JP7427852B2 - 包装材、包装袋及び包装材の製造方法 - Google Patents

包装材、包装袋及び包装材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒートシール性及び水蒸気バリア性を維持しつつ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び光沢に優れる包装材、包装袋及び該包装材を提供可能な製造方法に関する。
近年、商品パッケージその他の包装物には装飾や表面保護のために印刷が施されているのが一般的である。また、印刷物の意匠性、美粧性、高級感等の印刷品質は、そのでき如何によって、消費者の購入意欲を促進させるものであり、産業上の価値は大きい。
従来、パッケージの構成には主に、プラスチックフィルムを用いたラミネート包装材が用いられてきた。例えば、特許文献1には、基材、印刷層、接着剤層及びシーラント層からなり、印刷層及び接着剤層にバイオマス樹脂が使用されたラミネート包装材に関する発明が記載されている。しかし、ラミネート包装材は、石油由来材料で構成されたプラスチックフィルムの使用量が多く、プラスチック削減、環境対応及びカーボンニュートラルの観点から、紙への変更(紙化包装材)が望まれており、技術開発がなされている。
例えば、特許文献2には、包装材の一部に紙基材を使用した例として、樹脂層、印刷層、紙基材層、金属蒸着膜層、ガスバリア性皮膜層、熱融着樹脂層を順次有する紙製積層体に関する発明が記載されている。しかしながら、印刷層上に形成される樹脂層は、ヒートシール性を付与するため、低密度ポリエチレン等で形成されている。そのため、塗膜の硬さ、強靭性、及び表面平滑性が不足しており、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び表面光沢に課題がある。さらに、紙化包装材は、上記課題に加え、水蒸気バリア性が求められる。
例えば、特許文献3には、表面保護層、印刷層、紙基材層、樹脂層を順次有する包装材料であり、表面保護層にニトロセルロースを含む包装材料に関する発明が記載されている。しかしながら、上記表面保護層は、ニトロセルロースのみから形成されているため、表面保護層の平滑性、タック切れ、及び強靭性が不足しており、光沢、耐ブロッキング性、及び耐熱性に課題がある。
すなわち、紙基材を用いた包装材において、ヒートシール性及び水蒸気バリア性を維持しつつ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び光沢性に優れるものは未だ見出されていない。
特開2018-051796号公報 特開2006-256198号公報 特開2020-55171号公報
本発明は、ヒートシール性及び水蒸気バリア性を維持しつつ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び光沢に優れた包装材及び包装袋を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の包装材を用いることで上記課題を解決することを見出し、本発明を成すに至った。
本発明の一態様に係る包装材は、ヒートシール層、紙基材、印刷層及び表面保護層をこの順に有する包装材であって、前記ヒートシール層が、ポリエチレン樹脂を含み、前記表面保護層が、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、表面保護層のJIS Z 8741によって測定された光沢値が、25以上であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、セルロース系樹脂(A)のJIS K 6703によって測定された粘度が、以下の(1)~(3)いずれかを満たすことを特徴とする。
(1)溶液濃度12.2質量%における粘度が、1.5~16秒である。
(2)溶液濃度20.0質量%における粘度が、3.0~40秒である。
(3)溶液濃度25.0質量%における粘度が、0.1~22秒である。
本発明の一態様に係る包装材は、更に、バリア層を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、セルロース系樹脂(A)が、ニトロセルロース樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、印刷層が、セルロース系樹脂(B)を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、印刷層が、更に、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂(C)を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、セルロース系樹脂(B)と樹脂(C)との質量比率が、99:1~30:70であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、表面保護層が、更にポリアミド樹脂を含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、セルロース系樹脂(A)とポリアミド樹脂との質量比率が、99:1~15:85であることを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材は、表面保護層が、更にアマイドワックスを含むことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装袋は、上記包装材から形成されたことを特徴とする。
本発明の一態様に係る包装材の製造方法は、ヒートシール層、紙基材、印刷層及び表面保護層をこの順に有する包装材の製造方法であって、
紙基材の一方の側に、印刷インキをグラビア印刷して印刷層を形成する工程、
セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含むオーバーコート剤を、印刷層上にグラビア印刷して表面保護層を形成する工程、及び
溶融されたポリエチレン樹脂を、紙基材の他方の側にコートしてヒートシール層を形成する工程、
を含むことを特徴とする。
本発明により、ヒートシール性及び水蒸気バリア性を維持しつつ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び光沢に優れた包装材及び包装袋を提供することができる。
<包装材>
本発明における包装材は、ヒートシール層、紙基材、印刷層及び表面保護層をこの順に有するものであり、ヒートシール層が、ポリエチレン樹脂を含み、表面保護層が、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含むことを特徴とする。上記構成とすることで、包装材の硬さ、柔軟性、強靭性、表面平滑性が良好、となり、優れた耐突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び光沢を発揮することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
なお、本明細書において「部」及び「%」は特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を表す。また、包装材を単に「積層体」と略記する場合があるが同義である。また、「固形分」とは不揮発成分の総質量を表す。
また、本明細書において、「印刷インキ」は顔料等の着色剤を含有するものを表す。一方、「オーバーコート剤」は、顔料等の着色剤を含有しないものを表すが、意図せず混入した僅かな着色剤を含むものを排除するものではない。
<表面保護層>
本発明における表面保護層は、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含む。
表面保護層は、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含むオーバーコート剤により形成することができる。表面保護層の形成方法は、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等、公知の印刷方式から適宜選択でき、好ましくはグラビア印刷方式である。オーバーコート剤の粘度は、印刷適性等の観点から、20~200mPa・sであることが好ましい。
表面保護層の厚みは、0.3~10μmであることが好ましく、より好ましくは1~7μmである。
[オーバーコート剤]
オーバーコート剤は、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含み、さらに有機溶剤を含有してもよい。
(セルロース系樹脂(A))
セルロース系樹脂(A)としては、セルロースエステル樹脂が好適である。セルロースエステル樹脂は、木材繊維や綿花等、非可食性植物由来のセルロースのエステル化により得られる樹脂であり、例えば、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ニトロセルロースが挙げられる。セルロースエステル樹脂は、耐熱性の観点から、ニトロセルロースが好ましい。
セルロース系樹脂(A)は、JIS K 6703-1995に準拠して測定した粘度が、以下の(1)~(3)いずれかを満たすことが好ましい。上記粘度は、セルロース系樹脂(A)のイソプロパノール溶液中を、鋼球が落下する時間(鋼球落下時間(秒))である。
(1)溶液濃度12.2%における粘度が、1.5~16秒である。
(2)溶液濃度20.0%における粘度が、3.0~40秒である。
(3)溶液濃度25.0%における粘度が、0.1~22秒である。
中でも、セルロース系樹脂(A)の粘度は、上記(3)を満たすことが好ましい。上記(3)において、溶液濃度25.0%における粘度は、好ましくは0.5~15秒であり、より好ましくは0.5~9秒である。粘度が上記範囲であると、表面保護層に表面平滑性と強靭性とが付与され、光沢性及び耐熱性が向上する。
セルロース系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000~200,000であり、より好ましくは10,000~100,000、さらに好ましくは10,000~80,000である。上記範囲である場合、塗膜の硬さと柔軟性とを両立することができ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、及び表面保護層と印刷層間との密着性が向上する。
また、セルロース系樹脂(A)のガラス転移温度は80℃~160℃であることが好ましい。上記範囲である場合、表面保護層の硬さと柔軟性とを両立することができ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、及び表面保護層と印刷層間の密着性が向上する。
上記重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができ、ポリエチレングリコールを標準物質に用いた換算分子量として求めることができる。測定器としては、GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC-104等が挙げられ、カラムとしては、昭和電工社製Shodex LF-404等が挙げられる。検出器としては、RI(示差屈折計)等が挙げられ、測定温度は、カラム温度が20~50℃であることが好ましい。溶離液としてはテトラヒロドフラン等が挙げられ、流速は一般的に0.2~5.0mL/分の範囲である。
上記ガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計(DSC測定装置、島津製作所製「DSC-60A」)を用いて測定することができ、ベースラインシフトにおける変曲点の温度をガラス転移温度として用いることができる。測定は、窒素雰囲気下で行うことが好ましく、測定温度範囲は-100~200℃、昇温速度は1~5℃/分が好ましい。
セルロース系樹脂(A)がニトロセルロースである場合、ニトロセルロースの窒素分は、ニトロセルロースの全固形分中、10~13質量%であることが好ましく、より好ましくは10.7~12.2質量%である。上記範囲である場合、表面保護層の硬さと柔軟性とを両立することができ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、及び表面保護層と印刷層間の密着性が向上となる。
ニトロセルロースの重量平均分子量は、好ましくは3,000~40,000、より好ましくは3,000~25,000であることが好ましく、5,000~15,000であることがより好ましい。上記範囲である場合、表面保護層の硬さと柔軟性とを両立することができ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、及び表面保護層と印刷層間の密着性が向上する。
ニトロセルロースの市販品として、例えば、NOBEL社製(DHX3-5、DHX5-10、DHX8-13)が挙げられる。
(可塑剤)
可塑剤は、少ない添加量で、有機溶剤の揮発性を促進させ、表面保護層に柔軟性を付与し印刷層への密着性を高める役割を有する。
可塑剤としては、セルロース系樹脂(A)のほか、表面保護層に含まれるその他樹脂成分との相溶性に優れ、また揮発性の低いものが好適に用いられ、例えば、クエン酸エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、トリメット酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエーテル及びスルホン酸アミド系、ひまし油より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
クエン酸エステルとしては、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸トリn-ブチル、クエン酸アセチルトリn-ブチル、アセチルクエン酸-2-エチルヘキシル等のクエン酸アセチルトリアルキルが好ましい。当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましい。中でも、クエン酸アセチルトリn-ブチル、クエン酸アセチルトリエチル等が好適に用いられる。
フタル酸エステルとしては、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル等のフタル酸ジアルキルが挙げられ、当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましい。中でも、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等が好適に用いられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニル、リン酸トリブチル等のリン酸エステルが好適に挙げられ、より好ましくはリン酸トリブチルである。
トリメット酸エステルとしては、トリメット酸トリ-2-エチルヘキシル、トリメット酸トリオクチル、トリメット酸トリイソノニル等のトリメリット酸トリアルキルが好ましい。当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましい。中でも、トリメット酸トリ-2-エチルヘキシル等が好適に用いられる。
脂肪族二塩基酸エステルとしては、脂肪酸ジアルキルエステル好ましく、当該アルキル基は、炭素数が2~12であることが好ましい。脂肪酸ジアルキルエステルとしては、例えば、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルが挙げられ、中でも、アジピン酸ビス(2-エチルヘキシル)、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、セバシン酸ビス(2-エチルヘキシル)、セバシン酸ジイソノニル、セバシン酸ジイソデシルが好適に用いられる。
スルホン酸アミド系としては、N-ブチルベンゼンスルフォン酸アミドやN-エチルトルエンスルフォン酸アミド等が好ましい。
また、グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられ、
本発明における表面保護層は、ひまし油、グリコールエーテル、脂肪族二塩基酸エステル及びクエン酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも一種の可塑剤を含むことが好ましく、グリコールエーテルがより好ましい。
表面保護層における可塑剤の含有量は、0.1~15質量%であることが好ましく、3~12質量%であることがより好ましく、5~9質量%であることが特に好ましい。上記範囲である場合、表面保護層の硬さと強靭性とを両立することができ、耐ブロッキング性、及び耐熱性が向上する。
本発明の包装材の表面保護層は、光沢値が25以上であることが好ましい。より好ましくは30以上、更に好ましくは35以上、特に好ましくは40以上である。上記光沢値は、JIS Z 8741:1997に準拠して測定した60度光沢値(Gs(60))である。
なお、上記光沢値は、包装材内側のアルミニウム蒸着層等の金属層に関する光沢度(鏡面の反射)をいうものではなく、最表面の表面保護層の光沢値を指す。
表面保護層の光沢値を上記範囲とする観点から、表面保護層は、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤に加えて、更にポリアミド樹脂を含有することが好ましい。また、耐ブロッキング性及び耐熱性の観点から、表面保護層は、更にアマイドワックスを含有することが好ましい。
(ポリアミド樹脂)
本発明の表面保護層は、上述するように、光沢値を25以上とする観点から、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤に加えて、更にポリアミド樹脂を含有することが好ましい。
ポリアミド樹脂は特に制限されないが、有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドであることが好ましく、多塩基酸と多価アミンとの重縮合物が好適に用いられる。
中でも、重合脂肪酸及び/又はダイマー酸を含有する酸成分と、脂肪族及び/又は芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂が好ましく、一級及び二級モノアミンを一部含有するものがより好ましい。
ポリアミド樹脂の原料で使用される多塩基酸としては、例えば、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、スベリン酸、グルタル酸、フマル酸、ピメリン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、テレフタル酸、1、4-シクロヘキシルジカルボン酸、トリメリット酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸、重合脂肪酸が挙げられる。中でも、ダイマー酸、重合脂肪酸が好適に用いられる。
ポリアミド樹脂は、重合脂肪酸、又は(水素添加)ダイマー酸に由来する構造を有することが好ましく、ダイマー酸及び重合脂肪酸に由来する構造を、ポリアミド樹脂中に50質量%以上含有することが好ましい。
ここで、重合脂肪酸とは、不飽和脂肪酸の環化反応等により得られるもので、一塩基性脂肪酸、二量化重合脂肪酸(ダイマー酸)、三量化重合脂肪酸等を含むものである。重合脂肪酸を使用する場合、不飽和脂肪酸を含む一塩基性脂肪酸あるいは、そのエステル重合によって得られたものが好ましく、炭素数が16~22の不飽和脂肪酸又はそのエステルの重合により得られるものが好ましい。重合脂肪酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で併用してもよい。
なお、ダイマー酸又は重合脂肪酸を構成する脂肪酸は、大豆油、パーム油、米糠油等天然油に由来するものが好ましく、オレイン酸及びリノール酸から得られるものがより好ましい。
多塩基酸には、モノカルボン酸を併用することもできる。併用されるモノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
多価アミンとしては、例えば、ポリアミン、一級又は二級モノアミンを挙げることができる。
上記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、メチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ジアミン;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等の脂肪族ポリアミン;シクロヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン等の脂環族ポリアミン;キシリレンジアミン等の芳香脂肪族ポリアミン;フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンを挙げることができる。
一級及び二級モノアミンとしては、n-ブチルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン等を挙げることができる。
ポリアミド樹脂は、接着性、耐ブロッキング性、耐油性、耐熱性の観点から、分子内に水酸基を有することが好ましく、一級又は二級モノアミン成分としてアルカノールアミンを用いることが好ましい。
ポリアミド樹脂の市販品としては、例えば、ベジケムグリーンシリーズ(築野食品工業社製)、ニューマイドシリーズ(ハリマ化成社製)等を使用することができる。
ポリアミド樹脂は、軟化点が80~140℃であることが好ましく、90~120℃であることがより好ましい。軟化点が80℃以上の場合、表面保護層の表面タック切れが良好となり、ブロッキングを抑制できる。軟化点が140℃以下の場合、表面保護層が柔軟となり、表面保護層と印刷層間の密着性が向上する。
ポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂の溶解性の観点から重量平均分子量が2,000~70,000の範囲であることが好ましく、5,000~30,000であることがより好ましい。重量平均分子量が2,000以上の場合、表面保護層が強靭となり、耐熱性が向上する。重量平均分子量が50,000以下の場合、オーバーコート剤の粘度を低くすることができ、貯蔵安定性が良好となる。
なお、軟化点はJIS K 2207(環球法)に準拠して測定することができる。
表面保護層における、セルロース系樹脂(A)とポリアミド樹脂との質量比は、好ましくは99:1~15:85、より好ましくは50:50~15:85、更に好ましくは30:70~15:85である。上記範囲内であると、表面保護層の硬さ、強靭性、及び表面平滑性のバランスが良好となり、耐ブロッキング性、耐熱性、光沢性に優れる。
(その他樹脂)
オーバーコート剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、セルロース系樹脂(A)及びポリアミド樹脂以外のその他樹脂を含んでもよい。その他樹脂としては、例えば、ポリ乳酸樹脂、ウレタン樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、ロジン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル酸樹脂、スチレン-アリルアルコール樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、無水マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、シクロオレフィン樹脂、ダンマル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの変性樹脂を挙げることができる。
(有機溶剤)
オーバーコート剤は、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルシクロへキサン、エチルシクロへキサン等の炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン等のケトン系;酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系;メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、イソプロパノ-ル(IPA)、ブタノ-ル等のアルコ-ル系;の非芳香族系有機溶剤を使用することができる。有機溶剤は、印刷後の皮膜に残留する溶剤量低減等を考慮して適宜選択すればよく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
印刷時の網点再現性を向上させるために、グリコールエーテル系の溶剤を使用するのが好ましい。グリコールエーテル系の溶剤の溶剤としては、特に制限されないが、例えば、エチレングリコール系(E.O.系)エーテル、プロピレングリコール系(P.O.系)エーテルが挙げられる。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、より好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルである。グリコールエーテル系の溶剤は、有機溶剤中5~25質量%であることが好ましい。
(アマイドワックス)
本発明のオーバーコート剤及び表面保護層は、上述するように、耐ブロッキング性及び耐熱性の観点から、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤に加えて、更にアマイドワックスを含有することが好ましい。
アマイドワックスとは脂肪酸アミドであり、脂肪酸残基とアミド基を有するものが好ましい。脂肪酸アミドは印刷後には表面保護層の表面に配向し、滑り性を発現させて耐ブロッキング性を向上させると考えられる。なお本説明は技術的考察に基づくものであり、発明を何ら限定するものではない。
脂肪酸アミドとしては、例えば、モノアミド、置換アミド、ビスアミド、メチロールアミド、及びエステルアミドが好適に挙げられ、モノアミド、置換アミド、及びビスアミドからなる群より選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
脂肪酸アミドの融点は、50℃~150℃であることが好ましい。
融点が50℃~150℃のモノアミドとしては、例えば、ラウリン酸アミド(融点87℃)、パルミチン酸アミド(融点100℃)、ステアリン酸アミド(融点101℃)、ベヘン酸アミド(融点110℃)、ヒドロキシステアリン酸アミド(融点107℃)、オレイン酸アミド(融点75℃)、エルカ酸アミド(融点81℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃の置換アミドとしては、例えば、N-オレイルパルミチン酸アミド(融点68℃)、N-ステアリルステアリン酸アミド(融点95℃)、N-ステアリルオレイン酸アミド(融点67℃)、N-オレイルステアリン酸アミド(融点74℃)、N-ステアリルエルカ酸アミド(融点69℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃のビスアミドとしては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド(融点142℃)、エチレンビスステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アミド(融点145℃)、エチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド(融点140℃)、ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド(融点142℃)、ヘキサメチレンヒドロキシステアリン酸アミド(融点135℃)、エチレンビスオレイン酸アミド(融点119℃)、エチレンビスエルカ酸アミド(融点120℃)、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド(融点110℃)、N,N’-ジステアリルアジピン酸アミド(融点141℃)、N,N’-ジステアリルセバシン酸アミド(融点136℃)、N,N’-ジオレイルアジピン酸アミド(融点118℃)、N,N’-ジオレイルセバシン酸アミド(融点113℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃のメチロールアミドとしては、例えば、メチロールステアリン酸アミド(融点110℃)が挙げられる。
融点が50℃~150℃のエステルアミドとしては、例えば、ステアロアミドエチルステアレート(融点82℃)が挙げられる。
中でも、ラミネート強度を維持するために分子量が200~800のものが好ましい。更に好ましくは250~700である。
脂肪酸アミドを構成する脂肪酸としては、炭素数12~22の飽和脂肪酸及び/又は炭素数16~25の不飽和脂肪酸が好ましく、炭素数16~18の飽和脂肪酸及び/又は炭素数18~22の不飽和脂肪酸がより好ましい。飽和脂肪酸として特に好ましくはラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸であり、不飽和脂肪酸として特に好ましくはオレイン酸、エルカ酸である。
中でも、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、及びエルカ酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の脂肪酸からなる脂肪酸アミドが好ましく、より好ましくは、パルチミン酸アミド、エルカ酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミドであり、特に好ましくはエチレンビスオレイン酸アミドである。
表面保護層に含まれるアマイドワックスの含有量は、好ましくは0.1~22.5質量%であり、より好ましくは0.1~15質量%、更に好ましくは0.1~7.5質量%である。上記範囲である場合、表面保護層のタック切れと強靭性とを両立することができ、耐ブロッキング性、及び耐熱性が向上する。
(添加剤)
表面保護層は、本発明の効果を損なわない範囲で、添加剤等の任意成分を含有してもよい。
《炭化水素ワックス粒子》
オーバーコート剤及び表面保護層は、炭化水素ワックス粒子を含むことが好ましい。炭化水素ワックス粒子を含むことで、表面保護層の耐摩擦性が向上する。
炭化水素ワックス粒子は、硬度(針入度)が0.5~12である炭化水素系ワックス粒子であることが好ましい。炭化水素ワックス粒子としては、例えば、ポリエチレンワックス、フィッシャー・トロプシュ・ワックス、パラフィンワックス、マイクロスタリンワックス、ポリプロピレンワックスが挙げられる。中でもポリエチレンワックスを含む炭化水素系ワックスが好ましい。
オーバーコート剤において、炭化水素系ワックス粒子の平均粒子径は、0.3~10μmであることが好ましく、0.8~7μmであることがより好ましい。当該炭化水素系ワックス粒子の含有量は、表面保護層中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~7質量%である。
《キレート架橋剤》
オーバーコート剤及び表面保護層は、キレート架橋剤を含むことが好ましい。キレート架橋剤としては、例えば、チタンキレート、ジルコニウムキレートが挙げられる。チタンキレートとしては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、テトラメチルチタネート、テトラステアリルチタネート等のチタンアルコキシド、トリエタノールアミンチタネート、チタニウムアセチルアセテトナート、チタニウムテトラアセチルアセトナート、テトライソプロポキシチタン、チタニウムエチルアセトアセテテート、チタニウムラクテート、オクチレングリコールチタネート、n-ブチルリン酸エステルチタン、プロパンジオキスチタンビス(エチルアセチルアセテート)等を挙げることができる。ジルコニウムキレートとしては、ジルコニウムプロピオネート、ジルコニウムアセチルアセテート等が挙げられる。中でも、架橋反応後にアセチルアセトンを発生しないキレート架橋剤が、環境上の観点から好ましい。
キレート架橋剤の含有量は、表面保護層中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。含有量が0.1質量%以上であると耐熱性、耐油性、耐塩ビブロッキング性が向上し、5.0質量%以下の場合、オーバーコート剤の貯蔵安定性に優れる。これらのキレート架橋剤を使用することによって、形成された皮膜の耐摩擦性が向上するという効果を奏する。
<印刷層>
本発明における印刷層は、顔料及びバインダー樹脂を含む層であり、紙基材のヒートシール層を具備した面とは反対の面に配置される。印刷層は、印刷インキを用いて形成され、印刷方法は、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式等、公知の印刷方式から適宜選択でき、好ましくはグラビア印刷である。印刷層の厚みは、0.1~10μmであることが好ましく、0.3~6μmであることがより好ましく、0.5~3μmであることが特に好ましい。
本明細書において「印刷層」とは、単一の印刷層だけでなく、複数の印刷層が積層した層も含み、色相の異なる印刷層を任意に組み合わせることができる。
[印刷インキ]
印刷インキは、顔料及びバインダー樹脂を含み、さらに有機溶剤及び任意の添加剤を含有してもよい。印刷インキは、顔料分散性及び作業性の観点から、25℃における粘度が50~1,000mPa・sであることが好ましい。
(顔料)
顔料としては、例えば、有機顔料、無機顔料、体質顔料が挙げられる。
《有機顔料》
有機顔料としては、有機化合物、有機金属錯体が挙げられ、例えば、溶性アゾ系、不溶性アゾ系、アゾ系、フタロシアニン系、ハロゲン化フタロシアニン系、アントラキノン系、アンサンスロン系、ジアンスラキノニル系、アンスラピリミジン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、フラバンスロン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリン系、インダンスロン系、カーボンブラック系が挙げられる。
また、例えば、カーミン6B、レーキレッドC、パーマネントレッド2B、ジスアゾイエロー、ピラゾロンオレンジ、カーミンFB、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジオキサジンバイオレット、キナクリドンマゼンタ、キナクリドンレッド、インダンスロンブルー、ピリミジンイエロー、チオインジゴボルドー、チオインジゴマゼンタ、ペリレンレッド、ペリノンオレンジ、イソインドリノンイエロー、アニリンブラック、ジケトピロロピロールレッド、昼光蛍光顔料が挙げられる。
有機顔料の色相としては、黒色顔料、藍色顔料、緑色顔料、赤色顔料、紫色顔料、黄色顔料、橙色顔料、及び茶色顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種が好ましい。さらには、黒色顔料、藍色顔料、赤色顔料、及び黄色顔料からなる群より選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
有機顔料の具体例を、カラーインデックス(Colour Index International、略称C.I.)のC.I.ナンバーで示す。
好ましくは、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット37、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントブラック7であり、一種又は二種以上を使用することが好ましい。
《無機顔料》
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、シリカ、アルミニウム粒子、マイカ(雲母)、ブロンズ粉、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、群青、紺青、ベンガラ、黄色酸化鉄、鉄黒、酸化チタン、酸化亜鉛が挙げられ、アルミニウムはリーフィングタイプ又はノンリーフィングタイプがあるが、ノンリーフィングタイプが好ましい。
無機顔料は、酸化チタンを含むものが好ましい。酸化チタンは、結晶構造がアナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型のいずれのものを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。中でも顔料分散性に優れる点から、ルチル型酸化チタンの使用が好ましい。
また、グラビア印刷における印刷適性が向上するため、酸化チタンは表面処理されているものが好ましい。特にSi、Al、Zn、Zr及びそれらの酸化物から選ばれる少なくとも一種の金属により表面処理されているものが好ましい。
酸化チタンは、JIS K5101に準拠して測定した吸油量が、14~35ml/100gであることが好ましく、17~32ml/100gであることがより好ましい。また、酸化チタンは、透過型電子顕微鏡により測定した平均粒子径(メディアン粒子径)が0.2~0.3μmであることが好ましい。
《体質顔料》
体質顔料としては、シリカ、硫酸バリウム、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が好適に用いられる。
(バインダー樹脂)
バインダー樹脂としては、特に制限されず、印刷インキに使用する公知の樹脂から適宜選択できる。このようなバインダー樹脂としては、例えば、ポリ乳酸樹脂、ウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル-アクリル系共重合樹脂、ひまし油系樹脂、ロジン系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン-アクリル樹脂、スチレン樹脂、スチレン-アクリル酸樹脂、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、無水マレイン酸樹脂、マレイン酸樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、シクロオレフィン樹脂、ダンマル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、シリコーン樹脂及びこれらの変性樹脂が挙げられ、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
印刷層は、バインダー樹脂としてセルロース系樹脂(B)を含むことが好ましい。
(セルロース系樹脂(B))
セルロース系樹脂(B)としては、セルロースエステル樹脂が好適である。セルロースエステル樹脂は、木材繊維や綿花等、非可食性植物由来のセルロースのエステル化により得られる樹脂であり、酢酸セルロース、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、ニトロセルロース等が挙げられる。セルロースエステル樹脂は、耐熱性の観点から、ニトロセルロースが好ましい。
セルロース系樹脂(B)及びその好適な態様としては、前述の(セルロース系樹脂(A))の項の記載を援用することができる。
(樹脂(C))
印刷層は、バインダー樹脂として、更に、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂、及びアクリル樹脂、からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂(C)を含有することが好ましい。
中でも、樹脂(C)は、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、及びスチレン-マレイン酸樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、ウレタン樹脂を含むことが更に好ましい。
《ウレタン樹脂》
ウレタン樹脂は、重量平均分子量が10,000~100,000のものが好ましく、より好ましくは20,000~80,000である。ガラス転移温度は0℃以下であることが好ましく、より好ましくは-60~0℃、更に好ましくは-40~-5℃である。上記範囲である場合、印刷層の強靭性及び柔軟性を両立できるため、耐熱性、及び印刷層と基材間の密着性が良好となる。
また、ウレタン樹脂は、アミン価及び/又は水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は、セルロース系樹脂(B)との混合時の褐色変化を鑑み、10mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以下であることがより好ましく、3mgKOH/g以下であることが特に好ましい。水酸基価は0.5~30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1~20mgKOH/gである。上記範囲であると、基材への密着性及びアルコール溶剤への親和性の両立が可能となり、印刷層と基材間の密着性、及び耐アルコールブリード性が良好となる。
上記アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmg数である。アミン価の測定方法は、下記の通りである。
[アミン価の測定方法]
試料を5~10g精秤(S試料の固形分質量g))する。精秤した試料にトルエン25mL及びn-ブタノール25mLを加え充分溶解させる。これに、メタノール30mLを加え、0.1mol/L塩酸水溶液(力価:f)で電位差滴定を行なう。この時の滴定量(AmL)を用い次の(式1)によりアミン価を求めることができる。
(式1)
アミン価=(A×f×0.1×56.108)/S [mgKOH/g]
上記水酸基価は、樹脂中の水酸基を過剰のアセチル化試薬にてアセチル化し、残存する酸をアルカリで逆滴定して算出した樹脂1g中の水酸基量を、水酸化カリウムのmg数に換算した値で、JIS K0070に準拠する。
ウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオール及び/又はポリエステルポリオール由来の構成単位を含むものが好ましく、その含有量の合計は、ウレタン樹脂固形分100質量%中、10~50質量%であることが好ましく、より好ましくは10~60質量%であり、更に好ましくは5~80質量%である。上記範囲である場合、印刷層の強靭性と柔軟性を両立できるため、耐熱性、及び印刷層と基材間の密着性が良好となる。
ウレタン樹脂は、限定されるものではないが、例えば、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させてなる末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーに、鎖延長剤としてポリアミンを反応させて得られるウレタン樹脂が挙げられる。
上記ポリオールとしては、例えば、各種公知のポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等を用いることができ、それぞれ1種又は2種以上を併用してもよい。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、飽和又は不飽和の低分子ポリオールと多価カルボン酸あるいはこれらの無水物を脱水縮合又は重合させて得られるポリエステルポリオール;環状エステル化合物、例えばポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が挙げられる。
上記飽和又は不飽和の低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2メチル-1,3プロパンジオール、2エチル-2ブチル-1,3プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、3-メチル-1,5ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4-ブチンジオール、1,4-ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールが挙げられる。上記多価カルボン酸としては、例えば、アジピン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、こはく酸、しゅう酸、マロン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、酸化メチレン、酸化エチレン、酸化プロピレン、テトラヒドロフランの重合体又は共重合体が挙げられる。
ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオールは、いずれも分岐構造を持つものが好ましい。
上記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等が挙げられる。これらは3量体となってイソシアヌレート環構造を形成していてもよい。
芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートが挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートが挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加された4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネートが挙げられる。
中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びヘキサメチレンジイソシアネートの3量体からなる群より選ばれる少なくとも一種である。これらのポリイソシアネートは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
鎖延長剤としてのポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジアミン等が挙げられる。また、ポリアミンとして、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の、分子内に水酸基を有するポリアミンを用いてもよい。これらの鎖伸長剤は単独で、又は2種以上を混合して用いることができるが、特にイソホロンジアミンが好ましい。
《ポリアミド樹脂》
ポリアミド樹脂は特に制限されないが、有機溶剤に可溶な熱可塑性ポリアミドであることが好ましく、多塩基酸と多価アミンとの重縮合物が好適に用いられる。
中でも、重合脂肪酸及び/又はダイマー酸を含有する酸成分と、脂肪族及び/又は芳香族ポリアミンの反応物を含むポリアミド樹脂が好ましく、一級及び二級モノアミンを一部含有するものがより好ましい。
ポリアミド樹脂及びその好適な態様としては、前述の(ポリアミド樹脂)の項の記載を援用することができる。
《スチレン-マレイン酸共重合樹脂》
スチレン-マレイン酸共重合樹脂は、例えば、スチレンモノマーとマレイン酸モノマーをラジカル共重合させることで得られる。スチレンモノマーとマレイン酸モノマーの固形分質量比率は、スチレンモノマー:マレイン酸モノマー=1:9~6:4であることが好ましく、2:8~5:5であることがより好ましい。
スチレン-マレイン酸共重合樹脂は、酸価が好ましくは150~300mgKOH/gであり、より好ましくは215~270mgKOH/gである。スチレン-マレイン酸共重合体の酸価が150mgKOH/g以上であると、網点再現性が向上する傾向にあり、300mgKOH/g以下であると溶剤に対する溶解性が高くなり、印刷インキの貯蔵安定性に優れる。なお、酸価は、樹脂固形分1g中に含有する酸性基を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数であり、JIS K 0070に準拠する。
スチレン-マレイン酸共重合樹脂のガラス転移温度は、60~125℃が好ましく、70~105℃がより好ましい。スチレン-マレイン酸共重合体のガラス転移温度が60℃以上であると、印刷層が強靭となるため、耐熱性が向上する傾向にある。ガラス転移温度が125℃以下であると、溶剤に対する溶解性が高くなり、印刷インキの貯蔵安定性に優れる。重量平均分子量は、6,000~16,000であることが好ましく、より好ましくは10,000~15,000である。上記範囲の場合、印刷層の強靭性と柔軟性とを両立することができ、耐熱性及び印刷層と基材間の密着性が向上する。
スチレン-マレイン酸共重合樹脂の市販品としては、例えば、XIRANシリーズ(川原油化社製)、アラスターシリーズ(荒川化学社製)が挙げられる。
《スチレン-アリルアルコール共重合樹脂》
スチレン-アリルアルコール共重合樹脂は、例えば、スチレンモノマーとアリルアルコールモノマーをラジカル共重合させることで得られる。スチレンモノマーとアリルアルコールモノマーの固形分質量比率は、スチレンモノマー/アリルアルコールモノマー=1/9~6/4であることが好ましく、2/8~5/5であることがより好ましい。
スチレン-アリルアルコール共重合樹脂は、水酸基価が好ましくは150~300mgKOH/gであり、より好ましくは180~250mgKOH/gである。スチレン-アリルアルコール共重合体の水酸基価が100mgKOH/g以上の場合、網点再現性が向上する傾向にあり、50mgKOH/g以下の場合、溶剤に対する溶解性が高くなり、印刷インキの貯蔵安定性に優れる傾向がある。
スチレン-アリルアルコール共重合樹脂のガラス転移温度は、40~100℃が好ましく、50~80℃がより好ましい。スチレン-アリルアルコール共重合体のガラス転移温度が40℃以上の場合、印刷層が強靭となり、耐熱性及び耐摩擦性が向上する傾向にある。ガラス転移温度が100℃以下の場合、溶剤に対する溶解性が高くなり、印刷インキの貯蔵安定性に優れる傾向がある。スチレン-アリルアルコール共重合体の重量平均分子量は、1,000~5,000であることが好ましく、2,000~4,000であることがより好ましい。上記範囲の場合、印刷層の強靭さと柔軟さを両立することができ、耐熱性、耐摩擦性、及び印刷層と基材間の密着性が向上する。酸価は、50~300mgKOH/gであることが好ましく、100~200mgKOH/gであることがより好ましい。
スチレン-アリルアルコール樹脂の市販品としては、例えば、SAAシリーズ(Iyondellbasell社製)が挙げられる。
《アクリル樹脂》
アクリル樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを含む不飽和二重結合を有するモノマーを、重合開始剤を用いて溶媒中で重合させることで得られる。アクリル樹脂のガラス転移温度は、40~110℃であることが好ましく、60~90℃がより好ましい。アクリル樹脂のガラス転移温度が40℃以上の場合、印刷層の強靭性が高くなり、耐熱性が向上する傾向にある。ガラス転移温度が110℃以下の場合、溶剤に対する溶解性が高くなり、印刷インキの貯蔵安定性に優れる傾向がある。また、アクリル樹脂の重量平均分子量は、5,000~100,000が好ましく、8,000~40,000がより好ましい。上記範囲の場合、印刷層が強靭性と柔軟性を両立することができ、耐熱性及び印刷層と基材間の密着性が向上する。
アクリル樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂のガラス転移温度は、上述する(ニトロセルロース系樹脂(A))の項に記載の示差走査熱量計(DSC測定装置、島津製作所製「DSC-60A」)により測定できるが、下記FOXの式により推算することができる。
<FOX式>
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+…+Wi/Tgi+…+Wn/Tgn
〔上記FOX式は、n種の単量体からなる重合体を構成する各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度をTgi(K)とし、各モノマーの質量分率を、Wiとしており、(W1+W2+…+Wi+…Wn=1)である。〕
前記(メタ)アクリルモノマーを含む不飽和二重結合を有するモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル化合物;N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の少なくとも1個のN-置換メチロール基を含有する(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のグリコール類の(メタ)アクリル酸のモノ又はジエステル類;スチレン、α-メチルスチレン等のスチレン誘導体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の酸基を有するビニル化合物;が挙げられる。
紙基材や表面保護層に対する接着性、耐熱性の面から、アクリル樹脂は、カルボキシル基及び/又は水酸基を有するものが好ましく、アクリル樹脂が水酸基を有する場合、アクリル樹脂を構成するモノマーとして(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル化合物を含有するものが好ましい。
アクリル樹脂の市販品としては、例えば、ダイヤナールシリーズ(三菱レイヨン社製)、ACRYDICシリーズ(DIC社製)が挙げられる。
印刷層における、セルロース系樹脂(B)と樹脂(C)との質量比は、好ましくは99:1~30:70、より好ましくは99:1~50:50、更に好ましくは99:1~80:20である。上記範囲である場合、印刷層の硬さと強靭性とを両立することができ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、及び耐熱性が向上する。
印刷層に含まれるバインダー樹脂の含有量は、印刷層中、好ましくは20~80質量%、より好ましくは40~60質量%である。上記範囲である場合、印刷層の硬さと柔軟性とを両立することができ、耐突き刺し性、耐ブロッキング性、及び印刷層と紙基材間の密着性が向上する。
(有機溶剤)
印刷インキは、有機溶剤を含有してもよい。有機溶剤としては、例えば、メチルシクロへキサン、エチルシクロへキサン等の炭化水素系;アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン等のケトン系;酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系;メタノ-ル、エタノ-ル、プロパノ-ル、イソプロパノ-ル(IPA)、ブタノ-ル等のアルコ-ル系;の非芳香族系有機溶剤を使用することができる。有機溶剤は、印刷後の皮膜に残留する溶剤量低減等を考慮して適宜選択すればよく、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤及びその好適な態様としては、前述の[オーバーコート剤](有機溶剤)の項の記載を援用することができる。
(その他成分)
印刷インキ及び印刷層は、本発明の効果を損なわない範囲でさらに、顔料分散剤、イソシアネート系硬化剤、キレート架橋剤、炭化水素ワックス粒子、マット化剤、気相法シリカ、湿式法シリカ、有機処理シリカ、アルミナ処理シリカ等の微粉末シリカ、ポリエチレンワックス、脂肪酸アマイドワックス、消泡剤、レベリング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、難燃剤等の添加剤を使用することができる。
《顔料分散剤》
顔料分散剤としては、アニオン性、ノニオン性、カチオン性、両イオン性等の界面活性剤を使用することができる。
《イソシアネート系硬化剤》
イソシアネート系硬化剤としては、ポリイソシアネート及びそれらの変性化合物を利用できる。具体的には、ポリイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体、アダクト体が好適であり、ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;α,α,α′,α′-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;が好適に用いられる。
イソシアネート系硬化剤の市販品としては、例えば、24A-100、22A-75、TPA-100、TSA-100、TSS-100、TAE-100、TKA-100、P301-75E、E402-808、E405-70B、AE700-100、D101、D201、A201H(旭化成社製)、マイテックY260A(三菱化学社製)、コロネート CORONATE HX、コロネート CORONATE HL、コロネート CORONATE L(日本ポリウレタン社製)、デスモデュール N75MPA/X(バイエル社製)が挙げられる。中でも、イソホロンジイソシアネートと、イソホロンジイソシアネートのアダクト体及び/又はイソシアヌレート体が好ましい。
《キレート架橋剤》
印刷インキ及び印刷層は、キレート架橋剤を含むことが好ましい。キレート架橋剤及びその好適な態様としては、前述の[オーバーコート剤]《キレート架橋剤》の項の記載を援用することができる。
キレート架橋剤の含有量は、印刷層中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~5質量%である。含有量が0.1質量%以上であると耐熱性、耐油性、耐塩ビブロッキング性が向上し、5.0質量%以下の場合、印刷インキの貯蔵安定性に優れる。これらのキレート架橋剤を使用することによって、表面コートされた紙基材に対する接着性が向上するという効果を奏する。
《炭化水素ワックス粒子》
印刷インキ及び印刷層は、炭化水素ワックス粒子を含むことが好ましい。炭化水素ワックス粒子を含むことで、紙基材への接着性及び印刷層の耐摩擦性が向上する。炭化水素ワックス粒子及びその好適な態様としては、前述の[オーバーコート剤]《炭化水素ワックス粒子》の項の記載を援用することができる。
オーバーコート剤において、炭化水素系ワックス粒子の平均粒子径は、0.3~10μmであることが好ましく、0.8~7μmであることがより好ましい。当該炭化水素系ワックス粒子の含有量は、表面保護層中、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~7質量%である。
《可塑剤》
印刷インキ及び印刷層は、可塑剤を含むことが好ましい。可塑剤は、少ない添加量で、有機溶剤の揮発性を促進させ、印刷層に柔軟性を付与し紙基材への密着性を高める役割を有する。可塑剤及びその好適な態様としては、前述の[オーバーコート剤](可塑剤)の項の記載を援用することができる。
本発明における印刷層は、可塑剤として、ひまし油、グリコールエーテル、脂肪族二塩基酸エステル、及びアセチルクエン酸トリブチルからなる群より選ばれる少なくとも一種の可塑剤を含むことが好ましく、ひまし油がより好ましい。
印刷層中における可塑剤の含有量は、好ましくは0.1~15質量%、より好ましくは5~15質量%、更に好ましくは11~15質量%である。上記範囲である場合、印刷層の硬さと強靭性とを両立することができ、耐ブロッキング性、及び耐熱性が向上する。
<ヒートシール層>
本発明におけるヒートシール層は、ポリエチレン樹脂を含み、印刷層を具備した面とは反対の紙基材上に位置する。ポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂が挙げられ、ポリエチレン樹脂の融点は、90~150℃が好ましい。
ヒートシール層は主成分がポリエチレン樹脂であればよく、ポリエチレン樹脂以外の成分を含んでいてもよい。ヒートシール層はポリエチレン樹脂を80質量%以上含むことが好ましく、90質量%以上含むことがなお好ましく、95質量%以上含むことが更に好ましい。
ヒートシール層は、例えば、300~400℃において熱溶融させたポリエチレン樹脂を、Tダイと呼ばれるスリット状の装置によりフィルム状に押し出したものを、紙基材上にコート(積層)することで形成することができる。
ヒートシール層の膜厚は5~100μmであることが好ましく、15~50μmであることがより好ましい。
<紙基材>
紙基材は、特に制限されず、公知のものを用いることがでる。このような紙基材としては、例えば、中質紙、上質紙、新聞用紙、ユポ紙、各種コート紙、裏打ち紙、含浸紙、ボール紙やアート紙、キャスト紙、クラフト紙、コートボール、アイボリー紙、カード紙、カップ原紙、キャスト紙、遮光紙、及びこれらの表面処理された紙基材が挙げられる。
また、紙基材は、シリカ、アルミナ等の金属酸化物、又はアルミニウム等の金属(併せて無機化合物ともいう)を蒸着した蒸着紙であってもよい。蒸着紙は、蒸着層を紙基材上に均一に形成するために、紙基材と蒸着層との間にアンカー層を有していてもよく、蒸着層上にポリビニルアルコール等のコート処理が施されていてもよい。
なお、紙基材の厚みは、好ましくは50~150g/m、より好ましくは60~120g/m、更に好ましくは60~90g/mである。
<バリア層>
本発明の包装材は、更にバリア層を有することが好ましい。バリア層は、紙基材層と印刷層の間に配置されていることが好ましく、アルミニウム、アルミナ、シリカ等の無機化合物を含むことが好ましい。無機化合物の純度は、99%以上が好ましく、99.9%以上がより好ましい。
バリア層の形成方法は特に制限されず、真空蒸着法、スパッタリング法等の公知の方法によって、紙基材上に無機化合物層を形成することができる。また、上述する蒸着紙を用いることで、紙基材上にバリア層を付与することもできる。
真空蒸着法は、高周波誘導加熱、直接通電加熱、エレクトロンビーム加熱等により、1200~1500℃、10-1~10-2Pa程度条件下で行われる。被蒸着物は、真空蒸着前に、表面へのコロナ放電処理等による密着性向上処理を行うことができる。真空蒸着形成される無機化合物膜の厚みは、バリア性、遮光性、経済性の観点から、10~300nmであることが好ましい。
スパッタリング法は、10-1~10-2Pa程度の条件下に、Ar等の不活性ガスを導入し、電圧負荷することで実施される。形成される無機化合物膜の厚みは、バリア性、遮光性、経済性の観点から、10~300nmであることが好ましい。
<包装材の製造方法>
本発明の包装材は、紙基材の一方の面に、印刷インキを印刷して印刷層を形成する工程、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含むオーバーコート剤を、印刷層上に印刷して表面保護層を形成する工程、及び、溶融されたポリエチレン樹脂を、紙基材の他方の面にコートしてヒートシール層を形成する工程、により得ることができる。
上記工程において、ヒートシール層を形成する工程のタイミングは特に制限されないが、印刷層の形成、表面保護層の形成、及びヒートシール層の形成を順次行うことが好ましい。
印刷層及び表面保護層の形成方法としては、グラビア印刷方式、フレキソ印刷方式が好適に用いられるが、好ましくはグラビア印刷方式である。グラビア印刷により高速印刷が可能となり、生産性が著しく向上する。
本発明の包装材は、ヒートシール層、紙基材、印刷層及び表面保護層をこの順に有していればよく、要求性能に応じて、上述するバリア層のような別の層をさらに有していてもよい。包装材の積層構成は以下のものを好適に挙げることができる。
ヒートシール層/紙基材/印刷層/表面保護層
ヒートシール層/バリア層/紙基材/印刷層/表面保護層
ヒートシール層/紙基材/バリア層/印刷層/表面保護層
ヒートシール層/紙基材/印刷層/バリア層/表面保護層
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における「部」及び「%」は、特に注釈の無い場合、「質量部」及び「質量%」を表す。また、「NV.」とは不揮発性分の質量%を表す。
<セルロース系樹脂溶液の調整>
(調整例1)ニトロセルロース樹脂溶液NC1の調整
ニトロセルロースnc1(NOBEL社製、製品名NC DHX 5-10、NV.70%(溶媒:イソプロピルアルコール)、重量平均分子量:10,000、溶液濃度25.0%における粘度:2秒)72部を、酢酸エチル33.6部とイソプロピルアルコール33.6部に混合溶解させて、固形分30%のニトロセルロース樹脂溶液(NC1)を得た。
(調整例2~4)ニトロセルロース樹脂溶液NC2~4の調整
以下に記載した原料を使用した以外は調整例1と同様の方法で、ニトロセルロース樹脂溶液NC2~5を得た。なお、nc4は、上述の好ましい粘度範囲(1)~(3)をいずれも満たさない。
・(NC2)ニトロセルロースnc2(NOBEL社製、製品名NC DHX 4-6、NV.70%(溶媒:イソプロピルアルコール)、溶液濃度25.0%における粘度:1.2秒)
・(NC3)ニトロセルロースnc3(NOBEL社製、製品名NC DHX 30-50、NV.70%(溶媒:イソプロピルアルコール)、溶液濃度25.0%における粘度:10秒)
・(NC4)ニトロセルロースnc4(NOBEL社製、製品名NC DHL 120-170、NV.70%(溶媒:イソプロピルアルコール)、溶液濃度12.2%における粘度:20秒、)
(調整例3)セルロースアセテートブチレート樹脂溶液CAB1の調整
セルロースアセテートブチレート(EASTMAN CHEMICAL社製、製品名CAB553-0.4、NV.70%(溶媒:イソプロピルアルコール)、ガラス転移温度:136℃、重量平均分子量20,000)72部を、酢酸エチル33.6部とイソプロピルアルコール33.6部に混合溶解させて、固形分30%のセルロースアセテートブチレート樹脂溶液(CAB1)を得た。
<樹脂溶液の調整>
(調整例4)ポリアミド樹脂溶液PA1の調整
ポリアミド樹脂pa1(築野食品工業社製、製品名ベジケムグリーン725、NV.100%、軟化点116℃、重量平均分子量8,000)30部、及びイソプロピルアルコール70部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、固形分30%のポリアミド樹脂溶液(PA1)を得た。
(調整例5)ポリアミド樹脂溶液PA2およびPA3の調整)
以下に記載した原料を使用した以外は調整例4と同様の方法で、固形分30%のポリアミド樹脂溶液PA2及びPA3を得た。
・(PA2)ポリアミド樹脂pa2(ハリマ化成社製、製品名ニューマイド846、NV.100%、軟化点110℃)
・(PA3)ポリアミド樹脂pa3(ハリマ化成社製、製品名ニューマイド872、NV.100%、軟化点112℃)
(調整例6)スチレン-マレイン酸共重合樹脂溶液SMA1の調整
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四ツ口フラスコに、スチレン-マレイン酸共重合樹脂(川原油化社製、製品名XIRAN2625P)、NV.100%、ガラス転移温度110℃、重量平均分子量9,000、酸価270mgKOH/g)を50部、酢酸エチル33.3部及びイソプロピルアルコール33.3部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、固形分30%のスチレン-マレイン酸共重合樹脂溶液(SMA1)を得た。
(調整例7)スチレン-アリルアルコール樹脂溶液SA1の調整
スチレン-アリルアルコール樹脂(Iyondellbasell社製、製品名SAA-100、NV.100%、水酸基価:205mgKOH/g、重量平均分子量3,100)30部、酢酸エチル70部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、固形分30%のスチレン-アリルアルコール共重合樹脂溶液(SA1)を得た。
(調整例8)アクリル樹脂溶液AC1の調整
アクリル樹脂(岐阜セラツク社製、製品名TSA-28、NV.100%、重量平均分子量10,000、酸価195mgKOH/g)30部、酢酸エチル70部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、固形分30%のアクリル樹脂溶液(AC1)を得た。
(調整例9)塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液PVC1の調整
塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学工業社製、製品名ソルバインTA5R、NV.100%、ガラス転移温度78℃、重量平均分子量61,000)30部、酢酸エチル70部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、固形分30%の塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂溶液(PVC1)を得た。
(調整例10)ウレタン樹脂溶液PU1の調整
攪拌機、温度計、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、数平均分子量2,000のポリ(1,2-プロピレングリコール)(水酸基価56.1mgKOH/g)257.86部、イソホロンジイソシアネート18.01部、ジフェニルメタンジイソシアネート20.27部、2-エチルヘキサン酸スズ(II)0.03部、酢酸エチル200部を仕込み、窒素気流下に90℃で3時間反応させ、末端イソシアネートプレポリマーの溶液496.14部を得た。次いでイソホロンジアミン3.86部、イソプロピルアルコール280部、酢酸エチル220部を混合したものを、得られた末端イソシアネートプレポリマーの溶液に室温で徐々に添加し、次に50℃で1時間反応させ、固形分30%、重量平均分子量78,000、アミン価未検出(0.1mgKOH/g未満)のウレタン樹脂溶液(PU1)を得た。
(調整例11)塩素化ゴム樹脂溶液CG1の調整
塩素化ゴム樹脂cg1(住化バイエルウレタン社製、製品名ペルグードS20、NV.100%)30部、酢酸エチル70部を仕込み、窒素気流下に50℃で2時間溶解し、固形分30%の塩素化ゴム樹脂溶液(CG1)を得た。
<印刷インキの製造>
(製造例1)印刷インキK1の製造
リオノールイエローTT1405G(トーヨーカラー社製、NV.100%)86部、ニトロセルロース樹脂溶液NC1を193部、N-プロピルアセテート140部、酢酸エチル40部、イソプロピルアルコール30部を撹拌混合しビーズミル(ジルコニアビーズを使用)で顔料分散した後、ニトロセルロース樹脂溶液NC1を193部、N-プロピルアセテート93部、酢酸エチル18部、イソプロピルアルコール35部、ポリエチレンワックス(NV.15%、溶媒:酢酸エチル)40部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(NV.100%)20部、ひまし油系可塑剤(NV.100%)16部、チタンキレート(NV.50%、溶媒:酢酸エチル)40部を攪拌混合し、印刷インキK1を得た。
(製造例2~17)印刷インキK2~17の製造
表1に記載した原料及び配合比を使用した以外は製造例1と同様の方法で、印刷インキK2~17を得た。
<オーバーコート剤の製造>
(製造例18)オーバーコート剤V1の製造
ニトロセルロース樹脂溶液NC1を65.5部、N-プロピルアセテート5.5部、酢酸エチル3部、イソプロピルアルコール5.5部、メチルシクロヘキサン5.4部、メチルプロピレングリコール0.9部、水0.9部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(NV.100%)1.85部、ヘキサメンレンビスオレイン酸アミド(NV.100%)3部を攪拌混合し、オーバーコート剤V1を得た。
(製造例19~31、比較製造例1~3)オーバーコート剤V2~17の製造
表2に記載した原料及び配合比を使用した以外は製造例18と同様の方法で、オーバーコート剤V2~17を得た。
<包装材の製造>
(実施例1)包装材P1の製造
印刷インキK1及びオーバーコート剤V4を酢酸エチル:イソプロピルアルコール=7:3(質量比)の混合溶剤で希釈し、それぞれザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるよう粘度を調整した。
次に、リュウオーコート紙(大王製紙社製、基材幅125mm、米坪65g/m)のコート面に対し、真空度8×10-1、塗工厚み20μmの条件下で、アルミニウム(純度99.9%以上)を真空蒸着し、バリア層を形成した。前記バリア層上に対し、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度50m/分、インラインオーブン60℃の条件下で、希釈した印刷インキK1を印刷して印刷層を形成した後、印刷層上に対し、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度50m/分、インラインオーブン60℃の条件下で、オーバーコート剤V4を印刷し、紙基材/バリア層/印刷層/表面保護層の構成である中間積層体p1を得た。
中間積層体p1における、基材の印刷層の反対面に対し、樹脂温度330℃、塗工速度80m/分、塗工厚み20μmの条件下で、ポリエチレン樹脂(融点:120℃)を熱溶融押出塗工し、ヒートシール層/紙基材/バリア層/印刷層/表面保護層の構成である包装材P1を得た。
(実施例2~34、比較例1~5)包装材P2~39の製造
表3に示した印刷インキ、オーバーコート剤を使用した以外は、上記包装材P1の作製と同様の手順で、同様の構成を有する包装材P2~39をそれぞれ作製した。なお、使用した原料の性状は以下の通りである。
・ポリプロピレン樹脂PP1(三菱ケミカル社製、製品名ノバテックPP)
<包装材の評価>
得られた包装材について、以下に記載の評価を行った。結果を表3に示す。
(突き刺し性)
得られた包装材を70mm角に切り出し、JIS1707に準拠した方法を用い、下記の試験条件で試験を行い、下記基準にて評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《突き刺し試験条件》
突き刺し速度:50mm/分、針の径:1mm、
針の突き刺し面:第二の積層体のオーバーコート剤面
《評価基準》
A.突き刺し強度が12N以上である。
B.突き刺し強度が10N以上、12N未満である。
C.突き刺し強度が5N以上、10N未満である。
D.突き刺し強度が5N未満である。
(耐ブロッキング性評価)
得られた包装材を40mm角に2枚切り出し、1枚の包装材片のヒートシール層面と、もう1枚の包装材片の表面保護層面を完全に重ね、温度40℃、湿度80%RH、荷重100N/cmの環境下で圧着した。24時間静置したのち、2枚重ねた包装材同士を剥離し、印刷層の剥離状態を目視で観察し、下記基準にて評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A.ヒートシール層面への印刷層の転移が見られない。
B.ヒートシール層面への印刷層の転移量が0面積%超、10面積%未満である。
C.ヒートシール層面への印刷層の転移量が10面積%以上、30面積%未満である。
D.ヒートシール層面への印刷層の転移量が30面積%以上である。
(光沢)
得られた包装材の表面保護層の表面を、BYK-Gardner社製 Micro-TRI-gross meterを用いて60度光沢値を測定した。併せて目視で観察し、以下基準で評価した。なお、光沢値測定は、JISZ8741:1997、60度鏡面光沢(Gs(60))に準拠して測定した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A.光沢値が40以上である。
B.光沢値が25以上、40未満であり、目視でマット感が無いもの。
C.光沢値が25以上、40未満であり、目視でややマット感のあるもの。
D.光沢値が25未満、且つ目視でマット感の強いもの。
(耐熱性評価)
得られた包装材を15mm×100mmの大きさに切り取り、表面保護層上に、15mm×100mmの大きさのアルミ箔艶面を(厚み:15ミクロン)を重ね、以下の装置及び条件でヒートシールした後、アルミ箔を剥離し、印刷層の剥離状態から、下記基準にて耐熱性を評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《ヒートシール条件》
装置:熱傾斜式ヒートシーラー〔東洋精機(株)製;TYPE,HG-100〕、
シール幅:折り曲げ部より10mm、ヒーター温度:240℃、
シール圧力:2kg/cm、シール時間:1sec
《評価基準》
A.印刷層の剥離が見られなかった。
B.印刷層の20面積%未満が剥離した。
C.印刷層の20面積%以上、50面積%未満が剥離した。
D.印刷層の50面積%以上が剥離した。
(ヒートシ-ル性評価)
得られた包装材を15mm×100mmの大きさに切り取り、ヒートシール層面同士が重なるように折り曲げ、以下の装置及び条件でヒートシールし、シールされていない両端部を小型引張試験機に固定し、ヒートシール強度を評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《ヒートシール条件》
装置:テスター産業株式会社製ヒートシールテスター、
シール幅:折り曲げ部より10mm、
ヒーター温度:160℃、シール圧力:2kg/cm
シール時間:1sec
《ヒートシール強度測定》
装置:インテスコ社製 小型引張試験機(モデル;IM-20)、試験片幅:15mm、
剥離モード:90°剥離、引張速度:300mm/min
《評価基準》
A.ヒートシール強度が3.5N以上である。
B.ヒートシール強度が2.5N以上、3.5N未満である。
C.ヒートシール強度が1.0N以上、2.5N未満である。
D.ヒートシール強度が1.0N未満である。
(水蒸気バリア性評価)
得られた包装材について、JIS Z0208に準拠した方法で透湿度測定を行い、下記基準にて評価した。なお、A、B、Cが実用上問題ない範囲である。
《評価基準》
A.透湿度が5g/m・15h未満である。
B.透湿度が5g/m・15h以上、1000g/m・15h未満である。
C.透湿度が1000g/m・15h以上、3000g/m・15h未満である。
D.透湿度が3000g/m・15h以上である。
本発明により、ヒートシール性及び水蒸気バリア性を維持しつつ、突き刺し性、耐ブロッキング性、耐熱性、及び光沢に優れた包装材及び包装袋を提供することができた。
特に、表面保護層にニトロセルロース樹脂とポリアミド樹脂を30:70~15:85の範囲で含み、印刷層にニトロセルロース樹脂とウレタン樹脂を99:1~80:20の範囲で含み、ヒートシール層にポリエチレン樹脂を含む実施例1は、突き刺し性、耐ブロッキング性、光沢、耐熱性、ヒートシール性、及び水蒸気バリア性に優れていた。
一方、ヒートシール層にポリプロピレン樹脂を含む比較例1は、ヒートシール性が基準を満たさず、表面保護層にウレタン樹脂を含む比較例4は、耐ブロッキング性が基準を満たさなかった。

Claims (13)

  1. ヒートシール層、紙基材、印刷層及び表面保護層をこの順に有する包装材であって、
    前記ヒートシール層が、ポリエチレン樹脂を含み、
    前記表面保護層が、セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含
    前記可塑剤が、クエン酸エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエーテル、スルホン酸アミド系、及びひまし油からなる群より選ばれる少なくとも一種の可塑剤を含み、
    前記表面保護層における前記可塑剤の含有量が、0.1~17.3質量%である、包装材。
  2. 表面保護層のJIS Z 8741によって測定された光沢値が、25以上である、請求項1に記載の包装材。
  3. セルロース系樹脂(A)のJIS K 6703によって測定された粘度が、以下の(1)~(3)いずれかを満たす、請求項1又は2に記載の包装材。
    (1)溶液濃度12.2質量%における粘度が、1.5~16秒である。
    (2)溶液濃度20.0質量%における粘度が、3.0~40秒である。
    (3)溶液濃度25.0質量%における粘度が、0.1~22秒である。
  4. 更に、バリア層を含む、請求項1~3いずれか記載の包装材。
  5. セルロース系樹脂(A)が、ニトロセルロース樹脂を含む、請求項1~4いずれか記載の包装材。
  6. 印刷層が、セルロース系樹脂(B)を含む、請求項1~5いずれか記載の包装材。
  7. 印刷層が、更に、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、スチレン-マレイン酸共重合樹脂、スチレン-アリルアルコール共重合樹脂、及びアクリル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂(C)を含む、請求項6に記載の包装材。
  8. セルロース系樹脂(B)と樹脂(C)との質量比率が、99:1~30:70である、請求項7に記載の包装材。
  9. 表面保護層が、更にポリアミド樹脂を含む、請求項1~8いずれか記載の包装材。
  10. セルロース系樹脂(A)とポリアミド樹脂との質量比率が、99:1~15:85である、請求項9に記載の包装材。
  11. 表面保護層が、更にアマイドワックスを含む、請求項1~10いずれか記載の包装材。
  12. 請求項1~11いずれか記載の包装材から形成された包装袋。
  13. ヒートシール層、紙基材、印刷層及び表面保護層をこの順に有する包装材の製造方法であって、
    紙基材の一方の側に、印刷インキをグラビア印刷して印刷層を形成する工程、
    セルロース系樹脂(A)及び可塑剤を含むオーバーコート剤を、印刷層上にグラビア印刷して表面保護層を形成する工程、及び
    溶融されたポリエチレン樹脂を、紙基材の他方の側にコートしてヒートシール層を形成する工程、
    を含
    前記可塑剤が、クエン酸エステル、フタル酸エステル、リン酸エステル、トリメリット酸エステル、脂肪族二塩基酸エステル、グリコールエーテル、スルホン酸アミド系、及びひまし油からなる群より選ばれる少なくとも一種の可塑剤を含み、
    前記表面保護層における前記可塑剤の含有量が、0.1~17.3質量%である、
    包装材の製造方法。
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