JP2021165023A - 包装袋用積層体およびその製造方法 - Google Patents

包装袋用積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、製造効率が良好であり、密着性、耐熱性、ヒートシール性等の諸物性に加え、ラミネート積層体のフィルム表面と同等以上の高光沢を発現できる包装袋用積層体を提供することを目的とする。【解決手段】ヒートシール層とオーバーコート層とが、少なくとも印刷インキ層を介して積層されてなる包装袋用積層体であって、前記オーバーコート層表面の光沢値が、70以上であり、かつ前記オーバーコート層の融点が、60〜220℃であり、オーバーコート層の融点が、ヒートシール層の融点よりも大きく、かつ前記オーバーコート層の融点と、前記ヒートシール層の融点との差が、10〜170℃である、包装袋用積層体。【選択図】なし

Description

本発明はオーバーコート剤を用いた包装袋用積層体およびその製造方法に関する。
ポリエステルフィルム、ナイロンフィルム、ポリオレフィンフィルム等のフィルム基材を使用した軟包装パッケージその他の包装袋には、意匠性、美粧性、或いは製品情報を付与するため、印刷インキが印刷されている。フィルム基材への印刷はフィルムの表面に直接印刷を行なう表刷り印刷構成と、インキをフィルムの裏面に印刷する裏刷り印刷構成に大別される。表刷り印刷構成で包装袋とした場合には、最も外側に印刷層が配置され、当該印刷層を直接目視できる。一方、裏刷り印刷構成で包装袋とした場合には、最も外側はフィルム基材であり、印刷層は当該基材とシーラントと呼ばれる熱可塑性基材で挟まれた(ラミネートという)配置となる。したがって裏刷り印刷の包装袋では、表刷り印刷とは異なり、フィルム基材を通して当該印刷層を目視できる、という違いがある。
表刷り印刷構成物は、最表面に印刷インキ層を形成するため、上記フィルム基材と比べれば光沢感が劣り、耐擦傷性や耐熱性でも劣る場合が多い(特許文献1)。一方、裏刷り印刷構成物(ラミネート積層体)では、包装袋の最外層ではフィルム基材自体の諸物性が有効に活かされる事から、包装袋の最外層が印刷層である表刷り印刷構成に比べて、高い光沢性や耐擦傷性が容易に得られるという特徴がある。しかし、この方法は、基材へ印刷インキを印刷したのち当該印刷層上に別のフィルムを貼り付けなければならず、工程として手間がかかるうえフィルム基材と印刷層の密着性、デラミネーション(浮き)など当該工程を経るがゆえの物性において不充分な場合が多く、また接着剤やラミネート工程などが必要であるため製造効率や製造コスト上にも課題があった。
そこで、表刷り印刷による構成物あるいは包装袋でも高い光沢感や耐熱性を付与するために、表刷り印刷層の表面に、更にオーバーコート剤により保護層を形成する方法も検討が行われている。この方法によればラミネート積層体のように複雑な製造工程を経ることなくラミネート積層体と同程度に光沢感や耐擦傷性を付与することが期待できる。
しかしながら従来のオーバーコート剤としては、アミド樹脂系からなるコート剤(特許文献2)、ポリ乳酸系のオーバーコート剤(特許文献3)等が提案されているが、いずれもラミネート積層体に比べて、光沢感や耐熱性等において改善の余地を有するものであった。
さらに、包装袋を形成する製袋工程では、印刷物同士を合わせ高温治具に圧力をかけて挟み込むことで基材同士を熱融着させる(ヒートシール)工程がある。ヒートシール機の治具は高温になっており、裏刷り印刷構成物(ラミネート積層体)の場合は当該ヒートシール工程によって積層体の内部において接着剤層等に起因するデラミネーションなどが発生して外観不良となる場合があった。一方、表刷り印刷構成の場合は、ヒートシール性のない基材表面にインキを塗工し、その基材の裏面にヒートシール性を有する別の基材をラミネートして形成される(特許文献4)。その後ヒートシール工程で治具に印刷層が接触すると、印刷面が高熱に曝されて治具に付着するなどの不具合が生じる場合があった。なお、ラミネート工程を含む裏刷り・表刷りの包装袋用積層体は、ラミネート工程そのものに起因する製造コストや環境負荷、ラミネート接着剤の使用によるプラスチック基材リサイクルの煩雑化などの課題があった。
特開2019−119824号公報 特開2016−079306号公報 特開2003−147265号公報 特開2000−153582号公報
本発明は、製造効率が良好であり、密着性、耐熱性、ヒートシール性等の諸物性に加え、ラミネート積層体のフィルム表面と同等以上の高光沢を発現できる包装袋用積層体を提供することを目的とする。
本発明者は本願課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の包装袋用積層体を用いることで解決することを見出し、本発明を成すに至った。
すなわち本発明は、ヒートシール層とオーバーコート層とが、少なくとも印刷インキ層を介して積層されてなる包装袋用積層体であって、
前記オーバーコート層表面の光沢値が、70以上であり、かつ前記オーバーコート層の融点が、60〜220℃であり、
オーバーコート層の融点が、ヒートシール層の融点よりも大きく、かつ前記オーバーコート層の融点と、前記ヒートシール層の融点との差が、10〜170℃である、包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、ヒートシール層の融点が、50〜180℃である、上記包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、積層体全体の厚みから、印刷インキ層およびオーバーコート層を除いた厚みが、5〜40μmである、上記包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、印刷インキ層が、少なくともウレタン樹脂またはポリアミド樹脂を含有する、上記包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、オーバーコート層が、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、および、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも一種のバインダー樹脂を含有する、上記包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、オーバーコート層が、ポリエステル系樹脂を含む、上記包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、オーバーコート層が、イソシアネート硬化剤とバインダー樹脂との硬化層を含む、上記包装袋用積層体に関する。
また、本発明は、上記包装袋用積層体のヒートシール層同士をヒートシールしてなる包装袋に関する。
また、本発明は、プラスチック基材上に、有機溶剤系インキを塗布して印刷インキ層を形成する工程、
その後、前記印刷インキ層上にオーバーコート剤を塗布してオーバーコート層を形成する工程、
前記プラスチック基材がヒートシール性を有しない基材の場合は、プラスチック基材の印刷インキ層でない面に、ヒートシール層を塗布または溶融塗工する工程
を含む包装袋用積層体の製造方法であって、
前記有機溶剤系インキが、ウレタン樹脂またはポリアミド樹脂を含み、
前記積層体のオーバーコート層表面の光沢値が、70以上となるように形成される、包装袋用積層体の製造方法に関する。
本発明により、製造効率が良好であり、密着性、耐熱性、ヒートシール性等の諸物性に加え、ラミネート積層体のフィルム表面と同等以上の高光沢を発現できる包装袋用積層体を提供することが可能となった。
また、従来は困難であった、表刷り構成においてラミネート積層体同等以上の性能を有する印刷物の製造が可能となり、ラミネートその他の製造工程の簡略化、コスト削減、プラスチック基材使用量減少によるCO削減にも寄与できる。
以下に本発明の実施形態を詳細に説明するが、以下に記載する実施形態または要件の説明は、本発明の実施態様の一例であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容に限定されない。
本発明は、ヒートシール層とオーバーコート層とが、少なくとも印刷インキ層を介して積層たれた包装袋用積層体である。ヒートシール層を具備することで包装袋を作製するに適した積層体となる。また、積層体全体の厚みから、印刷インキ層およびオーバーコート層を除いた厚みが、5〜40μmであることが好ましく、5〜35μmであることがなお好ましい。これにより従来の積層体と比べて膜厚を薄く設計することが可能となる。また、当該オーバーコート層表面の光沢値が、70以上であり、かつ融点が、60〜220℃であり、オーバーコート層の融点が、ヒートシール層の融点よりも大きく、その差は10〜170℃である。これにより、従来の積層体と比べて膜厚が薄くても、ヒートシール性が良好であり、ヒートシール熱により外観不良となることはない。また高光沢で意匠性が良好となる。
当該積層体のオーバーコート層側の表面の光沢値(60°)は70以上である。本発明でいう光沢値とは、JISZ8741によって測定された値をいい、入射角60°、における測定値をいう。光沢値の測定には、例えばBYK−Gardner社製Micro−TRI−grossmeterを用いて、入射角60°、受光角60°の測定条件を用いて測定することができる。
<オーバーコート層>
本発明の包装袋用積層体においてオーバーコート層の光沢値は、70以上であることが好ましく、80以上であることがなお好ましい。また、融点は、60〜220℃であることが好ましく、90〜200℃であることがなお好ましい。なおオーバーコート層の膜厚は0.5〜10μmであることが好ましく、1〜6μmであることがなお好ましい。
オーバーコート層は、以下に説明するオーバーコート剤を塗布することで形成される。当該オーバーコート剤は、特段限定されないが、バインダー樹脂を含んでいればよく、バインダー樹脂およびイソシアネート硬化剤を含むことが好ましい。オーバーコート剤中のバインダー樹脂は柔軟性と密着性を付与し、イソシアネート硬化剤は耐熱性や耐擦傷性を付与する。なお、光沢値を70以上とし、密着性を良好とするために、バインダー樹脂および/またはイソシアネート硬化剤が、芳香族基、脂環族基およびピラノース基から選ばれる環状構造を有することが好ましい。環状構造の含有量は、オーバーコート剤中の固形分総質量中(すなわちオーバーコート層の総質量中)7〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがなお好ましく、15〜40質量%であることが更に好ましい。なお、固形分とは、不揮発成分の総質量をいう。オーバーコート層は表刷り印刷用の最外層としての使用が好ましい。本明細書において、表刷りとは、紙基材またはプラスチック基材に印刷した場合、基材上に印刷インキ、オーバーコート剤の順で印刷され、印刷された面からみて印刷模様が確認できる場合を表刷りとする。なお、オーバーコート層が印刷物において最外層となる。以下、本発明のオーバーコート剤(オーバーコート層)を構成する各材料について説明する。
<バインダー樹脂>
バインダー樹脂とはオーバーコート剤に含まれる主成分の樹脂をいい、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(スチレン−アクリル共重合樹脂である場合を含む)、および、ウレタン系樹脂から選ばれる樹脂を含有することが好ましい。さらに、バインダー樹脂は上記環状構造を有することが好ましく、当該環状構造は芳香族基(芳香族環状構造)や脂環族基(脂環族環状構造)、ピラノース基(ピラノース環状構造)から選ばれる。当該該環状構造はバインダー樹脂総質量中に5〜60質量%含まれることが好ましく、20〜50質量%含まれることがなお好ましい。バインダー樹脂の融点は60〜220℃であることが好ましく、90〜200℃であることがなお好ましい。
<ポリエステル系樹脂>
ポリエステル系樹脂は、特に制限はなく、公知の方法により適宜製造される。ポリエステル系樹脂は、上記同様に芳香族基、脂環族基、ピラノース基から選ばれる少なくとも一種の環状構造を有することが好ましい。当該環状構造は芳香族基および/または脂環族基であることが好ましい。ポリエステル系樹脂中の環状構造の含有量は1〜80質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。ポリエステル系樹脂は、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とを公知のエステル化重合反応を用いて反応させてなるポリエステル樹脂や以下に記載のアルキド樹脂などが挙げられる。
ポリエステル系樹脂の重量平均分子量は500〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがより好ましい。密着性や耐ブロッキング性、およびインキの印刷工程における作業効率、印刷適性などが良好となるためである。
ポリエステル樹脂を構成する多価アルコールのうち脂環族アルコールとしては、多価アルコールとしては、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどが挙げられる。なお、単官能アルコールである、シクロヘキサノール、シクロヘキサンエタノール、4−tert−ブチルシクロヘキサノール、メントール、2−エチル−4−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテニル)−2−ブテン−1−オール、4−イソプロピルシクロヘキサノール、2−(tert−ブチル)シクロヘキサノールなども併用することができる。
多価アルコールは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ポリエステル樹脂を構成する多価アルコールのうち芳香族アルコールとしては、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,2−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ハイドロキノン、2,2−ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ポリエステル樹脂を構成する多価カルボン酸である二塩基酸のうち脂環族二塩基酸としては、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1−シクロペンタン二酢酸、デカヒドロ−1,4−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられる。
ポリエステル樹脂を構成する二塩基酸のうち芳香族二塩基酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,2−フェニレン二酢酸、1,3−フェニレン二酢酸、1,4−フェニレン二酢酸、4−(カルボキシメチル)安息香酸、などが挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
なお、上記ポリエステル樹脂には環状構造を有しない多価アルコールや、環状構造を有しない二塩基酸も使用できる。
脂環状構造を持たない多価アルコールとしては、以下の例に限定されないが、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2ブチル−1,3プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,4−ブチンジオール、1,4−ブチレンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、ソルビトール、ペンタエスリトールなどが挙げられる。
環状構造を持たない二塩基酸としては、以下の例に限定されないが、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。なお、必要に応じてギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、オレイン酸、リノール酸などの一塩基酸を併用してもよい。
さらに、酸無水物類を使用してもよく、例えば、無水コハク酸、メチル無水コハク酸物、2,2−ジメチル無水コハク酸、ブチル無水コハク酸、イソブチル無水コハク酸、ヘキシル無水コハク酸、オクチル無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、フェニル無水コハク酸、無水グルタル酸、3−アリル無水グルタル酸、2,4−ジメチル無水グルタル酸、2,4−ジエチル無水グルタル酸、ブチル無水グルタル酸、ヘキシル無水グルタル酸、無水マレイン酸、2−メチル無水マレイン酸、2,3−ジメチル無水マレイン酸、ブチル無水マレイン酸、ペンチル無水マレイン酸、ヘキシル無水マレイン酸、オクチル無水マレイン酸、デシル無水マレイン酸、ドデシル無水マレイン酸、2,3−ジクロロ無水マレイン酸、フェニル無水マレイン酸、2,3−ジフェニル無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フタル酸、4−メチル無水フタル酸、ダイマー酸、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、3−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸、無水ヘッド酸、ビフェニルジカルボン酸無水物、無水ハイミック酸、エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、メチル−3,6−エンドメチレン−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、オクタヒドロ−1,3−ジオキソ−4,5−イソベンゾフランジカルボン酸無水物等が挙げられる。
(アルキド樹脂)
アルキド樹脂は、カルボン酸化合物,及び脂肪酸(又は動植物油)と、アルコール化合物の縮重合(縮合重合)によって合成されるアルキド樹脂や、動植物油またはその脂肪酸モノエステルと、カルボン酸化合物との反応後、アルコール化合物をエステル化反応させてなるアルキド樹脂などが挙げられる。いずれも油脂を変性したアルキド樹脂に該当する。
本発明に使用するアルキド樹脂は水酸基価5〜200mgKOH/gであることが好ましく、20〜150mgKOH/gであることがなお好ましい。アルキド樹脂の重量平均分子量としては500〜100,000であることが好ましく、2,000〜50,000であることがなお好ましい。アルキド樹脂中の環状構造の含有量は1〜80質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。
アルキド樹脂に使用される上記カルボン酸化合物としては、二塩基酸などの多塩基酸が好ましく、当該二塩基酸としては、上記芳香族カルボン酸(無水物含む)、脂環族カルボン酸(無水物含む)、が好適に挙げられる。中でも芳香族カルボン酸(無水物含む)であることが好ましく、当該化合物としては無水フタル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などが好適である。
アルキド樹脂に使用される上記アルコール化合物としては、脂環族アルコール、芳香族アルコールおよび環状構造を有しないアルコールが好適に挙げられ、上記同様のものが好適に使用できる。中でも、環状構造を有しないアルコールの使用が好ましく、当該アルコールとしては、二価のアルコール化合物としてエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネペンチルグリコールなどが好適に挙げられ、
三価以上のアルコール化合物として(モノまたはジまたはトリ)グリセリン、(モノまたはジまたはトリ)トリメチロ−ルエタン、(モノまたはジまたはトリ)トリメチロ−ルプロパン、(モノまたはジまたはトリ)トリメチロ−ルアルカン、(モノまたはジまたはトリ)ペンタエリスリト−ル、ソルビトール等の脂肪族多価アルコール等が例示される。
上記動植物油としては、アサ実油、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ油、カポック油、カヤ油、カラシ油、キョウニン油、キリ油、ククイ油、クルミ油、ケシ油、ゴマ油、サフラワー油、ダイコン種油、大豆油、大風子油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ニガー油、ヌカ油、パーム油、ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ヘントウ油、松種子油、綿実油、ヤシ油、落花生油、脱水ヒマシ油などが挙げられる。
上記脂肪酸としては、混合脂肪酸であってよく、脂肪酸としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などが好適に挙げられる。
上記脂肪酸モノエステルは、上記脂肪酸とアルコールにより形成されるアルキルエステルが挙げられ、当該アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、などのアルカノールが好適に挙げられる。
<セルロース系樹脂>
本発明のオーバーコート剤には、光沢や耐熱性を向上させるために、セルロース系樹脂を併用することが好ましい。具体的には、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース等が挙げられ、上記アルキル基は例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、更にアルキル基が置換基を有していても良い。中でも、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロースが好ましい。分子量としては重量平均分子量で5,000〜300,000のものが好ましく、10,000〜200,000がより好ましく、10,000〜100,000であることが更に好ましい。また、ガラス転移温度が100℃〜160℃であるものが好ましい。
(ニトロセルロース)
ニトロセルロースは、天然セルロースと硝酸とを反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものが好ましく、重量平均分子量としては上記同様の範囲であることが好ましい。また、平均重合度35〜480、更には50〜200の範囲のものが好ましい。平均重合度が50以上の場合、インキ被膜の強度が向上し、耐摩擦性、耐もみ性が向上するため好ましい。又、平均重合度が200以下の場合、溶剤への溶解性、インキの低温安定性、併用樹脂との相溶性が向上するため好ましい。また、窒素分は10.5〜12.5質量%であることが好ましい。
なお一実施形態において、バインダー樹脂は、上記ポリエステル系樹脂とセルロース系樹脂を含むことが好ましい。この場合においてポリエステル系樹脂とセルロース系樹脂との使用比率は、質量比90:10〜30:70であることが好ましく、質量比70:30〜40:60であることがなお好ましい。上記ポリエステル系樹脂はアルキド樹脂を含むことが好ましい。セルロース系樹脂はニトロセルロースを含むことが好ましい。バインダー樹脂は、ポリエステル系樹脂とセルロース系樹脂とを70質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがなお好ましい。
以下の説明において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」と「メタクリレート」の併記を表し、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」と「メタクリル」の併記を表す。
<アクリル系樹脂>
アクリル系樹脂は、(メタ)アクリルモノマーを含むエチレン性不飽和モノマーを重合してなる樹脂である。アクリル系樹脂の融点は60〜130℃であることが好ましく、70〜120℃であることがなお好ましい。(メタ)アクリルモノマーとしては、以下に記載のモノマーを好適に使用できる。ただし、アクリル系樹脂はスチレン系樹脂である場合を含まない。
例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベヘニルアクリレート、トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート類;テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、及びオキセタン(メタ)アクリレート等の複素環式(メタ)アクリレート類;
メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、及びエトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、及びアクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、及びN,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類;並びに、
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類等があげられる。
(スチレン系樹脂)
スチレン系樹脂は、スチレン、及びα−メチルスチレン等のスチレンモノマーを含む樹脂をいう。なお、芳香環系アクリルモノマーを同時に含む形態も好ましく、例えば、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、及びフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、以下スチレンモノマーと芳香環系アクリルモノマーを併せて芳香族系モノマーと称呼する。芳香族系モノマーはオーバーコート層の光沢値向上に寄与する。
スチレン系樹脂は上記アクリルモノマーと併用された形態(スチレン−アクリル共重合樹脂)であることが好ましい。アクリルモノマーとしては上記と同様のものを好適に挙げることができる。なおスチレン系樹脂(スチレン−アクリル共重合樹脂である場合を含む)の融点は、60〜130℃であることが好ましく、70〜120℃であることがなお好ましい。また、芳香族系モノマー由来の構成単位を、オーバーコート層の総量中に5〜80質量%含むことが好ましく、20〜60質量%含むことがなお好ましい。
また、スチレン系樹脂は、カルボキシル基を含有するエチレン性不飽和モノマーを原料とする場合もまた好ましい。当該モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びクロトン酸等から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。スチレン−マレイン酸樹脂であることが好ましい。
この場合のスチレン系樹脂の融点は、60〜200℃であることが好ましく、80〜180℃であることがなお好ましい。また、芳香族系モノマー由来の構成単位を、オーバーコート層の総量中に5〜80質量%含むことが好ましく、20〜60質量%含むことがなお好ましい。
<ウレタン樹脂>
ウレタン樹脂は、重量平均分子量が10,000〜100,000のものが好ましく、ガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。−60℃〜0℃であることがなお好ましく、−40〜−5℃であることが更に好ましい。また、ウレタン樹脂は、アミン価および/または水酸基価を有するものが好ましく、アミン価は0.5〜30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1〜20mgKOH/gである。また、水酸基価は0.5〜30mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは1〜20mgKOH/gである。上記範囲であると、基材への接着性が向上する。
ウレタン樹脂は、ポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオール由来の構造単位を含むものが好ましく、その含有量の合計は、ウレタン樹脂固形分100質量%中、5〜80質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%であり、更に好ましくは10〜50質量%である。
ウレタン樹脂は特に制限はなく、公知の方法により適宜製造される。ポリオールとポリイソシアネートからなるウレタン樹脂や、ポリオールとポリイソシアネートからなる末端イソシアネートのウレタンプレポリマーと、ポリアミンとを反応させることにより得られるウレタン樹脂などが好ましい。製造方法としては例えば、特開2013−256551号公報に記載の方法などが挙げられる。
ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ひまし油ポリオール、水素添加ひまし油ポリオール、ダイマージオール、水添ダイマージオールなどが挙げられる。好ましくはポリエーテルポリオールおよび/またはポリエステルポリオールである。
ポリエーテルポリオールは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリトリメチレングリコールおよびこれらから選ばれる共重合体であるポリエーテルポリオールなどが挙げられる。ポリエーテルポリオールは数平均分子量は200〜5000であることが好ましい。数平均分子量は、末端を水酸基として水酸基価から計算するものであり、(式1)により求められる。
(式1)ポリオールの数平均分子量=1000×56.1× 水酸基の価数/水酸基価
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸とジオールとのエステル化反応により得られる縮合物等が挙げられる。
多塩基酸としては二塩基酸であることが好ましく、当該二塩基酸としては、アジピン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、マロン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、スベリン酸、グルタル酸、1、4−シクロヘキシルジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等が挙げられる。
ジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3,5−トリメチルペンタンジオール、2、4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−アルカンジオール、1,3−アルカンジオール、1−モノグリセライド、2−モノグリセライド、1−モノグリセリンエーテル、2−モノグリセリンエーテル、ダイマージオール、水添ダイマージオール等が挙げられる。
ジオールは、なかでも分岐構造を有するジオールが好ましい。分岐構造とは、ジオールに
含まれるアルキレン基の水素原子の少なくとも1つがアルキル基によって置換された、アルキル側鎖を有するジオールを意味し、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチル−1,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、および2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。これらは、印刷適性、印刷効果、耐ブロッキング性を向上させるため特に好ましい。
これらのポリエステルポリオールは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。なお、二塩基酸としてはセバシン酸、アジピン酸が特に好ましい。また、ヒドロキシル基を3個以上有するポリオール、カルボキシル基を3個以上有する多価カルボン酸を併用することもできる。
ポリエステルポリオールの数平均分子量は、好ましくは200〜5000である。数平均分子量は、前記(式1)により求めることが可能である。
上記ポリイソシアネートとしては、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられる各種公知の芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが挙げられる。なおこれらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,5−ナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’−ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加された4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。
中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体から選ばれる少なくとも一種である。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
ポリアミンとしては、以下に限定されるものではないが、分子量500以下が好ましく、ジアミン系、多官能アミン系等のものが挙げられ、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジアミン、p−フェニレンジアミンなどのジアミン系鎖延長剤の他、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピルジアミン、2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシピロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミンなど水酸基を有するジアミン系鎖延長剤も用いることが出来る。これらの鎖伸長剤は単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また必要に応じて3官能以上の多官能のアミン系鎖延長剤も使用出来る。具体的には、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン:(IBPA、3,3’−ジアミノジプロピルアミン)、トリエチレンテトラミン、N−(3−アミノプロピル)ブタン−1,4−ジアミン:(スペルミジン)、6,6−イミノジヘキシルアミン、3,7−ジアザノナン−1,9−ジアミン、N,N’−ビス(3‐アミノプロピル)エチレンジアミンが挙げられる。中でも好ましくはイソホロンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミンである。
<併用樹脂>
本発明の実施形態においてバインダー樹脂は、上記樹脂以外にもその他樹脂を併用する場合も好適であり、例としては、以下に限定されるものではないが、ポリアミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル系共重合樹脂などの塩化ビニル系樹脂、ロジン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ダンマル樹脂、テルペン樹脂、フェノール変性テルペン樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、ポリアセタール樹脂、石油樹脂、およびこれらの変性樹脂などを挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。上記ウレタン樹脂とともに、塩化ビニル系樹脂を併用することが好ましく、その質量比(ウレタン樹脂:塩化ビニル系樹脂)は95:5〜30:70であることが好ましい。
<イソシアネート硬化剤>
本発明のオーバーコート剤には、耐熱性向上のために、イソシアネート硬化剤を使用することが好ましい。光沢向上のため、イソシアネート硬化剤は環状構造を有するものが好ましい。具体的には、イソシアネート硬化剤としては、ポリイソシアネートおよび変性ポリイソシアネートを好適に利用できる。変性ポリイソシアネートとは、具体的には、ジイソシアネートの2量体であるアロファネート型イソシアネート、ジイソシアネートの3量体であるビウレット型イソシアネート、ジイソシアネートの3量体であるアダクト型イソシアネート、およびジイソシアネートの3量体であるイソシアヌレート型イソシアネートなどが好適である。当該ビウレット型イソシアネートとは尿素が2量化した構造を有するイソシアネートである。また、イソシアヌレート型イソシアネートとはジイソシアネートの環状3量体であるイソシアネートをいう。アダクト型イソシアネートとは、ポリイソシアネートと多価アルコールとの付加体をいい、例えば、キシリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとの反応物などが挙げられる。
上記ポリイソシアネートとしてはジイソシアネートが好ましく、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネートが好適である。
変性ポリイソシアネートのうち具体的な市販の製品としては、例えば、デュラネート24A−100、22A−75P、TPA−100、TKA−100、P301−75E(旭化成社製)、タケネートD−160N、D−170N、D−110N、D−101(三井化学製)、デスモジュールN3200、N3600、Z4470BA、L75(C)(コベストロ社製)等が例示できる。
イソシアネート硬化剤中に環状構造は5〜50質量%含むことが好ましく、20〜40質量%含むことがなお好ましい。当該環状構造は、脂環族基および/または芳香族基を有するものが好ましい。イソシアネート硬化剤は、JISK6806に規定されるイソシアネート基(NCO)含有量が、3〜30%(質量%)であることが好ましく、5〜25%であることがなお好ましい。
イソシアネート硬化剤はバインダー樹脂の架橋性官能基(水酸基やアミノ基等)1当量に対して0.2〜8当量配合するのが好ましく、より好ましくは0.8〜3当量である。また、バインダー樹脂とイソシアネート硬化剤の使用比率は、質量比95:5〜10:90で含むことが好ましく、質量比90:10〜20:80で含むことがなお好ましい。この範囲であれば十分な架橋密度が得られ、耐熱性が良好となる。
オーバーコート剤を塗布後、反応性を高めるためにエージングを行うことが好ましい。ここで、エージングとは一定の温度湿度状態で数時間から数日間保存することをいう。エージングは、通常のイソシアネート硬化剤の条件でよく、例えば室温で1〜10日、40℃で1〜3日である。
<添加剤>
本発明のオーバーコート剤は、添加剤として従来公知のものを適宜含むことができ、オーバーコート剤の製造においては、必要に応じて添加剤、例えば湿潤剤、接着補助剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、粘度調整剤、キレート架橋剤、トラッピング剤、ブロッキング防止剤、上記以外のワックス成分、シランカップリング剤などを使用することができる。
<有機溶剤>
本発明のオーバーコート剤は、液状媒体として有機溶剤を含むこと(有機溶剤系オーバーコート剤)が好ましい。以下に限定されるものではないが、使用される有機溶剤としては、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンといったケトン系有機溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、エステル系有機溶剤、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールなどのアルコール系有機溶剤、エチレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤など公知の有機溶剤を使用でき、混合して使用しても良い。中でも、トルエン、キシレンといった芳香族系有機溶剤を含まない有機溶剤(ノントルエン系有機溶剤)がより好ましい。更に好ましくはエステル系有機溶剤、アルコール系有機溶剤からなる有機溶剤が好ましい。この場合オーバーコート剤100質量%中、15質量%以下の量でグリコールエーテル系有機溶剤を含んでよい。なお、本発明のオーバーコート剤は、液状媒体として水を含んでいても良いが、その含有量は液状媒体100質量%中0.1〜5質量%が好ましい。
(オーバーコート剤の製造)
オーバーコート剤の製造は、特に限定はなく、攪拌羽根、回転翼等を供えた攪拌機に、バインダー樹脂を有機溶剤の溶解ないし分散させたバインダー樹脂溶液、溶剤を仕込み、混合、攪拌すればよい。撹拌速度としては特に制限されることはなく、50〜300rpmで行うことが可能である。オーバーコート剤の取り扱い、塗布性等の向上のために、さらに溶剤を適宜追加することもできる。イソシアネート硬化剤は最初に仕込むことも可能だが、保存条件、イソシアネート硬化剤の種類によっては使用直前に混合することが好ましい。オーバーコート剤は、印刷方式等により使用されるため粘度としては20〜200mPa・sであることが好ましい。
(オーバーコート層の形成)
オーバーコート層はオーバーコート剤を公知の印刷方式で塗布して形成することができる。例えば、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式、マイクログラビア印刷方式等が挙げられ、好ましくはグラビア印刷方式である。グラビア印刷方式は円筒状のシリンダー表面に彫られた画線部となる凹部にオーバーコート剤が入り、ドクターと呼ばれる金属板で非画線部のオーバーコート剤を掻き取った後、シリンダーの凹部に残ったオーバーコート剤を印刷フィルム上に転移させて塗布層を形成する方式である。凹部の深さで塗布されるオーバーコート剤量を制御できる。印刷フィルムへの塗布は、塗布後の乾燥性、塗膜の光沢、耐擦り傷性、耐高温熱水性等の膜物性を考慮して、複数回塗布することもできる。オーバーコート剤の使用形態として塗布量、塗布回数を適宜選択することができる。
塗布されたオーバーコート剤の乾燥温度は40〜80℃で行なうことが好ましい。得られた印刷物は、必要に応じて室温〜40℃で1〜10日程度静置することにより、強靱なオーバーコート層を有する印刷物となる。
本発明の包装袋用積層体は、基材(ヒートシール層を兼ねてよい)、印刷インキ層およびオーバーコート層を順次有する形態が好ましい。基材はプラスチック基材であることが好ましい。印刷インキ層は、印刷インキにより形成される。印刷インキはバインダー樹脂、顔料、溶剤、必要に応じて添加剤を含む印刷インキであることが好ましい。以下に限定されるものではないが、印刷インキを構成するバインダー樹脂として、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ロジン系樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ケトン樹脂、環化ゴム、塩化ゴム、ブチラール、石油樹脂などを含む印刷インキであることが好ましい。中でも、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル‐酢酸ビニル共重合樹脂、ニトロセルロース樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する印刷インキであることがなお好ましい。特にウレタン樹脂を含有する印刷インキはフィルム状プラスチック基材への密着性が良好なことから更に好ましい。
上記ウレタン樹脂は、公知の方法、例えば、特開昭62−153366号公報、特開昭62−153367号公報、特開平1−236289号公報、特開平2−64173号公報、特開平2−64174号公報、特開平2−64175号公報などに開示されている方法により得ることができる。具体的には、ポリオールとジイソシアネートとをイソシアネート基が過剰となる割合で反応させ、末端イソシアネート基のプレポリマーを得、得られたプレポリマーを、適当な溶剤中で鎖伸長剤および/又は反応停止剤と反応させる二段法、あるいはポリオール、ジイソシアネート、鎖伸長剤および(または)反応停止剤を溶剤中で一度に反応させる一段法により製造される。これらの方法のなかでも、均一なウレタン樹脂を得るには、二段法によることが好ましい。
印刷インキは、添加剤を含むことができ、添加剤としては顔料分散剤、レベリング剤、消泡剤、レベリング剤、ワックス、トラッピング剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。
印刷インキが含有する顔料としては、一般に印刷インキや塗料で使用できるカラーインデックスに記載のC.I.ピグメントを任意に使用することができる。例えば、酸化チタン、ベンガラ、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛などの有色顔料、および、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等の体質顔料を挙げることができる。更に有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾキレート顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料などを挙げることができる。これらの顔料の含有量としては、印刷インキ中に0.5〜50重量%使用することができる。
印刷インキに使用される溶剤は、基材への濡れ広がりや乾燥性といった観点から、有機溶剤を含むことが好ましい。有機溶剤としては、上記オーバーコート剤に使用できるものと同様のものが利用でき、公知のアルコール系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、エステル系有機溶剤、脂肪族炭化水素系有機溶剤、および脂環族炭化水素系有機溶剤を使用することができる。ウレタン樹脂、併用樹脂の溶解性や印刷時の乾燥性などを考慮して、混合して使用することが好ましい。なお、本発明でいう「有機溶剤系インキ」とは、水が主成分でない、有機溶剤を含むインキのことをいう。
印刷インキは、顔料を樹脂、溶剤等を用いてに分散する公知の方法により製造することができる。例えば、顔料をウレタン樹脂、併用樹脂、分散剤等により溶剤に分散させた顔料分散体を製造し、得られた顔料分散体に、必要に応じて樹脂、添加剤などを配合する方法で得られる。分散工程に使用される分散機は、サンドミル、ガンマミルその他のビーズミルによる分散機が挙げられる。
(基材)
本発明の積層体は、基材上に印刷インキ層およびオーバーコート層を形成することで製造される。基材はプラスチック基材であることが好ましい。当該基材は、ヒートシール性を付与するため、ヒートシール性を有するプラスチック基材であることが好ましく、ヒートシール性を有しない基材にヒートシール層を具備したプラスチック基材もまた好ましい。ヒートシール性を有するプラスチック基材である場合は、基材がヒートシール層を兼ねる。ヒートシール性を有しない基材上に、ヒートシール層は一部であってもよいし、全部であってもよい。ヒートシール層の融点は50〜180℃であることが好ましく60〜160℃であることがなお好ましく、70〜140℃であることが更に好ましい。また基材の厚みは、5〜40μmであることが好ましく、10〜35μmであることがなお好ましい。
ヒートシール性を有しない基材の場合、ヒートシール性を有しない基材上に、ヒートシール層を、貼り合わせ、印刷等で塗布、あるいは溶融塗工その他の積層方法で積層された基材が好ましい。積層体の膜厚を薄くするためには、塗布または溶融塗工が好ましい。その積層構成は任意であるが、包装袋用積層体において、少なくとも印刷インキ層およびオーバーコート層を有する面とは逆の面に有する。ヒートシール層の単層多層は問わない。上記のようにヒートシール性を具備するプラスチック基材を用いると、オーバーコート剤を塗布後、後加工無く容易に製袋可能となり、包装体製造工程が簡素化される利点がある。
(ヒートシール性を有する基材、基材自体がヒートシール層である場合)
基材がヒートシール性を有する基材において、当該ヒートシール層は、ヒートシール性樹脂により構成される。当該ヒートシール性樹脂としては、上記温度範囲によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂の一種または二種以上からなる樹脂のフィルムないしシート状基材であることが好ましい。上記の樹脂のフィルムないしシートは、単層ないし多層で使用することができ、また、表面には、酸素、水蒸気等に対するバリア材として、例えば、アルミニウム、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の金属、無機酸化物等の蒸着膜を有する形態もまた好ましい。
(ヒートシール性を有しない基材)
ヒートシール性を有しない基材としては、以下のプラスチック基材において延伸されたプラスチック基材であることが好ましい。延伸は、一軸延伸または二軸延伸であることが好ましい。
当該プラスチック基材は、例えば、ポリプロピレンその他のポリオレフィン基材、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸その他のポリエステル基材、ポリスチレン基材、AS樹脂もしくはABS樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート基材、ポリアミド基材、ポリ塩化ビニル基材、ポリ塩化ビニリデンの各種基材、セロハン基材、紙基材もしくはアルミニウム箔基材など、もしくはこれらの複合材料からなるフィルム状、またはシート状のものが好適である。
上記基材は、金属酸化物などを表面に蒸着コート処理および/またはポリビニルアルコールなどコート処理が施されていてもよく、例えば、酸化アルミニウムを基材表面に蒸着させた凸版印刷株式会社製GL−AEや、大日本印刷株式会社製IB−PET−PXB等が挙げられる。さらに、必要に応じて帯電防止剤、紫外線防止剤などの添加剤を処理したものや、基材の表面をコロナ処理あるいは低温プラズマ処理したものなども使用することができる。
(ヒートシール性を有しない基材にヒートシール層を具備したプラスチック基材)
ヒートシール性を有しない基材にヒートシール層を具備したプラスチック基材の構成例としては、二軸延伸された基材(ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ナイロン(Ny)、ポリ乳酸(PLA)など)でヒートシール性を有しない基材上にヒートシール層(HS)が形成されたプラスチック基材が挙げられる。当該ヒートシール層はポリエチレン、ポリプロピレンおよびこれらの共重合樹脂、並びにポリエチレンおよび/またはポリプロピレンと酢酸ビニルその他のモノマーとの共重合樹脂が好適に挙げられる。この場合ヒートシール層はヒートシール剤を塗工することでヒートシール剤層を具備したプラスチック基材を得ることができる。
なお、上記「ヒートシール性を有しない基材」は複数種のプラスチック基材を積層した多層基材である場合を除くものではなく、当該多層基材は、例えば、PET/アルミ(Al)/HS、PET/NY/HS、NY/PET/HS、PET/AL/NY/HS、PET/NY/Al/HSなど構成等が挙げられる。多層基材の形成にはアンカーコート剤、接着剤を使用して積層される。このようなヒートシール層を具備したプラスチック基材において印刷インキ層を印刷する面がコロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理などが施されていれば、印刷インキ層の接着性が向上するので好ましい。
本発明の包装袋用積層体は、プラスチック基材(ヒートシール層を兼ねてよい)上に、印刷インキと、オーバーコート剤を順に印刷されて構成される。印刷方法としては、グラビア印刷方法、フレキソ印刷方法、スクリーン印刷方法、その他の印刷方法であることが好ましい。
(包装袋)
このようにして得られた包装袋用積層体は、所定のサイズにカットされて、ヒートシール層同士を互いに合わせた形で縁部分をヒートシールされて包装袋となる。ヒートシールの温度としては50〜250℃であることが好ましく、80〜180℃であることがなお好ましい。ヒートシール圧力としては1〜5kg/cm等の条件であればよい。1枚の包装袋用積層体を折り曲げて縁をヒートシールしてもよいし、2枚以上の包装袋用積層体をヒートシールしてもよい。また、包装袋は、中身を包装した後、すべての開口部をヒートシールしたものであってもよい。
この包装袋は、食品、医薬品等の包装袋として幅広く利用する事ができる。また、表刷り構成で優れた耐高温熱水性を発現することから、従来の裏刷り構成で高耐性を必要とする用途においても好適である。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本発明における部および%は、特に注釈の無い場合、質量部および質量%を表わす。
(分子量および分子量分布)
重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および分子量分布(Mw/Mn)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定を行い、ポリスチレンを標準物質に用いた換算分子量として求めた。測定条件を以下に示す。
GPC装置:昭和電工社製 Shodex GPC−104
カラム:下記カラムを直列に連結して使用した。
昭和電工社製 Shodex LF−404 2本
昭和電工社製 Shodex LF−G
検出器:RI(示差屈折計)
測定条件:カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.3mL/分
(水酸基価)
以下において、JISK0070(1992)に記載の方法に従って水酸基価を測定した。
(融点)
融点は、PerkinElmer社製のDSC6000により以下に記載の方法で測定した。オーバーコート剤組成物を乾固した後、乳鉢にて粉砕し、DSC測定用試料パンに約5mgを秤量した。試料の入ったサンプルパンをDSC6000本体のホルダーにセットし、25℃から250℃まで昇温速度10℃/分の条件で測定を行い、得られたチャートの吸熱ピークを読み取り、融点とした。フィルムについては、2mm角程度に断裁したものを測定サンプルとして使用した以外はオーバーコート層の測定と同様の操作でDSC測定を行い、温度分散曲線の吸熱ピークを融点とした。
<オーバーコート剤用バインダー樹脂の合成>
[合成例1](オーバーコート剤用ポリエステル樹脂溶液PO1の作製)
テレフタル酸312.5部、イソフタル酸312.5部、エチレングリコール140.1部、ネオペンチルグリコール234.9部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160〜240℃まで徐々に加熱し、エステル化反応を行なった。240℃で1時間以上反応し、酸価が15以下になったら反応缶を徐々に1〜2トールまで減圧し、所定の粘度に達した時に反応を停止し、酢酸エチル(EA)で固形分30%になるように調整して取り出した。得られたポリエステル樹脂PO1の重量平均分子量は7,000、酸価は0.2mgKOH/g、水酸基価は37.4mgKOH/gであった。また、ポリエステル樹脂PO1中の環状構造の含有量(固形分)は36質量%であった。
[合成例2](オーバーコート剤用ウレタン樹脂PO2溶液の作製)
アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの反応により得られる数平均分子量2000のポリエステルポリオール(PMPA2000)103.2部、ネオペンチルグリコールを35.2部、イソホロンジイソシアネート(IPDI)121.4部、およびEA65.2部を窒素気流下に80℃で4時間反応させたのち、EA130.9部を加えて希釈し末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。次いでイソホロンジアミン(IPDA)33.6部、ジブチルアミン1.24部、EA/イソプロパノール(IPA)=50/50(質量比)の混合溶剤503.9部を混合したものに、上記末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、その後、イソホロンジイソシアネート5.3部を加えて粘度調整し、固形分30%、重量平均分子量50,000、アミン価8.2mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/gのウレタン樹脂溶液PO2を得た。また、ポリエステル樹脂PO2中の環状構造の含有量(固形分)は20質量%であった。
[合成例3](オーバーコート剤用スチレンアクリル樹脂PO3溶液の作製)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、スチレン(St)70部、メタククリル酸(MAA)20部、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)10部、EA40部、IPA40部を仕込み、90℃まで昇温してアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1部とEAを15部加えて4時間重合反応を行い、さらにAIBNを0.1部とEAを3部加えて2時間反応させて、スチレンアクリル樹脂溶液を得た。
得られたスチレンアクリル樹脂溶液にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、質量平均分子量28,000、酸価130mgKOH/g、水酸基価43mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂PO3溶液を得た。また、ポリエステル樹脂PO3中の環状構造の含有量(固形分)は53質量%であった。
[合成例4](オーバーコート剤用アクリル樹脂PO4溶液の作製)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、ベンジルメタクリレート(BzMA)40部、MAA20部、HEMA5部、メタクリル酸メチル(MMA)35部、EA40部、IPA40部を仕込み、90℃まで昇温してAIBN1部とEAを15部加えて4時間重合反応を行い、さらにAIBNを0.1部とEAを3部加えて2時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
得られたアクリル樹脂溶液にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、質量平均分子量26,000、酸価130mgKOH/g、水酸基価22mgKOH/gのアクリル樹脂PO4溶液を得た。また、ポリエステル樹脂PO4中の環状構造の含有量(固形分)は18質量%であった。
[合成例5](オーバーコート剤用アクリル樹脂PO5溶液の作製)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、BzMA50部、HEMA10部、ノルマルブチルアクリレート40部、EA40部、IPA40部を仕込み、90℃まで昇温してAIBN1部とEAを15部加えて4時間重合反応を行い、さらにAIBNを0.1部とEAを3部加えて2時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
得られたアクリル樹脂溶液にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、質量平均分子量28,000、酸価0mgKOH/g、水酸基価43mgKOH/gのアクリル樹脂PO5溶液を得た。また、ポリエステル樹脂PO5中の環状構造の含有量(固形分)は22質量%であった。
<印刷インキ用バインダー樹脂の合成>
[合成例6](印刷インキ用ウレタン樹脂PI1溶液の作製)
アジピン酸と3−メチル−1,5−ペンタンジオールとの反応により得られる数平均分子量1,000のポリエステルポリオール(PMPA1000)150部、数平均分子量700のポリプロピレングリコール(PPG700)を50部、IPDI103.4部、およびEA75.8部を窒素気流下に80℃で4時間反応させ、末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を得た。次いでIPDA44.6部、EA/IPA=50/50(質量比)の混合溶剤736.2部を混合したものに、上記末端イソシアネートウレタンプレポリマーの樹脂溶液を40℃で徐々に添加し、次に80℃で1時間反応させ、固形分30%、アミン価9.5mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/g、重量平均分子量50,000のウレタン樹脂PI1溶液を得た。
<印刷インキ用バインダー樹脂の合成>
[合成例7](印刷インキ用スチレンアクリル樹脂PI2溶液の作製)
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、St10部、MMA55部、アクリル酸4.5部、MAA30.5部、EA40部、IPA40部を仕込み、90℃まで昇温してAIBN2部とEAを15部加えて4時間重合反応を行い、さらにAIBNを0.1部とEAを3部加えて2時間反応させて、アクリル樹脂溶液を得た。
得られたアクリル樹脂溶液にEAを加えて固形分調整を調整し、固形分濃度30%、質量平均分子量12,000、酸価234mgKOH/g、水酸基価0mgKOH/gのスチレンアクリル樹脂溶液PI2を得た。
<オーバーコート剤の作製>
[製造例1](オーバーコート剤S1の作製)
アルキッド樹脂(ひまし油、トリメチロールプロパン、無水フタル酸を構成成分として含む、重量平均分子量3300 水酸基価109mgKOH/gの油脂変性アルキド樹脂、芳香族基の含有量11質量%、固形分30%、EA溶液)20.2部、セルロース樹脂溶液(ニトロセルロース、固形分30%、EA/IPA溶液、窒素分11.5〜12.2%、重合度35〜45、水酸基価175mgKOH/g)30.3部、XDI−TMP(キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト 三井化学社製、タケネートD−110N、固形分75%)19.6部、TEGO450(EVONIC社製、TEGO Glide 450、ポリエーテルシロキサンコポリマー)を0.2部、EA29.7部を混合し、ディスパーで30分撹拌を行うことで、固形分30%のオーバーコート剤S1を得た。
[製造例2〜9](オーバーコート剤S2〜S9の作製)
表1に示した原料及び配合比率を使用した以外は、実施例1と同様の手法により、オーバーコート剤S2〜S9を得た。
以下に、表1中の原料の略称および詳細を示す。
・ロジン系樹脂:マレイン化ロジン、荒川化学工業社製、マルキードNo.31、EAで固形分30%に調整
・HDI−TMP:ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体旭化成ケミカルズ社製、デュラネートP301−75E、固形分75%、NCO含有量13%
Figure 2021165023
<印刷インキの製造>
[製造例A](印刷インキR1の製造)
バインダー樹脂として、ウレタン樹脂溶液PI1(固形分30%)32部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(日信化学社製、ソルバインTAO、固形分30%、EA溶液)3部、塩素化ポリプロピレン樹脂(日本製紙社製、370M、塩素含有率30%、固形分50%)を0.5部、ポリエチレンワックス(三井化学社製、ハイワックス320P、平均粒子径2.5μm 固形分40%)を0.8部、藍顔料(C.I.ピグメントブルー15:4)を10部、メチルエチルケトン(MEK)/酢酸n−プロピル(NPAC)/IPA=40/40/20(質量比)の溶液53.7部を混合し、アイガーミルで15分間分散し、グラビアインキR1を得た。
[製造例B〜E](印刷インキR2〜R5の製造)
表2に示した原料及び配合比率を使用した以外は、製造例Aと同様の手法により、印刷インキR2〜R5を得た。
以下に、表2中の原料の略称および詳細を示す。
・ロジンマレイン酸樹脂:ロジン変性マレイン酸樹脂。荒川化学社製、マルキードNo.5、固形分30%、EA溶液、軟化点145℃、水酸基価0mgKOH/g
・ポリアミド樹脂:オレイン酸およびリノール酸を原料とするダイマー酸由来の構成単位を50質量%以上含有する、アミン価3.5mgKOH/gであるポリアミド樹脂、重量平均分子量6,000、固形分30%、IPA溶液。
・セルロース樹脂:ニトロセルロース。固形分30%、EA/IPA溶液、窒素分11.5〜12.2%、重合度35〜45、水酸基価175mgKOH/g
・酸化チタン:テイカ社製、チタニックスJR−808
Figure 2021165023
[実施例1](包装袋用積層体L1の作製)
オーバーコート剤S1及び印刷インキR2を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で粘度15秒になるように希釈した。
厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムに対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキR2およびオーバーコート剤S1をこの順で印刷し、印刷フィルムを得た。OPP/印刷インキ層/オーバーコート層の構成である積層体を得た。
次に、上記積層体のOPPフィルムの印刷されていない面側に、版深30μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、ヒートシール剤Q203(東洋インキ社製、融点56℃のオレフィン樹脂系水性ヒートシール材、Q203アクワシール(Q203と略記))を2μmの膜厚で塗布し、ヒートシール層/OPPフィルム基材/印刷インキ層/オーバーコート層の構成である包装袋用積層体L1を得た。
なおオーバーコート層の厚みは2μm、オーバーコート層の融点は188℃、ヒートシール層の融点との差は132℃、オーバーコート層の環状構造含有率は28質量%であった。
[実施例2〜13](包装袋用積層体L2〜L13の作製)
表3に示したオーバーコート剤、印刷インキ、ヒートシール剤を使用した以外は、上記印刷物の作製と同様の手順で、同様の印刷構成を有する印刷物をそれぞれ作製した。なお、実施例13ではヒートシール剤Q202(東洋インキ社製、融点64℃のノントルエン溶剤型オレフィン樹脂系ヒートシール剤、Q202PPNT−SシールC(Q202と略記))を使用した。
[実施例14および15](包装袋用積層体L14、15の作製)
基材としてPEまたはCPPを用いたこと、およびヒートシール剤Q203を用いないことを除いて実施例1と同様の方法によりプラスチック基材(LLDPE)/印刷インキ層/オーバーコート層の構成である積層体L14、15を得た。なお、表3中の略記は以下を表す。
・PE:三井化学東セロ社製 鎖状低密度ポリエチレン 製品名TUX−FCD、厚み30μm 融点123℃
・CPP:フタムラ化学社製 無延伸ポリプロピレン、製品名FCMN、厚み30μm 融点134℃
上記はヒートシール層のみから構成されるプラスチック基材である。
Figure 2021165023
[比較例1](包装袋用積層体LL1の作製)
印刷インキR2を、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で粘度15秒になるように希釈した。
上記CPPに対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキR2を塗布し、積層体LL1を得た。
[比較例2,4](包装袋用積層体LL2,LL4の作製)
基材としては上記CPPまたはOPPを用いて行い、ヒートシール剤Q203は不使用である条件にて、実施例1と同様の方法によりプラスチック基材(CPP)/印刷インキ層/オーバーコート層の構成である積層体LL2,LL4を得た。
[実施例16](包装袋用積層体L16の作製)
ドライラミネート機を用いて、OPPフィルム(厚さ20μm)にドライラミネート用接着剤(東洋モートン社製TM−340V/CAT−29B)を塗布し、ライン速度40m/分にてCPPフィルム(厚さ30μm)と貼り合わせ、OPP/CPP基材を得た。
オーバーコート剤S1及び印刷インキR2を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で粘度15秒になるように希釈した。
上記OPP/CPP基材のOPP面側に、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキR2およびオーバーコート剤S1をこの順で塗布し、包装袋用積層体L16を得た。L16は、CPP/接着剤層/OPP/印刷層/オーバーコート層の構成である。CPP/接着剤/OPPの厚みは55μmであった。
なお、オーバーコート剤固形分中の環状構造の含有量およびオーバーコート層の融点を表1に示した。また、オーバーコート層中の環状構造の含有量および各層の融点および厚みを表3に示した。
<特性評価>
上記実施例および比較例において得られた包装袋用積層体を用いて以下に記載の評価を行った。評価結果については表3に示した。(優)、(可)は実用上問題がない範囲である。
<光沢>
上記実施例および比較例で作製した包装袋用積層体のオーバーコート層側より、BYK−Gardner社製Micro−TRI−grossmeterを用いて、入射角60°、受光角60°の光沢値を測定した。評価基準を下記に示す。
A(優):光沢値が80以上である。
B(可):光沢値が70以上、80未満である。
C(不可):光沢値が70未満である。
<意匠性>
上記実施例および比較例で作製した包装袋用積層体の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。評価基準を下記に示す。
○(優):包装袋用積層体の外観が上記OPPフィルム表面と比較して同等もしくはそれ以上の艶を有している。
△(可):包装袋用積層体の外観が上記OPPフィルム表面と比較してやや劣る艶を有している。
×(不可):包装袋用積層体の外観が、上記OPPフィルム表面と比較して大幅に劣る艶を有している。
<耐熱性>
上記実施例および比較例で作製した包装袋用積層体を、それぞれ3cm×13cmの大きさに切り、同じ大きさに切ったアルミ箔(厚さ30μm)の艶面と積層体の印刷された面とを重ねあわせた。センチネル社製ヒートシーラーを用いて、2×9.8N/cmの圧力で、120℃1秒間アルミ箔を押圧し、アルミ箔を剥がしたときの印刷層またはオーバーコート層の剥がれ具合を目視で判定した。評価基準を下記に示す。
○(優): オーバーコート層がシールバー温度160℃で全く剥離しないもの。
△(可): オーバーコート層がシールバー温度120℃で剥離しないが、160℃で剥離するもの。
×(不可):オーバーコート層がシールバー温度120℃で剥離するもの。
<ヒートシール性>
上記実施例および比較例で作製した包装袋用積層体のヒートシール層同士を重ね合わせ、テスター産業株式会社製熱傾斜式ヒートシーラーを用いて、0.2MPaの圧力で、80℃、または140℃で1秒間ヒートシールした後15mm幅に断裁し試験片を作成した。当該試験片を引張試験機を用いて、300mm/分の引張速度でT型剥離方向に引っ張り、ヒートシール強度を測定した。なお、測定値はN=10の試験片サンプルの平均値とし、判断基準は以下のとおりである。
◎:強度が1.5N/15mm以上であるもの。
○:強度が1.0N/15mm以上1.5N/mm未満であるもの。
△:強度が0.5N/15mm以上1.0N/mm未満であるもの。
×:強度が0.5N/15mm未満であるか、オーバーコート層がヒートシール時に熱で破壊されているもの。
上記においては、◎および○が実用上問題がない範囲である。
<包装袋用積層体の製造効率>
上記実施例および比較例で作製した包装袋用積層体について、積層体の製造工程の簡便さを評価した。評価基準を下記に示す。
○(優):包装袋用積層体の製造が、印刷工程のみで可能である。
×:包装袋用積層体の製造が、印刷工程とラミネート工程の両方を組み合わせることを必要とする。
○は実用上問題がなく好ましい形態である。
<参考例1:裏刷り構成のラミネート積層体の評価>
印刷インキR2を、各々、EA/IPAの混合溶剤(質量比70/30)を用いて、ザーンカップ#3(離合社製)25℃で15秒になるように希釈した。
厚み20μmのOPPフィルムに対し、版深35μmのグラビア版を備えたグラビア印刷機を用いて、印刷速度40m/分、乾燥器温度50℃の条件下で、希釈した印刷インキR2を塗布し、印刷物A2を得た。
次に、ドライラミネート機を用いて、印刷物A2の印刷層上にドライラミネート用接着剤(東洋モートン社製TM−340V/CAT−29B)を塗布し、ライン速度40m/分にて厚み30μmのCPPと貼り合わせ、OPP基材/印刷層/接着剤層/CPP基材の順で積層されたラミネート積層体B1を得た。
ラミネート積層体B1につき上記と同様の評価を行ったところ、光沢:B、意匠性:○、耐熱性:○、ヒートシール性(140℃):△、製造効率:×であった。なお当該光沢および意匠性の評価はOPP基材面から評価を行った。
上記の評価結果より、本発明の実施形態の積層体は、フィルムをラミネートした裏刷り構成の積層体以上に印刷層の光沢を向上させ、軟包装表刷り構成において良好な耐熱性、ヒートシール性を発現し、さらに製造効率が良好でありプラスチック使用量が少なくCO削減にも寄与できることが示された。

Claims (9)

  1. ヒートシール層とオーバーコート層とが、少なくとも印刷インキ層を介して積層されてなる包装袋用積層体であって、
    前記オーバーコート層表面の光沢値が、70以上であり、かつ前記オーバーコート層の融点が、60〜220℃であり、
    オーバーコート層の融点が、ヒートシール層の融点よりも大きく、かつ前記オーバーコート層の融点と、前記ヒートシール層の融点との差が、10〜170℃である、包装袋用積層体。
  2. ヒートシール層の融点が、50〜180℃である、請求項1に記載の包装袋用積層体。
  3. 積層体全体の厚みから、印刷インキ層およびオーバーコート層を除いた厚みが、5〜40μmである、請求項1または2記載の包装袋用積層体。
  4. 印刷インキ層が、少なくともウレタン樹脂またはポリアミド樹脂を含有する、請求項1〜3いずれかに記載の包装袋用積層体。
  5. オーバーコート層が、ポリエステル系樹脂、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、および、ウレタン系樹脂から選ばれる少なくとも一種のバインダー樹脂を含有する、請求項1〜4いずれかに記載の包装袋用積層体。
  6. オーバーコート層が、ポリエステル系樹脂を含む、請求項5に記載の包装袋用積層体。
  7. オーバーコート層が、イソシアネート硬化剤とバインダー樹脂との硬化層を含む、請求項1〜6いずれかに記載の包装袋用積層体。
  8. 請求項1〜7いずれかに記載の包装袋用積層体のヒートシール層同士をヒートシールしてなる包装袋。
  9. プラスチック基材上に、有機溶剤系インキを塗布して印刷インキ層を形成する工程、
    その後、前記印刷インキ層上にオーバーコート剤を塗布してオーバーコート層を形成する工程、
    前記プラスチック基材がヒートシール性を有しない基材の場合は、プラスチック基材の印刷インキ層でない面に、ヒートシール層を塗布または溶融塗工する工程
    を含む包装袋用積層体の製造方法であって、
    前記有機溶剤系インキが、ウレタン樹脂またはポリアミド樹脂を含み、
    前記積層体のオーバーコート層表面の光沢値が、70以上となるように形成される、包装袋用積層体の製造方法。
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