JP5971383B2 - 化粧板の製造方法及び化粧板 - Google Patents
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(a)原紙の一方の面に印刷層を設けてから、該原紙の印刷層とは反対側の面と基材の一方の面とを接着剤層を介して貼付して、又は原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けて、基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体を形成する工程
(b)前記印刷層上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は賦型シート上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該印刷層と該樹脂組成物層とを対面させて、前記積層体と賦型シートとをラミネートする工程
(c)電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、前記印刷層上に保護層を形成させる工程
2.さらに、工程(d)として、賦型シートを剥離する工程を含み、化粧板が基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層からなることを特徴とする上記1に記載の化粧板の製造方法。
3.基材の一方の面に、接着剤層、原紙、印刷層、及び保護層を順に有し、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への該保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板。
4.保護層の上に、さらに賦型シートを有する上記3に記載の化粧板。
本発明の化粧板の製造方法は、下記の工程(a)、工程(b)、及び工程(c)を有し、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層/賦型シートからなり、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板の製造方法である。
本発明の化粧板の製造方法における工程(a)は、原紙の一方の面に印刷層を設けてから、該原紙の印刷層とは反対側の面と基材の一方の面とを接着剤層を介して貼付して、又は原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けて、基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体を形成する工程である。
工程(a)における原紙としては、坪量が70g/m2以下であれば特に制限はなく、例えば、薄葉紙、チタン紙、含浸紙などの紙を採用することができる。なお、これらの原紙は着色されていてもよい。原紙の坪量としては、70以下であることを要し、好ましくは20〜65g/m2、好ましくは25〜50g/m2である。
印刷層は化粧材に装飾を施すために設けられる層である。本発明において、印刷層は、原紙と基材とを接着剤層を介して貼付する前、あるいは後のいずれに設けてもよい、すなわち、原紙の一方の面に印刷層を設けてから、基材と原紙とを接着剤層を介して貼付してもよいし、原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けてもよい。
印刷方法としては、通常の、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの輪転印刷、枚葉印刷のいずれをも適用できる。
工程(a)における基材としては、特に制限はなく、従来各種の化粧板に基材として慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。このような基材としては、例えば木材、MDF(中密度ファイバーボード)、パーティクルボード、木質合板、窯業系ボードなどを挙げることができる。
これらの基材の厚さは、通常2〜50mm程度であるが、本発明の化粧板の製造方法は、厚さが好ましくは2〜30mm、より好ましくは2〜5mmの木質合板やMDFなどの薄厚基材を用いた薄厚化粧板の製造に適用するのが特に有利である。このような薄厚の化粧板に適用しても、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化収縮による基材の反りや割れなどを防止し得るからである。
工程(a)において、前記原紙を基材に貼付するための接着剤層としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂が使用される。該接着剤層は、選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
この接着剤層の厚さは、通常1〜100μm、好ましくは1〜60μm、より好ましくは10〜40μmである。
本発明の製造方法で得られる化粧板において、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であることを要する。透気度が500秒より大きいと、原紙に対して電離放射線硬化性樹脂組成物が含浸しにくくなり、優れた硬度が得られなくなる。優れた硬度を得る観点から、該積層体の透気度は300秒以下が好ましく、250秒以下がより好ましく、200秒以下がさらに好ましい。
また、原紙の透気度が60秒以下であることが好ましく、より好ましくは50秒以下、さらに好ましくは40秒以下である。原紙の透気度が上記範囲内であると、原紙に対して電離放射線硬化性樹脂組成物が含浸しやすくなるので、優れた硬度が得られる。
本明細書中において透気度とは、JlS P8117:2009(紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法)に規定された方法で100ccの空気が紙片を通過する秒数である。
本発明の化粧板の製造方法における工程(b)は、前述の工程(a)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体の印刷層上に、電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は賦型シート上に電離放射線硬化性樹脂組成物を設け、該印刷層と該樹脂組成物層とを対面させて、該積層体と賦型シートとをラミネートする工程である。本工程(b)により、基材/接着剤層/原紙/印刷層/電離放射線硬化性樹脂組成物層/賦型シートからなる積層体が得られる。
本発明において、印刷層上に、又は賦型シート上に設けられる電離放射線硬化性樹脂組成物層は、本発明の製造方法により得られる化粧シートに耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂と各種の添加成分とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物により形成される層である。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
本発明において、多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性を優れたものとする観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜6である。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
上述の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく、成形性の観点から2官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが特に好ましい。
また、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、1000〜20000であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましい。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、通常10000〜200000程度であり、好ましくは10000〜100000程度である。この範囲内であると、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性が得られる。
当該工程(b)において用いられる賦型シートとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルシート、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンシートなどのプラスチックシートが好ましく挙げられる。この賦型シートの厚さについては特に制限はないが、通常30〜200μm程度である。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物層を設ける工程に関わらず、すなわち工程(a)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体の印刷層上に、又は賦型シート、好ましくは賦型シートの剥離層上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設けるいずれの場合であっても、該電離放射線硬化性樹脂組成物層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙中への含浸率は、15%以上100%未満であることを要する。電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙中への含浸率が上記範囲内であると、原紙中の電離放射線硬化性樹脂組成物の存在によって高硬度な化粧板が得られ、また原紙に接着剤層を形成する接着剤が適当に浸透するため基材と原紙との層間密着性にも優れた化粧板が得られる。このような観点から、含浸率は20〜90%が好ましく、より好ましくは35〜85%である。
ここで、含浸率は、原紙の厚さ方向における電離放射線硬化性樹脂組成物の浸み込みの程度を意味するものであり、具体的には原紙の厚さに対する電離放射線硬化性樹脂組成物の浸み込んだ厚さの割合である。電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙中への浸み込んだ厚さは、化粧板の断面のSEM画像により具体的に得ることができる厚さである。
電離放射線硬化性樹脂組成物層の厚さ、あるいは電離放射線硬化性樹脂組成物の厚さが上記範囲内であると、該樹脂組成物を硬化させるときの硬化収縮が抑えられるため、樹脂組成物の硬化収縮に起因する反りや割れの発生を抑制することができる。
本発明の化粧板の製造方法における工程(c)は、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させて、印刷層上に保護層を形成させる工程である。すなわち、工程(c)は、前記工程(b)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層/電離放射線硬化性樹脂組成物層/賦型シートからなる積層体に電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させて、該樹脂組成物層を保護層とする工程である。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
本発明の化粧板の製造方法においては、さらに工程(d)として、賦型シートを剥離する工程を設けることができる。これにより、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層からなる層構成を有する化粧板が得られる。
本発明の化粧板の製造方法においては、基材の他方の面に、反り防止機能層を設けることができる。反り防止機能層としては、化粧板において、基材の表裏面における温度、湿度等の外部環境条件の違いにより反りを生じるおそれがある基材の場合には、例えばウレタンコート紙を設けることができる。
また、温度などの環境条件の変化により反りが生ずるおそれはないが、水滴の付着による吸水で反りが生ずるおそれがある基材の場合には、防水塗料を用いて形成された塗布層であることが好ましい。ここで、防水塗料としては、例えば、アクリル樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料などを採用することができる。
図1は、本発明の化粧板の製造方法における一例の製造工程図であり、上記した本発明の製造方法の工程(a)〜(d)に準じた工程図である。
工程(a)は、基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4からなる積層体(B)を得る工程であり、図1には二通りの工程が示されている。一つ目の工程は、原紙3の一方の面に印刷層4を設けて積層体(A1)を得て、該積層体(A1)の原紙3と基材1とを接着剤層2を介して貼付けして積層体(B)を得る工程である。また、二つ目の工程は、原紙3と基材1とを接着剤層2を介して貼付けした後、該原紙3上に印刷層4を設けて積層体(B)を得る工程である。また、図1には図示していないが、基材1の他方の面には、必要に応じて反り防止機能層を設けることができる。
また、工程(d)は、該化粧板(E)の賦型シート5を剥離して、基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4/保護層7からなる化粧板(F)を得る工程である。
よって、本発明の製造方法は、所望の効果に応じて、適宜選択しながら、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板を製造することが可能である。また、本発明においては、賦型シートの剥離層面の状態をコントロールすることにより、保護層の表面状態(例えば、鏡面仕様、マット仕様、木目、抽象柄など)を自由に制御することが可能である。
本発明はまた、前述した本発明の化粧板の製造方法で作製されたことを特徴とする化粧板I、すなわち、基材の一方の面に、接着剤層、原紙、印刷層、及び電離放射線硬化性樹脂組成物層を順に有し、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板I、及び化粧板Iにおいて、電離放射線硬化性樹脂組成物層の上に、さらに賦型シートを有する化粧板IIをも提供する。
また、本発明の化粧板I及びIIは、基材の他方の面に、反り防止機能層を設けることもできる。
(1)浸み込みムラ
樹脂の基材への浸み込みムラを目視で評価した。
◎;染み込みムラがなく、表面が平滑であった。
○+;染み込みムラ起因の凹凸が微かに認識された
○;染み込みムラ起因の凹凸がやや認識された。
△;染み込みムラ起因の凹凸が認識された。
×;著しい染み込みムラ起因の凹凸が認識された。
(2)塗布適性
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布適性の簡易評価方法として、該樹脂組成物を#40のバーを用いて木質基材上に原紙を設けたサンプル上に直接塗布した際の塗布面の状態を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:塗布面が平滑であった
○−:塗布面に若干の凹凸が確認された
△:塗布面に泡が発生した
×:塗布面に著しい泡が発生し、凹凸が確認された
(3)反り
各参考例、実施例及び比較例の手順に基づき、合板基材(縦:15cm,横:15cm,厚さ:2mm)を用いてサンプルを作製した。該サンプルを平滑面に置いた際の、端部の浮きの高さを測定し、下記の基準で評価した。
◎:端部の浮きが0.5mm未満であった
○:端部の浮きが0.5mm以上1.0mm未満であった
△:端部の浮きが1mm以上2mm未満であった
×:端部の浮きが2mm以上であった
(4)耐傷性
スチールウール(ボンスター#0000)を用いて、サンプル表層に300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎;外観に全く変化がなかった。
○;外観にほとんど変化がなかった。
△;外観に傷つきがあり、艶変化があった。
×;外観の傷つきが著しく、艶変化も著しかった。
(5)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠した「引っかき硬度(鉛筆法)試験」を500g荷重で行い、試験後の外観を下記の基準で評価した。
◎;2Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○;Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○−;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが微かに発生した
△;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生したが、目立たない程度である
×;Fの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生した。
(6)密着性
室温下、化粧板の表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」25mm幅)を貼着させ、該化粧板の表面と90度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。これを3回繰り返した時の化粧板の状態を観察した。
◎;全く剥離はなかった
○;ほとんど剥離はなかった
○−;若干剥離があるものの、実用上問題がない
△;剥離があった
×;剥離が著しい
(7)耐汚染性
化粧板表面を赤クレヨン、靴墨、染料、2%マーキュロクロムにてそれぞれ汚染した後、時計皿で覆った。24時間経過後に汚染物を水、中性洗剤、エタノールでそれぞれ拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の汚染残り、膨れ、艶変化等の外観を下記の基準で評価した。
○+;外観変化はなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
○−;汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
△;著しい汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化が生じた。
(8)耐薬品性
化粧板表面に1%水酸化ナトリウム、1%塩酸水溶液、10%アンモニア水をそれぞれ滴下後、時計皿で覆った。24時間経過後に薬品を水で拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の膨れ、艶変化等の外観を下記の基準で評価した。
○+;外観変化はなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
○−;膨れもしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
△;著しい膨れもしくは艶変化等の外観変化が生じた。
各参考例、実施例及び比較例で用いた原紙、及び該原紙上に各例と同じように印刷層を設けて得られた積層体について、JlS P8117:2009(紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法)に規定された方法に準拠して、試験装置(「王研式透気度試験機」,旭精工株式会社製)を用いて、各々原紙単独、原紙/印刷層からなる積層体の透気度を測定した。
(含浸率の測定)
各参考例、実施例及び比較例で得られた化粧板について、その断面の原紙について分析走査電子線硬化性樹脂顕微鏡(「SEMEDX Type−N(型番)」,株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、原紙に浸み込んだ電離放射線硬化性樹脂組成物の厚さを測定し、原紙の厚さに対する浸み込んだ電離放射線硬化性樹脂組成物の厚さの割合を含浸率とした。
薄葉紙(坪量:30g/m2,透気度:10秒)を原紙3とし、該原紙の一方の面に酢酸ビニル系接着剤を用いて厚さ30μmの接着剤層2を形成し、その上に基材1として厚さ2mmの木質合板を貼付して積層体(A2)を得たのち、該原紙上に水系アクリル樹脂インクを用いてベタ層を形成し、さらにセルロース系インク(体質顔料:硫酸バリウム、シリカ及びクレーの混合物を樹脂に対して500質量%含有)を用いて木目模様の絵柄層を形成し、印刷層4を形成して積層体(B)を得た。
別途容易した離型シート5(三菱樹脂株式会社製、商品名「E−130」,厚さ:25μm)の剥離層上に、硬化厚さが100μmになるように、電離放射線硬化性樹脂組成物として3官能(メタ)アクリレートモノマー組成物(株式会社昭和インク工業所製、3官能(メタ)アクリレートモノマー:95質量部,耐傷フィラー(シリカ微粒子:5質量部,平均粒径:0.1μm)を用いて、ロールコート法で塗布して、電離放射線硬化性樹脂組成物層6を設けて積層体(C2)を得た。
前記積層体(B)と積層体(C2)とを、印刷層4と電離放射線硬化性樹脂組成物層6とが対面するようにしてラミネートしたのち、加速電圧200kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物層6を硬化させて、保護層7を形成して、図2に示される基材1上に、接着剤層2、原紙3、印刷層4、保護層7、及び賦型シート5を順に有する化粧板IIを得た。次いで、該賦型シート5を剥離することにより、図1に示される基材1上に、接着剤層2、原紙3、印刷層4、及び保護層7を順に有する化粧板Iを得た。
得られた化粧板Iについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、第1表に示される原紙、電離放射線硬化性樹脂組成物、塗布量とした以外は、参考例1と同様にして化粧板を作製した。得られた化粧板について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
(電離放射線硬化性樹脂組成物A1)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:95質量部
耐傷フィラー(シリカ微粒子,平均粒径:0.1μm):5質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物A2)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:100質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物A3)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:91質量部
耐傷フィラー(シリカ微粒子,平均粒径:0.1μm):9質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物B)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:65質量部
2官能(メタ)アクリレートオリゴマー(分子量:2,000):35質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物C)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:90質量部
アクリルポリマー(分子量:15,000):10質量部
一方、原紙/印刷層の透気度が高い比較例1や2、及び電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度が非常に高い比較例4は、電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙への浸み込みが不足し、鉛筆硬度や密着性の点で十分ではなく、原紙への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が100%の比較例3は、原紙と基材との密着性が十分ではなかった。また、原紙/印刷層の透気度が高い比較例5においては、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量を増やすことで電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙への含浸率を上げたものの、該樹脂組成物の硬化収縮に起因した割れが発生してしまい、鉛筆硬度や密着性も低下してしまった。
2 接着剤層
3 原紙
4 印刷層
5 賦型シート
6 電離放射線硬化性樹脂組成物層
7 保護層
10 化粧板I
15 化粧板II
(A) 積層体
(B) 積層体
(C) 積層体
(D) 積層体
(E) 化粧板
(F) 化粧板
Claims (11)
- 以下の工程(a)〜(c)を順に有し、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層/賦型シートからなり、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上85%以下であることを特徴とする化粧板の製造方法。
(a)原紙の一方の面に印刷層を設けてから、該原紙の印刷層とは反対側の面と基材の一方の面とを接着剤層を介して貼付して、又は原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けて、基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体を形成する工程
(b)前記印刷層上に25℃における粘度が2000〜3000mPa・sである電離放射線硬化性樹脂組成物からなる電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は賦型シート上に25℃における粘度が2000〜3000mPa・sである電離放射線硬化性樹脂組成物からなる電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、前記印刷層と該樹脂組成物層とを対面させて、前記積層体と賦型シートとをラミネートする工程
(c)電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、前記印刷層上に保護層を形成させる工程 - 原紙の透気度が60秒以下である請求項1に記載の化粧板の製造方法。
- さらに、工程(d)として、賦型シートを剥離する工程を含み、化粧板が基材/接着剤層/原紙/保護層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧板の製造方法。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物層が電子線硬化性樹脂組成物層であり、かつ照射する電離放射線が電子線である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量が、20〜160g/m2である請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
- 賦型シートの剥離層面に、凹凸形状を形成する請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
- 基材の他方の面に、反り防止機能層を設ける請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
- 基材の一方の面に、接着剤層、原紙、印刷層、及び保護層を順に有し、該保護層は25℃における粘度が2000〜3000mPa・sである電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物であり、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への該保護層を形成する25℃における粘度が2000〜3000mPa・sである電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上85%以下であることを特徴とする化粧板。
- 保護層の上に、さらに賦型シートを有する請求項8に記載の化粧板。
- 保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物が、電子線硬化性樹脂組成物である請求項8又は9に記載の化粧板。
- 基材の他方の面に、反り防止機能層を有する請求項8〜10のいずれかに記載の化粧板。
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