JP2016187942A - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦傷性及び意匠性に優れ、且つ、製造の際の設備の損傷が抑制された化粧シート、及び化粧板を提供する。【解決手段】基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されている化粧シートであって、(1)前記低艶絵柄層はパターン状に形成され、且つ、前記表面保護層と接するように積層されており、(2)前記表面保護層の厚みは2〜15μmであり、(3)前記表面保護層は、平均粒子径が25μm以下である耐摩耗性フィラーを含有し、(4)前記耐摩耗性フィラーは、モース硬度が8以下であり、(5)前記耐摩耗性フィラーの含有量は、前記表面保護層に含まれる樹脂成分100質量部に対して3〜15質量部である、ことを特徴とする化粧シート。【選択図】なし

Description

本発明は、化粧シート及び化粧板に関する。
従来、様々な物品の表面には、意匠性を付与するために、化粧シートが積層されている。例えば、建築物の壁面に用いられる壁装材や、床面に用いられる床用化粧材、家具等の表面には、化粧シートが積層されて用いられている。
近年の消費者の高級品指向の高まりに対応するため、低艶絵柄層上に電離放射線硬化型樹脂からなる表面保護層を備えることによって視覚的凹凸感を有する化粧シートが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の化粧シートでは、低艶絵柄層の直上部及びその近傍の表面保護層中に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を形成することにより、模様の特定の部分に合わせて艶消しや視覚的凹凸感を付与し、質感の高い、優れた意匠を表現することを可能としている。
特開2006−95973号公報
しかしながら、物品の表面に積層される化粧シートは使用上他の物品と接触する機会が多い条件で使用されることがあり、使用条件によってはより高い耐擦傷性が要求される。化粧シートの耐擦傷性が不十分であると、摩耗によって化粧シート表面の艶が変化し、意匠性が低下するという問題がある。上述の特許文献1の化粧シートは表面保護層を電離放射線硬化型樹脂によって形成しているため、一定の耐擦傷性を示すことができるが、耐擦傷性について改良の余地がある。
この点について、上記特許文献1では表面保護層に耐摩耗性向上剤を添加することで耐摩耗性を改善することを記載している。しかしながら、耐摩耗性向上剤は艶消し剤としても機能することが多いため、表面保護層が耐摩耗性向上剤を含む場合、化粧シートが全体的に低艶になる傾向がある。低艶の化粧シートは一般的に高級感を感じるとして好まれる傾向があるが、上記特許文献1のように低艶絵柄層の形成部と非形成部の間での艶差によって視覚的凹凸感を表現する化粧シートの場合、全体的に艶が下がり過ぎると艶差が小さくなり、意匠感が損なわれてしまうという問題がある。
さらに、上記特許文献1には、耐摩耗性向上剤としては硬度が高く耐摩耗性の向上に対する効果が大きい球状のα−アルミナが好ましいことが記載されている。α−アルミナのように、極めて硬度が大きい耐摩耗性向上剤は、艶を下げ過ぎないような少量でも十分な耐摩耗性の向上が期待できる。
しかしながら、α−アルミナのように極めて硬度が大きい耐摩耗性向上剤を添加した場合、塗工工程においてドクターブレード等の設備が摩耗してしまい、設備を損傷するという問題がある。
一方、化粧シートに高い耐擦傷性を付与するために、表面保護層の厚みを厚くすることが検討されている。
しかしながら、上記特許文献1のように低艶絵柄層の形成部と非形成部の間での艶差によって視覚的凹凸感を表現する化粧シートの場合、表面保護層の厚みが厚いと、艶差を感じ難くなり、意匠感が損なわれてしまうという問題がある。
従って、耐擦傷性及び意匠性に優れ、且つ、製造の際の設備の損傷が抑制された化粧シートの開発が求められている。
本発明は、耐擦傷性及び意匠性に優れ、且つ、製造の際の設備の損傷が抑制された化粧シート、及び化粧板を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されている化粧シートにおいて、上記低艶絵柄層がパターン状に形成され、且つ、上記表面保護層と接するように積層されており、表面保護層の厚みが特定の範囲であり、特定の範囲の平均粒子径、及びモース硬度を示す耐摩耗性フィラーを特定の範囲の含有量で含有する構成とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の化粧シート及び化粧板に関する。
1.基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されている化粧シートであって、
(1)前記低艶絵柄層はパターン状に形成され、且つ、前記表面保護層と接するように積層されており、
(2)前記表面保護層の厚みは2〜15μmであり、
(3)前記表面保護層は、平均粒子径が25μm以下である耐摩耗性フィラーを含有し、
(4)前記耐摩耗性フィラーは、モース硬度が8以下であり、
(5)前記耐摩耗性フィラーの含有量は、前記表面保護層に含まれる樹脂成分100質量部に対して3〜15質量部である、
ことを特徴とする化粧シート。
2.前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有する、項1に記載の化粧シート。
3.項1又は2に記載の化粧シートを被着材に貼着してなる化粧板。
本発明の化粧シートは、耐擦傷性及び意匠性に優れ、且つ、製造の際の設備の損傷が抑制されている。
本発明の化粧シートの層構成の一例を示す断面模式図である。 本発明の化粧シートの層構成の一例を示す断面模式図である。
以下、本発明の化粧シート及び化粧板について詳細に説明する。
1.化粧シート
本発明の化粧シートは、基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されている化粧シートであって、(1)上記低艶絵柄層はパターン状に形成され、且つ、上記表面保護層と接するように積層されており、(2)上記表面保護層の厚みは2〜15μmであり、(3)上記表面保護層は、平均粒子径が25μm以下である耐摩耗性フィラーを含有し、(4)上記耐摩耗性フィラーは、モース硬度が8以下であり、(5)上記耐摩耗性フィラーの含有量は、上記表面保護層に含まれる樹脂成分100質量部に対して3〜15質量部であることを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の化粧シートは、基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されており、上記低艶絵柄層はパターン状に形成され、且つ、上記表面保護層と接するように積層されているので、艶が低い部分と艶が高い部分とを備えたグロスマット調の意匠感を表現でき、優れた意匠性を示すことができる。また、表面保護層の厚みが特定の範囲であるので耐擦傷性及び意匠性に優れており、さらにカールの発生や表面保護層の割れが抑制されることによって製造工程における加工性にも優れている。また、表面保護層が、特定の範囲の平均粒子径及びモース硬度を示す耐摩耗性フィラーを特定の含有量で含有しているので、優れた耐擦傷性及び意匠性を示し、且つ、製造の際に設備の損傷が抑制され、さらに表面保護層を形成する樹脂組成物の塗工適性にも優れている。
以下、化粧シートを構成する各層について説明する。なお、本明細書では、化粧シートの層構成において、表面保護層が形成されている方向を「上」、「表面」又は「おもて面」と称し、化粧シートの層構成において表面保護層が形成されている方向とは逆側を「下」又は「裏面」と称する。
表面保護層
本発明の化粧シートは、表面保護層の厚みが2〜15μmである。表面保護層の厚みが2μm未満であると、耐擦傷性に劣る。また、表面保護層の厚みが15μmを超えると、後述する低艶絵柄層や、絵柄模様層により表現される意匠が視認され難くなり、意匠性が低下する。表面保護層の厚みは、3〜12μmが好ましい。
本発明の化粧シートを構成する表面保護層は、耐摩耗性フィラーを含有する。耐摩耗性フィラーとしては、本発明の化粧シートの表面に耐擦傷性を付与することができ、モース硬度を8以下に調整することができれば特に限定されず、例えば、有機粒子、無機粒子等を用いることができる。
有機粒子としては、ウレタンビーズ、アクリルビーズ、ナイロンビーズ等を用いることができる。また、無機粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク等を用いることができる。
耐摩耗性フィラーとしては、耐擦傷性に優れ、且つ、設備の損傷を抑制することができる点で有機粒子を用いることが好ましく、中でも、ウレタンビーズを用いることがより好ましい。また、耐摩耗性フィラーとして有機粒子を用いることにより、表面保護層の表面から脱落した耐摩耗性フィラーが化粧シートの表面上に存在していても、当該有機粒子が硬過ぎないので、脱落した耐摩耗性フィラーによる化粧シートの表面の擦傷の発生が抑制される。このことは、後述するマーチンデール試験により耐擦傷性を評価した際に確認することができる。
上記耐摩耗性フィラーの平均粒子径は、25μm以下である。耐摩耗性フィラーの平均粒子径が25μmを超えると、表面保護層が白濁して、後述する低艶絵柄層や、絵柄模様層により表現される意匠が視認され難くなり、化粧シートの意匠性が低下する。耐摩耗性フィラーの平均粒子径は、20μm以下が好ましい。また、耐摩耗性フィラーの平均粒子径は、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましい。耐摩耗性フィラーの平均粒子径の下限値を上記値とすることにより、本発明の化粧シートがより優れた耐擦傷性を示すことができる。なお、本明細書において、耐摩耗性フィラーの平均粒子径は、(株)堀場製作所製レーザー回析/散乱式粒度分布測定装置 LA・910W(型番)を使用して、レーザー回折・散乱法により測定される値である。
上記耐摩耗性フィラーは、モース硬度が8以下である。耐摩耗性フィラーのモース硬度が8を超えると、摩耗により表面保護層の表面から脱落した耐摩耗性フィラーが化粧シートの表面と擦れることにより、化粧シートの表面に擦傷が発生する。また、モース硬度が8を大きく超える耐摩耗フィラーを用いた場合は摩耗による脱落が生じにくくなるため上記のような問題は生じにくくなるものの、製造の際に設備の損傷を招く。耐摩耗性フィラーのモース硬度は、3以上が好ましく、5以上がより好ましい。耐摩耗性フィラーのモース硬度の下限値を上記値とすることにより、本発明の化粧シートがより優れた耐擦傷性を示すことができる。なお、本明細書において、耐摩耗性フィラーのモース硬度は、15段階モース硬度計により測定される値である。
上記耐摩耗性フィラーの含有量は、表面保護層に含まれる樹脂成分100質量部に対して3〜15質量部である。耐摩耗性フィラーの含有量が3質量部未満であると、本発明の化粧シートが耐擦傷性に劣る。また、耐摩耗性フィラーの含有量が15質量部を超えると、表面保護層の艶が過度に低下して、後述する低艶絵柄層との艶差による意匠や、絵柄模様層により表現される意匠が視認され難くなり、化粧シートの意匠性が低下する。上記耐摩耗性フィラーの含有量は、4〜8質量部が好ましい。
表面保護層を形成する樹脂としては特に限定されないが、熱硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂(例えば、電子線硬化型樹脂)等の硬化型樹脂が好ましい。特に電離放射線硬化型樹脂は、高い表面硬度、生産性等の観点から好ましい。また、電離放射線硬化型樹脂を用いると、後述する低艶絵柄層との相互作用を生じ易く、本発明の化粧シートが、艶が低い部分と艶が高い部分とを備えたグロスマット調の意匠感をより顕著に表現することができ、優れた意匠性を示すことができるようになる観点からも好ましい。
熱硬化型樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
熱硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、熱硬化型樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で塗布し、乾燥・硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上が使用できる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、1〜15Mrad程度が好ましく、1〜10Mrad程度がより好ましく、3〜5Mrad程度が更に好ましい。
電離放射線硬化型樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種が使用できる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種が使用できる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
表面保護層は、シリコーンオイルを含有していてもよい。表面保護層がシリコーンオイルを含有することにより、表面保護層に滑り性を付与することができ、本発明の化粧シートの耐擦傷性を更に向上させることができる。表面保護層に用いられるシリコーンオイルとしては、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。
反応性シリコーンオイルとしては、側鎖又は末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するシリコーンオイルを用いることができる。反応性シリコーンオイルとして、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型等において、導入する有機基がアミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等であるものが挙げられる。これらの反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
非反応性シリコーンオイルは、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性官能基を有しないシリコーンオイルであれば特に制限はない。非反応性シリコーンオイルとして、例えば、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのほか、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの非反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記シリコーンオイルの表面保護層中の含有量は、表面保護層を形成する樹脂100質量部あたり0.1〜50質量部程度であり、好ましくは0.5〜10質量部程度である。シリコーンオイルの含有量を上記範囲とすることにより、表面保護層に滑り性を十分に付与することができ、本発明の化粧シートの耐擦傷性を更に向上させることができる。 表面保護層を形成する樹脂組成物には、必要に応じて、溶剤、染料、顔料等の着色剤、増量剤等の充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤等の各種添加剤を加えることができる。
電離放射線硬化型樹脂で表面保護層を形成する方法としては、例えば、電離放射線硬化型樹脂の溶液をグラビアコート法、ロールコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の塗布法で塗布すればよい。
低艶絵柄層
低艶絵柄層はパターン状に形成され、且つ、上記表面保護層と接するように積層される層である。低艶絵柄層がパターン状に形成され、且つ、上記表面保護層と接するように積層されることにより、本発明の化粧シートが、艶が低い部分と艶が高い部分とを備えたグロスマット調の意匠感を表現することができ、優れた意匠性を示すことが可能となる。
本発明の化粧シートを上述の構成とすることにより、艶が低い部分と艶が高い部分とを備えたグロスマット調の意匠感を表現することができ、優れた意匠性を示すことが可能となる理由については明確ではないが、低艶絵柄層の表面に表面保護層を形成するための未硬化の樹脂組成物を塗工した際に、低艶絵柄層の樹脂成分と、表面保護層を形成するための樹脂組成物とが、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。この際、低艶絵柄層の樹脂成分と、表面保護層を形成するための樹脂組成物とは、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、低艶絵柄層の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域を形成するものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面保護層を硬化等させることにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が凹部であるかの如く視認されるものと推測される。
低艶絵柄層を形成するインキは表面保護層を形成する樹脂組成物に溶出する性質を有するものであり、該樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。具体的には、バインダー樹脂として非架橋性樹脂を有するインキであることが好ましく、例えば熱可塑性(非架橋型)ウレタン樹脂などが好適である。また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
低艶絵柄層を形成するインキ組成物には、着色剤が添加されていてもよいが、本発明の化粧シートが着色隠蔽層や絵柄模様層を有する場合には、低艶絵柄層を形成するためのインキ組成物には、必ずしも着色剤を添加して着色する必要はない。すなわち、本発明の化粧シートが絵柄模様層を有する場合には、絵柄模様層が表現しようとする絵柄模様のうち、艶を消して視覚的に凹部を表現したい部分と、低艶絵柄層とを同調させることによって、艶差による視覚的凹部を有する模様を表現することができる。例えば、絵柄模様層によって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に低艶絵柄層を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様を表現することができる。また、絵柄模様層によって、タイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分に低艶絵柄層を同調させることにより、艶差によって、目地溝部分が視覚的に凹部となった模様を表現することができる。
低艶絵柄層を形成するためのインキ組成物は、体質顔料を含有していてもよい。低艶絵柄層を形成するインキ組成物が体質顔料を含有することにより、インキ組成物にチキソ性を付与することができ、版を用いて低艶絵柄層を印刷する際に、インキ組成物の形状が維持される。これにより、低艶絵柄層において、凸部から凹部に移行する端部における凹凸の鮮映性(シャープネス)を強調することができ、メリハリのある意匠表現が可能となる。
上記体質顔料としては特に限定されず、例えばシリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらのうち、吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキ組成物としての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、微粉末のシリカがより好ましい。シリカの粒径としては、0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.1μm以上であると、インキ組成物に添加した際に当該インキ組成物のチキソ性が極端に高くならず、また、インキ組成物の粘性が上がり過ぎず、印刷のコントロールがし易くなる。また、導管模様部分の艶消しを表現しようとした場合、導管模様部分の低艶絵柄の塗布厚みが通常5μm以下であり、シリカの粒径が塗布厚みよりも小さければ粒子の頭出しが比較的押えられ目立たないことから、視覚的な違和感が生じ難い。
上記体質顔料の低艶絵柄層における含有量は、5〜15質量%であることが好ましい。5質量%以上であるとインキ組成物に十分なチキソ性を付与することができ、15質量%以下であると低艶感を付与する効果が低下し難い。
低艶絵柄層を形成するインキ組成物の塗布量は、2〜20g/mであることが好ましい。インキ組成物の塗布量が2g/m以上であると、上述したインキ組成物の、表面保護層を形成する樹脂組成物への溶出量が十分となり、低光沢領域が十分得られるため、化粧シート表面のグロスマット感が十分となる。一方、インキ組成物の塗布量が20g/m以下であると、インキ組成物の印刷に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。低艶絵柄層を形成するインキ組成物の塗布量は、5〜10g/mであることがより好ましい。
本発明の化粧シートにおいて、低艶絵柄層は、パターン状に形成されている。上記パターンとしては特に限定されないが、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様等が挙げられ、目的に応じて選択できる。
低艶絵柄層は、例えば、上述のインキ組成物を用いて上記パターンを印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。
基材シート
基材シートとしては限定されず、繊維質シート、プラスチック基材、金属基材、木質系基材等を用いることができる。
繊維質シートとしては、薄紙、紙間強化紙、含浸紙、チタン紙、コート紙、段ボール紙、リンター紙、クラフト紙、上質紙等の公知の繊維質シートなどが利用できる。
具体的には、壁紙用一般紙(パルプ主体のシートを既知のサイズ剤でサイズ処理したもの);難燃紙(パルプ主体のシートをスルファミン酸グアニジン、リン酸グアジニン等の難燃剤で処理したもの);水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機添加剤を含む無機質紙;上質紙;薄用紙;繊維混抄紙(パルプと合成繊維とを混合して抄紙したもの)などが挙げられる。なお、本発明に使用される繊維質シートには、分類上、不織布に該当しているものも包含される。
プラスチック基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂シート;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂シート;アクリロニトリルブタジエンスチレン;ポリ塩化ビニル等の各種のプラスチックシート、フィルム等が使用できる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。また、プラスチック基材は、着色してある事が望ましい。金属基材としては、鋼板、アルミニウム、ステンレス等の上に、着色剤のアンダーコートを行ったものを基材として製品化する事ができる。木質系基材としては、合板、パーティクルボード、中密度ファイバーボード等が挙げられる。
基材シートの坪量は限定的ではないが、20〜300g/m程度が好ましく、50〜300g/m程度がより好ましく、50〜130g/m程度が更に好ましい。
(化粧シートの層構成)
本発明の化粧シートは、基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されており、低艶絵柄層がパターン状に形成され、且つ、表面保護層と接するように積層されていれば、その具体的構成(層構成)については限定されない。例えば、基材シート上に、少なくとも絵柄模様層、低艶絵柄層及び表面保護層がこの順に積層されており、低艶絵柄層がパターン状に形成され、且つ、表面保護層と接するように積層されている化粧シートが挙げられる。
図1に本発明の化粧シートの層構成の上記一例を示す。図1において、本発明の化粧シート1は、基材シート2上に、絵柄模様層3、低艶絵柄層4及び表面保護層5がこの順に積層されており、低艶絵柄層4がパターン状に形成され、且つ、表面保護層5と接するように積層されている。更に、本発明の化粧シートは、図2のように、基材シート2と絵柄模様層3との間に、更に着色隠蔽層6が形成されていてもよく、絵柄模様層3と低艶絵柄層4との間に透明性樹脂層7が形成されていてもよく、更に、基材シート2の裏面に、裏面プライマー層8が形成されている層構成であってもよい。
以下、かかる層構成の化粧シートを代表例として、各層について具体的に説明する。
絵柄模様層
本発明の化粧シートは、基材シート又は後述する着色隠蔽層の上には、必要に応じて絵柄模様層を形成してもよい。
絵柄模様層は、化粧シートに意匠性を付与する。絵柄模様としては、例えば木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様、草花模様等が挙げられ、目的に応じて選択できる。
絵柄模様層は、例えば、絵柄模様を印刷することで形成できる。印刷手法としては、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等が挙げられる。印刷インキとしては、着色剤、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキが使用できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色剤としては特に限定されず、公知の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、黒色酸化鉄、黄色酸化鉄、黄鉛、モリブデートオレンジ、カドミウムイエロー、ニッケルチタンイエロー、クロムチタンイエロー、酸化鉄(弁柄)、カドミウムレッド、群青、紺青、コバルトブルー、酸化クロム、コバルトグリーン、アルミニウム粉、ブロンズ粉、雲母チタン、硫化亜鉛等が挙げられる。また、有機顔料としては、例えば、アニリンブラック、ペリレンブラック、アゾ系(アゾレーキ、不溶性アゾ、縮合アゾ)、多環式(イソインドリノン、イソインドリン、キノフタロン、ペリノン、フラバントロン、アントラピリミジン、アントラキノン、キナクリドン、ペリレン、ジケトピロロピロール、ジブロムアンザントロン、ジオキサジン、チオインジゴ、フタロシアニン、インダントロン、ハロゲン化フタロシアニン)等が挙げられる。顔料の含有量は、樹脂成分100質量部に対して10〜100質量部程度が好ましく、15〜50質量部程度がより好ましい。
結着材樹脂は、基材シートの種類に応じて設定できる。例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、塩素化ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、アルキド系樹脂、石油系樹脂、ケトン樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、繊維素誘導体、ゴム系樹脂等が挙げられる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤、;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水などが挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独又は混合物の状態で使用できる。
絵柄模様層の厚みは、絵柄模様の種類より異なるが、一般には0.1〜20μm程度とすることが好ましい。
透明性樹脂層
本発明の化粧シートは、絵柄模様層上に艶調整等を目的として、透明性樹脂層を形成してもよい。透明性樹脂層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。上記透明性樹脂層を構成する樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合体、珪素樹脂、ポリシロキサン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、アイオノマー、ポリメチルペンテン、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、セルローストリアセテート等を挙げることができる。また、上述の電離放射線硬化型樹脂を用いてもよい。これら樹脂は単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
透明性樹脂層には、艶調整の為に、シリカ、アルミナ、カオリン等の微粒子、ウレタンビーズ、アクリルビーズ等のビーズを添加してもよい。
なお、透明性樹脂層は、透明性を有する限り着色されていても良いが、特に着色剤を配合しない方が望ましい。
透明性樹脂層の厚みは、通常は5〜50μm程度であるが、化粧シートの用途等に応じて上記範囲を超えてもよい。
着色隠蔽層
基材シート上には、必要に応じて着色隠蔽層を形成してもよい。着色隠蔽層は、基材シート上に全面ベタ印刷層として形成される。着色隠蔽層は、例えば、顔料及び結着材樹脂を含む層とすることができる。この着色隠蔽層は、例えば、着色材、結着材樹脂、溶剤を含む印刷インキを使用し、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の既知の印刷法により形成できる。これらのインキは公知又は市販のものを使用してもよい。
着色材、結着剤樹脂及び溶剤は、上述の絵柄模様層に用いられるものを用いることができる。
着色隠蔽層の厚みは、1〜4μm程度が好ましい。
プライマー層
基材シート、着色隠蔽層、絵柄模様層又は透明性樹脂層の上には、層間密着性を向上させることを目的として、必要に応じてプライマー層を形成してもよい。
プライマー層に含有される樹脂としては、例えば、アクリル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリウレタン、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を使用することができるが、特にアクリル、塩素化ポリプロピレン等が望ましい。
アクリルとしては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂が挙げられる。
ポリウレタンとはポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とする組成物である。
ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するもので、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が用いられる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートが用いられる。例えば、2−4トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4−4ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いはヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(又は脂環族)イソシアネートが用いられる。
プライマー層の厚さは限定的ではないが、0.1〜10μm程度が好ましく、0.1〜5μm程度がより好ましい。
裏面プライマー層
基材シートの裏面には、必要に応じて、裏面プライマー層を設けてもよい。裏面プライマー層は、本発明の化粧シートと被着材とを積層して化粧板を作製する際に効果的である。
裏面プライマー層は、公知のプライマー剤を基材シートに塗布することにより形成できる。プライマー剤としては、例えば、アクリル変性ウレタン樹脂(アクリルウレタン系樹脂)等からなるウレタン樹脂系プライマー剤、ウレタン−セルロース系樹脂(例えば、ウレタンと硝化綿の混合物にヘキサメチレンジイソシアネートを添加してなる樹脂)からなるプライマー剤、アクリルとウレタンのブロック共重合体からなる樹脂系プライマー剤等が挙げられる。プライマー剤には、必要に応じて、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤などが挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
プライマー剤の塗布量は特に限定されないが、通常0.1〜100g/m程度、好ましくは0.1〜50g/m程度である。また、裏面プライマー層の厚みは特に限定されないが、通常0.01〜10μm程度、好ましくは0.1〜1μm程度である。
2.化粧板
上記本発明の化粧シートを被着材上に貼着することにより、化粧板とすることができる。被着材は、限定的でなく、公知の化粧板に用いられるものと同様のものを用いることができる。上記被着材としては、例えば、木質材、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラス等が挙げられる。特に、上記化粧シートは、木質材に好適に使用することができる。木質材としては、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
化粧シートを被着材上に貼着する方法は限定的でなく、例えば接着剤により化粧シートを被着材に貼着する方法等を採用することができる。接着剤は、被着材の種類等に応じて公知の接着剤から適宜選択すればよい。例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、アイオノマー等のほか、ブタジエン・アクリルニトリルゴム、ネオプレンゴム、天然ゴム等が挙げられる。これら接着剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いる。
このようにして製造された化粧板は、例えば、壁、天井、床等の建築物の内装材;バルコニー、ベランダ等の外装材;窓枠、扉、手すり等の建具の表面化粧板や家具;又は弱電、OA機器等のキャビネットの表面化粧板等に用いることができる。
3.化粧シートの製造方法
化粧シートの製造方法としては、例えば、基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層を積層する製造方法が挙げられる。基材シート上に低艶絵柄層を積層する方法としては特に限定されないが、上述の低艶絵柄層を形成するためのインキ組成物を用いて、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の塗布方法でパターン状に印刷する方法で積層すればよい。
低艶絵柄層上に表面保護層を積層する方法としては特に限定されないが、パターン状に形成された低艶絵柄層上に、表面保護層を形成するための未硬化の樹脂組成物を塗工して、低艶絵柄層の樹脂成分と、表面保護層を形成するための樹脂組成物とが、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現した後に樹脂組成物を硬化させ、表面保護層を形成する方法により積層するとよい。このような方法により低艶絵柄層上に表面保護層を積層すると、本発明の化粧シートが、艶が低い部分と艶が高い部分とを備えたグロスマット調の意匠感を顕著に表現することができ、優れた意匠性を示すことができる。
本発明の化粧シートが着色隠蔽層、絵柄模様層、プライマー層及び透明性樹脂層を有する場合には、これらの層を形成するための樹脂組成物を、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルクスクリーン印刷、オフセット印刷等の既知の印刷法により塗布したり、押出成形することにより、これらの層を適宜形成すればよい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
基材シートとして、米秤量30g/mの建材用一般紙を用意し、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/mの(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色隠蔽層とした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄模様層をグラビア印刷にて形成した。
次いで、アクリルポリオール樹脂をバインダーとし、シリカ粒子をバインダー100質量部に対して10質量部、ウレタンビーズをバインダー100質量部に対して5質量部配合した塗料組成物を調製し、塗工量5g/mで全面にグラビア印刷して透明性樹脂層をを形成した。
次いで、次に、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系樹脂をバインダーとした透明インキ(導管インキ)に対して、平均粒子径1.5μmのシリカ粒子を10質量% 配合したインキ組成物を用いて木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて低艶絵柄層を形成した。
次いで、樹脂成分として、6官能ウレタンアクリレートからなる電離放射線硬化型樹脂100質量部に対して、耐摩耗性フィラーとしてウレタンビーズ(平均粒子径5μm、モース硬度3)を5質量部含み、且つ、シリコーンオイルを電離放射線硬化型樹脂組成物100質量%に対して2質量%含む電離放射線硬化型樹脂組成物をグラビアダイレクトコータ法により塗工した。
塗工後、加速電圧125kV、照射線量30kGyの電子線を照射して、電離放射線硬化型樹脂を硬化させて、厚みが4μmの表面保護層を形成した。
最後に、70℃で24時間の養生を行い、化粧シートを得た。
実施例2〜9、比較例1〜7
表面保護層の厚み、表面保護層に含まれる樹脂、耐摩耗性フィラーの添加量、種類、モース硬度及び平均粒子径を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、化粧シートを調製した。
上記実施例及び比較例について、下記評価を行った。
耐擦傷性(マーチンデール試験)
実施例及び比較例で調製した化粧シートをMDFに貼付して化粧板を調製した。当該化粧板を、マーチンデール摩耗試験機(「Martindale 1300シリーズ モデル1302(型番)」 James Heal社製)の摩擦テーブル部に取り付け、化粧板の上にスコッチ・ブライト工業用パッド7446(スリーエムジャパン(株)製)を重ねて荷重6Nを掛けて、摩擦回数100回の条件でリサージュ図形運動による摩擦試験を行った。試験後の外観を目視により観察してリサージュ跡及び艶変化について、下記評価基準に従って評価した。
(リサージュ跡)
○:リサージュ跡が見られない
△:軽微なリサージュ跡が見られるが、実使用上問題がない程度である
×:リサージュ跡が顕著に見られる
(艶変化)
○:艶変化が見られない
△:軽微な艶変化が見られるが、実使用上問題がない程度である
×:艶変化が顕著に見られる
意匠性
(グロスマット感評価)
化粧シートの表面のグロスマット感を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
◎:グロスマット感が十分に表現されている
○:グロスマット感が表現されている
△:グロスマット感が多少表現されているものの、意匠として乏しい
×:グロスマット感が表現されていない
(低艶性評価)
実施例及び比較例で調製した化粧シートについて、日本電色工業(株)製 VG−2000型(型番)を用いて、ASTM D523に準拠した測定方法により、入射角度85度における光沢度を測定した。測定された光沢度に基づいて、下記評価基準に従って評価した。なお、下記評価において、△以上の評価であれば、実使用上問題がないと判断できる。
◎:光沢度が7未満である
○:光沢度が7以上10以下である
△:光沢度が10を超え、20未満である
×:光沢度が20以上である
設備の損傷評価
製造工程での量産適性を観察し、下記評価基準に従って評価した。
○:生産前後で設備(ドクターブレード)に損傷がなく、製品の外観(艶)も安定している
×:生産前後で設備(ドクターブレード)に損傷が見られ、製品の外観(艶)も変化している
加工性
製造工程において、化粧シートの状態を観察し、後工程の進行が可能か否かを判断して、下記評価基準に従って評価した。
○:化粧シートのカール、表面保護層の割れが抑制されており、後工程の進行が可能である
△:化粧シートのカール、表面保護層の割れが若干発生するが、後工程の進行が可能であり、実使用上問題がない程度である
×:化粧シートにカール、表面保護層の割れが発生し、後工程の進行ができない
塗工適性(転移安定性)
表面保護層を形成するための電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工した際の、表面の転移の状態を目視にて観察し、下記評価基準に従って塗工適性を評価した。
○:塗工面に電離放射線硬化型樹脂組成物が安定して転移されている
△:転移にムラが多少確認されるが、実使用上問題がない程度である
×:電離放射線硬化型樹脂組成物の塗工面に抜けが有るか、又は厚みが不安定である
結果を表1に示す。
1.化粧シート
2.基材シート
3.絵柄模様層
4.低艶絵柄層
5.表面保護層
6.着色隠蔽層
7.透明性樹脂層
8.裏面プライマー層

Claims (3)

  1. 基材シート上に、低艶絵柄層及び表面保護層が少なくともこの順に積層されている化粧シートであって、
    (1)前記低艶絵柄層はパターン状に形成され、且つ、前記表面保護層と接するように積層されており、
    (2)前記表面保護層の厚みは2〜15μmであり、
    (3)前記表面保護層は、平均粒子径が25μm以下である耐摩耗性フィラーを含有し、
    (4)前記耐摩耗性フィラーは、モース硬度が8以下であり、
    (5)前記耐摩耗性フィラーの含有量は、前記表面保護層に含まれる樹脂成分100質量部に対して3〜15質量部である、
    ことを特徴とする化粧シート。
  2. 前記表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂を含有する、請求項1に記載の化粧シート。
  3. 請求項1又は2に記載の化粧シートを被着材に貼着してなる化粧板。
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