JP4255943B2 - 化粧材 - Google Patents

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本発明は、建築物の内装、建具の表面化粧、車両内装の表面化粧等に利用可能であり、意匠性に優れた化粧シート、化粧板等の化粧材に関する。
発明の背景
従来の化粧シートの一例として、その保護層に電子線硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂を設けたものが知られている。このような化粧シートにおいては、紙、オレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等の基材シートの表面に木目等の絵柄を設け、その絵柄の表面に電子線硬化型樹脂などからなる保護層が形成されている。また、このような化粧シートは、一般に、建具や建築物の内装用材料などとしてパーティクルボード、ベニヤ板、プラスチック部材、その他の化粧板基材に貼着され、化粧板として使用されている。
電離放射線硬化型樹脂からなる保護層を形成した従来の化粧シートでは通常その電離放射線硬化型樹脂の架橋分子量が調整されている。この架橋分子量の指標としては、一般に、架橋間分子量あるいは平均架橋分子量が用いられており、従来の電子線硬化型樹脂の架橋間平均分子量は、たとえば150〜1000であり、より好ましくは200〜1000、さらに好ましくは250〜800に設定されている。ここで、架橋間平均分子量は次式によって求められる。但し、次式において、全体の分子量はΣ(各成分の配合モル数×各成分の分子量)であり、架橋点の数は、Σ〔2(各成分の官能基数−1)×各成分のモル数〕である。
架橋間平均分子量=全体の分子量(m)/架橋点の数
この架橋間平均分子量が1000を超えた時では、樹脂全体がやわらかくなり過ぎ、電子線硬化型樹脂に特有な硬度が低くなって、保護層の表面の耐擦傷性が問題となる。また、従来の保護層で好ましい範囲とされている250乃至800の架橋間平均分子量であっても、例えばその上限側に近い側の800程度の架橋間平均分子量を有する保護層では、その耐汚染性が問題となり、耐汚染性試験を行った際にその保護層の表面に汚染物質が残存する傾向がある。これに対し、その架橋間平均分子量を200以下のものとすることによって、保護層の耐汚染性は大幅に向上する。これは分子量に対する官能基の割合の増加から、保護層の表面の硬度が高くなるためであり、汚染物質の表面への残存は抑制される。ところが、架橋間平均分子量を200以下に設定した場合では、電子線硬化型樹脂が硬化の際に凝集し、その下に存在する木目の絵柄等からなる印刷層を破壊してしまい、その結果として密着不良が生じてしまう。特に、印刷層を構成するインキ組成物が顔料を多く含有する場合は、層間の剥離が発生し易くなる。
本発明は上記従来技術の欠点を解決するためのものであり、耐汚染性に優れた保護層を設けると共に、密着不良などの問題も生じない化粧材を提供することを目的とする。
第1の態様
第1の態様に係る本発明の化粧材は、
基材と、
前記基材上に形成された印刷層と、
前記印刷層上に形成された、電離放射線硬化型樹脂からなる保護層とを有してなり、
前記印刷層と前記保護層との間に、前記保護層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層をプライマー層として設けてなる。
上記プライマー層は、好ましくは、膜厚1〜5μmを有する。
さらに、好ましい態様においては、電離放射線硬化型樹脂が、架橋間平均分子量100〜200を有する。
さらに、好ましい態様においては、電離放射線硬化型樹脂が、電子線硬化型樹脂である。
また、本発明の好ましい態様においては、前記プライマー層が、降伏強度0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
さらに、他の好ましい態様においては、前記保護層の最大耐熱温度が、170℃である。
さらに他の好ましい態様においては、前記トップコート層の最大耐熱温度が170℃である。
また、他の好ましい態様においては、化粧材の表面艶が、ガードナー75°グロス計で90以上である。
さらに本発明の好ましい態様においては、前記印刷層が、透気度が他の部分よりも低い模様からなり、この印刷層の全面に保護層が形成されてなる。さらに、この態様においては、保護層が、耐摩耗性を向上させるための、高硬度の球状粒子を含有していてもよい。さらに、この好ましい態様においては、 前記透気度 の低い模様に同調した凹凸が化粧材表面に形成されている。
第2の態様
第2の態様に係る本発明の化粧材は、
電離放射線硬化性樹脂組成物からなる滲透性を有する基材と、
前記基材上に形成された、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の滲透を抑制する性質を有する滲透抑制塗膜と、
前記滲透抑制塗膜上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物をはじく性質を有するはじき模様と、
前記はじき模様を含む前記滲透抑制塗膜上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物が前記はじき模様上ではじかれて凹部となりその他の部分で硬化した層からなるトップコート層とからなる、化粧材。
上記滲透抑制塗膜は、好ましくは、耐油性のある樹脂を主成分として含む組成物からなる。さらに、この場合の耐油性のある樹脂は、好ましくは、ポリビニルプチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、およぼこれらの樹脂の少なくとも1種と熱硬化性樹脂殿混合物からなる群から選ばれたものである。また、好ましくは、耐油性のある樹脂が、熱硬化性樹脂、および電離放射線硬化性のプレポリマー、オリゴマーまたはモノマーからなる。
さらに、他の好ましい態様においては、トップコート層が、球状粒子を含有する。この場合の球状粒子の粒径は、好ましくは、トップコート層の厚みの30%−200%である。
さらに、他の好ましい態様においては、前記滲透抑制塗膜が、前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層を兼ねるものであり、特に好ましくは、前記滲透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
さらに、本発明においては、好ましくは、はじき模様に同調するように凹部が形成されることによって、模様に同調した凹凸感を有する。
第3の態様
第3の態様に係る本発明の化粧材は、
紙からなる基材と、
前記基材上に形成された印刷層と、
前記印刷層上に形成されたシーラー層と、
前記シーラー層上に形成された、架橋性樹脂からなるトップコート層とからなり、
前記トップコート層のグロス値(75°)10〜50の範囲内において、動摩擦係数が0.3〜0.6の範囲に抑制されてなる。
印刷層は、好ましくは、着色ベタ層および/または絵柄層からなる。
シーラー層は、好ましくは、艶消し剤を含有する。
さらに、シーラー層は、好ましくは、前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層を兼ねるものであり、特に好ましくは、前記滲透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
第4の態様
第4の態様に係る本発明の化粧材は、
紙からなる基材と、
前記基材上に形成された第1シーラー層と、
前記第1シーラー層上に形成された印刷層と、
前記印刷層上に形成された第2シーラー層と、
前記第2シーラー層上に形成された、架橋性樹脂からなるトップコート層とからなり、
前記各層の合計厚さが、50μm以下である。
好ましい態様においては、上記化粧材のJISカップ法の透湿度が、24時間後において600g/mである。
さらに好ましい態様においては、トップコート層は、電離放射線硬化型樹脂からなる。また、別の好ましい態様においては、トップコート層が、撥水物質を含む。
さらに好ましい態様においては、トップコート層が、疎水性シリカを含む。
さらに、他の好ましい態様においては、第1シーラー層および/または第2シーラー層が、架橋性樹脂からなる。
さらに、他の好ましい態様においては、第1シーラー層および/または第2シーラー層が、前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層を兼ねるものであり、特に好ましくは、前記滲透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜
3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
第1の態様
以下、本発明の実施形態としての化粧シートを図面に基づき詳細に説明する。図1に示すように本実施形態にかかる化粧シート1は、基材シート2と、該基材シート2の表面に設けた印刷層3と、前記印刷層3の表面側に下塗り層4と保護層である電離放射線硬化性樹脂層5が積層されている。
基材シート2を構成する材料としては、坪量50〜150g/m程度の紙、織布、又は不織布からなる繊維質シート、さらにオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。基材シート2を紙、織布、又は不織布からなる繊維質シートなどで構成する場合には、その厚みは50〜300μm程度の範囲から選択することができる。繊維質シートを構成する繊維質素材は、セルロースパルプ、麻、木綿、ナイロン等の有機質系の合成又は人造繊維、石綿、硝子、石英、カーボン、チタン酸カリウム等からなる無機質系の繊維が挙げられる。尚、セルロースパルプ繊維を用いた繊維質シートは、いわゆる「紙」であり、具体的には、上質紙、クラフト紙、和紙等が挙げられる。又、化粧紙原紙は上記繊維質シート等に硬化型樹脂等を含浸してなる、いわゆる含浸紙等を用いることもできる。
また、基材シート2の他の一例としては、主原料がハードセグメントとしての高密度ポリエチレン又はポリプロピレンのいずれかからなり、これにソフトセグメントとしてのエラストマー及び無機充填剤を添加してなるもの(第1のポリオレフィン系樹脂)が挙げられる。また、特開平9−111055号公報、特開平5−77371号公報、特開平7−316358号公報等に記載されるエチレン−プロピレン−ブテン共重合体(第2のポリオレフィン系樹脂)を基材シート2に用いることもでき、特公平6−23278号公報記載のハードセグメントとしてのアイソタクチックポリプロピレンとソフトセグメントとしてのアタクチックポリプロピレンとの混合物(第3のポリオレフィン系樹脂)からなるものを基材シート2に用いることもできる。これらには必要に応じて着色剤が添加される。 前記第1のポリオレフィン系樹脂に用いられる前記高密度ポリエチレンとしては、好ましくは、比重が0.94〜0.96のポリエチレンであって、低圧法で得られる結晶化度が高く分子に枝分かれ構造の少ない高分子である高密度ポリエチレンが用いられる。また、前記第1のポリオレフィン系樹脂に用いられるポリプロピレンとしては、好ましくは、アイソタクチックポリプロピレンが用いられる。 前記第1のポリオレフィン系樹脂に用いられる前記エラストマーとしては、ジエン系ゴム、水素添加ジエン系ゴム、オレフィンエラストマー等が用いられる。水素添加ジエン系ゴムは、ジエン系ゴム分子の二重結合の少なくとも一部分に水素原子を付加させてなるもので、ポリオレフィン系樹脂の結晶化を抑えて、その柔軟性を向上させる。ジエン系ゴムとしては、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、プロピレン・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、アクリロニトリル・イソプレンゴム、スチレンブタジエンゴム等がある。オレフィンエラストマーとしては、2種類又は3種類以上のオレフィンと共重合しうるポリエンを少なくとも1種類加えた弾性共重合体であり、オレフィンはエチレン、プロピレン、α‐オレフィン等が使用され、ポリエンとしては、1,4ヘキサジエン、環状ジエン、ノルボルネン等が使用される。好ましいオレフィンエラストマーとしては、例えばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム等のオレフィンを主成分とする弾性共重合体が挙げられる。なお、これらのエラストマーは、必要に応じて有機過酸化物、硫黄等の架橋剤を用いて、適量架橋させても良い。
これらエラストマーの添加量は、10〜60重量%、好ましくは30重量%程度である。10重量%より少ないと一定荷重伸度の変化が急峻になり過ぎ、また、破断時伸度、耐衝撃性、易接着性の低下が生じ、60重量%より多いと透明性、耐候性および耐クリープ性の低下が生じる。
また、前記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、クレー、タルク等の平均粒径0.1〜10μm程度の粉末が用いられる。添加量は、1〜60重量%程度、好ましくは5〜30重量%である。1重量%未満では耐クリープ変形性及び易接着性の低下が生じ、60重量%を越えると破断時伸度及び耐衝撃性の低下が生じる。
前記第2のポリオレフィン系樹脂としては、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂からなる熱可塑性エラストマーが用いられる。ここで、ブテンとしては、1ブテン、2ブテン、イソブチレンの3種の構造異性体のいずれも用いることができる。共重合体は、ランダム共重合体であって、非晶質の部分を一部含む。 このようなエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂の好ましい具体例としては、次の3つのエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂が挙げられる。第1に、特開平9−111055号公報に記載されるエチレン・プロピレン及びブテンの3元共重合体によるランダム共重合体が挙げられる。単量体成分の重量比率はプロピレンが90重量%以上である。メルトフローレートは、230℃、2.16kgで1〜50g/10分のものが好適である。そして、このような3元共重合体100重量部に対して、燐酸アリールエステル化合物を主成分とする透明造核剤を0.01〜50重量部、炭素数を12〜22の脂肪酸アミド0.003〜0.3重量部を溶融混練したものが前記ランダム共重合体である。
第2に、特開平5−77371号公報に記載されるエチレン・プロピレン及びブテンの3元共重合体であって、プロピレン成分含有率が50重量%以上の非晶質磁性体20〜100重量%に、結晶室ポリプロピレンを80〜0重量%添加してなるエチレン・プロピレン・ブテン共重合体である。第3に、特開平7−316358号公報記載のエチレン、プロピレン、1ブテンの3元共重合体であって、プロピレン及び/又は1ブテン含有率が50重量%以上の低結晶質重合体20〜100重量%に、アイソタクチックポリプロピレン等の結晶性ポリオレフィンを80〜0重量%混合した組成物に対して、Nアシルアミノ酸アミン塩、Nアシルアミノ酸エステル等の油ゲル化剤を0.5重量%添加したエチレン・プロピレン・ブテン共重合体である。
このようなエチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂は、単独で用いても良いし、上記エチレン・プロピレン・ブテン共重合体樹脂に必要に応じて更に他のポリオレフィン樹脂を混合して用いても良い。
また、前記第3のポリオレフィン系樹脂としては、特開平6−23278号公報記載のソフトセグメントとして数平均分子量Mnが25.000以上、且つ重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mn≦7の沸騰ヘプタンに可溶なアタクチックポリオレフィン10〜90重量%と、ハードセグメントとして、メルトインデックスが0.1〜4g/10分の沸騰ヘプタン不溶性のアイソタクチックポリプロピレン90〜10重量%との混合物からなる軟質ポリプロピレンが挙げられる。
前記軟質ポリプロピレンの中でも、所謂ネッキングを生じ難く、加熱、加圧を用いて各種形状に成形したエンボス加工する際に適性良好なものとしては、アイソタクチックポリプロピレンとアタクチックポリプロピレンの混合物からなり、且つアタクチックポリプロピレンの成分含有率が5重量%〜50重量%であることが好ましく、20重量%〜40重量%であることがより好ましい。
アタクチックポリプロピレンの重量比率が5重量%未満では、エンボス加工したり、3次元形状や凹凸形状の物品に成形加工する際のネッキングによる不均一なシートの変形や、その結果としての皺、印刷された絵柄の歪みカソードが生じる。アタクチックポリプロピレンの重量比率が50重量%を越えると、シート自体が変形し易くなり、シートを印刷機に通した時にシートが変形し、印刷された絵柄が歪んだり、多色刷りの場合に見当が合わなくなる等の不良が発生しやすくなる。
また、上記基材シート2のオレフィン系樹脂中には所望により、着色剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、熱安定化剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、発泡剤等が添加される。着色剤として、チタン白、亜鉛華、べんがら、朱、群青、コバルトブルー、チタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノン、ハイザイエローA、キナクドリン、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー等の有機顔料あるいは染料、アルミニウム、真鍮等の箔粉からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸亜鉛等の箔粉からなる真珠光沢顔料等が用いられる。着色は透明着色、不透明(隠蔽)着色いずれでも可であるが、一般的には被着体を隠蔽するために不透明着色が好ましい。
また、熱定化剤としては、フェノール系、サルファイト系、フェニルアルカン系、フィスファイト系、アミン系等公知のものであり、熱加工時の熱変色等の劣化の防止の向上を図る場合に用いられる。難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの粉末が用いられる。これらは難燃性を付与する場合に添加される。
紫外線吸収剤は、樹脂により良好な耐候性を付与するためのものであり、2−ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収材、サリチル酸フェニル、4−t−ブチル−フェニルサリシート等のサリチル酸エステル系紫外線吸収剤が用いられる。その他に、ベンゾトリアゾール骨格にアクリロイル基又はメタクリロイル基を導入した反応型紫外線吸収剤も用いられる。尚、これらの紫外線吸収剤の添加量は、通常、0.1〜10時は程度である。
紫外線による劣化を更に防止し、耐候性を向上させるためには、ラジカル捕捉剤を添加することが好ましい。ラジカル捕捉剤としては、ビス−(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ビペラジニル)セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6,−テトラメチル−4−ビペリジニル)セバケート、その他、例えば特公平4−82625号公報に開示されている化合物等のヒンダード系ラジカル捕捉剤、ピペリジル系ラジカル捕捉剤等が使用される。
基材シートは、これらの上記材料をブレンドしたものをカレンダー加工等の常用の方法により製膜して得ることができる。基材シートの厚みは50〜200μm程度、好ましくは100μ程度である。
印刷層3は、絵柄印刷、着色印刷などにより形成される。印刷層3は具体的には顔料添加による着色(透明又は不透明)の模様又はベタ印刷などであり、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、転写シートからの転写印刷等の公知の印刷法を用い、インキ(或いは塗料)にて形成する。印刷層3の模様としては、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号などがある。印刷層3に用いられるインキは、バインダーとして、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン等の塩素化ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、酢酸ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、セルロース系樹脂などを用い、1種又は2種以上混合して用いる。またこれに顔料等を添加したものでもよい。印刷層3は基材シート2表面の全面に設けても部分的に設けても何れでもよい。又、印刷層3は図1に示すように、基材シート2の表面全面に設けたベタ印刷層3aと、該印刷層の表面に部分的に設けた模様印刷層3bとから構成してもよい。
基材シート2が紙の場合は、アクリル硝化綿系インキが好ましい。基材シート2がオレフィン系樹脂の場合は、ウレタン系インキが好ましい。基材シート2が塩化ビニル系樹脂の場合は、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体系インキが好ましい。基材シート2との密着性が避ければ所要の絵柄を構成可能なインキであればその種類を問わない。
前記アクリル硝化綿系インキは、アクリル樹脂と硝化綿の混合物であり、両者を任意の割合で混合して用いることができる。アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(但し、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味するものとし、以下同様である。)が挙げられる。これらのアクリル樹脂から選ばれた少なくとも1種と硝化綿を混合してインキ層に用いる。
このような印刷層3の上には、電離放射線硬化性樹脂層5の硬化時の収縮を緩和する下塗り層4が形成される。この下塗り層4は、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンが使用される。
下塗り層4を例えば明くる利樹脂を主体とする樹脂層で構成した場合、そのアクリル樹脂としては、前記アクリル硝化綿系インキに用いられるアクリル樹脂と同様に、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸プロピル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸エチル・(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、スチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステルを含む単独又は共重合体からなるアクリル樹脂(但し、ここで(メタ)アクリルとはアクリル又はメタアクリルを意味するものとし、以下同様である。)が用いられる。
この下塗り層4は電離放射線硬化性樹脂層5の硬化時の収縮を緩和するための層であり、その効果を得るために、当該下塗り層4の層の厚みが1〜5μmの範囲に設定される。特に、2μm以上の膜厚が硬化型樹脂層の収縮の緩和のためには好ましく、また、3μm以下の膜厚が層間剥離を防止するためには好ましいため、より好適な膜厚の範囲として、2〜3μm程度の膜厚であることがより望ましい。このような範囲の中から選ばれる膜厚を以て下塗り層4を前記絵柄層3の上に形成し、その上に保護層としての電離放射線硬化性樹脂層5を形成することで、電離放射線硬化性樹脂層5が硬化する場合にも、当該電離放射線硬化性樹脂層5の凝縮による影響が印刷層3に直接及ぶことがなくなり、下塗り層4自体の柔軟性によって、電離放射線硬化性樹脂層5の硬化時の収縮が十分に緩和される。 下塗り層4の形成方法としては、直接コーティング法によって形成することができ、また、転写法を用いることも可能である。直接コーティング法によって下塗り層4を形成する場合には、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコート等を用いることができる。また、転写コーティング法としては、一旦、薄いシート(フィルム(基材に下塗り層の塗膜を形成し、しかる後基材の表面に被覆する方法であり、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法や、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着材層を形成した転写シートを接着後、支持体シートのみ剥離する転写法などがある。
保護層として用いられる前記電離放射線硬化性樹脂層5は、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合した、電離放射線により硬化可能な組成物が用いられる。尚、ここで電離放射線とは、電磁波または荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常紫外線または電子線等を意味する。本実施態様においては、電離放射線硬化性樹脂は電子線の照射によって高硬度に硬化する電子線硬化型樹脂である。
上記プレポリマー、オリゴマーには、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。 ウレタンアクリレートとしては、例えばポリエーテルジオールとジイソシアネートとを反応させて得られる、下記の一般式で表されるポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートが挙げられる。
CH2=C(R1)−COOCH2CH2−OCONH−X−NHCOO−〔−CH(R2)−(CH)−O−〕−CONH−X−NHCOO−CH2CH2OCOC
(R1=CH2(式中、R1,R2はそれぞれ水素またはメチル基であり、Xはジイソシアネート残基、nは1〜3の整数、mは6〜60の整数である。)
上記のポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートに使用されるジイソシアネートとしては、例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。上記のポリエーテルジオールとしては、分子量が500〜3000のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等が挙げられる。
以下、ウレタンアクリレートの製造例を示す。滴下ロート、温度計、還流冷却管及び攪拌棒を備えたガラス製反応容器中に、分子量1000のポリテトラメチレングリコール1000部と、イソホロンジイソシアネート444部とを仕込み、120℃で3時間反応させた後、80℃以下に冷却し、2−ヒドロキシエチルアクリレートを232重量部加え、80℃でイソシアネート基が消失するまで反応させて、ウレタンアクリレートが得られた。
電離放射線硬化性樹脂に用いるモノマーとしては、スチレン、αメチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換酸の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は、分枝中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂層5には光重合開始剤を添加してもよい。光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミノキシムエステル、テトラメチルチウラムモノサルファイド、チオキサントン類、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、メタロセン、等が挙げられる。又、光重合促進剤(増感剤)としてn−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン等を、更に混合して用いることができる。光重合開始剤の添加量は、1〜10重量%の範囲が、硬化性が良好であることから好ましい。また光重合開始剤の種類としては、ベンゾフェノン系が硬化性が良好であることから好ましい。
上記電離放射線硬化性樹脂層5にさらに耐擦傷性を付加する目的で球状粒子を混合分散してもよい。球状粒子の材質は架橋硬化性樹脂よりも高硬度であれば良く、無機粒子及び有機樹脂粒子のいずれも用いることができるが、耐摩耗性、硬度の点で、無機粒子が推奨される。球状粒子の架橋硬化性樹脂との硬度の差は、硬度のモース硬度、ビッカーズ硬度等の方法で計測され、例えば、モース硬度で表した場合、1以上が好ましい。
球状粒子の材質は、具体的には、α−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイヤモンド、黒鉛等の無機粒子、および架橋アクリルなどの合成樹脂ビーズ等の有機樹脂粒子が挙げられる。特に、好ましい球状粒子は、非常に硬度が高く、耐摩耗性に対する効果が大きいこと、球形状のものが比較的容易に得やすい等の理由から、球形のα−アルミナが用いられる。
球状粒子は、真球状、あるいは球を扁平にした回転楕円状ならびに真球状や回転楕円状に近い形状などのように、表面が滑らかな曲線に囲まれていれば良い。球状粒子は、特に粒子表面に突起や角あるいは谷間や凹部のない球状が望ましい。球状粒子は同じ材料の不定形の粒子と比較して、表面樹脂層それ自体の耐摩耗性を大きく向上させると共に、塗工装置を摩耗させず、塗膜の硬化後もこれと接触する他の物を摩耗させず、さらに塗膜の透明度も高くなるという特徴があり、滑らかな形状の場合にその効果が大きい。
本実施形態において、特に電離放射線硬化性樹脂層5の樹脂は、架橋間平均分子量が100以上であり200以下とするのが好ましい。この範囲であれば耐汚染性試験を行った際にその層表面に汚染物質が残存することなく、層表面は良好な耐汚染性を示す。そして、本実施形態においては、電離放射線硬化性樹脂層5が硬化する際にも、下塗り層4が樹脂層の硬化による収縮を緩和して、直接印刷層3の表面を破壊するようなことが防止される。本来、架橋間平均分子量200以下である時は、その架橋反応が層中で強く作用するために大幅な収縮が起こるが、その収縮による力を前記下塗り層4が分散させ、印刷層3を破壊から未然に守ることになる。電離放射線硬化型樹脂層5の樹脂の平均架橋分子量は、前述した数式参照。)のように、全体の分子量を架橋点の数で割ることで求められる。但し、全体の分子量は、Σ(各成分の配合モル数×各成分の分子量)であり、架橋点は、Σ〔1(各成分の官能基数−1)×21×各成分のモル数〕である。
電離放射線硬化性樹脂層5には、耐汚染性を損なわない範囲で、電離放射線非硬化性樹脂を添加することができる。該電離放射線非硬化性樹脂としてはウレタン系、繊維素系、ポリエステル系、アクリル系、ブチラール系、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂が用いられ、特に繊維素系、ウレタン系、ブチラール系は、可撓性の点から好ましい。また、電離放射線硬化性樹脂層5は、上記電離放射線硬化性樹脂、球状アルミナ、及びプラスチックビーズ、その他の添加剤等を含む塗工組成物を印刷層3が設けられた基材シート2の印刷層3の上から塗工し、硬化させて形成することができる。電離放射線硬化性樹脂層5の塗工組成物には、上記の成分以外に、表面樹脂層としての透明性、耐摩耗性等を損なわない範囲で、染料や顔料等の着色剤、その他のCaCO、BaSO等の公知の艶消調整剤や増量剤といった充填剤、消泡剤、レベリング剤、チクソトロピー性付与剤などの塗料、インキに通常添加される添加剤を加えることができる。
電離放射線硬化型樹脂層5の塗工組成物には、粘度を調整するために、樹脂の成分を溶解可能であり、常圧における沸点我70℃〜150℃の溶剤を、組成物中に30重量%以下の範囲で用いることができる。溶剤の添加量が30重量%以下の範囲であれば、乾燥がスムーズであり、生産スピードの大きな低下がない。
上記の溶剤としては、塗料、インキ等に通常使用されるものが使用でき、具体例としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテルなどのエーテル類およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
電離放射線硬化型樹脂層を形成するには以下の方法を用いることができる。基材シートの表面に塗工組成物を直接塗工する直接コーティング法、又は、剥離性の基材表面に電離放射線硬化型樹脂層を予め形成した後、該層を基材シートの表面に転写する、転写コーティング法が用いられる。基材シートとして化粧紙を用いた場合において、化粧紙原紙の材質として、塗工組成物が浸透しないものを使用した場合には上記の直接コーティング法と転写コーティング法の何方を用いてもよいが、塗工組成物を浸透させるものを使用した場合や、表面に凹凸のある基材、ならびに塗膜厚みの均一性を出す場合、電離放射線の強度を均一にして均一な耐摩耗性を形成したい場合には、転写コーティング法を用いるのが好ましい。
上記直接コーティング方は、グラビアコート、グラビアリバースコート、グラビアオフセットコート、スピンナーコート、ロールコート、リバースロールコート、キスコート、ホイラーコート、ディップコート、シルクスクリーンによるベタコート、ワイヤーバーコート、フローコート、コンマコート、かけ流しコート、刷毛塗り、スプレーコートなどを用いることができるが、好ましいのはグラビアコートである。
転写コーティング法は、下記の(a)〜(d)に示す、一旦薄いシート(フィルム)基材に塗膜を形成し架橋硬化せしめ、しかる後基材の表面に被覆する方法や、塗工組成物の塗膜を基材と共に立体物に接着するラミネート法(a,b)、一旦離型性支持体シート上に塗膜と必要に応じて接着剤層を形成し塗膜を架橋硬化させてなる転写シートを、その塗膜側を立体物に接着後、支持体シートのみ剥離する転写法(c)等の手段を利用することができる。即ち、(a)特公平2−42080号公報、特公平4−19924号公報等に開示されるような射出成形同時転写法或いは特公昭50−19132号公報に開示されるような射出成形同時ラミネート法や、(b)特開平4−288214号公報、特開平5−57786号公報に開示されるような真空成形同時転写法或いは特公昭56−45768号公報に開示されるような真空成形同時ラミネート法や、(c)特公昭59−51900号公報、特公昭61−5895号公報、特公平3−2666号公報等に開示されるように、ラッピング同時転写法、又はラッピング同時ラミネート法や、(d)実公大15−31122号公報等に開示されているVカット加工同時ラミネート法或いは特公昭56−7866号公報等に開示されているVカット加工同時転写法などが挙げられる。尚、薄いシート基材に、樹脂層を形成する方法は上記の直接コーティング法と同じ各種のコーティング手段を用いることができる。
また下記の(A)〜(D)の工程を順次行う方法を用いることもできる(特開平2−26673号公報等記載)。(A)非吸収性且つ離型性の合成樹脂シートに、未硬化液状の電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工し、(B)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗布面が基材と接するようにラミネートし、(C)前記電離放射線硬化型樹脂組成物の塗膜に電離放射線を照射して架橋、硬化させ、(D)合成樹脂シートを剥離除去する。上記の工程において、電離放射線硬化型樹脂として溶剤で希釈されたものを使用する場合には、工程(A)と(B)との間に溶剤を乾燥する工程を設ける。上記の方法によれば、基材として紙のような浸透性の高い材質の場合であっても、樹脂が基材の裏側に抜ける、いわゆる「うらぬけ」が確実に防止され、基材表面に良好な耐摩耗性の電離放射線硬化型樹脂層5を容易に形成可能である。
本発明にかかる化粧板は、図2に示すように、上記基材シート、印刷層、下塗り層、電離放射線硬化型樹脂層が順次積層された化粧シート1を化粧板基材6に貼着してなるものである。図2に示すように化粧シート1の接着は、化粧板基材6の表面に接着剤7を塗布した後、化粧シート1を接着剤7と接するように化粧板基材6に積層して一体化することで、図3に示すように化粧板8が得られる。接着剤7は、化粧シート1側に塗布してもよい。
化粧板基材6としては、木材単板、木材合板、パーチクルボード、MDF(中密度繊維板)等の木質板、石膏板、石膏スラグ板等の石膏系板、珪酸カルシウム板、石綿スレート板、軽量発泡コンクリート板、中空押出セメント板等のセメント板、パルプセメント板、石綿セメント板、木片セメント板等の繊維セメント板、陶器、磁器、せっ器、土器、硝子、琺瑯等のセラミックス板、鉄板、亜鉛メッキ鋼板、ポリ塩化ビニルゾル塗工鋼板、アルミニウム板、銅板等の金属板、ポリオレフィン樹脂板、アクリル樹脂板、ABS板、ポリカーボネート板等の熱可塑性樹脂板、フェノール樹脂板、尿素樹脂板、不飽和ポリエステル樹脂板、ポリウレタン樹脂板、エポキシ樹脂板、メラミン樹脂板等の熱硬化型樹脂板、フェノール樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の樹脂を、硝子繊維不織布、布帛、紙、その他の各種繊維質基材に含浸硬化して複合化したいわゆるFRP板等の樹脂板が挙げられる。また、化粧板基材は上記各種基材の2種以上を接着剤、熱融着等の公知の手段により積層した複合基材を用いてもよい。
接着剤としては、化粧板基材6と化粧シート1が接着可能なものであればよく、例えば酢ビ系、尿素系等が挙げられる。
なお、パーティクルボート等の基材に表面装飾を付与する目的で化粧シートをラミネートし、化粧材とすることは良く知られている。このような化粧材に使用される化粧シートにはプレコート紙としてウレタン樹脂を原紙にコートしたウレタンコート紙や、電離放射線硬化型樹脂を原紙にコートしたEBコート紙等の化粧シートがある。これらの化粧シートは基材とラミネートする際に高温で処理が行われるため、熱ラミネート前後において、化粧シートの樹脂層が熱的変化を受けて劣化し、化粧シート表面の艶が変化し、化粧効果に悪影響となることが問題となっている。
前記した問題点を解決するための本発明の化粧シートとしては、基材に熱ラミネートされる化粧シートであって、該化粧シートは耐熱最大温度が170℃の表面保護層をその最表面層として有することが好ましい。ここで、表面保護層の「耐熱最大温度」とは、表面保護層の艶の変化に影響を与えない温度を言う。
化粧シートの表面保護層の艶は、好ましくは、ガードナー75゜グロス計で90以上である。また、この場合の表面保護層は、好ましくは、電子線硬化型樹脂であり、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、多官能モノマー及び、単官能モノマーを含むものから好ましく選ばれる。
本発明の化粧材は、上記化粧シートが基材に熱ラミネートされたものを含む。
図9に上記態様の化粧シートの層構成を示す。93は化粧シートにおける基材シートとなる原紙93であり、該原紙93上に絵柄層92が印刷インクにより形成されて、該絵柄層42上にさらに電子線硬化型樹脂による表面保護層91が形成されている。図10に本発明の化粧材の層構成を示す。図10に示すように前記本発明の化粧シートはパーティクルボード等の各種基材94に熱ラミネートされて本発明の化粧材となる。一般の化粧シートは150〜170℃で熱的劣化を使用じて化粧シート表面の艶を損ねる。これに対して本発明の化粧シートは耐熱最大温度が170℃あるので、170℃までの熱を受けても艶を損ねることはない。
表面保護層に使用される樹脂には、耐熱最大温度が170℃であることが好ましい。このような耐熱性を有する樹脂には、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ユリア樹脂、或いは電子線硬化型樹脂が挙げられ、該電子線硬化型樹脂は、ウレタンアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、多官能モノマー、及び単官能モノマーを含むものが挙げられる。
印刷インキにて、原紙上にグラビア印刷、オフセット印刷、又はシルクスクリーン印刷等の公知の印刷技術により模様を形成したものを絵柄層とし得る。
原紙としては、薄紙、上質紙、和紙などが使用でき、特に、酸化チタンなどの隠蔽性顔料を混抄した「チタン紙」と呼ばれる紙が隠蔽性、樹脂液の含浸性に優れ好ましい。
基材としては、化粧材として必要な厚さ及び強度を与えるための基材が好ましく、例えば、合板、又はパーティクルボードが挙げられる。
次に、印刷層に形成された模様に同調した凹凸形状を有する化粧材の態様について説明する。
木目の導管部の窪みを表現する試みは、従来から、種々のものが存在する。例えば、特開昭48−20912号公報には、艶のない導管の印刷を施し、かつ導管以外の部分に艶のある印刷を施して、凹凸感を表現する技術が開示されている。また、特開昭49−16752号公報には、粒状固形分の含有量を順次増加させた3種類以上のインキを用いて印刷し、特に導管部を最も粒状固形分の含有量の多いインキないし塗料で印刷し、その後、全面に表面保護層を設ける技術が開示されている。さらに、特開平2−108539号公報には、導管部の模様の上方部分とそれ以外の模様の上方部分とを艶消し、艶有りのインキを用いて、凹凸感を表現する技術がそれぞれ記載されている。
通常の木目模様の印刷を行う際には、グラビア印刷方式による事が多く、3色分解法による版も使われるが、むしろ、特殊な版を使った特殊な印刷、即ち、均一に色彩を施す、いわゆるベタ印刷のための版胴ローラ、木目全体の濃淡の調子を表現するための版胴ローラ、および導管部を表現するための版胴ローラの合計3本の版胴ローラを用いる特殊な印刷を行う事が比較的多い。伸縮しやすい特殊な原反を使用する事が多いため、このような特殊な印刷が用いられ、原反の流れ方向、即ち、長さ方向の見当が多少ずれても著しい欠点とは感じられないように特別の版が使用されている。この特殊な印刷においては、インキとしても通常のイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのプロセスカラーに替えて、特別に調合した特色インキを用いる事が普通である。
ところで導管部の窪んだ感じを導管部形成用とは別のインキを用いて表現しようとすれば、前記の3本の版胴ローラ以外に、別の版胴ローラを追加することが必要であり、導管部以外の模様の盛り上がりを表現しようとすると、さらに別の版胴ローラを追加することが必要になる。そして、通常の3本の版胴ローラ以外にこれらの1本ないし2本の版胴ローラを用いるときは、模様同士の見当を合わせるために、版胴を3本までしか設置できない3色機は使えず、4色機もしくは5色機、あるいはそれ以上の多色機を使う必要が生じ、使用可能な印刷機が限定される。なお、表面保護層を形成するのには、印刷機を使用してもできるが、ロールコーダーなどのコーターの方がより適しているので、できれば、印刷機とは別のコーターを使用した方がよい。なお、印刷後に全面に均一なコーティングを行う場合、印刷模様とコーティング層との間の見当合わせは不必要であるので、印刷が終了して一旦巻き取った原反を、コーターの給紙スタンドから供給し、特に見当を考慮せずにコーティングしてよいが、印刷後にコーティングし、さらにもう一度印刷するような場合には、印刷模様どうしの見当合わせが必要になり、一旦印刷、コーティングが終了して巻き取った原反をもう一度印刷機の給紙スタンドより供給して印刷するのであるが、既に印刷されている模様と後から行う印刷の模様との間で見当合わせを行うのは極めて難しいのが実態である。
以上の一般的知見を踏まえ、前記の公知技術を見ると、それぞれ欠点がある。第1番目のものでは、通常の木目模様の印刷以外に、版胴ローラを2本使用して印刷し、しかも印刷の際に導管に相当する部分の模様のポジ版と、これとはネガの関係にある模様の板とを見当を正確に合わせて印刷する必要があり、印刷された両模様の間に隙間が生じないよう、厳格な見当合わせが必要である。両模様の間に隙間が空いたとすると、その部分において、表面の物理的、化学的な諸性能の確保が不十分になる。第2番目のものでは、表面保護層を設けているので、表面の物理的、化学的な諸性能はある程度確保されるとしても、導管部以外の部分も含め、粒状固形分の含有量を順次増加させた3種類以上のインキを必ず使用しなければならず、質感の表現に制約を加える原因となる上、粒状固形分の添加によって導管部に塗布された塗料の浸透が促進され、表面の性能を向上すべき塗料の無駄が多く、導管部以外でも、粒状固形分のが保有量の差により程度の差こそあれ、塗料の浸透がかなりある。さらに第3番目のものでは、見当精度が緩和されるよう配慮がなされているものの、第1番目のものと同様、凹凸感を形成するために、木目模様とは別の模様を形成する必要があり、通常の模様を表現するための版胴ローラに加えて、他に2本の版胴ローラを準備する必要がある。
したがって、本発明の好ましい態様においては、模様に同調した凹凸感を有する化粧材を製造するに際し、上記の従来技術が持つ欠点を解消し、即ち、版胴を増やすことを最小限とし、見当合わせの問題が生じにくく、しかも、表面保護層が均一で保護機能を十分果たす化粧材を提供する。
さらに、この好ましい別の態様においては、模様に同調した凹凸感を有しつつ、表面の物理的、化学的な諸性能が向上した化粧材を提供し、さらにまた、の保護層が持つ耐摩耗性の向上した化粧材を提供する。
すなわち、本発明の好ましい態様においては、印刷層が、透気度が他の部分よりも低い模様からなり、この印刷層の全面に保護層が形成されてなる。
上記の態様の化粧材の一実施例を図11に示す。基体101上に、プライマー層106を介して、導管模様102を含む木目模様103と、導管模様102上以外を覆う透気度の高い模様104が形成されており、導管模様102と模様104を覆う全面には、表面保護層105が設けられているものである。木目模様103は図示の様にベタ柄を伴っている。
この例では、木目模様を取り上げ、木目の導管模様に相当する部分を周囲に比べて艶消しとし、導管模様が窪んだ外観を与えようとするものである。まず基材101上に木目の導管に相当する導管模様102を含む木目の模様103と、導管模様102の上以外を覆う透気度の高い模様104を設ける。導管模様102およびその他の木目模様は通常のインキを用いて形成し、模様104は後述するように透気度が他の部分よりも低くなるよう形成する。なお、木目模様は本発明の効果が発揮しやすい例であるが、本発明は、従来の技術の説明において述べたように、艶美により凹凸感を表現するものであれば、いずれの模様にも適用可能である。
基材101としては、通常、化粧材に用いられている素材であれば、いずれも使用可能であり、大別すれば、各種の紙類、プラスチックフィルム又はプラスチックシート、金属箔、金属シート、又は金属板、木材などの木質系の板、各種の窯業系素材等の各群である。これら各群に含まれる素材は単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラチスチックフィルムの複合体等、これら素材の任意の組合わせによる積層体も利用できる。これらの基体は、色彩を整える意味で塗装を施されていたり、デザイン的な観点で通常の模様が予め形成されていてもよい。塗装や通常の模様形成に先立って表面が平滑化されていたり、模様の密着度を上げるために下地処理が施されていてもよい。塗装や通常の模様形成後には、後の加工を容易にするための接着性改善処理を施すことも差し支えない。
各種の紙類としては、以下のものが代表的なものとして例示される。即ち、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、予め紙間の強化の目的で樹脂を含侵してある樹脂含浸紙も使用できる。これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い一群の原反が挙げられる。更には、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられる次の紙類も使用可能である。即ち、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等である。又、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ次のような各種繊維の織布や不織布も基体1として利用できる。各種繊維とは即ち、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成繊維である。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、次に例示するような各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。各種の合成樹脂とは、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチレン樹脂、ポリメチルペンチン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等である。
金属箔、金属シート、又は金属板としては次に例示するような金属からなるものである。即ち、アルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等である。しばしばめっき等を施して使用することがある。各種の木質系の板としては、木材の板、合板、パーチクルボード、又はMDFと呼ばれる中密度繊維板等が挙げられる。窯業系素材としては、石膏ボード、珪酸カルジウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、ホウロウ、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチックの板、ぺーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂をサンドウィッチしたもの等、各種の素材の複合体も基体1として使用できる。
基材101上に透気度が他の部分よりも低い模様103を形成するには、皮膜形成能力の高い合成樹脂組成物を用いた厚めの印刷を行い、乾燥もしくはセットして、合成樹脂からなる厚みが均一で厚く、空気を通す隙間や孔の少ない皮膜からなる模様を形成する。一般のグラビア印刷方式で印刷した場合、グラビアの版のセルの形状が再現されるため、版のセル以外の部分、いわゆる土手部分においてはインキが転移せず、隙間部分が生じ、この隙間部分では空気が透過する。逆に空気の透過を抑制するには、版のセル形状を再現しないような印刷を行う必要がある。
そのためには、インキとして、透気度を下げる働きのある無機質充填材の含有量が少なく、樹脂固形分が多いものを選んで使用するか、印刷時に基体1上に転移した際に横に広がりやすいインキを選んで使用するか、又は版深を深くしてインキ転移量を増大させ、レベリングにより土手に相当する部分においてもインキが覆うようにする。JIS−P8117に基づくガーレ式デンソメータによって透気度を計測すると、一般の建材用の紙原反では200秒から1000秒未満の値であり、上塗り塗料の浸透度を調整する目的を持たない、通常の印刷を施したものは1000秒から2000秒の値を示す。透気度が低い模様を形成するのに好ましいインキとしては、樹脂バインダーがポリ塩化ビニル樹脂、アクリル系樹脂のプラスチゾルやウレタン系樹脂であり、樹脂バインダーがインキ固形分中に占める割合は50重量%から100重量%、好ましくは60重量%〜90重量%であり、無機質充填材の含有量は他の模様を形成するインキ中の含有量にくらべて少な目で、インキ固形分中0.1重量%〜30重量%、好ましくは、1重量%〜10重量%であり、粘度は10cps〜5000cps、好ましくは、100cps〜1000cpsである。中でも、ポリ塩化ビニル樹脂のプラスチゾルを用いたインキは固形分を多くすることが出来、また、表面保護層を合成樹脂組成物や電離放射線硬化性組成物を用いて形成する際に、それらの組成物の浸透が少なく、適している。
ちなみに導管模様を含む木目模様の印刷のため用いるインキとして好ましいインキとしては、バインダーがニトロセルロース、アクリル樹脂とニトロセルロースのベレンド系、ウレタン系、アクリル樹脂系、ポリ塩化ビニル樹脂系等であり、樹脂バインダーがインキ固形分中に占める割合は、50重量%〜95重量%、好ましくは、60重量%〜90重量%、無機質充填材が占める割合は、インキ固形分中0.1重量%〜50重量%、好ましくは、1重量%〜30重量%、粘度が10cps〜1000cps、好ましくは50cps〜300cpsである。
透気度が低い模様をグラビア印刷方式を利用して形成する際の版の深さとしては、20μm〜100μm、好ましくは40μmから60μm、線数としては、100線/インチ〜から20線/インチ、好ましくは54線/インチ〜40線/インチである。
ちなみに導管模様を含む木目模様の印刷の際の版としては、版の深さが、20μmから100μm、好ましくは40μmから60μmであり、版の線数としては100線/インチ〜から20線/インチ、好ましくは54線/インチ〜40線/インチである。好ましい版深の範囲と線数の範囲では、通常の書籍の印刷にくらべてインキの転移量が多いので、後述するように、合成樹組成物や電離放射線硬化性組成物を塗布した際に、導管模様を含む木目模様の部分に合成樹組成物が浸透し、見かけの膜厚が減少する効果もある。
導管模様を窪んで見せるには、導管部分をほかの部分にくらべて艶消し状態にする事と、もう一つ、導管以外が出っ張っている点を肉眼でも判別できるように導管以外の部分に厚い樹脂皮膜を設けるとなおよい。この目的で用いる樹脂としては、前記した中でも、圧力がかかってもつぶれにくく、接着性等の加工性が優れたものがよい。これらの観点で推奨できるのは、ポリ塩化ビニル樹脂のプラスチゾルをインキ化した、樹脂固形分の多いインキである。さらに、トリメチロールプロパントリアクリレートのような架橋剤を併用することにより、形成される皮膜内で架橋が生じ、皮膜の性能が向上する。
基材101上に木目の導管に相当する導管模様102を含む模様103と、模様3の導管模様2の上以外の部分を覆う透気度の低い模様4を設けた後、模様103および模様104を含む全面に合成樹脂組成物を使用して塗布することにより、保護層105を設ける。前記したように模様103の部分と模様104の部分とを比較すると、模様104の部分の透気度の方が低く、あるいは模様104の部分の方が綴密であるため、塗布された合成樹脂組成物は模様104部分には浸透しないか、又は実質上浸透せず、その結果、乾燥又はセットにより模様104部分の上においては、表面の平滑な皮膜が形成される。他方、導管模様102部分では、前記したように、印刷の際の版のセル形状が再現されていることにより、又は/および充填材を多く含有するために、表面保護層を形成する際に使用する合成樹脂組成物が下層に浸透し、その結果、表面状態は平滑ではなく、透気度の低い模様104土の皮膜とくらべ、より艶消しされた状態となり、導管模様102に応じた窪んだ外観を与える。
保護層105を形成するには、前記したように合成樹脂組成物を用い、公知のコーティング方法、例えばロールコーディングにより行う。合成樹脂組成物としては、基体1の素材として挙げたフィルム又はシートを構成するプラスチックのうち、水又は有機溶剤に溶解又は分散してインキ組成物となるものが原則的に使用できる。溶解又は分散しない樹脂でも、例えばポリエチレン樹脂であれば、加熱して溶融させ、Tダイから押し出して成膜と同時に貼り合わせることにより、保護層105を形成することもできる。加熱して溶融させて適用する場合でも、下層の表面状態が保護層105の表面状態に影響を与え、透気度の低い模様104上の部分では平滑な面が形成され、その他の部分では、下層の導管模様102の表面形状に沿った凹凸の表面を持つ皮膜が形成され、導管模様102に応じた窪んだ外観を与えことができる。なお、Tダイを使用して表面保護層を設ける際に、可能であれば、基体側から減圧して吸引すると、効果が助長される。
保護層を形成する際に、通常の合成樹脂組成物に代えて、熱硬化性樹脂を使用する熱硬化性樹脂組成物や電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、塗布後に加熱したり、電離放射線を照射して架橋硬化させることによりさらに最外面の物理的、化学的な諸性能を向上させることができる。この種の化粧材は、最近、メラミン化粧板が従来使用されている分野にも適用されつつあり、従って、メラミン化粧板並みの表面の耐久性、特に耐摩耗性を要望されことが多いから、電離放射線硬化性樹脂組成物を用い、塗布後に電離放射線を照射して架橋硬化させる方法が脚光をあびている。電離放射線硬化性樹脂組成物としては、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものである。電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
電離放射線硬化性樹甲組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アグリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンダエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。 通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンダエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクレリート等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
保護層には、その層の表面の耐摩耗性を向上させる意味で、好ましくは無機質であって、架橋硬化した樹脂よりも高硬度の球状粒子を含有させる。高硬度の球状粒子を添加すると、一層の表面強化が実現される。こで球状粒子は真珠である必要はなく、表面が滑らかであればよい。球状粒子の役割は、保護層の表面からその一部が突出して、摩耗の原因となる外力を球状粒子の表面で受け止め、球状粒子自身が次第に磨耗することによって、下層の磨滅を防止する事である。球状粒子としてはα−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイアモンド、黒鉛等があるが、中でも、硬度が高く、球形のものが多い点から、球形のα−アルミナ(昭和電工株式会杜製の球状アルミナ「AS−10」および「AS−50」)が推奨できる。球状粒子の粒径は、平均粒径で5〜100μmが好ましい。無機質の球状粒子を保護層に用いる際に、保護層を構成する樹脂中での密着性を上げる意味で、予めシランカップリング剤等で処理するとよい。
第2の態様
トップコートの「はじき」を利用して凹部を生じさせ、これを例えば、化粧材の木目の導管溝等の凹部の形成に利用することは知られている。
ところで、化粧材の分野では、従来から、メラミン化粧板などの熱硬化性樹脂を使用した性質の優れた化粧板から、薄葉紙に印刷・塗装した比較的簡易なものまで、各種のグレードのものがある。これらの化粧材は、従来は、用途に応じた使い分けがなされていたが、最近、化粧板の生産工程の効率化の観点から、より簡便な工程で製造可能なものが脚光を浴びるようになってきた。
例えばメラミン化粧板は、何種類かの素材を準備し、それらを重ねて高温・高圧の熱プレスにより製造するものであるが、コート紙(印刷してトップコートを性状の優れた樹脂で塗装したもの)であれば、合板等に貼るときに必要な熱や圧力はメラミン化粧板にくらべればかなり低く、又、貼る速度も速く、生産効率がよい。近年、従来のコート紙のトップコートを、電離放射線硬化性樹脂組成物によって形成した、性状が優れた化粧シートが出現する事により、コート紙がメラミン樹脂等の熱硬化性樹脂化粧板の代替品として使用されることも多くなってきた。
ところで、「はじき」を利用して凹部を形成するには、基材上に、後に塗布する最上層形成用の塗料をはじく素材を使用して模様を形成しておき、その上を塗装し、塗料をはじかせるものであり、電離放射線硬化性樹脂組成物を使用する以前から、各種の熱可塑性樹脂又は熱硬化性の樹脂を用いた塗料を使用して行われてきた。
近年、電離放射線硬化性樹脂組成物の使用頻度が高まるにつれ、従来からある塗料のはじきを利用した化粧シートのトップコート層を電離放射線硬化性樹脂組成物を使用したものに置き換える事が試みられており、原理的には、従来と同様な現象により凹部形成が可能であることが分かっている。
ところが、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して十分にはじかせようとすると、粘度の低い、即ち、はじかれると流動しやすい塗料を使用することが望ましいが、粘度が低いと、紙等の基材に浸透しやすいため、表面の塗膜の厚みが減少する結果、十分な深度の凹部が形成されなかったり、基材表面の状態が塗膜表面に影響するため、艶の高いものが得にくい欠点がある。また、塗膜が薄いと、その分、化粧シートの表面の性状が低下することが避けられない。
逆に粘度を高めて、これらの諸欠点を回避しようとすると、電離放射線硬化性樹脂組成物の流動性が低下する結果、塗料をはじく模様の上ではじかれたとしても、凹部を形成するのに十分な塗料の流動が起こらず、明瞭な凹部の形成という点で問題がある。
即ち、塗膜の厚みを十分確保するための組成物の条件と、明瞭な凹部を形成するための組成物の条件とは、矛盾するものである。
又、表面の性状を試験して見ると、塗料がはじかれて凹部を形成した箇所の凹部の際(=凹部の底と凹部の壁との境界近傍)において、耐溶剤性や耐汚染性が低下していることが分かる。
そこで、塗料をはじく模様の形成に先立って、ウレタン系2液硬化樹脂の層を形成しておくことも試みられたが、形成されたウレタン樹脂層への印刷、塗装の密着性が悪く、実用上、問題がある。
従って、第2の本発明においては、凹部の形成を十分行なうために、電離放射線硬化性樹脂組成物としては低粘度のものを使用しながらも、低粘度の電離放射線硬化性樹脂組成物を使用する際に、基材への浸透性があり過ぎて生じる欠点を解消する手段を提供する。
課題解決のため、種々の素材を検討した結果、上層の電離放射線硬化性樹脂組成物の塗膜をはじく性質のある模様を形成するに先立ち、電離放射線硬化性樹脂組成物の基材への浸透性を抑制する塗膜を一面に形成することにより、上記の課題が解決することが見出された。
すなわち、第2の態様に係る本発明の化粧材は、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる浸透性を有する基材と、前記基材上に形成された、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透を抑制する材質を有する浸透抑制塗膜と、前記浸透抑制塗膜上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物をはじく性質を有するはじき模様と、前記はじき模様を含む前記浸透抑制塗膜上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物が前記はじき模様上ではじかれて凹部となりその他の部分で硬化した層からなるトップコート層とからなる。
上記浸透抑制塗膜は、好ましくは、耐油性のある樹脂を主成分として含む組成物からなる。さらに、この場合の耐油性のある樹脂は、好ましくは、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂、およびこれらの樹脂の少なくとも1種と熱硬化性樹脂混合物からなる群から選ばれたものである。また、好ましくは、耐油性のある樹脂が、熱硬化性樹脂、および電離放射線硬化性のプレポリマー、オリゴマーまたはモノマーからなる。
さらに、他の好ましい態様においては、トップコート層が、球状粒子を含有する。この場合の球状粒子の粒径は、好ましくは、トップコート層の厚みの30%〜200%である。
さらに、他の好ましい態様においては、前記浸透抑制塗膜が、前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層を兼ねるものであり、特に好ましくは、前記浸透抑制塗膜が、降伏強度 0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
さらに、本発明においては、好ましくは、はじき模様に同調するように凹部が形成されることによって、模様に同調した凹凸感を有する。
図4〜図6は本発明の方法により得られる化粧材であって、図4〜図6のいずれもが、木目模様に適用した例を示しているが、本発明の化粧材は木目模様のものに限定されない。
図4を引用して説明すると、符号31を指し示すものは基材であり、電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透性を有するものである。32は均一一様な着色層であり、印刷の分野では、「ベタ印刷層」と通称されるものであって、木目模様のハイライト部の色彩で着色されている。33は木目絵柄であり、木目模様のうちハイライトと導管溝の模様を除いた部分の木目の濃淡模様を表現している。ここで、『木目模様』とは、樹種ごとに慣習的に決まっている着色塗装を施した状態の模様を指しているが、稀に、塗装してない白木の状態の木目も使われる事があるので、そのようなものも含む。層33を平行斜線のある部分と平行斜線のない部分とで示したのは、通常、層33は印刷で形成するため、インキの塗膜の厚い部分とインキの塗膜が薄いか、又は何も無い箇所がある事を示すためである。
34は電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透を抑制する性質を有する浸透抑制塗膜である。35は電離放射線硬化性樹脂組成物の塗膜が硬化したものであって、電離放射線硬化性樹脂組成物をはじく性質を持つはじき模様36上では、模様36にはじかれて形成された凹部を有している。
図5、図6は本発明の他の実施例を示すもので、浸透抑制塗膜34の位置が、図5では均一一様な着色層32と木目絵柄33の間に位置しており、図6では基材1と均一一様な着色層32の間に設けてある。浸透抑制塗膜34は基材とはじき模様36の間であれば、どこに設けてもよい。なぜなら、層33,33は通常、ごく薄く、又、顔料が添加してある事もあるため、電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透が可能であるからである。
基材31としては、電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透性が無いか、又は少ないものでもよいが、本発明の主旨から、次のような電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透性を有するものが中心となる。大別すれば、各種の紙類、不織布、若しくは織布は勿論、プラスチックのフィルム、又はプラスチックのシートであっても、多孔質であるか、充填材を多く含むものは含浸性を有するので、使用可能である。繊維強化プラスチックの板等も液状樹脂組成物の含浸性を有するので、これ又、使用可能である。木質系基材は、含浸性を有するので、使用可能であり、木材の板、合板、パーチクルボード、又はMDFと呼ばれる中密度繊維板等が挙げられる。このほか、紙同士等の同じグループ同士の複合体や、上記した異なるグループ間の複合体も使用できる。また、金属を繊維状に加工したスチールウールのようなものも使用できる。
各種の紙類としては、以下のものが代表的なものとして例示される。即ち、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙等である。予め紙間の強化の目的で樹脂を含浸してある樹脂含浸紙も含浸性を有するので使用できる。これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙にも使用できる。紙の表面に充填材を多く含む塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い一群の原反も適用可能なものとして挙げられる。更には、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられる次の紙類にも適用可能である。即ち、コート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等である。又、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ、次のような各種繊維の織布や不織布も化粧材基材として利用できる。各種繊維とは即ち、ガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成繊維である。
多孔質であるか、充填材を多く含むプラスチックのフィルム、又はプラスチックシートを構成するプラスチックとしては、次に例示するような各種のものが挙げられる。即ち、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリメタクリル酸エチル樹脂、ポリアクリル酸ブチル樹脂、ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂、三酢酸セルロース樹脂、セロファン、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、又はポリイミド樹脂等である。
均一一様な着色層32、木目絵柄33、はじき模様36は、通常、印刷により形成される。印刷の方式は任意であるが、インキ中のバインダー樹脂の選択範囲が広い事と、浸透性を有する基材は概して多孔質であるため、インキの転移量が多い方がよく、その意味で、グラビア印刷方式が適している。ただし、他の印刷方式も適用可能である。
均一一様な着色層32、および木目絵柄33を印刷するためのインキは、基材の補強の意味で、基材への多少の浸透性を持つものがよく、また、浸透抑制塗膜の形成や電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布の際に、溶解して流れたり、滲んだりしないが、接着性を有する程度の親和性を有することが望まれる。
例えば、バインダーとして、エチルセルロース、ニトロセルロース、酢酸セルロース、酢酪酸セルロース等のセルロース系樹脂が好適である。
又、熱硬化型であるポリウレタン樹脂系インキを使用してもよい。
はじき模様36を形成するインキは、はじき模様36が、その部分では最上層に位置するため、下層への接着力があることだけでなく、強靭な皮膜である必要がある。
例えば、アミノアルキッド樹脂や熱硬化型のウレタン樹脂等がはじき模様36を形成するためのインキ組成物のバインダーとして好適である。
あるいは、電離放射線硬化性樹脂組成物を含有するはじき模様形成用インキを使用して、はじき模様36を形成してもよい。
さらに、シリコーンやフッ素樹脂、ワックスなどの上層に塗布される電離放射線硬化性樹脂組成物をはじくための物質を添加し、混練して、インキ組成物を調整し、使用する。
電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透を抑制する性質を有する浸透抑制塗膜34は図4〜図6を引用して説明したように、さまざまな位置に形成される可能性があるので、基材、均一一様な着色層32、木目絵柄33、及びはじき模様36のいずれとも接着性を有し、勿論、電離放射線硬化性樹脂組成物とも接着性を有している必要がある。ただし、電離放射線硬化性樹脂組成物が浸透するほどの多孔質塗膜を形成する必要は必ずしも無い。また、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布の際、ごく一部の溶解は別として、溶解するのはまずい。
これらの観点から選択される浸透抑制塗膜形成用塗料組成物のバインダーとしては、アルコールや水にも可溶な比較的極性の高いものが望ましく、具体的にはポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、あるいは各種のアクリル樹脂等が好適である。
アクリル樹脂としては、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルが汎用されているもので、これらが使用可能であり、またこれら以外のアクリル樹脂でもよい。
上記のポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、あるいは各種のアクリル樹脂等には、ポリウレタン樹脂等の熱硬化型の樹脂を添加して使用してもよい。
又、浸透抑制塗膜形成用塗料組成物のバインダー用としては、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂に、電離放射線硬化性のプレポリマー又はオリゴマー、若しくはモノマーを加えたものを使用してもよい。例えば、アクリルポリオール又はポリエステルポリオールのポリオールとヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネートからなる熱硬化性成分と不飽和ポリエステル等の電離放射線硬化性のプレポリマー又はオリゴマーとの混合物が、好ましい例である。電離放射線硬化性のプレポリマー又はオリゴマー、若しくはモノマーについては、後記する電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗膜に用いているものと同様である。
これら樹脂を用いた浸透抑制塗膜形成用塗料組成物は、グラビア印刷又はロールコーティング等により、塗布されるが、塗膜の厚みをあまり過大にすると、浸透抑制効果が発揮される反面、浸透抑制塗膜の層自体はあまり強靭なものではないので、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗膜の性能を損なわないよう、最小限にするのがよく、基材の電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透性にもよるが、乾燥時の塗膜厚みで1〜5μm程度とするのがよい。
最上層に塗布する電離放射線硬化性樹脂組成物としては、公知のものを使用することができ、分子中に重合性不飽和結合または、エポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜に混合したものを使用する。なお電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合又は架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線を用いる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中のプレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメチクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等が挙げられる。 通常、電離放射線硬化性樹脂組成物中のモノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂組成物に通常の塗布適性を与えるために、前記のプレポリマー又はオリゴマーを5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーが要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときの耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂組成物の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレートが挙げられる。官能基が2のものとして、エチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布し、硬化させたときのフレキシビリティーや表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂組成物に、電離放射線照射では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加がフレキシビリティーの向上の点で好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂組成物100重量部に対し、0.1〜10重量部である。
電離放射線硬化性樹脂組成物に、最表面の耐摩耗性を向上させる意味で、好ましくは無機質であって、架橋硬化した樹脂よりも高硬度の球状粒子を含有させる。高硬度の球状粒子を添加すると、一層の表面強化が実現される。ここで球状粒子は真球である必要はなく、表面が滑らかであればよい。球状粒子の役割は、表面保護層の表面からその一部が突出して、摩耗の原因となる外力を球状粒子の表面で受け止め、球状粒子自身が次第に摩耗することによって、下層の磨滅を防止する事である。球状粒子としてはα−アルミナ、シリカ、酸化クロム、酸化鉄、ダイアモンド、黒鉛等があるが、中でも、硬度が高く、球形のものが多い点から、球形のα−アルミナ(昭和電工(株)の球状アルミナAS−10からAS50)が推奨できる。球状粒子の粒径は、平均粒径で5〜100μmが好ましく、より好ましくは、3〜50μm。又、粒径は、塗膜厚みの30%〜200%である事が耐摩耗性の発揮上好ましい。無機質の球状粒子を表面保護層に用いる際に、表面保護層を構成する樹脂中での密着性を上げる意味で、予めシランカップリング剤等で処理するとよい。
第3の態様
従来の化粧シートとしては、薄葉紙等の紙基材に通常の絵柄印刷層を形成した後、電離放射線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等からなる架橋性樹脂トップ層を形成したものが知られている。
化粧シートにおける架橋性樹脂トップ層を艶消しにする場合、樹脂の膜厚よりも艶消し剤の粒径を大きくし、しかも添加量も多くするため、滑り性が悪くなるという問題がある。このため、ラミネート化粧板の加工時に表面性能は良いのに傷が発生するといった問題や、化粧板を滑らしながら搬送することができなかったり、また無理に搬送しようとすると表面のザラツキにより裏面のウレタンコート紙を傷つけてしまうといった問題があった。
本態様は、上記のような問題点を解消するものであり、艶消しが良好でありながらも滑り性の改善された化粧シートを提供するものである。
本態様の化粧材は、紙基材に少なくとも、印刷層、シーラー層、架橋性樹脂トップ層を積層した化粧シートであって、架橋性樹脂トップ層のグロス値(75°)が10〜50の範囲に入る時、動摩擦係数を0.3〜0.6の間に調整したことを特徴とするものであり、印刷層は、着色ベタ層と絵柄層のいずれか一方又は両方により構成する。
図7は本発明に係る化粧シートを説明するための層構成図である。図示のように、化粧シートは、紙基材71に印刷層72(この例では着色ベタ層73と絵柄層74)を形成し、それを覆ってシーラー層75を形成してから、架橋性樹脂トップ層76を形成することで作製される。そして、この化粧シートは、前記したように、架橋性樹脂トップ層76のグロス値(75°)が10〜50の範囲に入る時、動摩擦係数を0.3〜0.6の間に調整している。
グロス値は公知であり、本発明では測定にガードナー社の「75°グロス計」を使用している。また、動摩擦係数も公知であり、本発明では測定にIMASS社の「Slip/Peel Tester SP−102C−3M90」を使用している。
上記構成の化粧シートは、架橋性樹脂トップ層の下層にシーラー層を設けたことにより、小粒径の艶消し剤を架橋性樹脂トップ層に少量添加するだけで十分に艶消しが可能となる。そして、表面の艶が良好な状態である時、すなわちグロス値(75°)が10〜50の範囲に入る時、動摩擦係数を0.6以下にすることができた。これにより、表面の耐摩耗性が良好で、かつ滑り性が良好な状態を保つことができる。ただし、0.3以下であると、化粧板を積み重ねた際に滑り過ぎて落下する危険性があるので、動摩擦係数を0.3〜0.6の間になるように調整した。
紙基材としては、薄葉紙、樹脂混抄紙、チタン紙等の化粧紙用原紙が使用可能である。
印刷層は、着色ベタ層と絵柄層のいずれか一方で構成してもよいし、両方で形成してもよい。
トップ層の架橋性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂(常温硬化型樹脂、2液反応硬化型樹脂を含む)等の従来公知の化粧材の架橋性樹脂として用いられる樹脂が使用できる。中でも、電離放射線硬化性樹脂が硬化速度が速く作業性も良好であり、しかも柔軟性や硬度等の樹脂の物性の調節も容易である。これら架橋性樹脂は、未架橋状態で球状粒子を分散させて塗工した後、架橋により硬化させて塗膜が形成される。架橋性樹脂は、その架橋密度が高くなるほど耐摩耗性は向上するが、柔軟性は低下する。そのため、架橋性樹脂の架橋密度は、化粧シートの用途等によって耐摩耗性と柔軟性に応じて、基材の種類等と合わせて適宜選定するのが好ましい。
架橋性樹脂として用いられる電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものである。なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線が用いられる。
上記プレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
通常、上記モノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常の塗工適性を付与するため、前記のプレポリマー又はオリゴマー5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂を塗布し、硬化させたときの可撓性が要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂を塗布し、硬化させた時の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂を塗布し、硬化させたときの可撓性や表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂に、電離放射線では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加が可撓性の点から好ましい。
電離放射線硬化性樹脂の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部である。
架橋性樹脂として用いられる熱硬化性樹脂は、具体的には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂(2液型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等がある。これらに必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加して用いる。上記の硬化剤として、通常、イソシアネート又は有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂ポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル等によく使用される。
上記のイソシアネートとしては、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的なイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
上記の2液型ポリウレタンとしては、その分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオール化合物からなる第1液と、ポリイソシアネート化合物からなる第2液とを、水酸基とイソシアネート基の当量比が0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂としては、その分子構造中にエポキシ基を平均2個以上有するエポキシ樹脂とエポキシ基と反応する活性水素を1分子中に3個以上有するモノ−、又はポリ−アミンとをエポキシ樹脂のエポキシ当量とモノ、又はポリアミンの活性水素当量の比が、0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
印刷層とトップ層の間に設けるシーラー層には、公知の合成樹脂が使用可能である。好ましくは、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂等であるが、トップ層の架橋性樹脂に電離放射線硬化性樹脂を使用する場合、その密着性及び物性面からブチラール樹脂/ウレタン樹脂を使用するのがよい。
シーラー層には必要に応じて艶消し剤を含有させる。この艶消し剤としては、公知の無機或いは有機フィラーが使用可能である。例えば、シリカ、アルミナ、シリコーン樹脂等の無機粒子、フェノール樹脂、ポリエチレン等の有機材料のパウダー又はビーズが用いられる。特に、粒径1〜10μmのシリカがインキの分散安定性、物性面で優れているので好ましい。
また、本発明の好ましい態様においては、シーラー層は、前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層を兼ねるものであり、特に好ましくは、前記浸透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
第4の態様
一般に水回りの用途に使用される化粧シートとしては、紙基材として、水浸透性の良い紙を用いたコート紙や耐水性の高い紙を用いたコート紙が用いられている。しかしながら、このようなコート紙は、一般に80μm以上の厚さがあるので取り扱いが不便であり、また、基材との密着性が悪い上に印刷インキとの密着性も良好ではない。
この態様に係る本発明においては、特に基材との密着性および印刷インキとの密着性を損なうことなく、耐水性の良好な化粧材を提供する。
すなわち、第4の態様に係る本発明の化粧材は、紙からなる基材と、前記基材上に形成された第1シーラー層と、前記第1シーラー層上に形成された印刷層と、前記印刷層上に形成された第2シーラー層と、前記第2シーラー層上に形成された、架橋性樹脂からなるトップコート層とからなり、前記各層の合計厚さが、50μm以下である。
好ましい態様においては、上記化粧材のJISカップ法の透湿度が、24時間後において600g/mである。
さらに好ましい態様においては、トップコート層が、電離放射線硬化型樹脂からなる。また、別の好ましい態様においては、トップコート層が、撥水物質を含む。
さらに好ましい態様においては、トップコート層が、疎水性シリカを含む。
さらに、他の好ましい態様においては、第1シーラー層または/および第2シーラー層が、架橋性樹脂からなる。
図8は本態様に係る化粧シートを説明するための層構成図である。図示の化粧シートは、紙基材1に下側のシーラー層82を形成し、その上から印刷層83 (この例では着色ベタ層83aと絵柄層83b)を形成し、それを覆って上側のシーラー層84を形成してから、架橋姓樹脂トップ層85を形成することで製造される。この層構成では、下側のシーラー層82は紙基材1をシールし、上側のシーラー層84は架橋性樹脂トップ層85を平滑にする役目を果たす。そして、この化粧シートは、JISカップ法の透湿度が24hr後600g/m以下である。
紙基材としては、透水性の良好なものが使用される。具体的には、坪量20〜50g/m程度の薄葉紙、クラフト紙、リンター紙、上質紙、和紙等の化粧シート用原紙が使用可能である。
印刷層は、着色ベタ層と絵柄層のいずれか一方で構成してもよいし、図8のように両方で形成してもよい。
トップ層の架橋性樹脂としては、電離放射線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂(常温硬化型樹脂、2液反応硬化型樹脂を含む)等の従来公知の化粧材の架橋性樹脂として用いられる樹脂が使用できる。中でも、電離放射線硬化性樹脂が硬化速度が速く作業性も良好であり、しかも柔軟性や硬度等の樹脂の物性の調節も容易である。これら架橋性樹脂は、未架橋状態で球状粒子を分散させて塗工した後、架橋により硬化させて塗膜が形成される。架橋性樹脂は、その架橋密度が高くなるほど耐摩耗性は向上するが、柔軟性は低下する。そのため、架橋性樹脂の架橋密度は、化粧シートの用途等によって耐摩耗性と柔軟性に応じて、基材の種類等と合わせて適宜選定するのが好ましい。
架橋性樹脂として用いられる電離放射線硬化性樹脂は、具体的には、分子中に重合性不飽和結合またはエポキシ基を有するプレポリマー、オリゴマー、及び/又はモノマーを適宜混合したものである。なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを指し、通常は、紫外線又は電子線が用いられる。
上記プレポリマー、オリゴマーの例としては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールの縮合物等の不飽和ポリエステル類、ポリエステルメタクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオールメタクリレート、メラミンメタクリレート等のメタクリレート類、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリオールアクリレート、メラミンアクリレート等のアクリレート、カチオン重合型エポキシ化合物等が挙げられる。
上記モノマーの例としては、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ブトキシエチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸メトキシブチル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸メトキシエチル、メタクリル酸エトキシメチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ラウリル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル、アクリル酸−2−(N,N−ジベンジルアミノ)メチル、アクリル酸−2−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル等の不飽和置換の置換アミノアルコールエステル類、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和カルボン酸アミド、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の化合物、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート等の多官能性化合物、及び/又は分子中に2個以上のチオール基を有するポリチオール化合物、例えばトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグリコール等が挙げられる。
通常、上記モノマーとしては、以上の化合物を必要に応じて1種若しくは2種以上を混合して用いるが、電離放射線硬化性樹脂に通常の塗工適性を付与するため、前記のプレポリマー又はオリゴマー5重量%以上、前記モノマー及び/又はポリチオール化合物を95重量%以下とするのが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂を塗布し、硬化させたときの可撓性が要求されるときは、モノマー量を減らすか、官能基の数が1又は2のアクリレートモノマーを使用するとよい。電離放射線硬化性樹脂を塗布し、硬化させた時の耐摩耗性、耐熱性、耐溶剤性が要求されるときは、官能基の数が3つ以上のアクリレートモノマーを使う等、電離放射線硬化性樹脂の設計が可能である。ここで、官能基が1のものとして、2−ヒドロキシアクリレート、2−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが挙げられる。官能基が3以上のものとして、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
電離放射線硬化性樹脂を塗布し、硬化させたときの可撓性や表面硬度等の物性を調整するため、電離放射線硬化性樹脂に、電離放射線では硬化しない樹脂を添加することもできる。具体的な樹脂の例としては次のものがある。ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂である。中でも、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の添加が可撓性の点から好ましい。
電離放射線硬化性樹脂の塗布後の硬化が紫外線照射により行われるときは、光重合開始剤や光重合促進剤を添加する。光重合開始剤としては、ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂の場合は、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いる。光重合開始剤の添加量は、電離放射線硬化性樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部である。
架橋性樹脂として用いられる熱硬化性樹脂は、具体的には、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン樹脂(2液型ポリウレタンも含む)、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、珪素樹脂、ポリシロキサン樹脂等がある。これらに必要に応じて架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤を添加して用いる。上記の硬化剤として、通常、イソシアネート又は有機スルホン酸塩が不飽和ポリエステル系樹脂ポリウレタン系樹脂に、アミンがエポキシ樹脂に、メチルエチルケトンパーオキサイド等の過酸化物やアゾイソブチルニトリル等のラジカル開始剤が不飽和ポリエステル等によく使用される。
上記のイソシアネートとしては、2価以上の脂肪族又は芳香族イソシアネートを使用できるが、熱変色防止、耐候性の点から脂肪族イソシアネートが望ましい。具体的なイソシアネートとして、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサンメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
上記の2液型ポリウレタンとしては、その分子構造中に水酸基を平均して2個以上有するポリオール化合物からなる第1液と、ポリイソシアネート化合物からなる第2液とを、水酸基とイソシアネート基の当量比が0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
上記のエポキシ樹脂としては、その分子構造中にエポキシ基を平均2個以上有するエポキシ樹脂とエポキシ基と反応する活性水素を1分子中に3個以上有するモノ−、又はポリ−アミンとをエポキシ樹脂のエポキシ当量とモノ、又はポリアミンの活性水素当量の比が、0.7〜1.5になるように配合したものが挙げられる。
架橋性樹脂トップ層には、耐水性向上のため、必要に応じて撥水物質を含有させる。撥水物質としては公知のものが使用可能であるが、好ましくは、シリコン、フッ素、脂肪族炭化水素等の化合物が選択される。
また、架橋性樹脂トップ層には、耐水性向上のため、必要に応じて疎水性シリカを含有させる。この疎水性シリカとは、無機物又は有機物により表面処理されたシリカのことであり、基本的には表面の−OH基を疎水基にしたものである。
シーラー層としては、公知の熱可塑性樹脂或いは架橋性樹脂が使用できる。好ましくは、ポリオールとイソシアネートで構成されるウレタン樹脂組成が、紙基材への密着性、樹脂の剛性及び弾性、紙基材のカール性の面から選ばれる。
さらに、他の好ましい態様においては、第1シーラー層または/および第2シーラー層が、前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和層を兼ねるものであり、特に好ましくは、前記浸透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf以上、さらに好ましくは、0.6〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf以上、さらに好ましくは、1.0〜4.0kgfを有する。ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である。
実施例B1
建材用原紙(三興製紙(株)製、ハイプリント30、坪量;30g/m)にまず、アクリル樹脂とニトロセルロースを主体とするインキを用い、グラビア印刷により着色ベタ(均一塗布の意味)層、および木目絵柄層を形成した後、木目絵柄層上に、下記組成Aの塗料を用い、塗布量が乾燥時で3g/mになるようベタ印刷を行なった。
組成A
ポリビニルブチラール樹脂 50重量部
シリカ 0.5重量部
溶剤 150重量部
続いて、インキとしてはアミノアルキッド樹脂系インキをベースに、アミノアルキッド樹脂100重量部に対してシリコーンを5重量%添加して混練したインキを用い、上記した木目絵柄層に合わせて木目導管溝を形成した。
最後に下記組成Bの電子線硬化型塗料をロールコーティングにより7g/m塗布し、電子線照射装置を用いて、加速電圧175KV、照射線量3Mradの条件で電子線照射を行ない、木目導管溝上の電子線硬化型塗料が凹状態になった化粧材を得た。
組成B
TMPTA
(トリメチロールプロパントリアクリレート) 90重量部
シリカ 9重量部
シリコーンアクリレート 1重量部
実施例B2
前記組成Aの塗料を用いる代わりに下記組成Cの塗料を用い、その他は実施例B1と同様にして化粧材を得た。
組成C
ポリビニルブチラール樹脂 50重量部
アクリルポリオール 30重量部
硬化剤(イソシアネート) 5重量部
シリカ 0.5重量部
溶剤 150重量部
実施例B3
前記組成Aの塗料を用いる代わりに下記組成Dの塗料を用い、その他は実施例B1と同様にして化粧材を得た。
組成D
アクリレートプレポリマー 50重量部
溶剤 150重量部
比較例B1
前記組成Aの塗料を用いたベタ層の形成を省略し、それ以外は、実施例B1と同様にして化粧材を得た。
実施例B1〜B3と比較例B1の効果の比較
以上のようにして得られた実施例B1〜B3および比較例B1の化粧材の導管溝の平均深さは、下記の表B1のとおりであり、浸透抑制塗膜を設けた実施例では深度のある凹部が形成されるが、浸透抑制塗膜を設けない比較例では、深度が非常に浅く目視では凹部として認識することが難しい。
Figure 0004255943
実施例B4
建材用原紙(興人(株)製、GF606、厚み60μm)に、2液硬化型のポリウレタン系樹脂をバインダーとするインキ(昭和インク工業所(株)製、UE2液)を用いた着色ベタ層、及び絵柄層の形成と、絵柄層上への、前記組成C(「表3」)の塗料を用い、塗布量が乾燥時で3g/mになるよう、深さ54μmのベタ版を2版使用してのベタ印刷を行なった。いずれもグラビア印刷によって行なった。ベタ印刷後、160℃で30秒乾燥させた。
続いて、インキとしてはアミノアルキッド樹脂系インキをベースに、アミノアルキッド樹脂100重量部に対してシリコーンを5重量%添加して混練したインキ(ザ・インクテック(株)製)を用い、線状の模様を形成した。
最後に下記の組成Eの電子線硬化型塗料(三洋化成(株)製、SE−40)をグラビアコーティングにより25g/m塗布し、電子線照射装置を用いて、加速電圧175KV、照射線量3Mradの条件で電子線照射を行ない、線状に印刷した部分の上の電子線硬化型塗料が凹状態になった化粧材を得た。
組成E
2官能モノマー(A) 49.5重量部
3官能モノマー(B) 16.5重量部
密着付与モノマー(C) 0.5重量部
分散剤 1.5重量部
アルミナ(径25μm) 22.0重量部
シリカ(径1.8μm) 10.0重量部
ただし、上記において、2官能モノマー(A)、3官能モノマー(B)、及び密着付与モノマー(C)は次に示すものである。
Figure 0004255943
比較例B2
実施例B4と同様に、ただし、組成Eの電子線硬化型塗料からアルミナおよびシリカを除いたものを使用して、化粧材を得た。
比較例B3
実施例B4と同様に、ただし、前記組成Cの塗料によるベタ印刷は行なわずに、化粧材を得た。
実施例B4と比較例B2及びB3との効果の比較
上記の実施例B4、比較例B2、及びB3で得られた化粧材の耐溶剤性、耐摩耗性、及び意匠性(=凹部の状態)を比較した結果を表B3に示す。
ただし、耐溶剤性は、重量1Kgの錘に綿を巻き付けたものにメチルエチルケトンをしみ込ませて拭き、インキが綿に取られるまでの拭いた回数を示したものであり、耐摩耗性は、テーパー型アブレーザー(=摩擦試験機)で摩耗し、印刷模様の50%が取られたときの回数を示す。表B3に示すように、耐摩耗性に関しては、表面層中にアルミナ、シリカの存在が起用している。
Figure 0004255943
実施例B5
建材用薄葉紙(三興製紙(株)製、FLEX30、厚み30μm)に、2液硬化型のポリウレタン系樹脂をバインダーとするインキ(昭和インク工業所(株)製、UE2液)を用い、着色ベタ層、及び絵柄層を形成し、続いて絵柄層上に、不飽和ポリエステル樹脂(電子線硬化性)成分、及び2液硬化型のポリウレタン樹脂形成成分とからなる塗料組成物(ザ・インクテック(株)製、No.1プライマーのセット)を使用して、塗布量が乾燥時で3g/mになるよう、深さ54μmのベタ版を2版使用してのベタ印刷を行なった。
続いて、インキとしてはアミノアルキッド樹脂系インキをベースに、アミノアルキッド樹脂100重量部に対してシリコーンを5重量%添加して混練したインキを用い、線状の模様を形成した。以上の各印刷は、いずれもグラビア印刷によって行ない、印刷終了後、160℃の温度で30秒乾燥させた。
最後に、印刷面上に電子線硬化性樹脂塗料(大日精化(株)製、EB256)をグラビア印刷により、塗布量が乾燥時で5g/mになるよう塗布し、塗布に続いて後、加速電圧175KV、照射線量3Mradの電子線を照射し、線状の模様の上の塗膜が凹状になった化粧材を得た。
実施例B6
着色ベタ層、及び絵柄層の形成のためのインキとして、アクリル樹脂、及びニトロセルロースをバインダーとするインキ(ザ・インクテック(株)、HAT)を使用した以外は、実施例B5と同様にして化粧材を得た。
実施例B7
絵柄層上へのベタ印刷を、2液硬化型のポリウレタン樹脂、及びトリメチロールプロパントリアクリレートとを主成分とする塗料組成物を使用して行なった以外は、実施例B5と同様にして化粧材を得た。
比較例B4
実施例B5と同様に、ただし、ベタ印刷のみ省略して化粧材を得た。
比較例B5
実施例B5と同様に、ただし、線状の模様の形成を電子線硬化性インキ組成物を使用して化粧材を得た。
比較例B6
実施例B5と同様に、ただし、ベタ印刷、及び最終の塗装をいずれもポリウレタン樹脂を主成分とする塗料組成物を使用して化粧材を得た。
実施例B5〜B7と比較例B4〜B6との効果の比較
上記の実施例B5〜B7、及び比較例B4〜B6で得られた化粧材の表面塗膜の密着性、耐擦過性、耐溶剤性、意匠性を比較した結果を表B4に示す。
ただし、表面塗膜の密着性は、化粧材表面にカッターナイフを使用し、2mm間隔の碁盤目を形成した部分にセロハンテープ(ニチバン(株)製)を使用し、3回の剥離試験を実施し、剥離がある場合を×、無い場合を○とした。
耐擦過性は、スチールウールが表面を覆った後の、傷付きの有無を観察し、傷がついたものを×、付かなかったものを○とした。
耐溶剤性は、重量1Kgの錘に綿を巻き付けたものにメチルエチルケトンをしみ込ませて拭き、インキが綿に取られるまでの拭いた回数を示したものである。
意匠性は凹部がシャープな形状のものを○、シャープでないものを△、はじきが不充分なものを×とする。表B4で明らかなように、比較例B6のポリウレタン樹脂を主成分とする塗料組成物を使用して、絵柄層上にベタ印刷を施したものは、耐摩耗性、及び耐溶剤性が劣っている。
Figure 0004255943
実施例C1
厚さ30μmの建材用薄葉紙(三興製紙製「FLEX30」)に、アクリル硝化綿混合系をバインダーとするグラビアインキ(インクテック製「HAT」)を用いて着色ベタ層と絵柄層を印刷した。次に、下記組成Aの昭和インク製「BUBプライマー2液」を用いて54線で2ベタ(2μm)印刷を行ってシーラー層を形成した。
<組成A>
主剤:ブチラール/アクリルポリオール/シリカ=10/5/1
硬化剤:イソシアネート
主剤/硬化剤=100部/5部
次いで、シーラー層の上に、下記組成Bの大日精化製「EB256」をグラビア印刷にて5g/m(dry)で塗工した後、電子線を3Mrad(175 kv)照射し、シーラー層上にトップ層を形成して化粧シートを得た。
<組成B>
電離放射線硬化性樹脂:アクリレートモノマー
艶消し剤:シリカ(平均粒径7μm)
滑剤:シリコンアクリレート、シリコンオイル、ワックス
電離放射線硬化性樹脂/艶消し剤/滑剤=100部/15部/10部
実施例C2
実施例C1において「EB256」のシリカ量を5部にした以外は実施例C1と同様にして化粧シートを得た。
比較例C1
実施例C1においてシーラー層を形成せず、その他は実施例C1と同様にして化粧シートを得た。
比較例C2
実施例C1において「EB256」を10μmの厚さでコートした以外は実施例C1と同様にして化粧シートを得た。
比較例C3
実施例C1におい「EB256」のシリカを平均粒径12μmのものに変え、10μmの厚さでコートした以外は実施例C1と同様にして化粧シートを得た。
比較例C4
実施例C1において「EB256」のシリカを平均粒径10μmのものに変え、5μmの厚さでコートした以外は実施例C1と同様にして化粧シートを得た。
比較例C5
実施例C1において「BUBプライマー2液」のシリカを除いた以外は実施例C1と同様にして化粧シートを得た。
(物性試験結果)
実施例C1、C2及び比較例C1〜C5で得られたそれぞれの化粧シートについて、動摩擦係数とグロス値(75°)を測定するとともに、JAS特殊合板C試験により摩耗性の評価を行った。この試験は、軟質摩耗輪CS17を1000g荷重にて測定し、絵柄が半分取られた回数で評価するものである。得られた結果は表C1に示す。
Figure 0004255943
表C1に示されるように、トップ層のグロス値(75°)が10〜50の範囲に入る時、動摩擦係数を0.3〜0.6の間に調整したものが、耐摩耗性も良好であることが分かる。
以上説明したように、本発明は、架橋性樹脂トップ層を有する化粧シートにおいて、架橋性樹脂トップ層の下層にシーラー層を設けることにより、架橋性樹脂トップ層のグロス値(75°)が10〜50の範囲に入る時、動摩擦係数を0.3〜0.6の間に調整したことにより、艶消しが良好でありながらも滑り性の改善された化粧シートを得ることができる。
実施例D1
紙基材として厚さ30μmの建材用薄葉紙(三興製紙製「FLES30」)を使用し、その紙基材にウレタン系架橋樹脂をバインダーとするプライマー(昭和インク工業製「AFS2液」)を用いてスクリーン線数54線で2回のベタ印刷(2μm)を行ってシーラー層を形成した。次に、そのシーラー層の上に、ウレタン系架橋性樹脂をバインダーとするグラビアインキ(昭和インク工業製「UE2液」)を用いて着色ベタ層と絵柄層を印刷した。次いで、印刷層の上に、ブチラールウレタン系架橋性樹脂をバインダーとするシーラー(大日精化製「FEシーラー2液」)を用いてスクリーン線数54線で2回のベタ印刷(2μm)を行ってシーラー層を形成した後、70℃で24時間養生を行った。続いて、下記組成のインキ(大日精化製「EB256」)をグラビア印刷にて5μmの厚さで塗工した後、電子線を3Mrad(175kV)照射し、シーラー層上にトップ層を形成して目的とする化粧シートを得た。
<組成>
電離放射線硬化性樹脂:アクリレートモノマー
艶消し剤:シリカ(平均粒径7μm)
滑剤:シリコンアクリレート、シリコンオイル、ワックス
電離放射線硬化性樹脂/艶消し剤/滑剤=100部/15部/10部
実施例D2
実施例D1において印刷層を形成するインキを変えた以外は同様にして目的とする化粧シートを得た。この実施例では、硝化綿アルキッドをバインダーとするグラビアインキ(昭和インク工業製「SA」)を用いて着色ベタ層と絵柄層を印刷した。
比較例D1
厚さ30μmの建材用薄葉紙(三興製紙製「FLEX30」)の上にシーラー層を形成することなく直に印刷層を形成した。この実施例では、硝化綿アルキッドをバインダーとするグラビアインキ(昭和インク工業製「SA」)を用いて着色ベタ層と絵柄層を印刷した。そして、印刷層の上にもシーラー層を形成することなく、上記組成のインキ(大日精化製「EB256」)をグラビア印刷にて5μmの厚さで塗工した後、電子線を3Mrad(175kV)照射し、シーラー層上にトップ層を形成して化粧シートを得た。
比較例D2
紙基材に厚さ60μmの建材用含浸薄葉紙(興人製「GF606」)を使用した以外は比較例D1と同様にして化粧シートを得た。
比較例D3
厚さ30μmの建材用薄葉紙(三興製紙製「FLEX30」)の上にシーラー層を形成することなく直に印刷層を形成した。この実施例では、ウレタン系架橋性樹脂をバインダーとするグラビアインキ(昭和インク工業製「UE2液」)を用いて着色ベタ層と絵柄層を印刷した。次いで、実施例D1と同様、印刷層の上に、ブチラールウレタン系架橋性樹脂をバインダーとするシーラー(大日精化製「FEシーラー2液」)を用いてスクリーン線数54線で2回のベタ印刷(2μm)を行ってシーラー層を形成し、70℃で24時間養生を行った後、上記組成の大日精化製「EB256」をグラビア印刷にて5μmの厚さで塗工した後、電子線を3Mrad(175kV)照射し、シーラー層上にトップ層を形成して化粧シートを得た。
比較例D4
実施例D1で使用した昭和インク工業製「AFS2液」にパラフィンワックスを30部添加したプライマーでシーラー層を形成した以外は実施例D1と同様にして化粧シートを得た。
比較例D5
実施例D2において大日精化製「FEシーラー2液」によるシーラー層を形成しなかった以外は実施例D2と同様にして化粧シーラーを得た。
比較例D6
実施例D2において大日精化製「EB256」中の艶消しシリカを未処理品に変えたインキを使用した以外は実施例D2と同様にして化粧シートを得た。
(物性試験結果)
実施例D1、D2及び比較例D1〜D6で得られたそれぞれの化粧シートをパーチクルボード(25mm厚)に尿素系接着剤にてラミネート加工を行った。そして、ラミネート加工したこれらの化粧シートについて、密着性と透湿性についての評価を行った。得られた結果を表D1に示す。なお、比較例D2の化粧シート以外は、それぞれ総厚が50μm以下で、取扱い上は問題がない。
Figure 0004255943
ここで、「密着性」については、2mm碁盤目を用い、カッターで切れ目を入れた後、ニチバン製のセロテープを用いて3回剥離試験を行った。○は剥離なし、×は剥離ありを示す。一方、「透湿性」はJISカップ法(40℃、90%)で測定した。実施例1,2の化粧シートは、JISカップ法の透湿度が24hr後600g/m以下であり、水回り用途に必要とされる耐水性を有してることが分かる。
以上説明したように、本発明の化粧シートは、紙基材に少なくとも、シーラー層、印刷層、シーラー層、架橋性樹脂トップ層を順に積層してなり、総厚を50μm以下にした構成であるので、厚さの点において取扱い上問題がない上、基材との密着性及び印刷インキとの密着性を損なうことなく、良好な耐水性を発揮するものが得られる。
実施例E1及びE2
30g/m薄紙にグラビアインキを用いグラビア印刷により絵柄を施した 後、得られた絵柄層上に、電子線硬化型樹脂(ウレタンアクリレートオリゴマー:ポリエステルアクリレートオリゴマー:多官能モノマー:単官能モノマー=10:20:40:30(重量比))をロールコータで15g/m塗工した。次いで、電子線硬化型樹脂層に対してエレクトロンビーム175KVを用い、5Mradで照射して電子線硬化型樹脂層を硬化して保護層とし、本実施例E1の化粧シートを得た。また、同様な処理をして、電子線照射のみ3Mradで行なったものを実施例E2の化粧シートとした。各実施例の化粧シートをパーティクルボードに酢ビ系接着剤(コニシボンド社製)を用いて170℃で熱ラミネートして実施例1及び実施例2の化粧材を得た。各化粧材及びラミネート前の化粧シートについてガードナー75°グロス計にてグロス値を計測した。
下記の表E1に実施例E1及び実施例E2のラミネート前の化粧シートのグロス値及びラミネート後の化粧材のグロス値を示す。
比較例E1
電子線照射が1Mradである以外は、前記実施例E1と同様な処理をして比較例1の化粧シート及び化粧材を得た。比較例E1のラミネート前の化粧シートのグロス値及びラミネート後の化粧材のグロス値を下記の表E1に示す。
比較例E2
30g/m薄紙にグラビアインキを用いグラビア印刷により絵柄を施した 後、得られた絵柄層上に、2液硬化型ウレタン(KR−94:商品名、ザ・インテック製)を用いて保護層を形成した。得られた比較例2の化粧シートを前記実施例1と同様にして比較例E2の化粧材を得た。比較例2のラミネート前の化粧シートのグロス値及びラミネート後の化粧材のグロス値を下記の表E1に示す。
Figure 0004255943
本発明の化粧シートは耐熱最大温度が170℃であるので、熱ラミネート時に170℃までの熱を受けても、化粧シート表面の艶を損ねることがなく、意匠効果の高い化粧シート及び化粧材とすることができる。
実施例F1
上塗り塗料の浸透を抑制しかつ紙間強度を向上させる樹脂含浸紙(興人製、GF606、米秤量;60g)を原反として用い、この基材シート上に、ブチラール樹脂を主成分とする樹脂を塗工し、プライマー層を形成した。
プライマー層の表面に、アクリル樹脂とニトロセルロース樹脂のブレンドによる紙用インキ(インクテック製、HAT)により、グラビア印刷方式で、着色ベタ印刷、絵柄印刷、および導管印刷を順次行い、木目模様を形成した後、同じ印刷機上で引き続き、導管以外の部分にポリ塩化ビニル樹脂のプラスチゾルと架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレートを含むほぼ透明なインキ(インクテック製、ゾル100メジウム)を用いて、版深120μmの版により印刷を施し、乾燥させて巻き取った。印様後、電子線硬化性樹脂塗料を用い、ロールコーディング法により、印刷面の全面に塗布を行い、電子線を照射して、塗膜厚み25μmの表面保護層を形成した。得られた化粧材は、導管部が艶消しである一方、導管部以外の部分が表面が平滑なために艶があり、導管部の窪んだ感じを有する化粧材であった。
実施例F2
電子線硬化性樹脂塗料中に、球状のα−アルミナ粒子を樹脂分に対し、20%含有するものを使用した以外は、実施例F1と同様にして化粧材を得た。
得られた化粧材は耐磨耗試験の結果、600回の連続摩耗に耐えるものであった。
実施例F3
上塗り塗料の浸透を抑制しかつ紙間強度を向上させる樹脂含浸紙(興人製、GF606、米秤量;60g)を原反として用い、この基材シート上に、ポリエステル樹脂とウレタン樹脂の混合物を主成分とする樹脂を塗工し、プライマー層を形成した。
プライマー層の表面に、アクリル樹脂とニトロセルロース樹脂のブレンドによる紙用インキ(インクテック製、HAT)により、グラビア印刷方式で、着色ベタ印刷、絵柄印刷、および導管印刷を順次行い、木目模様を形成した後、同じ印刷機上で引き続き、導管以外の部分にポリ塩化ビニル樹脂のプラスチゾルと架橋剤としてトリメチロールプロパントリアクリレートを含むほぼ透明なインキ(インクテック製、ゾル100メジウム)を用いて、版深120μmの版により印刷を施し、乾燥させて巻き取った。印様後、電子線硬化性樹脂塗料を用い、ロールコーディング法により、印刷面の全面に塗布を行い、電子線を照射して、塗膜厚み25μmの表面保護層を形成した。得られた化粧材は、導管部が艶消しである一方、導管部以外の部分が表面が平滑なために艶があり、導管部の窪んだ感じを有する化粧材であった。
実施例F4
電子線硬化性樹脂塗料中に、球状のα−アルミナ粒子を樹脂分に対し、20%含有するものを使用した以外は、実施例F3と同様にして化粧材を得た。
得られた化粧材は耐磨耗試験の結果、600回の連続摩耗に耐えるものであった。
上記態様の本発明よれば、凹凸のうちの凸部を通常の模様形成とは別に1本の版銅ローラを追加して印刷すれば足りるので、印刷機による制約が生じにくい。しかも、本発明によれば、凸部への透気度の低い模様の形成のみで凹部と凸部の両方の区域が区画されるので、見当合わせの困難さが解消される。また、通常の模様および凸部の模様を連続して形成できるので、見当合わせも比較的容易である。さらに本発明においては、連続した保護層を形成するので、表面の保護機能も十分である。また、保護層を電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて形成するときは、最外面の物理的、化学的性能を向上させることができる。なお又、保護層に球状アルミナで代表される高硬度の球状粒子を含有する際には、球状粒子の働きにより耐磨耗性が一層向上する。
各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 本発明の化粧材の製造工程を示す断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。 各々、本発明の実施態様に係る化粧材の断面図である。

Claims (6)

  1. 下記の基材、浸透抑制塗膜、はじき模様およびトップコート層からなる化粧材であって、
    電離放射線硬化性樹脂組成物に対して浸透性を有する基材と、
    前記基材上に形成された、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、アクリル樹脂およびこれらの樹脂の少なくとも1種と熱硬化性樹脂との混合物からなる群から選ばれた耐油性のある樹脂を主成分として含む組成物からなる、前記電離放射線硬化性樹脂組成物の浸透を抑制する性質を有し、かつ前記トップコート層を構成する電離放射線硬化型樹脂の硬化時の収縮応力を緩和するための応力緩和能を有する、厚さ1〜5μmの浸透抑制塗膜と、
    前記浸透抑制塗膜上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物をはじく性質を有するはじき模様と、
    前記はじき模様を含む前記浸透抑制塗膜上に形成された、電離放射線硬化性樹脂組成物が前記はじき模様上ではじかれて凹部となりその他の部分では硬化した層からなるトップコート層とからなり、前記浸透抑制塗膜と、前記電離放射線硬化性樹脂組成物をはじく性質を有するはじき模様または前記トップコート層との間に、少なくとも印刷層が形成された、化粧材。
  2. トップコート層が、球状粒子を含有する、請求項に記載の化粧材。
  3. 球状粒子の粒径が、トップコート層の厚みの30%〜200%である、請求項に記載の化粧材。
  4. 前記浸透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf以上、および破断強度1.0kgf以上を有する(ただし、前記降伏強度および破断強度は、厚さ50μm、幅10mmの2つの短冊状の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを、それぞれの端部が互いに10mmだけ重なるように対向させて、厚さ3μmのプライマー層を介してこれらを貼り合わせ、この状態で、温度70℃下において上記2つの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを逆方向に引っ張ったときの値である)、請求項1〜のいずれか1項に記載の化粧材。
  5. 前記浸透抑制塗膜が、降伏強度0.6kgf〜3.0kgf、および破断強度1.0kgf〜4.0kgfを有する、請求項に記載の化粧材。
  6. 前記トップコート層の最大耐熱温度が、170℃である、請求項1に記載の化粧材。
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