JP2021138105A - 離型フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂の転写や、ポリエステルフィルムの表面状態を転写する用途に用いるポリエステルフィルムに関し、各種樹脂に対する離型性に優れ、かつ、転写樹脂表面への離型成分の転着が少なく、転写樹脂表面への二次加工を良好に処理することができる新たな離型フィルムを提供する。【解決手段】ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層形成組成物から形成されてなる離型層を備え、当該離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤の含有量が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m2以上である離型フィルムを提案する。【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に離型層を備える離型フィルムに関する。
ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートに代表されるポリエステルフィルムは、機械的強度、寸法安定性、平坦性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等に優れた特性を有し、コストパフォーマンスに優れるため、各種用途に使用されている。
ポリエステルフィルムの用途の一例として、電磁波シールド用途や成型同時転写用途などの転写用、フレキシブルプリント配線版の製造用、プラスチックシート製造用の工程紙用等、各種工程中で用いられる工程用フィルムが挙げられる。これらの用途で使用する場合、種々の樹脂や粘着剤に対する離型性を得るため、ポリエステルフィルム表面に、離型性塗膜を積層する方法が提案されている。
プラズマディスプレイ(PDP)などでは、電磁波シールドフィルムすなわち導電性フィルムを表示パネルの前面に装着することが行われており、この電磁波シールドフィルムとして、ポリエステルフィルムに網目状の金属の細線を設けた導電性フィルムが一般的に使用されている。
この種の電磁波シールドフィルムとして、支持フィルム上に電磁波シールドフィルムを形成し、これを各種機器表面に高温プレス圧着して電磁波シールドフィルムを転写することが行われている。
このような転写型の電磁波シールドフィルムの支持フィルムとしては、従来は、平坦なポリエステルフィルムが一般的に用いられてきた。しかし、製品の外観を艶消し外観に仕上げるため、表面をマット調に仕上げたポリエステルフィルムを当該支持フィルムに使用して、このマット調表面を製品に転写することが提案されている。
成形同時転写では、一般的に、支持フィルムの離型層上に順次、ハードコート層や図柄印刷層および接着層などの転写層を積層した構成からなる転写箔が使用される。この転写箔を射出成形用の金型内にセットし、樹脂成形品を成形するのと同時にその表面に転写箔シートを一体化して接着し、樹脂成形品に図柄を転写し装飾を施す、いわゆるインモールド転写法が広く一般的に知られている。
このようなインモールド転写法においても成形品の意匠性の一つとして、低光沢感を有する成形品が必要とされる場合がある。成形品に低光沢感を与える手段として、表面をマット調に仕上げたポリエステルフィルムを当該支持フィルムに使用して、このマット調表面を製品に転写する手法が挙げられる。
例えば特許文献1には、少なくとも一方のフィルム面に離型剤、熱硬化性を有する化合物およびバインダーポリマーを含む離型層が設けられた離型フィルムであり、100%伸長前後の離型層とアクリル粘着テープとの剥離力が特定の範囲である離型フィルムが開示されている。
例えば特許文献2には、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に粘着離型層を有し、該粘着離型層がガラス転移温度−40℃以上20℃以下のフッ素系ポリマー、ガラス転移温度−60℃以上10℃以下のウレタン系ポリマーおよび架橋剤を含有し、該粘着離型層に対するハードコート層の剥離力が0.2N/mm以上0.4N/mm以下であって、微小硬度計による該粘着離型層の表面硬度が0.5GPa以上4.5GPa以下であることを特徴とするインモールド転写材用粘着離型ポリエステルフィルムが開示されている。
特許文献3には、無機粒子および/または有機粒子を含有するポリエステルA層を少なくとも一方の最外層に有し、該最外層のポリエステルA層表面の平均表面粗さRaが0.38μm以上1.0μm以下であり、ポリエステルA層表面の粗さ曲線要素の平均長さRSmが10μm以上80μm以下であり、離型層がフッ素系ポリマーを含有する組成である離型用二軸配向ポリエステルフィルムが開示されている。
特開2010−247456号公報 特開2012−11658号公報 特開2016−175229号公報
上述のように、ポリエステルフィルムの表面に離型層を設けることで各種樹脂層に対する離型性を保つことが可能となり、転写用ポリエステルフィルムとして使用することが可能となる。また、ポリエステルフィルムの表面を粗面化してマット調に形成した場合は、当該ポリエステルフィルムの表面を対象物表面に当接してプレス圧着し、その後、当該ポリエステルフィルムを剥離することで、当該対象物表面に前記粗面化した表面状態を転写してマット調の外観に仕上げることができる。
従来提案されているこの種の転写用ポリエステルフィルムは、その離型層に離型性能を与えるため、離型層中に離型剤を多量に加える必要があった。しかし、そのような離型層を用いた場合、転写した樹脂表面に離型成分が転着することにより、転写した樹脂層表面の特性が変化してしまったり、該樹脂層表面上に保護層や粘着層を設けるなどの二次加工が上手く処理できなかったりする虞があった。
そこで本発明は、樹脂層の転写や、ポリエステルフィルムの表面状態を転写する用途に用いるポリエステルフィルムに関し、各種樹脂層に対する離型性に優れ、かつ、転写樹脂層表面への離型成分の転着が少なく、転写樹脂層表面への二次加工を良好に処理することができる新たな離型フィルムを提供せんとするものである。
本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層形成組成物から形成されてなる離型層を備え、当該離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として、離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上であることを特徴とする離型フィルムを提案する。
本発明が提案する離型フィルムは、離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上であることから各種樹脂層を好適に剥離することが可能となり、離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤を15質量%未満にすることで樹脂層表面への離型成分の転着量を抑えることが可能となり、樹脂層表面への二次加工を良好に処理することができる。
次に、実施の形態例に基づいて本発明を説明する。ただし、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
<<本離型フィルム>>
本発明の実施形態の一例に係る離型フィルム(「本離型フィルム」と称する)は、基材としてのポリエステルフィルム(「本ポリエステルフィルム」と称する)の少なくとも片面側に離型層形成組成物から形成されてなる離型層(「本離型層」と称する)を備え、当該離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上のものである。
本離型フィルムの積層構成としては、本ポリエステルフィルムの片面側に離型層を形成し、他方の面側はポリエステルフィルム基材の表面をそのままにした構成であってもよいし、当該他方の片面側に他の層を形成してなる構成であってもよい。また、本ポリエステルフィルムの両面側に離型層を形成してなる構成であってもよい。
さらにまた、本ポリエステルフィルムと離型層との間に他の層を設けてもよい。
但し、当該離型層は、本ポリエステルフィルムの少なくとも一方の最表面であることが好ましい。
<<本ポリエステルフィルム>>
本ポリエステルフィルムは、本離型フィルムの基材としての役割を果たすものである。
本ポリエステルフィルムは、無延伸フィルム(シート)であっても延伸フィルムであってもよい。中でも、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムであるのが好ましい。その中でも、力学特性のバランスや平面性に優れる点で、二軸延伸フィルムであるのが好ましい。
本ポリエステルフィルムは、単層構成であっても、2層以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。転写樹脂層表面に低光沢感を付与する目的の場合、本離型フィルムもマット調の表面形状を備えた物であることが好ましい。マット調を付与する方法としては、粒子を含有する粒子含有層を備えた構成が挙げられる。
本ポリエステルフィルムの構成としては、粒子を含有しない層のみからなる構成、粒子を含有する粒子含有層のみからなる構成、基材層の片面側又は両面側に粒子含有層を備えた構成などが挙げられる。
片面側又は両面側に粒子含有層を備えた構成の具体例としては、例えば基材層の両面側に粒子含有層Aを備えたものであってもよいし、基材層の片面側に粒子含有層Aを備え、基材層の他面側には粒子含有層Aとは異なる粒子含有層Bを形成したものであってもよいし、基材層の片面側に粒子含有層Aを備え、基材層の他面側には層を形成しないものであってもよいし、また、基材層の片面側に粒子含有層Aを備え、基材層の他面側には粒子を含有しない層を形成したものであってもよい。
本ポリエステルフィルムは、粒子含有層Aを備える構成が好ましく、中でも、本ポリエステルフィルムは、基材層の片面側に粒子含有層Aを備え、基材層の他面側には粒子含有層Aとは異なる粒子含有層Bを形成した構成が好ましいため、この構成については後で詳述する。
(本ポリエステル)
本ポリエステルフィルムを構成する層、例えば上記の基材層、粒子含有層A、粒子含有層B、さらなる他の層は、ポリエステルを主成分樹脂とする層であるのが好ましい。
本ポリエステルフィルムの主成分樹脂であるポリエステル(「本ポリエステル」とも称する)は、ホモポリエステルであっても、共重合ポリエステルであってもよい。
本離型フィルムの表面を粗面化してマット調とする場合、本ポリエステルは共重合成分を含有する共重合ポリエステルであることが好ましい。中でも共重合成分を含有するポリエチレンテレフタレート(「共重合ポリエチレンテレフタレート」と称する)がより好ましい。
ここで、「主成分樹脂」とは、各層を構成する樹脂成分のうち最も含有割合の多い樹脂の意味である。
上記のポリエステルは、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものであればよい。前記芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、他方の脂肪族グリコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール等を挙げることができる。代表的なポリエステルとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(PEN)等を例示することができ、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。
共重合ポリエステルおよび共重合ポリエチレンテレフタレートのジカルボン酸成分として、例えばイソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸及びオキシカルボン酸(例えば、P−オキシ安息香酸など)等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができ、他方のグリコール成分として、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びネオペンチルグリコール等から選ばれる一種または二種以上を挙げることができる。
中でも、共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分は、該共重合ポリエチレンテレフタレートの融点が240℃以下となるような共重合成分であるのが好ましく、235℃以下となるような共重合成分であるのがより好ましく、230℃以下となるような共重合成分であるのがさらに好ましい。
共重合ポリエチレンテレフタレートの融点が240℃以下となることで、当該共重合ポリエチレンテレフタレートを含有する層を延伸し熱処理した場合、該層表面に比較的大きな高さを有する突起が現れやすくなり、十分な低光沢性を有するフィルムが得られるため好ましい。
融点が240℃以下とするため、共重合ポリエチレンテレフタレートのジカルボン酸成分として、イソフタル酸、フタル酸及びセバシン酸等から選ばれる一種また二種以上を含むことが好ましく、グリコール成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリコール及びブタンジオール等から選ばれる一種または二種以上を含むことが好ましい。特に効率的に融点を下げることができ、共重合ポリエチレンテレフタレートとしての合成を行いやすいという観点から、共重合ポリエチレンテレフタレートのジカルボン酸成分として、イソフタル酸を含むことが好ましい。
(基材層)
本ポリエステルフィルムの基材層は、本ポリエステルフィルムを構成する各層の中でも最も厚さの大きな層であり、上記ポリエステルを主成分樹脂としていれば、その組成は任意である。
基材層は、粒子を含有する層を備えたものであってもよいし、粒子を含有する層のみからなるものであってもよい。但し、コストの観点から、後述する有機粒子、無機粒子などの粒子を含有しない層であるのが好ましい。
基材層の厚さは、本ポリエステルフィルムのカールを防止するという観点から、本ポリエステルフィルム厚さの60〜100%であるのが好ましく、中でも65%以上或いは99%以下、その中でも70%以上或いは99%以下であるのがさらに好ましい。この範囲にあることにより、基材層自体にコシが出るために本ポリエステルフィルムのカールが発生しにくくなる。
(粒子含有層)
本ポリエステルフィルムは、低光沢感や易滑性を付与するため、粒子を含有する粒子含有層を備えることが好ましい。中でも基材層の片面側に粒子含有層Aを備え、基材層の他面側には粒子含有層Aとは異なる粒子含有層Bを形成した構成が好ましい。
後述する粒子含有層A及び粒子含有層Bの好ましい構成は、本ポリエステルフィルムにおける粒子含有層として好ましい構成にも該当する。
(粒子)
粒子は、マット感付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば無機粒子であっても、有機粒子であっても、架橋高分子粒子であってもよい。無機粒子は、延伸した際にフィルムにボイドを形成することがあり、視認性向上のために白色顔料を添加する必要がないという観点から好ましく、有機粒子はボイドが生じにくいためにフィルムの強度が下がらないという観点で好ましい。
無機粒子としては、例えばシリカ、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸リチウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、ゼオライト及び硫化モリブデンなどを挙げることができる。なお、上記シリカ粒子は、二酸化ケイ素(SiO)の他にも、例えば含水二酸化ケイ素などを含んでいてもよい。
有機粒子としては、例えばアクリル樹脂、スチレン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びベンゾグアナミン樹脂等を挙げることができる。中でも、メタクリル酸メチル又はスチレン又は両方を共重合成分とする樹脂からなる粒子は、特にPETフィルムとの相性が良いため、好ましい。その他、ポリテトラフルオロエチレン、ベンゾグアナミン樹脂、熱硬化エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性尿素樹脂及び熱硬化性フェノール樹脂などの有機粒子を用いてもよい。
架橋高分子粒子としては、例えばジビニルベンゼンやポリアクリレート等の架橋性モノマーと、スチレン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸またはメタクリル酸の誘導体やその他の各種ビニル系モノマー等との共重合体を挙げることができる。
上記粒子の形状は任意である。例えば球状、塊状、棒状及び扁平状等のいずれでもよい。但し、均一なマット面を得られるという観点から、球状であるのが好ましい。粒子の硬度、比重、色等については特に制限はないし、種類の異なる2種類以上を併用してもよい。
(粒子含有層A)
粒子含有層Aは、平均粒径が2.0μm〜10.0μmである粒子Xを含有する層であることが好ましく、その表面に後述する離型層が設けられる層であることが好ましい。
粒子含有層Aが平均粒径2.0μm以上の粒子Xを含有することにより、粒子含有層Aの表面を粗面化することができ、マット調とすることができる。但し、粒子Xが大き過ぎると、フィルム製造時のポリエステル押出工程におけるフィルターの圧力上昇が大きくなり生産性が低下する可能性がある。
よって、粒子Xの平均粒径は2.0μm以上であるのが好ましく、中でも10.0μm以下、その中でも3.0μm以上或いは9.0μm以下、その中でも4.0μm以上或いは8.0μm以下であるのがさらに好ましい。
粒子の平均粒径は、粒子が粉体の場合には、遠心沈降式粒度分布測定装置(例えば株式会社島津製作所社製、SA−CP3型)を用いて粉体を測定した等価球形分布における積算体積分率50%の粒径(d50)を平均粒径とすることができる。
フィルム、層、又は樹脂中の粒子の平均粒径については、10個以上の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)観察して粒子の直径を測定し、その平均値として求めることができる。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定することができる。後述する粒子についても同様である。
粒子Xは、マット感付与可能な粒子であれば特に限定されるものではない。例えば前述の無機粒子であっても、有機粒子であっても、架橋高分子粒子であってもよい。
粒子含有層Aが含有する粒子Xは、真比重の小さい粒子であるのが好ましい。真比重が小さければ、相対的に粒子数を増やすことができる。すなわち、同じ大きさ及び同じ含有量(質量%)において粒子の数を増やすことができ、粒子含有層A表面の突起の数言い換えれば密度を増やすことができ、低光沢感をより一層優れたものとすることができる。
かかる観点から、粒子含有層Aが含有する粒子Xの真比重は2.0以下であるのが好ましく、中でも1.5以下、その中でも1.3以下であるのがさらに好ましい。なお、下限値としては0.5程度である。
粒子含有層Aの表面を粗面化しマット調とする観点から、粒子含有層Aが含有する粒子Xの真比重は2.0以下であり、かつ平均粒径が2.0〜10.0μmの範囲であることが好ましい。
粒子含有層Aにおける粒子Xの含有量は、粒子含有層Aの表面を好適に粗面化することができ、しかも、フィルム延伸時に破断等が生じないようにするなどの観点から、粒子含有層A(100質量%)中に0.1〜20質量%であるのが好ましく、その中でも1質量%以上或いは18質量%以下、その中でも2質量%以上或いは15質量%以下、その中でも3質量%以上或いは13質量%以下、その中でも5質量%以上或いは10質量%以下であるのがさらに好ましい。
粒子含有層Aの主成分樹脂をなすポリエステルAは、ホモポリエステルであっても、共重合成分を含有する共重合ポリエステルであってもよい。
粒子含有層Aを構成するポリエステル全量に対して、共重合成分が0.1〜10mol%含有されるのが好ましい。当該共重合成分を0.1mol%以上含有すれば、粒子含有層Aを軟らかくすることができ、粒子含有層A表面の突起の高さをより大きくすることができる。他方、当該共重合成分が10mol%以下であれば、フィルムを破断なく効率よく製造できることから、好ましい。また、本積層ポリエステルフィルムが延伸フィルムである場合は、共重合成分の割合が上記範囲内であることによって、延伸配向化及び熱固定が可能となることから好ましい。
かかる観点から、粒子含有層Aを構成するポリエステル全量に対して、共重合成分が0.1〜10mol%含有されるのが好ましく、中でも1mol%以上或いは8mol%以下、その中でも3mol%以上或いは6mol%以下含有されるのがさらに好ましい。
なお、通常、エチレングリコールを原料の1つとしてポリエステルを製造(重縮合)する場合、エチレングリコールの一部は変性してジエチレングリコールとなってポリエステル骨格に導入される。このジエチレングリコールを副生ジエチレングリコールと称し、その副生量は、重縮合の様式(エステル交換法、直接重縮合)等によっても異なるが、エチレングリコールのうち1〜5mol%程度である。本発明においては、エチレングリコールから副生されるジエチレングリコールは、共重合成分として扱わないものとする。
本離型フィルム表面の低光沢感をより一層優れたものとしつつ、本離型フィルムの生産性を維持することが可能となる、粒子含有層Aの好ましい態様は、粒子含有層Aにおける粒子Xの真比重を2.0以下とし、粒子Xの平均粒径を2.0〜10.0μmとし、かつ粒子含有層Aを構成するポリエステル全量に対して、共重合成分が0.1〜10mol%含有されるものである。
粒子含有層Aの厚さは、1.0〜20μmであるのが好ましく、中でも2.0μm以上或いは20μm以下、その中でも3.0μm以上或いは20μm以下、その中でも特に4.0μm以上或いは15μm以下であるのがさらに好ましい。
粒子含有層Aの厚さを1.0μm以上とすることにより、効果的にマット感を付与することができる。また、粒子含有層Aの厚さが20μmを超えてもマット感の改善効果はほとんど変わらない。
(粒子含有層B)
前述したように、基材層の片面側に粒子含有層Aを備え、基材層の他面側には、後述する離型層が設けられない層として、粒子含有層Aとは異なる粒子含有層Bを形成することができる。
この際、本ポリエステルフィルム全体のカールを防ぐことができる点で、粒子含有層Bにおいても、平均粒径2.0〜10.0μmの粒子Xを含有するのが好ましい。
但し、粒子含有層Bの面は、ハンドリング性を好適にする程度に粗面化できればよいから、粒子含有層Aの面ほど粗面化する必要はない。よって、平均粒径2.0〜10.0μmの粒子Xの含有量は粒子含有層Aよりも少なくてよい。
具体的には、粒子含有層Bが含有する粒子Xの含有量は、粒子含有層Aが含有する粒子Xの含有量の0.1〜100質量%とするのが好ましく、中でも1質量%以上或いは95質量%以下、その中でも5質量%以上或いは90質量%以下であるのがさらに好ましい。
粒子含有層Bは、本ポリエステルフィルムを白色化するために、平均粒径2.0μm未満の粒子Yを含有したものであってもよい。
この際、粒子含有層Bは、粒子Xを含有しないで粒子Yを含有してもよいし、粒子Xと共に粒子Yを含有してもよい。
粒子Xと共に粒子Yを含有する場合、粒子Xと粒子Yの含有質量比率は1:99〜99:1であるのが好ましく、中でも10:90〜90:10、その中でも15:85〜85:15であるのがさらに好ましい。
粒子Yの形状は任意である。例えば球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれでもよい。但し、凝集による粗大突起を引き起こしにくいという観点から、球状であるのが好ましい。
粒子Yの硬度、比重、色等については特に制限はないし、種類の異なる2種類以上を併用してもよい。
粒子Yの平均粒径は、光散乱効果による白色不透明性を付与する観点から、0.05μm〜0.50μmであるのが好ましく、中でも0.10μm以上或いは0.45μm以下、その中でも0.20μm以上或いは0.40μm以下、その中でも0.25μm以上であるのがさらに好ましい。
粒子Yとしては、光散乱効果による白色不透明性を付与する観点から、金属化合物粒子であるのが好ましい。
金属化合物粒子としては、例えば酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、カオリン、酸化アルミニウム及び酸化ジルコニウム等を挙げることができ、中でも酸化チタン、炭酸カルシウム及び硫酸バリウムなどの金属化合物粒子を挙げることができる。
粒子含有層Bの主成分樹脂をなすポリエステルは、粒子含有層Aの主成分樹脂をなすポリエステルと同じであっても、異なるものであっても良い。すなわち、共重合成分を含有する共重合ポリエステルであっても、共重合成分を含有しないホモポリエステルであってもよい。
特に、粒子含有層Bを構成するポリエステルが粒子含有層Aを構成するポリエステルと同じ共重合成分を含有する場合、粒子含有層Aを構成するポリエステルの共重合成分の含有割合よりも、粒子含有層Bを構成するポリエステルの共重合成分の含有割合の方が低いことが好ましい。言い換えれば、粒子含有層Bを構成するポリエステルの共重合成分の含有割合よりも、上記粒子含有層Aを構成するポリエステルの共重合成分の含有割合の方が高いことが好ましい。粒子含有層Aの表面に離型層を備える構成の場合、粒子含有層B側表面は、粒子含有層A側表面ほど粗くする必要がないからである。
またその際、上記粒子含有層Aを構成するポリエステル全量に対する共重合成分の含有割合と上記粒子含有層Bを構成するポリエステル全量に対する共重合成分の含有割合との差は5mol%以下であるのが好ましく、中でも4mol%以下、その中でも3mol%以下であるのがさらに好ましい。
共重合成分の含有割合が上記範囲の関係を有することで、カールの抑制だけでなく、ハードコート層のような他の層をさらに積層させる際、粒子含有層Bと他の層との密着性を向上することもできる。
粒子含有層Bの厚さは、本ポリエステルフィルムのカールを防止するという観点から、粒子含有層Aの厚さと同様であるのが好ましい。かかる観点から、粒子含有層Bの厚さも、1.0〜20μmであるのが好ましく、中でも2.0μm以上或いは20μm以下、その中でも3.0μm以上或いは20μm以下、その中でも特に4.0μm以上或いは15μm以下であるのがさらに好ましい。
(その他の成分)
ポリエステルフィルム基材を構成する各層には、必要に応じて従来公知の耐候剤、耐光剤、遮光剤、酸化防止剤、熱安定剤、潤滑剤、帯電防止剤、蛍光増白剤、染料及び顔料等を添加することができる。また用途によっては、紫外線吸収剤、特にベンゾオキサジノン系紫外線吸収剤等を含有させてもよい。
<本ポリエステルフィルムの厚さ>
本ポリエステルフィルムの厚さは、フィルムとして製膜可能な範囲であれば特に限定されるものではない。中でも、機械的強度、ハンドリング性および生産性などの点から、1μm〜300μmであるのが好ましく、中でも5μm以上或いは125μm以下、その中でも8μm以上或いは100μm以下、その中でも12μm以上或いは75μm以下であることがさらに好ましい。
<本離型層>
本離型フィルムは、本ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層形成組成物から形成されてなる離型層を備えるものであり、当該離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上であるものである。
(本離型層の形成)
本離型層は、本ポリエステルフィルムの少なくとも片面、中でも前記粒子含有層A表面、すなわち、粗面化された表面に設けることが好ましいため、塗布延伸法(インラインコーティング)を採用して形成するのが好ましい。但し、この方法に限定するものではない。
塗布延伸法(インラインコーティング)としては、例えば、逐次二軸延伸においては特に1段目の延伸が終了して、2段目の延伸前に、「離型層形成組成物」をコーティング処理するのが好ましい。このようにすれば、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
離型層形成組成物からなる塗布液を塗布する方法としては、例えば、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、ナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファロールコート、グラビアコート、キスロールコート、キャストコート、スプレーコート、カーテンコート、カレンダコート及び押出コート等従来公知の塗布方法を用いることができる。
より具体的には、例えば、逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムに、離型層形成組成物からなる塗布液をコーティングした後に横方向に延伸してポリエステルフィルムを形成する方法が優れている。かかる方法によれば、ポリエステルフィルムの製膜と離型層の形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、離型層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。
また、延伸前にポリエステルフィルム上に離型層を設けることにより、離型層をポリエステルフィルムと共に延伸することができ、それにより離型層をポリエステルフィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。
それゆえ、コーティング後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、離型層の造膜性が向上し、離型層とポリエステルフィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な離型層とすることができる。
また、離型層は、オフラインコーティングあるいはインラインコーティングによる形成に係わらず、必要に応じて熱処理と紫外線照射等の活性エネルギー線照射とを併用してもよい。離型層を形成する塗布液のポリエステルフィルムへの塗布性、接着性を改良するため、塗布前にポリエステルフィルムに化学処理やコロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、薬品処理及び溶剤処理等の表面処理を施してもよい。
上記離型層形成組成物すなわち塗布液としては、離型剤、架橋剤及び各種のポリマーを含有する樹脂組成物を挙げることができる。
上記離型層形成組成物に配合する「離型剤」としては、特に制限はなく、従来公知の離型剤を使用することが可能である。例えばワックス、長鎖アルキル基含有化合物、フッ素化合物、シリコーン化合物等を挙げることができる。
中でも、光学用途に適用しても汚染の可能性が少ないという観点からワックスや長鎖アルキル基含有化合物が好ましく、表面自由エネルギーの低下が少なく、加工層に対する濡れ性に優れるという観点から、ワックスが好ましい。
上記ワックスとしては、天然ワックス、合成ワックス及び変性ワックスなどを挙げることができる。
天然ワックスとは、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスである。
植物系ワックスとしては、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ロウ及びホホバ油等が挙げられる。
動物系ワックスとしては、みつろう、ラノリン及び鯨ロウ等が挙げられる。鉱物系ワックスとしてはモンタンワックス、オゾケライト及びセレシン等が挙げられる。
石油ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びペトロラタム等が挙げられる。
合成ワックスとしては、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、脂肪酸、酸アミド、アミン類、イミド類、エステルワックス及びケトン類を挙げることができる。
合成ワックスとしては、例えばフィッシャー・トロプシュワックス(別名サゾールワックス)、ポリエチレンワックスなどを挙げることができる。このほかに低分子量の高分子(具体的には数平均分子量500から20000の高分子)である以下のポリマー、すなわち、ポリプロピレン、エチレン・アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールのブロックまたはグラフト結合体等を挙げることができる。
変性ワックスとしては、例えばモンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体及びマイクロクリスタリンワックス誘導体等を挙げることができる。ここでの誘導体とは、精製、酸化、エステル化、ケン化のいずれかの処理、またはそれらの組み合わせによって得られる化合物である。水素化ワックスとしては硬化ひまし油、および硬化ひまし油誘導体を挙げることができる。
中でも、離型性能が優れるという観点において、離型層における離型剤としては合成ワックスが好ましく、その中でもポリエチレンワックスがより好ましく、酸化ポリエチレンワックスがさらに好ましい。
合成ワックスの数平均分子量は、離型成分の転着を抑えるという観点や、取扱い性の観点から、通常500〜30000、好ましくは1000〜15000、より好ましくは2000〜8000である。
また、離型層を形成する際、架橋などのために加熱することを考慮すると、上記ワックスの中でも、融点または軟化点が80℃以上、特に110℃以上のものが好ましい。また熱処理を行った後に離型性能をコントロールする観点で、200℃以下、中でも170℃以下、特に150℃以下が好ましい。
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)によって測定ができる。
離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤は、15質量%未満が好ましい。離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤が15質量%未満であることにより、離型成分の転着を抑えることができる。離型剤の割合として15質量%未満が好ましく、中でも1質量%以上或いは13質量%以下、その中でも3質量%以上或いは11質量%以下、中でも5質量%以上或いは9質量%以下であるのがさらに好ましい。含有量の下限量は特に制限されないが、通常0.05質量%程度である。
離型層中に占める離型剤の割合は、例えば、下記の熱重量分析(熱重量減少のデータを利用)の方法で算出することができる。
下記方法で算出した場合、離型層中に占める割合として離型剤は、15質量%未満が好ましく、中でも1質量%以上或いは14質量%以下、その中でも3質量%以上或いは12質量%以下、中でも5質量%以上或いは10質量%以下であるのがさらに好ましい。含有量の下限は特に制限されないが、通常0.05質量%程度である。
熱重量分析の方法:
離型層を構成する各材料を、熱重量分析を用いて、フィルム製造における熱処理温度、例えば230〜250℃における重量減少率を測定する。離型層形成組成物中の各成分の割合に、得られた重量減少率を乗じ、離型層中の各成分の含有量を求め、得られた各成分の含有量から離型剤の含有比率を求める。
上記の離型層中に占める離型剤の割合は、上述した離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める離型剤の割合と同義とみなすことができ、従って本離型フィルムは、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備え、離型層中に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上である離型フィルムともみなすことができる。
さらに、ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備え、離型層中に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上である離型フィルムは、本発明の実施の形態例の一つに含まれる。
離型層中の離型剤の含有量として、3.4mg/m以上であることが好ましい。離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上であることにより、熱処理前後の特性バランスを含め、良好な離型性能を維持することが可能となる。よって、離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上が好ましく、中でも4.0mg/m以上、中でも4.5mg/m以上、中でも5.0mg/m以上であるのがさらに好ましい。
上限は特に制限されないが、通常は1000mg/m以下である。
なお、離型層中の離型剤の含有量は、例えば、上記の熱重量分析の方法を利用することで算出することができる。
また、離型層中の離型剤の含有量を調整する方法として、例えば、離型層形成組成物中の離型剤の含有割合や、離型層形成組成物の塗布量を調整する方法が挙げられる。
離型層中に占める離型剤の割合や、離型層中の離型剤の含有量は、例えば、離型フィルムの表面について、X線光電子分光分析装置(ESCA)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)ATR法、飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を行い、また、離型層を溶剤にて溶解抽出し、クロマトグラフィーで分取した後、プロトン核磁気共鳴分光法(1H−NMR)、カーボン核磁気共鳴分光法(13C−NMR)、フーリエ赤外分光光度計(FT−IR)により構造を解析し、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)を行うことでも求めることが出来る。
離型層の強度を上げることで、離型成分の転着が起きにくい層にするという観点から、離型層形成組成物中に架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤を架橋させて離型層を形成する場合、形成後の離型層は、上述のように架橋剤に由来する化合物を有することになる。
架橋剤としては、従来公知の材料を使用することができる。例えばメラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド系化合物、シランカップリング化合物、ヒドラジド化合物及びアジリジン化合物等が挙げられる。それらの中でも、メラミン化合物、オキサゾリン化合物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物及びカルボジイミド系化合物が好ましい。より離型層の強度を強化し、基材のフィルムとの密着性を向上させるとうい観点からメラミン化合物が特に好ましい。
メラミン化合物とは、化合物中にメラミン骨格を有する化合物のことであり、例えば、アルキロール化メラミン誘導体、アルキロール化メラミン誘導体にアルコールを反応させて部分的あるいは完全にエーテル化した化合物、およびこれらの混合物を用いることができる。アルキロール化としては、メチロール化、エチロール化、イソプロピロール化、n−ブチロール化及びイソブチロール化などが挙げられるが、反応性の観点から、メチロール化が好ましい。また、エーテル化に用いるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール及びイソブタノール等が好適に用いられる。塗膜強度を向上させ、また、微細突起構造を形成しやすくするという観点から、部分的にエーテル化したアルキロール化メラミン誘導体であることが好ましく、メチルアルコールでエーテル化したアルキロールであることがより好ましい。また、メラミン化合物としては、単量体、あるいは2量体以上の多量体のいずれであってもよく、あるいはこれらの混合物を用いてもよい。さらに、メラミンの一部に尿素等を共縮合したものも使用できる。
ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル(ポリビニルアルコール、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース及びでんぷん類等が挙げられる。これらの中でも離型性のコントロールがしやすいという点において、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂が好ましく、本ポリエステルフィルムとの密着性と高め、離型成分の転着を抑えるという観点や、熱処理前後の離型性能のバランスをコントロールできるという観点からポリエステル樹脂がより好ましい。
ポリエステル樹脂とは、主な構成成分として例えば、下記のような多価カルボン酸および多価ヒドロキシ化合物からなるものが挙げられる。すなわち、多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、フタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、5−ソジウムスルホイソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、グルタル酸、コハク酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水フタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、トリメリット酸モノカリウム塩及びそれらのエステル形成性誘導体などを用いることができ、多価ヒドロキシ化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ−ル、2−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、p−キシリレングリコ−ル、ビスフェノ−ルA−エチレングリコ−ル付加物、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ポリテトラメチレンオキシドグリコ−ル、ジメチロ−ルプロピオン酸、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ジメチロ−ルエチルスルホン酸ナトリウム及びジメチロ−ルプロピオン酸カリウムなどを用いることができる。これらの化合物の中から、それぞれ適宜1つ以上を選択し、常法の重縮合反応によりポリエステル樹脂を合成すればよい。
離型層形成組成物に架橋剤を配合する場合、当該離型層形成組成物中の架橋剤の含有割合は、5〜98質量%であるのが好ましく、中でも15質量%以上或いは90質量%以下、その中でも30質量%以上或いは70質量%以下、その中でも38質量%以上或いは50質量%以下であるのがさらに好ましい。架橋剤の含有割合が5質量%以上であれば、塗膜の強度を上げることができ、架橋剤の含有割合が98質量%以下であれば、離型層の十分な離型性やポリエステルフィルムに対する密着性を確保できる可能性がある。
離型層形成組成物にポリマーを配合する場合、当該離型層形成組成物中のポリマーの含有割合は、1〜80質量%であるのが好ましく、中でも5質量%以上或いは70質量%以下、その中でも20質量%以上或いは60質量%以下であるのがさらに好ましい。
なお、離型層形成組成物からなる塗布液は、水を溶媒とする水性塗布液であってもよく、この際、少量の有機溶剤を含有していてもよい。
この際、有機溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール及びグリセリン等のアルコール類、エチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びテトラヒドロフラン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メチルエタノールアミン等のアミン類等を例示することができる。これらは単独、もしくは複数を組み合わせて用いることができる。水性塗布液に、必要に応じてこれらの有機溶剤を適宜選択し、含有させることで、塗布液の安定性、塗布性を良好にすることができる。
上記離型層形成組成物には、必要に応じて、ブロッキングや滑り性改良のために、粒子を含有させることも可能である。さらに、消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、有機系潤滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤及び発泡剤等を含有させることも可能である。
<本離型フィルムの物性>
(フィルムの表面粗さ)
低光沢感を付与する用途として用いる場合、本離型フィルムの離型層表面の粗さ、すなわち、ポリエステルフィルムの一方側に離型層を形成した場合はその表面、言い換えれば本ポリエステルフィルムの一方側の表面、または、ポリエステルフィルムの両方の側にそれぞれ離型層を形成した場合はその両表面、言い換えれば本ポリエステルフィルムの両方側の表面の平均表面粗さ(Ra)は0.1μm〜2.0μmであるのが好ましい。
本ポリエステルフィルム表面の平均表面粗さ(Ra)が上記範囲であれば、マット感を表現することができ、この表面を、対象物にプレス圧着して離型させることで、対象物表面に当該マット感を付与することができる。
かかる観点から、本ポリエステルフィルムの少なくとも離型層側表面の平均表面粗さ(Ra)は0.1μm〜2.0μmであるのが好ましく、中でも0.2μm以上或いは1.0μm以下、その中でも0.3μm以上或いは0.9μm以下であるのがさらに好ましい。
なお、フィルム表面の平均表面粗さ(Ra)は、後述の実施例に記載の測定方法により測定することができる。
また、離型層側表面の平均表面粗さ(Ra)を上記範囲に調整する方法としては、粒子含有層を備えるポリエステルフィルムを用いたり、特に粒子含有層の材料として共重合ポリエステルや上述の範囲の粒径や真比重の粒子を用いたり、粒子含有層の厚さやポリエステルフィルムの延伸条件や熱処理条件を調整したりする方法が挙げられる。
なお、離型層側表面は、低光沢感をより一層優れたものとするため、比較的大きな高さを有する突起が多数、言い換えれば密度高く形成された表面であるのが好ましい。但し、離型層側表面の平均表面粗さ(Ra)の数値を見ると、離型層側表面の特徴、すなわち、比較的大きな高さを有する突起が多数形成された表面の特徴が、当該Raの数値にはあまり現れていない点には留意が必要である。
なお、本ポリエステルフィルムの一方側の表面をマット調とすれば、他方の表面は、ハンドリングに支障がない程度に粗面化していれば十分であり、他の層と積層する際の密着性を向上させる観点から、離型層側表面の平均表面粗さ(Ra)よりも小さいことが好ましい。かかる観点から、他方側表面の平均表面粗さ(Ra)は0.01μm〜1.0μmであるのが好ましく、中でも0.03μm以上或いは0.8μm以下、その中でも0.05μm以上或いは0.5μm以下、その中でも0.1μm以上或いは0.3μm以下であるのがさらに好ましい。
(光沢度)
本ポリエステルフィルムにおいて、少なくとも離型層側表面の光沢度は30%以下であるのが好ましい。
フィルム表面の光沢度が30%以下であれば、高級感のあるマット調とすることができる。但し、その下限は0.1%程度である。
かかる観点から、本ポリエステルフィルムにおいて、少なくとも離型層側表面の光沢度は30%以下であるのが好ましく、中でも0.1%以上或いは30%以下、その中でも25%以下、その中でも20%以下であるのがさらに好ましい。
(離型層表面の表面自由エネルギー)
本ポリエステルフィルムにおいて、離型層側表面の表面自由エネルギーは27mN/m以上であることが好ましい。
離型層表面の表面自由エネルギーが27mN/m以上であれば濡れ性に劣ることが無く、転写させる樹脂層などを離型層の表面に加工することが可能であったり、離型成分が転着しても相手材料の表面への悪影響を少なくしたりできる。また、60mN/m以下であれば転写させる樹脂層に対する離型性を得ることが可能となる。
かかる観点から、本ポリエステルフィルムにおいて、離型層表面の表面自由エネルギーは27mN/m以上或いは60mN/m以下であるのが好ましく、中でも30mN/m以上或いは50mN/m以下、その中でも33mN/m以上或いは45mN/m以下がさらに好ましい。
表面自由エネルギーを調整する方法として、離型剤の選択、併用する架橋剤やポリマーの選択、離型層中の離型剤の含有量や離型剤の含有比率の調整等が挙げられる。
(離型成分の転着率)
本離型フィルムは、後述する方法で測定される離型成分の転着率は40%以下が好ましく、中でも35%以下が好ましく、中でも33%以下が好ましく、30%以下であることがより好ましい。
離型成分の転着率が40%以下であれば対象物表面への影響が少なく、二次加工への悪影響を抑えることが可能となる。
(初期のハードコート層の剥離力)
本離型フィルムは、後述する方法で測定される初期のハードコート層に対する剥離力が、後述するプレス処理後のハードコート層の剥離力よりも大きいことが好ましく、中でも、初期のハードコート層の剥離力がプレス処理後のハードコート層剥離力に比べて1.1倍以上が好ましく、その中でも1.3倍以上が好ましく、特に1.5倍以上が好ましい。 初期のハードコート層の剥離力がプレス処理後のハードコート層剥離力よりも大きければ、転写処理で使用する前に離型フィルムが剥がれてしまうことを避けることが可能となる。
(プレス処理後のハードコート層の剥離力)
本離型フィルムは、後述する方法で測定される、170℃×3MPa条件下で30分間プレス処理を行った後のハードコート層に対する剥離力が、100mN/cmであることが好ましく、中でも80mN/cm以下、その中でも60mN/cm以下、さらには50mN/cm以下であることが好ましい。100mN/cm以下であれば、ハードコート層の剥離時に必要となる応力が少なく、剥離不良の欠陥を防ぐことが可能となる。
<本ポリエステルフィルムの製造方法>
以下、本ポリエステルフィルムの製造方法の一例について説明する。但し、本ポリエステルフィルムの製造方法が、次に説明する方法に限定されるものではない。
先ず、公知の手法により、乾燥又は未乾燥の各層毎、すなわち基材層、粒子含有層A、粒子含有層B及びさらなる他の層毎にそれぞれの原料を調製し、それぞれ各溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上である温度に加熱し溶融混練する。次いで、各層の溶融ポリマーを、通常マルチマニホールドまたはフィードブロックを経てダイへ導き積層する。
次に、ダイから押出された溶融シートを、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未配向シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
次に、得られた未延伸シートを一方向にロールまたはテンター方式の延伸機により延伸する。延伸温度は、通常70〜150℃、好ましくは80〜140℃であり、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍である。次いで、一段目の延伸方向と直交する方向に、通常70〜170℃で、延伸倍率は通常2.5〜7倍、好ましくは3.0〜6倍で延伸する。引き続き180〜270℃の温度で緊張下または30%以内の弛緩下で熱処理を行い、二軸配向フィルムを得る方法が挙げられる。上記の延伸においては、一方向の延伸を2段階以上で行う方法を採用することもできる。その場合、最終的に二方向の延伸倍率がそれぞれ上記範囲となるように行うのが好ましい。
上記熱処理、横方向に延伸した後の熱処理は、共重合成分を含有するポリエステルの融点よりも高い温度、例えばイソフタル酸成分を含むポリエステルであれば、熱処理温度は220℃以上が好ましく、中でも230〜250℃であることがより好ましい。粒子含有層Aの主成分樹脂であるポリエステルAが共重合ポリエステルである場合、このような熱処理によって軟らかくなり、粒子が表面に浮き出て突起の高さをより大きくすることができる。
熱処理工程後は、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に2〜20%弛緩する方法が好ましい。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
上記製造方法において、離型層は、上述のように、上記縦延伸と横延伸の間に、上記「離型層形成組成物」をコーティング処理するのが好ましい。このようにすれば、延伸と同時に塗布が可能になると共に離型層の厚みを延伸倍率に応じて薄くすることができ、ポリエステルフィルムとして好適なフィルムを製造することができる。
<本離型フィルムの使用方法>
本離型フィルムは、離型層表面にハードコート層などの樹脂層を設けて転写箔とした後、射出成型用の金型内にセットし、樹脂成型品を成形するのと同時に転写箔を一体化して接着し、樹脂成型品に箔を転写する成形同時転写用として使用することができる。
また離型層をハードコート層などの対象物表面に当接してプレス圧着し、その後、本離型フィルムを剥離することで、当該対象物表面に離型層表面の表面形状を転写することができる。
また本ポリエステルフィルムの離型層側を低光沢感の設計にすることで、離型層表面の粗面化された表面形状を転写することができ、離型層表面の低光沢感を当該製品表面に付与することができる。この際の製品表面としては、例えば電磁波シールド用フィルムや成形同時転写用の転写箔、特にそのハードコート層表面を挙げることができる。但し、これらに限定するものではない。
したがって、本離型フィルムは、例えばハードコート層などの樹脂層からなる転写箔を樹脂成型品に転写する用途、すなわち成形同時転写・成形同時加飾の転写用離型フィルムとして好適に用いることができる。
また、例えば電磁波シールド部材等の各種部材表面へ本離型フィルムの離型層側表面の形状を転写することで該部材表面に低光沢感を付与する用途、すなわち表面形状の転写用離型フィルムとして好適に用いることもできる。
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
先ず、下記実施例及び比較例での各種物性の測定方法・評価方法について説明する。
なお、実施例および比較例中「部」とあるのは「質量部」を示す。また、本発明で用いた測定法は次のとおりである。
(1)ポリエステルの極限粘度
ポリエステルに非相溶な成分を除去したポリエステル1gを精秤し、フェノール/テトラクロロエタン=50/50(質量比)の混合溶媒100mlを加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)粒子の平均粒径
粒子の平均粒径は、10個以上の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)観察して粒子の直径を測定し、その平均値として求めた。その際、非球状粒子の場合は、最長径と最短径の平均値を各粒子の直径として測定した。
(3)平均表面粗さ(Ra)
株式会社小坂研究所社製表面粗さ測定機(SE−3500)を用いて次のようにして求めた。すなわち、フィルム断面曲線からその平均線の方向に基準長さL(2.5mm)の部分を抜き取り、この抜き取り部分の平均線をx軸、縦倍率の方向をy軸として粗さ曲線 y=f(x)で表わしたとき、次の式で与えられた値を〔nm〕で表わす。算術平均粗さは、試料フィルム表面から10本の粗さ曲線を求め、これらの粗さ曲線から求めた抜き取り部分の算術平均粗さの平均値で表わした。なお、触針の先端半径は2μm、荷重は30mgとし、カットオフ値は0.08mmとした。
Ra=(1/L)∫ |f(x)|dx
(4)フィルム表面の光沢度
日本電色株式会社製グロスメ−タ−(VG−107型)を用いて、JIS Z−8741の方法に準じて60度光沢度を測定した。入射角,反射角60度に於ける黒色標準板の反射率を基準に試料の反射率を求め光沢度とした。
(5)離型層中の離型剤の含有比率
離型層中の離型剤の含有比率は下記の方法によって算出した。離型層を構成する各材料を示差熱・熱重量分析装置(島津製作所製DTG−60A)を用いて、空気雰囲気化で昇温速度50℃/minで加熱し、240℃で3分間保持した後の重量減少率を測定した。離型層形成組成物中の各成分の割合に、得られた重量減少率を乗じ、離型層中の各成分の含有量を求めた。得られた各成分の含有量中の、離型剤の含有比率を求めた。
(6)離型層中の離型剤含有量
(5)と同様の手法で離型層中の各成分の含有量を求めた。これらの合計から離型層形成組成物全体の重量減少率を求め、離型層塗布量に乗ずることで離型層の量を求めた。得られた離型層の量と前記の離型層中の離型剤の含有比率より離型層中の離型剤含有量を求めた。
(7)離型層表面の表面自由エネルギー
23℃、50%RHの環境下で24時間以上調湿したフィルムサンプルの離型層表面の接触角を、自動接触角計(DataPhysics社製、型式OCA20)を使用して、水、ヨウ化メチレンの静的接触角を測定した。得られた接触角と各溶媒の表面張力成分値(表1)を用いて、Owens−Wendtの理論式により離型層表面の表面自由エネルギーを算出した。
Figure 2021138105
(8)離型成分の転着率
フィルムサンプルの離型層側表面と試験用ポリエステルフィルム(三菱ケミカル株式会社製、T100 厚み50μm)の表面処理していない表面とが接するように両フィルムを重ね、170℃×1MPa条件下で30分間、熱プレスを行った後、23℃×50%RH環境下で調湿した。その後、フィルムサンプルを取り除き、離型層と接していた試験用ポリエステルフィルム表面について、テープ剥離力(F1)を測定した。
また、比較例1及び2で得られたポリエステルフィルムについて同様の試験を行い、試験用ポリエステルフィルム表面のテープ剥離力(F01)、(F02)を測定した。
比較例2で得られたポリエステルフィルムについては、粒子含有層A側表面と試験用ポリエステルフィルムの表面処理していない表面とが接するように両フィルムを重ねて、熱プレスを行った。
実施例1、2については、転着率(%)=(F01−F1)/F01×100の式より求めた。
実施例3〜22、比較例3〜6については、転着率(%)=(F02−F1)/F02×100の式より求めた。
比較例1,2については、転着率0とした。
なお、テープ剥離力はアクリル系粘着テープ(日東電工株式会社製、「No.31B」)を本離型層に貼り付けて室温にて1時間放置後、引張速度0.3m/minの条件下で180°方向に剥離した際の応力を測定した。
(9)ハードコート層の剥離力(初期)
15官能のウレタンアクリレート(新中村化学工業株式会社製 U−15HA)、ペンタエリスリトールトリアクリレート混合物(第一工業製薬株式会社製 PET−3)、光重合開始剤(IGM Resins B.V.社製 Omnirad184)を70:30:5で混合したハードコート組成物をメチルエチルケトン(MEK)に溶解し、離型層上に乾燥厚みが5μmとなるように塗布、乾燥を行った後、高圧水銀灯下300mJ/cmで硬化し、離型フィルム上にハードコート層を形成した。その後、ハードコート表面に24mm幅のセロテープ(登録商標)(ニチバン株式会社製 LP−24)を貼り付け、引張速度1000mm/minで本離型フィルムを180°方向に剥離した際の応力を測定した。
(10)ハードコート層の剥離力(プレス処理後)
(9)で作成したハードコート層付きの離型フィルムを170℃×3MPa条件下で30分間プレス処理を行った。その後、初期剥離力と同様の手法で本離型フィルムを剥離した際の応力を測定した。
なお、ハードコート層を本離型フィルムから剥離できなかった場合は「剥離不可」、ハードコート層形成時に樹脂がはじかれ、ハードコート層を形成できなかった場合は「加工不可」と記載する。
実施例および比較例において使用したポリエステルは、以下のようにして準備したものである。
<ポリエステル(A)>
極限粘度が0.63dl/gであるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステル(B)>
平均粒子径2μmのシリカ粒子を0.2質量%含有する、極限粘度が0.65dl/gであるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステル(C)>
平均粒子径4.5μmのメタクリル酸アルキル−スチレン共重合体粒子(真比重:1.1)を10質量%含有する、極限粘度が0.61dl/gであるポリエチレンテレフタレートホモポリマー。
<ポリエステル(D)>
イソフタル酸を22mol%含有する、極限粘度が0.70dl/g、融点が198℃である共重合ポリエチレンテレフタレートポリマー。
離型層の形成に用いた化合物は以下のとおりである。
<離型剤(IA)>
酸化ポリエチレンワックス(融点125℃)の水分散体。
<離型剤(IB)>
変性ポリプロピレンワックス(融点156℃)の水分散体。
<離型剤(IC)>
平均重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコールにオクタデシルイソシアネートを付加させた長鎖アルキル基含有化合物。
<ポリエステル樹脂(II)>
(酸成分)テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//(ジオール成分)エチレングリコール/1,4−ブタンジオール/ジエチレングリコール=56/40/4//70/20/10(モル%)の割合で共重合したポリエステル樹脂水分散体。
<メラミン化合物(III)>
メチロール基、メトキシ基及びイミノ基を有する部分エーテル化メラミン。
<実施例1>
ポリエステル(A)、(B)をそれぞれ90質量%、10質量%の割合で混合した混合原料(粒子含有量0.02質量%)を最外層(表層)の原料とし、ポリエステル(A)のみを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、40℃に設定した冷却ロール上に、2種3層(表層/中間層/表層=1:8:1の吐出量)の層構成で共押出し冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表2に示す組成の離型層形成組成物を水で希釈したものを塗布液1として塗布し、テンターに導き、横方向に110℃で4.3倍延伸し、235℃で熱処理を行った後、横方向に2%弛緩し、塗布量(乾燥後)が150mg/mの離型層を有する厚さ50μmの離型フィルム(サンプル)を得た。
この離型フィルム(サンプル)の特性を下記表3に示す。
<実施例2>
実施例1において、離型層形成組成物の組成を表2に示す組成に変更し、塗布量(乾燥後)が200mg/mに変更した以外は、実施例1と同様に製造して、ポリエステルフィルム(サンプル)を得た。
得られた離型フィルム(サンプル)の特性を表3に示す。
いずれの実施例の離型フィルム(サンプル)も、離型成分の転着率が少なく、離型性も優れていた。
<実施例3>
ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ20質量%、60質量%、20質量%の割合で配合した混合物(粒子含有量6質量%、共重合成分量4.4mol%))を押出機にて溶融させて積層ダイの表層(粒子含有層A)に供給する一方、積層ダイの基材層にはポリエステル(A)を供給し、積層ダイの他方の表層(粒子含有層B)には、ポリエステル(A)、(C)、(D)をそれぞれ80質量%、10質量%、10質量%の割合で配合した混合物(粒子含有量1質量%、共重合成分量2.2mol%)を供給し、3種3層(粒子含有層A/基材層/粒子含有層B=1:8:1の割合)の構成からなる3層の積層ポリエステル樹脂をフィルム状に押出して、35℃の冷却ロール上に、冷却固化させて未延伸シートを作成した。次いで、80℃の加熱ロールで予熱した後、赤外線加熱ヒーターと加熱ロールを併用して95℃のロール間で縦方向に3.2倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、下記表2に示す組成の離型層形成組成物を水で希釈したものを塗布液1として塗布し、次いでフィルム端部をクリップで把持してテンター内に導き、110℃の温度で加熱しつつ横方向に4.2倍延伸し、240℃で10秒間の熱処理を行うと同時に幅方向に10%弛緩を施して、塗布量(乾燥後)が150mg/mの離型層を有する厚み50μm(粒子含有層A/基材層/粒子含有層B=5μm/40μm/5μm)の離型フィルム(サンプル)を得た。
<実施例4〜22>
実施例3において、離型層形成組成物の組成を表2に示す組成に変更し、塗布量(乾燥後)を表3に示す通りに変更した以外は、実施例3と同様に製造して、離型フィルム(サンプル)を得た。
得られた離型フィルム(サンプル)の特性を表3に示す。
いずれの実施例の離型フィルム(サンプル)も、平均表面粗さ(Ra)及び光沢度が良好であり、適度な表面自由エネルギーを備え、離型成分の転着率が少なく、離型性も良好であった。
<比較例1>
実施例1において、離型層を設けないこと以外は、実施例1と同様に製造して、ポリエステルフィルム(サンプル)を得た。
得られたポリエステルフィルム(サンプル)の特性を表3に示す。
この表3に示すとおり、ハードコート層の剥離が不可能であった。
<比較例2>
実施例3において、離型層を設けないこと以外は、実施例3と同様に製造して、ポリエステルフィルム(サンプル)を得た。
得られたポリエステルフィルム(サンプル)の特性を表3に示す。
この表3に示すとおり、ハードコート層の剥離が不可能であった。
<比較例3〜6>
実施例3において、離型層形成組成物の組成を表2に示す組成に変更し、塗布量(乾燥後)を表3に示す通りに変更した以外は、実施例3と同様に製造して、離型フィルム(サンプル)を得た。
得られた離型フィルム(サンプル)の特性を表3に示す。
この表3に示すとおり、離型成分の転着量が多い場合や、ハードコート層の剥離が不可能な場合があった。
Figure 2021138105
Figure 2021138105
上記実施例の結果及び本発明者がこれまでに行ってきた試験結果から、離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上であれば、離型特性に優れ、離型成分の転着量を少なくできることが分かった。
本離型フィルムは、適度な離型剤の含有比率および含有量を有するため、離型性能に優れ、かつ転写対象物への二次加工性も優れるため、特に電磁波シールド部材等への表面形状転写用途や成型同時転写用途などの転写用離型フィルムに好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層形成組成物から形成されてなる離型層を備え、当該離型層形成組成物中の全不揮発成分に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上である離型フィルム。
  2. ポリエステルフィルムの少なくとも片面側に離型層を備え、当該離型層中に占める割合として離型剤が15質量%未満であり、当該離型層中の離型剤の含有量が3.4mg/m以上である離型フィルム。
  3. 前記離型層側表面の表面自由エネルギーが27mN/m以上である請求項1又は2に記載の離型フィルム。
  4. 前記離型剤がワックスである請求項1〜3の何れかに記載の離型フィルム。
  5. 前記離型層が架橋剤由来の化合物を含む請求項1〜4の何れかに記載の離型フィルム。
  6. 前記離型層側表面の平均表面粗さ(Ra)が0.1μm〜2.0μmである請求項1〜5の何れかに記載の離型フィルム。
  7. 前記離型層側表面の光沢度が30%以下である請求項1〜6の何れかに記載の離型フィルム。
  8. 前記ポリエステルフィルムが、粒子を含有する粒子含有層を備える請求項1〜7の何れかに記載の離型フィルム。
  9. 前記粒子の真比重が2.0以下であり、かつ平均粒径が2.0〜10.0μmである請求項8に記載の離型フィルム。
  10. 前記粒子含有層を構成するポリエステルに対して、共重合成分が0.1〜10mol%含有される請求項8又は9に記載の離型フィルム。
  11. 請求項1〜10の何れかに記載の離型フィルムを用いてなる転写用離型フィルム。
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