JP2019123166A - 化粧シート及び化粧板 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら、特許文献1に記載の化粧シートでは、表面保護層に含まれる粒子が高い硬度を有するため、化粧シートに触れた物体の表面を傷つけてしまう可能性があった。
本発明の他の態様は、(a)基板と、(b)基板の表面側に設けられた上記した化粧シートと、を備える化粧板であることを要旨とする。
以下の図面の記載において、同一または類似の部分には同一または類似の符号を付し、実施形態に係る化粧シート及び化粧板の説明において、実質的に同様な構成等についての重複する説明を省略する。また、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではなく、当業者の知識を基に設計の変更等の変形を加えることも可能であり、そのような変形が加えられた実施形態も、本発明の範囲に含まれるものである。また、各図面は、理解を容易にするため適宜誇張して表現している。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化粧板20は、基板5と、基板5の表面5a側に設けられた化粧シート10とを備えている。本実施形態の化粧シート10及び化粧板20は、特に、クローゼット等の収納家具の装飾用途に好適なものである。
基板5の材料としては、例えば、木質系材料、金属系材料を用いることができる。木質系材料としては、例えば、木材単板、木材合板、集成材、パーティクルボード、中密度繊維板、硬質繊維板を採用することができる。また、金属系材料としては、例えば、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラルミン板、ステンレス板を採用することができる。基板5と化粧シート10との間には、必要に応じて、例えば、接着剤層を設けてもよい。
図2に示すように、本発明の実施形態に係る化粧シート10は、基材1と、基材1の表面1d側に設けられた絵柄模様層2と、絵柄模様層2の表面2c側に設けられた表面保護層3とを備えている。化粧シート10の厚さは40μm以上300μm以下が好ましい。
基材1は、防湿性のシート状の層である。防湿性とは、水蒸気を通さない性質である。基材1としては、例えば、2枚の紙基材1a、1bと、2枚の紙基材1a、1bの間に配置された防湿樹脂層1cとを備える防湿紙を用いることができる。紙基材1a、1bとしては、例えば、セルロース繊維間に樹脂を含む紙間強化紙を採用できる。紙間強化紙としては、セルロース繊維を50質量%以上含むものが好ましい。紙間強化紙の厚さは、15μm以上60μm以下が好ましい。基材1の表面1d側の紙基材1aの坪量は、30g/m2程度とし、裏面1e側の紙基材1bの坪量は、23g/m2程度とするのが好ましい。
基材1を防湿紙とすることにより、化粧シート10の表面側から裏面側、つまり表面保護層3側から基板5側に水蒸気を通さなくすることができ、水蒸気により基板5が変形することを防止できる。また、防湿紙が、2枚の紙基材1a、1bと防湿樹脂層1cとで構成されるため、基材1に厚さとコシとを持たせることができる。そのため、化粧シート10がシワになり難く、また、化粧シート10のカールの発生を防止することができる。
絵柄模様層2は、基材1の表面1d側に形成され、意匠性を付与するための絵柄が印刷または塗工されてなる層である。絵柄としては、例えば、木目、コルク、石目、タイル、焼き物、抽象柄等、任意の絵柄を用いることができる。絵柄模様層2は、基材1の表面2c側に設けられ、表面2c全体を覆い絵柄の下地色となる柄インキ層2aと、柄インキ層2aの表面2c側に設けられ、下地色以外の絵柄を表す導管インキ層2bと、を備えている。柄インキ層2aと導管インキ層2bとで絵柄を表すことより、絵柄の意匠性を向上でき、化粧シート10により高い意匠性を付与することができる。柄インキ層2a及び導管インキ層2bのそれぞれは、染料や顔料等の着色剤を適当なバインダー樹脂とともに、適当な希釈溶媒中に溶解や分散してなる、印刷インキや塗料等によって形成されている。
表面保護層3は、絵柄模様層2の表面2c側に形成され、絵柄模様層2の全体を被覆するシート状の層である。表面保護層3は、表面保護層3を通して、絵柄模様層2の絵柄を透視できる程度に透明または半透明な材料で形成されている。表面保護層3の材料としては、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂が用いられている。ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂を用いることができる。また、熱硬化型樹脂には、複数の有機球状粒子3aが添加され、複数の有機球状粒子3aの幾つかの一部が表面保護層3の表面3bに露出している。有機球状粒子3aとしては、例えば、有機物からなる球状の粒子を用いることができる。球状としては、例えば、真球状、球を扁平にした回転楕円体状、或いはそれらに類似の形状等、表面が滑らかな曲面で囲まれた形状を採用することができる。有機球状粒子3aとしては、例えば、アクリル樹脂ビーズ、ウレタン樹脂ビーズが挙げられる。
さらに、表面保護層3の表面3bのうち有機球状粒子3aによって被覆されている部分の割合は、5%以上50%以下が好ましい。5%以上とし、有機球状粒子3aの面積を広くすることで、表面保護層3の樹脂成分(熱硬化型樹脂)が他の物体に接触することを抑制でき、表面保護層3の耐傷性をより向上できる。また、50%以下とし、有機球状粒子3aの面積を制限することで、有機球状粒子3aによる意匠性の低下を抑制できる。
本実施形態に係る発明は、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る化粧シート10は、基材1と、基材1の表面1d側に設けられた絵柄模様層2と、絵柄模様層2の表面2c側に設けられた表面保護層3と、を備えるようにした。そして、表面保護層3は、モース硬度が2以上3以下の有機球状粒子3aが添加された、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を含むようにした。それゆえ、耐傷性に優れるとともに、接触した物体が損傷することを防止可能な化粧シート10を提供できる。さらに、加工時に用いる刃物の劣化を防止でき、化粧シート10の加工性を向上できる。
(3)本実施形態に係る化粧シート10では、有機球状粒子3aの比率は、表面保護層3に含まれる熱硬化型樹脂の質量に対して、5質量部以上50質量部以下とした。それゆえ、耐傷性をより向上できるとともに、化粧シート10の撓性の低下を抑制できる。
(5)本実施形態に係る化粧シート10では、絵柄模様層2は、基材1の表面1d側に設けられ、表面1d全体を覆い絵柄の下地色を表す柄インキ層2aと、柄インキ層2aの表面2c側に設けられ、下地色以外の絵柄を表す導管インキ層2bとを備えるようにした。それゆえ、絵柄の意匠性を向上でき、化粧シート10により高い意匠性を付与できる。
(7)本実施形態に係る化粧シート10では、基板5と、基板5の表面5a側に設けられた化粧シート10と、を備えるようにした。それゆえ、耐傷性に優れるとともに、接触した物体が損傷することを防止可能な化粧板20を提供することができる。
なお、上記実施形態では、基材1を、紙基材1a、1bと防湿樹脂層1cとで形成する例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図2に示すように、基材1を紙基材1fで形成するようにしてもよい。紙基材1fで形成することにより、例えば、紙基材1a、1bと防湿樹脂層1cとで形成する場合に比べ、基材1を薄型化できる。
まず、図2に示すように、基材1として、坪量30g/m2の薄葉紙を用意した。続いて、基材1の表面1dに、印刷インキを塗布して、絵柄模様層2を形成した。印刷インキとしては、二酸化チタンを含むものを用いた。続いて、形成した絵柄模様層2の表面2cに、有機球状粒子3aが添加されたウレタン樹脂を塗工して、表面保護層3を形成した。有機球状粒子3aとしては、モース硬度が2以上3以下のアクリル樹脂ビーズを用いた。有機球状粒子3aの平均粒径は、10μm以上40μm以下とした。また、有機球状粒子3aの比率は、表面保護層3のウレタン樹脂の質量に対して、25質量部とした。さらに、表面保護層3の表面のうち有機球状粒子3aによって被覆されている部分の割合を15%以上20%以下とした。また、ウレタン樹脂の塗工量は、乾燥重量で5.0g/m2以上9.0g/m2以下となるようにした。これにより、実施例1の化粧シート10を形成した。
実施例2では、有機球状粒子3aとして、平均粒径が1μm以上10μm以下のアクリル樹脂ビーズを用いた。それ以外は実施例1と同じ材料・手順で化粧シート10を作製した。
(実施例3)
実施例3では、有機球状粒子3aの比率を、表面保護層3のウレタン樹脂の質量に対して、4質量部とした。それ以外は実施例1と同じ材料・手順で化粧シート10を作製した。
(実施例4)
実施例4では、表面保護層3の表面のうち有機球状粒子3aによって被覆されている部分の割合を、4%未満とした。それ以外は実施例1と同じ材料・手順で化粧シート10を作製した。
比較例1では、表面保護層3を、有機球状粒子3aを含まないウレタン樹脂で形成した。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で化粧シート10を作製した。
(比較例2)
比較例2では、有機球状粒子3aとして、モース硬度が9のもの、つまり3より大きいものを用いた。それ以外は、実施例1と同じ材料・手順で、化粧シート10を作製した。
実施例1〜4、比較例1〜2の化粧シート10に対して、以下の性能評価の試験を行った。
(耐傷試験)
耐傷試験では、JIS K 5600−5−4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じた試験を行った。すなわち、硬度3B、2B、B、HB、F、H、2H、3Hの鉛筆を用い、化粧シート10に対して鉛筆の角度を45±1°に固定して、鉛筆に1kgの荷重を付加した状態でスライドさせて化粧シート10(表面保護層3)に凹み(傷)が形成されるかを観察した。そして、凹みが確認されなかった鉛筆の最大硬度を試験結果として得た。
収納物劣化確認試験では、化粧シート10の学振試験を行った。収納物劣化確認試験とは、化粧板20で収納家具を形成した場合に、化粧シート10に触れることにより収納物(例えば、衣服)の表面が擦れる度合いを評価する試験である。試験体としては、化粧シート10をMDF(medium density fiberboard)上に酢酸ビニル径接着剤を用いてホットプレスによって貼り付けたものを用いた。また、摩擦子としては、JIS L 0803で規定される白綿布を用いた。そして、JIS L−0849の規格を満たす学振試験機を用い、摩擦子に2Nの力を付加した状態で試験体上を30往復させて摩擦子の劣化状態を観察した。そして、摩擦子の表面が擦れておらず、摩擦子が劣化していない場合を最高評価「◎」とし、摩擦子の表面が擦れて繊維が切れ、摩擦子が劣化している場合を最低評価「×」として、「×」、「△」、「○」、「◎」の4段階の評価を試験結果として得た。
試験結果を表1に示す。
したがって、実施例1〜4の化粧シート10は、比較例1〜2の化粧シート10よりも、耐傷性に優れるとともに、接触した物体が損傷することを防止可能であることが確認された。特に、実施例1の化粧シート10は、耐傷試験の試験結果が「3H」となり、実施例2〜4の化粧シート10(試験結果「H」)よりも耐傷性に優れることが確認された。
Claims (8)
- 基材と、
前記基材の表面側に設けられた絵柄模様層と、
前記絵柄模様層の表面側に設けられた表面保護層と、を備える化粧シートであって、
前記表面保護層は、モース硬度が2以上3以下の有機球状粒子が添加された、ウレタン結合を有する熱硬化型樹脂を含むことを特徴とする化粧シート。 - 前記有機球状粒子の平均粒径は、10μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の化粧シート。
- 前記有機球状粒子の比率は、前記表面保護層の熱硬化型樹脂の質量に対して、5質量部以上50質量部以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧シート。
- 前記表面保護層の表面のうち前記有機球状粒子によって被覆されている部分の割合は、5%以上50%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記絵柄模様層は、
前記基材の表面側に設けられ、該表面全体を覆い絵柄の下地色を表す柄インキ層と、
前記柄インキ層の表面側に設けられ、前記下地色以外の絵柄を表す導管インキ層と、を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。 - 前記基材は、2枚の紙基材と、前記2枚の紙基材の間に配置された防湿樹脂層とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 前記基材は、紙基材であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シート。
- 基板と、
前記基板の表面側に設けられた請求項1から7のいずれか1項に記載の化粧シートと、を備えることを特徴とする化粧板。
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