装材を様々な方向に傾けながら外層側から目視観察し、光沢感のコントラスト及び絵柄の荒れの印象を評価した。
外層表面全体に透明マット層が形成されている比較例1を参照基準として、下記(1)~(4)の基準にて採点した。
(1)コントラストが下記(2)よりも強く、絵柄が精細で強調されている +2点
(2)コントラストが参照基準よりも強いが、絵柄がやや荒っぽい +1点
(3)コントラスト及び絵柄の荒れが参照基準と同等程度 0点
(4)コントラストが参照基準より劣り、絵柄が荒い -1点
試験モニター20人の採点結果の平均値を算出し、以下のように評価を行った。これらの評価結果を下記表1に示す。
<評価ランク>
A:平均点+1.5点以上
B:平均点+0.5点以上+1.5点未満
C:平均点0点以上+0.5点未満
D:平均点0点未満
2 透明マット層
3 透明基材
4 絵柄印刷層
4a 有彩色層
4b 光輝性印刷層
5 地色印刷層
6 クリア層
7 中間層
8 シーラント層
Claims (10)
- 少なくとも、透明マット層、透明基材、絵柄印刷層及び地色印刷層が、この順に外層側から積層された構成を備え、
前記絵柄印刷層により絵柄が形成されてなる領域の前記外層側の表面の一部に、下記(a)及び(b)の少なくともいずれかの構成を有する、包装材。
(a)前記透明マット層の外層側表面に積層されたクリア層
(b)前記透明マット層の未積層部分 - 前記絵柄印刷層が、有彩色層及び光輝性印刷層の少なくともいずれかを含む、請求項1に記載の包装材。
- 前記地色印刷層が、黒色地色層及び白色地色層の少なくともいずれかを含む、請求項1又は2に記載の包装材。
- 前記透明マット層の外層側表面のJIS B0601:1994に準じて測定されるカットオフ値0.8mmでの最大高さRyが8μm以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の包装材。
- 前記地色印刷層の内層側にシーラント層が積層されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装材。
- 前記透明マット層が、バインダー樹脂及びマット剤を含み、前記バインダー樹脂が2液硬化型樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の包装材。
- 前記透明マット層は、外層側表面のJIS B0601:1994に準じて測定されるカットオフ値0.8mmでの最大高さRyと、外層側表面のJIS B0601:1994に準じて測定されるカットオフ値0.8mmでの算術平均粗さRaとの比Ry/Raが、12以下である、請求項1~6のいずれか1項に記載の包装材。
- 少なくとも一部が、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装材で形成されている包装容器。
- 前記包装容器がパウチである、請求項8に記載の包装容器。
- 容器本体の収容部を封止するように前記容器本体に接合される蓋体であって、請求項1~7のいずれか1項に記載の包装材で形成されている蓋体。
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