JP4289518B2 - 耐摩耗性を有する化粧材 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、雑貨の表面や家具の表面、もしくは屋内外において使用される建材の最表面等に適用され、表面の装飾、下層の保護を目的として利用される人工的な化粧材の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から人工的な化粧材の分野では、種々の素材に印刷、エンボス、塗装等を行って、天然物や所望の外観に近づける努力が続けられる一方、化粧材の表面の耐久性や化粧材自身の加工適性、特に曲げ加工の適性に関する改善についても、多くの改善の努力がなされている。
【0003】
化粧材の表面の耐久性を向上させるためには、表面に適用する塗料の中の合成樹脂の皮膜を丈夫にする必要があり、その意味で硬化型であるエポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が用いられていたが、近年、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂がよく用いられるようになっている。
【0004】
化粧材の表面の耐久性を向上させる今一つの技術は、塗料の中に無機質又は有機質の粒子を分散して、化粧材表面に適用する事で、これにより表面の耐摩耗性を向上させることを狙っており、粒子の材質、形、粒径等の検討がなされてきている。本願出願人はかつて、架橋性樹脂と、架橋性樹脂よりも高硬度の球状粒子とから構成される耐摩耗性樹脂層がその平均膜厚t(mm)と球状粒子の径d(mm)との関係が0.3t≦d≦2.0tである場合に、充分な耐摩耗性を発揮する旨を先に開示している。(特開平8−183147号、特許第274093号参照)
【0005】
しかし、この場合において、粒子としてα−アルミナを使用したときでさえ、さらに一層の耐摩耗性が望まれている。その理由は、この耐摩耗性樹脂層が適用された化粧材が平坦な状態でのみ使用されるなら、架橋性樹脂の選択により硬度の高い層とすることにより、耐摩耗性の向上は比較的容易である。しかし、化粧材の多くは、適用される表面の形状に沿って曲げられたり、あるいは板状の対象に貼られた後、板部分のみをV溝状に切り取って、全体を直角に折り曲げる、いわゆるVカット折り曲げ加工を受けることがある。このため、耐摩耗性樹脂層を構成する架橋性樹脂としては、曲げられたり、折られたりする際に破断しないよう、多少伸びるように設計されるのが普通であり、必然的に強度も多少低下させるようになり、また、柔らかいために、粒子を保持する能力が不充分になりやすく、粒子の脱落を招くことさえあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記の従来技術において、耐摩耗性樹脂層を構成する架橋性樹脂の強度が必ずしも充分でなかった点を解消し、曲げられたり、折られたりしても充分に追随して裂けたり破断したりせず、また、粒子を保持するのに充分な硬さを持ち、自身も摩耗に対して強化された架橋性樹脂を使用して耐摩耗性樹脂層を構成することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の化粧シートにおいては、基材の表面上に、架橋性樹脂からなるバインダー及びそのバインダーにより固着された微粒子とからなる第1の層と、前記第1の層上にあって前記第1の層を構成する架橋性樹脂にくらべてより可撓性の高い架橋性樹脂からなる第2の層とを基材の表面側からこの順に有し、前記微粒子の平均粒径をd(単位:mm)、第1の層の平均膜厚みと第2の層の平均膜厚みの合計厚みをT(単位:mm)としたときに、0.3T≦d≦2.0Tの関係式が成り立ち、かつ、dが0.005〜0.1であって、第1の層の平均膜厚みと第2の層の平均膜厚みの合計厚みTのうち、第1の層が占める割合が20〜80%であるとともに第1の層のバインダーを構成する架橋性樹脂の平均架橋間分子量が150〜1,000であり、第2の層を構成する架橋性樹脂の平均架橋間分子量が1,000〜6,000である化粧シートに関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の耐摩耗性を有する化粧材の一実施例を示すもので、化粧材1は基体2上に、模様3を有し、模様3を含む基体2の全面の上に、微粒子4、及び架橋性樹脂からなるバインダー5とからなる層6を有し、更に、層6上に、前記第1の層を構成する架橋性樹脂にくらべてより可撓性の高い架橋性樹脂からなる層7を有する構造からなっている。ここでは、化粧材として、基体2上に模様3を有するもののみ例示したが、後述するように、表面に耐摩耗性樹脂層を形成して耐久性を向上させるべきものであれば、いずれも本発明が適用可能である。
【0009】
基体2としては、通常、化粧材に用いられている素材であれば、いずれも使用可能であり、大別すれば、各種の紙類、プラスチックフィルム又はプラスチックシート、金属箔、金属シート、又は金属板、木材などの木質系の板、各種の窯業系素材等の各群である。これら各群に含まれる素材は単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラチスチックフィルムの複合体等、これら素材の任意の組合わせによる積層体も利用できる。これらの基体は、色彩を整える意味で塗装を施されていたり、デザイン的な観点で通常の模様が予め形成されていてもよい。塗装や通常の模様形成に先立って表面が平滑化されていたり、模様の密着度を上げるために下地処理が施されていてもよい。塗装や通常の模様形成後には、後の加工を容易にするための接着性改善処理を施すことも差し支えない。
【0010】
各種の紙類としては、以下のものが代表的なものとして例示される。即ち、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、予め紙間の強化の目的で樹脂を含侵してある樹脂含浸紙も使用できる。これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い一群の原反が挙げられる。更には、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられる次の紙類も使用可能である。即ち、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等である。又、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ次のような各種繊維の織布や不織布も基体1として利用できる。各種繊維とは即ち、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成繊維である。
【0011】
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、次に例示するような各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。各種の合成樹脂とは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等である。
【0012】
金属箔、金属シート、又は金属板としては次に例示するような金属からなるものである。即ち、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等である。しばしばめっき等を施して使用することがある。各種の木質系の板としては、木材の板、合板、パーチクルボード、又はMDFと呼ばれる中密度繊維板等が挙げられる。窯業系素材としては、石膏ボード、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、ホウロウ、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチックの板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂をサンドウィッチしたもの等、各種の素材の複合体も基体2として使用できる。基体2の表面は、印刷や塗装に備えて、予めコロナ処理や、プライマー処理など、接着性を高めるための処理をおこなってもよい。
【0013】
基体2上に模様3を形成するには、基体2の材質、後記する層6形成時に用いる塗料を考慮して、適切なインキを選び、グラビア印刷等の印刷により行う。この他、図示しないが、基体2には、化粧材として通常施される事の多い、エンボス、エンボス凹部へのインキの充填、透明性のある基体に対して行われる裏面印刷、裏面印刷後の隠蔽層印刷、表側の面に印刷した後に印刷面への透明フィルムの貼合わせ、さらに貼合わせて得られるものに対するエンボス等の各種の加工の中から、基体2の材質や用途に応じた任意の加工を施してあってもよい。
【0014】
基体2上に設けられた模様2を含む全面上には、微粒子4および架橋性樹脂からなるバインダー5とからなる層6を有している。
【0015】
微粒子4は、層6の表面の耐摩耗性を向上させる意味で、有機質又は無機質、好ましくは無機質であって、架橋硬化した樹脂よりも高硬度の球状粒子を含有させる。高硬度の球状粒子を添加すると、一層の表面強化が実現される。こで球状粒子とは、表面が滑らかであれば真球でないものも使用でき、そのようなものをも含むものとする。球状粒子の役割は、層6の表面からその一部が突出して、摩耗の原因となる外力を微状子が受け止め、球状粒子自身が次第に摩耗することによって、下層の摩滅を防止する事である。球状粒子としてはα−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイアモンド、黒鉛等があるが、中でも、硬度が高く、球形のものが多い点から、球形のα−アルミナ(昭和電工株式会社の球状アルミナAS−10からAS50)が推奨できる。球状粒子の粒径は、平均粒径で5〜100μmが好ましい。無機質の球状粒子を表面保護層に用いる際に、表面保護層を構成する樹脂中での密着性を上げる意味で、予めシランカップリング剤等で処理するとよい。
【0016】
層6を形成するバインダーとしては、熱可塑性のものも使用し得るが、熱硬化性樹脂を使用する熱硬化性樹脂組成物、あるいは紫外線又は電子線照射により硬化する電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、塗布後に加熱したり、電離放射線を照射して架橋硬化させることによりさらに物理的、化学的な諸性能を向上させることができる。この種の化粧材は、最近、メラミン化粧板が従来使用されている分野にも進出しつつあり、従って、メラミン化粧板並みの表面の耐久性、特に耐摩耗性を要望されことが多いから、電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、塗布後に電離放射線を照射して架橋硬化させる方法が脚光をあびている。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
【0017】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
【0018】
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。
【0019】
通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
【0020】
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
【0021】
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
【0022】
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
【0023】
層6を形成した後に、層7を形成するが、層6を熱硬化性樹脂と微粒子からなる組成物で形成した場合には、層6の表面を取り扱える程度に乾燥させ、あるいは、電離放射線硬化性樹脂と微粒子からなる組成物で形成した場合にも、次の層7を形成するのに支障ない程度に、乾燥させるか、紫外線又は電離放射線を通常よりは照射線量を落として照射しておき、層7を塗装して形成した時点で、層6及び層7を一度に硬化させた方が、下層6の過度な架橋を防止できてよい。
層7の形成のために使用される組成物や方法は、微粒子を用いない以外は、層6の形成と同じようにして行えばよい。
【0024】
本発明において、第1の層のバインダーを構成する架橋性樹脂の平均架橋間分子量としては、150〜1,000である事が好ましい。ここで、平均架橋間分子量が150未満では硬度が不充分であり、1,000を超えると、折り曲げ加工の際に破断が生じ始める。
また、第1の層の上に形成する第2の層を構成する架橋性樹脂の平均架橋間分子量としては、1,000〜6,000である事が好ましい。ここで、平均架橋間分子量が1,000未満では下層の硬度を補って全体の柔軟性を出すには不充分であり、6,000を超えると、柔軟性はあるものの、摩耗に対抗して、下層の微粒子を脱落させない効果が不十分になる。
なお、ここで、第1及び第2の層の架橋性樹脂の「平均架橋間分子量」とは、全体の分子量を架橋点の数で割ったものである。
【0025】
層6及び層7の厚みに関して言及すると、層6の厚みt(mm)と微粒子の粒径d(mm)との関係は、層6が最表層であれば、先の出願で規定したように、0.3t≦d≦2.0tである場合に、耐摩耗性が充分発揮されるが、本発明の化粧材においては、後述する層7も耐摩耗性の発揮に寄与するため、tの代わりに、層6の平均膜厚みと層7の平均膜厚みの合計であるTを上式に当てはめた、0.3T≦d≦2.0Tが成り立つ場合に、効果が大きく、また合計の厚みTのうち、層6が占める割合は20%〜80%、好ましくは30%〜70%である。
【0026】
【実施例】
(実施例1)
基体として厚み80ミクロンを選び、片面にコロナ処理を施した後、処理面にポリビニルブチラール樹脂とウレタン樹脂の混合樹脂を成分とするプライマー(昭和インク工業所製、BUプライマー/FW硬化剤=100/5)を塗布し、さらにアクリル樹脂及びウレタン樹脂をバインダーとするインキ(昭和インク工業所製、AUインキを用いて、グラビア印刷により模様を印刷した。その後、印刷面に、「表1」及び「表2」に示す組成の塗料(三洋化成工業(株)製、SE−40)を用い、平均膜圧が25μmになるようロールコーティング法により塗布し、塗布後、乾燥させて塗料中の溶剤を除去した。最後に、「表3」に示す塗料(1)、(2)(大日精化工業(株)製、EBS−07)を用い、平均膜圧が10μmになるようロールコーティング法により塗布し、塗料(1)を塗布するものと、塗料(2)を塗布するものの二通りの塗布を行ない、塗布後、いずれも電子線を照射して層6、層7の架橋を行った。
【0027】
【表1】
【0028】
【表2】
【0029】
【表3】
得られた化粧材の第1層の平均架橋間分子量は150〜1,000であり、又第2層の平均架橋間分子量は1,000〜6,000であった。
この化粧材の耐摩耗性をJIS K6902にて試験した結果は、600回と良好であり、又、環境温度20℃において塗装面を外にした180°折り曲げにても折り曲げ部分の白化やひび割れは生じなかったので、耐摩耗性及び折り曲げ適性が十分な化粧材であることが確認された。
【0030】
(比較例1)
「表1」及び「表2」に示す塗料を用いて1回塗布し、平均膜圧が25μmになるよう塗布後、直ちに電子線を照射した以外は、実施例と同様にして化粧材を得た。
得られた化粧材の第1層の平均架橋間分子量は150〜1,000であって、得られた化粧材の耐摩耗性をJIS K6902に基づいて試験した結果は、
「500回」であり、この点では良好であったが、環境温度20℃において塗装面を外にした180°折り曲げにおいては折り曲げ部分が若干白化し、微細なひび割れが生じたため、折り曲げ加工には不向きであった。
【0031】
(比較例2)
「表3」に示す塗料を用いて1回塗布し、平均膜圧が10μmになるよう塗布後、直ちに電子線を照射した以外は、実施例と同様にして化粧材を得た。
得られた化粧材の第1層の平均架橋間分子量は1,000〜6,000であって、得られた化粧材は環境温度20℃において塗装面を外にした180°折り曲げにても折り曲げ部分の白化やひび割れは起きなかったが、耐摩耗性をJIS K6902にて試験した結果は、「50回」であり、実施例と比較して不充分な耐摩耗性を有していた。
【0032】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、微粒子を架橋性樹脂からなるバインダーで固着した1つの層で耐摩耗層を形成したときにくらべ、耐摩耗性と柔軟性のバランスのとれた優れた耐摩耗層が得られる。
【0033】
請求項2の発明によれば、合板等に化粧材を貼って、Vカット折り曲げを行なうような場合の折り曲げにおいて、破断を生じる事無く、十分な折り曲げができるにもかかわらず、従来の微粒子を架橋性樹脂からなるバインダーで固着した1つの層で耐摩耗層を形成したときにくらべ、耐摩耗性の低下がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によって得られる化粧材の模式的断面図である。
【符号の説明】
1 化粧材
2 基体
3 模様
4 微粒子
5 架橋性樹脂からなるバインダー
6 下塗り層
7 上塗り層
Claims (1)
- 基材の表面上に、架橋性樹脂からなるバインダー及びそのバインダーにより固着された微粒子とからなる第1の層と、前記第1の層上にあって前記第1の層を構成する架橋性樹脂にくらべてより可撓性の高い架橋性樹脂からなる第2の層とを基材の表面側からこの順に有し、前記微粒子の平均粒径をd(単位:mm)、第1の層の平均膜厚みと第2の層の平均膜厚みの合計厚みをT(単位:mm)としたときに、0.3T≦d≦2.0Tの関係式が成り立ち、かつ、dが0.005〜0.1であって、第1の層の平均膜厚みと第2の層の平均膜厚みの合計厚みTのうち、第1の層が占める割合が20〜80%であるとともに第1の層のバインダーを構成する架橋性樹脂の平均架橋間分子量が150〜1,000であり、第2の層を構成する架橋性樹脂の平均架橋間分子量が1,000〜6,000である化粧シート。
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