JP4286995B2 - 化粧材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の床面、壁面、天井等の内装、家具並びに各種キャビネット等の表面装飾材料、建具の表面化粧、車両内装等に用いる表面化粧材として利用される化粧材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の壁、天井等の内装、家具、キャビネット等の表面装飾材として用いられる化粧シートは、その基材シートにポリ塩化ビニルシートが多く使用されている。
例えば、ポリ塩化ビニルシートに木目模様等を印刷し、これに透明なポリ塩化ビニルシートを積層したものや、更に、透明なポリ塩化ビニルシートにエンボス加工を施したものがある。
また、ポリ塩化ビニルシートに代わるものとして、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂シートを使用した化粧シートが提案されている(特開昭54ー62255号公報参照)。
【0003】
また、建築物の内装や家具、キャビネット等の装飾用の表面に使用される化粧シートとして、基材シートの片面に絵柄層又はベタ印刷層等の印刷インキ層を設け、このインキ層を保護するために、トップコート層として、熱硬化型のウレタン樹脂等を塗布し、熱乾燥、熱硬化させて熱硬化性樹脂層を形成する方法、又は電離放射線硬化性樹脂を塗布し、電離放射線を照射して塗膜を硬化して、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成する方法がある。
特に、架橋密度の高い電離放射線硬化性樹脂を用いて硬化した電離放射線硬化性樹脂層は、表面硬度、耐薬品性、耐汚染性等の物性に優れたものである。
【0004】
上記の如くバインダー樹脂として硬い樹脂を使用することで、確かに耐摩耗性は向上する。
従来から、建築物の内層や家具、キャビネット等の装飾用の材料として、メラミン化粧板、ダップ化粧板、ポリエステル化粧板、プリント合板、塩化ビニル化粧板等の各種化粧材が用いられている。
メラミン化粧板等のように硬質の基材を用いた化粧材の場合は、表面樹脂層の柔軟性はあまり問題にならないので、耐摩耗性を改良する方法として、表面に硬い樹脂を使用することは有効な手段である。
しかし、基材として、厚みの薄い紙やプラスチックシートのような柔軟性を有する基材を使用する場合は、樹脂の架橋密度を高くすると樹脂層の柔軟性が損なわれて、表面樹脂層が衝撃によって割れたり、亀裂が発生し易くなる等の問題が生じる。
従って、表面樹脂の架橋密度を上げて、耐摩耗性を改良しようとしても、柔軟性を要求される場合は限界があった。
【0005】
そのため、樹脂層の柔軟性を低下させずに耐摩耗性を改良する方法として、樹脂層に無機材料を添加する方法が、従来から行われている。
例えば、特開昭60ー23642号公報には、サンドブラスト法やブラシ研磨法等の研磨剤として使用されている平均粒径が1〜50μmのシリカ(SiO2 )及びアルミナ(Al23 )を主成分とする天然ガラスの粉末を配合した塗料を用いて、表面保護層を形成することが開示されている。
上記塗料によって形成された表面保護層は、従来品に比べて、硬度が硬く、且つ柔軟性を有し、耐摩耗性や耐擦傷性に優れた物性を示した。
【0006】
また、転写シートの場合は、転写後の被転写体の表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる目的で、表面保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂に、平均粒径1〜50μmのアルミナ粉末を、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して10〜30重量部添加し、このアルミナを含有する電離放射線硬化性樹脂を用いて転写シートの保護層を形成することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ポリ塩化ビニル製のシートを用いた化粧シートは、廃棄されて焼却された場合、塩酸ガスやダイオキシンの発生の恐れがあると言われているため、使用後の廃棄処理に問題がある。
また、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に紫外線吸収剤を添加したシートを使用した化粧シートは、耐候性が不十分であると共に、紫外線吸収剤がブリードアウトして後加工のトラブルの原因となることが多い。
更に、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに電離放射線硬化性樹脂層を積層した化粧シートは、基材シートと電離放射線硬化性樹脂層の接着強度が弱く後加工のトラブルの原因となる。
【0008】
また、化粧シートを木質基材等に積層した化粧材を折り曲げ加工する際に、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等が生じることがある。
特に、寒冷地でVカット加工(化粧シートを積層した化粧材を折り曲げ加工をする際に、化粧材にV字状の溝を形成して折り曲げ加工を行うこと、以下単にVカット加工という)等の折り曲げ加工を行う際に、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等の問題が生じ易くなる。
【0009】
また、上記アルミナや天然ガラスの粉末等の無機フィラーを添加した塗料を用いて化粧材の保護層を形成した場合、無機フィラーを添加しないものより化粧材の耐摩耗性は向上するが、無機フィラーの添加により、保護層の表面に無機フィラーが突出して、表面にザラツキが生じ、感触を重視するものには利用できなった。
特に、床材に使用したとき、履物等のように、この化粧材に直接接触する場合は、その物体を摩耗させたり、損傷させるという問題もあった。
【0010】
本発明は、従来の化粧シートのもつ問題点を解消することを目的として鋭意研究した結果、基材の上に、絵柄層、中間層、表面保護層を形成した化粧材において、中間層に飽和ポリエステル樹脂からなる高弾性樹脂層を設けることにより、折り曲げ加工適性に優れており、且つ耐摩耗性にも優れた化粧材が得られることを見い出し、本発明に到った。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、化粧材の構成を以下のようにした。基材の上に、絵柄層、中間層及び架橋型樹脂からなる表面保護層を積層した化粧材において、前記中間層の少なくとも一層が、架橋型樹脂からなる高弾性樹脂の飽和共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする化粧材とした。また、前記高弾性樹脂が、架橋前の平均分子量が5000〜50000であり、且つガラス転移点が40℃以下であることを特徴とする化粧材とした。そして、前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂からなることを特徴とする化粧材とした。また、前記中間層、表面保護層のいずれか、又はその両方に無機質フィラーを含有していることを特徴とする化粧材とした。また、前記飽和共重合ポリエステル樹脂は、引張伸度(ASTM D638による引張伸度)が500〜5000の樹脂であることを特徴とする化粧材とした。更に、前記化粧材を接着剤を用いて被着体にラミネート加工又はラッピング加工したことを特徴とする化粧材とし、また、前記被着体にラミネート加工又はラッピング加工した化粧材に折り曲げ加工を施したことを特徴とする化粧材とした。
【0012】
即ち、本発明の化粧材は、基材の上に、絵柄層、中間層、及び電離放射線硬化性樹脂からなる表面保護層を形成した化粧材において、中間層に架橋前の平均分子量が5000〜50000で、且つガラス転移点が40℃以下である架橋型樹脂からなる高弾性樹脂を用いることにより、折り曲げ加工等の曲げ加工適性を向上させたものである。
また、表面保護層の耐摩耗性を向上させるために、電離放射線硬化性樹脂に硬質の無機質フィラーを添加して表面保護層を形成したものである。
更に、前記化粧材(化粧シート)を接着剤を用いて木質板等の被着体にラミネート加工又はラッピング加工を行った化粧材を作製し、又はその化粧材に折り曲げ加工を施したものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の化粧材の一例を示した模式断面図である。
図2は本発明の化粧材の別の態様で、表面保護層に無機質フィラーを添加したときの模式断面図である。
図3は本発明の化粧材の更に別の態様で、化粧シートを被着体に積層して化粧材としたときの模式断面図である。
図4は本発明の化粧材を作製するときの説明図である。
図5は表面保護層に無機質フィラーを含有する化粧材を作製するときの説明図である。
図6は実施例1により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図7は実施例2により本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図8は比較例1により化粧シートを作製するときの説明図である。
図9は比較例2により作製した化粧シートの模式断面図である。
図10は比較例3により作製した化粧シートの模式断面図である。
【0014】
本発明の化粧材は、図1に示すように、基本的には、基材11の上に、絵柄層12を形成した後、その上に中間層として架橋型樹脂からなる高弾性樹脂層13を設け、更にその上に表面保護層14として硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成して、曲げ加工適性に優れた化粧材1としたものである。
また、図2に示すように、表面保護層に無機質フィラー15を添加して耐摩耗性に優れた表面保護層を形成して、曲げ加工適性に優れ、且つ耐摩耗性にも優れた化粧材1としたものである。
更に、図3に示すように、基材11としてプラスチックシート(又はフィルム)又は紙等のフレキシブルな基材を用いて前記曲げ加工適性に優れた化粧シートを作製し、その化粧シートを木質板やプラスチック板等の被着体17に接着剤層16を介して積層して曲げ加工適性に優れた化粧材1としたものである。
【0015】
以上のように、基材11の上に高弾性樹脂層13を形成した後に表面樹脂層14を形成することにより、化粧材をVカット加工等の折り曲げ加工を行う際に、従来の化粧材に比較して、折り曲げ部に生じる白化、亀裂、破断等の問題が非常に少なくなった。
前記高弾性樹脂層13は化粧材の中間層、即ち基材11の上側で表面保護層14の下側であれば、一層に限らず、二層又は多層設けてもよい。
例えば、基材/高弾性樹脂層/ベタ印刷層/絵柄層/高弾性樹脂層/表面保護層の順に各層を形成して化粧材とする場合もある。
【0016】
以下に、本発明の化粧材の製造方法について説明する。
先ず、図4(a)に示すように、基材11として、含浸紙やプラスチックシートを用いて、この基材11に、グラビア印刷等により着色不透明なベタ印刷層12a及び絵柄層12を印刷して、印刷シート2を作製する。
次に、図4(b)に示すように、前記ベタ印刷層12a及び絵柄層12を設けた印刷シート2の絵柄層12側に、高弾性樹脂として飽和共重合ポリエステル樹脂(架橋前の分子量が5000〜50000のもの)を用いて、グラビア印刷等により高弾性樹脂層13を形成する。
高弾性樹脂層13の厚さは乾物として1〜50μmの範囲で形成されるが、好ましくは5〜20μmである。
高弾性樹脂層13の厚さが5μm未満では高弾性樹脂層の効果が十分発揮されず、化粧材を曲げ加工する際に、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等が生じる。
また、高弾性樹脂層13の厚さが20μmを超える場合は、20μm以下で高弾性樹脂層の効果が十分発揮されるので、これ以上厚くしてもコスト的に不利となる。
【0017】
本発明に用いる高弾性樹脂としては、引張伸度(ASTM D638による引張伸度)が500〜5000の樹脂であれば使用できる。
従来、プライマー層等の中間層に用いていた樹脂より引張伸度の高い樹脂を使用することにより、化粧材を折り曲げ加工する際に、折り曲げ部の白化、亀裂、破断等を防止することができる。
これらの高弾性樹脂としては、飽和共重合ポリエステル樹脂で、架橋前の分子量が5000〜50000のものが好適である。
この飽和共重合ポリエステル樹脂は架橋後の引張伸度が1000〜3000であり、従来のポリエステル樹脂の引張伸度100〜300よりかなり高い値を示しており、本発明には好適な樹脂である。
飽和共重合ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分やジオール成分からからなる共重合体で、熱により硬化する架橋型の樹脂である。
この他にも、ウレタンエラストマー等の高弾性樹脂が使用できる。
【0018】
次に、図4(c)に示すように、前記高弾性樹脂層13の上に、電離放射線硬化性樹脂をグラビアロールコート法等によりコーティングして未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを形成する。
更に、この未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aの上から電子線や紫外線等の電離放射線18を照射して未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを硬化させて、図4(d)に示すように、硬化した電離放射線硬化性樹脂14bを有する化粧材1を作製する。
得られた化粧材1は曲げ加工適性に優れていると共に、硬化した電離放射線硬化性樹脂14bには無機質フィラーが添加されていないので、表面は平滑性に優れた化粧材となる。
【0019】
また、表面保護層の耐摩耗性を更に向上させるために、電離放射線硬化性樹脂に粒径1〜100μのシリカ、αアルミナ等の無機質フィラーを添加して表面保護層を形成し、図2に示すように、無機質フィラー15含有する表面保護層14を形成して耐摩耗性に優れた化粧シート1とする場合がある。
無機質フィラーを添加して化粧材を作製する場合は以下のように作製される。
即ち、前述と同様に、図5(a)に示すように、基材11に着色不透明なベタ印刷層12a及び絵柄層12を印刷して印刷シート2を作製し、その印刷シート2の上に、図5(b)に示すように、高弾性樹脂層13を形成する。
【0020】
次に、図5(c)に示すように、前記高弾性樹脂層13の上に、無機質フィラーを添加した電離放射線硬化性樹脂をグラビアロールコート法等によりコーティングして無機質フィラー15を含有する未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを形成する。
次いで、この未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aの上から電子線や紫外線等の電離放射線18を照射して未硬化の電離放射線硬化性樹脂層14aを硬化させて、図5(d)に示すように、無機質フィラー15を含有する硬化した電離放射線硬化性樹脂層14bを設けた化粧材1を作製する。
得られた化粧材1は曲げ加工適性に優れていると共に、硬化した電離放射線硬化性樹脂14bには無機質フィラー15が添加されているので、表面は耐摩耗性に優れた化粧材となる。
【0021】
上記のように、電離放射線硬化性樹脂に無機質フィラーを添加して表面保護層を形成する場合、電離放射線としては透過力の大きい電子線を使用する方が一般的である。
紫外線を用いた場合、無機質フィラーの粒子が大きくなると紫外線の透過が妨げられて紫外線硬化性樹脂への照射量が少なくなり、紫外線硬化性樹脂の硬化が不十分となる。
また、紫外線硬化性樹脂を十分に硬化させるためには、紫外線の照射時間が長くなり過ぎて生産能率が低下し、実用上大きな問題となる。
【0022】
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した組成物で、電離放射線により硬化可能なものが用いられる。
尚、ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線の中で、分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられる。
【0023】
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオールを2個以上有する単量体、プレポリマー、オリゴマーからなるものである。
これら、単量体、又はプレポリマーは単体で用いるか、又は数種類混合して用いる。
尚、ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いており、以下(メタ)は同様の意味で用いるものとする。
【0024】
前記プレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート類、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
分子量としては、通常250〜10,000程度のものが用いられる。ラジカル重合性不飽和基を有するポリマーとしては、上記ポリマーの重合度を10,000程度以上としたものが用いられる。
【0025】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂のプレポリマーが挙げられる。
【0026】
カチオン重合性官能基を有する単量体の例としては、上記カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの単量体が利用できる。チオール基を有する単量体の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0027】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。分子量としては、250〜100,000程度のものが用いられる。
【0028】
ラジカル重合性不飽和基を有する単官能単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0031】
上記電離放射線硬化性樹脂に、必要に応じて各種添加剤を添加する場合がある。これらの添加剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、染料、顔料等の着色剤等がある。
【0032】
電離放射線硬化性樹脂のコーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ディップコート、シルクスクリーンコートによるベタコート、ワイヤーバーコート、コンマコート、スプレーコート、フロートコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。その中でもグラビアコートが好ましい。
【0033】
電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線照射装置が用いられる。
紫外線照射装置としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては、通常、190〜380nmの波長領域が主として用いられる。
電子線照射装置としては、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が用いられる。
【0034】
そして、電子線を照射する場合、加速電圧100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300kGy(キログレイ)程度である。吸収線量が1kGy未満では、塗膜の硬化が不十分となり、又、照射量が300kGyを超えると硬化した塗膜及び基材が黄変したり、損傷したりする。
また、紫外線照射の場合、その照射量は50〜1000mJ/cm2 の範囲 が好ましい。
紫外線照射量が50mJ/cm2 未満では、塗膜の硬化が不十分となり、また、照射量が1000mJ/cm2 を超えると硬化した塗膜が黄変したりする。
また、電離放射線の照射方法として、先ず紫外線を照射して電離放射線硬化性樹脂を少なくとも表面が指触乾燥する程度以上に硬化させ、而る後に、電子線を照射して塗膜を完全に硬化させる方法もある。
【0035】
本発明に使用される基材の材質としては、紙、プラスチック、金属箔、板等が用いられる。
例えば、紙、プラスチックシート、不織布等のシート状のもの、或いは金属板、木質板、プラスチック板等の板状のもの等のいずれも使用できるが、柔軟性を有するシート状のものが、製造工程において、巻取状態で連続生産が可能であるので好ましい。通常、シート状のものを使用する場合、シートの厚さは5〜200μmが好ましい。
また、基材の表面に凹凸を有するものや立体形状を有するものも使用可能である。
【0036】
基材として用いられる紙としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミネートした所謂ビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、和紙等が挙げられる。
また、紙類似シートとしては、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維、等の無機繊維質、ポリエステル、ビニロン等の合成樹脂等の繊維からなる不織布又は織布等がある。
【0037】
基材として用いられるプラスチックシートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ビニロン等のビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート・イソフタレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド樹脂、三酢酸セルロース、セロハン等のセルロース系樹脂、ポリスチ、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド等の合成樹脂シート、又は、フィルムの単体又積層体が挙げられる。
また、金属箔としては、アルミニウム、鉄、銅、ステンレス等の金属箔若しくはシート;並びに以上の各素材の複合体、等が挙げられる。
【0038】
基材として用いられる板としては、木板単体、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木材板、木質繊維板等の木質板、鉄板、アルミニウム板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工鋼板、銅板等の金属板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、硅酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出しセマメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁気、石器、土器、ガラス、ホウロウ等のセラミック板、アクリル、ポリカーボネート、エチレンー酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオレフィン、ABS、フェノール樹脂塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の熱可塑性樹脂板が挙げられる。
【0039】
また、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂をガラス繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化した、所謂FRP等の樹脂板が挙げられる。更に、本発明に用いる基材としては、上記各種基材の2種以上の基材を接着剤、又は、熱融着等の公知の方法によって積層した複合基材を使用することもできる。
【0040】
基材には、片面に印刷等により絵柄層が形成される。
絵柄層としては、印刷による印刷模様、エンボス加工によるエンボス模様、ヘアライン加工による凹凸模様があり、更に、凹凸模様の凹部に公知のワイピング加工法によって着色インキを充填して絵柄層を形成することもできる。
印刷絵柄層とては、木目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。
全面ベタ印刷の隠蔽層は化粧シートを貼付する被着体の表面状態によって省略されることがある。
【0041】
絵柄印刷のインキとしては、基材の材質や形態によって異なるが、一般的には、硝化綿、酢酸セルロース、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の単独重合体、又は他のモノマーとの重合体をビヒクルとし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用される。
【0042】
絵柄の印刷としては、グラビア印刷、凹版印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通常の印刷方式が使用できる。
もしくは、別に離型性シート上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得られた転写シートからの転写印刷方式によって模様印刷を転写して設けてもよい。
また、印刷模様の代りに、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、スパッタリング等によって、基材に、金属薄膜を全面又は部分的に形成して絵柄層とすることもできる。
【0043】
本発明の化粧材が化粧シートの場合は、各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いることができる。
例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用できる。
そのために、化粧シートが直接素材等に接着できない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介して被着体に接着する。
しかし、化粧シートが熱融着等で被着体に接着可能な場合は、易接着層又は接着剤層は省略してもよい。
【0044】
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材、シート(或いはフィルム)、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象となる。
例えば、射出成形品等の曲面を有する成形品に対しても、本発明の化粧シートを接着することができる。
【0045】
被着体として立体形状物、板材或いはシート(フィルム)のいずれにも用いられる素材としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質繊維板等の木質材、鉄、アルミニウム等の金属、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレンビニルアセテート、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリオレフィン樹脂、ABS、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル、セルロース系樹脂、ゴム等の樹脂が挙げられる。
【0046】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
先ず、基材として、厚さ30μmの建材用薄葉紙(三興製紙(株)製「FLEX30」)を用いて、グラビア印刷によりベタ印刷と木目柄を印刷して、図6(a)に示すように、薄葉紙11aに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
尚、ベタ印刷用インキはアクリル樹脂と硝化綿をブレンドしたバインダ樹脂に弁柄、カーボンブラック、チタン白、黄鉛を主成分とする顔料を添加したインキ(ザ・インクテック(株)製)を用い、絵柄用インキは硝化綿とアルキッド樹脂からなるバインダ樹脂に弁柄、カーボンブラックを主成分とする顔料を添加したインキ(ザ・インクテック(株)製)を用いた。
次いで、図6(b)に示すように、前記印刷シート2の絵柄層12側に、下記の高弾性樹脂塗工液(A)を用いて、乾燥後の厚さが10μmになるように、グラビアコートにて高弾性樹脂層13を形成した。
【0047】
高弾性樹脂塗工液(A)の組成
・飽和共重合ポリエステル樹脂(分子量30000) 20重量部
(ユニチカ(株)製「エリーテル」)
・溶剤 80重量部
(メチルエチルケトン50:酢酸エチル50の混合溶剤)
【0048】
次に、図6(c)に示すように、前記高弾性樹脂層13の上に、電子線硬化性樹脂に不定形シリカ15bを添加した下記の電子線硬化性樹脂塗工液(A)を用いて、グラビアリバース方式によりコーティングして、塗布量10g/m2 の未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成した。
【0049】
電子線硬化性樹脂塗工液(A)の組成
・エポキシアクリレートオリゴマー 40重量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA) 50重量部
・シリコーンアクリレート 1重量部
・不定形シリカ(平均粒径5μ) 10重量部
以下、トリメチロールプロパントリアクリレートはTMPTAと略記する。
【0050】
次に、図6(c)に示すように、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14cの上に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が30kGy(キログレイ)になるように電子線18aを照射し、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させて、表面に硬化した電子線硬化性樹脂層14dを形成し、図6(d)に示すような化粧材シート1aを作製した。
【0051】
(実施例2)
基材11として、アクリル樹脂ラテックスを含浸した坪量60g/m2 の含浸紙((株)興人製「GF-606」)を用いて、グラビア印刷によりベタ印刷と木目柄を印刷して、図7(a)に示すように、含浸紙11bに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
尚、ベタ印刷用インキはアクリル樹脂と硝化綿をブレンドしたバインダ樹脂に弁柄、カーボンブラック、チタン白、黄鉛を主成分とする顔料を添加したインキ(ザ・インクテック(株)製)を用い、絵柄用インキは硝化綿とアルキッド樹脂からなるバインダ樹脂に弁柄、カーボンブラックを主成分とする顔料を添加したインキ(ザ・インクテック(株)製)を用いた。
次いで、図7(b)に示すように、前記印刷シート2の絵柄層12側に、下記の高弾性樹脂塗工液(B)を用いて、乾燥後の厚さが10μmになるように、グラビアコートにて高弾性樹脂層13を形成した。
【0052】
高弾性樹脂塗工液(B)の組成
・飽和共重合ポリエステル樹脂(分子量10000) 30重量部
(ユニチカ(株)製「エリーテル」)
・硬化剤(ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)) 5重量部
・溶剤 65重量部
(メチルエチルケトン50:酢酸エチル50の混合溶剤)
以下、ヘキサメチレンジイソシアネートはHMDIと略記する。
【0053】
次に、図7(c)に示すように、前記高弾性樹脂層13の上に、電子線硬化性樹脂に球状アルミナ15aを添加した下記の電子線硬化性樹脂塗工液(B)を用いて、グラビアリバース方式によりコーティングして、塗布量10g/m2 の未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成した。
【0054】
電子線硬化性樹脂塗工液(B)の組成
・エポキシアクリレートオリゴマー 35重量部
・TMPTA 45重量部
・シリコーンアクリレート 1重量部
・球状アルミナ(平均粒径10μ) 20重量部
【0055】
次に、図7(c)に示すように、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14cの上に、電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が30kGy(キログレイ)になるように電子線18aを照射し、更に、40℃で24時間養生して、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させて、表面に硬化した電子線硬化性樹脂層14dを形成し、図7(d)に示すような化粧材シート1aを作製した。
【0056】
(実施例3)
基材として、実施例1と同様に、厚さ30μmの建材用薄葉紙を用いて、図6(a)に示すように、薄葉紙11aに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
次いで、図6(b)に示すように、前記印刷シート2の絵柄層12側に、下記の高弾性樹脂塗工液(C)を用いて、乾燥後の厚さが10μmになるように、グラビアコートにて高弾性樹脂層13を形成した。
【0057】
高弾性樹脂塗工液(C)の組成
・飽和共重合ポリエステル樹脂(分子量20000) 30重量部
(ユニチカ(株)製「エリーテル」)
・溶剤 70重量部
(メチルエチルケトン50:酢酸エチル50の混合溶剤)
【0058】
次に、前記高弾性樹脂層13の上に、実施例1と同様に、電子線硬化性樹脂に不定形シリカ16を添加した電子線硬化性樹脂塗工液(A)を用いて、未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成し、更に、実施例1と同様に、電子線を照射して、図6(c)に示すような化粧シート1aを作製した。
【0059】
(実施例4)
基材として、実施例2と同様に、坪量60g/m2 の含浸紙を用いて、図7(a)に示すように、含浸紙11bに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
次いで、図7(b)に示すように、前記印刷シート2の絵柄層12側に、下記の高弾性樹脂塗工液(D)を用いて、乾燥後の厚さが10μmになるように、グラビアコートにて高弾性樹脂層13を形成した。
【0060】
高弾性樹脂塗工液(D)の組成
・飽和共重合ポリエステル樹脂(分子量5000) 30重量部
(ユニチカ(株)製「エリーテル」)
・硬化剤(HMDI) 5重量部
・溶剤 65重量部
(メチルエチルケトン50:酢酸エチル50の混合溶剤)
【0061】
次に、前記高弾性樹脂層13の上に、実施例2と同様に、電子線硬化性樹脂塗工液(B)を用いて、グラビアリバース方式によりコーティングして、塗布量10g/m2 の未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成した。
次いで、実施例2と同様に、上記未硬化の電子線硬化性樹脂層14cの上に、電子線18aを照射した後、更に、40℃で24時間養生して、電子線硬化性樹脂を完全に硬化させて、表面に硬化した電子線硬化性樹脂層14dを形成して、図7(d)に示すような化粧材シート1aを作製した。
【0062】
比較例として、高弾性樹脂層を設けない化粧シートを以下のように作製した。
(比較例1)
基材として、実施例1と同様に、厚さ30μmの薄葉紙を用いて、図8(a)に示すように、薄葉紙11aに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
次に、図8(b)に示すように、前記印刷シート2の絵柄層12側に、実施例1で用いた電子線硬化性樹脂塗工液(A)を用いて、厚さ20μmの未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成し、更に、実施例1と同様に、電子線を照射して未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを硬化して、図8(c)に示すように、不定形シリカ14aを含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14dを有する化粧シート1aを作製した。
【0063】
(比較例2)
基材として、実施例2と同様に、坪量60g/m2 の含浸紙を用いて、図7(a)に示すように、含浸紙11bに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
次に、前記印刷シート2の絵柄層12側に、実施例2で用いた電子線硬化性樹脂塗工液(B)を用いて、厚さ20μmの未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成し、更に、実施例2と同様に、電子線を照射して未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを硬化して、図9に示すように、球状アルミナ15bを含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14dを有する化粧シート1aを作製した。
【0064】
(比較例3)
基材として、実施例2と同様に、坪量60g/m2 の含浸紙を用いて、図7(a)に示すように、含浸紙11bに着色不透明なベタ印刷層12aと絵柄層12を形成して印刷シート2を作製した。
次に、前記印刷シート2の絵柄層12側に、電子線硬化性樹脂に球状アルミナと不定形シリカを添加した下記の電子線硬化性樹脂塗工液(C)を用いて、厚さ20μmの未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを形成し、更に、実施例2と同様に、電子線を照射して未硬化の電子線硬化性樹脂層14cを硬化して、図10に示すように、不定形シリカ15aと球状アルミナ15bを含有する硬化した電子線硬化性樹脂層14dを有する化粧シート1aを作製した。
【0065】
電子線硬化性樹脂塗工液(C)の組成
・エポキシアクリレートオリゴマー 30重量部
・TMPTA 40重量部
・シリコーンアクリレート 1重量部
・球状アルミナ(平均粒径10μ) 20重量部
・不定形シリカ(平均粒径5μ) 10重量部
【0066】
実施例1、2、3、4及び比較例1、2、3で作製した化粧シートについて、耐摩耗性、表面平滑性、加工適性を評価した。
(耐摩耗性試験)
各試料について、JIS K6902に準拠して耐摩耗性試験を行った。
(表面平滑性試験)
各試料について、表面の平滑性を目視及び触指にて判定し、良好なものを○、表面にザラツキのあるものを×とした。
(加工適性試験)
各化粧シートを厚さ25mmのパーチクルボードに尿素樹脂の接着剤を用いてラミネート加工を行い、その後化粧シートをラミネートしたパーチクルボードをR3のダイレクトポストフォーム加工を行って、加工適性を判定した。
【0067】
耐摩耗性試験、表面平滑性試験、及び加工適性試験の結果を表1に示す。
表1の結果から分かるように、実施例1、2、3、4で作製した化粧材シートはいずれも、表面保護層が同じ構成で、高弾性樹脂層を設けない比較例より耐摩耗性、表面平滑性、加工適性ともに優れていた。
これに対して、比較例1、2、3で作製した化粧シートは、ダイレクトポストフォーム加工時にクラックが発生して加工適性が劣っていた。
また、比較例1では表面保護層に球状アルミナが含有しないために、耐摩耗性が劣っていたが、実施例1では、表面保護層は比較例1と同じ構成であるにもかかわらず、高弾性樹脂層を設けることにより、耐摩耗性が向上していた。
更に、耐摩耗性を向上させるために、表面保護層に球状アルミナを添加した比較例1及び2においては、表面平滑性はザラツキがあり良好でなかったが、実施例2及び4においては表面保護層に球状アルミナを添加しても、表面平滑性は良好であった。
【0068】
【表1】
Figure 0004286995
【0069】
【発明の効果】
本発明の化粧材は、化粧シートの中間層に高弾性樹脂層を設けているので、この化粧シートを木質基材等に積層して化粧材とした場合でも、折り曲げ加工する際に、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等が生じることがない。
特に、寒冷地ではVカット加工(化粧シートを積層した化粧材を折り曲げ加工をする際に、化粧材にV字状の溝を形成して折り曲げ加工を行うこと)等の折り曲げ加工を行う際に、折り曲げ部に白化、亀裂、破断等の問題が生じ易くなるが、本発明の化粧材は、寒冷地においても加工適性が良好である。
また、耐摩耗性を向上させるために、表面保護層に球状アルミナや不定形シリカ等の無機フィラーを添加した場合でも、高弾性樹脂層を設けることにより、表面の平滑性がよくなり、表面物性が改善された。
従って、従来、無機質フィラーの添加により、表面のザラツキが生じ、感触を重視するものには利用できなった分野でも、本発明の化粧材は利用することができる。
更に、表面保護層が硬化した電離放射線硬化性樹脂で形成されているので、耐候性に優れ、長期間紫外線に曝露されても白化等の変色することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の一例を示した模式断面図である。
【図2】本発明の化粧材の別の態様で、表面保護層に無機質フィラーを添加したときの模式断面図である。
【図3】本発明の化粧材の更に別の態様で、化粧シートを被着体に積層して化粧材としたときの模式断面図である。
【図4】本発明の化粧材を作製するときの説明図である。
【図5】表面保護層に無機質フィラーを含有する化粧材を作製するときの説明図である。
【図6】実施例1により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図7】実施例2により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図8】比較例1により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図9】比較例2により作製した化粧シートの模式断面図である。
【図10】比較例3により作製した化粧シートの模式断面図である。
【符号の説明】
1 化粧材
1a 化粧シート
2 印刷シート
11 基材
11a 薄葉紙
11b 含浸紙
12 絵柄層
12a ベタ印刷層
13 高弾性樹脂層
14 表面保護層
14a 未硬化の電離放射線硬化性樹脂層
14b 硬化した電離放射線硬化性樹脂層
14c 未硬化の電子線硬化性樹脂層
14d 硬化した電子線硬化性樹脂層
15 無機質フィラー
15a 不定形シリカ
15b 球状アルミナ
16 接着剤層
17 被着体
18 電離放射線
18a 電子線

Claims (6)

  1. 基材の上に、絵柄層、中間層及び架橋型樹脂からなる表面保護層を積層した化粧材において、前記中間層の少なくとも一層が、架橋型樹脂からなる高弾性樹脂の飽和共重合ポリエステル樹脂であることを特徴とする化粧材。
  2. 前記高弾性樹脂が、架橋前の平均分子量が5000〜50000であり、且つガラス転移点が40℃以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧材。
  3. 前記表面保護層が電離放射線硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の化粧材。
  4. 前記中間層、表面保護層のいずれか、又はその両方に無機質フィラーを含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の化粧材。
  5. 前記飽和共重合ポリエステル樹脂は、引張伸度(ASTM D638による引張伸度)が500〜5000の樹脂であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の化粧材。
  6. 前記化粧材を接着剤を用いて被着体にラミネート加工又はラッピング加工したことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の化粧材
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