JP2015107606A - 光学用樹脂キャスト用離型フィルム - Google Patents

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伸枝 宗像
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Abstract

【課題】取扱い性や巻取り性に優れるとともに、耐スクラッチ性および透明性にも優れ、光学用樹脂キャスト用として好適な離型フィルムを提供すること。
【解決手段】平均粒径0.3〜3.0μmの多孔質粒子を、フィルム質量を基準として0.001〜0.05質量%含有するポリエステルフィルムの、一方の面に下記易滑層および他方の面に下記離型層を有する離型フィルムにより達成される。
易滑層:熱可塑性樹脂を主たる構成成分とし、平均粒径0.01〜0.10μmの有機粒子を、易滑層質量を基準として3〜20質量%含有し、厚みが20〜60nm
離型層:付加硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とし、粒子を実質的に含有せず、厚みが0.01〜1.0μm
【選択図】なし

Description

本発明は、キャスト法により光学用樹脂膜等(以下、キャストフィルムと称することがある)を製造する際に用いられる光学用樹脂キャスト用の離型フィルムに関するものである。さらに詳しくは、滑り性および透明性が良好で、工程でのハンドリング性や検査特性に優れているとともに、得られるキャストフィルムの表面が平坦で光学用途に適した、光学用樹脂キャスト用の離型フィルムに関するものである。
近年、光学用途に透明性の高い樹脂膜等が用いられているが、高透明かつ異物等による欠陥のない樹脂膜を製造するために、光学用樹脂を必要に応じて溶液とし、離型層を設けたポリエステルフィルム(離型フィルム)上にシート状に積層し、乾燥工程および必要に応じて硬化工程を経て製造する、いわゆるキャスト法が採用されている。
光学用樹脂膜は、高度な透明性に加えて、表面の平坦性に優れたものが要求されるようになってきたが、キャスト法で製造される樹脂膜は離型層表面の形状が転写されるため、該離型層表面を平坦にする必要がある。しかし、表面平坦性に優れた、例えば光学部材用に用いられているポリエステルフィルム上に離型層を設けた場合には、滑り性が不十分となって、取扱い性や巻取り性が低下する、スクラッチが入りやすいといった問題が発生する。
キャスト法で樹脂膜を製造する際の上記問題を解消するために、特許文献1には、表面粗さが10nm以下のポリエステルフィルムの片面にシリコーン離型層、他面に微細粒子を含有する易滑層を設けた離型フィルムが提案されている。しかしながら、本発明者らの検討によれば、易滑層を設けることにより取扱い性や巻取り性はやや向上するものの、離型層を設ける側の表面粗さが小さすぎるため、離型層塗工時にハンドリング性が低下し、また、スクラッチが入りやすいなど耐スクラッチ性が未だ不十分であり、さらには、光学用樹脂膜は、光学用樹脂を離型フィルムにキャストした後に離型フィルムを貼り付けた状態で光学用樹脂膜の欠点検査を行う場合があるが、ポリエステル中に含有させている滑剤の影響のためと推定され、透明性が不十分で検査特性に劣るものであることが判明した。
特開平10−16163号公報
本発明は、上記背景技術に鑑みなされたもので、その目的は、取扱い性や巻取り性に優れるとともに、耐スクラッチ性および透明性にも優れ、光学用樹脂キャスト用として好適な離型フィルムを提供することにある。
本発明者等は、かかる課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ポリエステルフィルム中に特定の多孔質粒子を含有させるとともに、フィルムの片面に特定の有機粒子を含有する易滑性層を設け、他面には粒子を含有しない付加硬化型シリコーン樹脂離型層を設ければ、優れた取扱い性、巻取り性と、耐スクラッチ性、透明性、得られるキャストフィルムの平坦性とを兼備させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、平均粒径0.3〜3.0μmの多孔質粒子を、フィルム質量を基準として0.001〜0.05質量%含有するポリエステルフィルムの、一方の面に下記易滑層および他方の面に下記離型層を有する光学用樹脂キャスト用離型フィルムが提供される。
易滑層:熱可塑性樹脂を主たる構成成分とし、平均粒径0.01〜0.10μmの有機粒子を、易滑層質量を基準として3〜20質量%含有し、厚みが20〜60nm
離型層:付加硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とし、粒子を実質的に含有せず、厚みが0.01〜1.0μm
また、その好ましい態様として、「ヘーズが0.5〜1.5%であること」、「離型層表面の表面粗さRaが8〜25nmであり、易滑層表面の表面粗さRaが8〜28nmであること」の少なくとも1つの要件を具備する光学用樹脂キャスト用離型フィルムが提供される。
本発明の離型フィルムは、易滑層を有することで取扱い性や巻取り性に優れ、離型層は平坦性と耐スクラッチ性とが両立しており、しかも、透明性に優れているので、光学用樹脂をキャストした後に離型フィルムを貼り付けた状態でキャストフィルムの欠点検査を行う場合の検査性にも優れている。
本発明の光学用樹脂キャスト用離型フィルムは、下記のポリエステルフィルムの片面に後述する易滑層を有し、他方の面に後述する離型層を有するものである。
<ポリエステルフィルム>
(ポリエステル)
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、第1成分としてのジカルボン酸成分および第2成分としてのグリコール成分からなる。ジカルボン酸成分としてはテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸等を例示できる。特に、基材フィルムの機械特性に優れるという観点から、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。また、グリコール成分としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−へキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等を例示できる。特に、基材フィルムの剛直性に優れるという観点から、エチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
かかるポリエステルは、第3成分として、第1成分として選択されたジカルボン酸成分あるいは第2成分として選択されたグリコール成分とは異なるジカルボン酸成分またはグリコール成分の少なくとも1種を、全ジカルボン酸成分を基準として20モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に好ましくは5モル%以下共重合したコポリエステルであっても良い。さらに、第3成分として、三官能以上の多価カルボン酸成分あるいはポリオール成分を含んでも良いが、その場合の共重合量は、得られるポリエステルが実質的に線状となる範囲(例えば5モル%以下、さらに好ましくは3モル%以下、特に好ましくは1モル%以下)の少量であることが好ましい。
なかでも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが、フィルムとしての耐熱性や剛性等に優れているので好ましい。
かかるポリエステルは常法により作ることができ、ポリエステルの固有粘度(オルトクロロフェノール中、25℃における固有粘度)が、0.45(単位:dl/g)以上であると、フィルムの剛性が高い等機械特性に優れるため好ましい。
(多孔質粒子)
本発明のポリエステルフィルムは、一次粒子が凝集して形成された、平均粒径(二次粒子径)が0.3〜3.0μmの多孔質粒子を、ポリエステルフィルム質量を基準として0.001〜0.05質量%含有している必要がある。かくすることにより、ポリエステルフィルム表面の表面粗さRaを適正な範囲とすることができ、最終的に得られる離型フィルムに光学用樹脂キャスト用として好適な特性、すなわち、優れた滑り性、透明性、離型層の平坦性と耐スクラッチ性とを発現させることができる。多孔質粒子の平均粒径または含有量が前記上限を超える場合には、離型層表面の表面粗さが大きくなりすぎて、得られるキャストフィルムの平坦性が不十分となるだけでなく、フィルムの透明性も低下するので好ましくない。一方、多孔質粒子の平均粒径または含有量が前記下限未満の場合には、ポリエステルフィルム表面の表面粗さが小さくなりすぎ、離型層を設ける側の表面粗さが小さくなりすぎて耐スクラッチ性が低下するだけでなく、後述する易滑層を設けても滑り性が不十分なものとなりやすい。このような観点から、多孔質粒子の平均粒径は、0.5μm以上、特に0.8μm以上が好ましく、また2.5μm以下、特に2.0μm以下が好ましい。一方含有量は、0.006質量%以上、特に0.007質量%以上が好ましく、また0.03質量%以下、特に0.02質量%以下が好ましい。
かかる多孔質粒子は、有機粒子、無機粒子のいずれであっても良いが、酸化チタン粒子、酸化ケイ素粒子(シリカ粒子)、硫酸バリウム粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、カオリン粒子、タルク粒子等からなる多孔質無機粒子、ポリスチレン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、尿素樹脂粒子、メラミン樹脂粒子等からなる多孔質有機粒子が挙げられる。多孔質有機粒子としては、さらにポリエチレン粒子、ポリプロピレン粒子、エチレン−プロピレンターポリマー粒子、オレフィン系アイオノマー粒子等からなるものも挙げられる。本発明においては、より好ましい表面粗さ、透明性が得やすいという観点から、多孔質無機粒子、とりわけ、多孔質酸化チタン粒子または多孔質シリカ粒子、特に多孔質シリカ粒子が好ましい。
本発明においては、異なる種類や異なる平均粒径の、2種以上の多孔質粒子を併用してもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲内であれば、上記多孔質粒子とは異なる粒子を併用してもよい。例えば、比較的平均粒径の大きな多孔質粒子と、比較的粒径の小さな他の粒子、例えば球状粒子を併用することにより、比較的小さな他の粒子によりフィルム表面に微細な凹凸が形成されるので、最終的に得られるキャリヤーフィルムの平坦性を保持しながら、滑り性、耐スクラッチ性が向上するので好ましい。
なお、本発明における上記の多孔質粒子は、細孔容積が0.5〜2.0ml/g、特に0.6〜1.8ml/gの範囲であることが好ましく、かかる多孔質粒子を採用することにより、透明性をさらに向上させることができる。
(表面粗さ)
本発明のポリエステルフィルム表面の表面粗さRaは、平坦な光学用樹脂膜を得るという観点からは28nm以下であることが好ましく、一方、滑り性および耐スクラッチ性に優れるという観点からは10nmを超えることが好ましい。かかる表面粗さは、上記の多孔質粒子の種類および含有量を調整すればよく、必要に応じて他の粒子を少量併用してもよい。
(積層構成)
本発明におけるポリエステルフィルムは、離型層を形成する表面となる表層1と、易滑層を形成する表面となる表層2とを有する、2層以上の積層フィルムであってもよい。例えば、2〜5層の積層フィルム(例えば、表層1/表層2の2層構成や、表層1/芯層/表層2の3層構成、表層1/芯層1/芯層2/表層2の4層構成等)が好ましく、特に、表層と芯層とからなる3層フィルム(表層1/芯層/表層2の構成)であることが好ましく、かくすることにより、優れた滑り性、透明性、耐スクラッチ性と得られる離型層の平坦性とを達成しやすい表面粗さが得られやすい。
かかる積層フィルムの多孔質粒子の平均粒径および含有量は、積層フィルム全体としては単層の場合と同様であるが、表層1の含有量は、表層1の質量を基準として0.002質量%以上、0.02質量%以下であることが好ましい。また、表層2の含有量は、表層2の質量を基準として0.004質量%以上、0.03質量%以下であることが好ましい。かくすることにより、優れた滑り性、透明性、耐スクラッチ性と得られる離型層の平坦性とを達成しやすい表面粗さが得られやすい。
なお、表層1の厚みは、1〜8μmであることが好ましく、さらに好ましくは2〜5μmであり、かくすることにより、ポリエステルフィルムの表面粗さをより好ましいものにしやすくなる。
(フィルム厚み)
本発明に使用するポリエステルフィルムの厚みは、光学用樹脂キャスト用の離型フィルム(支持体)として使用する場合に必要な強度を得るため、20〜200μmであることが好ましく、特に25〜75μmであることが好ましい。
<易滑層>
本発明の離型フィルムは、上記のポリエステルフィルムの片面に、熱可塑性樹脂を主たる構成成分とし、平均粒径0.01〜0.10μmの有機粒子を、易滑層の質量を基準として3〜20質量%含有してなり、厚みが20〜60nmである易滑層を有する必要がある。かくすることにより、光学樹脂キャスト用として優れたハンドリング性を付与することができる。
(熱可塑性樹脂)
本発明における易滑層の、主たる構成成分である熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができ、これらは単体で用いても、二種以上を混合して用いても良い。
易滑層のポリエステル樹脂としては、従来一般的な塗布層に用いられているポリエステル樹脂を採用することができるが、本発明においては、取扱い性、分散性、塗工性の観点から水溶性ポリエステルが好ましい。
かかる水溶性ポリエステルは、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸塩基、またはこれらを併有するものが好ましい。なお、本発明における「水溶性」とは、水が50%以上(体積%)含まれるメタノール中に可溶であることも含まれるものとする。
本発明における水溶性ポリエステルは、スルホン酸塩基を含有するものが特に好ましい。スルホン酸塩基としては、−SONa、−SOKで表されるスルホン酸のアルカリ金属塩基が挙げられる。水溶性ポリエステルにおけるスルホン酸塩基の含有量は、水溶性ポリエステルの全酸成分100モル%に対して、好ましくは1〜10モル%、さらに好ましくは2〜7モル%、特に好ましくは2〜4モル%である。スルホン酸塩基の含有量がかかる範囲にあると、易滑層の密着性、塗膜強度、および耐湿熱性が高くなる傾向にある。水溶性ポリエステルは、酸成分が、50〜95モル%のテレフタル酸、3〜43モル%のイソフタル酸、および2〜7モル%の5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩を含有することが好ましく、酸成分が、50〜95モル%のテレフタル酸、3〜46モル%のイソフタル酸、および2〜4モル%の5−スルホイソフタル酸アルカリ金属塩を含有することが特に好ましい。
このような水溶性ポリエステルの重量平均分子量Mwは、好ましくは1,000〜100,000、より好ましくは5,000〜30,000である。重量平均分子量Mwがこの範囲にあると、易滑層とポリエステルフィルムとの密着性、および易滑層の強度をより高くすることができる。
かかる水溶性ポリエステルとして、市販品をそのまま用いることも可能である。市販の水溶性ポリエステルとしては、例えば、互応化学社製、商品名:プラスコートRZ−570、Z−565、Z−561、Z−658等がある。
次に、易滑層のアクリル樹脂としては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、クロトン酸エチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル系単量体を含む(共)重合体をあげることができる。かかるアクリル樹脂は、アクリル酸エステル系単量体の少なくとも1種の他に、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸ソーダ、メタクリル酸カリウム、アクリル酸アンモニウム、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド等の他のアクリル系単量体を共重合成分として含んでいてもよく、また、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルエーテル、ブタジエン、イソプレン、ビニルスルホン酸ソーダ等のアクリル系以外の単量体や、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等の不飽和基以外の官能基を併有する単量体を共重合成分として含んでいてもよい。
なお、このアクリル樹脂には、アクリル酸塩、メタクリル酸塩、アクリル酸、アクリルアミド、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、N−メチロールアクリルアミド等の親水性単量体が共重合成分として含まれることが、易滑層の塗液を水性塗液とする場合、分散性や溶解性が良好となるので好ましい。また、アクリル樹脂の分子側鎖に種々の官能基を導入した共重合体であってもよい。
かかるアクリル樹脂の重量平均分子量Mwは、易滑層塗膜の耐削れ性の点から、10,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
次に、易滑層のアクリル変性ポリエステル樹脂(以下、変性樹脂と略称することがある)としては、前記のポリエステル樹脂に前記のアクリル酸エステル系単量体および/または他のアクリル系単量体を重合して得られる変性樹脂をあげることができる。かかる変性樹脂は、例えば水性液中のポリエステル樹脂に、前記のアクリル酸エステル系単量体および/または他のアクリル系単量体を、ラジカル重合開始剤を用いてグラフト重合させることにより得ることができる。この変性樹脂は、分子側鎖に官能基を有するものであってもよい。また、変性樹脂の重量平均分子量Mwは、易滑層塗膜の耐削れ性の点から、10,000〜500,000の範囲であることが好ましい。
次に、易滑層のポリウレタン樹脂としては、例えば脂肪族ポリエーテル系や脂肪族ポリエステル系のジオールと、ジイソシアネート、ジアミン、グリコール、ジメチロールプロピオン酸塩等から製造される、水分散性のポリウレタン樹脂をあげることができる。かかるポリウレタン系重合体の重量平均分子量Mwは、表面層塗膜の耐削れ性の点から、5,000〜50,000の範囲であることが好ましい。
以上に説明した熱可塑性樹脂は、それぞれ単独で使用しても、2種以上を混合して使用しても構わない。なお、かかる熱可塑性樹脂は、水または水を主成分とする溶液に分散した水分散液または水溶化した水溶液の状態で使用するのが、取扱い性の点から好ましい。
(有機粒子)
本発明の易滑層に含有される有機粒子は、平均粒径が0.01〜0.10μm、好ましくは0.02〜0.06μm、特に好ましくは0.03μm以上0.05μm未満である必要がある。平均粒径が大きすぎると粒子の落脱が発生しやすくなり、また、該粒子による易滑層の凹凸が、離型層表面にキャストされた光学用樹脂膜面に易滑層面が重ねられた場合、キャストフィルム面上に転写して平坦性が低下する場合があるので好ましくない。一方、小さすぎると、十分な滑性、耐スクラッチ性が得られない場合があるので好ましくない。
好ましく用いられる有機粒子としては、例えばアクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂等の有機微粒子をあげることができる。これらは1種類を用いてもよく、2種類以上を用いてもよい。
かかる有機粒子の含有量は、易滑層質量を基準として3〜40質量%、好ましくは10〜35質量%である必要がある。含有量が3質量%未満の場合には、摩擦係数が低くなりハンドリング性に劣り、一方、40質量%を超える場合には、粒子の脱落や凝集による凹凸の発生、またコストの上昇などが起こる為好ましくない。
(易滑層厚み)
次に易滑層の厚みは、20〜60nm、好ましくは25〜50nmである必要がある。厚みが20nm未満の場合には、十分な易滑効果が得られず、一方、60nmを超える場合には、塗膜の脱落が起こりやすくなったり、コストの上昇などから好ましくない。
(その他の成分)
本発明の易滑層には、その他の成分として界面滑性剤を含有することが好ましい。界面活性剤の含有量は、易滑層の質量を基準として1〜20質量%、特に5〜15質量%であることが好ましい。これによりポリエステルフィルム面上への易滑層の形成がし易くなり、より均一な易滑層を形成することができ、滑り性の向上効果を高くすることができる。
さらに、本発明の易滑層には、紫外線吸収剤、帯電防止剤、ワックス、架橋剤等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で添加しても構わない。
<離型層>
上記の易滑層が設けられる面とは異なる他面に設けられる、本発明の離型層は、付加硬化型のシリコーン樹脂を主たる構成成分とする。かかる付加硬化型のシリコーン樹脂とは、シリコーン樹脂を形成するための、例えばビニル基を含有するジメチルシロキサンとSi−H基を含有するジメチルシロキサンとを含有するシリコーン樹脂原料を、熱や紫外線、電子線等により付加硬化して得られるものをいう。かかるシリコーン樹脂原料には、他の官能基を有するジメチルシロキサンや、シリコーンオイル成分等を、本発明の目的を阻害しない範囲内で含有していてもよい。なお、ここでいう「主たる構成成分」とは、離型層の質量を基準としてシリコーン樹脂が50質量%以上であることを示し、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。
本発明の離型層は、粒子を実質的に含有していないことが必要である。ここで「粒子を実質的に含有していない」とは、粒径30nm以上の粒子の含有量が、離型層の質量に対して100ppm以下であることをいい、好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは10ppm以下である。かくすることにより、離型層表面の平坦性が向上し、最終的に得られるキャストフィルムの平坦性が良好なものとなる。
離型層の厚みは、0.01〜1.0μm、好ましくは0.05〜0.5μm、特に好ましくは0.06〜0.3μmとする必要がある。離型層の厚みが0.01μm未満の場合には、離型層面上にキャストした光学用樹脂膜との適切な離型性が得られなくなる傾向にあり、他方、1.0μmを超える場合には、離型層が十分に硬化し難くなり、離型層面上にキャストした光学用樹脂膜面に離型層が転写する等の汚染が生じ易くなる傾向にあるので好ましくない。
<離型フィルム>
(ヘーズ)
以上に説明した本発明の離型フィルムは、ヘーズ(一枚ヘーズ)が0.5〜1.5%であることが好ましい。これにより、離型フィルム上にキャストした光学用樹脂膜を離型フィルム越しに目視で欠点検査する際の検査性が良好なものとなる。ヘーズは小さいほど検査性は良好なものとなるが、ヘーズが小さいフィルムは滑り性も劣る傾向にあるため、ロール状に巻取る際などの取扱い性に劣る傾向にあり、他方高すぎると離型フィルム越しの欠点検査性に劣る傾向にある。かかる観点から、より好ましくは0.5〜1.2%、さらに好ましくは0.5〜1.0%である。
(表面粗さ)
本発明の離型フィルムは、離型層表面における表面粗さRa(算術平均表面粗さ)が8〜25nmであることが好ましく、離型フィルムを剥離した後の最終的に得られるキャストフィルム表面の平坦性が良好なものとなる。Raが上記範囲より高いと、得られるキャストフィルムの平坦性は低下する方向にある。このような観点から、Raは、好ましくは22nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。一方、Raが上記範囲より低いと、離型フィルムの滑り性が悪くなって取扱い性が低下する方向にあり、またスクラッチなども入りやすくなる。このような観点から、Raは、好ましくは10nm以上、さらに好ましくは12nm以上である。
また、易滑層表面における表面粗さRaが8〜28nmであることが好ましく、表面粗さが28nmを超えた場合、離型フィルム表面の凹凸が離型フィルム上に加工した樹脂表面に転写してしまうため好ましくない。このような観点から、Raは、好ましくは25nm以下である。一方、Raが上記範囲より低いと、離型フィルムの滑り性が悪くなって取扱い性が低下する方向にあり、またスクラッチなども入りやすくなる。このような観点から、Raは、好ましくは10nm以上である。
(剥離力)
本発明の離型フィルムは、離型層表面におけるポリエステル粘着テープ(No.31B、日東電工株式会社製)に対する常温剥離力(常温測定時における剥離力)が15〜200mN/25mmであることが好ましい。常温剥離力が上記数値範囲にあると、光学用樹脂膜との剥離力が安定し、また適度な剥離力で剥離することができるため好ましい。常温剥離力が低すぎると光学用樹脂膜の製造工程で浮きが生じやすくなり、上手く製造できなくなる。このような観点から、常温剥離力は、さらに好ましくは18mN/25mm以上である。他方、高すぎると完成した光学用樹脂膜を剥離する際に、光学用樹脂膜から離型フィルムを上手に剥がすことが難しくなる場合がある。このような観点から、常温剥離力は、より好ましくは160mN/25mm以下、さらに好ましくは150mN/25mm以下、特に好ましくは140mN/25mm以下である。
かかる常温剥離力は、離型層に用いられる付加型シリコーン樹脂の種類や層厚みを適宜調整することにより達成することができる。すなわち、離型層に用いられるシリコーン樹脂の架橋点を少なくしたり、層厚みを厚くしたりすると、常温剥離力は高くなる傾向にある。
(残留接着率)
本発明の離型フィルムの離型層表面における残留接着力は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上である。残留接着率の値が80%以上であると、離型層からの移行成分が少なく、すなわち、光学用樹脂膜への離型層成分の転写が少なく、良好な光学用樹脂膜が得られるので好ましい。
(密着性)
本発明の離型フィルムは、ポリエステルフィルムへの離型層の密着性にも優れたものであることが望ましい。離型層の密着性が悪いと、ハンドリングの際の擦れにより離型層が脱落したり、光学用樹脂膜から離型フィルムを剥離する際に光学用樹脂膜面に離型層が転写することがある。離型層のポリエステルフィルムに対する密着性を高くするには、ポリエステルフィルムにあらかじめ密着向上の前処理、例えばコロナ処理、プラズマ処理、火炎処理等を施すことが好ましい。
(滑り性)
本発明の離型フィルムは、離型層と反離型面との間の静摩擦係数(μs)が0.8未満であること、さらには0.5未満であることが好ましい。これにより、光学用樹脂キャスト工程において、優れたハンドリング性が得られる。
<離型フィルムの製造方法>
(ポリエステルフィルムの製造方法)
本発明におけるポリエステルフィルムは、二軸延伸ポリエステルフィルムであることが好ましい。かかる二軸延伸ポリエステルフィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。例えば、前述の多孔質粒子を含有するポリエステル樹脂を乾燥後、Tm〜(Tm+70)℃の温度(ただし、Tmはポリエステルの融点(単位:℃)を表す)で押出機にて溶融し、ダイ(例えばT−ダイ、I−ダイ等)から回転冷却ドラム上に押出し、20〜90℃で急冷して未延伸フィルムを製造し、次いで、該未延伸フィルムを(Tg−10)〜(Tg+70)℃の温度(ただし、Tgはポリエステルのガラス転移点温度(単位:℃)を表す)で縦方向に2.5〜8.0倍、好ましくは2.9〜5.0倍、さらに好ましくは3.2〜4.0倍の倍率で延伸した後、横方向に2.5〜8.0倍、好ましくは3.1〜5.2倍、さらに好ましくは3.4〜4.2倍の倍率で延伸し、必要に応じて180〜250℃の温度で1〜60秒間熱固定することにより製造できる。延伸倍率を上記数値範囲とすることによって、厚み斑をより小さくすることができる。
(易滑層の形成方法)
本発明における易滑層は、易滑層を構成する必須成分および任意成分を含有する塗液を形成し、好ましくは溶媒が水系である水性塗液を形成し、かかる塗液をポリエステルフィルムの片面に塗布し、乾燥することによって形成することが好ましい。
易滑層を形成するための塗液のポリエステルフィルムへの塗布は、任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましく、さらには配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで、結晶配向が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向(製膜機械軸方向のことで、長手方向またはMD方向ともいう)または横方向(製膜機械軸方向と厚み方向とに垂直な方向のことで、幅方向またはTDともいう)の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)等を含むものである。なかでも、未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムに、上記組成物の水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
水性塗液をフィルムに塗布する際には、塗布性を向上させるための予備処理としてフィルム表面にコロナ表面処理、火炎処理、プラズマ処理等の物理処理を施しても良い。
塗液の塗布量は、乾燥後の易滑層の厚さが20〜60nmとなる割合である。
塗布方法としては、公知の任意の塗工法が適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法等を単独または組合せて用いることができる。
(離型層の形成方法)
本発明における離型層は、離型層を構成する各構成成分を含有する塗液(以下、離型層塗液と呼称する場合がある)を、ポリエステルフィルムの易滑層を設けた面とは異なる他面に塗布し、乾燥、硬化することによって形成する。
離型層塗液をポリエステルフィルムに塗布するための塗布方法としては、公知の任意の塗布方法が適用でき、例えばグラビアロールコート法、リバースロールコート法、ダイコート法、キスコート法、リバースキスコート法、オフセットグラビアコート法、マイヤーバーコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法、ドクターブレード法等を単独または組み合わせて適用することができる。また、ハジキなど塗布外観の安定性を向上させる目的で、塗液には若干量の界面活性剤を含有させることができる。
離型層塗液を塗布後、乾燥、および硬化する条件としては、100〜180℃の温度で10〜120秒の時間加熱することが好ましく、110〜160℃の温度で20〜90秒の時間加熱することがさらに好ましく、120〜150℃の温度で30〜60秒の時間加熱することが特に好ましい。上記のごとく乾燥条件を採用することによって、離型層の強度をより高くすることができ、さらにはポリエステルフィルムの熱シワの発生を抑えることができる。
以下、実施例により本発明をさらに説明する。なお、各特性値は以下の方法により測定した。
(1)剥離強度
サンプルフィルムの離型層表面にポリエステル粘着テープ(No.31B、日東電工株式会社製)を貼り合わせ、5kgの圧着ローラーで圧着した後、離型層と粘着テープとの剥離カ(単位:mN/25mm)を引張り試験機にて測定した。剥離角度は180度、ヘッドスピードは300mm/分とした。任意の5箇所の平均値として求めた。
(2)残留接着率
ポリエステル粘着テープ(No.31B、日東電工株式会社製)を、JIS G4305に規定する冷間圧延ステンレス板(SUS304)に、2kgの圧着ローラーで圧着して貼り付けた後、それを剥離して剥離力を測定し、基礎接着力(f)(単位:N/25mm)とした。次に新しいポリエステル粘着テープをサンプルフィルムの離型層表面に5kgの圧着ローラーで圧着し、30秒間維持した後粘着テープを剥がした。そして、この剥がしたポリエステル粘着テープを前記と同様にステンレス板に貼り付け、それを剥離して剥離力を測定し残留接着力(f)(単位:N/25mm)とした。得られた基礎接着力(f)と残留接着カ(f)とから下記式を用いて残留接着率を求めた。
残留接着率(%)=(f/f)×100
本発明において残留接着力は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であり、離型層からの移行成分が少なく、品質のより優れた光学用樹脂膜を得ることができる。
(3)易滑層、離型層の厚み
離型フィルムを三角形の小片に切り出した後、コーティングにより、厚み2nmのPt(白金)層を離型層および易滑層表面に形成した。得られたサンプルを多軸包埋カプセルに固定して、エポキシ樹脂を用いて包埋処理し、ミクロトームULTRACUT−Sを用いて、離型フィルムの面方向に垂直な方向にスライスして、厚さ50nmの超薄サンプルを得た。次いで、得られた超薄サンプルをグリッドに載台して、2%オスミウム酸により、60℃、2時間の条件で蒸気染色した。蒸気染色後の超薄サンプルについて、透過電子顕微鏡LEM−2000により、加速電圧100kvの条件で観測し、離型層および易滑層の厚みを測定した。測定は、離型フィルムの任意の10点について実施し、それらの平均値を各々、易滑層、離型層の厚み(単位:nm)とした。
(4)表面粗さ(Ra)
非接触式3次元粗さ計(小坂研究所製、ET30HK)を用いて波長780nmの半導体レーザー、ビーム径1.6μmの光触針で測定長(Lx)1mm、サンプリングピッチ2μm、カットオフ0.25mm、縦方向拡大倍率5000倍、横方向拡大倍率200倍、走査線数100本(したがって、Y方向の測定長Ly=0.2mm)の条件にてフィルム表面の突起プロファイルを測定し、その粗さ曲面をZ=f(x,y)で表したとき、次の式で得られる値を中心線平均表面粗さ(Ra、単位:nm)とした。
Figure 2015107606
(5)ヘーズ
JIS K7136に準じ、日本電色工業社製のヘーズ測定器(NDH−2000)を使用して離型フィルムのヘーズ(単位:%)を測定した。
(6)滑り性評価
JIS−K7125に従い、離型層表面と易滑層表面の静摩擦係数(μs)を測定した。測定は5回行い、平均値を算出した。測定値を下記の基準で評価した。
○ : 摩擦係数の値が<0.5であり、測定後のフィルム表面に傷が見られない
△ : 摩擦係数の値が≧0.5、<0.8であり、測定後のフィルム表面に傷が見られない
× : 摩擦係数の値が≧0.8であり、測定後のフィルム表面に微細な傷が見られる
(7)キャストフィルム表面平坦性評価
平坦なガラス基板上に、離型フィルムを、離型面を上にして置き、離型フィルムの四辺に厚さ2.0mmのスペーサーを置いて成形下型とし、離型フィルムの中心部に、混合、脱泡した未硬化の液状シリコーンゲル(旭化成ワッカーシリコーン(株)社製、品番:SLJ3363)を気泡を巻き込まないように流し入れ、次いで、熱風式オーブン中で70℃1時間加熱硬化させ、その後、オーブンから取り出してガラス基板を取り外して、室温まで自然冷却し、離型フィルム/シリコーンゲルの構成体を得た。
次いで、上記により得られた構成体をポリカーボネート板に貼り合せた後、離型フィルムを剥がした状態で、日本精密光学製へーズメーター(スガ試験機(株)製、ヘイズメーターHCM−2B、波長:580nm)を使用し、シリコーンゲル面側を光源に向けてヘーズを測定した。かかる測定値をHz(1)とした。
次に、上記シリコーンゲル/ポリカーボネート板の構成体において、離型フィルムを剥離した側の面にも上と同様のポリカーボネート板を貼り合わせ、これにより表面ヘーズをキャンセルした状態で、同様にヘーズを測定して、かかる測定値をHz(2)とした。これらの数値を下記の基準に従い、評価した。
○ : Hz(1)−Hz(2)≦0.2であり、シリコーンゲル表面への離型フィルム表面の凹凸転写が少ない為、表面ヘーズが低く平坦性が良好
△ : 0.3≧Hz(1)−Hz(2)>0.2であり、シリコーンゲル表面への離型フィルム表面の凹凸転写がややみられる
× : Hz(1)−Hz(2)>0.3であり、シリコーンゲル表面への離型フィルム表面の凹凸転写が多く、表面ヘーズが高く平坦性に劣る
(8)粒子の平均粒径
試料台上に、粒子の粉体を個々の粒子ができるだけ重らないように散在させ、金スパッター装置によりこの表面に金薄膜蒸着層を厚み200〜300オングストロームで形成し、走査型電子顕微鏡を用いて1万〜3万倍で観察し、さらに、日本レギュレーター(株)製ルーゼックス500にて、少なくとも110個の粒子について面積円相当径(Di)を求め、面積相当粒径(Di)の数平均値を平均粒径とした。
[実施例1]
(ポリエステルフィルム+易滑層)
固有粘度0.65(温度25℃、o−クロロフェノール溶液で測定)のポリエチレンテレフタレートペレット(ガラス転移点温度Tg=78℃、融点Tm=258℃、DSC法による)を100質量部、平均粒径1.7μmの酸化ケイ素多孔質粒子を0.008質量部の割合で混合した樹脂組成物を、2軸タイプエスクトルーダーにて溶融混合し、冷却ドラム上に押出し、未延伸シートを得た。続いて、かかる未延伸シートを、90℃で縦延伸倍率3.3倍に延伸した後、その片面に表1に示す易滑層塗剤(易滑層1)の濃度6重量%の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。
次いで、この塗布フィルムを95℃で乾燥し、横方向に130℃で倍率3.5倍に延伸した後、210℃で4秒間熱処理して、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2015107606
なお、表1における各成分は以下のとおりである。
A:互応化学製 プラスコートZ−565(水溶性ポリエステル)
B:ライオン株式会社製 ライオノールL−950(ノニオン系界面活性剤)
C:日本触媒株式会社製 エポスターMe−6u(アクリル樹脂粒子、平均粒径40nm)
(離型層)
メチルエチルケトン(MEK)70質量部とトルエン30質量部とからなる混合溶剤に、ポリジメチルシロキサンを主成分とするシリコーン(信越化学工業株式会社製:TPR6712)6質量部を溶解し、触媒(信越化学工業株式会社製:CM670)をシリコーン100質量部に対し2質量部の割合で混合して離型層塗液を作成した。この離型層塗液を常法のロールコートにより、上記で得られた易滑性ポリエステルフィルムの易滑層とは反対面に塗布し、130℃の乾燥温度にて30秒乾燥し、乾燥膜厚みが0.10μmの離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[実施例2]
易滑層塗剤を表1に記載の易滑層2とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[実施例3]
易滑層塗剤を表1に記載の易滑層3とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[実施例4]
樹脂組成物に用いた酸化ケイ素多孔質粒子の割合を0.04質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[実施例5]
樹脂組成物に用いた酸化ケイ素多孔質粒子の割合を0.004質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[実施例6]
樹脂組成物に用いた酸化ケイ素多孔質粒子の平均粒径を1.0μmとした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[実施例7]
樹脂組成物に用いた酸化ケイ素多孔質粒子の平均粒径を2.0μmとした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[比較例1]
易滑層塗剤を表1に記載の易滑層4とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[比較例2]
易滑層塗剤を表1に記載の易滑層5とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
表2中の評価項目では良好であったが、易滑層の有機微粒子の脱落が見られ、キャストした光学用樹脂に欠点として付着するため、使用不可能であった。
[比較例3]
樹脂組成物に用いた酸化ケイ素多孔質粒子の割合を0.06質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
[比較例4]
酸化ケイ素多孔質粒子の混合割合を0質量部とした以外は実施例1と同様にして、厚さ50μmの易滑性二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。さらに、実施例1と同様にして離型層を形成し、離型フィルムを得た。得られた離型フィルムの特性を表2に示す。
Figure 2015107606
本発明の離型フィルムは、滑り性および透明性が良好なので、工程でのハンドリング性や検査特性に優れ、しかも得られるキャストフィルムの表面は平坦性に優れているので、光学用樹脂フィルムをキャスト法により製造するための離型フィルムとして好適に使用することができる。

Claims (3)

  1. 平均粒径0.3〜3.0μmの多孔質粒子を、フィルム質量を基準として0.001〜0.05質量%含有するポリエステルフィルムの、一方の面に下記易滑層および他方の面に下記離型層を有する光学用樹脂キャスト用離型フィルム。
    易滑層:熱可塑性樹脂を主たる構成成分とし、平均粒径0.01〜0.10μmの有機粒子を、易滑層質量を基準として3〜20質量%含有し、厚みが20〜60nm
    離型層:付加硬化型シリコーン樹脂を主たる構成成分とし、粒子を実質的に含有せず、厚みが0.01〜1.0μm
  2. ヘーズが0.5〜1.5%である、請求項1に記載の光学用樹脂キャスト用離型フィルム。
  3. 離型層表面の表面粗さRaが8〜25nmであり、易滑層表面における表面粗さRaが8〜28nmである、請求項1または2に記載の光学用樹脂キャスト用離型フィルム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2019059203A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 東レフィルム加工株式会社 離型フィルムおよびそれを用いた積層体

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