本発明の化粧板の製造方法は、
多孔質基材上の一部に離型層を設ける第1工程、
前記多孔質基材に熱硬化性樹脂を含浸させるとともに前記熱硬化性樹脂により前記離型層を被覆した後、加熱することにより前記熱硬化性樹脂を熱硬化させる第2工程、及び
前記離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を剥離する第3工程
を含む。
以下、各工程について説明する。なお、本発明において、表面とは、いわゆる「おもて面」であり、本発明の化粧板がフェノール樹脂含浸紙又は木質基材等に積層されて用いられる際に、フェノール樹脂含浸紙等と接触する面とは反対側の面であり、積層後に視認される面である。また、本明細書では、上記表面の方向を「おもて」又は「上」と称し、その反対側を「裏」又は「下」と称する場合がある。
(1)第1工程
第1工程は、多孔質基材上の一部に離型層を設ける工程である。
多孔質基材としては、第2工程で使用する熱硬化性樹脂が含浸できるものであれば、特に制限されない。このような基材として、浸透性のある繊維質基材が挙げられる。浸透性のある繊維質基材としては、紙、合成紙、不織布等のシート状のものを用いることができる。多孔質基材として用いられる紙としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、板紙、石膏ボード紙、紙にポリ塩化ビニル樹脂をゾル又はドライラミネートしたいわゆるビニル壁紙原反、上質紙、コート紙、パーチメント紙、和紙等が挙げられる。紙類似シートとしては、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維等の無機等繊維質のシート状のもの;ポリエステル、ビニロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂繊維からなる不織布又は織布等を使用することができる。これらの多孔質基材のうち、熱硬化性樹脂の含浸性の点で、チタン紙が好ましい。
多孔質基材は、着色されていてもよい。この場合は、多孔質基材の製造段階、例えば多孔質基材が紙であればその抄造段階で、着色材(顔料又は染料)を配合することにより着色することができる。着色材としては、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化鉄等の無機顔料、フタロシアニンブルー等の有機顔料のほか、各種の染料も使用することができる。これらは、公知又は市販のものから1種又は2種以上を選ぶことができる。また、着色材の配合量も、所望の色合い等に応じて適宜設定すればよい。或いは、多孔質基材の着色は、第2工程で、熱硬化性樹脂に上記の着色材を添加し、それを多孔質基材に含浸させることにより行うこともできる。
多孔質基材には、必要に応じて、充填剤、艶消し剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定化剤等の各種の添加剤が含まれていてもよい。
多孔質基材の坪量は特に限定されず、40〜150g/m2程度が好ましい。多孔質基材の厚みは、最終製品の用途、使用方法等により適宜設定できるが、一般には50〜170μmが好ましい。
多孔質基材は、絵柄等の意匠を有していてもよい。化粧板の意匠性を高めるために、多孔質基材は絵柄等の意匠を有していることが好ましい。意匠は、例えば、多孔質基材上に絵柄模様層を形成することにより設けることができる。
多孔質基材上に絵柄模様層を形成する場合、絵柄模様層における絵柄の種類等は限定的ではない。例えば、木目模様、レザー模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。
絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着材樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)して得られるインキを用いた印刷法により、多孔質基材表面に形成すればよい。インキとしては、シートのVOCを低減する観点からは水性組成物を用いることもできる。絵柄模様層を印刷等により設ける場合には、その前に、多孔質基材表面にベタ印刷層を設けることもできる。
インキに使用する着色剤としては、例えば、カーボンブラック、チタン白、亜鉛華、弁柄、紺青、カドミウムレッド等の無機顔料;アゾ顔料、レーキ顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、フタロシアニン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料等の有機顔料;アルミニウム粉、ブロンズ粉等の金属粉顔料;酸化チタン被覆雲母、酸化塩化ビスマス等の真珠光沢顔料;蛍光顔料;夜光顔料等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は2種以上を混合して使用することができる。これらの着色剤は、シリカ等のフィラー、有機ビーズ等の体質顔料、中和剤、界面活性剤等とともに用いてもよい。
結着材樹脂としては、親水性処理されたポリエステル系ウレタン樹脂のほか、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルアセテート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリスチレン−アクリレート共重合体、ロジン誘導体、スチレン−無水マレイン酸共重合体のアルコール付加物、セルロース系樹脂、カゼイン樹脂なども併用できる。より具体的には、例えば、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸系樹脂、ポリエチレンオキシド系樹脂、ポリN−ビニルピロリドン系樹脂、水溶性ポリエステル系樹脂、水溶性ポリアミド系樹脂、水溶性アミノ系樹脂、水溶性フェノール系樹脂、その他の水溶性合成樹脂;ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖類等の水溶性天然高分子;等も使用することができる。また、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリ酢酸ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン−ポリアクリル系樹脂等が変性したものないし前記天然ゴム等の混合物、その他の樹脂を使用することができる。上記結着材樹脂は、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
溶剤(又は分散媒)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の石油系有機溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸−2−メトキシエチル、酢酸−2−エトキシエチル等のエステル系有機溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、ノルマルプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系有機溶剤;ジクロロメタン、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤;水等の無機溶剤等が挙げられる。これらの溶剤(又は分散媒)は、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
絵柄模様層の形成に用いる印刷法としては、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等が挙げられる。また、全面ベタ状の絵柄模様層を形成する場合には、例えば、ロールコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、キスコート法、フローコート法、ディップコート法等の各種コーティング法が挙げられる。その他、手描き法、墨流し法、写真法、転写法、レーザービーム描画法、電子ビーム描画法、金属等の部分蒸着法、エッチング法等を用いたり、他の形成方法と組み合わせて用いたりしてもよい。
絵柄模様層の厚みは特に限定されず、製品特性に応じて適宜設定できるが、塗工時の層厚は1〜200μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜20μm程度である。
多孔質基材又は絵柄模様層と離型層との密着性を高めるため、多孔質基材又は絵柄模様層の上に接着剤層を形成してもよい。接着剤層は、透明性接着剤層であることが好ましく、当該透明性接着剤層としては、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。
接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤が使用できる。化粧シートの分野で公知の接着剤としては、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、ウレタン系樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。これら接着剤は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂も適用し得る。
接着剤層の厚みは特に限定されないが、乾燥後の厚みが0.1〜30μm程度、好ましくは1〜20μm程度である。
多孔質基材は、必要に応じて、絵柄模様層等を形成するインキの密着性を高めるために表面(おもて面)にコロナ放電処理を施してもよい。コロナ放電処理の方法・条件は、公知の方法に従って実施すればよい。
多孔質基材上の一部に離型層を設ける。離型層は、例えば、多孔質基材上に離型インキを用いて形成することができる。
離型インキを構成する樹脂は、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂(例えば、電子線硬化性樹脂)等の硬化性樹脂が好ましい。特に、高い表面硬度による耐傷性、凸形状保持性、生産性等の観点から、離型インキは電離放射線硬化性樹脂を含むことが好ましく、離型インキを構成する樹脂が電離放射線硬化性樹脂であることがより好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加することができる。
熱硬化性樹脂を含む離型インキを用いて離型層を形成する方法は、例えば、熱硬化性樹脂の溶液をロールコート法、グラビアコート法等の塗布法で多孔質基材上に塗布し、乾燥及び硬化させる方法が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂は、電離放射線の照射により架橋重合反応を生じ、3次元の高分子構造に変化する樹脂であれば限定されない。例えば、電離放射線の照射により架橋可能な重合性不飽和結合又はエポキシ基を分子中に有するプレポリマー、オリゴマー及びモノマーの1種以上を使用することができる。例えば、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート等のアクリレート樹脂;シロキサン等のケイ素樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂などが挙げられる。
電離放射線としては、可視光線、紫外線(近紫外線、真空紫外線等)、X線、電子線、イオン線等があるが、この中でも、紫外線及び/又は電子線が望ましい。
紫外線源としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク灯、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ灯の光源が使用できる。紫外線の波長としては、190〜380nm程度である。
電子線源としては、例えば、コッククロフトワルト型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器が使用できる。電子線のエネルギーとしては、100〜1000keV程度が好ましく、100〜300keV程度がより好ましい。電子線の照射量は、2〜15Mrad程度が好ましい。
電離放射線硬化性樹脂は電子線を照射すれば十分に硬化するが、紫外線を照射して硬化させる場合には、光重合開始剤(増感剤)を添加することが好ましい。
ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合の光重合開始剤は、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、ミヒラーケトン、ジフェニルサルファイド、ジベンジルジサルファイド、ジエチルオキサイト、トリフェニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエート等の少なくとも1種を使用することができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、例えば、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル、フリールオキシスルホキソニウムジアリルヨードシル塩等の少なくとも1種を使用することができる。
光重合開始剤の添加量は特に限定されないが、一般に電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部程度である。
電離放射線硬化性樹脂としては、耐熱性及び架橋密度を上げるため、多官能の重合性モノマーを含有することが好ましい。
離型インキには、さらに離型性を付与する目的で、シリコーンオイルを含有させることが好ましい。シリコーンオイルとして、反応性シリコーンオイル、非反応性シリコーンオイル等を挙げることができる。
反応性シリコーンオイルとは、側鎖又は末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するものをいう。反応性シリコーンオイルとして、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型等において、導入する有機基がアミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等であるものが挙げられる。これらの反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
非反応性シリコーンオイルは、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基等の反応性官能基を有しないシリコーンオイルであれば特に制限はない。非反応性シリコーンオイルとして、例えば、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのほか、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アラルキル変性シリコーンオイル、フロロアルキル変性シリコーンオイル、長鎖アルキル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル変性シリコーンオイル、高級脂肪酸アミド変性シリコーンオイル、フェニル変性シリコーンオイル等が挙げられる。これらの非反応性シリコーンオイルは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
上記反応性シリコーンオイル又は非反応性シリコーンオイルは、離型インキの硬化時に硬化性樹脂の表面に配向し、離型性を発現する。
上記反応性シリコーンオイル又は非反応性シリコーンオイルの使用量は、硬化性樹脂100質量部あたり0.1〜50質量部程度であり、好ましくは0.5〜10質量部程度である。反応性シリコーンオイル又は非反応性シリコーンオイルの使用量を上記範囲とすることにより、離型層と硬化された樹脂膜との剥離が十分となる。
離型インキは、さらに体質顔料を含有することが好ましい。体質顔料を含有することによって、インキにチキソ性を付与することができ、版を用いて離型層を印刷する際に、インキの形状が維持される。体質顔料としては特に限定されず、例えば、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。これらのうち、材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、及びインキとしての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。
これらの体質顔料のインキにおける含有量は、硬化性樹脂100質量部あたり0.1〜20質量部程度であり、好ましくは0.5〜15質量部程度である。体質顔料の使用量を上記範囲とすることにより、インキに十分なチキソ性を付与することができるとともに、隆起形状及び微細凹凸面の発現を付与する効果が得られる。
離型インキは、無色であってもよいし、着色されていてもよい。着色する場合には、上記の絵柄模様層で使用する着色剤と同様のものを使用することができる。
離型インキは、粘度を調整する目的で溶媒を含有してもよい。溶媒としては、トルエン、キシレン等の炭化水素化合物;メタノール、エタノール、メチルグリコール等のアルコール化合物;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物;ギ酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等の含窒素化合物;テロラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶媒は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。離型インキ中の溶媒の量は、インキの粘度に応じて適宜設定することができる。
離型インキには、得られる所望物性に応じて、従来より公知の添加剤を配合することができる。添加剤として、例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、酸価防止剤、レベリング剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、熱ラジカル発生剤、アルミキレート剤等が挙げられる。
離型層の厚みは特に限定されず、塗工時の層厚は1〜100μm程度、乾燥後の層厚は0.1〜20μm程度である。
ここで、離型層と第2工程で形成される硬化した樹脂膜との密着性が、多孔質基材と離型層との密着性よりも弱くなるように設定することが好ましい。これにより、第3工程で離型層と多孔質基材とが密着したまま離型層上に形成された硬化した樹脂膜のみを離型層から剥離することができる。
第1工程終了後の状態の一例を図1に示す。図1において、離型層2は、多孔質基材1上の全体ではなく一部に設けられている。離型層2を多孔質基材1の一部に設けることにより、第3工程において離型層2の上に形成された樹脂膜3だけを剥離することができ、これにより化粧板の表面に凹凸を形成することができる。
(2)第2工程
第2工程は、前記多孔質基材に熱硬化性樹脂を含浸させるとともに前記熱硬化性樹脂により前記離型層を被覆した後、加熱することにより前記熱硬化性樹脂を熱硬化させる工程である。
熱硬化性樹脂としては、従来より公知の熱硬化性の樹脂を広く使用することができる。熱硬化性樹脂として、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂(2液硬化型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。本発明においては、耐熱性及び耐汚染性があり、硬度が高いメラミン樹脂を使用することが好ましい。
上記樹脂には、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤等を添加することができる。例えば、硬化剤としてはイソシアネート、有機スルホン酸塩等が不飽和ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂等に添加でき、有機アミン等がエポキシ樹脂に添加でき、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物、アゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル樹脂に添加できる。
多孔質基材に上記の熱硬化性樹脂を含浸させる。含浸は、上記の熱硬化性樹脂を、1)多孔質基材の離型層側、すなわち図1の上側から供給する、2)多孔質基材の裏面側、すなわち図1の下側から供給する、又は3)上記の1)及び2)の両側から供給する、ことにより行うことができる。この方法は特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂を入れた浴槽に多孔質基材の離型層が形成されている面又はその反対の面から浸漬させる方法;キスコーター、コンマコーター等のコーターにより熱硬化性樹脂を多孔性基材の離型層が形成されている面、その反対の面、又はこれらの両面に塗布する方法;スプレー装置、シャワー装置等により熱硬化性樹脂を多孔性基材の離型層が形成されている面、その反対の面、又はこれらの両面に吹き付ける方法、等が挙げられる。
熱硬化性樹脂は多孔質基材中に含浸するが、離型層の中には含浸されずに離型層を被覆する。なお、前記熱硬化性樹脂は離型層の少なくとも一部を被覆していればよく、例えば、離型層が占める全面積の30%以上が熱硬化性樹脂により被覆されていればよい。離型層の全面積における熱硬化性樹脂の被覆割合は、50〜100%程度であることが好ましい。
その後、熱硬化性樹脂を含浸させた多孔質基材を加熱して、熱硬化性樹脂を硬化させる。加熱温度及び加熱時間は、使用する熱硬化性樹脂及び硬化剤の種類等により適宜調整する。例えば、イソシアネート硬化型不飽和ポリエステル樹脂、及びウレタン硬化型ポリウレタン樹脂の場合は40〜60℃程度で1〜5日間程度であり、ポリシロキサン樹脂の場合は80〜150℃程度で1〜30分間程度であり、メラミン樹脂の場合は90〜160℃程度で30秒間〜30分間程度である。熱硬化性樹脂を硬化させる際、必要であれば、圧力を加えてもよい。
多孔質基材における樹脂含浸率は、化粧板の目的とする性能、多孔質基材の厚み等に応じて適宜調整することができる。樹脂含浸率として、30〜200%程度が好ましく、50〜150%程度がより好ましい。なお、樹脂含浸率は下記式により算出される。
含浸率(%)=[含浸後の多孔質基材重量−含浸前の多孔質基材重量/含浸前の多孔質基材重量]×100
多孔質基材の上に形成された熱硬化性樹脂膜の厚みは特に限定されず、塗工時の多孔質基材と熱硬化性樹脂とを合わせた厚みは50〜500μm程度、乾燥後の多孔質基材と熱硬化性樹脂とを合わせた厚みは50〜300μm程度である。
熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱する前に、必要であれば、多孔質基材の裏面に、フェノール樹脂含浸コア紙を積層することができる。フェノール樹脂含浸コア紙とは、一般に、コア紙として坪量150〜250g/m2程度のクラフト紙にフェノール樹脂を含浸率45〜60%程度となるように含浸し、100〜140℃程度で乾燥させることにより製造された紙である。フェノール樹脂含浸コア紙には、市販品を使用することができる。フェノール樹脂含浸コア紙を積層する際には、必要に応じて、多孔質基材の裏面にコロナ放電処理を施したり、公知のプライマー層を塗布することにより裏面プライマー層を形成したりしてもよい。
また、熱硬化性樹脂を含浸させた後、加熱する前に、必要であれば、熱硬化性樹脂膜の表面の光沢を調整することができる。例えば、熱硬化性樹脂の上に光沢調整した賦型シートを積層した状態で熱硬化する、熱硬化性樹脂の上にエンボス型板(テクスチャーを付けた鏡面板)を設置して熱硬化する等により、熱硬化性樹脂膜の表面の光沢を調整することができる。その後、第3工程で離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を剥離することにより、化粧板表面に賦型による細かな凹凸によって光沢を調整した部分と、離型層の上の領域の熱硬化した樹脂を剥離することで得られる深いマット意匠部とを備えた立体的で深みのある意匠のメラミン化粧板を簡単に得ることができる。
第2工程終了後の状態の一例を図2に示す。含浸した熱硬化性樹脂が熱硬化した多孔質基材1’及び離型層2の上に、熱硬化性樹脂が熱硬化した樹脂膜3が形成されている。
(3)第3工程
第3工程は、前記離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を剥離する工程である。
離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を剥離する方法は特に限定されない。例えば、化粧板表面に、マスキングフィルム等の保護フィルム、セロハンテープ、ガムテープ等の粘着テープ、賦型シート等を貼り付け、その後に該フィルムを剥がすと同時に剥離させる方法;化粧板表面をバフ研磨、鑢、綿布、たわし、メラミンスポンジ、スチールウール、高圧洗浄機、粘着テープ、粘着ゴムローラー、粘着ゴムシート等で剥離する方法;予め溶剤に溶解させた塩化ゴム系樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の樹脂液を塗工し乾燥した後剥離する方法;ホットメルト接着剤を塗工した後に低温下で剥離する方法;樹脂板又は金属板を貼り付けた後剥離する方法等が挙げられる。
第2工程で樹脂膜の表面の光沢を調整した場合には、上記の方法を用いて離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を剥離することにより、化粧板表面に賦型による細かな凹凸によって光沢を調整した部分と、離型層の上の領域の熱硬化した樹脂を剥離することで得られる深いマット意匠部とを備えた立体的で深みのある意匠のメラミン化粧板が簡単に得られる。
また、粘着テープ、マスキングテープ、賦型シート等を用いて離型層の上の領域の熱硬化した樹脂を剥離する場合、樹脂皮膜との剥離重さを調整したものを使用することが好ましい。例えば、メラミンの熱硬化皮膜の場合には、賦型シート等の剥離重さを0.1〜10N/インチに調整することが好ましい。剥離重さが0.1N/インチ未満ではメラミンの熱硬化皮膜を剥離することが難しく、剥離重さが10N/インチでは剥離シート等が切れたり、離型層の上以外の領域の熱硬化皮膜も剥離される恐れがある。剥離重さが0.1〜10N/インチに調整された賦型シート等を用いることで、離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を簡単に除去することができる。
剥離重さを0.1〜10N/インチに調整した賦型シート等は、第2工程で樹脂膜を熱硬化する前に、熱硬化性樹脂の上に積層して加熱成形することも可能である。この場合、熱硬化後に賦型シートを外すことが剥離工程(第3工程)に該当する。熱硬化後に賦型シートを外すだけで(その後に上記のマスキング等テープ等を貼り付けて剥離する処理を行わなくても)十分な意匠性を有する化粧板を得ることができる。
第3工程における樹脂膜の剥離重さを0.1〜10N/インチに調整した賦型シートとしては、単層、複層を問わず種々のシート状のものを使用することができる。そのような賦型シートとして、基材シート上に硬化性樹脂層を積層した構成とし、硬化性樹脂層側の面が熱硬化性樹脂膜と接するように用いられる態様が好ましく挙げられる。賦型シートを構成する基材シートとしては、シート状のものであれば特に限定されず、紙、不織布、熱可塑性樹脂シート等が例示される。基材シートとしては、これらの中でも熱可塑性樹脂シートが好ましく、第2工程で樹脂膜を熱硬化する際の耐熱性の観点からはポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂シートが特に好ましい。基材シートの厚みとしては、特に限定されず、通常10〜200μm程度である。また、賦型シートを構成する硬化性樹脂層としては、電離放射線硬化性樹脂を含む組成物の硬化層であることが好ましい。賦型シートの硬化性樹脂層として電離放射線硬化性樹脂を用いることで、メラミンの熱硬化皮膜との剥離重さを0.1〜10N/インチに調整することが容易となる。賦型シートに用いられる電離放射線硬化性樹脂としては、第1工程の離型層の項で挙げたものと同様のものを使用することができる。また、電離放射線硬化性樹脂を含む組成物は、剥離重さを調整する等の目的で、適宜、体質顔料等の成分を含んでいてもよい。硬化性樹脂層の厚みとしては、通常1〜30μm程度である。
第3工程で得られた化粧板の一例を図3に示す。離型層の上を被覆している領域の熱硬化した樹脂膜を剥離することで、図3に示すように、離型層が露出する。離型層が存在しない箇所の熱硬化した樹脂膜は剥離されないので、剥離後の化粧板の表面には、熱硬化した樹脂膜で被覆されている部分(離型層のない部分)3aと、熱硬化した樹脂膜が剥離し、離型層が露出している部分(離型層のある部分)2とが存在し、両者の間に高低差が生じることで、意匠感が得られる。例えば、図3に示す化粧板では、熱硬化した樹脂膜で被覆されている部分3aがグロス調の意匠感を与え、離型層が露出している部分2がマット調の意匠感を与える。
なお、離型層の上に存在する熱硬化した樹脂膜のすべてが剥離される必要はなく、離型層の上に存在する熱硬化した樹脂膜の一部が残っていてもよい。離型層の面積の50%以上の部分が剥離されていれば、意匠感を得ることができる。
このように、多孔質基材上の一部に離型層を設け、1)前記多孔質基材の離型層側から、2)前記多孔質基材の裏面側から、又は3)上記の1)及び2)の両側から熱硬化性樹脂を供給し、前記熱硬化性樹脂を前記多孔質基材に含浸させるとともに前記熱硬化性樹脂により前記離型層を被覆した後、加熱することにより前記熱硬化性樹脂を熱硬化させ、前記離型層の上の領域の熱硬化した樹脂を剥離することで、十分な表面テクスチャーを有する化粧板を簡単に製造することができる。この方法によれば、従来の方法において意匠の種類だけ必要であった表面処理した鏡面板が不要となるため、コストを低くすることができる。さらに、多孔性基材の上に絵柄模様層を設ける場合、絵柄模様層及び離型層を印刷により作成することで、絵柄模様層の模様に同調させて離型層を印刷することが可能となる。これにより、従来の方法で困難であった下地の絵柄とテクスチャーとを同調させることが可能となり、より意匠性の高い化粧板を製造することができる。
本発明の製造方法により作製した化粧板は、表面に十分なテクスチャーを有しており、意匠性の高い化粧板である。この化粧板は、所定の成形加工等を施し、各種用途に用いることができる。例えば、上記の化粧板又は該化粧板の裏面にフェノール樹脂含浸コア紙を積層したものを木質基材上に積層し、壁、天井、床等の建築物の内装、家具又は弱電若しくはOA機器のキャビネット等に利用することができる。木質基材として、具体的には、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材から作られた突板、木材単板、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)、チップボード、又はチップボードが積層された複合基材等が挙げられる。上記木質基材としては、木材合板、パーティクルボード、中密度繊維板(MDF)を用いることが好ましい。
以下に実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
実施例1
(1)離型インキの製造
電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックス(登録商標)M400)60質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)0.6質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア320)4.8質量部、及びメチルエチルケトン(丸善石油化学株式会社)40質量部を、プロセスホモジナイザーPH91(株式会社エスエムテー製)を用いて、回転数2000rpmで1時間撹拌して離型インキを得た。
(2)化粧板の製造
原紙として坪量100g/m2の白チタン紙(KJ特殊紙株式会社製、KW−1002P)を使用し、絵柄印刷インキ(DICグラフィックス株式会社製、オーデSPTI)を用いて絵柄を印刷した後、上記(1)で製造した離型インキを用いて木目柄を印刷し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行った。
次いでメラミンホルムアルデヒド樹脂50質量部、水45質量部、及びイソプロピルアルコール5質量部からなる熱硬化性樹脂を、含浸用の含浸装置を用いてメラミン樹脂が100g/m2(乾燥時)の割合となるように含浸し、乾燥することにより含浸化粧シートを得た。この含浸化粧シートをフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、DL−25)4枚の上に積層し、積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、
高圧メラミン化粧板の成型物を得た。
次いで剥離工程として、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、その後、貼付けたマスキングテープを剥がした。
実施例2
(1)賦型シートの製造
50μm厚のPETフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)A4100(50μm)の易接着面に、電離放射線硬化性モノマー(東亞合成株式会社製、アロニックス(登録商標)M350)100質量部、反応性シリコーン(信越化学株式会社製、X−22−164B)2質量部、シリカ(富士シリシア化学株式会社製、サイリシア450)8質量部、及び酢酸エチル50質量部を含む賦型シート用塗工インキを、5g/m2(乾燥時)塗工し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、硬化することで賦型シートを得た。
(2)化粧板の製造
実施例1と同様にして製造した含浸化粧シートをフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、DL−25)4枚の上に積層し、更に含浸化粧シートの上に上記(1)で製造した賦型シートを、賦型シートの印刷面が含浸化粧シートの印刷面と接するように載せた積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、鏡面板及び賦型シートを外すことで高圧メラミン化粧板の成型物を得た。
次いで、高圧メラミン化粧板の表面にマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼付け、貼付けたマスキングテープを剥がすことで、化粧板が得られた。
比較例1
実施例1の剥離工程を行わない以外は実施例1と同様にして、比較例1のメラミン化粧板を得た。
比較例2
実施例1の離型インキの印刷を行わない以外は実施例1と同様にして、比較例2のメラミン化粧板を得た。
実施例1及び2、並びに比較例1及び2の化粧板について、以下のように意匠感及び表面高低差を評価した。また、剥離重さも測定した。
意匠感は、目視により以下の評価基準で判定を行った。
◎:十分な表面テクスチャー及び立体的で深みのあるグロスマット感があり、非常に良好○:十分な表面テクスチャーがあり、良好
×:表面テクスチャーが少なく、使用不可
表面高低差は、株式会社小坂研究所製 三次元表面粗さ測定器SE−30Kを使用し、JIS B 0601:2013に規定された方法に従って測定した。具体的には、化粧板表面の離型層の無い部分(熱硬化した樹脂膜が被覆している部分)と離型層の有る部分(熱硬化した樹脂膜が剥離した部分)との高低差を測定した。表面の最大高さ粗さ(Rz)を表面高低差のパラメ−タ−として用いた。10箇所の平均値を表1に記載した。
剥離重さは、株式会社オリエンテック製テンシロン万能材料試験機RTC−1250Aを使用して測定される値であり、具体的な測定方法は次の通りである。化粧板の表面に1インチの巾にカットしたマスキングテープ(株式会社スミロン製:E−207)を貼り付けた後、マスキングテープの一部を剥がし、図4のようにマスキングテープを剥がした化粧板の一端(下部)を試験機に固定した。180°剥がしたマスキングテープを上部の方向(矢印方向)に100mm/分のスピードで剥離したときの重さを測定した。なお、図4中の符号は、図1〜3と同様である。
実施例1の方法によれば、十分な表面テクスチャーを有する化粧板を簡単に製造することができる。さらに樹脂皮膜の表面の光沢を調整することを含む実施例2の方法によれば、メラミン化粧板の表面が、熱硬化性樹脂の皮膜に被覆されている細かな凹凸意匠の部分と被覆されていない深い凹部分とが混在している深みのあるグロスマット意匠を持った化粧板が得られる。
実施例3
(1)賦型シートの製造
50μm厚のPETフィルム(東洋紡株式会社製コスモシャイン(登録商標)A4100(50μm)の易接着面に、下記表2の実施例3に記載の組成を有する賦型シート用塗工インキを5g/m2(乾燥時)塗工し、165kVの加速電圧にて5Mradの電子線照射を行い、硬化することで賦型シートを得た。
(2)化粧板の製造
実施例1と同様にして製造した含浸化粧シートをフェノール樹脂含浸コア紙(太田産業株式会社製、DL−25)4枚の上に積層し、更に含浸化粧シートの上に、上記(1)で製造した賦型シートを載せた積層体を2枚の鏡面板で挟み、熱プレス機を用いて圧力100kg/cm2で、成型温度150℃で10分間の条件にて加熱成型し、鏡面板及び賦型シートを外すことで高圧メラミン化粧板を得た。
実施例4〜10
実施例3の賦型シート用塗工インキの組成を、下記表2の実施例4〜10の組成に変えた以外は、実施例3と同様にして、メラミン化粧板を得た。
比較例3
実施例3の賦型シート用塗工インキの組成を、下記表2の比較例3の組成に変えた以外は、実施例3と同様にして、メラミン化粧板を得た。
実施例3〜10、及び比較例3の化粧板について、以下のように剥離重さ及び表面高低差を評価した。
剥離重さは、上記(2)化粧板の製造の工程において、加熱成型して鏡面板を外した後、賦型シートに1インチの巾に切り込みを入れて一部を剥がし、実施例1及び2、並びに比較例1及び2と同じ方法で測定した。
意匠性は、目視により以下の評価基準で判定を行った。
○:グロスマット感があり、良好
△:グロスマット感が鮮明でないが使用可能
×:グロスマット感が少なく、使用不可
紫光(登録商標)UV1700B:紫外線硬化型ウレタンアクリレート樹脂
KARAYAD PET−30:放射線硬化性樹脂
ソルバイン(登録商標)A:塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂
Nipsil E220A:シリカ
X−22−164A:反応性シリコーン
MEK:メチルエチルケトン
樹脂膜を熱硬化する前に、剥離重さを0.1〜10N/インチの範囲に調整した賦型シートを熱硬化性樹脂の上に積層して加熱成形する実施例3〜10の方法によれば、熱硬化後に鏡面板及び賦型シートを外すだけで十分な意匠性(グロスマット感)を有する化粧板を得ることができる。