JPH1177944A

JPH1177944A - 耐摩耗性を有する化粧材

Info

Publication number: JPH1177944A
Application number: JP27042797A
Authority: JP
Inventors: Toshitake Kobayashi; 利武小林
Original assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Current assignee: Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date: 1997-09-17
Filing date: 1997-09-17
Publication date: 1999-03-23

Abstract

(57)【要約】【課題】表面保護層に球状アルミナを含有せしめてなる
化粧材等のような、アルミナ等の無機フィラーを表面保
護層に直接添加した従来からの化粧材は、耐摩耗性に優
れているものの、保護層形成時のコーティング装置に負
担がかかり、ロールやドクターナイフ等を大きく摩耗さ
せていた。本発明はこのような従来技術の欠点を解決す
ることを課題とする。【解決手段】アルミナ粒子６に樹脂コート処理を施し、
該アルミナ粒子６の表面を樹脂７で被覆してなる耐摩フ
ィラー５を含有せしめた塗工組成物により、化粧材１の
最表面に位置してその表面を保護し、化粧材１に耐摩耗
性を与える耐摩耗性樹脂層３を基材２の表面に形成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、建築物の床面、壁
面、天井等の内装、家具ならびに各種キャビネットなど
の表面装飾用材料として用いられる化粧材に関し、特に
表面の耐摩耗性が要求される用途に使用される化粧材に
関する。

【０００２】

【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来か
ら、建築物の内装や家具、キャビネット等の表面装飾用
の化粧材として、メラミン化粧板、ダップ化粧板、ポリ
エステル化粧板、プリント合板、塩化ビニル化粧板等の
各種化粧材が用いられている。そして、このような化粧
材の表面の耐摩耗性を改良するために種々の試みがなさ
れており、本出願人も、バインダー樹脂として電離放射
線重合性オリゴマー、電離放射線重合性モノマー及び離
型剤を含有する組成物を用いた表面保護層を化粧材表面
に設ける方法を先に提案している（特開平５−８６３０
６号公報）。

【０００３】このようにバインダー樹脂に硬い樹脂を使
用すれば、確かに化粧材表面の耐摩耗性は向上する。し
かしながら、これによって表面保護層の硬度を高めて耐
摩耗性を改良する手段は、メラミン化粧板等の如き硬質
の基材を用いた化粧材を形成する場合であれば表面樹脂
層の柔軟性はあまり問題にはならなず、化粧材の耐摩耗
性を良好に改良できるものの、基材として厚みの薄い紙
やプラスチックシートのような柔軟なシート状のものを
用いる場合には、樹脂の架橋密度を高くすると樹脂層の
柔軟性が失われてしまうためシート状の基材では化粧材
を形成できなくなってしまったりする。また、表面樹脂
層が衝撃により割れたり、亀裂が発生しやすくなる等の
問題もあり、樹脂の架橋密度を上げて樹脂の硬度を上げ
ることにより耐摩耗性を改良する手段には限界があっ
た。

【０００４】一方、バインダー樹脂として硬い樹脂を使
用した化粧材に対して、表面保護層の耐摩耗性を向上さ
せるために、ポリカーボネート樹脂から形成した樹脂ビ
ーズ、或いはシリカ等の無機フィラーをバインダー樹脂
に添加した組成物を用いて表面保護層を形成してなる化
粧材も知られている。しかしながら、このような化粧材
は耐摩耗性が向上してはいるものの、その向上の度合い
は僅かであり、更に優れた耐摩耗性が要望されていた。

【０００５】また、本出願人は、上記欠点を改良するた
めに、表面保護層に球状アルミナを含有せしめてなる化
粧材を先に提案している（特開平８−１８３１４７号公
報）。この化粧材は、表面保護層の耐摩耗性が著しく改
善され、表面保護層を厚く形成する必要がないといった
効果が得られるものであるが、表面樹脂層を塗工形成す
る際に、コーティング装置に対する負担が大きく、塗工
組成物中のアルミナ粒子がコーティング装置の版やドク
ター、ポンプ等を摩耗させてしまうという問題があっ
た。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明の耐摩耗性を有す
る化粧材は、上記従来技術の有していた問題を解決する
ためになされたものであり、（１）アルミナ粒子に樹脂
コート処理を施してなる耐摩フィラーを含有せしめた塗
工組成物により形成された耐摩耗性樹脂層が表面に設け
られていることを特徴とする耐摩耗性を有する化粧材、
（２）アルミナ粒子の表面に２μｍ以上の厚みで被覆樹
脂層を形成してなる耐摩フィラーを用いた上記（１）記
載の耐摩耗性を有する化粧材、を要旨とするものであ
る。

【０００７】

【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に基づき詳細
に説明する。図１は本発明の耐摩耗性を有する化粧材の
一例を示す縦断面図である。また、図２はアルミナ粒子
に樹脂コート処理を施してなる耐摩フィラーの一例を示
す縦断面図である。

【０００８】図１に示すように本発明の耐摩耗性を有す
る化粧材１は、基材２の表面に耐摩耗性樹脂層３が設け
られている。該耐摩耗性樹脂層３は化粧材１の最表面に
位置してその表面を保護し、化粧材１に耐摩耗性を与え
る層である。

【０００９】本発明では、アルミナ粒子６に樹脂コート
処理を施し、該アルミナ粒子６の表面を樹脂７で被覆し
てなる耐摩フィラー５を含有せしめた塗工組成物によ
り、上記耐摩耗性樹脂層３を形成する。

【００１０】本発明におて上記耐摩フィラー５に用いる
アルミナ粒子６は、図２（ａ）に示すような不定形状に
粉砕されたものであっても良く、アルミナ粒子６の表面
に突起や角（カッティングエッジ）があっても構わない
が、本発明では、球状、球を扁平化した楕円球状又はこ
れらの形状に近いカッティングエッジがなく表面が滑ら
かな曲面で囲まれたアルミナ粒子６（図２（ｂ）参照）
を用いるのが好ましい。特に本発明では、アルミナ粒子
６は球状であるのが好ましく、アルミナ粒子６を球状と
することでより優れた耐摩耗性が得られる。

【００１１】アルミナ粒子６を球状に成形する方法とし
ては、例えば、粉砕した不定形状のアルミナを融点以上
の高温炉中に投入し溶融させ、表面張力を利用して球状
にする方法や、上記アルミナを融点以上の高温で溶融し
たものを霧状に吹き出して球状にする方法等が挙げられ
る。球状のアルミナ粒子は、昭和電工（株）製の「球状
アルミナ（ＳｐｈｅｒｉｃａｌＡｌｕｍｉｎａ）ＡＳ
−１０、ＡＳ−２０、ＡＳ−３０、ＡＳ−４０、ＡＳ−
５０」等を利用することができる。

【００１２】一方、本発明において樹脂コート処理によ
りアルミナ粒子６の表面を被覆する樹脂としては、耐摩
耗性樹脂層３を形成する塗工組成物中のバインダー成分
よりも高硬度のものが好ましく用いられる。

【００１３】本発明においてアルミナ粒子６を被覆する
樹脂としては、アクリル系、ウレタン系、ポリエステル
系、エポキシ系等の樹脂を用いることができる。

【００１４】本発明において、上記の如き樹脂コート処
理によってアルミナ粒子６の表面に被覆形成される樹脂
層７の厚みは、２μｍ以上であるのが好ましく、より好
ましくは５μｍ以上である。上記樹脂層７の厚みが２μ
ｍに満たないと、十分な強度が得られない。また、上記
樹脂層７の厚みの上限は、アルミナ粒子６の粒径を考慮
すると１０μｍ程度である。

【００１５】本発明では、樹脂コート処理が可能であり
且つアルミナ粒子の製造が可能となる粒径を考慮する
と、平均粒径１５〜１００μｍ程度のアルミナ粒子６が
用いられる。このようなアルミナ粒子６に樹脂コート処
理を施してなる耐摩フィラー５は、その平均粒径が２０
〜２００μｍであるのが好ましい。

【００１６】また、耐摩フィラー５の粒子径が上記範囲
を外れ、耐摩フィラー５の粒子径が小さくなると耐摩耗
性は低下し、逆に耐摩フィラー５の粒子径が大きくなる
と耐摩耗性が向上するが、耐摩フィラー５の粒子径があ
まり大きくなりすぎると、耐摩耗性樹脂層３を形成する
際の均一な塗工が困難になってしまう。

【００１７】このため、本発明では耐摩フィラー５の平
均粒径を、耐摩耗性樹脂層３の厚みに応じて選定するの
が更に好ましく、例えば、耐摩耗性樹脂層３の厚みを１
５〜２５μｍに形成する場合には、耐摩フィラー５の粒
子径は２０〜３０μｍの範囲であるのが好ましい。

【００１８】特に本発明では、耐摩耗性樹脂層３の平均
膜厚をｔ（ｍｍ）とし、耐摩フィラー５の平均粒径をｄ
（ｍｍ）とした場合、下記（１）式を満足するように耐
摩フィラー５を選択するのが望ましい。耐摩フィラー５
の平均粒径ｄ（ｍｍ）が２．０ｔを超えると、耐摩耗性
樹脂層３の表面に耐摩フィラー５がはみ出し、該層の外
観が低下する虞れがある。一方、耐摩フィラー５の平均
粒径ｄ（ｍｍ）が０．３ｔ未満の場合には充分な耐摩耗
性が得られない虞れがある。

【数１】０．３ｔ≦ｄ≦２．０ｔ・・・・・・（１）

【００１９】また、上記耐摩フィラー５は、その表面を
処理することができる。例えば、ステアリン酸等の脂肪
酸で処理することで分散性が向上する。また、表面をシ
ランカップリング剤で処理することで、バインダーとの
密着性や塗工組成物中での粒子の分散性が向上する。

【００２０】耐摩フィラー５の表面をシランカップリン
グ剤で処理する方法は特に制限はなく、公知の方法が使
用できる。例えば、乾式法として耐摩フィラー５を激し
く攪拌しながら所定量のシランカップリング剤を吹きつ
ける方法や、湿式法としてトルエン等の溶剤中に耐摩フ
ィラー５を分散させた後に、所定量のシランカップリン
グ剤を加え反応させる方法が挙げられる。

【００２１】耐摩フィラー５に対するシランカップリン
グ剤の処理量（所要量）としては、耐摩フィラー５の比
表面積１００に対してシランカップリング剤の最小被覆
面積が１０以上となる処理量が好ましい。耐摩フィラー
５の最小被覆面積が耐摩フィラー５の比表面積１００に
対して１０未満の場合はあまり効果が得られない。

【００２２】本発明において、上記耐摩フィラー５は、
塗工組成物中のバインダー成分１００重量部に対し、２
０〜３０重量部となるように調製するのが好ましい。耐
摩フィラー５の添加量が少ない場合、耐摩耗性向上等の
耐摩フィラー５の添加による効果が充分発揮できない虞
れがある。一方、耐摩フィラー５の添加量が多くなりす
ぎると、耐摩耗性樹脂層３の可撓性が低下する虞れや、
塗工組成物の作業性が低下する等の弊害が生じてくる。

【００２３】また、耐摩耗性樹脂層３を基材２表面に形
成するための塗工組成物に用いるバインダー成分として
は、電離放射線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂（常温硬化
型樹脂、二液反応硬化型樹脂を含む）等の従来公知の架
橋性樹脂が利用できる。これらのなかでも硬化速度が速
く作業性も良好であり、しかも柔軟性や硬度等の樹脂の
物性の調節も容易であるため、柔軟な基材を用いた場合
にはシート状の化粧材を効率良く連続生産可能であると
いう点から電離放射線硬化性樹脂を用いるのが好まし
い。

【００２４】上記架橋性樹脂は化粧材１の用途に応じて
適宜選択され、未架橋状態で耐摩フィラー５を分散させ
て塗工組成物を調製し、これを基材２に塗工した後に、
架橋させ、硬化させることによって耐摩耗性樹脂層３が
形成される。本発明において耐摩耗性樹脂層３の厚み
は、好ましくは１０〜１００μｍであり、より好ましく
は１５〜３０μｍである。耐摩耗性樹脂層３の厚みが１
０μｍに満たないと十分な耐摩耗性が得られなくなって
しまい、また、１００μｍを超えると化粧シート１にカ
ールが発生し易くなってしまうという問題がある。

【００２５】また、架橋性樹脂は、その架橋密度が高く
なるほど耐摩耗性は向上するが、柔軟性は低下するた
め、架橋性樹脂の架橋密度は、化粧材１の用途等によっ
て要求される耐摩耗性と柔軟性に応じて、基材２の種類
等と合わせて適宜選定するのが好ましい。また、架橋性
樹脂は平均架橋間分子量が小さい程（即ち、架橋密度が
大きい程）、バインダーの架橋性樹脂が耐摩フィラー５
をしっかりと保持し、耐摩耗性がよりいっそう向上す
る。このため、本発明では可撓性を損なわない範囲で架
橋性樹脂の平均架橋間分子量を小さく調節することで、
耐摩耗性を更に向上させることができる。

【００２６】ここで、架橋密度は、例えば、下記（２）
式で求められる平均架橋間分子量で表すことができる。

【数２】平均架橋間分子量＝全体の分子量／架橋点の数・・・・・・（２）但し、全体の分子量は、Σ（各成分の配合モル数×各成
分の分子量）である。また、架橋点の数は、Σ［｛（各
成分の官能基数−１）×２｝×各成分のモル数］であ
る。

【００２７】本発明においてバインダー成分に用いる電
離放射線硬化性樹脂としては、具体的には、分子中に重
合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマ
ー、オリゴマー、及び／又はモノマーを適宜混合した、
電離放射線により硬化可能な組成物が挙げられる。電離
放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合
或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味
し、通常は紫外線又は電子線が用いられる。

【００２８】上記プレポリマー、オリゴマーの例として
は不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不
飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポ
リエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレー
ト、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポ
リエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレ
タンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオ
ールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレ
ート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。

【００２９】また、電離放射線硬化性樹脂に用いるモノ
マーの例としては、スチレン、αメチルスチレン等のス
チレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−２
−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリ
ル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メ
トキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エス
テル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メ
タクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メ
タクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アク
リル酸−２−（Ｎ、Ｎ−ジエチルアミノ）エチル、メメ
タクリル酸−２−（Ｎ、Ｎ−ジメチルアミノ）エチル、
アクリル酸−２−（Ｎ、Ｎ−ジベンジルアミノ）メチ
ル、アクリル酸−２−（Ｎ、Ｎ−ジエチルアミノ）プロ
ピル等の不飽和置酸の置換アミノアルコールエステル
類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カル
ボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プ
ロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコ
ールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリ
レート、１，６ヘキサンジオールジアクリレート、トリ
エチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロ
ピレングリコールジアクリレート、エチレングリコール
ジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレー
ト、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能
性化合物、及び／又は、分子中に２個以上のチオール基
を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプ
ロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパン
トリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチ
オグリコール等が挙げられる。

【００３０】通常、以上の化合物を必要に応じて１種も
しくは２種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性
樹脂に通常の塗工適性を付与するために、前記プレポリ
マー又はポリチオールを５重量％以上、前記モノマー及
び／又はポリチオールを９５重量％以下とするのが好ま
しい。

【００３１】モノマーの選定にさいしては、硬化物の可
撓性が要求される場合は塗工適性上支障のない範囲でモ
ノマーの量を少なめにしたり、１官能または２官能アク
リレートモノマーを用い、比較的低架橋密度の構造とす
る。また、硬化物の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性等が要
求される場合には、塗工適性上支障のない範囲でモノマ
ーの量を多めにしたり、３官能以上のアクリレートモノ
マーを用いることで高架橋密度の構造とすることができ
る。尚、１、２官能モノマーと３官能以上のモノマーを
混合し塗工適性と硬化物の物性とを調整することもでき
る。

【００３２】以上のような１官能性アクリレートモノマ
ーとしては、２−ヒドロキシアクリレート、２−ヘキシ
ルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等が挙
げられる。また、２官能アクリレートとしてはエチレン
グリコールジアクリレート、１，６−ヘキサンジオール
ジアクリレート等が、また３官能以上のアクリレートと
しては、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペ
ンタエリスリトールトリ（テトラ）アクリレート、ジペ
ンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられ
る。

【００３３】更に、電離放射線硬化性樹脂には、硬化物
の可撓性、表面硬度等の物性を調整するための電離放射
線非硬化性樹脂を添加することができる。該電離放射線
非硬化性樹脂としてはウレタン系、繊維素系、ポリエス
テル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ塩化ビニル、
ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられ、特に繊維
素系、ウレタン系、ブチラール系が可撓性の点から好ま
しい。

【００３４】以上の如き組成の電離放射線硬化性樹脂を
硬化させるために紫外線を照射する場合には、光重合開
始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミ
ヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエス
テル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキ
サントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウ
ム塩、メタロセン、また、光重合促進剤（増感剤）とし
てｎ−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−ｎ−ブ
チルホスフィン等を、更に混合して用いることができ
る。

【００３５】また、本発明においてバインダー成分に用
いる熱硬化性樹脂としては、具体的には、フェノール樹
脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹
脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリ
ウレタン系樹脂（２液型ポリウレタンも含む）、エポキ
シ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合
樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
これらに必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、
重合促進剤等を添加して用いることができる。上記の硬
化剤としては、通常、イソシアネート又は有機スルホン
酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂
に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパー
オキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等の
ラジカル開始剤が不飽和ポリエステル等によく使用され
る。

【００３６】上記のイソシアネートとしては、２価以上
の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱
変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ま
しい。具体的なイソシアネートとしてトリレンジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、４，４′−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイ
ソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられ
る。

【００３７】上記２液型ポリウレタンとしては、その分
子構造中に水酸基を平均して２個以上有するポリオール
化合物からなる第１液と、ポリイソシアネート化合物か
らなる第２液とを、水酸基とイソシアネート基の当量比
が０．７〜１．５になるように配合したものが挙げられ
る。

【００３８】上記エポキシ樹脂としては、その分子構造
中にエポキシ基を平均２個以上有するエポキシ樹脂とエ
ポキシ基と反応する活性水素を１分子中に３個以上有す
るモノ−、またはポリ−アミンとをエポキシ樹脂のエポ
キシ当量とモノ、またはポリアミンの活性水素当量の比
が、０．７〜１．５になるように配合したものが挙げら
れる。

【００３９】上記したようなバインダー成分としての架
橋性樹脂に耐摩フィラー５を含有せしめた塗工組成物に
は、これらの成分以外にも、染料や顔料等の着色剤、そ
の他のＣａＣＯ₃、ＢａＳＯ₄、ナイロン樹脂ビーズ等
の公知の艶消調整剤や増量剤といった充填剤、消泡剤、
レベリング剤、チクソトロピー性付与剤などの塗料、イ
ンキに通常添加される添加剤を加えることができる。更
に、化粧材１の耐セロテープ性や耐汚染性を向上させる
ために、シリコーン系又はフッ素系の添加剤を０．１〜
１０重量％の範囲で添加することもできる。

【００４０】また、上記塗工組成物には、粘度を調整す
るために、架橋性樹脂の成分を溶解可能であり、常圧に
おける沸点が７０℃〜１５０℃の溶剤を、組成物中に３
０重量％以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加
量が３０重量％以下の範囲であれば、乾燥がスムーズで
あり、生産スピードの大きな低下がない。

【００４１】上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通
常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエ
チルケトンメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン
等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ア
ミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチル
アルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール
類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピル
エーテルなどのエーテル類およびこれらの２種以上の混
合物が挙げられる。

【００４２】また、本発明における基材２の材質として
は、紙、プラスチック、金属箔、板等が用いられる。そ
の形状としては例えば紙、プラスチックシート、不織布
等のシート状のもの、あるいは金属板、木質板、プラス
チック板などの板状のもの等のいずれを用いることもで
きるが、柔軟性を有するシート状のものを用いるのが、
製造工程においてシート状物のロールを基材として使用
し化粧材の連続生産が可能であるため好ましい。通常、
基材２は、シート状のものを使用する場合は、厚さ５〜
２００μｍのものが好ましく用いられる。また、基材２
は表面に凹凸を有するものや、立体形状を有するものな
どを使用することも可能である。

【００４３】基材２として用いる紙は、具体的には、薄
葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏
ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル塗工又はドラ
イラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反、上質紙、コ
ート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント
紙、パラフィン紙、和紙等が挙げられる。また、紙類似
シートも基材２として用いることができる。上記紙類似
シートには、硝子繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、
アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機質繊維、
ポリエステル、ビニロン等の有機樹脂等を用いた織布又
は不織布等が挙げれる。

【００４４】また、基材２として用いるプラスチックシ
ートは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペ
ンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−ビニルアルコール共重合体、ビニロン等のビ
ニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート−イソフ
タレート共重合体等のポリエステル樹脂、ポリメタアク
リル酸メチル、ポリメタアクリル酸エチル、ポリアクリ
ル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹
脂、ナイロン６、ナイロン６６等のポリアミド、三酢酸
セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂、ポリス
チレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミ
ド等の合成樹脂フィルム、又はシートの単層体又は積層
体が挙げられる。また、金属箔としての金属には、アル
ミニウム、ステンレス鋼、鉄、銅等が挙げられる。

【００４５】また、基材２として用いられる板は、木材
単板、木材合板、パーチクルボード、ＭＤＦ（中密度繊
維板）等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系
板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コン
クリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パル
プセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊
維セメント板、陶器、磁気、せっ器、土器、硝子、琺瑯
等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化
ビニルゾル塗工鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属
板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ＡＢＳ
板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノー
ル樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポ
リウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等
の熱硬化性樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和
ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、
メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝
子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含
浸硬化して複合化したいわゆるＦＲＰ板等の樹脂板が挙
げられる。

【００４６】また、基材２は上記各種基材の２種以上を
接着剤、熱融着等の公知の手段により積層した複合基材
を用いても良い。

【００４７】次に、前述した塗工組成物を用いて基材２
の表面に耐摩耗性樹脂層３を形成する方法について説明
する。

【００４８】耐摩耗性樹脂層３を形成する方法には、
基材２の表面に塗工組成物を直接塗工する直接コーティ
ング法、又は剥離性の基材表面に耐摩耗性樹脂層３を
予め形成した後、該層を基材２の表面に転写する、転写
コーティング法が用いられる。一般に基材２の材質とし
て、塗工組成物が浸透しないものを使用した場合には上
記の及びの何方を用いてもよいが、塗工組成物を浸
透させる基材２を使用した場合や、表面に凹凸のある基
材、ならびに、塗膜厚みの均一性を出す場合、電離放射
線の強度を均一にして均一な耐摩耗性を形成したい場合
には、上記の転写コーティング法が用いるのが好まし
い。

【００４９】上記の直接コーティング法は、グラビア
コート、グラビアリバースコート、グラビアオフセット
コート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロ
ールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコ
ート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバ
ーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコー
ト、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる
が、好ましいのはグラビアコートである。

【００５０】の転写コーティング法は、下記の（ａ）
〜（ｄ）に示す、一旦、薄いシート（フィルム）基材に
塗膜を形成し架橋硬化せしめ、しかる後基材の表面に被
覆する方法であり、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体
物に接着するラミネート法（ａ、ｂ）、一旦離型性支持
体シート上に塗膜と必要に応じて接着材層を形成し塗膜
を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を立体
物に接着後、支持体シートのみ剥離する転写法（ｃ）等
の手段を利用することができる。尚、薄いシート基材
に、耐摩耗性樹脂層３を形成する方法は上記の直接コー
ティング法と同じ各種のコーティング手段を用いること
ができる。（ａ）特公平２−４２０８０号公報、特公平４−１９９
２４号公報等に開示されるような射出成形同時転写法。
或いは特公昭５０−１９１３２号公報に開示されるよう
な射出成形同時ラミネート法。（ｂ）特開平４−２８８２１４号公報、特開平５−５７
７８６号公報に開示されるような真空成形同時転写法。
或いは特公昭５６−４５７６８号公報に開示されるよう
な真空成形同時ラミネート法。（ｃ）特公昭５９−５１９００号公報、特公昭６１−５
８９５号公報、特公平３−２６６６号公報等に開示され
るように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時
ラミネート法。（ｄ）実公大１５−３１１２２号公報等に開示されてい
るＶカット加工同時ラミネート法、或いは特公昭５６−
７８６６号公報等に開示されているＶカット加工同時転
写法。

【００５１】また、上記の転写コーティング法の一つ
として、例えば架橋性樹脂として電離放射線硬化性樹脂
を用いる場合には、下記の（Ａ）〜（Ｄ）の工程を順次
行う方法を用いることもできる（特開平２−２６６７３
号公報等記載）。（Ａ）非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化
液状の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工する工程。（Ｂ）前記電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布面が基材
と接するようにラミネートする工程。（Ｃ）前記電離放射線硬化性樹脂組成物の塗膜に電離放
射線を照射して架橋、硬化させる工程。（Ｄ）合成樹脂シートを剥離除去する工程。上記の工程において、電離放射線硬化性樹脂として溶剤
で希釈されたものを使用する場合には、工程（Ａ）と
（Ｂ）との間に溶剤を乾燥する工程を行う。上記の方法
によれば、基材として紙のような浸透性の高い材質の場
合であっても、樹脂が基材の裏側に抜ける、いわゆる
「うらぬけ」を確実に防止して、基材表面に良好な耐摩
耗性樹脂層を容易に形成可能である。

【００５２】塗工組成物のバインダー成分として電離放
射線硬化性樹脂を用いる場合、該樹脂を硬化させるため
に用いられる電離放射線照射装置は、紫外線を照射する
場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カ
ーボンアーク、ブラックライトランプ、メタルハライド
ランプ等の光源が用いられ、また、電子線を照射する場
合には、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共
振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは直線型、ダイナ
ミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器等を用い
る。

【００５３】電子線の照射量は、通常１００〜１０００
ｋｅＶ、好ましくは１００〜３００ｋｅＶのエネルギー
を持つ電子を０．１〜３０Ｍｒａｄ程度の照射量で照射
する。照射量が０．１Ｍｒａｄ未満の場合、硬化が不十
分となる虞れがあり、また、照射量が３０Ｍｒａｄを超
えると、硬化した塗膜或いは基材が損傷を受ける虞れが
出てくる。また、紫外線により硬化させる場合の照射量
は、好ましくは５０〜１０００ｍＪ／ｃｍ²である。紫
外線の照射量が５０ｍＪ／ｃｍを未満では硬化が不十分
となる虞れがあり、また、照射量が１０００ｍＪ／ｃｍ
²を超えると、硬化した塗膜が黄変化する虞れがある。

【００５４】また、塗工組成物のバインダー成分として
熱硬化性樹脂を使用した場合には、熱硬化性樹脂の硬化
反応を促進するために、塗工組成物を塗工後加熱しても
良い。この加熱時間は例えば、イソシアネート硬化型不
飽和ポリエステル系樹脂、又はポリウレタン樹脂の場合
は、通常４０〜６０℃で１〜５日程度、またポリシロキ
サン樹脂の場合は、通常８０〜１５０℃で１〜３００分
程度である。

【００５５】本発明の化粧材１は、基材２と該基材２の
表面に形成された耐摩耗性樹脂層３とからのみ構成する
こともできるが、図１に示したように基材２の表面に絵
柄４を設け、更にその表面に耐摩耗性樹脂層３を設けて
構成することもできる。

【００５６】絵柄４は、ベヒクルに必要に応じて、公知
の顔料、染料等の着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可
塑剤、触媒、硬化剤等を適宜混合した印刷用インキにて
印刷形成する。

【００５７】上記ベヒクルとしては熱可塑性樹脂、熱硬
化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂等の中から必要な物
性、印刷適性等に応じて適宜選択したものを使用する。
また、顔料としては、通常使用される有機系または無機
系の顔料が使用できる。希釈溶剤としてはベヒクルの樹
脂、顔料等の着色剤、その他添加物の溶解、分散能力が
あり、また適度な乾燥性を有する液体溶剤が使用され
る。一般には溶解度パラメータがベヒクルと近似する液
体溶剤を選定するのが溶解性の点から好ましい。

【００５８】絵柄４は、図１に示すように一部にパター
ン状（例えば木目、布目、図形、文字等の絵柄模様）に
設けても、また特に図示しないが該基材２の全面に設け
ても良い。部分的に設けるのは例えば絵柄の一部（例え
ば木目柄の照り部分）を特に強調させた場合等であり、
全面的に設けるのはベタ状の絵柄模様において全体的に
パール感や干渉的外観を現出させる場合等である。

【００５９】図３は本発明の化粧材１の他の一例を示す
縦断面図である。図３に示すように本発明の化粧材１は
基材２の表面に樹脂層８を設け、その表面に模様状凹部
を形成し、該樹脂層８の表面の凹部に通常の着色インキ
をワイピング充填しワイピングインキ層９を設け、その
最表面に耐摩耗性樹脂層３を形成することもできる。ま
た、図示しないが、基材２の表面に直接、部分的に凹部
及びワイピングインキ層を設けてもよい。

【００６０】図３に示す態様は、耐摩耗性樹脂層３を形
成する塗工組成物をワイピングインキの表面保護層とし
て用いた場合の例である。図３に示す化粧材１において
ワイピング充填した着色インキのワイピングインキ層９
を形成するには以下に示す方法が用いられる。

【００６１】即ち、表面樹脂層８に公知のエンボス方法
にて模様状の凹凸が設けられた基材２の全面に、着色イ
ンキを含む塗工組成物を塗工した後、その塗工物の塗工
された表面樹脂層の上を、ドクターブレード、エアーナ
イフ或いはスポンジ等を表面材とするローラー等で拭き
取り凸部の塗工組成物を除去して、凹部のみに着色イン
キ樹脂層を形成する。このワイピング加工は、着色した
塗工組成物を用いることで、特に絵柄を木目として絵柄
と凹部を同調させ、木目の導管部の外観を良好に再現す
ることができる。尚、この場合には樹脂層８は透明樹脂
を用いる。

【００６２】本発明の耐摩耗性を有する化粧材は、種々
の用途に適し、例えば建築物、車両船舶、家具、楽器、
キャビネット類等の表面の装飾、包装材料の装飾用とし
て有用である。特に本発明の化粧材は耐摩耗性の要求さ
れる分野に最適である。本発明の化粧材を上記の用途に
使用する場合には、上記の各種被装飾物の表面に、前記
の転写コーティング法の説明部分に記載した（ａ）〜
（ｄ）の各種の手段等を利用して積層することができ
る。

【００６３】

【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
を更に詳細に説明する。

【００６４】実施例１含浸紙〔興人製：ＧＦ−６０１〕上に、ＨＡＴインキ
（インクテック製）を用いて印刷ベタ層、絵柄層をグラ
ビア印刷により順次設け、更にその上に下記組成の塗工
組成物をグラビアダイレクト方式で塗工し（塗布量２５
ｇ／ｍ²）、電子線を照射して（１７５ｋｖ、５Ｍｒａ
ｄ）、表面に耐摩耗性樹脂層が形成された化粧紙を得
た。

【００６５】〔塗工組成物〕・ビスＡ（ＥＯ）₄ジアクリレート４０重量部・ＴＭＰ（ＥＯ）₃トリアクリレート１０重量部・耐摩フィラー〔平均粒径２５μｍ、アルミナ平均粒径２０μｍ、被覆樹脂層の厚み２．５μｍ、被覆樹脂：アクリル系樹脂〕２０重量部・シリコーン１重量部・酢酸エチル３０重量部

【００６６】〔比較例１〕塗工組成物中の耐摩フィラー
に平均粒径２５μｍのアルミナ粒子を用いた以外は、実
施例１と同様にして化粧紙を得た。

【００６７】得られた化粧材の耐摩耗試験を行った結果
を表１に示す。耐摩耗性試験はＪＩＳＫ６９０２に
準じて行い、耐摩耗性樹脂層の厚みが半分になるまでの
回数を示した。

【００６８】

【表１】

【００６９】また、実施例１、２ではコーティング装置
の版やドクター、ポンプ等の摩耗は殆ど認められなかっ
たが、比較例１では１００００ｍ塗工後にコーティング
装置の版を調べたところ、版のクロムメッキ厚が１０μ
ｍ程度減少していた。更に、比較例１では５０００ｍ塗
工毎にドクターの研磨が必要であった。

【００７０】

【発明の効果】本発明の耐摩耗性を有する化粧材は、最
表面に設けられる耐摩耗性樹脂層にアルミナ粒子に樹脂
コート処理を施してなる耐摩フィラーを含有せしめ、こ
れによって化粧材に耐摩耗性を与えているため、従来の
アルミナ等の無機フィラーを直接添加した耐摩耗性樹脂
層と比較して、コーティング装置に対する負担が小さ
く、耐摩耗性樹脂層を形成する際に上記耐摩フィラー
が、コーティング装置のロールやドクターナイフ等を大
きく摩耗させることなく、耐摩耗性の良好な化粧材が得
られる。その上、耐摩フィラーを添加することによ耐摩
耗性樹脂層の高度を高くしなくとも耐摩耗性を向上させ
ることができるので、柔軟な基材を用いた化粧材であっ
ても耐摩耗性樹脂層の柔軟性を損なうことなく、高い耐
摩耗性を有する化粧材となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の化粧材の一例を示す縦断面図である。

【図２】本発明の化粧材に用いる耐摩フィラーの一例を
示す縦断面図である。

【図３】本発明の化粧材の他の一例を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１化粧材２基材３耐摩耗性樹脂層５耐摩フィラー６アルミナ粒子７被覆樹脂層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号ＦＩＣ０９Ｃ 3/10 Ｃ０９Ｃ 3/10 Ｃ０９Ｄ 201/00 Ｃ０９Ｄ 201/00

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】アルミナ粒子に樹脂コート処理を施してな
る耐摩フィラーを含有せしめた塗工組成物により形成さ
れた耐摩耗性樹脂層が表面に設けられていることを特徴
とする耐摩耗性を有する化粧材。
【請求項２】アルミナ粒子の表面に２μｍ以上の厚みで
被覆樹脂層を形成してなる耐摩フィラーを用いた請求項
１記載の耐摩耗性を有する化粧材。