JP4390942B2 - 化粧シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物の床面、壁面、天井等の内装、家具並びに各種キャビネット等の表面装飾材料、建具の表面化粧等に用いる表面化粧として利用させれる化粧シート及びその化粧シートを用いた化粧材に関するもので、特に木質板等の耐擦傷性、耐摩耗性、耐陥没性、耐熱性が要求される用途に使用される化粧シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建築物の内装や家具、キャビネット等の装飾用の表面に使用される化粧シートとして、基材シートの片面に絵柄層又はベタ印刷層等の印刷インキ層を設け、このインキ層を保護するために、トップコート層として、熱硬化型のウレタン樹脂、メラミン樹脂等を塗布し、熱乾燥、熱硬化させて熱硬化性樹脂層を形成する方法、又は電離放射線硬化性樹脂を塗布し、電離放射線を照射して塗膜を硬化して、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成する方法がある。
特に、架橋密度の高い電離放射線硬化性樹脂を用いて硬化した電離放射線硬化性樹脂層は、表面硬度、耐薬品性、耐汚染性等の物性に優れたものである。
【0003】
上記の如く表面保護層として硬い樹脂を使用することで、確かに耐摩耗性は向上する。
そのため、メラミン化粧板等のように硬質の基材を用いた化粧材の場合は、表面樹脂層の柔軟性はあまり問題にならないので、耐摩耗性を改良する方法として、表面に硬い樹脂を使用することは有効な手段である。
しかし、基材として、厚みの薄い紙やプラスチックシートのような柔軟性を有する基材を使用する場合は、樹脂の架橋密度を高くすると樹脂層の柔軟性が損なわれて、表面樹脂層が衝撃によって割れたり、亀裂が発生し易くなる等の問題が生じる。
従って、化粧シートを巻き取り状で製造する場合は、柔軟性を要求されるため、表面樹脂の架橋密度を上げて、硬度の高い樹脂層を形成して耐摩耗性を改良しようとしても限界があった。
【0004】
そのため、樹脂層の柔軟性を低下させずに耐摩耗性を改良する方法として、樹脂層に無機材料を添加する方法が、従来から行われている。
例えば、特開昭60ー23642号公報には、サンドブラスト法やブラシ研磨法等の研磨剤として使用されている平均粒径が1〜50μmのシリカ(SiO2 )及びアルミナ(Al23 )を主成分とする天然ガラスの粉末を配合した塗料を用いて、表面樹脂層を形成することが開示されている。
上記塗料によって形成された表面保護層は、従来品に比べて、硬度が硬く、且つ柔軟性を有し、耐摩耗性や耐擦傷性に優れた物性を示した。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、表面に電離放射線硬化性樹脂層を形成した化粧シートを中密度繊維板(以下MDFと略記する)、パーチクルボード等の木質板にラミネートした化粧板は、メラミン樹脂化粧板に比較して耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性(火のついた煙草や熱い煙草の灰に対する耐性を示す)が劣っており、これらの性能の向上が望まれている。
【0006】
また、紙等の含浸性基材を用いて、球状アルミナ等の無機のフィラーを添加した電離放射線硬化性樹脂を塗布した場合、電離放射線硬化性樹脂が紙に含浸して、紙の表面においては、球状アルミナ等のフィラーを保持している電離放射線硬化性樹脂が少なくなり、球状アルミナが電離放射線硬化性樹脂層に十分保持されなくなり、耐摩耗性が十分発揮できなくなる。
そのため、紙等の含浸性基材を用いて表面に電離放射線硬化性樹脂層を形成する場合、電離放射線硬化性樹脂層を厚くする必要があった。
しかし、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を多くすることは、高価な球状アルミナの使用量も増加し、製造コストが増大することになる。
また、電離放射線硬化性樹脂の塗布量を多くすると、電離放射線硬化性樹脂が硬化する際に生じる収縮により、化粧シートのカールが激しくなり、化粧紙の後加工において、作業性が悪くなり、生産コストの上昇につながり、大きな問題となる。
【0007】
更に、無機フィラーを添加した塗工液を用いて、グラビアロールコート法により基材にコートする場合、無機フィラーのアルミナや天然ガラスの粉末は角が尖った多角形状であるため、グラビアロールやドクターブレードを摩耗させたり、傷つけたりして、加工上大きな問題であった。
また、硬質で角の尖った多角形状の粉末を添加した塗工液を用いて形成した塗膜は、手触り感が悪く、感触を重視するものには利用できなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するために、化粧シート及びそれを用いた化粧材の構成を以下のようにした。
半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材シートの表面に、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層からなる表面保護層を設け、裏面に微細孔を有するネットを積層したことを特徴とする化粧シートとした。
また、繊維質基材シートに、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層からなる表面保護層を設けた化粧シートの裏面に、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材シートと微細孔を有するネットを積層したことを特徴とする化粧シートとした。
更に、前記化粧シートの裏面に、加熱、加圧により被着体を積層したことを特徴とする化粧材とした。
【0009】
即ち、紙等の含浸性のある繊維質基材シートに印刷等により絵柄層を形成した後、その絵柄層の上に電離放射線硬化性樹脂をコーティングし、これに電離放射線を照射して電離放射線硬化性樹脂を硬化せしめて表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂からなる保護層を形成して印刷シートを作製する。
次に、前記印刷シートの裏面に、メラミン樹脂等の未硬化の熱硬化性樹脂を塗布して繊維質基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させる。次いで、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させるが、熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材シートが柔軟性を維持するように半硬化の状態にする。
尚、繊維質基材に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱により未硬化の熱硬化性樹脂を半硬化の状態にして、その半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材の表面に、絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂層を形成して化粧シートとすることもできる。
【0010】
即ち、繊維質基材の表面に絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂を設け、裏面に半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した化粧シートが巻取り状態で作業ができるようにする。
半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した化粧シートは裏面に半硬化の熱硬化性樹脂が存在するのでブロッキングし易やすいため、本発明においては、化粧シートの裏面にネットを積層してブロッキングを防止した。
上記のように、本発明の化粧シートは、繊維質基材に含浸した熱硬化性樹脂が半硬化のため柔軟性を有しており、且つ裏面にネット層を設けてブロッキングを防止したので、化粧シートを巻取り状で作業することができる。
【0011】
また、本発明の化粧シートは、熱硬化性樹脂含浸用の繊維質基材とは別に印刷用紙を用いて、その印刷用紙に絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層からなる保護層を形成して印刷シートを作製し、その印刷シートの裏面(保護層の反対側)に未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材を積層し、その積層シートを加熱により熱硬化性樹脂を半硬化状態にし、更に、その裏面にブロッキング防止用のネットを積層して化粧シートとする場合がある。
【0012】
次に、前記化粧シートをMDF(中密度繊維板)やパーチクルボード等の木質板に加熱、加圧により接着する際に、化粧シートの半硬化の熱硬化性樹脂を加熱により完全に硬化せしめて化粧板を作製する。
得られた化粧板は絵柄層の直ぐ下にメラミン樹脂等の硬化した熱硬化性樹脂層が存在するので、硬度が硬く、且つ耐熱性に優れており、従来の表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成した化粧シートを用いた化粧板に比較して、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性に優れたものとなる。
また、印刷基材として印刷用紙を使用し、印刷用紙に絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層を形成して印刷シートを作製した後、その印刷シートに前記半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材とネットを積層して化粧シートとした場合も、半硬化の熱硬化性樹脂は印刷用紙にも浸透しているので、この化粧シートを木質板に加熱、加圧により接着した場合、印刷用紙にも硬化して熱硬化性樹脂が含浸した状態となり、得られた化粧板は、前述のように耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性に優れたものとなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照にしながら本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の化粧シートの一例を示した模式断面図である。
図2は本発明の化粧シートの別の態様で、印刷用紙を用いて絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂層を形成したときの化粧シートの模式断面図である。
図3は本発明の化粧シートを用いて被着体に積層して化粧材としたときの模式断面図である。
図4は本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
図5、図6は本発明の化粧シートを用いて化粧材を作製するときの説明図である。
図7は実施例1により、図8は実施例2により、図9は実施例3により、図10は実施例4により、化粧シートを作製するときの説明図である。
図11は実施例5により化粧材を作製するときの説明図である。
【0014】
本発明の化粧シートは、図1に示すように、基本的には、紙等の含浸性のある繊維質基材11に、印刷等により絵柄層14を形成した後、更に硬化した電離放射線硬化性樹脂層14を形成して印刷シートを作製し、その印刷シートの裏面にメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂の未硬化の樹脂を含浸し、次いで加熱により熱硬化性樹脂を半硬化の状態にし、その半硬化の熱硬化性樹脂12を含浸した繊維質基材11の裏面に、ブロッキングを防止するために微細な孔を有するネットを積層して、柔軟性のある化粧シート1としたものである。
即ち、本発明の化粧シートの特徴は半硬化の熱硬化性樹脂12を含浸した繊維質基材11の表面に絵柄層13及び電離放射線硬化性樹脂層14からなる保護層を設け、そのシートの裏面にブロッキング防止用のネット層15を積層して、巻取で取り扱えるように柔軟性のある化粧シート1としたものである。
そして、本発明の化粧シート1は、図3に示すように、木質板等の被着体17に接着して化粧板2を作製する際に、加熱、加圧により接着し、化粧シート1の半硬化の熱硬化性樹脂12を加熱により完全に硬化せしめて、繊維質基材11及び印刷用紙16に硬化した熱硬化性樹脂12aを含浸した状態にして、化粧板2の表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐候性、耐陥没性、耐シーガレット性を付与するものである。
【0015】
以下に、本発明の化粧シート及びそれを用いた化粧材の製造方法について説明する。
先ず、図4(a)に示すように、繊維質基材11として、含浸性のある紙、合成紙、不織布等を用いて、この繊維質基材11に、グラビア印刷等により木目柄等の絵柄層13を形成して印刷シート3を作製する。
次いで、図4(b)に示すように、印刷シート3の絵柄層13側に、電離放射線硬化性樹脂脂を塗布し、直ちに、電子線や紫外線等の電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を架橋、硬化させて、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層14からなる保護層を形成する。
この硬化した電離放射線硬化性樹脂層14からなる保護層を形成することにより、絵柄層が繊維質基材から剥離することがなくなると共に、化粧シート表面に耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性等が付与される。
以下、繊維質基材11に絵柄層13及び電離放射線硬化性樹脂層14を形成したものも印刷シート3という。
また、電離放射線硬化性樹脂層にアルミナやシリカ等の無機質のフィラーを添加することにより、更に、耐熱性、耐摩耗性、耐陥没性等を向上させることもできる。
【0016】
次に、図4(c)に示すように、繊維質基材11に絵柄層13及び電離放射線硬化性樹脂層14を形成した印刷シート3の繊維質基材11側に、メラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を未硬化の状態で塗布して、繊維質基材11に未硬化の熱可塑性樹脂12bを含浸させる。
次いで、図4(c)に示すように、繊維質基材11に含浸した未硬化の熱可塑性樹脂12bを加熱により架橋、硬化せしめて、半硬化の状態にする。
即ち、未硬化の熱可塑性樹脂12bを加熱することにより、未硬化の熱硬化性樹脂を架橋、硬化させるが、硬化した熱硬化性樹脂が柔軟性を保持する状態で止めて、熱硬化性樹脂を完全に硬化しないようにする(このことを加熱によるハーフキュアーという)。
熱硬化性樹脂は完全に硬化すると柔軟性がなくなり、化粧シートを巻取状で取り扱う場合、化粧シートに亀裂や白化等の問題が生じることがある。
そのため、本発明においては、熱硬化性樹脂は半硬化の状態にして、ベトツキやブロッキング等が生じないように硬化させるが、柔軟性を保持するようにし、化粧シートを巻取状で取り扱えるようにした。
【0017】
以上のように、図4(c)に示すように、繊維質基材11に含浸した未硬化の熱可塑性樹脂12bを加熱によるハーフキュアー20を行うことにより、図4(d)に示すように、繊維質基材11には半硬化の熱硬化性樹脂12が含浸した状態となる。即ち、半硬化の熱硬化性樹脂12が含浸した繊維質基材11の片面に絵柄層13及び電離放射線硬化性樹脂層14を形成した化粧シートが得られる。次に、前記化粧シートは、繊維質基材11に含浸した熱硬化性樹脂が半硬化の状態であるので、巻取りで取り扱うときブロッキングし易いので、化粧シートの裏面(半硬化の熱硬化性樹脂12が含浸した繊維質基材11側)に、ブロッキング防止用のネットをラミネートしてネット層15を形成して、図4(d)に示すように、化粧シート1を作製する。
得られた化粧シート1は、繊維質基材11に含浸した熱硬化性樹脂が半硬化の状態であるので柔軟性があり、且つ半硬化の熱硬化性樹脂12を含浸した繊維質基材11側にブロッキング防止用のネット層15がラミネートされているので、化粧シートをブロッキングなしで巻取状で取り扱うことができる。
【0018】
また、本発明の化粧シートは木質板等の被着体に接着して化粧材(例えば化粧板)を作製するために使用されるので、化粧材の作製方法について説明する。
前記化粧シートを木質板等の被着体に加熱、加圧して化粧材を作製することもできるが、化粧シートの別の態様として、熱硬化性樹脂を含浸する繊維質基材とは別の紙に絵柄層を印刷して化粧シートを作製し、その化粧シートを用いて化粧材を作製する方法について説明する。
先ず、図5(a)に示すように、薄葉紙等の印刷用紙16にグラビア印刷等により木目柄等の絵柄層13を形成して印刷シート3を作製する。
次いで、図5(b)に示すように、印刷シート3の絵柄層13側に、電離放射線硬化性樹脂脂を塗布し、直ちに、電子線や紫外線等の電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂を架橋、硬化させて、表面に硬化した電離放射線硬化性樹脂層14からなる保護層を形成する。
以下、この印刷用紙16に絵柄層13と電離放射線硬化性樹脂14を形成したシートも印刷シート3という。
【0019】
次に、図5(c)に示すように、前記印刷シート3とは別に、繊維質基材11にメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂を未硬化の状態で塗布して、繊維質基材11に未硬化の熱可塑性樹脂12bを含浸させると共に、前記印刷シート3とラミネートして積層シート4を得る。このように、印刷シート3と未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材11をラミネートした場合、繊維質基材11に含浸した未硬化の熱硬化性樹脂は、更に印刷シート3の印刷用紙16にも浸透して、印刷用紙16にも未硬化の熱硬化性樹脂12bが含浸された状態となる。
次いで、図5(d)に示すように、前記積層シート4を加熱し、前述と同様に、加熱によるハーフキュアー20を行って、繊維質基材11及び印刷用紙16に含浸した未硬化の熱可塑性樹脂12bを半硬化の状態にする。
【0020】
即ち、未硬化の熱可塑性樹脂12bを加熱によるハーフキュアー20を行うことにより、図6(a)に示すように、 絵柄層13及び電離放射線硬化性樹脂層14を形成した印刷シート3と半硬化の熱硬化性樹脂12を含浸した繊維質基材11とがラミネートされた積層シート4が得られる。
加熱により未硬化の熱硬化性樹脂を架橋、硬化させて半硬化の状態にすることにより、半硬化の熱硬化性樹脂が接着剤の役割を果して、印刷シート3と繊維質基材11はかなり強固に接着される。
従って、該化粧シート1を被着体にラッピング加工等により積層する場合でも、従来の化粧シートと同様に、印刷シート3の印刷用紙16と繊維質基材11間における層間剥離を生じることがない。
【0021】
次に、前記積層シート4は繊維質基材11に含浸した熱可塑性樹脂が半硬化の状態であるので、該化粧シート1を巻取状で取り扱う場合、化粧シート1に圧力が加わるためブロッキングが生じる。
そのため、本発明においては、繊維質基材11に含浸した熱可塑性樹脂が半硬化の状態でもブロッキングが生じないように、図6(b)に示すように、半硬化の熱硬化性樹脂が含浸した繊維質基材11に熱可塑性樹脂(又は綿等の繊維質)からなるネット15をラミネートして化粧シート1を作製する。
【0022】
次に、図6(c)に示すように、上記化粧シート1を合板や中密度繊維板(MDF)等の被着体17に重ね合わせ、熱プレス方式等により、化粧シート1を被着体17に接着して化粧材2を作製した。
化粧シート1を被着体17の上に重ねて加熱、加圧することににより、繊維質基材11及び印刷用紙16に含浸している半硬化の熱硬化性樹脂12は架橋、硬化して、図6(c)に示すように、硬化した熱硬化性樹脂12aとなり、表面の化粧シート1は、繊維質基材11及び印刷用紙16に硬化した熱硬化性樹脂12aを含浸した化粧シート1となるため、得られた化粧材2は、耐熱性、耐陥没性、耐擦傷性、耐シガレット性に優れたものとなる。
【0023】
また、上記のように、化粧シート1と被着体17を加熱、加圧することにより、化粧シート1のネット15が綿、毛等のように加熱により溶融しないネットの場合でも、被着体17側のネット15の中にも半硬化の熱硬化性樹脂12が浸透し、熱硬化性樹脂が硬化する際に、硬化した熱可塑性樹脂12aとネット層15は一体化されて、ネットによる凹凸は均一化されて平滑となる。
化粧シートのネットが熱可塑性樹脂製の場合は、化粧シートを加熱、加圧したとき、ネットは溶融して扁平状になり、ネットの凹凸は均一化される。
従って、得られた化粧材2の表面は平滑性のよいものとなる。
【0024】
本発明に使用される浸透性のある繊維質基材11としては、紙、合成紙、不織布等のシート状のものが用いられる。
繊維質基材として用いられる紙としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミネートした所謂ビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、パーチメント紙、和紙等が挙げられる。
また、紙類似シートとしては、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維、等の無機繊維質のシート状のもの、ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維からなる不織布又は織布等が使用される。
また、繊維質基材11とは別に用いる印刷用紙16としては、やはり浸透性のある紙、合成紙等上記繊維質基材11と同じものが使用できるが、印刷適性のよい薄葉紙、上質紙、チタン紙、コート紙、等が多く使用される。
【0025】
繊維質基材11又は印刷用紙16には、印刷等により絵柄層13が形成される。また、絵柄層を設ける前に、基材表面にベタ印刷層を設ける場合がある。
絵柄層としては、印刷による印刷模様、エンボス加工によるエンボス模様、ヘアライン加工による凹凸模様等があり、更に、凹凸模様の凹部に公知のワイピング加工法によって着色インキを充填して絵柄層を形成することもできる。
印刷絵柄層としては、木目柄、石目柄、布目柄、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、各種抽象模様、或いは全面ベタ印刷等がある。
全面ベタ印刷の隠蔽層は化粧シートを貼付する被着体の表面状態によって省略されることがある。
【0026】
絵柄印刷のインキとしては、基材の材質や形態によって異なるが、一般的には、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、硝化綿、酢酸セルロース、塩化ビニル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の単独又は2種以上の樹脂を混合したものをビヒクルとし、これと通常の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、硬化剤、添加剤、溶剤等からなるインキが使用される。
【0027】
着色剤として、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、バンザイイエローA、キナクリドン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等、の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。
また、必要に応じて、無機充填剤を添加してもよく、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク、シリカ(二酸化珪素)、アルミナ(酸化アルミニウム)等の粉末等が挙げられる。添加量は通常5〜60重量%である。
【0028】
絵柄の印刷としては、グラビア印刷、凹版印刷、オフセット印刷、活版印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、静電印刷、インクジェット印刷等通常の印刷方式が使用できる。
もしくは、別に離型性シート上に一旦絵柄模様を形成して転写シートを作成し、得られた転写シートからの転写印刷方式によって模様印刷を転写して設けてもよい。
印刷模様の代りに、アルミニウム、クロム、金、銀、銅等の金属を真空蒸着、スパッタリング等によって、基材に、金属薄膜を全面又は部分的に形成して絵柄層とすることもできる。
【0029】
本発明の保護層に用いられる電離放射線硬化性樹脂は、未硬化の状態で塗工した後、電子線や紫外線などの電離放射線を照射して塗膜を硬化させるものであるが、その架橋密度によって硬化塗膜の物性が変化するので、化粧シートの用途に応じて電離放射線硬化性樹脂を選定する必要がある。
電離放射線硬化性樹脂は架橋密度が高くなるほど硬化塗膜の硬度が高くなり、耐摩耗性は向上するが、柔軟性は低下する。そのため、柔軟性があり且つ耐摩耗性に優れた表面塗膜を得るには、電離放射線硬化性樹脂に球状のアルミナ等のフィラーを添加して、フィラーによって耐摩耗性を向上させる場合がある。
【0030】
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した組成物で、電離放射線により硬化可能なものが用いられる。
尚、ここで、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線の中で、分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、電子線又は紫外線が用いられる。
【0031】
電離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオール基を2個以上有する単量体、又はプレポリマーからなるものである。
これら、単量体、又はプレポリマーは単体で用いるか、又は数種類混合して用いる。
尚、ここで、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いており、以下(メタ)は同様の意味で用いるものとする。
【0032】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)クリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート等が使用できる。
分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0033】
ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
チオール基を有する単量体の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0035】
電離放射線硬化性樹脂として紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。
また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。
尚、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放射線硬化型樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部程度である。
【0036】
上記電離放射線硬化性樹脂には、必要に応じて各種添加剤を添加する場合がある。これらの添加剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アルミナ等の微粉末からなる体質顔料(充填剤)、染料、顔料等の着色剤等がある。
【0037】
電離放射線硬化性樹脂のコーティング法としては、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ディップコート、シルクスクリーンコートによるベタコート、ワイヤーバーコート、コンマコート、スプレーコート、フロートコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。その中でもグラビアコートが好ましい。
【0038】
電離放射線硬化性樹脂を硬化させる電離放射線照射装置としては、紫外線照射装置や電子線照射装置が用いられる。
紫外線照射装置としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライドランプ等の光源が使用される。紫外線の波長としては、通常、190〜380nmの波長領域が主として用いられる。
電子線照射装置としては、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型或いは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が用いられる。
【0039】
そして、電子線を照射する場合、加速電圧100〜1000KeV、好ましくは100〜300KeVで照射し、吸収線量としては、通常、1〜300kGy(キログレイ)程度である。吸収線量が1kGy未満では、塗膜の硬化が不十分となり、又、照射量が300kGyを超えると硬化した塗膜及び繊維質基材が黄変したり、損傷したりする。
また、紫外線照射の場合、その照射量は50〜1000mJ/cm2 の範囲 が好ましい。
紫外線照射量が50mJ/cm2 未満では、塗膜の硬化が不十分となり、また、照射量が1000mJ/cm2 を超えると硬化した塗膜が黄変したりする。
また、電離放射線の照射方法として、先ず紫外線を照射して電離放射線硬化性樹脂を少なくとも表面が指触乾燥する程度以上に硬化させ、而る後に、電子線を照射して塗膜を完全に硬化させる方法もある。
【0040】
本発明に用いる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等がある。
これらの樹脂には必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤、体質顔料等を添加して塗料として用いる。
通常、硬化剤としては、有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂に、イソシアネートが不飽和ポリエステル系樹脂とポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル系樹脂に多く使用される。
【0041】
イソシアネートとしては、二価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。
具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
熱硬化性樹脂の硬化方法としては、硬化反応を促進するために、必要に応じて加熱することがある。
例えば、イソシアネート硬化型不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン硬化型ポリウレタン系樹脂の場合は40〜60℃で1〜5日間、ポリシロキサン樹脂の場合は80〜150℃で1〜30分、メラミン樹脂は90〜160℃で30秒〜3分、程度加熱する。
本発明においては、耐熱性、耐汚染性があり、硬度の硬いメラミン樹脂が好適である。
【0042】
メラミン樹脂はメラミン(2,4,6−トリアミノ−1,3,5−トリアジン)とホルムアルデヒドの付加縮合によって得られる熱硬化性樹脂である。
透明で硬度が高く、着色性、耐熱性、耐汚染性に優れているため、化粧板、成形材料、塗料等幅広い用途をもっている。
また、メラミン樹脂にはアクリル成分をブレンドすることにより、半硬化のメラミン樹脂を含浸した化粧シートをパーチクルボード等の被着体に接着するまでの見掛け上のライフを延ばすことがある。
アクリル成分としては、モノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いることができる。また、添加量は3〜16重量%程度である。
【0043】
モノマーの例としては、単官能モノマーでは、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。また、多官能モノマーでは、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等もある。
【0044】
また、ポリマーの例としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル−スチレン共重合体等のアクリル樹脂が挙げられる。
尚、上記の(メタ)アクリルとは、アクリル又はメタクリルの意味で用いたものであり、以下(メタ)は同様の意味で用いるものとする。
【0045】
本発明のネット層に用いられるネットとしては、熱可塑性樹脂からなる繊維、又は綿、毛、絹等の天然繊維を規則的に格子状に織り上げた格子状ネット、又は不織布状のものが使用される。
ネットは最終的にパーチクルボード等の被着体に接着されるので、被着体に熱プレスしたとき、ネットの形状が浮き出ないような太さにする必要がある。
そのためには、綿等のように熱プレスにより変形しにくい場合は、繊維質基材の厚さの1/3以下程度が望ましい。
しかし、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂製ネットのように熱プレスにより溶融して扁平状になる場合は、熱プレスの条件に応じてネットの太さを変えることができる。
【0046】
ネット層の形成方法としては、熱可塑性樹脂製のネットの場合はネットを加熱溶融し、溶融状態で半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材に接着してネット層を形成する。
また、綿、毛等のように加熱により溶融しないネットの場合は、繊維質基材に含浸した熱硬化性樹脂が未だ粘着性のある間に、ネットを繊維質基材に重ね合わせ、直ちに加熱して熱硬化性樹脂を半硬化の状態まで硬化することにより、熱硬化性樹脂が接着剤となり繊維質基材にネットを接着することができる。
尚、熱可塑性樹脂製のネットの場合も、綿、毛等のネットと同様に繊維質基材に接着することもできる。
【0047】
また、ネット層の形成方法としてホットメルト接着剤を用いて、ホットメルト接着剤を微細に霧化して繊維状にし、その微細な繊維を、化粧シートの裏面(半硬化の熱硬化性樹脂化性樹脂を含浸した繊維質基材側)にカーテン状に塗布し、不織布状のネット層を形成することもできる。
この場合のホットメルト接着剤の塗布量は2〜15g/m2 で化粧シートのブロッキングを防止することができるが、5〜10g/m2 が好適である。
ホットメルト接着剤により化粧シートの裏面にネット層を形成する場合は、半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材からなる化粧シートを作製後、化粧シートの裏面に直接ホットメルト接着剤でネット層を形成する方がベターである。
【0048】
本発明の化粧シートは、各種被着体に積層し、所定の成形加工等を施して、各種用途に用いることができる。
また、本発明の化粧シートをパーチクルボード、MFD等の木質基材に積層して化粧材(化粧板)として使用することができる。
例えば、壁、天井、床等の建築物の内装、窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧、家具又は弱電・OA機器のキャビネットの表面化粧、自動車、電車等の車両の内装、航空機の内装、窓硝子の化粧等に利用できる。
本発明の化粧シートは繊維質基材に半硬化の熱硬化性樹脂を含浸しているので、MDFやパーチクルボード等の木質材には加熱、加圧することにより、接着剤なしに接着することができる。
しかし、化粧シートが直接素材等に接着できない場合は、適当な易接着層又は接着剤層を介して被着体に接着する。
【0049】
被着体としては各種素材の平板、曲面板等の板材、或いは各種立体形状物品(成形品)が対象となる。
被着体としては、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材が挙げられる。
【0050】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて、本発明を更に詳しく説明する。
(実施例1)
先ず、樹脂含浸用の繊維質基材として、坪量45g/m2 のチタン紙11a(三興製紙(株)製「EBT」)を用いて、グラビア印刷により木目柄を印刷して、図7(a)に示すように、チタン紙11aに絵柄層12を形成して印刷シート3を作製した。
次いで、図7(b)に示すように、チタン紙11aの絵柄層12側に、下記の電子線硬化性樹脂(A)(三洋化成工業(株)製)を用いて、ロールコート方式にてコーティングし、直ちに電子線照射装置を用いて、加速電圧175keVにて、吸収線量が50kGy(キログレイ)になるように電子線を照射して電子線硬化性樹脂を硬化させて、塗布量10g/m2 の電子線硬化性樹脂層14aを形成した。
【0051】
電子線硬化性樹脂(A)の組成
・ビスフェノールAエチレンオキサイド変性ジアクリレート 70重量部
・トリメチロールプロパン変性トリアクリレート 29重量部
・両末端メタクリレート変性シリコーン 1重量部
【0052】
次に、図7(c)に示すように、上記絵柄層13及び電子線硬化性樹脂層14aを形成した印刷シート3のチタン紙11a側に未硬化のメラミン樹脂(日産化学(株)製「M−700」)をロールコート方式にてコーティングし、チタン紙11aに未硬化のメラミン樹脂を40g/m2 含浸させ、次いで、120℃で1.5分間加熱してメラミン樹脂をハーフキュアーし、図7(d)に示すように、チタン紙11aに含浸したメラミン樹脂を半硬化の状態にした。
更に、図7(e)に示すように、上記半硬化のメラミン樹脂12dを含浸したチタン紙11a側に、坪量10g/m2 のポリプロピレン製不織布15a(以下PP製不織布15aと略記する)を加熱して溶融状態にしてラミネートし、図7(e)に示すような化粧シート1を作製した。
以上のように作製した化粧シート1は裏面にPP製不織布がラミネートされているので、巻取状態でもブロッキングすることはなかった。
【0053】
(実施例2)
実施例1と同様に、樹脂含浸用の繊維質基材としてチタン紙11aを使用し、これに絵柄層13及び電子線硬化性樹脂層を形成して、図8(a)に示すように、印刷シート3を作製した。
次に、実施例1と同様に、図8(b)に示すように、印刷シート3のチタン紙11aに未硬化のメラミン樹脂を含浸した。
次いで、メラミン樹脂が未硬化の状態で、図8(c)に示すように、チタン紙11a側に綿製ネット15b(繊維の太さ30μm、網目の大きさ400μm)を貼着した。
【0054】
次に、前記積層シートを120℃、1.5分間加熱して、未硬化のメラミン樹脂をハーフキュアーし、図8(e)に示すように、半硬化のメラミン樹脂12dを含浸したチタン紙11aに綿製ネット15bをラミネートした化粧シート1を作製した。
得られた化粧シート1は巻取状態でもブロッキングすることはなかった。
【0055】
(実施例3)
樹脂含浸用の繊維質基材としてチタン紙11aを用いて、実施例1と同様に、図9(a)に示すように、絵柄層13及び電子線硬化性樹脂層14aを形成して印刷シート3を作製した。
次いで、実施例1と同様に、図9(b)に示すように、上記印刷シート3のチタン紙11aに未硬化のメラミン樹脂を含浸し、更に加熱によりハーフキュアー20を行って、図9(c)に示すように、チタン紙11aに半硬化のメラミン樹脂12dが含浸している状態にした。
次に、ホットメルト接着剤(日立化成ポリマー(株)製)を「カーテンスプレー塗布システム」を用いて微細に霧化して繊維状にしたものをカーテン状に塗布し、図9(d)に示すように、半硬化のメラミン樹脂12dを含浸したチタン紙11aの上に、不織布状のホットメルト製ネット層15cを形成して化粧シート1を作製した。
得られた化粧シート1は巻取状態でもブロッキングすることはなかった。
【0056】
(実施例4)
印刷用紙として薄葉紙16aを用いて、実施例1と同様に、絵柄層13及び電子線硬化性樹脂層14aを形成して、図10(a)に示すように、印刷シート3を作製した。
次に、図10(b)に示すように、坪量45g/m2 のチタン紙11aに、実施例1と同様に、未硬化のメラミン樹脂12cを含浸し、メラミン樹脂が未硬化の状態で前記印刷シート3の薄葉紙16a側にラミネートし、次いで、図10(b)に示すように、実施例1と同様にハーフキュアー20を行って、図10(c)に示すように、半硬化のメラミン樹脂12dを含浸させたチタン紙11aと印刷シート3をラミネートした。
次に、上記積層シートのチタン紙11a側に、アクリル樹脂製ネット(繊維の太さ40μm、網目の大きさ500μm)を加熱して溶融状態にしてラミネートして、図10(d)に示すように、裏面にアクリル樹脂製ネット15dを積層した化粧シート1を作製した。
得られた化粧シート1は巻取状態でもブロッキングすることはなかった。
【0057】
(実施例5)
実施例4と同様に、薄葉紙16aに絵柄層13及び電子線硬化性樹脂層14aを形成して、図11(a)に示すように、印刷シート3を作製した。
次に、図11(b)に示すように、実施例4と同様に、チタン紙11aに、未硬化のメラミン樹脂12cを含浸した後、加熱によるハーフキュアーを行って、印刷シート3と半硬化のメラミン樹脂12dを含浸したチタン紙11aをラミネートした。
更に、実施例4と同様に、前記積層シートにアクリル樹脂製ネットをラミネートして、図11(c)に示すような化粧シート1を作製した。
得られた化粧シート1は巻取状態でもブロッキングすることはなかった。
【0058】
次に、上記化粧シート1を厚さ30mmのMDF(中密度繊維板)に重ね合わせ、熱プレス方式により、熱板温度150℃、圧力2.94Pa(パスカル)の条件で2分間加熱加圧して、チタン紙11aに含浸した半硬化のメラミン樹脂12dを硬化させて、図11(d)に示すように、MDF17a表面に硬化したメラミン樹脂12eを含有する化粧シート1を積層して化粧材2(化粧板)を作製した。
上記のように化粧シート1とMDF17aを加熱加圧することにより、MDF17a側のアクリル樹脂製ネット15dの中にも浸透し、メラミン樹脂が硬化する際に、硬化したメラミン樹脂12eとアクリル樹脂製ネット15dは一体化されて、ネットの厚さによる凹凸は均一となり平滑となった。
また、チタン紙11a及び薄葉紙16aに含浸した半硬化のメラミン樹脂12dは加熱加圧により硬化し、薄葉紙16aにも硬化したメラミン樹脂12eが含有するので、化粧材2表面は耐熱性があり、硬度の高いものとなった。
そのため、得られた化粧材2は耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性に優れた化粧材(化粧板)となった。
【0059】
【発明の効果】
本発明の化粧シートは、紙等の浸透性のある繊維質基材に未硬化の熱硬化性樹脂(メラミン樹脂等)を含浸させた後、加熱により硬化して半硬化の状態に止めているので柔軟性があり、且つ半硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材にブロッキング防止用にネットが積層されているので、巻取り状で生産することができる。
そのため、従来の柔軟性のある化粧シートと同じ設備を用いて生産することができると共に、同様の生産性を得ることができる。
更に、本発明の化粧シートは、中密度繊維質板(MDF)やパーチクルボード等の木質板に接着して化粧材(化粧板等)を作るとき、加熱、加圧により接着するため、繊維質基材に含浸している半硬化の熱硬化性樹脂は加熱により完全に硬化し、化粧材の表面はメラミン樹脂板等と同等の耐熱性や硬度が得られる。
従って、得られた化粧材は耐熱性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性(火のついた煙草や熱い煙草の灰に対する耐性)に優れたものとなる。
即ち、耐熱性、耐擦傷性、耐陥没性、耐シガレット性に優れたメラミン樹脂板等と同等の性能を有する化粧材を巻取り状の化粧シートを用いて生産できるので、生産能率が向上し、生産コストの低減を図ることができる。
また、最表面の電離放射線硬化性樹脂層にアルミナやシリカ等の無機質粒子を含有させることにより、低圧メラミン樹脂板以上の物性を有する化粧板を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の本発明の化粧シートの一例を示した模式断面図である。
【図2】本発明の化粧シートの別の態様で、印刷用紙を用いて、絵柄層及び電離放射線硬化性樹脂層を形成したときの化粧シートの模式断面図である。
【図3】本発明の化粧シートを用いて被着体に積層して化粧材としたときの模式断面図である。
【図4】本発明の化粧シートを作製するときの説明図である。
【図5】本発明の化粧シートを用いて化粧材を作製するときの説明図で、印刷シートに未硬化の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材を積層するまでの説明図である。
【図6】本発明の化粧シートを用いて化粧材を作製するときの説明図である。
【図7】実施例1により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図8】実施例2により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図9】実施例3により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図10】実施例4により化粧シートを作製するときの説明図である。
【図11】実施例5により化粧材を作製するときの説明図である。
【符号の説明】
1 化粧シート
2 化粧材
3 印刷シート
4 積層シート
11 繊維質基材
11a チタン紙
12 半硬化の熱硬化性樹脂
12a 硬化した熱硬化性樹脂
12b 未硬化の熱硬化性樹脂
12c 未硬化のメラミン樹脂
12d 半硬化のメラミン樹脂
12e 硬化したメラミン樹脂
13 絵柄層
14 電離放射線硬化性樹脂層
14a 電子線硬化性樹脂層
15 ネット層
15a PP製不織布
15b 綿製ネット
15c ホットメルト製ネット層
15d アクリル樹脂製ネット
16 印刷用紙
16a 薄葉紙
17 被着体
17a MDF(中密度繊維質板)
20 加熱によるハーフキュアー

Claims (3)

  1. 半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材シートの表面に、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層からなる表面保護層を設け、裏面に微細孔を有するネットを積層したことを特徴とする化粧シート。
  2. 繊維質基材シートに、絵柄層及び硬化した電離放射線硬化性樹脂層からなる表面保護層を設けた化粧シートの裏面に、半硬化状態の熱硬化性樹脂を含浸した繊維質基材シートと微細孔を有するネットを積層したことを特徴とする化粧シート。
  3. 前記請求項1又は請求項2に記載の化粧シートの裏面に、加熱、加圧により被着体を積層したことを特徴とする化粧材。
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