JP5794069B2 - 化粧板の製造方法及び化粧板 - Google Patents

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本発明は、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板の製造方法、及び化粧板に関するものである。
従来、家具、机の天板、各種カウンターやドアーなどの住宅機器および内装材用に用いられる建材用化粧板の代表的なものとして、ポリエステル化粧板、ジアリルフタレート(DAP)化粧板及びメラミン樹脂化粧板が広く知られている。これらの化粧板は、一般に絵柄層を有する、又は単色に着色されたチタン紙などの強化紙に、それぞれポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂及びメラミン樹脂を含浸させ、基材、例えば木材、MDF(中比重ボード)、パーティクルボード、木質合板、窯業系ボードなどに載置し、含浸によって被覆された樹脂の上にプレス用鏡面版を当て、全体をプレス装置内に入れて加熱型締めし、樹脂を硬化させることによって製造されている。
しかしながら、これらのポリエステル化粧板、ジアリルフタレート化粧板及びメラミン樹脂化粧板においては、その製造過程で、それぞれスチレンモノマー、ジアリルフタレートモノマー及びホルムアルデヒドなどの有害物質が発生するという、環境衛生面で問題がある。
前記問題に対処するために、例えば電子線硬化型化粧板の製造方法として、基材の一方の面に基材の膨張を抑制する膨張抑制層を形成し、前記基材の他方の面に強化紙を貼付した後、この強化紙表面にシーラーによるシーラー処理および目止め塗料による目止め処理を施して目止め層を形成し、塗装原板を得る原板製造工程と、この原板製造工程で得られた前記塗装原板の目止め層表面を研磨し、この目止め層上に電子線硬化型クリヤーを塗布した後、不活性ガス雰囲気下で電子線照射を行い、前記電子線硬化型クリヤーを硬化させて塗膜層を形成する塗膜層形成工程とを有する化粧板の製造方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら、前記特許文献1に記載の技術においては、塗装原板の目止め層上に、電子線硬化性樹脂を直接塗布するため、塗布量が多くなると共に、塗布量のばらつきが大きくなるのを免れないという問題が生じる。したがって、この技術を合板やMDFなどの薄膜基材を用いた薄膜化粧板の製造に適用した場合、電子線硬化性樹脂の硬化収縮による基材の反りや割れが発生しやすく、かつ意匠のコントロールが難しいなどの問題が発生する。
ところで、化粧板には、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性も要求される。しかし、前記特許文献1に記載の技術においては、塗布量のばらつきなどに起因して、これらの表面特性が十分に得られないといった問題もあった。
特開2002−154191号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板の製造方法、及び化粧板を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねたところ、下記の構成を有する化粧シートにより当該課題を解決できることを見出した。本発明の要旨は、以下のとおりである。
1.以下の工程(a)〜(c)を順に有し、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層/賦型シートからなり、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板の製造方法。
(a)原紙の一方の面に印刷層を設けてから、該原紙の印刷層とは反対側の面と基材の一方の面とを接着剤層を介して貼付して、又は原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けて、基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体を形成する工程
(b)前記印刷層上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は賦型シート上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該印刷層と該樹脂組成物層とを対面させて、前記積層体と賦型シートとをラミネートする工程
(c)電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、前記印刷層上に保護層を形成させる工程
2.さらに、工程(d)として、賦型シートを剥離する工程を含み、化粧板が基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層からなることを特徴とする上記1に記載の化粧板の製造方法。
3.基材の一方の面に、接着剤層、原紙、印刷層、及び保護層を順に有し、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への該保護層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板。
4.保護層の上に、さらに賦型シートを有する上記3に記載の化粧板。
本発明によれば、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板の製造方法、及び化粧板を提供することができる。
本発明の化粧板の製造方法における一例の製造工程図である。 本発明の化粧板の層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の化粧板の層構成の一例を示す断面模式図である。
まず、本発明の化粧板の製造方法について説明する。
本発明の化粧板の製造方法は、下記の工程(a)、工程(b)、及び工程(c)を有し、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層/賦型シートからなり、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板の製造方法である。
[工程(a)]
本発明の化粧板の製造方法における工程(a)は、原紙の一方の面に印刷層を設けてから、該原紙の印刷層とは反対側の面と基材の一方の面とを接着剤層を介して貼付して、又は原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けて、基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体を形成する工程である。
(原紙)
工程(a)における原紙としては、坪量が70g/m2以下であれば特に制限はなく、例えば、薄葉紙、チタン紙、含浸紙などの紙を採用することができる。なお、これらの原紙は着色されていてもよい。原紙の坪量としては、70以下であることを要し、好ましくは20〜65g/m2、好ましくは25〜50g/m2である。
(印刷層)
印刷層は化粧材に装飾を施すために設けられる層である。本発明において、印刷層は、原紙と基材とを接着剤層を介して貼付する前、あるいは後のいずれに設けてもよい、すなわち、原紙の一方の面に印刷層を設けてから、基材と原紙とを接着剤層を介して貼付してもよいし、原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けてもよい。
印刷層は、絵柄層及び/又はベタ層により構成され、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。絵柄層の模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)などの岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様などがあり、これらを複合した寄木、パッチワークなどの模様もある。また、ベタ層は、全面にわたって被覆する一様均一な着色を施した層であり、意匠性を向上させる効果のほか、基材や原紙などを隠蔽する効果も有する。意匠性の向上の観点からは、絵柄層とベタ層とを設けることが好ましい。
印刷方法としては、通常の、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷などの輪転印刷、枚葉印刷のいずれをも適用できる。
また、印刷層の印刷に用いるインキとしては、特に制限はなく、バインダーに、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、酸化チタン、紺青、カーボンブラック、紅柄などの無機顔料やジスアゾ系顔料、イソインドリノン、ポリアゾ系顔料、キナクリドン、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、アルミニウム粉、銅粉、金属蒸着合成樹脂フィルムの微細断裁片、二酸化チタン被覆雲母、魚鱗箔などのパール状光沢をもつ顔料などを混合したものが用いられる。
印刷層を形成する絵柄層の厚さは1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1〜5μmである。また、ベタ層の厚さは1〜10μmであることが好ましく、より好ましくは1〜5μmである。印刷層の厚さは、印刷層が絵柄層のみを有する場合は絵柄層の厚さと同じであり、絵柄層とベタ層とを有する場合は絵柄層とベタ層との合計の厚さとなる。印刷層の厚さが上記範囲内であると、原紙/印刷層からなる積層体の透気度の調整が容易となり好ましい。
(基材)
工程(a)における基材としては、特に制限はなく、従来各種の化粧板に基材として慣用されているものの中から適宜選択して用いることができる。このような基材としては、例えば木材、MDF(中密度ファイバーボード)、パーティクルボード、木質合板、窯業系ボードなどを挙げることができる。
これらの基材の厚さは、通常2〜50mm程度であるが、本発明の化粧板の製造方法は、厚さが好ましくは2〜30mm、より好ましくは2〜5mmの木質合板やMDFなどの薄厚基材を用いた薄厚化粧板の製造に適用するのが特に有利である。このような薄厚の化粧板に適用しても、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化収縮による基材の反りや割れなどを防止し得るからである。
(接着剤層)
工程(a)において、前記原紙を基材に貼付するための接着剤層としては、感熱接着剤や加圧接着剤などで構成されるものが挙げられる。この接着剤層を構成する接着剤に用いられる樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの中から選ばれる少なくとも1種の樹脂が使用される。該接着剤層は、選択した1種又は2種以上の樹脂を溶液、あるいはエマルジョンなど塗布可能な形にしたものを、グラビア印刷法、スクリーン印刷法またはグラビア版を用いたリバースコーティング法などの手段により塗布、乾燥して形成することができる。
この接着剤層の厚さは、通常1〜100μm、好ましくは1〜60μm、より好ましくは10〜40μmである。
(透気度)
本発明の製造方法で得られる化粧板において、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であることを要する。透気度が500秒より大きいと、原紙に対して電離放射線硬化性樹脂組成物が含浸しにくくなり、優れた硬度が得られなくなる。優れた硬度を得る観点から、該積層体の透気度は300秒以下が好ましく、250秒以下がより好ましく、200秒以下がさらに好ましい。
また、原紙の透気度が60秒以下であることが好ましく、より好ましくは50秒以下であり、さらに好ましくは40秒以下である。原紙の透気度が上記範囲内であると、原紙に対して電離放射線硬化性樹脂組成物が含浸しやすくなるので、優れた硬度が得られる。
本明細書中において透気度とは、JlS P8117:2009(紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法)に規定された方法で100ccの空気が紙片を通過する秒数である。
[工程(b)]
本発明の化粧板の製造方法における工程(b)は、前述の工程(a)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体の印刷層上に、電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該樹脂組成物層と賦型シートとを対面させて、又は賦型シート上に電離放射線硬化性樹脂組成物を設け、該印刷層と該樹脂組成物層とを対面させて、該積層体と賦型シートとをラミネートする工程である。本工程(b)により、基材/接着剤層/原紙/印刷層/電離放射線硬化性樹脂組成物層/賦型シートからなる積層体が得られる。
(電離放射線硬化性樹脂組成物層)
本発明において、印刷層上に、又は賦型シート上に設けられる電離放射線硬化性樹脂組成物層は、本発明の製造方法により得られる化粧シートに耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂と各種の添加成分とを含む電離放射線硬化性樹脂組成物により形成される層である。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
電離放射線硬化性樹脂としては、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、例えば(メタ)アクリレートモノマー、(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、なかでも多官能性(メタ)アクリレートモノマー、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。また、これらのモノマー、オリゴマーを併用して用いてもよく、また組成物の粘度調整などの目的で単官能性(メタ)アクリレートを適宜併用することができる。
この多官能性(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、多官能性(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性を優れたものとする観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは3〜6である。
多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子中に複数のラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーであり、例えばウレタン(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系などが挙げられる。
ここで、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、ポリエーテルポリオールやポリエステルポリオールとポリイソシアネートの反応によって得られるポリウレタンオリゴマーを、(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーは、例えば、比較的低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂のオキシラン環に、(メタ)アクリル酸を反応しエステル化することにより得ることができる。また、このエポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマーを部分的に二塩基性カルボン酸無水物で変性したカルボキシル変性型のエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーも用いることができる。
ポリエステル(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、例えば多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって得られる両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより、あるいは、多価カルボン酸にアルキレンオキシドを付加して得られるオリゴマーの末端の水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
ポリエーテル(メタ)アクリレート系オリゴマーは、ポリエーテルポリオールの水酸基を(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得ることができる。
さらに、重合性(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、他にポリブタジエンオリゴマーの側鎖に(メタ)アクリレート基をもつ疎水性の高いポリブタジエン(メタ)アクリレート系オリゴマー、主鎖にポリシロキサン結合をもつシリコーン(メタ)アクリレート系オリゴマー、小さな分子内に多くの反応性基をもつアミノプラスト樹脂を変性したアミノプラスト樹脂(メタ)アクリレート系オリゴマーなどが挙げられる。
上述の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーは1種を単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーの内、多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが好ましく、成形性の観点から2官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーが特に好ましい。
本発明において、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性を優れたものとする観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。
また、多官能性(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、1000〜20000であることが好ましく、1000〜10000であることがより好ましい。
単官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの単官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電離放射線硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合には、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系などの光重合用開始剤が好ましく挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、かつ、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂の電離放射線の照射による硬化を阻害しない範囲内で、熱可塑性樹脂を含有してもよい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性の観点から、アクリル樹脂が好ましく、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位とするアクリル樹脂がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、通常10000〜200000程度であり、好ましくは10000〜100000程度である。この範囲内であると、耐薬品性、耐汚染性、あるいは高平滑性といった表面特性が得られる。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、各種添加成分として、耐摩耗フィラー、マット形成フィラー、耐傷フィラーなどのフィラー(充填剤)や、賦型シートとの離型性を向上させるために、シリコーン、あるいは耐候性向上のために、紫外線吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)を含有させることができる。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、各種添加成分として、得られる化粧板における表面保護層の隠蔽性向上、原紙の黄変防止や耐光性の向上などを図る目的で、酸化チタン、アルミペースト、カーボンブラックなどの無機系着色顔料を適宜添加することができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、400〜2500mPa・sであることが好ましい。粘度が上記範囲内にあると、電離放射線硬化性樹脂組成物が塗布しやすく、また後述する電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙への含浸が適当な範囲となり、含浸むらがなくなるため、均一に高硬度な化粧板が得られ、かつ抜け発生が抑制されるので高い意匠性も得られやすくなる。同様の観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の25℃における粘度は、200〜3000mPa・sが好ましく、400〜2500mPa・sが好ましく、より好ましくは600〜1500mPa・sである。
(賦型シート)
当該工程(b)において用いられる賦型シートとしては、通常、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルシート、ポリプロピレンやポリエチレンなどのポリオレフィンシートなどのプラスチックシートが好ましく挙げられる。この賦型シートの厚さについては特に制限はないが、通常30〜200μm程度である。
賦型シートとしては、その表面にシリコーン樹脂などの剥離剤を塗布し剥離層を設けたものが好ましい。また、剥離層はその面が、鏡面仕様であってもよいし、マット仕様やエンボスタイプ(木目、抽象柄などの意匠)の凹凸形状を形成してもよい。
(含浸率)
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物層を設ける工程に関わらず、すなわち工程(a)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体の印刷層上に、又は賦型シート、好ましくは賦型シートの剥離層上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設けるいずれの場合であっても、該電離放射線硬化性樹脂組成物層を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙中への含浸率は、15%以上100%未満であることを要する。電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙中への含浸率が上記範囲内であると、原紙中の電離放射線硬化性樹脂組成物の存在によって高硬度な化粧板が得られ、また原紙に接着剤層を形成する接着剤が適当に浸透するため基材と原紙との層間密着性にも優れた化粧板が得られる。このような観点から、含浸率は20〜90%が好ましく、より好ましくは35〜85%である。
ここで、含浸率は、原紙の厚さ方向における電離放射線硬化性樹脂組成物の浸み込みの程度を意味するものであり、具体的には原紙の厚さに対する電離放射線硬化性樹脂組成物の浸み込んだ厚さの割合である。電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙中への浸み込んだ厚さは、化粧板の断面のSEM画像により具体的に得ることができる厚さである。
本発明において、電離放射線硬化性樹脂組成物層は、工程(a)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体の印刷層上に、又は賦型シート、好ましくは賦型シートの剥離層上に、硬化厚さが通常1〜200μm程度、好ましくは20〜160μm程度、さらに好ましくは50〜110μm程度となるように、電離放射線硬化性樹脂組成物をグラビア印刷やロールコートなどの公知の塗付手段により塗付して形成すればよい。また、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量としては、通常1〜200g/m2程度、好ましくは20〜160g/m2程度、さらに好ましくは50〜110g/m2程度である。
電離放射線硬化性樹脂組成物層の厚さ、あるいは電離放射線硬化性樹脂組成物の厚さが上記範囲内であると、該樹脂組成物を硬化させるときの硬化収縮が抑えられるため、樹脂組成物の硬化収縮に起因する反りや割れの発生を抑制することができる。
[工程(c)]
本発明の化粧板の製造方法における工程(c)は、電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させて、印刷層上に保護層を形成させる工程である。すなわち、工程(c)は、前記工程(b)で得られた基材/接着剤層/原紙/印刷層/電離放射線硬化性樹脂組成物層/賦型シートからなる積層体に電離放射線を照射して、電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させて、該樹脂組成物層を保護層とする工程である。
本発明において、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋しうるエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も含むものである。これらのなかでも、本発明においては、電子線、あるいは紫外線を用いることが好ましい。電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚さに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させることが好ましい。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜200kGy(1〜20Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを照射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
このようにして基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層/賦型シートからなる層構成を有する化粧板が得られる。
[工程(d)]
本発明の化粧板の製造方法においては、さらに工程(d)として、賦型シートを剥離する工程を設けることができる。これにより、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層からなる層構成を有する化粧板が得られる。
(反り防止機能層)
本発明の化粧板の製造方法においては、基材の他方の面に、反り防止機能層を設けることができる。反り防止機能層としては、化粧板において、基材の表裏面における温度、湿度等の外部環境条件の違いにより反りを生じるおそれがある基材の場合には、例えばウレタンコート紙を設けることができる。
また、温度などの環境条件の変化により反りが生ずるおそれはないが、水滴の付着による吸水で反りが生ずるおそれがある基材の場合には、防水塗料を用いて形成された塗布層であることが好ましい。ここで、防水塗料としては、例えば、アクリル樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料などを採用することができる。
次に、本発明の化粧板の具体的な製造方法について、添付図面に従って説明する。
図1は、本発明の化粧板の製造方法における一例の製造工程図であり、上記した本発明の製造方法の工程(a)〜(d)に準じた工程図である。
工程(a)は、基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4からなる積層体(B)を得る工程であり、図1には二通りの工程が示されている。一つ目の工程は、原紙3の一方の面に印刷層4を設けて積層体(A1)を得て、該積層体(A1)の原紙3と基材1とを接着剤層2を介して貼付けして積層体(B)を得る工程である。また、二つ目の工程は、原紙3と基材1とを接着剤層2を介して貼付けした後、該原紙3上に印刷層4を設けて積層体(B)を得る工程である。また、図1には図示していないが、基材1の他方の面には、必要に応じて反り防止機能層を設けることができる。
工程(b)は、基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4/電離放射線硬化性樹脂組成物層6/賦型シート5からなる積層体(D)を得る工程である。より具体的には、図1に示される二通りの工程がある。一つ目の工程は、工程(a)で得られた積層体(B)の印刷層4上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して電離放射線硬化性樹脂組成物層6を設けて積層体(B1)を得て(図1中、EB層形成と称する。)、該電離放射線硬化性樹脂組成物層6と別途準備した賦型シート5(積層体(C1))とを対面させて、該積層体(B1)と積層体(C1)とをラミネートして積層体(D)を得る工程である。二つ目の工程は、賦型シート5上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して電離放射線硬化性樹脂組成物層6を設けて積層体(C2)を得て(図1中、EB層形成と称する。)、積層体(B)の印刷層4と該積層体(C2)の電離放射線硬化性樹脂組成物層6とを対面させて、該積層体(B)と積層体(C2)とをラミネートして積層体(D)を得る工程である。
ここで、賦型シート5は上記したように必要に応じて剥離層を有していてもよく、上記積層体(C1)が剥離層を有する場合は、電離放射線硬化性樹脂組成物層6と剥離層とを対面させて、積層体(B1)と積層体(C1)とをラミネートすればよく、また上記積層体(C2)が剥離層を有する場合は、電離放射線硬化性樹脂組成物は該剥離層上に塗布して電離放射線硬化性樹脂組成物層6を設ければよい。
工程(c)は、前記工程(b)で得られた基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4/電離放射線硬化性樹脂組成物層6/賦型シート5からなる積層体(D)に電離放射線を照射して(図1中、EB照射と称する。)、該電離放射線硬化性樹脂組成物層6を硬化させて保護層7とし、基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4/保護層7/賦型シート5からなる化粧板(E)を得る工程である。
また、工程(d)は、該化粧板(E)の賦型シート5を剥離して、基材1/接着剤層2/原紙3/印刷層4/保護層7からなる化粧板(F)を得る工程である。
本発明の製造方法により得られる化粧板(E)及び(F)は、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板である。とりわけ、賦型シート5上に電離放射線硬化性樹脂組成物層6を有する積層体(C2)を作製して化粧板を得る場合は、積層体(B)の印刷層4上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する場合に比べて、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量がより少なくてすみ、かつ塗布量のばらつきをより小さくすることができるので、該樹脂組成物の硬化収縮に起因する反りや割れの発生を抑制しうることが可能となり、そのような反りや割れが生じやすい薄厚化粧板の作製に好適に適用することができる。また、積層体(B)の印刷層4上に電離放射線硬化性樹脂組成物層6を形成する場合は、工程を合理化して生産性を向上させる観点から好ましい。
よって、本発明の製造方法は、所望の効果に応じて、適宜選択しながら、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板を製造することが可能である。また、本発明においては、賦型シートの剥離層面の状態をコントロールすることにより、保護層の表面状態(例えば、鏡面仕様、マット仕様、木目、抽象柄など)を自由に制御することが可能である。
[化粧板]
本発明はまた、前述した本発明の化粧板の製造方法で作製されたことを特徴とする化粧板I、すなわち、基材の一方の面に、接着剤層、原紙、印刷層、及び電離放射線硬化性樹脂組成物層を順に有し、該原紙の坪量が70g/m2以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板I、及び化粧板Iにおいて、電離放射線硬化性樹脂組成物層の上に、さらに賦型シートを有する化粧板IIをも提供する。
図2は、本発明の化粧板Iの層構成の一例を示す断面模式図である。化粧板Iは、基材1上に、接着剤層2、原紙3、印刷層4、及び保護層7を順に有するものである。また、図3は、本発明の化粧板IIの層構成の一例を示す断面模式図である。化粧板IIは、基材1上に、接着剤層2、原紙3、印刷層4、保護層7、賦型シート5を順に有するものである。化粧板IIは保護層7上に賦型シート5が設けられているので、保護層を保護するための層を別途設ける必要がないというメリットがある。
本発明の化粧板I及びIIにおいては、電離放射線硬化樹脂組成物層(保護層)の厚さは、該樹脂組成物の硬化収縮による反りや割れなどを防止する観点から、好ましくは3〜70μm、より好ましくは3〜50μmである。また、電離放射線硬化樹脂組成物層が、電子線硬化樹脂組成物層であることが好ましい。
また、本発明の化粧板I及びIIは、基材の他方の面に、反り防止機能層を設けることもできる。
これまでの化粧板では、平滑性を得るためにシーラー層を設けるものが一般的であったが、シーラー層を設けるがゆえに、電離放射線硬化性樹脂組成物が原紙や基材に浸透しにくくなるため、十分に浸透しない場合は耐薬品性や耐汚染性が著しく低下する場合があった。しかし、本発明の化粧板I及びIIは、シーラー層を設けることなく、本発明で規定する構成によって、高硬度、かつ耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を得ることができた。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、この実施例により、なんら限定されるものではない。
各例で得られた化粧板の意匠性及び物性は、下記のようにして評価した。
(1)浸み込みムラ
樹脂の基材への浸み込みムラを目視で評価した。
◎;染み込みムラがなく、表面が平滑であった。
○+;染み込みムラ起因の凹凸が微かに認識された
○;染み込みムラ起因の凹凸がやや認識された。
△;染み込みムラ起因の凹凸が認識された。
×;著しい染み込みムラ起因の凹凸が認識された。
(2)塗布適性
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布適性の簡易評価方法として、該樹脂組成物を#40のバーを用いて木質基材上に原紙を設けたサンプル上に直接塗布した際の塗布面の状態を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:塗布面が平滑であった
○−:塗布面に若干の凹凸が確認された
△:塗布面に泡が発生した
×:塗布面に著しい泡が発生し、凹凸が確認された
(3)反り
各実施例及び比較例の手順に基づき、合板基材(縦:15cm,横:15cm,厚さ:2mm)を用いてサンプルを作製した。該サンプルを平滑面に置いた際の、端部の浮きの高さを測定し、下記の基準で評価した。
◎:端部の浮きが0.5mm未満であった
○:端部の浮きが0.5mm以上1.0mm未満であった
△:端部の浮きが1mm以上2mm未満であった
×:端部の浮きが2mm以上であった
(4)耐傷性
スチールウール(ボンスター#0000)を用いて、サンプル表層に300g/cm2の荷重をかけて5往復擦り、外観を目視で評価した。評価基準は以下の通りである。
◎;外観に全く変化がなかった。
○;外観にほとんど変化がなかった。
△;外観に傷つきがあり、艶変化があった。
×;外観の傷つきが著しく、艶変化も著しかった。
(5)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に準拠した「引っかき硬度(鉛筆法)試験」を500g荷重で行い、試験後の外観を下記の基準で評価した。
◎;2Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○;Hの硬度で試験を行い、外観変化がほとんどなかった。
○−;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが微かに発生した
△;Hの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生したが、目立たない程度である
×;Fの硬度で試験を行い、塗膜傷もしくは凹みが発生した。
(6)密着性
室温下、化粧板の表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(商標)」25mm幅)を貼着させ、該化粧板の表面と90度の方向に、該セロファンテープを強制的に剥離した。これを3回繰り返した時の化粧板の状態を観察した。
◎;全く剥離はなかった
○;ほとんど剥離はなかった
○−;若干剥離があるものの、実用上問題がない
△;剥離があった
×;剥離が著しい
(7)耐汚染性
化粧板表面を赤クレヨン、靴墨、染料、2%マーキュロクロムにてそれぞれ汚染した後、時計皿で覆った。24時間経過後に汚染物を水、中性洗剤、エタノールでそれぞれ拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の汚染残り、膨れ、艶変化等の外観を下記の基準で評価した。
○+;外観変化はなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
○−;汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
△;著しい汚染残り、膨れ、もしくは艶変化等の外観変化が生じた。
(8)耐薬品性
化粧板表面に1%水酸化ナトリウム、1%塩酸水溶液、10%アンモニア水をそれぞれ滴下後、時計皿で覆った。24時間経過後に薬品を水で拭き取り、さらに24時間放置した。放置後の化粧板表面の膨れ、艶変化等の外観を下記の基準で評価した。
○+;外観変化はなかった。
○;外観変化はほとんどなかった。
○−;膨れもしくは艶変化等の外観変化がわずかに生じた。
△;著しい膨れもしくは艶変化等の外観変化が生じた。
(透気度の測定)
各実施例及び比較例で用いた原紙、及び該原紙上に各例と同じように印刷層を設けて得られた積層体について、JlS P8117:2009(紙及び板紙−透気度及び透気抵抗度試験方法(中間領域)−ガーレー法)に規定された方法に準拠して、試験装置(「王研式透気度試験機」,旭精工株式会社製)を用いて、各々原紙単独、原紙/印刷層からなる積層体の透気度を測定した。
(含浸率の測定)
各実施例及び比較例で得られた化粧板について、その断面の原紙について分析走査電子線硬化性樹脂顕微鏡(「SEMEDX Type−N(型番)」,株式会社日立ハイテクノロジーズ製)を用いて観察し、原紙に浸み込んだ電離放射線硬化性樹脂組成物の厚さを測定し、原紙の厚さに対する浸み込んだ電離放射線硬化性樹脂組成物の厚さの割合を含浸率とした。
実施例1
薄葉紙(坪量:30g/m2,透気度:10秒)を原紙3とし、該原紙の一方の面に酢酸ビニル系接着剤を用いて厚さ30μmの接着剤層2を形成し、その上に基材1として厚さ2mmの木質合板を貼付して積層体(A2)を得たのち、該原紙上に水系アクリル樹脂インクを用いてベタ層を形成し、さらにセルロース系インク(体質顔料:硫酸バリウム、シリカ及びクレーの混合物を樹脂に対して500質量%含有)を用いて木目模様の絵柄層を形成し、印刷層4を形成して積層体(B)を得た。
別途容易した離型シート5(三菱樹脂株式会社製、商品名「E−130」,厚さ:25μm)の剥離層上に、硬化厚さが100μmになるように、電離放射線硬化性樹脂組成物として3官能(メタ)アクリレートモノマー組成物(株式会社昭和インク工業所製、3官能(メタ)アクリレートモノマー:95質量部,耐傷フィラー(シリカ微粒子:5質量部,平均粒径:0.1μm)を用いて、ロールコート法で塗布して、電離放射線硬化性樹脂組成物層6を設けて積層体(C2)を得た。
前記積層体(B)と積層体(C2)とを、印刷層4と電離放射線硬化性樹脂組成物層6とが対面するようにしてラミネートしたのち、加速電圧200kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物層6を硬化させて、保護層7を形成して、図2に示される基材1上に、接着剤層2、原紙3、印刷層4、保護層7、及び賦型シート5を順に有する化粧板IIを得た。次いで、該賦型シート5を剥離することにより、図1に示される基材1上に、接着剤層2、原紙3、印刷層4、及び保護層7を順に有する化粧板Iを得た。
得られた化粧板Iについて、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
実施例2〜6,比較例1〜6
実施例1において、第1表に示される原紙、電離放射線硬化性樹脂組成物、塗布量とした以外は、実施例1と同様にして化粧板を作製した。得られた化粧板について、上記の評価を行った。評価結果を第1表に示す。
*1,電離放射線硬化性樹脂組成物の組成は以下の通りである。
(電離放射線硬化性樹脂組成物A1)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:95質量部
耐傷フィラー(シリカ微粒子,平均粒径:0.1μm):5質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物A2)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:100質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物A3)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:91質量部
耐傷フィラー(シリカ微粒子,平均粒径:0.1μm):9質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物B)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:65質量部
2官能(メタ)アクリレートオリゴマー(分子量:2,000):35質量部
(電離放射線硬化性樹脂組成物C)
3官能(メタ)アクリレートモノマー:90質量部
アクリルポリマー(分子量:15,000):10質量部
実施例1〜6で得られた化粧板は、いずれの評価も良好であり、
耐傷性や鉛筆硬度の評価が良好なことから高硬度であり、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性などの表面特性に優れており、また意匠性の点でも優れた性能を有する化粧板であることが確認された。
一方、原紙/印刷層の透気度が高い比較例1や2、及び電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度が非常に高い比較例4は、電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙への浸み込みが不足し、鉛筆硬度や密着性の点で十分ではなく、原紙への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が100%の比較例3は、原紙と基材との密着性が十分ではなかった。また、原紙/印刷層の透気度が高い比較例5においては、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量を増やすことで電離放射線硬化性樹脂組成物の原紙への含浸率を上げたものの、該樹脂組成物の硬化収縮に起因した割れが発生してしまい、鉛筆硬度や密着性も低下してしまった。
本発明の化粧板の製造方法は、高硬度かつ環境配慮型である上、耐薬品性、耐汚染性、及び高平滑性を有する化粧板を効率よく作製することができる。本発明の化粧板は、家具、机の天板、各種カウンターやドアーなどの住宅機器および内装材として用いられる建材用化粧板として好適である。
1 基材
2 接着剤層
3 原紙
4 印刷層
5 賦型シート
6 電離放射線硬化性樹脂組成物層
7 保護層
10 化粧板I
15 化粧板II
(A) 積層体
(B) 積層体
(C) 積層体
(D) 積層体
(E) 化粧板
(F) 化粧板

Claims (8)

  1. 以下の工程(a)〜(c)を順に有し、基材/接着剤層/原紙/印刷層/保護層/賦型シートからなり、該原紙の坪量が70g/m以下であり、原紙/印刷層からなる積層体の透気度が500秒以下であり、かつ該原紙中への電離放射線硬化性樹脂組成物の含浸率が15%以上100%未満であることを特徴とする化粧板の製造方法。
    (a)原紙の一方の面に印刷層を設けてから、該原紙の印刷層とは反対側の面と基材の一方の面とを接着剤層を介して貼付して、又は原紙と基材とを接着剤層を介して貼付してから、該原紙上に印刷層を設けて、基材/接着剤層/原紙/印刷層からなる積層体を形成する工程
    (b)賦型シート上に電離放射線硬化性樹脂組成物層を設け、該印刷層と該樹脂組成物層とを対面させて、前記積層体と該賦型シートとをラミネートする工程
    (c)電離放射線を照射して、前記電離放射線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、前記印刷層上に保護層を形成させる工程
  2. 原紙の透気度が60秒以下である請求項1に記載の化粧板の製造方法。
  3. さらに、工程(d)として、賦型シートを剥離する工程を含み、化粧板が基材/接着剤層/原紙/保護層からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧板の製造方法。
  4. 電離放射線硬化性樹脂組成物層が電子線硬化性樹脂組成物層であり、かつ照射する電離放射線が電子線である請求項1〜3のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
  5. 電離放射線硬化性樹脂組成物の25℃における粘度が、400〜2500mPa・sである請求項1〜4のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
  6. 電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布量が、20〜160g/mである請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
  7. 賦型シートの剥離層面に、凹凸形状を形成する請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
  8. 基材の他方の面に、反り防止機能層を設ける請求項1〜7のいずれかに記載の化粧板の製造方法。
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