JP7202495B1 - 水性ニス組成物、キット、印刷層付き物品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】透明性、収縮後の白化耐性及び耐擦過性に優れた印刷層を形成できる水性ニス組成物、キット、印刷層付き物品及びその製造方法の提供。【解決手段】水性バインダー樹脂(A)と、平均粒子径が1~8μmの大粒径ワックス(B)と、平均粒子径が0.005~0.3μmの小粒径ワックス(C)と、シリコーン系添加剤(D)と、水性媒体(E)とを含有する水性ニス組成物であって、前記大粒径ワックス(B)の含有量が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して5質量%以下である、水性ニス組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、水性ニス組成物、キット、印刷層付き物品及びその製造方法に関する。
飲料、惣菜や弁当などの食品、化粧品等の日用品等の包装容器として、プラスチック製容器、金属製容器、紙製容器等が用いられている。これらの包装容器には、プラスチックラベルを装着することが多い。プラスチックラベルとしては、包装容器の形状に追従でき、包装容器にフィットしやすいことから、熱をかけることで収縮する熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)の裏面である第二の面に、意匠性や機能性等の付与を目的としてインキ組成物を用いて形成された印刷層(以下、「絵柄層」ともいう。)が設けられたシュリンクラベルが使用されている。
また、表面保護等を目的として熱収縮性フィルムの表面にニス組成物が印刷され、熱収縮性フィルムの表面である第一の面にも印刷層が設けられることもある。
これらインキ組成物やニス組成物としては、従来、有機溶剤系のものが用いられていたが、環境負荷の低減等の観点から、水性化が進められている。
例えば特許文献1には、熱収縮性フィルムの裏面に、水性インキを用いて形成された印刷層が設けられたシュリンクラベルが開示されている。
特開2001-215880号公報
ところで、シュリンクラベルの製造に用いられるニス組成物には、形成される印刷層に耐擦過性を付与する目的で、通常、ワックスが含まれている。ワックスの含有量が増えるほど印刷層の耐擦過性は高まる傾向にあるが、ニス組成物の透明性が低下する傾向にもある。
シュリンクラベルは熱をかけることで熱収縮フィルムが収縮するが、熱収縮フィルムの表面(第一の面)にニス組成物を用いて形成された印刷層は熱収縮フィルムほどの収縮性を有していない。そのため、熱収縮フィルムが収縮すると印刷層に細かいひび割れが生じ、印刷層が白化したように見えることがある。上述したように、ニス組成物中のワックスの含有量が増えるとニス組成物の透明性が低下するため、収縮前の印刷層の透明性も低下し、収縮後の印刷層がより白化しやすくなる(収縮後の白化耐性の低下)。収縮前の印刷層の透明性が低下したり、収縮後の印刷層の白化耐性が低下したりすると、熱収縮性フィルムの裏面(第二の面)に設けられた印刷層(絵柄層)の視認性が低下してしまう。
ニス組成物中のワックスの含有量を減らせば、印刷層の透明性及び収縮後の白化耐性の低下を抑制できるが、十分な耐擦過性が得られにくくなる。
このように、熱収縮フィルムの表面(第一の面)に形成される印刷層の透明性及び白化耐性と、耐擦過性を両立することは困難である。
特許文献1に記載された水性インキは、熱収縮性フィルムの裏面(第二の面)に絵柄層を形成するものであり、透明性及び収縮後の白化耐性と、耐擦過性とを両立した印刷層を形成できる水性のニス組成物は、未だ知られていない。
本発明の目的は、透明性、収縮後の白化耐性及び耐擦過性に優れた印刷層を形成できる優れた水性ニス組成物、キット、印刷層付き物品及びその製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 水性バインダー樹脂(A)と、平均粒子径が1~8μmの大粒径ワックス(B)と、平均粒子径が0.005~0.3μmの小粒径ワックス(C)と、シリコーン系添加剤(D)と、水性媒体(E)とを含有する水性ニス組成物であって、
前記大粒径ワックス(B)の含有量が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して5質量%以下である、水性ニス組成物。
[2] 前記大粒径ワックス(B)/前記小粒径ワックス(C)で表される質量比が、0.1~10である、前記[1]の水性ニス組成物。
[3] 前記大粒径ワックス(B)及び前記小粒径ワックス(C)の含有量の合計が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.5~8質量%である、前記[1]又は[2]の水性ニス組成物。
[4] 前記シリコーン系添加剤(D)の含有量が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.1~5質量%である、前記[1]~[3]のいずれかの水性ニス組成物。
[5] 前記シリコーン系添加剤(D)が、ポリジメチルシロキサンを含む、前記[1]~[4]のいずれかの水性ニス組成物。
[6] 前記水性バインダー樹脂(A)が、アクリル樹脂エマルジョン及びアクリルウレタン樹脂エマルジョンの少なくとも一方を含む、前記[1]~[5]のいずれかの水性ニス組成物。
[7] 前記大粒径ワックス(B)及び前記小粒径ワックス(C)の少なくとも一方が、ポリオレフィンワックスを含む、前記[1]~[6]のいずれかの水性ニス組成物。
[8] フレキソ印刷用である、前記[1]~[7]のいずれかの水性ニス組成物。
[9] 硬化剤(F)をさらに含む、前記[1]~[8]のいずれかの水性ニス組成物。
[10] 前記[1]~[8]のいずれかの水性ニス組成物と硬化剤(F)とを各々独立して含有する、キット。
[11] プラスチックフィルムの第一の面に、前記[1]~[9]のいずれかの水性ニス組成物又は前記[10]のキットを用いて形成された第一の印刷層が設けられた、印刷層付き物品。
[12] 前記プラスチックフィルムの第二の面に、第二の印刷層が設けられた、前記[11]の印刷層付き物品。
[13] 前記プラスチックフィルムが熱収縮性フィルムである、前記[11]又は[12]の印刷層付き物品。
[14] プラスチックフィルムの第一の面に、前記[1]~[9]のいずれかの水性ニス組成物又は前記[10]のキットを用いて第一の印刷層を形成する工程を含む、印刷層付き物品の製造方法。
[15] 前記プラスチックフィルムの第二の面に、第二の印刷層を形成する工程をさらに含む、前記[14]の印刷層付き物品の製造方法。
[16] 前記プラスチックフィルムが熱収縮性フィルムである、前記[14]又は[15]の印刷層付き物品の製造方法。
本発明によれば、透明性、収縮後の白化耐性及び耐擦過性に優れた印刷層を形成できる水性ニス組成物、キット、印刷層付き物品及びその製造方法を提供できる。
本発明の印刷層付き物品の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
本発明において、水性ニス組成物における「水性」とは、媒体として水を含むことを意味する。
「水性アクリル樹脂」とは、「水溶性アクリル樹脂」及び「水分散性アクリル樹脂(アクリル樹脂エマルジョン、アクリル樹脂ディスパージョン)」の総称である。「水性アクリルウレタン樹脂」、「水性ウレタン樹脂」等についても同様である。
「不揮発分」とは、水性ニス組成物に含まれる成分のうち、水や有機溶剤等の揮発する媒体を除いた成分を指し、最終的に印刷層を形成することになる成分であり、具体的にはJIS K 5601-1-2:2008に準拠して測定したものである。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の総称である。「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の総称である。
[水性ニス組成物]
本発明の一実施形態に係る水性ニス組成物は、以下に示す水性バインダー樹脂(A)と、大粒径ワックス(B)と、小粒径ワックス(C)と、シリコーン系添加剤(D)と、水性媒体(E)とを含有する。
水性ニス組成物は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、必要に応じて水性バインダー樹脂(A)、大粒径ワックス(B)、小粒径ワックス(C)、シリコーン系添加剤(D)及び水性媒体(E)以外の成分(任意成分)をさらに含有してもよい。
<水性バインダー樹脂(A)>
水性バインダー樹脂(A)としては、水性アクリル樹脂、水性アクリルウレタン樹脂、水性ウレタン樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性塩酢ビ共重合樹脂、水性セルロース樹脂、水性エポキシ樹脂、水性オレフィン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、水性ニス組成物又は後述のキットを用いて形成される印刷層(以下、「第一の印刷層」又は「保護層」ともいう。)の、プラスチックフィルム等の基材への密着性、耐擦過性がより向上する観点から、水性アクリル樹脂、水性アクリルウレタン樹脂、水性ウレタン樹脂が好ましく、水性アクリル樹脂、水性アクリルウレタン樹脂がより好ましく、アクリル樹脂エマルジョン、アクリルウレタン樹脂エマルジョンがさらに好ましく、アクリル樹脂エマルジョンが特に好ましい。
これらの水性バインダー樹脂(A)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(水性アクリル樹脂)
水性アクリル樹脂は、(メタ)アクリレート単位を含む樹脂である。
水性アクリル樹脂としては、例えば(メタ)アクリレートの単独重合体、2種以上の(メタ)アクリレートの共重合体、(メタ)アクリレートと(メタ)アクリレート以外の単量体との共重合体が挙げられる。
水性アクリル樹脂を構成する全ての単量体単位の総質量に対する(メタ)アクリレート単位の割合は、10~100質量%が好ましく、20~100質量%がより好ましい。
(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート等のアリール(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリレート以外の単量体としては、例えば1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン化合物;スチレン、α-メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド等のアクリルアミド;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等の不飽和カルボン酸;マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチル等の不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。
これらの単量体は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
水性アクリル樹脂の重量平均分子量は、5000~1500000が好ましく、10000~1200000がより好ましく、20000~1000000がさらに好ましい。水性アクリル樹脂の重量平均分子量が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐溶剤性、耐ブロッキング性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の基材に対する密着性が向上する。
水性アクリル樹脂の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。
水性アクリル樹脂のガラス転移温度は、-10~80℃が好ましく、0~70℃がより好ましく、0~60℃がさらに好ましい。水性アクリル樹脂のガラス転移温度が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて耐ブロッキング性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の基材に対する密着性が向上し、加えて収縮後の白化耐性が向上する。
以下、本明細書において、ガラス転移温度が-10~80℃である水性アクリル樹脂を「水性アクリル樹脂(a1)」ともいう。
なお、ガラス転移温度が80℃を超える水性アクリル樹脂(以下、「水性アクリル樹脂(a2)」ともいう。)であっても、密着性及び収縮後の白化耐性を損なわない範囲であれば、耐ブロッキング性の向上を目的として、水性アクリル樹脂(a1)と併用してもよい。
水性アクリル樹脂(a1)と水性アクリル樹脂(a2)とを併用する場合、水性アクリル樹脂(a2)の割合が多くなるほど耐ブロッキング性は高まる傾向にある。耐ブロッキング性が高まる観点で、水性アクリル樹脂(a2)の質量に対する水性アクリル樹脂(a1)の質量比、すなわち、水性アクリル樹脂(a1)/水性アクリル樹脂(a2)で表される質量比(以下、「a1/a2比」ともいう。)は10以下が好ましく、9以下がより好ましく、8.5以下がさらに好ましく、8以下が特に好ましく、7.5以下が最も好ましい。一方、密着性及び収縮後の白化耐性を良好に維持する観点では、a1/a2比は0.5以上が好ましく、0.8以上がより好ましく、1以上がさらに好ましく、1.5以上が特に好ましく、2以上が最も好ましい。
a1/a2比の上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。例えば、密着性及び収縮後の白化耐性と、耐ブロッキング性のバランスを考慮すると、a1/a2比は0.5~10が好ましく、0.8~9がより好ましく、0.8~8.5がより好ましく、0.8~8がより好ましく、0.8~7.5がさらに好ましく、1~7.5がよりさらに好ましく、1.5~7.5が特に好ましく、2~7.5が最も好ましい。
水性アクリル樹脂のガラス転移温度は、JIS K 7121:2012に準拠し、以下のようにして測定される。
示差走査熱量計を用い、水性アクリル樹脂10mgを-100℃から160℃まで、20℃/分の条件で昇温させて得られる曲線(DSC曲線)におけるベースラインと吸熱カーブの接線との交点からガラス転移温度を求める。
水性アクリル樹脂は酸価を有することが好ましく、酸価は10~300mgKOH/gが好ましく、15~250mgKOH/gがより好ましい。水性アクリル樹脂が酸価を有することで、良好な水溶性が得られる。また、後述の硬化剤(F)を併用する際には硬化剤と架橋することで堅牢な第一の印刷層が得られる。
水性アクリル樹脂の酸価は、試料不揮発分1g当たりのカルボキシ基等の酸基を中和するのに必要な水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、JIS K 5601-2-1:1999に準拠して測定される。
水性アクリル樹脂は、(メタ)アクリレートと、必要に応じて(メタ)アクリレート以外の単量体とを含む単量体成分を重合することで得られる。
重合方法としては特に限定されないが、例えば公知のラジカル重合開始剤の存在下で、単量体成分を溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法等で重合する方法が挙げられる。
水性アクリル樹脂は自己架橋型であってもよい。
水性アクリル樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば星光PMC株式会社製の商品名「ハイロス-X TE-1048」、「ハイロス-X NE-2186」、「ハイロス-X KE-1062」、「ハイロス-X QE-1042」、「ハイロス-X X-436」、「ハイロス-X KE-1060」、「ハイロス-X HE-2342」、「ハイロス-X HE-1335」、「ハイロス-X RE-1075」、「ハイロス-X PE-1304」、「ハイロス-X KE-2536」、「ハイロス-X J-140A」、「ハイロス-X TE-1102」、「ハイロス-X RE-218」、「ハイロス-X NE-2009」、「ハイロス-X JE-1056」、「ハイロス-X KE-1148」、「ハイロス-X M-141」、「ハイロス-X ME-2039」、「ハイロス-X UE-1051」、「ハイロス-X PE-1126」、「ハイロス-X JE-1113」;アイカ工業株式会社製の商品名「ウルトラゾール A-25」、「ウルトラゾール A-35」、「ウルトラゾール A-40」、「ウルトラゾール A-50」、「ウルトラゾール C-63」、「ウルトラゾール C-70」、「ウルトラゾール D-32」、「ウルトラゾール D-40」、「ウルトラゾール GP-300」、「ウルトラゾール UL-1097」;BASFジャパン株式会社製の商品名「ジョンクリルPDX-7357」、「ジョンクリルPDX-7182」、「ジョンクリルPDX-7326」、「ジョンクリルPDX-7616A」、「ジョンクリルPDX-7732」、「ジョンクリルPDX-7741」、「ジョンクリルPDX-7787」、「ジョンクリルPDX-7356」、「ジョンクリルPDX-7734」、「ジョンクリルPDX-7777」、「ジョンクリルPDX-7615」、「ジョンクリルPDX-7775」、「ジョンクリルPDX-7692」、「ジョンクリルPDX-7630A」、「ジョンクリルPDX-7158」、「ジョンクリル352D」、「ジョンクリルPDX-7199」、「ジョンクリルPDX-7358」、「ジョンクリルPDX-7667」、「ジョンクリルPDX-7700」、「ジョンクリルPDX-7696」、「ジョンクリルPDX-7780」、「ジョンクリルPDX-7177」、「ジョンクリルPDX-7164」、「ジョンクリルPDX-7430」が挙げられる。
これら水性アクリル樹脂は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(水性アクリルウレタン樹脂)
水性アクリルウレタン樹脂としては、例えば、多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物、又は多価イソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとの反応生成物が挙げられる。
多価イソシアネート化合物としては、例えば脂肪族、脂環式、芳香族等の多価イソシアネート化合物が挙げられる。多価イソシアネート化合物の具体例としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート等の脂肪族ジイソシアネート;水添化ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、3-イソシアネートメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル-2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル-2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン等の脂環式ジイソシアネート;m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4-又は2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;上記ジイソシアネートを用いて、アロファネート構造、ヌレート構造、ビウレット構造等を有する多量体化した多価イソシアネート化合物;1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエン、1,3,5-トリイソシアネートヘキサン等のトリイソシアネート;4,4’-ジフェニルジメチルメタン-2,2’-5,5’-テトライソシアネート等のポリイソシアネートが挙げられる。
これらの多価イソシアネート化合物は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として用いて、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を重合して得られるポリエーテルポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA等の飽和又は不飽和のグリコール類と、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸等の二塩基酸又はこれらに対応する酸無水物やダイマー酸等とを脱水縮合して得られるポリエステルポリオール;ポリエチレンポリオール、ポリプロピレンポリオール等のポリオレフィンポリオール;前記二塩基酸又はそれらのジアルキルエステルと、前記ポリエーテルポリオールとを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオール;前記グリコール類と、メチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等とを反応させて得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。
これらのポリオール化合物は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、水性アクリル樹脂の説明において先に例示したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、水性アクリルウレタン樹脂として、例えばコア部にアクリル樹脂を有し、シェル部にウレタン樹脂を有するコアシェル型の樹脂を用いてもよい。
水性アクリルウレタン樹脂の重量平均分子量は、5000~120000が好ましく、10000~100000がより好ましく、10000~80000がさらに好ましい。水性アクリルウレタン樹脂の重量平均分子量が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐溶剤性、耐ブロッキング性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて基材に対する密着性が向上する。
水性アクリルウレタン樹脂の重量平均分子量は、水性アクリル樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定できる。
水性アクリルウレタン樹脂のガラス転移温度は、-30~100℃が好ましく、-30~90℃がより好ましく、-20~90℃がさらに好ましい。水性アクリルウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて耐ブロッキング性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて基材に対する密着性が向上する。
水性アクリルウレタン樹脂のガラス転移温度は、水性アクリル樹脂のガラス転移温度と同様の方法により測定できる。
水性アクリルウレタン樹脂は酸価を有することが好ましく、酸価は1~100mgKOH/gが好ましく、1~60mgKOH/gがより好ましい。水性アクリルウレタン樹脂が酸価を有することで良好な水溶性が得られる。また、後述の硬化剤(F)を併用する際には硬化剤と架橋することで堅牢な第一の印刷層が得られる。
水性アクリルウレタン樹脂の酸価は、水性アクリル樹脂の酸価と同様の方法により測定できる。
水性アクリルウレタン樹脂は、多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを、又は多価イソシアネート化合物とヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートとを公知の方法により反応させることで得られる。
水性アクリルウレタン樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば大成ファインケミカル株式会社製の商品名「WEM-200U」、「WEM-505C」、「WEM-3000」などが挙げられる。
水性アクリルウレタン樹脂は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(水性ウレタン樹脂)
水性ウレタン樹脂としては、例えば多価イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応生成物が挙げられる。多価イソシアネート化合物は、1分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する有機化合物である。ポリオール化合物は、1分子中に少なくとも2つの水酸基を有する有機化合物である。
多価イソシアネート化合物としては、水性アクリルウレタン樹脂の説明において先に例示した多価イソシアネート化合物が挙げられる。
ポリオール化合物としては、水性アクリルウレタン樹脂の説明において先に例示したポリオール化合物が挙げられる。
水性ウレタン樹脂の重量平均分子量は、3000~100000が好ましく、7000~90000がより好ましく、20000~80000がさらに好ましい。水性ウレタン樹脂の重量平均分子量が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐ブロッキング性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて基材に対する密着性が向上する。
水性ウレタン樹脂の重量平均分子量は、水性アクリル樹脂の重量平均分子量と同様の方法により測定できる。
水性ウレタン樹脂のガラス転移温度は、-10~130℃が好ましく、20~120℃がより好ましく、40~100℃がさらに好ましい。水性ウレタン樹脂のガラス転移温度が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐ブロッキング性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて基材に対する密着性が向上する。
水性ウレタン樹脂のガラス転移温度は、水性アクリル樹脂のガラス転移温度と同様の方法により測定できる。
水性ウレタン樹脂は酸価を有することが好ましく、酸価は1~60mgKOH/gが好ましく、1~50mgKOH/gがより好ましい。水性ウレタン樹脂が酸価を有することで良好な水溶性が得られる。また、後述の硬化剤(F)を併用する際には硬化剤と架橋することで堅牢な第一の印刷層が得られる。
水性ウレタン樹脂の酸価は、水性アクリル樹脂の酸価と同様の方法により測定できる。
水性ウレタン樹脂は、例えば、多価イソシアネート化合物とポリオール化合物とを公知の方法により反応させることで得られる。
また、多価イソシアネート化合物とポリオール化合物との反応生成物に対して、加水分解性ケイ素基含有化合物を反応させて、シラノール基を導入してもよい。本明細書において、シラノール基を導入した水性ウレタン樹脂を「シラノール基含有水性ウレタン樹脂」ともいう。
加水分解性ケイ素基含有化合物は、加水分解性ケイ素基を含有する化合物であり、加水分解性ケイ素基に加えて活性水素基をさらに含有することが好ましい。
加水分解性ケイ素基としては、シラノール縮合触媒の存在下又は非存在下で、加水分解を受けたときに生じる加水分解性基がケイ素基原子に結合している基が挙げられる。加水分解性基としては、例えば水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。通常、加水分解性基は、1つのケイ素原子に1~3つの範囲で結合している。
活性水素基としては、例えばアミノ基、ヒドロキシ基、メルカプト基などが挙げられる。
水性ウレタン樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばDIC株式会社製の商品名「ハイドランWLS-210」;日華化学株式会社製の商品名「ネオステッカー400」、「ネオステッカー200」;第一工業製薬株式会社製の商品名「スーパーフレックス500M」;三井化学株式会社製の商品名「タケラックW-6010」、「タケラックWS-5100」、「タケラックWS-4000」、「タケラックW-635」が挙げられる。
水性ウレタン樹脂は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<大粒径ワックス(B)>
大粒径ワックス(B)は、第一の印刷層の耐擦過性の向上のために用いられる。
大粒径ワックス(B)は、平均粒子径が1~8μmのワックスである。
大粒径ワックス(B)の平均粒子径は、1~8μmであり、2~6μmが好ましい。大粒径ワックス(B)の平均粒子径が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐擦過性が向上し、上記上限値以下であればフレキソ印刷時に水性ニス組成物の基材への転移性が向上する。
大粒径ワックス(B)の平均粒子径は、コールターカウンター法により体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される体積基準の累積頻度50%の粒子径(メジアン径:D50)であり、体積平均粒子径ともいう。
コールターカウンター法とは、溶液中に分散しているワックス粒子を細孔に通過させることにより、粒子が通過する際の電気信号の変化から、粒子の粒子径及び粒子径分布を電気的に測定する方法である。
大粒径ワックス(B)は粒子状であればどのような形状でもよいが、球状であることが好ましく、真球状であることがより好ましい。形状が真球に近くなるほど第一の印刷層の耐擦過性がより向上する傾向にある。
大粒径ワックス(B)としては、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、ポリテトラフルオロエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アマイドワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、蜜蝋などが挙げられる。これらの中でも耐摩耗性が向上する観点から、ポリオレフィンワックスが好ましく、ポリエチレンワックスがより好ましい。
これらの大粒径ワックス(B)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ポリオレフィンワックスの軟化点は90~150℃が好ましく、100~140℃がより好ましい。ポリオレフィンワックスの軟化点が上記範囲内であれば、耐摩耗性が向上する。
ポリオレフィンワックスの軟化点は、環球法(JIS K 2207)により測定できる。
大粒径ワックス(B)は、水に分散したディスパージョンの状態で用いてもよい。
また、大粒径ワックス(B)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば三井化学株式会社製の商品名「ケミパールW100」、「ケミパールW200」、「ケミパールW300」、「ケミパールW308」、「ケミパールW400」、「ケミパールW401」、「ケミパールW500」、「ケミパールW640」、「ケミパールW700」、「ケミパールW800」;BYK社製の商品名「CERAFLOUR925」、「CERAFLOUR929」、「CERAFLOUR960」、「CERAFLOUR961」、「CERAFLOUR988」、「CERAFLOUR991」、「CERAFLOUR994」、「CERAFLOUR1000」;BASFジャパン製の商品名「ジョンクリルワックス4」が挙げられる。
<小粒径ワックス(C)>
小粒径ワックス(C)は、第一の印刷層の透明性及び収縮後の白化耐性の向上のために用いられる。
小粒径ワックス(C)は、平均粒子径が0.005~0.3μmのワックスである。
小粒径ワックス(C)の平均粒子径は、0.005~0.3μmであり、0.01~0.2μmが好ましい。小粒径ワックス(C)の平均粒子径が、上記下限値以上であれば耐摩耗性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の透明性及び収縮後の白化耐性が向上する。
小粒径ワックス(C)の平均粒子径は、動的光散乱方式により体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される体積基準の累積頻度50%の粒子径(メジアン径:D50)であり、体積平均粒子径ともいう。
小粒径ワックス(C)は粒子状であればどのような形状でもよいが、球状であることが好ましく、真球状であることがより好ましい。形状が真球に近くなるほど第一の印刷層の透明性及び収縮後の白化耐性がより向上する傾向にある。
小粒径ワックス(C)としては、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等)、ポリテトラフルオロエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アマイドワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、カルナバワックス、蜜蝋などが挙げられる。これらの中でも耐摩耗性が向上する観点から、ポリオレフィンワックスが好ましく、ポリエチレンワックスがより好ましい。
ポリオレフィンワックスの融点は90~160℃が好ましく、100~140℃がより好ましい。
これらの小粒径ワックス(C)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
小粒径ワックス(C)は、水に分散したエマルジョンの状態で用いてもよい。
また、小粒径ワックス(C)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばBASFジャパン株式会社製の商品名「ジョンクリルワックス26」、「ジョンクリルワックス28」;BYK社製の商品名「AQUACER507」、「AQUACER515」、「AQUACER526」、「AQUACER531」、「AQUACER537」、「AQUACER539」、「AQUACER552」、「AQUACER840」、「AQUACER1547」、「AQUATIX8421」;東邦化学工業株式会社製の商品名「ハイテックE-6314」、「ハイテックE-1000」「ハイテックE-6500」、「ハイテックE-9015」、「ハイテックE-6400」、「ハイテックE-8237」、「ハイテックE-5403P」、「ハイテックE-4A」、「ハイテックP-9018」、「ハイテックP-5300」、「ハイテックP-5800」、「ハイテックP-5060P」が挙げられる。
<シリコーン系添加剤(D)>
シリコーン系添加剤(D)は、第一の印刷層の耐擦過性の向上のために用いられる。
シリコーン系添加剤(D)は、シロキサン結合を有する化合物である。
シリコーン系添加剤(D)としては、例えばポリジメチルシロキサン等のポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。ポリオルガノシロキサンは、一部が有機基で変性していていもよいし、変性していなくてもよいが、有機変性することで水性媒体(E)への溶解性や分散性が高まるため好ましい。また、ポリオルガノシロキサンは、反応性であってもよいし、非反応性であってもよいが、後述の硬化剤(F)を併用する際には反応性である方が好ましい。また、ポリオルガノシロキサンはオイル状であってもよいし、エマルジョン又はディスパージョンであってもよい。シリコーン系添加剤(D)は、アクリル樹脂骨格に共重合したものであってもいい。その場合、バインダー樹脂であるアクリル樹脂との相溶性が高まり透明性が向上する。
なお、本明細書においては、ポリオルガノシロキサンの一部が有機基で変性したものを特に「変性ポリオルガノシロキサン」又は「変性シリコーン」ともいう。
変性ポリオルガノシロキサンとしては、例えばポリエーテル変性ポリオルガノシロキサン、アミノ変性ポリオルガノシロキサン、エポキシ変性ポリオルガノシロキサン、アルキル変性ポリオルガノシロキサン、ポリエステル変性ポリオルガノシロキサン、ポリエーテルエステル変性ポリオルガノシロキサン、フェニル変性ポリオルガノシロキサンなどが挙げられる。これらの中でも、シリコーン系添加剤(D)以外の成分との相溶性が高まる観点では、ポリエーテル変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。また、水性媒体(E)への分散性や後述の硬化剤(F)との反応性が高まる観点では、アミノ変性ポリオルガノシロキサン、エポキシ変性ポリオルガノシロキサンが好ましい。
シリコーン系添加剤(D)としては、ポリジメチルシロキサンが好ましく、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサンがより好ましい。
これらのシリコーン系添加剤(D)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
シリコーン系添加剤(D)としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばBYK社製の商品名「BYK302」、「BYK-307」、「BYK313」、「BYK322」、「BYK323」、「BYK325N」、「BYK326」、「BYK327」、「BYK330」、「BYK331」、「BYK-333」、「BYK342」、「BYK-345」、「BYK-346」、「BYK347」、「BYK-348」、「BYK349」、「BYK-375」、「BYK377」、「BYK378」、「BYK3450」、「BYK3451」、「BYK3455」、「BYK3456」、「BYK3760」、「BYK3550」、「BYK SILCLEAN 3700」、「BYK SILCLEAN 3701」、「BYK SILCLEAN 3720」;信越化学工業株式会社製の商品名「KF-351A」、「KF-352A」、「KF-353」、「KF-354L」、「KF-355A」、「KF-615A」、「KF-945」、「KF-640」、「KF-642」、「KF-643」、「KF-6020」、「X-22-4515」、「KF-868」、「KF-865」、「KF-864」、「KF-859」、「KF-393」、「KF-860」、「KF-880」、「KF-8004」、「KF-8002」、「KF-8005」、「KF-867」、「KF-869」、「KF-861」、「X-22-343」、「KF-101」、「KF-1001」、「X-22-2000」、「X-22-3820W」、「X-22-3939A」、「KP-124」、「KP-109」、「KP-110」、「KP-121」、「KP-118」、「KP-341」、「KP-112」、「KP-125」、「KP-101」、「KP-106」、「KP-126」、「KP-360A」」、「KP-361」、「KP-390」、「KP-391」、「KP-392」、「PAM-E」、「KF-8010」、「X-22-161A」、「X-22-161B」、「KF-8012」、「KF-8008」、「POLON-MF-14」、「POLON-MF-14E」、「POLON-MF-51」、「POLON-MF-14EC」、「POLON-MF-63」、「KM-9771」;ダウ・東レ株式会社製の商品名「DOWSIL 501W Additive」、「DOWSIL FZ-2104 Fluid」、「DOWSIL FZ-2110」、「DOWSIL FZ-2123」、「DOWSIL FZ-2164」、「DOWSIL FZ-2191」、「DOWSIL FZ-5609 Fluid」、「DOWSIL L-7001」、「DOWSIL L-7002」、「DOWSIL L-7604」、「DOWSIL OFX-0309 Fluid」、「DOWSIL OFX-5221 Fluid」、「DOWSIL SF-8410 Fluid」、「DOWSIL OFX-0193 Fluid」、「DOWSIL SH-3746 Fluid」、「DOWSIL SH-3771 Fluid」、「DOWSIL SH-8400 Fluid」、「DOWSIL SH-8700 Fluid」、「DOWSIL Y-7006」、「DOWSIL FZ-2203」、「DOWSIL FZ-2215」、「DOWSIL FZ-2222」、「DOWSIL BY16-205」、「DOWSIL BY16-213」、「DOWSIL BY16-849 Fluid」、「DOWSIL BY16-853U」、「DOWSIL BY16-871」、「DOWSIL BY16―872」、「DOWSIL BY16-879B」、「DOWSIL BY16-892」、「DOWSIL FZ-3705」、「DOWSIL FZ-3710 Fluid」、「DOWSIL FZ-3785」、「DOWSIL SF-8417 Fluid」;EVONIK社製の商品名「テゴグライド482」が挙げられる。
<水性媒体(E)>
水性媒体(E)としては、例えば水;水と有機溶剤との混合溶剤が挙げられる。
混合溶剤における有機溶剤としては、水に可溶であれば特に制限されないが、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、i-ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン等のケトン系溶剤;プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル系溶剤が挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
水性媒体の総質量に対する水の含有量は、60~100質量%が好ましく、70~100質量%がより好ましく、80~100質量%がさらに好ましい。
<任意成分>
任意成分としては、例えば増粘剤、硬化剤(F)、沈降防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、粘弾性調整剤、消泡剤、滑剤、分散剤、安定剤が挙げられる。
これらの任意成分は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
なお、視認性を考慮すると、水性ニス組成物は顔料等の着色剤を実質的に含まないことが好ましい。
ここで、「実質的に含まない」とは、意図せずして含有するものを除き、積極的に着色剤を配合しないことを意味する。
増粘剤は、水性ニス組成物の粘度調整のために用いられる。
増粘剤としては、例えばウレタン系増粘剤、ポリアクリル系増粘剤、ポリアマイド系増粘剤、セルロース系増粘剤、ベントナイト等の粘土鉱物等の増粘剤が挙げられる。これらの中でも、ウレタン系増粘剤がより好ましい。
ウレタン系増粘剤はいわゆる会合型の増粘剤であり、水性媒体(E)中において、ウレタン結合同士が会合することにより、効果的に増粘作用を示す。ウレタン系増粘剤(ウレタン会合型増粘剤)としては、例えば、分子中にウレタン結合とポリエーテル鎖を有し、末端に疎水基を有する化合物が挙げられる。市販品のウレタン系増粘剤としては、サンノプコ株式会社製の商品名「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」が挙げられる。
これらの増粘剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(硬化剤(F))
硬化剤(F)は、第一の印刷層の耐水性の向上のために用いられる。
水性ニス組成物が硬化剤(F)をさらに含んでいれば、印刷現場において水性ニス組成物に硬化剤(F)を外添する場合に比べて作業性が向上する。
なお、本明細書において、硬化剤(F)を含まない水性ニス組成物を「第一の水性ニス組成物」ともいい、硬化剤(F)を含む水性ニス組成物を「第二の水性ニス組成物」ともいう。
硬化剤(F)としては、公知のものを用いることができ、例えばイソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、エポキシ系硬化剤、アジリジン系硬化剤などが挙げられる。これらの中でも、第一の印刷層の耐擦過性がより向上する観点から、イソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤が好ましく、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤がより好ましい。
これらの硬化剤(F)は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
イソシアネート系硬化剤の具体例としては、水性アクリルウレタン樹脂の説明において先に例示した多価イソシアネート化合物が挙げられる。
イソシアネート系硬化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
ブロックイソシアネート系硬化剤の具体例としては、イソシアネート系硬化剤のブロック剤(例えば、アルコール系化合物、フェノール系化合物、オキシム系化合物、ラクタム系化合物、ピラゾール系化合物、及び活性メチレン化合物等)によるブロック体が挙げられる。
これらのブロックイソシアネート系硬化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
カルボジイミド系硬化剤は、1分子中に2個以上のカルボジイミド基を含有する化合物である。カルボジイミド系硬化剤の具体例としては、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)が挙げられる。市販品のカルボジイミド系硬化剤としては、日清紡ケミカル株式会社製の商品名「カルボジライト」シリーズが挙げられる。
これらのカルボジイミド系硬化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
オキサゾリン系硬化剤は、1分子中に2個以上のオキサゾリン基を含有する化合物である。オキサゾリン系硬化剤の具体例としては、2,2’-ビス-(2-オキサゾリン)、2,2’-メチレン-ビス-(2-オキサゾリン)、2,2’-(1,4-フェニレン)-ビス(2-オキサゾリン)等の多価オキサゾリンや、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン、2-イソプロペニル-5-エチル-2-オキサゾリン等のオキサゾリン基含有単量体単位を有する重合体又は共重合体が挙げられる。オキサゾリン基含有単量体はそれぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。また、オキサゾリン基含有単量体と、この単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。市販品のオキサゾリン系硬化剤としては、株式会社日本触媒製の商品名「エポクロス」シリーズが挙げられる。
これらのオキサゾリン系硬化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
エポキシ系硬化剤は、1分子中に2個以上のエポキシ基を含有する化合物である。エポキシ系硬化剤の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、トリグリシジルアミノフェノール、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートとこれと共重合可能なビニル単量体との共重合体が挙げられる。市販品のエポキシ系硬化剤としては、三菱ケミカル株式会社製の商品名「jER」シリーズが挙げられる。
これらのエポキシ系硬化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
アジリジン系硬化剤は、1分子中に2個以上のアジリジン基を含有する化合物である。アジリジン系硬化剤の具体例としては、2,2-ビスヒドロキシメチルブタノール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネート]や4,4’-ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタンが挙げられる。市販品のアジリジン系硬化剤としては、株式会社日本触媒製の商品名「ケミタイト」シリーズが挙げられる。
これらのアジリジン系硬化剤は1種を単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
<各成分の含有量>
水性バインダー樹脂(A)の含有量は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して80~99質量%が好ましく、83~98質量%がより好ましく、85~97質量%がさらに好ましい。水性バインダー樹脂(A)の含有量が、上記下限値以上であれ第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、加えて基材に対する密着性が向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の耐ブロッキング性を許容範囲で容易に維持できる。
水性ニス組成物が水性アクリル樹脂(a1)を含有する場合、水性アクリル樹脂(a1)の含有量は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して40~99質量%が好ましく、50~99質量%がより好ましく、60~98質量%がさらに好ましく、80~98質量%がよりさらに好ましく、83~97質量%が特に好ましく、85~97質量%が最も好ましい。
大粒径ワックス(B)の含有量は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して5質量%以下であり、0.2~5質量%が好ましく、0.5~4%がより好ましく、1~3質量%がさらに好ましい。大粒径ワックス(B)の含有量が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の透明性及び収縮後の白化耐性が向上する。
大粒径ワックス(B)及び小粒径ワックス(C)の含有量の合計(以下、「B+C」ともいう。)は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.5~8質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~8質量%がさらに好ましい。大粒径ワックス(B)及び小粒径ワックス(C)の含有量の合計が、上記下限値以上であれば透明性を維持しつつ耐摩耗性が向上し、上記上限値以下であれば耐摩耗性を維持しつつ透明性及び収縮後の白化耐性がより向上する。
小粒径ワックス(C)の質量に対する大粒径ワックス(B)の質量比、すなわち、大粒径ワックス(B)/小粒径ワックス(C)で表される質量比(以下、「B/C比」ともいう。)は、0.1~10が好ましく、0.2~5がより好ましく、0.3~2.5がさらに好ましい。B/C比が、記下限値以上であれば耐摩耗性が許容値以上となり、上記上限値以下であれば透明性及び収縮後の白化耐性を許容範囲で良好に維持できる。
シリコーン系添加剤(D)の含有量は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.1~5質量%が好ましく、0.2~4質量%がより好ましく、0.2~3質量%がさらに好ましい。シリコーン系添加剤(D)の含有量が、上記下限値以上であれば第一の印刷層の耐擦過性がより向上し、上記上限値以下であれば収縮後の白化耐性を許容範囲で良好に維持できる。
水性媒体(E)の含有量は、水性ニス組成物の総質量に対して45~80質量%が好ましく、50~75質量%がより好ましく、60~70質量%がさらに好ましい。水性媒体(E)の含有量が、上記下限値以上であれば水性ニス組成物の流動性が良好となり、上記上限値以下であれば水性ニス組成物の塗膜の乾燥性が良好となる。
なお、アルコール系溶剤の含有量は、水性ニス組成物の総質量に対して0~5質量%が好ましく、0~4質量%がより好ましく、0~3質量%がさらに好ましい。アルコール系溶剤の含有量が5質量%を超えると、フレキソ印刷時に乾燥が早すぎて版からみ等の印刷不良となる傾向にある。
任意成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば特に制限されないが、例えば水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0~15質量%が好ましく、0~12質量%がより好ましく、0~10質量%がさらに好ましい。
水性ニス組成物が任意成分として増粘剤を含む場合、増粘剤の含有量は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.01~5質量%が好ましく、0.05~3質量%がより好ましい。増粘剤の含有量が、上記下限値以上であれば増粘剤による効果が充分に発現され水性ニス組成物の粘度を所望の値に容易に調整でき、上記上限値以下であれば水性ニス組成物の物性を良好に維持できる。
水性ニス組成物が任意成分として硬化剤(F)を含む場合、硬化剤(F)の含有量は、水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.5~15質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。硬化剤(F)の含有量が、上記下限値以上であれば硬化剤(F)による効果が充分に発現され堅牢な第一の印刷層が得られやすくなり、上記上限値以下であればフレキソ印刷時に版からみ等の印刷不良を抑制できる。
<製造方法>
本実施形態の水性ニス組成物は、例えば水性バインダー樹脂(A)、大粒径ワックス(B)、小粒径ワックス(C)、シリコーン系添加剤(D)及び水性媒体(E)と、必要に応じて任意成分のうちの1つ以上とを、各成分が所望の含有量となるように混合することで得られる。
各成分の混合方法としては特に限定されず、種々の方法により各成分を混合することができる。
<用途>
本実施形態の水性ニス組成物は、グラビア印刷又はフレキソ印刷により、プラスチックフィルム等の基材の表面に印刷する際のニスとして好適である。特に、フレキソ印刷により基材の表面に印刷する際のニスとして好適である。すなわち、本実施形態の水性ニス組成物は、フレキソ印刷用として好適である。
<作用効果>
上述したように、通常、ワックスの粒子径が大きくなるほど、またワックスの含有量が多くなるほど、印刷層の耐擦過性は向上する傾向にあるものの、透明性が低下しやすくなる。
しかし、本実施形態の水性ニス組成物であれば、ワックス成分として上述した大粒径ワックス(B)と小粒径ワックス(C)とを併有し、かつ大粒径ワックス(B)の含有量が水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して5質量%以下である。よって、粒子径が大きすぎるワックスを用いたり、大粒径ワックス(B)の含有量を過剰に増やしたりしなくても、小粒径ワックス(C)との併用効果により、本実施形態の水性ニス組成物を用いて形成される第一の印刷層は十分な耐擦過性を発現できる。また、粒子径が大きすぎるワックスを用いたり、大粒径ワックス(B)の含有量を過剰に増やしたりする必要がないので、第一の印刷層の透明性も良好に維持できる。透明性に優れる第一の印刷層を収縮しても白化しにくいため、第一の印刷層は収縮後の白化耐性にも優れる。
加えて、本実施形態の水性ニス組成物は、上述した大粒径ワックス(B)及び小粒径ワックス(C)に加えて、上述した水性バインダー樹脂(A)、シリコーン系添加剤(D)及び水性媒体(E)を含有するので、透明性、収縮後の白化耐性及び耐擦過性に優れた第一の印刷層を形成できる。
特に、水性ニス組成物が上述した硬化剤(F)をさらに含有していれば、耐水性にも優れる第一の印刷層を形成できる。
[キット]
本発明の一実施形態に係るキットは、上述した本発明の水性ニス組成物と硬化剤(F)とを各々独立して含有する。
ここで「独立して」とは、水性ニス組成物と硬化剤(F)とが互いに非接触とされた状態で存在することを意味し、例えばキットは、水性ニス組成物が収容された第1の容器と、硬化剤(F)が収容された第2の容器とを備えている。
キットを構成する水性ニス組成物は、任意成分として硬化剤(F)を含んでいてもよいし、含まなくてもよいが、水性ニス組成物の保存安定性を考慮すると、キットを構成する水性ニス組成物は硬化剤(F)を含まないことが好ましい。すなわち、キットを構成する水性ニス組成物としては、第一の水性ニス組成物が好ましい。また、キットとしては、第一の水性ニス組成物が収容された第1の容器と、硬化剤(F)が収容された第2の容器とを備えたものが好ましい。
キットを構成する硬化剤(F)としては、本発明の水性ニス組成物において、任意成分の一例として先に例示した硬化剤(F)が挙げられる。
第2の容器には、硬化剤(F)以外の成分(他の成分)が含まれていてもよい。
他の成分としては、例えば溶剤、安定剤などが挙げられる。
溶剤としては、水性ニス組成物の説明において先に例示した水性媒体(E)が挙げられる。
キットは、使用時に水性ニス組成物と硬化剤(F)とを混合して使用される。
水性ニス組成物と硬化剤(F)とを混合する際は、水性ニス組成物の不揮発分100質量部に対して、硬化剤(F)が0.5~15質量部の割合となるように、両者を混合することが好ましく、より好ましくは1~10質量部であり、さらに好ましくは1~9.5質量部である。硬化剤(F)の割合が、上記下限値以上であれば硬化反応が十分に進行し、上記上限値以下であれば第一の印刷層の耐水性がより向上する。
<作用効果>
以上説明した本実施形態のキットは、本発明の水性ニス組成物と硬化剤(F)とを各々独立して含有する、所謂2液型のニスであり、本実施形態のキットを用いれば、透明性、収縮後の白化耐性及び耐擦過性に加えて耐水性に優れた第一の印刷層をできる。
また、本発明の水性ニス組成物を2液型のニスとして用いることで、1液型であり硬化剤(F)を含まないニスに比べて後述するプラスチックフィルム等の基材に対する第一の印刷層の密着性が向上する。加えて、第一の印刷層自体の強度が高まる。
[印刷層付き物品]
図1に、本発明の一実施形態に係る印刷層付き物品の一例を示す。なお、図1における寸法比は、説明の便宜上、実際のものとは異なったものである。
この例の印刷層付き物品10は、基材であるプラスチックフィルム11と、プラスチックフィルム11の第一の面11aに設けられた第一の印刷層12と、プラスチックフィルム11の第二の面11bに設けられた第二の印刷層13とを備える。
なお、本明細書において、プラスチックフィルム11の第一の面11aを「表面」ともいい、プラスチックフィルム11の第二の面11bを「裏面」ともいう。
<プラスチックフィルム>
プラスチックフィルム11の種類は、印刷層付き物品10の種類等に応じて適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、印刷層付き物品10を熱収縮性ラベル(シュリンクラベル)として用いる場合には、プラスチックフィルム11は熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)が好ましい。印刷層付き物品10をストレッチラベルとして用いる場合には、プラスチックフィルム11はストレッチフィルムが好ましい。これらの中でも、プラスチックフィルム11は、熱収縮性フィルムが好ましい。
プラスチックフィルム11としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、非晶性ポリエチレンテレフタレート(A-PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、及びポリ乳酸等のポリエステルフィルム;低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、及びポリプロピレン(PP)等のポリオレフィンフィルム;セロファン等のセルロースフィルム;ポリスチレン(PS)フィルム;エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂フィルム;エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂フィルム;ポリアミド(Ny)フィルム;ポリカーボネートフィルム;ポリイミドフィルム;ポリ塩化ビニルフィルムなどが挙げられる。これらのフィルムは、用途に応じて適宜選択できる。例えば、印刷層付き物品10を熱収縮性ラベル(シュリンクラベル)として用いる場合には、プラスチックフィルム11としては、一軸収縮性ポリスチレンフィルム、一軸収縮性PETフィルム、一軸収縮性ポリオレフィンフィルム、一軸収縮性ポリ塩化ビニルフィルムが好ましい。
プラスチックフィルム11としては、例えば、二軸延伸PPフィルム及び無延伸PPフィルム等のように、延伸及び無延伸のいずれのプラスチックフィルムも用いることができる。プラスチックフィルム11の表面には、コロナ放電処理、プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理等の表面処理が施されていてもよい。
プラスチックフィルム11は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。すなわち、プラスチックフィルム11は、単層フィルムであってもよいし、積層フィルムであってもよい。プラスチックフィルム11が積層フィルムである場合、同じ種類のフィルムを2枚以上積層した構成であってもよいし、異なる種類のフィルムを2枚以上積層した構成であってもよい。好ましいフィルムの組み合わせの一例としては、ポリエステルフィルムをプラスチックフィルム11の表面側とし、ポリスチレンフィルムもしくはポリオレフィンフィルムをプラスチックフィルム11の裏面側とする組み合わせ、環状ポリオレフィンフィルムをプラスチックフィルム11の表面側とし、ポリエチレンフィルムもしくはポリプロピレンフィルムをプラスチックフィルム11の裏面側とする組み合わせなどが挙げられる。
プラスチックフィルム11の厚さは、12~100μmが好ましく、12~60μmがより好ましく、12~50μmがさらに好ましい。
<第一の印刷層>
第一の印刷層12は、プラスチックフィルム11の第一の面11aに設けられている。
第一の印刷層12は、上述した本発明の水性ニス組成物又はキットを用いて形成された印刷層であり、保護層の役割を果たす。
第一の印刷層12の厚さは、0.3~3.0μmが好ましく、0.3~2.0μmがより好ましく、0.3~1.5μmがさらに好ましい。
<第二の印刷層>
第二の印刷層13は、プラスチックフィルム11の第二の面11bに設けられている。
第二の印刷層13は、上述した本発明の水性ニス組成物又はキットを用いて形成されてもよいし、他のニス組成物を用いて形成されていてもよいが、印刷層付き物品10に意匠性や機能性等を付与する点でインキ組成物を用いて形成されていることが好ましい。すなわち、第二の印刷層13は、インキ組成物を用いて形成された印刷層(絵柄層)であることが好ましい。
第二の印刷層13は、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
第二の印刷層13の合計の厚さは、0.3~15μmが好ましく、0.3~10μmがより好ましく、0.3~8μmがさらに好ましい。
インキ組成物としては、水性インキ組成物が好ましい。
水性インキ組成物としては特に限定されず、公知のものを使用できるが、例えば水性バインダー樹脂と、水性媒体と、着色剤と、必要に応じて他の成分とを含有する組成物などが挙げられる。
水性バインダー樹脂としては、上述した本発明の水性ニス組成物の説明において先に例示した水性バインダー樹脂(A)などが挙げられる。
水性媒体としては、上述した本発明の水性ニス組成物の説明において先に例示した水性媒体(E)などが挙げられる。
着色剤としては、例えばアゾ系顔料(モノアゾ、縮合アゾ等)、スレン系顔料(アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系、チオインジゴ系等)、フタロシアニン系顔料(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等)、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ピロロピロール系顔料、アニリンブラック、有機蛍光顔料等の有機顔料;天然物(クレー等)、フェロシアン化物(紺青等)、硫化物(硫化亜鉛等)、硫酸塩、酸化物(酸化クロム、亜鉛華、酸化チタン、酸化鉄等)、水酸化物(水酸化アルミニウム等)、ケイ酸塩(群青等)、炭酸塩、炭素(カーボンブラック、グラファイト等)、金属粉(アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛粉等)、焼成顔料等の無機顔料などが挙げられる。
他の成分としては、例えばワックス類、分散剤、消泡剤、潤滑剤、滑剤などが挙げられる。
<製造方法>
本実施形態に係る印刷層付き物品10の製造方法は、プラスチックフィルム11の第一の面11aに、本発明の水性ニス組成物又はキットを用いて第一の印刷層12を形成する工程(1)と、プラスチックフィルム11の第二の面11bに、第二の印刷層13を形成する工程(2)とを含む。
工程(1)と工程(2)の順序については特に制限されず、工程(1)の後に工程(2)を行ってもよいし、工程(2)の後に工程(1)を行ってもよい。
工程(1)では、例えばプラスチックフィルム11の第一の面11aに本発明の水性ニス組成物を塗工し、乾燥させて第一の印刷層12を形成する。
本発明のキットを用いて第一の印刷層12を形成する場合、キットに含まれる水性ニス組成物と硬化剤(F)とを混合して混合物を調製し、得られた混合物をプラスチックフィルム11の第一の面11aに塗工し、乾燥させて第一の印刷層12を形成すればよい。水性ニス組成物と硬化剤(F)とを混合する際の混合割合は、上述した通りである。
水性ニス組成物又は混合物の塗工方法としては特に限定されず、例えばグラビア印刷、フレキソ印刷、ハケ塗り、グラビアコーター法、ダイコーター法、バーコーター法、スプレーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法及びカーテンコート法等の公知の塗工方法を用いることができる。これらの中でも、品質及び生産性の高さから、フレキソ印刷が好ましい。
乾燥方法としては、プラスチックフィルム11の第一の面11aに塗工された水性ニス組成物又は混合物に含まれる水性媒体(E)を除去できれば特に制限されないが、例えば減圧乾燥、加圧乾燥、加熱乾燥、風乾が挙げられる。
加熱する際の温度は、30~150℃が好ましく、40~100℃がより好ましい。
工程(2)では、例えばプラスチックフィルム11の第二の面11bに水性インキ組成物を塗工し、乾燥させて第二の印刷層13を形成する。
水性インキ組成物の塗工方法としては、水性ニス組成物又は混合物の塗工方法と同様の方法が挙げられる。
乾燥方法としては、プラスチックフィルム11の第二の面11bに塗工された水性インキ組成物に含まれる水性媒体を除去できれば特に制限されず、水性ニス組成物の乾燥方法と同様の方法が挙げられる。
<用途>
印刷層付き物品10は、飲料、惣菜や弁当などの食品、化粧品等の日用品等の包装容器に装着されるプラスチックラベルとして用いることができる。特に、印刷層付き物品10を構成するプラスチックフィルム11が熱収縮性フィルムである場合、シュリンクラベルとして好適である。
<作用効果>
以上説明した本実施形態の印刷層付き物品は、プラスチックフィルムの第一の面に、上述した本発明の水性ニス組成物又はキットを用いて形成された第一の印刷層が設けられている。第一の印刷層は耐擦過性に優れているので、印刷層付き物品は傷つきにくい。しかも、第一の印刷層は透明性にも優れているので、プラスチックフィルムの第二の面に設けられた第二の印刷層を視認しやすい。特に、プラスチックフィルムが熱収縮性フィルムであり、印刷層付き物品をシュリンクラベルとして用いる場合、第一の印刷層は収縮後の白化耐性にも優れているので、印刷層付き物品が収縮しても第二の印刷層を視認しやすい。
<他の実施形態>
印刷層付き物品は、上述した実施形態に限定されない。
例えば、印刷層付き物品は、第二の印刷層を備えていなくてもよい。
また、図1に示す印刷層付き物品10の場合、第一の印刷層12はプラスチックフィルム11の第一の面11aの全体に設けられているが、第一の印刷層12はプラスチックフィルム11の第一の面11aの一部に設けられていてもよい。この場合、プラスチックフィルム11の第一の面11aの第一の印刷層12が設けられていない領域には、他の印刷層が設けられていることが好ましい。他の印刷層は、例えば体質顔料等のマット剤を含む組成物を用いて形成されることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。以下において、「NV」は不揮発分である。
[使用原料]
水性バインダー樹脂(A)として、以下に示す化合物を用いた。
・A-1:水性アクリルエマルジョン樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリルPDX-7430」、重量平均分子量>200000、ガラス転移温度30℃、最低造膜温度44℃、酸価20mgKOH/g、不揮発分38質量%)。
・A-2:水性アクリルエマルジョン樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリルPDX-7356」、重量平均分子量100000~200000、ガラス転移温度40℃、酸価78mgKOH/g、不揮発分45.5質量%)。
・A-3:水性アクリルウレタンエマルジョン樹脂(大成ファインケミカル株式会社製、商品名「WEM-200U」、ガラス転移温度27℃、酸価16mgKOH/g、不揮発分38質量%)。
・A-4:水性アクリルエマルジョン樹脂(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリルPDX-7696」、重量平均分子量100000~200000、ガラス転移温度86℃、最低造膜温度26℃、酸価122mgKOH/g、不揮発分40質量%)。
大粒径ワックス(B)として、以下に示す化合物を用いた。
・B-1:ポリエチレンワックス(三井化学株式会社製、商品名「ケミパールW400」、体積平均粒子径4μm、不揮発分40質量%、針入度法による硬度3、環球法による軟化点110℃)。
・B-2:ポリエチレンワックス(三井化学株式会社製、商品名「ケミパールW500」、体積平均粒子径4μm、不揮発分40質量%、針入度法による硬度10、環球法による軟化点113℃)。
なお、大粒径ワックス(B)の体積平均粒子径は、コールターカウンター法により体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される体積基準の累積頻度50%の粒子径(メジアン径:D50)である。
小粒径ワックス(C)として、以下に示す化合物を用いた。
・C-1:ポリエチレンワックス(BASFジャパン株式会社製、商品名「ジョンクリルワックス26」、体積平均粒子径0.05μm、不揮発分25質量%、融点130℃)。
・C-2:ポリエチレンワックス(BYK社製、商品名「AQUACER537」、体積平均粒子径0.061μm、不揮発分30質量%、融点110℃)。
なお、小粒径ワックス(C)の体積平均粒子径は、動的光散乱方式により体積基準の粒子径分布を測定し、得られた粒子径分布より算出される体積基準の累積頻度50%の粒子径(メジアン径:D50)である。
シリコーン系添加剤(D)として、以下に示す化合物を用いた。
・D-1:シリコーン変性コポリマー(EVONIK社製、商品名「テゴグライド482」、不揮発分65質量%)。
・D-2:アミノ変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名「KF-868」、不揮発分100質量%)。
・D-3:水酸基含有シリコーン変性アクリル(BYK社製、商品名「BYK SILCLEAN 3700」、不揮発分25質量%)。
増粘剤、硬化剤(F)及び水性媒体(E)として、以下に示す化合物を用いた。
・増粘剤:ウレタン会合型増粘剤(サンノプコ株式会社製、商品名「SNシックナー612」、不揮発分40質量%)。
・F-1:カルボジイミド系硬化剤(日清紡ケミカル株式会社製、商品名「カルボジライトE-02」、不揮発分40質量%)。
・F-2:オキサゾリン系硬化剤(株式会社日本触媒製、商品名「エポクロスWS-500」、不揮発分39質量%)。
・E-1:水。
[評価方法]
<透明性の評価>
ヘイズメーター(スガ試験機株式会社製、製品名「HZ-2型」)を用い、D65光源を使用して、収縮前の印刷物の第一の印刷層側の表面のヘイズ値を測定し、以下の評価基準にて第一の印刷層の透明性を評価した。〇又は△の場合、実用性がある。
〇:ヘイズ値が10%未満。
△:ヘイズ値が10%以上、15%未満。
×:ヘイズ値が15%以上。
<収縮後の白化耐性の評価>
20cmの印刷物を90℃の熱水に30秒間浸漬して15cmに収縮させた。収縮後の印刷物について、ヘイズメーター(スガ試験機株式会社製、製品名「HZ-2型」)を用い、D65光源を使用して、印刷物の第一の印刷層側の表面のヘイズ値を測定し、収縮後の印刷物のヘイズ値から収縮前の印刷物のヘイズ値を差し引いてヘイズ値の差を求め、以下の評価基準にて第一の印刷層の収縮後の白化耐性を評価した。◎、〇又は△の場合、実用性がある。
◎:ヘイズ値の差が50%未満。
〇:ヘイズ値の値が50%以上、100%未満。
△:ヘイズ値の差が100%以上、200%未満。
×:ヘイズ値の差が200%以上。
<耐擦過性の評価>
印刷物から同じ大きさの試験片2枚を切り出した。各試験片を、第一の印刷層同士を対向させて配置し、学振型摩擦堅牢度試験機(テスター産業株式会社製、製品名「AB-301」)を用いて、一方の試験片を固定した状態で他方の試験片を、荷重500gで1000回往復させた。その後、各試験片の第一の印刷層に生じた傷の数や、第一の印刷層の剥がれ具合を目視にて確認し、以下の評価基準にて第一の印刷層の耐擦過性を評価した。〇の場合、実用性がある。
○:傷の数が20本未満。
×:傷の数が20本以上、又は第一の印刷層がプラスチックフィルムから剥がれ、プラスチックフィルムが破れている。
<密着性の評価>
印刷物の第一の印刷層側の表面に幅18mmのセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けて指で圧着した後、このセロハンテープを速やかに剥がし、プラスチックフィルム上に残った第一の印刷層の状態を目視にて確認し、以下の評価基準にて第一の印刷層の基材に対する密着性を評価した。◎、〇又は△の場合、実用性がある。
◎:第一の印刷層が全く剥離していない。
〇:セロハンテープの接着面積に対して、プラスチックフィルムから剥離した第一の印刷層の面積の割合(剥離割合)が0%超、20%未満である。
△:セロハンテープの接着面積に対して、プラスチックフィルムから剥離した第一の印刷層の面積の割合(剥離割合)が20%以上、70%未満である。
×:セロハンテープの接着面積に対して、プラスチックフィルムから剥離した第一の印刷層の面積の割合(剥離割合)が70%未満である。
<収縮後の密着性の評価>
20cmの印刷物を90℃の熱水に30秒間浸漬して15cmに収縮させた。収縮後の印刷物について、第一の印刷層側の表面に幅18mmのセロハンテープ(ニチバン株式会社製)を貼り付けて指で圧着した後、このセロハンテープを速やかに剥がし、プラスチックフィルム上に残った第一の印刷層の状態を目視にて確認し、以下の評価基準にて第一の印刷層の基材に対する密着性を評価した。◎、〇又は△の場合、実用性がある。
◎:第一の印刷層が全く剥離していない。
〇:セロハンテープの接着面積に対して、プラスチックフィルムから剥離した第一の印刷層の面積の割合(剥離割合)が0%超、20%未満である。
△:セロハンテープの接着面積に対して、プラスチックフィルムから剥離した第一の印刷層の面積の割合(剥離割合)が20%以上、70%未満である。
×:セロハンテープの接着面積に対して、プラスチックフィルムから剥離した第一の印刷層の面積の割合(剥離割合)が70%未満である。
<耐水性の評価>
密閉容器に水道水を入れ、印刷物を浸漬させ40℃環境下で24時間保管し、耐水試験を行った。耐水試験後の第一の印刷層の変化を目視にて観察し、以下の評価基準にて第一の印刷層の耐水性を評価した。〇又は△の場合、実用性がある。
〇:第一の印刷層が変化していない。
△:第一の印刷層が白化しており、耐水試験前後におけるヘイズ値の差が20未満である。
×:第一の印刷層が白化しており、耐水試験前後におけるヘイズ値の差が20以上、又は第一の印刷層がフィルムから脱離している。
<耐ブロッキング性の評価>
一軸収縮性PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「東洋紡スペースクリーンS7053」、厚さ40μm)と、印刷物の第一の印刷層側の面とが重なるように、一軸収縮性PETフィルムと印刷物とを重ね合わせ、4kg/cmの荷重をかけた状態で40℃の恒温槽内で24時間放置した。次いで、一軸収縮性PETフィルムと印刷物とを剥離したときの剥離抵抗力と、印刷物の第一の印刷層の外観変化から、以下の評価基準にて耐ブロッキング性を評価した。◎、〇又は△の場合、実用性がある。
◎:剥離抵抗がなく、一軸収縮性PETフィルムへの第一の印刷層の転移が認められない。
〇:ごくわずかに剥離抵抗を感じるが、一軸収縮性PETフィルムへの第一の印刷層の転移が認められない。
△:若干の剥離抵抗を感じるが、一軸収縮性PETフィルムへの第一の印刷層の転移が認められない。
×:剥離抵抗をかなり感じ、一軸収縮性PETフィルムへの第一の印刷層の転移が認められる。
[実施例1~17、比較例1~8]
<水性ニス組成物の調製>
表1~3に示す配合に従って、水性バインダー樹脂(A)と、大粒径ワックス(B)と、小粒径ワックス(C)と、シリコーン系添加剤(D)と、任意成分と、水性媒体(E)とを混合し、水性ニス組成物を得た。
なお、実施例1~14、17で得られた水性ニス組成物は第一の水性ニス組成物である。中でも、実施例8~10で得られた水性ニス組成物は、水性バインダー樹脂(A)として水性アクリル樹脂(a1)及び水性アクリル樹脂(a2)を含む第一の水性ニス組成物である。実施例8の場合、a1/a2比は7.5である。実施例9の場合、a1/a2比は2.4である。実施例10の場合、a1/a2比は0.9である。
実施例15、16で得られた水性ニス組成物は第二の水性ニス組成物である。
また、表中の空欄は、その成分が配合されていないこと(配合量0質量部)を意味する。
水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対する、水性ニス組成物中の各成分の含有量を表1~3に示す。
実施例13、14については、得られた水性ニス組成物(第一の水性ニス組成物)100質量部に対して、表2に示す種類と量の硬化剤(F)とを混合して、混合物を調製した。なお、実施例13の場合、水性ニス組成物(第一の水性ニス組成物)の不揮発分100質量部に対する硬化剤(F)の割合は9.4質量部である。実施例14の場合、水性ニス組成物(第一の水性ニス組成物)の不揮発分100質量部に対する硬化剤(F)の割合は9.1質量部である。
<印刷物の作製>
プラスチックフィルムとして、一軸収縮性PETフィルム(東洋紡株式会社製、商品名「東洋紡スペースクリーンS7053」、厚さ40μm)を用いた。
セルボリューム6.0cm/mのアニロックスロールを搭載したフレキソハンドプルーファーをアプリケーターとして用い、プラスチックフィルムの第一の面に水性ニス組成物又は混合物を乾燥後塗工量が1.0g/mになるように塗工した。次いで、25℃で72時間乾燥させてプラスチックフィルムの第一の面に、厚さ約0.85μmの第一の印刷層を形成し、印刷物を得た。
得られた印刷物を用いて、透明性、収縮後の白化耐性、耐擦過性、密着性、収縮後の密着性、耐水性及び耐ブロッキング性を評価した。結果を表1~3に示す。
Figure 0007202495000001
Figure 0007202495000002
Figure 0007202495000003
表1、2の結果から明らかなように、各実施例で得られた水性ニス組成物又は混合物は、透明性、収縮後の白化耐性及び耐擦過性に優れた第一の印刷層を形成できた。
特に、水性バインダー樹脂(A)として水性アクリル樹脂(a1)と水性アクリル樹脂(a2)を併用した実施例8~10で得られた第一の印刷層は、耐ブロッキング性にも優れていた。
また、硬化剤(F)を併用した実施例13~16で得られた第一の印刷層は、耐水性にも優れていた。
一方、表3の結果から明らかなように、小粒径ワックス(C)を含まない比較例1、6で得られた水性ニス組成物より形成された第一の印刷層は、耐擦過性に劣っていた。
大粒径ワックス(B)を含まない比較例2、7、8で得られた水性ニス組成物より形成された第一の印刷層は、耐擦過性に劣っていた。
シリコーン系添加剤(D)を含まない比較例3で得られた水性ニス組成物より形成された第一の印刷層は、耐擦過性に劣っていた。
大粒径ワックス(B)の含有量が5質量%を超える比較例4で得られた水性ニス組成物より形成された第一の印刷層は、透明性及び収縮後の白化耐性に劣っていた。
大粒径ワックス(B)の含有量が5質量%を超え、かつ、小粒径ワックス(C)を含まない比較例5で得られた水性ニス組成物より形成された第一の印刷層は、透明性及び収縮後の白化耐性に劣っていた。
10 印刷層付き物品
11 プラスチックフィルム
11a 第一の面
11b 第二の面
12 第一の印刷層
13 第二の印刷層

Claims (17)

  1. 水性バインダー樹脂(A)と、平均粒子径が1~8μmの大粒径ワックス(B)と、平均粒子径が0.005~0.3μmの小粒径ワックス(C)と、シリコーン系添加剤(D)と、水性媒体(E)とを含有するシュリンクフィルム用である水性ニス組成物であって、
    前記大粒径ワックス(B)の含有量が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して5質量%以下であ
    水性バインダー樹脂(A)が、ガラス転移温度0~60℃である水性アクリル樹脂(a1)または、ガラス転移温度-20~90℃である水性アクリルウレタン樹脂を含む、水性ニス組成物。
  2. 硬化剤(F)とともに使用されるための水性ニス組成物であって、
    前記硬化剤(F)が、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤、カルボジイミド系硬化剤、オキサゾリン系硬化剤、エポキシ系硬化剤、及びアジリジン系硬化剤からなる少なくとも一種を含む、請求項1に記載の水性ニス組成物。
  3. 前記水性バインダー樹脂(A)が、前記水性アクリル樹脂(a1)およびガラス転移温度が80℃超である水性アクリル樹脂(a2)を含み、
    前記水性アクリル樹脂(a1)/前記水性アクリル樹脂(a2)で表される質量比であるa1/a2比が0.5~10である請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  4. 前記大粒径ワックス(B)/前記小粒径ワックス(C)で表される質量比が、0.1~10である、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  5. 前記大粒径ワックス(B)及び前記小粒径ワックス(C)の含有量の合計が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.5~8質量%である、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  6. 前記シリコーン系添加剤(D)の含有量が、前記水性ニス組成物の不揮発分の総質量に対して0.1~5質量%である、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  7. 前記シリコーン系添加剤(D)が、ポリジメチルシロキサンを含む、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  8. 前記水性アクリル樹脂(a1)が、アクリル樹脂エマルジョンであり、前記水性アクリルウレタン樹脂がアクリルウレタン樹脂エマルジョンである、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  9. 前記大粒径ワックス(B)及び前記小粒径ワックス(C)の少なくとも一方が、ポリオレフィンワックスを含む、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  10. フレキソ印刷用である、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物。
  11. 請求項1に記載の水性ニス組成物と硬化剤(F)とを各々独立して含有する、キット。
  12. プラスチックフィルムの第一の面に、請求項1又は2に記載の水性ニス組成物又は請求項11に記載のキットを用いて形成された第一の印刷層が設けられた、印刷層付き物品。
  13. 前記プラスチックフィルムの第二の面に、第二の印刷層が設けられた、請求項12に記載の印刷層付き物品。
  14. 前記プラスチックフィルムが熱収縮性フィルムである、請求項12に記載の印刷層付き物品。
  15. プラスチックフィルムの第一の面に、請求項1又は2記載の水性ニス組成物又は請求項11に記載のキットを用いて第一の印刷層を形成する工程を含む、印刷層付き物品の製造方法。
  16. 前記プラスチックフィルムの第二の面に、第二の印刷層を形成する工程をさらに含む、請求項15に記載の印刷層付き物品の製造方法。
  17. 前記プラスチックフィルムが熱収縮性フィルムである、請求項15に記載の印刷層付き物品の製造方法。
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