JP3295877B2 - 耐摩耗性化粧材 - Google Patents

耐摩耗性化粧材

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の床面、壁
面、天井等の内装、家具並びに各種キャビネット等の表
面装飾材料、建具の表面化粧、車両内装等に用いる表面
化粧材として利用される化粧材に関し、特に表面の耐摩
耗性が要求される用途に使用される化粧材に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、建築物の内装や家具、キャビネッ
ト等の装飾用の表面に使用される化粧シートとして、基
材シートの片面に絵柄又は全面ベタの印刷インキ層を設
け、このインキ層を保護するために、保護層として、熱
硬化型のウレタン樹脂等を塗布し、熱乾燥、熱硬化させ
て熱硬化性樹脂層を形成する方法、又は電離放射線硬化
性樹脂を塗布し、電離放射線を照射して塗膜を硬化し
て、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成する
方法がある。特に、架橋密度の高い電離放射線硬化性樹
脂を用いて硬化した電離放射線硬化性樹脂層は、表面硬
度、耐薬品性、耐汚染性等の物性に優れたものである。
【0003】しかし、表面硬度を高くしようとして、樹
脂の架橋密度を高くすると保護層の柔軟性が損なわれ
て、保護層が衝撃によって割れたり、シート巻取り時、
更にはラッピング加工等の後加工時に亀裂が発生し易く
なる等の問題が生じる。従って、保護層の架橋密度を上
げて、耐摩耗性を改良しようとしても、柔軟性を要求さ
れる場合は限界があった。
【0004】そのため、保護層の柔軟性を低下させずに
耐摩耗性を改良する方法として、保護層の樹脂中に無機
材料を添加する方法が、従来から行われている。例え
ば、特開昭60ー23642号公報には、サンドブラス
ト法やブラシ研磨法等の研磨剤として使用されている平
均粒径が1〜50μmのシリカ(SiO2)及びアルミ
ナ(Al2 3 )を主成分とする天然ガラスの粉末を配
合した塗料を用いて、保護層を形成することが開示され
ている。上記塗料によって形成された保護層は、従来品
に比べて、硬度が硬く、且つ柔軟性を有し、耐摩耗性や
耐擦傷性に優れた物性を示した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記アルミナ
や天然ガラスの粉末等の無機質フィラーを添加した塗料
を用いて化粧材の保護層を形成した場合、無機質フィラ
ーを添加しないものより化粧材の耐摩耗性は向上する
が、無機質フィラーの添加により、保護層の表面に無機
質フィラーが突出して、表面のザラツキが生じ、感触を
重視するものには利用できなった。特に、床材に使用し
たとき、履物等のように、この化粧材に直接接触する場
合は、その物体を摩耗させたり、損傷させるという問題
もあった。また、上記無機質フィラーを添加した塗料を
用いて、グラビアロールコート法により基材にコートす
る場合、無機質フィラーのアルミナや天然ガラスの粉末
は角が尖った多角形状であるため、グラビアロールやド
クターブレードを摩耗させたり、傷つけたりして、加工
上大きな問題であった。
【0006】更に、紙などの含浸性基材を用いて電離放
射線硬化性樹脂等の粘度の低い塗工液を塗布した場合、
電離放射線硬化性樹脂が紙に含浸して無機質フィラーを
保持している電離放射線硬化性樹脂が少なくなり、無機
質フィラーが電離放射線硬化性樹脂層からなる保護層に
十分保持されなくなり、十分な耐摩耗性を発揮できなく
なる問題もあった。また、含浸性基材の上の電離放射線
硬化性樹脂が少なくなることにより、無機質フィラーが
塗膜(保護層)の表面に突出して、保護層表面にザラツ
キが生じて滑り性が悪くなる問題もあった。特に、塗工
液を塗布後、乾燥及び樹脂を硬化させるため加熱した場
合、加熱により塗工液の粘度が低下して基材に浸透する
ため、保護層のバインダー樹脂が少なくなってフィラー
の保持力が弱くなったり、保護層の表面に無機質フィラ
ーが突出する問題があった。
【0007】
【問題を解決するための手段】そこで本発明では、保護
層を形成する硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂
らなるバインダー樹脂に添加するフィラーとして、硬化
後のバインダー樹脂の硬度より硬い硬質粒子で、且つ鱗
片状のフィラー、更に該鱗片状のフィラーと共に不定形
のフィラーを選定し、該鱗片状のフィラー及び不定形の
フィラーも含有するバインダー樹脂で保護層を形成する
際に、鱗片状のフィラーが保護層の横方向に配向するよ
うに保護層を形成して、上記問題の解決を図った。
【0008】すなわち、本発明では上記問題を解決する
ために、化粧材の構成を以下のようにした。
【0009】本発明の耐摩耗性化粧材は、基材の上に、
硬質フィラーを含有するバインダー樹脂からなる塗膜を
形成した化粧材において、前記硬質フィラーが、バイン
ダー樹脂の硬度より硬い硬度を有する鱗片状のフィラー
からなり、前記バインダー樹脂が硬化性樹脂の硬化物か
らなることを特徴とする耐摩耗性化粧材とした。
【0010】この様に、保護層とする塗膜を、硬化性樹
脂の硬化物からなるバインダー樹脂中に特定の硬さの鱗
片状のフィラーを含有させる事で、耐摩耗性を有すると
共に、表面のザラツキがなくなり、手触り感が非常にソ
フトになる。また、表面の滑り性がよくなり、耐摩耗性
化粧材に接触する物体を摩耗させることがない。そのた
め、床材等のように高い耐摩耗性が要求され、且つ接触
する物体を損傷しないような分野で使用することができ
る。
【0011】しかも、本発明の耐摩耗性化粧材は、上記
構成に於いて更に、上記塗膜中の硬質フィラーが鱗片状
のフィラーに加えて、バインダー樹脂の硬度より硬い硬
度を有する不定形のフィラーも含有して成り、前記鱗片
状のフィラーが塗膜の中で横方向に配向して分布し、且
つ鱗片状のフィラーが塗膜の表面に突出しないように塗
膜を形成したことを特徴とする耐摩耗性化粧材とした。
【0012】この様な構成とする事で、耐摩耗性と共
に、表面のザラツキがなくなり、また、表面の滑り性が
よくなり、手触り感が非常にソフトになる事が確実に得
られ、また、耐摩耗性、塗工適性等を適宜調整し良好に
する事ができる。例えば、基材の表面に、絵柄層を設
け、その上にフィラーを含有する電離放射線硬化性樹脂
からなる保護層を形成して耐摩耗性化粧材を作製する際
に、電離放射線硬化性樹脂に添加するフィラーとして、
硬化した電離放射線硬化性樹脂より硬度の高い硬質粒子
で、且つ鱗片状の無機質粒子と不定形の無機質粒子を用
い、鱗片状の無機質粒子を保護層の横方向(水平方向)
に配向するように塗膜(保護層)を形成し、且つ鱗片状
の無機質粒子が塗膜の表面に突出しないようにすること
により、化粧材表面のザラツキを防止できる。
【0013】また、本発明の耐摩耗性化粧材は、上記構
成に於いて更に、上記鱗片状のフィラーが鱗片状アルミ
ナからなり、上記不定形のフィラーが不定形シリカから
なることを特徴とする耐摩耗性化粧材とした。
【0014】この様に、鱗片状のフィラーに鱗片状アル
ミナなる無機質フィラーを用い、上記不定形のフィラー
に不定形シリカなる無機質フィラーを用た構成とするこ
とで、上述本発明による各作用効果が得られる。すなわ
ち、鱗片状のフィラーとして鱗片状のアルミナ粒子を用
い、不定形のフィラーとしてシリカ(SiO2 )粒子を
用い、また、バインダー樹脂としては例えば電離放射線
硬化性樹脂を用いれば、表面の感触がよく、且つ耐摩耗
性に優れていて、これに接触する物体を摩耗させること
もない化粧材を得ることができる。例えば、鱗片状のフ
ィラーとして鱗片状アルミナ(粒径5〜40μm)を用
い、不定形のフィラーとしてシリカ粒子(粒径10〜1
5μm)及び微粉末のシリカ(粒径2μm以下)を用い
ることにより、フィラーを含有する塗工液をコーティン
グする際に、不定形のシリカ粒子が凝集して沈降するこ
とを防止し、安定したコーティングができるようになる
と共に、均一な塗膜(保護層)が得られるようになる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しながら本発
明を詳細に説明する。図1は本発明の耐摩耗性化粧材の
一例を示した模式断面図である。図2は本発明の耐摩耗
性化粧材の別の態様で、基材に紙等の含浸性基材を使用
した場合、紙への塗工液の浸透を防止するためにシーラ
ー層を設けたときの模式断面図である。図3は本発明の
耐摩耗性化粧材を作製するときの説明図である。図4は
基材に紙を用いて耐摩耗性化粧材を作製するときの説明
図である。図5は基材に紙を用いて耐摩耗性化粧材を作
製する場合、未硬化の電子線硬化性樹脂の流動状態を示
した斜視図である。図6は実施例1により耐摩耗性化粧
材を作製するときの説明図である。図7は実施例2によ
り耐摩耗性化粧材を作製するときの説明図である。図8
は比較例1により化粧材を作製するときの説明図であ
る。図9は比較例2により耐摩耗性化粧材を作製すると
きの説明図である。図10は鱗片状のフィラーの形状を
その一例で示す斜視図である。図11は不定形のフィラ
ーの形状を例示する斜視図である。
【0016】本発明の耐摩耗性化粧材1は、図1に例示
する形態の場合では、基材11の片面に、絵柄層12を
設け、その絵柄層12の上に、硬化した硬化性樹脂(バ
インダー樹脂として使用)より硬度が硬い硬質粒子であ
る、鱗片状のフィラー15と不定形のフィラー16を含
有する硬化した硬化性樹脂であるバインダー樹脂14か
らなる保護層13を形成したものである。なお、絵柄層
12は必要に応じ適宜設け、不要の場合は省略できる。
また、不定形のフィラー16も必要に応じ適宜併用する
もので、不要の場合は省略できる。そして、その保護層
13の中で、鱗片状のフィラー15が保護層13の横方
向(基材11に対して水平方向)に配向して分布するよ
うに塗膜を形成したものである。更に、鱗片状のフィラ
ー15が保護層13の表面に突出しないように保護層1
3を形成して、表面のザラツキをなくし、滑り性がよ
く、感触がソフトな表面にしたものである。特に本発明
においては、鱗片状のフィラー15としては、好ましく
は鱗片状アルミナを使用する。そして、その鱗片状アル
ミナが塗膜の水平方向に配向するように塗膜を形成した
ので、鱗片状アルミナは塗膜の表面に突出することがな
くなり、滑り性のよい、ソフトな感触の表面が得られ
る。
【0017】また、図2に例示する本発明の耐摩耗性化
粧材1は、基材として紙11aを用いた場合の一例であ
り、絵柄層12を設けた後、その上にシーラー層17を
設けて、硬化性樹脂からなるバインダー樹脂14が紙へ
浸透するのを防止したものである。即ち、鱗片状のフィ
ラー15と不定形のフィラー16を含有する未硬化の硬
化性樹脂からなる塗工液を紙11aにコーティングした
とき、未硬化の硬化性樹脂が硬化する前に紙へ浸透して
塗膜(保護層)の樹脂量が減少し、鱗片状のフィラーと
不定形のフィラーが保護層表面に突出するのを防止する
と共に、バインダー樹脂として十分な保持力が発揮でき
なくなることを防止したものである。
【0018】そして、鱗片状のフィラーとして無機質フ
ィラーである鱗片状アルミナ(粒径5〜40μm)を用
い、不定形のフィラーとして無機質フィラーであるシリ
カ粒子(粒径10〜15μm)及び微粉末のシリカ(粒
径2μm以下)を用いることにより、フィラーを含有す
る塗工液をコーティングする際に、不定形のシリカ粒子
が凝集して沈降することを防止し、安定したコーティン
グができるようにすると共に、均一な塗膜(保護層)が
得られるようにした。
【0019】以下に、本発明の耐摩耗性化粧材の製造方
法について、幾つかの態様例により説明する。なお、以
下に述べる製造方法の説明に於いては、バインダー樹脂
とする硬化性樹脂に電離放射線硬化性樹脂を使用し、硬
質フィラーとして鱗片状アル及び不定形シリカを使用し
た場合であるが、本発明はこれに限定されるものでは無
い。
【0020】先ず、図3(a)に示すように、基材11
として、含浸紙やプラスチックシートを用いて、この基
材11に、グラビア印刷等により着色不透明なベタ印刷
層12a及び絵柄層12を印刷して、印刷シート2を作
製する。一方、バインダー樹脂として電離放射線硬化性
樹脂を用い、これにアルミナ等の鱗片状のフィラー15
とシリカ等の不定形のフィラー16を添加して、鱗片状
のフィラー15と不定形のフィラー16を含有する塗工
液(樹脂組成物)を調製する。次に、図3(b)に示す
ように、前記ベタ印刷層12a及び絵柄層12を設けた
印刷シート2の絵柄層12側に、前記鱗片状のフィラー
15と不定形のフィラー16を含有する塗工液をグラビ
アロールコート法等によりコーティングして未硬化の電
離放射線硬化性樹脂14aからなる塗膜、即ち保護層1
3を形成する。次いで、図3(b)に示すように、この
未硬化の電離放射線硬化性樹脂14aの上から電子線や
紫外線等の電離放射線18を照射して未硬化の電離放射
線硬化性樹脂14aを硬化させて、図3(c)に示すよ
うに、鱗片状のフィラー15と不定形のフィラー16を
含有する硬化した電離放射線硬化性樹脂14bからなる
保護層13を有する耐摩耗性化粧材1を作製する。
【0021】上記の印刷シート2に前記鱗片状のフィラ
ー15と不定形のフィラー16を含有する塗工液をコー
ティングして未硬化の電離放射線硬化性樹脂14aから
なる塗膜を形成する際に、塗工液の中に微粉末のシリカ
を0.5〜3重量%の範囲で添加することにより、塗工
液の粘度は増加してコーティング適性がよくなり、グラ
ビアコート法等でコーティングしたとき、鱗片状のフィ
ラー15が横方向に配向して、図3(b)に示すような
分布状態となる。また、印刷シート2に鱗片状のフィラ
ー15と不定形のフィラー16を含有する塗工液をコー
ティングして熱風やヒータ等により乾燥したとき、未硬
化の電離放射線硬化性樹脂14aからなる塗膜は、温度
の上昇に伴って粘度が低下するので、鱗片状のフィラー
15及び不定形のフィラー16は下方に移動して塗膜の
表面には突出したものがなくなると共に、樹脂層(塗
膜)は水平方向にも流動して、コーティング時に生じた
表面の僅かな凹凸又は波打ちは平らになり平滑な表面に
なる。
【0022】次に、表面が平滑になった保護層13に、
図3(b)に示すように、電離放射線照射装置(図示せ
ず)を用いて電離放射線18を照射して未硬化の電離放
射線硬化性樹脂14aを硬化する。電離放射線として
は、通常、電子線又は紫外線が使用される。電離放射線
硬化性樹脂が完全に硬化すると、図3(c)に示すよう
に、鱗片状のフィラー15及び不定形のフィラー16は
硬化した電離放射線硬化性樹脂14bの中に固定され、
表面が滑らかな耐摩耗性を有する保護層13が形成され
る。従って、表面にザラツキがなく、滑り性がよく、ソ
フトな感触を有する耐摩耗性化粧材1が得られる。
【0023】また、基材が紙のような繊維質材料からな
り、保護層を形成する塗工液が基材に浸透する場合に
は、基材に塗工液が浸透するのを抑制する必要がある。
以下に、基材に紙を用い、電離放射線硬化性樹脂として
電子線硬化性樹脂を用いた場合について説明する。先
ず、図4(a)に示すように、紙11aにグラビア印刷
等により着色不透明なベタ印刷層12a及び絵柄層12
を設けて印刷シート2を作製する。次に、図4(b)に
示すように、未硬化の電子線硬化性樹脂が紙へ浸透する
のを抑制するために、グラビア印刷等によりシーラー層
17を形成する。シーラー層17を形成するバインダー
樹脂としては、例えば、ポリウレタン、セルロース系樹
脂、ポリエステル等の樹脂、又は二液硬化型樹脂、電離
放射線硬化性樹脂等が使用される。シーラー層として
は、この他にもアクリル系樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニ
ル共重合体系樹脂、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプ
ロピレン等の樹脂が使用される。
【0024】紙に低粘度の未硬化の電子線硬化性樹脂を
コーティングした場合、図5に示すように、未硬化の電
子線硬化性樹脂14cは下方(Z方向)に移動して紙に
浸透していく。浸透量が多くなり過ぎると、未硬化の電
子線硬化性樹脂層は薄くなり、鱗片状アルミナ及び不定
形シリカが電子線硬化性樹脂層(保護層)の表面に突出
するようになる。また、電子線硬化性樹脂の量が少なく
なると、鱗片状アルミナ及び不定形シリカに対するバイ
ンダーとして作用が十分発揮されなくなり、本発明の保
護層の目的が達成されなくなる。
【0025】また、紙に比較的高粘度の未硬化の電子線
硬化性樹脂をコーティングして、コーティング当初は紙
に浸透しない場合でも、加熱乾燥のために未硬化の電子
線硬化性樹脂が加熱された場合、加熱によって未硬化の
電子線硬化性樹脂の温度が上昇し、温度の上昇に伴って
未硬化の電子線硬化性樹脂は粘度が低下するので、未硬
化の電子線硬化性樹脂は流動しやすくなり、前記のよう
に紙に浸透するようになる。また、このとき、シーラー
層17が存在することにより、加熱によって粘度の低下
した未硬化の電子線硬化性樹脂は、図5に示すように、
紙へは浸透し無いために下方(Z方向)に移動すること
が無く、X及びY方向、即ち水平方向にのみ流動するの
で、コーティング時に生じた表面の僅かな凹凸又は波打
ちは平らになり平滑な表面になる。従って、鱗片状のフ
ィラー及び不定形のフィラーを添加した未硬化の電子線
硬化性樹脂を加熱することにより、表面にフィラーの突
出がなくなり、平滑な平面が得られるようになる。
【0026】上記のように、印刷シート2にシーラー層
17を形成した後、図4(b)に示すように、鱗片状ア
ルミナ15a及び不定形シリカ16aを含有する未硬化
の電子線硬化性樹脂14cをコーティングして保護層1
3を形成する。未硬化の電子線硬化性樹脂14cはシー
ラー層17によって紙11aへの浸透が抑制されるの
で、鱗片状アルミナ15a及び不定形シリカ16aを含
有する未硬化の電子線硬化性樹脂14c層を所定の厚さ
に形成することができる。即ち、シーラー層17の形成
によって、未硬化の電子線硬化性樹脂14cの紙11a
への浸透が抑制されて、保護層13において所定の樹脂
量が維持されるので、鱗片状アルミナ15a及び不定形
シリカ16aに対するバインダー樹脂としての作用が十
分発揮できるようになる。また、紙11aの上にコーテ
ィングされた未硬化の電子線硬化性樹脂は加熱乾燥の際
に、加熱により未硬化の電子線硬化性樹脂の粘度が低下
して保護層中に含まれる鱗片状アルミナ15a及び不定
形シリカ16aが下方に移動するが、保護層の厚みは減
少し無いので、未硬化の電子線硬化性樹脂層(保護層)
の表面には鱗片状アルミナ15a及び不定形シリカ16
aは突出しなくなる。更に、未硬化の電子線硬化性樹脂
は加熱により、水平方向には流動するので、表面の僅か
の凹凸は平滑になり、保護層は滑り性のよい表面を有す
るようになる。
【0027】次に、未硬化の電子線硬化性樹脂14cか
らなる保護層13の上に、図4(c)に示すように、電
子線18aを照射して未硬化の電子線硬化性樹脂14c
を硬化させて、図4(d)に示すように、鱗片状アルミ
ナ15a及び不定形シリカ16aを含有する硬化した電
子線硬化性樹脂14dからなる保護層13を有する耐摩
耗性化粧材1を作製する。得られた耐摩耗性化粧材1
は、表面にザラツキがなく、滑り性がよく、ソフトな感
触を有するものとなる。
【0028】本発明に用いられる鱗片状のフィラーとし
ては、バインダー樹脂よりも硬度(モース硬度、ビッカ
ース硬度等で評価)が高い(硬い)ものであれば、有機
質、無機質いずれのものも使用出来る。有機質のものと
しては、ポリアミド(ナイロン)樹脂、ウレタン樹脂、
メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、架橋アクリル樹
脂、尿素樹脂等が用いられる。無機質のものとしては、
アルミナ(α−アルミナ等)、ムライト、シリナマイ
ト、アルミノシリケート、炭化ケイ素、炭化硼素、窒化
硼素、硼砂、シリカ、ダイヤモンド等が用いられる。但
し、硬度、化学的耐久性等の点で、無機質の鱗片状粒
子、中でも特に、ヌープ硬度13GPa(旧慣用単位表
記で約1300kg/mm2 )以上のものが好ましく、
鱗片状アルミナ(例えば鱗片状のα−アルミナ)が好適
である。
【0029】鱗片状アルミナ等の鱗片状のフィラーは、
粒径(外接球の半径、或いは平板面の対角線長として定
義)5〜40μmの範囲のものが使用されるが、平均粒
径20〜30μmが好適である。また、図10の斜視図
は、鱗片状のフィラー15の粒子形状の一例を示す図で
あり、平面乃至は略平面の平板面Fpと側面Fsを有す
る。なお、同図の平板面Fpの正面視形状は六角形であ
るが、これに限定されるものでは無い。
【0030】また、硬化性樹脂への鱗片状のフィラーの
添加量は、硬化した硬化性樹脂に対して5〜50重量%
程度の範囲になるように添加される。硬化塗膜として硬
化した硬化性樹脂に対する鱗片状のフィラーの含有量
が、5重量%未満の場合は、耐摩耗性が不十分で、鱗片
状のフィラーの添加効果が十分発揮されない。また、含
有量が50重量%を超える場合は、鱗片状のフィラーと
一緒に不定形のフィラーも添加する場合も含めてフィラ
ー全体の添加量が多くなり過ぎて、フィラーに対するバ
インダー樹脂の保持力が低下すると共に、コーティング
液の粘度が高くなりコーティングが困難になる。
【0031】本発明に用いられる不定形のフィラーとし
ては、保護層の樹脂より硬度が硬いものであれば、有機
質、無機質いずれでも使用可能である。例えば、材質と
しては前記の鱗片状のフィラーで例示したものが使用で
きるが、その他、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、カ
オリナイト、ガラス粉末等が使用可能である。本発明に
おいては不定形のシリカが好適である。図11の斜視図
は、不定形のフィラー16の粒子形状を例示する図であ
り、形状、及び寸法の異なる2種以上の多角形粒子の集
合体からなり、個々の粒子の寸法形状が同図の様に一定
に定まっていない形状である。
【0032】不定形シリカ等の不定形のフィラーの粒径
は、平均粒径が2μm以下の微粉末から10〜15μm
の粒子まで広範囲の粒径のものが使用できる。また、本
発明においては、不定形のフィラーの粒径は、硬化性樹
脂からなる保護層の厚さより小さくすることが重要であ
る。これによって、化粧材は耐摩耗性に優れた物性を発
揮すると共に、表面のザラツキがなくなり、滑り性のよ
い化粧材を得ることができる。通常、不定形シリカとし
ては、平均粒径が10〜15μmのものと平均粒径2μ
m以下の微粉末シリカの二種類の粒径のものを添加する
のが好ましい。微粉末シリカを0.5〜3重量%添加す
ることにより、塗工液のコーティング適性が改良され、
コーティングの工程が安定すると共に、安定した保護層
が得られる。
【0033】不定形のフィラーを添加する場合に、不定
形のフィラーの添加量は、鱗片状のフィラーと同様、硬
化性樹脂の硬化塗膜に対する含有量が、5〜50重量%
になるようにすることが必要である。そして、不定形の
フィラーと鱗片状のフィラーの添加量の合計が60重量
%以下にすることが必要である。硬化塗膜に対する不定
形のフィラーの含有量が、5重量%未満の場合は、不定
形のフィラーによる耐摩耗性が不十分で、不定形シリカ
の添加効果が十分発揮されない。また、含有量が50重
量%を超える場合は、硬化性樹脂のバインダーとしての
作用が十分発揮されなくなり、塗膜の可撓性が損なわれ
ると共に、コーティング作業が困難となる。
【0034】上記鱗片状アルミナ等の鱗片状のフィラー
及び上記不定形シリカ等の不定形のフィラーは、保護層
となる硬化性樹脂との接着性や分散性等の物性改善のた
めに、表面処理をすることがある。例えば、ステアリン
酸等の脂肪酸で処理すると分散性が向上する。また、表
面をシランカップリング剤で処理すると、バインダーと
しての硬化性樹脂との密着性やフィラーの分散性が向上
する。シランカップリング剤としては、分子中にビニル
基やアクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和結
合を有するアルコキシシランや分子中にエポキシ基、ア
ミノ基、メルカプト基等の官能基を有するアルコキシシ
ランが挙げられる。本発明において、バインダー樹脂の
硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂が使用される場
合は、シランカップリング剤はラジカル重合性不飽和結
合を有するアルコキシシランが好適である。
【0035】ラジカル重合性不飽和結合を有するアルコ
キシシランの具体例としては、γ−(メタ)アクリロキ
シプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)ア
クリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−(メ
タ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ
−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、
γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシ
ラン、ビニルトリエトキシシラン等がある。なお、ここ
で「(メタ)アクリロキシ」とは、アクリロキシ又はメ
タクリロキシの意味で用いる。
【0036】鱗片状アルミナ等の鱗片状のフィラー及び
不定形シリカ等の不定形のフィラーの表面をシランカッ
プリング剤で処理する方法は特に制限はなく、公知の方
法が使用できる。例えば、乾式法としてフィラーを激し
く攪拌しながら所定のシランカップリング剤を吹きつけ
る方法や、湿式法としてトルエン等の溶媒中にフィラー
を分散させた後、所定量のシランカップリング剤を加え
て反応させる方法が挙げられる。フィラーに対するシラ
ンカップリング剤の処理量(所要量)は、フィラーの比
表面積100に対してシランカップリング剤の最小被覆
面積が10以上となるようにすることが好ましい。フィ
ラーの比表面積100に対してシランカップリング剤の
最小被覆面積が10未満の場合はあまり表面処理効果が
ない。
【0037】本発明に用いられるバインダー樹脂として
は、基本的には、アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル
樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体等の熱可塑性樹脂、二液硬化型ウレタン樹脂、エポ
キシ樹脂、メラミン樹脂等の熱又は二液反応型硬化性樹
脂、電離放射線硬化性樹脂が使用できるが、耐摩耗性の
点で好ましくは熱又は二液反応型硬化性樹脂、電離放射
線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が望ましく、更に好ましく
は電離放射線硬化性樹脂が好適である。
【0038】電離放射線硬化性樹脂としては、具体的に
は、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリ
ロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ
基等のカチオン重合性官能基又はチオールを2個以上有
する単量体、プレポリマー、オリゴマー、及び/又はポ
リマーを適宜混合した組成物で、電離放射線により硬化
可能な組成物が使用される。尚、ここで、(メタ)アク
リロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル
基の意味で用いており、以下同様の意味で用いるものと
する。ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線
の中で分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有
するものを意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられ
る。
【0039】前記プレポリマー、オリゴマーの例として
は、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の
不飽和ポリエステル類、ポリエステル(メタ)アクリレ
ート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール
(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレー
ト、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)
アクリレート等の(メタ)アクリレート類、カチオン重
合型エポキシ化合物等が挙げられる。なお、ここで
「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタ
クリレートの意味で用いる。分子量としては、通常25
0〜10,000程度のものが用いられる。ラジカル重
合性不飽和基を有するポリマーとしては、上記プレポリ
マー、オリゴマーの重合度を10,000程度以上とし
たものが用いられる。
【0040】カチオン重合性官能基を有するプレポリマ
ーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビ
ニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエー
テル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
【0041】カチオン重合性官能基を有する単量体の例
としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリ
マーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体
の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコ
レート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレー
ト等がある。
【0042】ラジカル重合性不飽和基を有する単量体の
例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量
体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチル
ヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単
量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0044】電離放射線硬化性樹脂に用いられる単量体
の例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチ
レン系単量体、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メ
トキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸
ブチル、アクリル酸メトキシブチル、(メタ)アクリル
酸フェニル、(メタ)アクリル酸エチル、メタクリル酸
プロピル、(メタ)アクリル酸エトキシメチル、(メ
タ)アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステ
ル類、(メタ)アクリル酸−2−(N、N−ジエチルア
ミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−(N、N−ジ
メチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸−2−
(N、N−ジベンジルアミノ)エチル、(メタ)アクリ
ル酸(N、N−ジメチルアミノ)メチル、(メタ)アク
リル酸−2−(N、N−ジジエチルアミノ)プロピル等
の不飽和酸の置換アミノアルコールエステル類、(メ
タ)アクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリート、ジプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト等の多官能性化合物、及び/又は、分子中に2個以上
のチオール基を有するポリチオール化合物、例えば、ト
リメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチ
ロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリ
トールテトラチオグリコール等がある。
【0045】以上の化合物を必要に応じ1種もしくは2
種以上混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常
の塗工適性を付与するために、前記プレポリマー又はオ
リゴマーを5重量%以上、前記単量体及び/又はポリチ
オールを95重量%以下とすることが好ましい。
【0046】単量体の選定に際しては、硬化物の可撓性
が要求される場合は塗工適性上支障の無い範囲で単量体
の量を少なめにしたり、1官能又は2官能アクリレート
単量体を用い比較的低架橋密度の構造とする。又、硬化
物の耐熱性、硬度、耐溶剤性等を要求される場合には塗
工適性上支障の無い範囲で単量体の量を多めにしたり、
3官能以上のアクリレート系単量体を用い高架橋密度の
構造とするのが好ましい。1、2官能単量体と3官能以
上の単量体を混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整す
ることも出来る。
【0047】以上の様な1官能(メタ)アクリレート系
単量体としては、2−ヒドロキシ(メタ)アクリレー
ト、2−ヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエ
チル(メタ)アクリレート等が挙げられる。2官能(メ
タ)アクリレート系単量体としては、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオール
ジ(メタ)アクリレート等が、3官能以上の(メタ)ア
クリレート系単量体としてはトリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ
(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可
視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂
中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基
を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセト
フェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合
して用いることができる。また、カチオン重合性官能基
を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族
ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨード
ニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エ
ステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放
射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重
量部程度である。
【0049】本発明に使用される基材の材質としては、
紙、不織布又は織布、プラスチックシート、金属箔等の
シート状のもの、或いは金属板、木質板、プラスチック
板等の板状のもの等のいずれも使用できるが、柔軟性を
有するシート状のものが、製造工程において、巻取状態
で連続生産が可能であるので好ましい。通常、シート状
のものを使用する場合、シートの厚さは5〜200μm
が好ましい。また、基材の表面に凹凸を有するものや立
体形状を有するものも使用可能である。
【0050】基材として用いられる紙としては、薄葉
紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボ
ード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミ
ネートした所謂ビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、硫
酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和
紙等が挙げられる。また、不織布又は織布としては、ガ
ラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊
維、シリカ繊維、炭素繊維、等の無機繊維質、ポリエス
テル、ビニロン等の合成樹脂等の繊維からなる不織布又
は織布等がある。
【0051】基材として用いられるプラスチックシート
としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチル
ペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポ
リ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル
・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合
体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ビニロン等
のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリエチレン・ナフタレート・
イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリ
(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エ
チル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のアクリル系樹
脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、三
酢酸セルロース、セロハン等のセルロース系樹脂、ポリ
スチレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイ
ミド等の合成樹脂シート(又は、フィルム)の単体又積
層体が挙げられる。また、金属箔としては、アルミニウ
ム、鉄、銅、ステンレス等の金属箔若しくはシート;並
びに以上の各素材の複合体、等が挙げられる。
【0052】基材として用いられる板としては、木材単
体、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(M
DF)、木質繊維板等の木質板、鉄板、アルミニウム
板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工鋼板、銅
板等の金属板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、硅
酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリー
ト板、中空押出しセメント板等のセメント板、パルプセ
メント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セ
メント板、陶器、磁器、セッ器、土器、ガラス、ホウロ
ウ等のセラミック板、アクリル樹脂、ポリカーボネー
ト、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルア
セテート共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ
オレフィン、ABS樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル
樹脂、セルロース系樹脂、ゴム等の熱可塑性樹脂板が挙
げられる。
【0053】また、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂板、フェノール樹脂、尿
素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂
等の樹脂をガラス繊維不織布、布帛、紙、その他の各種
繊維質基材に含浸硬化して複合化した、所謂FRP等の
樹脂板が挙げられる。
【0054】更に、本発明に用いる基材としては、上記
各種基材の2種以上の基材を接着剤、又は、熱融着等の
公知の方法によって積層した複合基材を使用することも
できる。
【0055】基材には、片面に印刷等により絵柄層を形
成したりする事ができる。絵柄層としては、印刷による
印刷模様、エンボス加工によるエンボス模様、ヘアライ
ン加工による凹凸模様があり、更に、凹凸模様の凹部に
公知のワイピング加工法によって着色インキを充填して
絵柄層を形成することもできる。印刷絵柄層とては、木
目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、
記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。全
面ベタ印刷の隠蔽層は化粧シート(耐摩耗性化粧材)を
貼付する被着体の表面状態によって省略されることがあ
る。
【0056】絵柄印刷のインキとしては、基材の材質や
形態によって異なるが、一般的には、硝化綿、酢酸セル
ロース、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニル
ブチラール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステ
ル樹脂等を単独、又はこれらの2種以上の混合体をビヒ
クルとし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔
料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用され
る。
【0057】絵柄の印刷としては、グラビア印刷、凹版
印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シル
クスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通
常の印刷方式が使用できる。もしくは、別に離型性シー
ト上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得
られた転写シートからの転写印刷方式によって絵柄模様
を転写して設けてもよい。また、印刷模様の代りに、ア
ルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、
スパッタリング等によって、基材に、金属薄膜を全面又
は部分的に形成して絵柄層とすることもできる。
【0058】基材の表面には、上記のように、絵柄層を
形成した後、鱗片状アルミナ等の鱗片状のフィラー更に
必要に応じ不定形シリカ等の不定形のフィラーも含有し
た硬化性樹脂を用いて、公知のコーティング方法にて保
護層を形成する。上記特定の硬質フィラーを添加した硬
化性樹脂には、必要に応じて、熱可塑性樹脂、充填剤、
光重合開始剤、溶剤等を加えて塗工組成物を調製し、こ
の塗工組成物を用いて基材の表面に、直接コーティング
法、又は転写コーティング法にてコーティングする。一
般に、基材の材質として、塗工組成物が浸透しない材質
を使用した場合は、直接コーティング法、又は転写コー
ティング法のいずれを使用してもよいが、塗工組成物が
浸透する基材や表面に凹凸のある基材、又は、塗膜厚み
に均一性を出す必要がある場合や、保護層の耐摩耗性を
均一にする必要がある場合は、転写コーティング法の方
が望ましい。
【0059】直接コーティング(塗工)法としては、グ
ラビアロールコート、グラビアリバースロールコート、
グラビアオフセットコート、ロールコート、リバースロ
ールコート、キスコート、ディップコート、シルクスク
リーンコートによるベタコート、ワイヤーバーコート、
コンマコート、スプレーコート、フロートコート、かけ
流しコート、刷毛塗り等を用いることができる。その中
でも鱗片状のフィラーの平板面Fpを塗膜の表面と平行
乃至は略平行となる様に配向させて、鱗片状のフィラー
の突出を防ぐ上では、コーティング時に塗膜に剪断応力
がかかるコーティング方法が好ましい。この様なコーテ
ィング方法としては、グラビアロールコート、グラビア
リバースロールコート、ロールコート、リバースロール
コート、ワイヤーバーコート、コンマコートが好まし
い。
【0060】なお、電離放射線硬化性樹脂を硬化させる
電離放射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線
照射装置が用いられる。紫外線照射装置としては、例え
ば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボン
アーク灯、ブラックライトランプ、メタルハライドラン
プ等の光源が使用される。電子線照射装置としては、コ
ッククロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧
器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、
高周波型等の各種電子線加速器を用いられる。
【0061】そして、電子線を照射する場合、加速電圧
100〜1000keV、好ましくは100〜300k
eVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300k
Gy程度である。吸収線量が1kGy未満では、塗膜の
硬化が不十分となり、又、吸収線量が300kGyを超
えると硬化した塗膜及び基材が黄変したり、損傷したり
する。また、紫外線照射の場合、その照射量は50〜1
000mJ/cm2 の範囲が好ましい。紫外線照射量が
50mJ/cm2 未満では、塗膜の硬化が不十分とな
り、また、照射量が1000mJ/cm2 を超えると硬
化した塗膜が黄変したりする。電離放射線の照射方法と
して、先ず紫外線を照射して電離放射線硬化性樹脂を少
なくとも表面が指触乾燥する程度以上に硬化させ、而る
後に、電子線を照射して塗膜を完全に硬化させる方法も
ある。
【0062】本発明の耐摩耗性化粧材は、他の被着体
(又は裏打材)に積層することもできる。被着体として
は各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(或いはフ
ィルム)、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象と
なる。本発明の耐摩耗性化粧材は、各種被着体に積層
し、所定の成形加工等を施して、各種の用途に使用され
る。例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、浴室、洗
面所、厨房等で用いる住設機器、窓枠、扉、扉枠、手す
り等の建具の表面化粧、机、食卓、箪笥等の家具又は弱
電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車
等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用
できる。そのために、耐摩耗性化粧材が直接被着体に接
着できない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介し
て被着体に接着する。しかし、耐摩耗性化粧材が熱融着
等で被着体に接着可能な場合は、易接着層又は接着剤層
は省略してもよい。
【0063】被着体として、板材或いはシート(フィル
ム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、
木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MD
F)、木質繊維板等の木質材、鉄、アルミニウム等の金
属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステ
ル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS樹
脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹
脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。被着体として専ら板
材、或いは立体形状物品として用いられる素材として
は、ガラス、陶磁器等のセラミックス、ALC(発泡軽
量コンクリート)等のセメント、硅酸カルシウム、石膏
等の非セメント窯業系材料が挙げられる。被着体として
専らシート(或いはフィルム)として用いられる素材と
しては、上質紙、和紙等の紙、炭素、石綿、チタン酸カ
リウム、ガラス、合成樹脂等の繊維からなる不織布又は
織布等が挙げられる。
【0064】これら各種被着体への積層方法としては、
例えば、次の(1) 〜(5) の方法を挙げることができる。
即ち、(1) 接着剤層を間に介して板状基材に加圧ローラ
ーで加圧して積層する方法、(2) 特公昭50−1913
2号公報、特公昭43−27488号公報等に記載され
るように、化粧シートを射出成形の雌雄両金型間に挿入
して、両金型を閉じ、雄型のゲートから溶融樹脂を射出
充填した後、冷却して樹脂成形品の成形と同時にその表
面に化粧シートを接着積層する、いわゆる射出成形同時
ラミネート法、(3) 特公昭56−45768号公報、特
公昭60−58014号公報等に記載されるように、化
粧シートを成形品の表面に接着剤を介して対向なしいは
載置し、成形品側からの真空吸引による圧力差により化
粧シートを成形品表面に積層する、いわゆる真空プレス
積層方法等の真空成形同時ラミネート法、(4) 特公昭6
1−5895号公報、特公昭58−48348号公報等
に記載されるように、円柱、多角柱等の柱状基材の長軸
方向に、化粧シートを間に接着剤層を介して供給しつ
つ、多数の向きの異なるローラーにより、柱状体を構成
する複数の側面に順次化粧シートを加圧接着して積層し
てゆく、いわゆるラッピング加工方法、(5) 実公大15
−31122号公報、特開昭48−47972号公報等
に記載されるように、先ず化粧シートを板状基材に接着
剤層を介して積層し、次いで板状基材の化粧シートとは
反対側の面に、化粧シートと板状基材との界面に到達す
る、断面がV字状、又はU字状溝を切削し、次いで該溝
内に接着剤を塗布した上で、該溝を折り曲げ、箱体又は
柱状体を成形するいわゆる、Vカット又はUカット加工
方法等が挙げられる。
【0065】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明を更に詳細
に説明する。
【0066】(実施例1)先ず、基材として、アクリル
樹脂ラテックスを含浸した坪量60g/m2 の含浸紙1
1b((株)興人製「GF-601」)を用いて、グラビア印
刷によりベタ印刷と木目柄を印刷して、図6(a)に示
すように、含浸紙11bに着色不透明なベタ印刷層12
aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
尚、ベタ印刷用インキはアクリル樹脂と硝化綿を混合し
たバインダー樹脂に弁柄、カーボンブラック、チタン
白、黄鉛を主成分とする顔料を添加したインキ(ザ・イ
ンクテック(株)製)を用い、絵柄用インキは硝化綿と
アルキッド樹脂からなるバインダー樹脂に弁柄、カーボ
ンブラックを主成分とする顔料を添加したインキ(ザ・
インクテック(株)製)を用いた。
【0067】次いで、図6(b)に示すように、前記印
刷シート2の絵柄層12側に、電子線硬化性樹脂に鱗片
状アルミナ15aと不定形シリカ16a及び微粉末シリ
カ16bを添加した下記の塗工用樹脂組成物(A)を用
いて、グラビアリバース方式によりコーティングして、
未硬化の電子線硬化性樹脂14cからなる塗布量25g
/m2 の保護層13を形成した。
【0068】 塗工用樹脂組成物(A)の組成 ・エポキシアクリレート 38重量部 ・トリメチロールプロパントリアクリレート 38重量部 ・メタクリレート変性シリコーン 1重量部 ・微粉末シリカ(平均粒径0.1μm) 1重量部 ・不定形シリカ(平均粒径12μm) 8重量部 ・鱗片状アルミナ(平均粒径25μm) 14重量部
【0069】次に、図6(b)に示すように、上記未硬
化の電子線硬化性樹脂14cからなる保護層13の上
に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVに
て、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように
電子線18aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化
させて、表面に硬化した電子線硬化性樹脂14dからな
る保護層13を形成し、図6(c)に示すような耐摩耗
性化粧材1を作製した。得られた耐摩耗性化粧材1は、
電子線硬化性樹脂に添加した鱗片状アルミナ及び不定形
シリカが保護層13の表面に突出していないので、表面
は感触がソフトであり、耐摩耗性の優れたものとなっ
た。
【0070】(実施例2)基材として、厚さ100μm
の着色ポリエチレン系熱可塑性エラストマー樹脂シート
(タツノ化学(株)製「タフパー」)(以下着色POシ
ート11cという)を用いて、これにウレタン系インキ
(昭和インク工業(株)製)にてグラビア印刷し、図7
(a)に示すように、着色POシート11cに着色不透
明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シー
ト2を作製した。次いで、図7(b)に示すように、上
記印刷シート2の絵柄層12側に、実施例1と同様に、
塗工用樹脂組成物(A)をグラビアリバース方式により
コーティングして、塗布量25g/m2 の保護層13を
形成した。更に、実施例1と同様に、電子線18aを照
射して未硬化の電子線硬化性樹脂14cを硬化させて、
図7(c)に示すような耐摩耗性化粧シート1aを作製
した。次に、図7(d)に示すように、この耐摩耗性化
粧シート1aの着色POシート11c側に、ウレタン系
接着剤を塗布して接着剤層21を形成し、この接着剤層
21を介して、被着体22として厚さ200μmのAB
S樹脂板に積層し、図7(d)に示すような耐摩耗性化
粧材1を作製した。
【0071】(実施例3)実施例1と同様に、含浸紙1
1bに着色不透明なベタ印刷層12a及び絵柄層12を
形成して、図6(a)に示すような印刷シート2を作製
した。次いで、上記印刷シートの絵柄層側に、実施例1
とは組成を後述の如く変更した塗工用樹脂組成物をグラ
ビアリバース方式によりコーティングして、塗布量25
g/m2 の保護層を形成した。また、実施例1と同様
に、電子線を照射して未硬化の電子線硬化性樹脂を硬化
させ、耐摩耗性化粧材を作製した(図示略)。なお、こ
の実施例3で使用した上記塗工用樹脂組成物は、実施例
1で使用した塗工用樹脂組成物(A)に対して、フィラ
ーとして微粉末シリカ(平均粒径0.1μm)と不定形
シリカ(平均粒径12μm)の併用はせずに、鱗片状ア
ルミナ(平均粒径25μm)23重量部のみを用いた他
は同じ組成の組成物とした。
【0072】(比較例1)実施例1と同様に、含浸紙1
1bに着色不透明なベタ印刷層12a及び絵柄層12を
形成して、図8(a)に示すように、印刷シート2を作
製した。次に、上記印刷シート2の絵柄層12側の全面
に、図8(b)に示すように、グラビア印刷により二液
硬化型のウレタン系トップコート剤(ザ・インクテック
(株)製)を塗布して、厚さ3μmの未硬化のトップコ
ート層19aを形成した。更に、この未硬化のトップコ
ート層19aを形成した化粧材を60℃に3日間保管し
て、未硬化のトップコート層19aの塗膜を完全に硬化
させて、図8(c)に示すように、表面に硬化したトッ
プコート層19bを有する化粧材3を作製した。
【0073】(比較例2)実施例1と同様に、含浸紙1
1bに着色不透明なベタ印刷層12a及び絵柄層12を
形成して、図9(a)に示すように、印刷シート2を作
製した。次いで、図9(b)に示すように、前記印刷シ
ート2の絵柄層12側に、電子線硬化性樹脂に球状アル
ミナ20、不定形シリカ16a及び微粉末シリカ16b
を添加した下記の塗工用樹脂組成物(B)を用いて、グ
ラビアリバース方式によりコーティングして、未硬化の
電子線硬化性樹脂14cからなる塗布量25g/m2
保護層13を形成した。
【0074】 塗工用樹脂組成物(B)の組成 ・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 50重量部 ・トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート 20重量部 ・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部 ・球状α−アルミナ(平均粒径25μm) 20重量部 ・不定形シリカ(平均粒径1.8μm) 8重量部 ・微粉末シリカ(平均粒径0.1μm) 1重量部
【0075】次に、図9(b)に示すように、上記未硬
化の電子線硬化性樹脂14cからなる保護層13の上
に、実施例1と同様に、電子線18aを照射し、電子線
硬化性樹脂を完全に硬化させて、表面に硬化した電子線
硬化性樹脂14dからなる保護層13を形成し、図9
(c)に示すような耐摩耗性化粧材1を作製した。得ら
れた耐摩耗性化粧材は、添加した硬質の球状アルミナの
粒径が保護層の厚さよりも大きなものがあり、硬質の球
状アルミナが硬化した電子線硬化性樹脂からなる保護層
の上に突出しているので、耐摩耗性は優れていたが、表
面にザラツキが見られソフトな感触は得られなかった。
【0076】(耐摩耗性試験)実施例1〜3で作製した
耐摩耗性化粧材及び比較例1、2で作製した化粧材及び
耐摩耗性化粧材について、JIS K6902に準拠し
て耐摩耗性試験を行った。
【0077】(滑り性試験)実施例1〜3で作製した耐
摩耗性化粧材及び比較例1、2で作製した化粧材及び耐
摩耗性化粧材に対して、荷重300g/cm2 で綿布を
押し当てた状態で、10cmの距離を10往復擦り付け
て綿布の損傷具合を目視にて判定した。
【0078】耐摩耗性試験及び滑り性試験の結果を表1
に示す。表1の結果から分かるように、実施例1〜3で
作製した耐摩耗性化粧材はいずれも、鱗片状アルミナ、
更には不定形シリカ及び微粉末シリカも使用しない比較
例1の化粧材より耐摩耗性に優れていた。また、実施例
1、2で作製した耐摩耗性化粧材は、保護層の表面に鱗
片状アルミナ、不定形シリカ及び微粉末シリカが突出し
ていないので、表面のザラツキがなく、滑り性もよくソ
フトな感触が得られた。また、実施例3で作製した耐摩
耗性化粧材も、保護層の表面に鱗片状アルミナが突出し
ていないので、表面のザラツキがなく、滑り性もよくソ
フトな感触が得られた。これに対して、比較例2で作製
した耐摩耗性化粧材は、硬質の球状アルミナの直径が保
護層の膜厚より大きいものがあり、保護層の表面に突出
しているので、表面にザラツキが見られ、滑り性試験で
は綿布の損傷が激しかった。
【0079】
【表1】
【0080】
【発明の効果】(1) 本発明の耐摩耗性化粧材は、硬化性
樹脂の硬化物からなるバインダー樹脂よりも硬度が硬い
鱗片状のフィラーを保護層とする塗膜中に含有させる事
で、耐摩耗性を有すると共に、表面のザラツキがなくな
り、手触り感が非常にソフトになる。また、耐摩耗性化
粧材は、表面の滑り性がよくなり、化粧材が物体に直接
接触する場合でも、その物体を摩耗させたり、損傷する
ことがない。そのため、床材等のように高い耐摩耗性が
要求され、且つ接触する物体を損傷しないような分野で
使用することができる。 (2) 更に、鱗片状のフィラーに加えて、バインダー樹脂
より硬度が硬い不定形のフィラーも併用し、鱗片状のフ
ィラーが塗膜の中で横方向に配向して分布し、且つ鱗片
状のフィラーが塗膜の表面に突出しないように塗膜を形
成した構成とする事で、上記(1) の効果が確実に得ら
れ、また、耐摩耗性、塗工適性等を適宜調整し良好にす
る事ができる。 (3) 更に、鱗片状のフィラーに鱗片状アルミナを、不定
形のフィラーに不定形シリカを用いる事で、上記(1) の
効果が確実に得られる。また、コーティング適性を良く
する事ができ、鱗片状のフィラーが横方向に配─向し易
くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐摩耗性化粧材の一例を示した模式断
面図である。
【図2】本発明の耐摩耗性化粧材の別の態様で、基材に
紙等の含浸性基材を使用した場合、紙への塗工液の浸透
を防止するためにシーラー層を設けたときの模式断面図
である。
【図3】本発明の耐摩耗性化粧材を作製するときの説明
図である。
【図4】基材に紙を用いて耐摩耗性化粧材を作製すると
きの説明図である。
【図5】基材に紙を用いて耐摩耗性化粧材を作製する場
合、未硬化の電子線硬化性樹脂の流動状態を示した図で
ある。
【図6】実施例1により耐摩耗性化粧材を作製するとき
の説明図である。
【図7】実施例2により耐摩耗性化粧材を作製するとき
の説明図である。
【図8】比較例1により化粧材を作製するときの説明図
である。
【図9】比較例2により耐摩耗性化粧材を作製するとき
の説明図である。
【図10】鱗片状のフィラーの形状をその一例で示す斜
視図である。
【図11】不定形のフィラーの形状を例示する斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 耐摩耗性化粧材 1a 耐摩耗性化粧シート 2 印刷シート 3 化粧材 11 基材 11a 紙 11b 含浸紙 11c 着色POシート 12 絵柄層 12a ベタ印刷層 13 保護層 14 バインダー樹脂 14a 未硬化の電離放射線硬化性樹脂 14b 硬化した電離放射線硬化性樹脂 14c 未硬化の電子線硬化性樹脂 14d 硬化した電子線硬化性樹脂 15 鱗片状のフィラー 15a 鱗片状アルミナ 16 不定形のフィラー 16a 不定形シリカ 16b 微粉末シリカ 17 シーラー層 18 電離放射線 18a 電子線 19a 未硬化のトップコート層 19b 硬化したトップコート層 20 球状アルミナ 21 接着剤層 22 被着体 Fp 平板面 Fs 側面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平9−141692(JP,A) 特開 昭53−72043(JP,A) 特開 平5−9412(JP,A) 特開 平6−126921(JP,A) 特開 平6−182937(JP,A) 特開 平8−183147(JP,A) 特開 昭47−13640(JP,A) 特開 平10−52898(JP,A) 特公 昭50−34052(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 B05D 1/00 - 7/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の上に、硬質フィラーを含有するバ
    インダー樹脂からなる塗膜を形成した化粧材において、 前記硬質フィラーが、バインダー樹脂の硬度より硬い硬
    度を有する鱗片状のフィラー、及びバインダー樹脂の硬
    度より硬い硬度を有する不定形のフィラーからなり、前
    記バインダー樹脂が電離放射線硬化性樹脂による硬化性
    樹脂の硬化物からなり、前記鱗片状のフィラーが塗膜の
    中で横方向に配向して分布し、且つ鱗片状のフィラーが
    塗膜の表面に突出しないように塗膜を形成したことを特
    徴とするからなることを特徴とする耐摩耗性化粧材。
  2. 【請求項2】 前記鱗片状のフィラーが鱗片状アルミナ
    からなり、前記不定形のフィラーが不定形シリカからな
    ることを特徴とする請求項に記載の耐摩耗性化粧材。
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