JP6036490B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents

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本発明は、化粧シートの製造方法に関する。
建築内部の仕上げ材、取り付け材などの造作材、あるいは建具として、化粧紙を用いたラミネート部材を作製する場合、建材用一般紙や樹脂含浸紙に、熱硬化性ウレタン樹脂や電離放射線硬化性樹脂などをコートした化粧シートを用いることが一般的である。化粧シートには、通常、意匠性はもちろんのこと、耐汚染性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性、耐傷性などの表面保護特性が求められる。こうした要求を満たすために、基材の表面に表面保護層を施すことが行われており、表面保護層としては電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物が好ましく用いられている。
上記表面保護層を有する化粧シートとしては、例えば、基材上に、着色層、及び表面保護層を順に有する単色の化粧シートのほか、基材シート上に、絵柄模様層及び表面保護層が順に積層され、絵柄模様層と表面保護層との間に浸透防止層を有していてもよい、絵柄模様を有する化粧シート(特許文献1)等が知られている。
また、基材上に少なくとも、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層と、該低艶絵柄インキ層上に存在してこれと接触すると共に、該低艶絵柄インキ層が形成された領域及び該低艶絵柄インキ層が形成されていない領域とを含む全面にわたって被覆する表面保護層を有し、該表面保護層が電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化してなり、該表面保護層中には、該低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域が形成されてなる、視覚的凹凸感を有する化粧材(特許文献2)が知られている。
特開2010−82810号公報 特開2005−125781号公報
基材上に、着色層、及び表面保護層を順に有する単色の化粧シート(以下、「単色シート」ともいう)では、表面保護層は前記着色層を被覆するように設けられる。この場合、表面保護層による被覆面すなわち着色層は平滑であるため、該表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物には、平滑面に均一厚さで塗膜を形成しうる程度に高い粘性を有することが望まれる。
また、絵柄模様を有する化粧シート(以下、「絵柄シート」ともいう)では、表面保護層は前記絵柄模様層又は浸透防止層を被覆するように設けられる。表面保護層による被覆面が浸透防止層の場合、該被覆面は平滑であるが、表面保護層による被覆面が絵柄模様層である場合には、該被覆面は通常凹凸を有する。したがって、絵柄シートの表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物には、表面保護層による被覆面が平滑あるいは凹凸を有するいずれの場合であっても、均一厚さで塗膜を形成しうる程度の粘性を有することが望まれる。
一方、特許文献2に記載された化粧材(以下「同調絵柄シート」ともいう)では、視覚的な凹部の発現のため、表面保護層と低艶インキ層とが接触する必要がある。したがって上記同調絵柄シートでは、部分的に設けられた低艶絵柄インキ層が表面保護層による被覆面に存在するため、該被覆面は凹凸を有している。よって、上記同調絵柄シートに用いられる表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物は、低艶絵柄インキ層を有する凹凸面に塗布した際に凹部にも充填され、かつ表面が平滑になるように塗膜を形成しうる程度の流動性を有することが望まれる。
また、前記低艶絵柄インキ層の直上部及びその近傍に視覚的に凹部として認識される低光沢領域を形成するためには、電離放射線硬化性樹脂組成物には、該低艶絵柄インキ層と接触して懸濁状態となりうる特性、すなわち、低艶絵柄インキ層への適度な浸透性を有することが求められる。
上記のように、表面保護層を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物には、化粧シートの種類によって相反する特性を求められる場合がある。したがって、従来は化粧シートの種類ごとに異なる電離放射線硬化性樹脂組成物が用いられていた。
しかしながら、化粧シートの製造において共通の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いた方が、化粧シート製造の生産性、経済性の点から好ましい。
本発明は、化粧シートに剥離強度や耐汚染性などの表面保護特性を付与しつつ、上記の各種化粧シートの製造に適用できる、生産性及び経済性に優れた化粧シートの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、化粧シートの製造において、所定の粘度特性を有する電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて表面保護層を形成することにより、上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、基材上に少なくとも、着色層と、表面保護層とを順に有する化粧シートの製造方法であって、基材上に着色層を形成した後、表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程を含み、該電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計により測定される粘度が、40℃、回転数5rpmにおいて500〜850mPa・sでありかつ40℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)が1.2〜3.0である、化粧シートの製造方法を提供するものである。
本発明の化粧シートの製造方法によれば、化粧シートに剥離強度や耐汚染性などの表面保護特性を付与しつつ、上記単色、絵柄、及び同調絵柄の各種化粧シートの表面保護層を、共通の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて形成することが可能である。そのため、化粧シートの種類に応じて異なる電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる必要がなく、生産性及び経済性に優れる。
本発明の製造方法により得られる化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の製造方法により得られる化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。 本発明の製造方法により得られる化粧シートの一つの態様の断面を示す模式図である。
本発明の化粧シートの製造方法は、基材上に少なくとも、着色層と、表面保護層とを順に有する化粧シートの製造方法であって、基材上に着色層を形成した後、表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程を含み、該電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計により測定される粘度が、40℃、回転数5rpmにおいて500〜850mPa・sでありかつ40℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)が1.2〜3.0であることを特徴とする。
本発明の化粧シートの製造方法について、図1〜3を用いて説明する。
図1〜3において、1a〜1cは本発明の製造方法により得られる化粧シートの一例の断面を示す模式図である。化粧シート1a〜1cはいずれも、基材2上に少なくとも、着色層3と、表面保護層4とを順に有する。
図1に示す化粧シート1aは単色シートの一例である。化粧シート1aは、基材2と、単色の着色層3と、表面保護層4とを順に有する。なお、図示されていないが、基材2と表面保護層4との間に浸透防止層5を形成してもよい。
化粧シート1aの製造方法は、まず基材2上に、単色の着色層3を形成する。次に、着色層3を被覆するように表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し、次いで、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させ、表面保護層4を形成して化粧シート1aを得る。
化粧シート1aでは、表面保護層4による被覆面(単色の着色層3)は平滑である。よって、表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物は、平滑面に均一厚さで塗膜を形成できる程度に高い粘性を有することが必要となる。
図2に示す化粧シート1bは絵柄シートの一例である。化粧シート1bは、基材2、着色層3、浸透防止層5、及び表面保護層4を順に有する。着色層3は、着色ベタ層3Aと絵柄層3Bとから構成されている。なお、化粧シート1bにおいて、浸透防止層5は任意の層である。浸透防止層5は、後述するように基材2と表面保護層4との間に設けられていればよい。
図2に示す化粧シート1bの製造方法は、まず基材2上に、着色ベタ層3Aと、絵柄層3Bを順に形成し、更に絵柄層3B上に浸透防止層5を形成する。次に、浸透防止層5を被覆するように表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し、次いで、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させ、表面保護層4を形成して化粧シート1bを得る。
図2の化粧シート1bは浸透防止層5を有するため、表面保護層4による被覆面は平滑である。一方、浸透防止層5を有しない絵柄シートの場合は、表面保護層4による被覆面は絵柄層3Bとなり、該被覆面は凹凸を有する。よって、表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物は、上記平滑面及び凹凸面のいずれに対しても、均一厚さで塗膜を形成できる程度の粘性を有することが必要となる。
図3に示す化粧シート1cは同調絵柄シートである。化粧シート1cは、基材2、着色層3、浸透防止層5、及び表面保護層4を順に有する。着色層3は、着色ベタ層3Aと絵柄層3Bとから構成されている。化粧シート1cは、更に浸透防止層5と表面保護層4との間に、部分的に設けられる絵柄インキ層6(図3の6A、6B)を有する。なお、化粧シート1cにおいて、浸透防止層5は任意の層である。浸透防止層5は、後述するように基材2と表面保護層4との間に設けられていればよい。
化粧シート1cの製造方法は、まず基材2上に、着色ベタ層3Aと、絵柄層3Bを順に形成し、更に、絵柄層3B上に浸透防止層5を形成する。次に、浸透防止層5上に絵柄インキ層6を形成する。絵柄インキ層6は、後述するように、絵柄層3Bの絵柄の少なくとも一部に同調するように、浸透防止層5上に部分的に設けることが好ましい。
そして、浸透防止層5及び部分的に設けられた絵柄インキ層6を被覆するように、表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布未硬化樹脂層を形成し、次いで、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させ、表面保護層4を形成して化粧シート1cを得る。
化粧シート1cは、図3に示すように、表面保護層4による被覆面は部分的に設けられた絵柄インキ層6による凹凸を有するため、表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物は、凹凸面に塗布した際に凹部にも充填され、かつ表面が平滑になるように塗膜を形成しうる程度の流動性を有することが必要となる。また、絵柄インキ層6は、後述するように、表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との一部溶出、分散、混合などの相互作用により、該表面保護層4における、該絵柄インキ層6の直上部及びその近傍に、低光沢領域を有する低艶模様層7を形成する層である。したがって、表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物は、絵柄インキ層6との相互作用が可能な程度に、絵柄インキ層6への浸透性を有することが好ましい。
次に、化粧シートを構成する各部材について説明する。
(基材)
本発明で用いられる基材2としては、通常化粧材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート、金属箔、金属シート、金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面又は両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を行うことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また基材2はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
基材として用いられる各種の紙類としては、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙などが使用できる。これらの紙基材は、紙基材の繊維間ないしは他層と紙基材との層間強度を強化したり、ケバ立ち防止のため、これら紙基材に、更に、アクリル樹脂、スチレンブタジエンゴム、メラミン樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂を添加(抄造後樹脂含浸、又は抄造時に内填)させたものでもよい。例えば、紙間強化紙、樹脂含浸紙等である。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
プラスチックフィルム又はプラスチックシートとしては、各種の合成樹脂からなるものが挙げられる。合成樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマー等のポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂等のビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー等のポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂等のアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66等で代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース樹脂、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;又はポリイミド樹脂等が挙げられる。
金属箔、金属シート、又は金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。各種の木質系の板としては、杉、松、檜、ラワン、チーク等の木材の単板、合板、集成材、パーチクルボード、又はMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板が挙げられる。窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル等が例示される。これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基材として使用できる。
基材2の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
(着色層)
着色層3は、化粧シートに装飾性を付与する層であり、基材2と表面保護層4との間に設けられる層である。着色層3は、図1に示す単色シート1aの場合は単色の着色層からなる。図2に示す絵柄シート1b、及び図3に示す同調絵柄シート1cの場合は、着色層3は、少なくとも絵柄層3Bを有していればよく、意匠性の点から、着色ベタ層3Aと絵柄層3Bとから構成されることが好ましい。
単色の着色層、及び着色ベタ層3Aは、基材2の色を隠蔽する隠蔽層としても機能するものであり、基材2が着色している場合や色ムラがある場合に形成して、意図した色彩を与えるものである。それに加えて、後述する表面保護層や、任意で設けられる絵柄層や低艶絵柄インキ層を形成する成分が基材に浸透することを抑制でき、絵柄の滲みが少ない高い意匠性を得ることができる。前記浸透抑制効果は、基材が紙や不織布等の浸透性基材である場合に特に有効である。
単色の着色層、及び着色ベタ層3Aは、着色剤を含む2液硬化性樹脂組成物の硬化物により構成されることが好ましい。2液硬化性樹脂組成物の硬化物で構成されることにより、基材2の色を隠蔽する隠蔽機能を有することに加えて、基材や表面保護層との優れた密着性も得られる。
2液硬化性樹脂組成物に含まれる2液硬化性樹脂としては、主剤に硬化剤を添加して硬化する樹脂であれば特に制限はなく、主剤がポリオール(多価アルコール)であり、硬化剤がイソシアネート硬化剤である、2液硬化性ウレタン樹脂が好ましい。
主剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオールなどのポリオールのほか、(メタ)アクリル酸メチルなどの(メタ)アクリル酸エステルと、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシル基を有するモノマーとの付加重合によって得られるアクリルポリオール;公知のジオール類、例えばエチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類とアジピン酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸などの二塩基酸、これらの酸エステルなどから選ばれる少なくとも一種との重縮合反応によって得られるポリエステルポリオール;前記のジオール類とエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフランなどとの付加重合によって得られるポリエーテルポリオールなどの官能基として水酸基を有するポリオールが好ましく挙げられる。これらは単独又は複数種を混合して使用できる。
イソシアネート硬化剤としては、従来公知の化合物を適宜使用すればよく、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、キシレンジイソシアネート(XDI)、ナフタレンジイソシアネート 、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、あるいは1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチレンジイソシアネート(MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどの脂肪族(ないしは脂環式)イソシアネートなどのポリイソシアネートが用いられる。また、これら各種イソシアネートの付加体又は多量体、例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート 3量体(trimer)なども用いられる。
2液硬化性樹脂組成物に含まれる着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料、又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
着色剤の含有量は、隠蔽性、及び基材や表面保護層との密着性を確保し、かつ樹脂組成物の塗布性を阻害しない範囲であれば、特に制限はない。
絵柄層3Bは、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせなどにより、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、天然皮革の表面柄、幾何学図形、抽象柄などからなる模様ないし色彩を有し、基材2上、着色ベタ層3Aを設ける場合はその上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。
絵柄層3Bの形成に用いられるインキ組成物としては、バインダー樹脂に顔料、染料などの着色剤のほか、必要に応じて体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。
バインダー樹脂としては特に制限はなく、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アルキッド樹脂、ニトロセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、単色の着色層及び着色ベタ層3Aを構成する樹脂組成物と同様のものが用いられる。着色剤の含有量は、インキ組成物の印刷性等を阻害しない範囲であれば、特に制限はない。
着色層3の厚さは、着色層の形成に用いられる組成物の塗工量として通常0.5〜20g/m2(固形分基準)であり、1〜10g/m2(固形分基準)が好ましい。着色層3の厚さが上記範囲内であると、化粧シートに優れた意匠性を付与することができ、また製造過程における収縮が生じることがない。
(表面保護層)
表面保護層4は、本発明の製造方法で得られる化粧シートに耐汚染性、耐候性、耐溶剤性、耐摩耗性、耐傷性などの表面保護特性を付与する層であり、電離放射線硬化性樹脂を含む電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物により構成される層である。
ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物は電離放射線を照射することにより硬化する樹脂組成物であり、電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるほか、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も用いられる。
本発明では、表面保護層4形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計により測定される粘度が、40℃、回転数5rpmにおいて500〜850mPa・sでありかつ40℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)が1.2〜3.0である。
電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計で測定される上記粘度は、40℃、回転数5rpmにおいて好ましくは550〜800mPa・s、より好ましくは580〜800mPa・s、更に好ましくは600〜800mPa・sである。また、上記電離放射線硬化性樹脂組成物の40℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)は、好ましくは1.3〜2.8、より好ましくは1.4〜2.0である。
電離放射線硬化性樹脂組成物の40℃における粘度及びTI値が上記範囲であることにより、表面保護層4による被覆面が平滑あるいは凹凸を有するいずれの化粧シートの製造においても、均一厚さで塗膜を形成することができる。また化粧シート1cの場合は、絵柄インキ層6を有する凹凸面に塗布した際に、凹部にも該樹脂組成物が充填され、かつ表面が平滑になるように塗膜を形成することができる。
さらに、化粧シート1cの製造においては、絵柄インキ層6との相互作用が可能な程度に浸透性を有し、絵柄インキ層6の直上部及びその近傍に、低光沢領域を有する低艶模様層7を形成できるものとなる。
そのため、本発明の製造方法では、上記特性を有する電離放射線硬化性樹脂組成物を表面保護層の形成に用いることで、異なる層構成を有する3種の化粧シート1a〜1cを製造することができる。
また、上記と同様の理由から、電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計により測定される粘度は、25℃、回転数5rpmにおいて850〜1450mPa・sでありかつ25℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)が1.1〜2.0であることが好ましい。同様に、上記粘度は、25℃、回転数5rpmにおいてより好ましくは900〜1400mPa・s、更に好ましくは950〜1400mPa・sである。また、25℃における上記TI値は、より好ましくは1.2〜1.8、更に好ましくは1.3〜1.8である。
電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂は、慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができ、所望の粘度を付与する観点、及び硬化性の観点から、重合性モノマーであることが好ましい。
重合性モノマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート系モノマーが好適であり、なかでも多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートモノマーであれば特に制限はなく、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが好ましく挙げられる。これらの(メタ)アクリレートモノマーは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、表面保護特性を優れたものとする観点から、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6、更に好ましくは2〜4である。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度及び硬化性の観点から、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂は、多官能(メタ)アクリレートモノマーのみから構成されることが好ましく、官能基数が2〜4の多官能(メタ)アクリレートモノマー2種以上から構成されることがより好ましく、2官能(メタ)アクリレートモノマーと、4官能(メタ)アクリレートモノマーとから構成されることが更に好ましい。この場合、2官能(メタ)アクリレートモノマーと、4官能(メタ)アクリレートモノマーとの配合比は、質量比で好ましくは1/99〜90/10、より好ましくは5/95〜80/20である。
次に、重合性オリゴマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマー、例えばウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーなどの(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく挙げられ、これらのオリゴマーを1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
以上の重合性(メタ)アクリレートオリゴマーのうち、多官能ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において収縮が生じることがないからである。
本発明において、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの官能基数は2以上であれば特に制限はないが、2〜8が好ましく、より好ましくは2〜6である。官能基数が上記の範囲内であると、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において収縮が生じることがないからである。
また、多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、1,000〜20,000であることが好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物を紫外線で硬化させる場合には、必要に応じて、光重合用開始剤を樹脂100質量部に対して、0.1〜5質量部程度添加することが望ましい。光重合用開始剤としては、従来慣用されているものから適宜選択することができ、特に限定されず、例えば、ベンゾイン系、アセトフェノン系、フェニルケトン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系などの光重合用開始剤が好ましく挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られ、かつ電子線照射直後に電子線硬化性樹脂が瞬時に硬化するからである。さらに、硬化の際に電離放射線を照射する時間が短くてすみ、製造過程における収縮を抑えることができるからである。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、粒径2μm未満のシリカ粒子を含有することが好ましい。該シリカ粒子は、目止め効果を有するとともに、電離放射線硬化性樹脂組成物の保存安定性を向上させ、かつチクソ性を低減する効果も有する。シリカ粒子の粒径は、上記効果を奏する点から、好ましくは10〜1500nm、より好ましくは100〜1000nm、更に好ましくは500〜1000nmである。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の上記シリカ粒子の含有量は、上記効果を奏し、かつ電離放射線硬化性樹脂の電離放射線の照射による硬化を阻害しない観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは2〜5質量部である。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物は、該組成物の粘度調整の観点から、電離放射線硬化性樹脂の電離放射線の照射による硬化を阻害しない範囲内で、熱可塑性樹脂を含有することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられ、これらは1種単独でも又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合わせる場合は、これらの樹脂を構成するモノマーの共重合体でもよいし、それぞれの樹脂を混合して用いてもよい。熱可塑性樹脂としては、本発明により製造される化粧シートに優れた表面保護特性を付与する観点から、アクリル樹脂が好ましく、少なくとも(メタ)アクリル酸エステルモノマーを構成単位として有するアクリル樹脂がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、通常10,000〜200,000程度であり、好ましくは10,000〜100,000程度である。この範囲内であると、化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができる。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、上記効果を奏し、かつ電離放射線硬化性樹脂の電離放射線の照射による硬化を阻害しない観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜10質量部、更に好ましくは2〜5質量部である。
電離放射線硬化性樹脂組成物には、その他の各種添加成分として、耐摩耗剤、艶消剤、耐傷フィラーなどの充填剤、シリコーン化合物などの離型剤、分散剤、レベリング剤、あるいは耐候性向上のために、紫外線吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系の光安定剤(HALS)を含有させることができる。
艶消剤は、表面保護層4にマット感を付与するために用いられる。艶消剤としては、通常、化粧シートの艶消剤として用いられるものを使用することができる。具体的には、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、ガラスバルーン、ポリエチレン等の無機又は有機のフィラーないし微粉末が挙げられ、シリカが好ましい。艶消剤は、これらを1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
艶消剤としてのシリカは、表面処理を施して、シリカ表面の水酸基を低減したものを用いることが好ましい。
また、艶消剤の形状は任意であるが、球状又は略球状が好ましい。艶消剤の粒径は0.1〜10μm程度、好ましくは3〜10μmである。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の艶消剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは10〜20質量部、更に好ましくは10〜16質量部である。
耐傷フィラーは、表面保護層4に耐傷性を付与するために用いられる。耐傷フィラーとしては、無機系と有機系のフィラーがあり、無機系フィラーとしては、アルミナ、シリカ、カオリン、酸化鉄、ダイヤモンド、炭化ケイ素等の粒子が挙げられる。無機系フィラーは、天然物、合成物のいずれも用いることができる。
一方、有機物のフィラーとしては、架橋アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の合成樹脂ビーズが挙げられる。
耐傷フィラーのうち、耐傷性向上の観点からは無機系フィラーを用いることが好ましく、シリカ又はカオリンがより好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する際に、塗布装置の磨耗を少なくする観点からは、シリカが更に好ましい。
上記の耐傷フィラーは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐傷フィラーの形状は、球、楕円体、多面体、鱗片形等が挙げられ、特に制限はないが、鱗片形又は球状が好ましく、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する際に、塗布装置の磨耗を少なくする観点から、球状がより好ましい。
また、耐傷フィラーの粒径は、表面保護層4の膜厚の30〜200%程度とすることが好ましい。
耐傷フィラーの硬度は、表面保護層4に十分な耐傷性を付与する観点から、モース硬度が4以上であることが好ましく、耐傷性向上、及び、電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布する際に、塗布装置の磨耗を少なくする観点から、モース硬度はより好ましくは4〜8、更に好ましくは5〜8である。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の耐傷フィラーの含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは1〜20質量部、より好ましくは1〜15質量部、更に好ましくは2〜12質量部である。
離型剤は、表面保護層4に滑り性を与え耐傷性を向上させ、ハードコート性を付与するとともに、化粧シートをロール状に巻いた際などに、ブロッキングを防止するため、基材からの適度な剥離性の発現に用いるものである。
離型剤としては、シリコーン化合物が好ましく用いられ、反応性官能基を有するシリコーン化合物がより好ましい。反応性官能基を有するシリコーン化合物は、シリコーン鎖(シリコーンオイル)の側鎖及び/又は末端に反応性の有機基を導入されているもので、反応性の官能基としては、アミノ基、エポキシ基、メルカプト基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、(メタ)アクリロイル基、アリル基など種々の官能基があるが、電離放射線硬化性樹脂を含む樹脂組成物が硬化する際に、該電離放射線硬化性樹脂と反応し、結合して一体化するため、表面にブリードアウトすることなく、表面保護層に滑り性を付与し、耐擦傷性等を向上させるため、特に(メタ)アクリロイル基が導入された、シリコーン(メタ)アクリレートが好ましい。
電離放射線硬化性樹脂組成物中の離型剤の含有量は、滑り性の観点から、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、好ましくは0.1〜20質量部、より好ましくは0.5〜10質量部、更に好ましくは0.5〜5質量部である。
分散剤は、電離放射線硬化性樹脂組成物に含有される前記各種フィラーの沈降防止、及びチクソ性付与のために用いられる。分散剤は、従来公知のものを用いることができ、電離放射線硬化性樹脂組成物に添加されるフィラーの種類や添加量に応じて適宜選択できる。電離放射線硬化性樹脂組成物中の分散剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、通常0.0001〜20質量部程度であり、好ましくは0.001〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部である。
レベリング剤は、電離放射線硬化性樹脂組成物の表面エネルギーを低下させ、樹脂組成物の塗布性や表面平滑性を向上させるために用いられる。レベリング剤としては、フッ素系レベリング剤、シリコーン系レベリング剤など、従来公知のものを適宜選択して用いることができ、シリコーン系レベリング剤が好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物中のレベリング剤の含有量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し、通常0.001〜10質量部程度であり、好ましくは0.01〜4質量部、より好ましくは0.05〜2質量部である。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物には、各種添加成分として、得られる化粧シートにおける表面保護層4の隠蔽性向上、基材の黄変防止や耐光性の向上などを図る目的で、酸化チタン、アルミペースト、カーボンブラックなどの無機系着色顔料を適宜添加することができる。
前記の電離放射線硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合し、電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工液を調製する。このようにして調製された塗工液を、表面保護層4による被覆面に、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、グラビア印刷、グラビアオフセット印刷、スクリーン印刷等の印刷方法等の公知の方式、好ましくはグラビアオフセット印刷にて施し、未硬化樹脂層を形成することができる。
このようにして形成された未硬化樹脂層に、電子線、紫外線等の電離放射線を照射して該未硬化樹脂層を硬化させる。ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy、好ましくは10〜50kGyの範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、通常波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することができる。
上記のようにして形成された表面保護層4の厚さは、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工量として1〜30g/m2(固形分基準)が好ましく、1〜10g/m2(固形分基準)がより好ましい。表面保護層4の厚さが上記範囲内であると、本発明の化粧シートに優れた表面保護特性を付与することができ、また製造過程において収縮が生じることがない。
(浸透防止層)
浸透防止層5は所望により設けられる層であって、表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物、又は図3の化粧シート1cにおける絵柄インキ層6形成用のインキが、基材2中に浸透することを抑制する機能を有するものであり、基材2が紙や不織布などの浸透性基材である場合に特に効果を奏する。したがって、浸透防止層5は、基材2と表面保護層4の間、又は基材2と絵柄インキ層6の間に位置すればよい。通常は、表面保護層4を構成する電離放射線硬化性樹脂と密着性がある、硬化性樹脂が架橋硬化した一様均一な層を、図2の化粧シート1bの場合は絵柄層3Bと表面保護層4との間、図3の化粧シート1cの場合は絵柄層3Bと絵柄インキ層6との間に設ける。このことにより、基材2上に存在する着色層3A、絵柄層3Bの表面を平滑にし、これらと表面保護層4及び絵柄インキ層6との接着性を高める機能をも併せて果たすものである。
浸透防止層5に好適な硬化性樹脂としては、着色層3を形成するインキのバインダーに用いられるものが挙げられる。なかでも、ウレタン樹脂が耐スクラッチ性向上の観点から好ましい。浸透防止層5の厚さは、通常1〜20μm程度である。
(絵柄インキ層)
絵柄インキ層6は、図3の同調絵柄シート1cにおいて形成される層である。
絵柄インキ層6は、熱可塑性樹脂組成物により構成される層であり、化粧シートに凹凸感のある意匠性を付与しうる層である。特に絵柄層3Bの絵柄として木目模様を採用した場合に、凹凸感があり、より本物の質感を有する木目模様を表現することができる。
絵柄インキ層6は、熱可塑性樹脂組成物を採用することで、表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用により、該表面保護層4における、該絵柄インキ層6の直上部及びその近傍に、低光沢領域を有する低艶模様層7を形成する層である。絵柄インキ層6は、着色層3と表面保護層4との間に設けられ、より具体的には、着色層3、あるいは所望に応じて着色層3と表面保護層4との間に設けられるプライマー層(図示しない)の上などに、上記の低光沢領域を有する低艶模様層7を形成することにより、該低光沢領域を有する低艶模様層7の周辺の高光沢領域との艶差を発生させることで、視覚的な凹凸感を発現するものである。
絵柄インキ層6は、化粧シートの全面にわたって設けてもよいが、低光沢領域を有する低艶模様層7の周辺の高光沢領域との艶差を発生させて視覚的な凹凸感を発現させることを考慮すると、部分的に設けることが好ましい。
本発明における艶差発生の機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、熱可塑性樹脂組成物により構成される絵柄インキ層6の表面に表面保護層4を形成するための電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化物を塗工した際に、各材料の組み合わせ、塗工条件の適当な選択によって、該熱可塑性樹脂と該電離放射線硬化性樹脂とが、一部溶出、分散、混合などの相互作用を発現することによるものと推測される。この際、熱可塑性樹脂組成物と電離放射線硬化性樹脂組成物の未硬化物におけるそれぞれの樹脂は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、絵柄インキ層6の直上部に存在し、該懸濁状態となった部分が光を散乱して低光沢領域をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、電離放射線硬化性樹脂組成物を架橋硬化させて表面保護層を形成することにより、かかる状態が固定されると、表面保護層中に低光沢領域を有する低艶模様層7が部分的に形成され、目の錯覚により、その部分が視覚的に凹部であるかのように認知されるものと推測される。また、その際、絵柄インキ層6の塗布量が相対的に、より多くなるに従って、該絵柄インキ層6の表面保護層4中への溶出量は、相対的に増加して、該懸濁状態の程度はより高く、低艶模様層7の光沢はより低くなると考えられる。
上記のように、低光沢領域は、熱可塑性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との相互作用により形成されるものである。絵柄インキ層6の直上部に形成する低光沢領域を有する低艶模様層7は、該絵柄インキ層6の「直上部」に形成されるものであるが、該絵柄インキ層6の「その近傍」にも広がりを有しながら形成されてもよい。なお「その近傍」部分に形成する低光沢領域を有する低艶模様層7も熱可塑性樹脂と電離放射線硬化性樹脂との相互作用により形成されるものである。
絵柄インキ層6を形成する熱可塑性樹脂組成物中の熱可塑性樹脂としては、熱可塑性を有しており、通常イソシアネートなどの架橋剤を併用しないで使用される樹脂が好ましく挙げられる。
このような熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、硝化綿などのニトロセルロース樹脂、熱可塑性ウレタン樹脂、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタール樹脂などが好ましく挙げられる。これらの中でも、表面保護層4を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物の電離放射線硬化性樹脂との相性による凹凸感の発現の観点から、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿などのニトロセルロース樹脂が好ましく、とりわけウレタン樹脂が好ましい。
また、熱可塑性樹脂の重量平均分子量(GPC法で測定したポリスチレン換算の重量平均分子量)は、100,000〜1,000,000のものが好ましく、150,000〜700,000のものがより好ましく、200,000〜500,000のものがさらに好ましい。重量平均分子量が100,000以上であると、チクソ性が低くなることにより低艶模様層7の凹凸感が発現しにくくなるということがない。一方、1,000,000以下であると、熱可塑性樹脂組成物のインキ化が困難となることがなく、また印刷時に被膜が形成しにくく転移不良となることがないので好ましい。
また、必要に応じて、低光沢領域の発現の程度、低艶領域とその周囲との艶差のコントラストを調整するため、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、又は塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体などを混合することができる。
絵柄インキ層6を形成する熱可塑性樹脂組成物は着色層3に用いるインキ組成物と同様に、着色剤を含有し、それ自体でも絵柄模様を与えることができるが、化粧シート1cが絵柄層3Bを有する場合には、既に基材2に対して色彩や模様を与えているので、絵柄インキ層6を形成するための熱可塑性樹脂組成物には、必ずしも着色剤を添加する必要はない。
図3の化粧シート1cのように絵柄層3Bを有する場合には、絵柄層3Bが表現しようとする模様のうち、艶を消して、視覚的に凹部を表現したい部分と絵柄インキ層6とを(絵柄インキ層6を絵柄インキ層6Bのように設けて)、同調させることによって艶差による視覚的凹部を有する模様を得ることができる。例えば、絵柄層3Bによって木目模様を表現しようとする場合には、木目の導管部分に絵柄インキ層6形成する模様を同調させることにより、艶差により導管部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。あるいは着色層3によって、タイル貼模様を表現しようとする場合には、タイル貼の目地溝部分に絵柄インキ層6で形成する模様を同調させることにより、艶差によって、目地溝部分が視覚的に凹部となった模様が得られる。
絵柄インキ層6は、例えば絵柄インキ層6Bのように絵柄層3Bと同調させるように設けてもよいし、絵柄インキ層6Aのように絵柄層3Bと同調させないで設けてもよく、所望の絵柄に応じて適宜選択すればよい。
絵柄インキ層6の厚さは、絵柄インキ層6を形成する熱可塑性樹脂組成物の塗工量として通常0.1〜15g/m2(固形分基準)であることが好ましい。上記塗工量が0.1g/m2以上であると、熱可塑性樹脂組成物と電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用が起こり、低光沢領域が得られるので、艶差による優れた凹凸感が得られる。一方、上記塗工量が15g/m2以下であると、熱可塑性樹脂組成物の塗布に際して機械的制約がなく、また経済的にも有利である。
本発明では、絵柄インキ層6を形成する熱可塑性樹脂組成物の塗布量(絵柄インキ層6の厚さ)を変化させることによって、化粧材表面の艶差が段階的に変化する階調模様、または化粧材表面の艶差が連続的に変化する連続模様など、自由自在に与えることができる。例えば、表面保護層4の最表面における、絵柄インキ層6(低艶模様層7)の上部は、絵柄インキ層6の形成に伴って隆起し、凸形状8を形成することができる。また、図3に示されるように、絵柄インキ層6を絵柄インキ層6Aのように厚く設けると、その直上部及び近傍に形成する低艶模様層7A及び凸形状8Aの隆起は、絵柄インキ層6Bに起因する低艶模様層7B及び凸形状8Bの隆起よりも著しいものとすることができる。
表面保護層4の表面がこのように凸形状8を有することによって、この部分で光が散乱され、表面積が増加し、かつ低艶が認識できる視野角も広がるため、上記低艶模様層7の効果と協調してさらに視覚的な凹凸感が強調され、また物理的に凸形状であるにも関わらず、視覚的に凹部として認識されるという特異な意匠感が得られる。
また、絵柄インキ層6を形成する熱可塑性樹脂組成物は、より艶差を生じさせて意匠性を向上させる観点から、体質顔料を含むことが好ましい。体質顔料としては、特に限定されず、シリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられるが、吸油量、粒径、細孔容積などの材料設計の自由度が高く、意匠性、インキとしての塗工安定性に優れていることから、シリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。
体質顔料の吸油量(JIS K 5101−13−1:2004に準拠する)は、150〜350ml/100gであることが好ましく、150〜300ml/100gであることがより好ましい。体質顔料の吸油量が150ml/100g以上であると、表面保護層4/絵柄インキ層6のグロス値が高くなりすぎないため、表面保護層4のみの部分と表面保護層4/絵柄インキ層6の部分との艶差が大きくなるので、高い意匠性を発揮しやすくなる。一方、体質顔料の吸油量が350ml/100g以下であると、表面保護層4/絵柄インキ層6のグロス値を低くする性能を効果的に利用することができる。また、チクソ性の上昇が抑制されるので、熱可塑性樹脂組成物の塗布適性が損なわれることがなく、高意匠性を有する印刷が容易になる。
絵柄インキ層6を形成する熱可塑性樹脂組成物中の体質顔料の含有量は、体質顔料/樹脂の質量比(P/V比)として0.2〜1.5であることが好ましい。P/V比が0.2以上であると、高い意匠性を発揮しやすく、1.5以下であると、熱可塑性樹脂組成物の柔軟性を損なうことがなく、成形時に表面保護層4にクラックが生じにくくなるからである。これと同様の観点から、P/V比は0.2〜1.2であることが好ましい。
絵柄インキ層6に用いられる体質顔料の平均粒径は、0.1〜7μmであることが好ましい。0.1μm以上であるとインキに添加した際に熱可塑性樹脂組成物のチクソ性が極端に高くならず、また熱可塑性樹脂組成物の粘性が上がりすぎず印刷のコントロールがしやすい。また、導管模様部分の艶消しを表現しようとした場合、絵柄インキ層6の好適な厚さが10μm以下であるので、シリカの平均粒径が絵柄インキ層6の厚さ以下であれば粒子の頭だしが比較的抑えられ目立たなくなり、視覚的な違和感がおこりにくくなるからである。
(凹凸形状)
図3の化粧シート1cには、凹凸感の意匠性の向上を図る観点から、さらに凹凸形状を付与することもできる。例えば、上記の絵柄インキ層6を設けることで、低艶模様層7が発生することによる視覚的な凹凸感や凸形状8と、凹凸形状との相乗効果により、これまで得られなかったような、質感に優れた木目模様等を表現することが可能である。
化粧シートにさらに凹凸形状を付与する方法としては、特に制限はないが、例えば、エンボス版や賦型シートを用いたエンボス加工、あるいは凹凸模様を有する層を具備する転写シートを用いて、表面に凹凸模様を有する層を転写して凹凸模様を付与する方法などが挙げられる。本発明においては、より低艶感を表現する観点から、エンボス版を用いたエンボス加工が好ましい。
凹凸形状の模様形状としては、木目導管模様、石板表面凹凸、布表面テクスチュア、梨地、砂目、ヘアライン、万線条溝などが好ましく挙げられる。絵柄インキ層6との相乗効果を考慮すると、木目導管模様、ヘアライン、万線条溝がより好ましく、特に木目導管模様が好ましい。
本発明の方法により得られる化粧シートは、建築内部の仕上げ材、取り付け材などの造作材、あるいは建具に用いられ、とりわけ、高温、高湿度環境下で用いられるような用途、例えばキッチン、浴室などの部材として好適に用いられる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
(評価方法)
(1)粘度測定
電離放射線硬化性樹脂組成物の40℃及び25℃における粘度は、EH型粘度計(東機産業株式会社製、型番:TVE−30H型)を用いて測定した。また、回転数5rpmの粘度測定値と、回転数50rpmの粘度測定値との比から、各温度におけるTI値を求めた。
(2)90度テープ剥離強度
各実施例、比較例で得られた図1の化粧シート1aの表面にセロファンテープ(ニチバン(株)製のセロファン粘着テープ、「セロテープ(登録商標)」25mm幅)を貼着させ、その後剥離試験機(IMASS製、型番:SP−102C−3M90型)にてテープの剥離強度(剥離角度90度)を測定し、以下の判定基準で評価した。
◎ 40〜65
○ 65〜100
△ 100〜140
× 140以上
(3)耐汚染性
油性マジックインキを、各実施例、比較例で得られた図1の化粧シート1aの表面に塗布し、乾拭きした後のマジックインキの残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ マジックインキの残存は全くない
○ マジックインキの残存はあるものの軽微なもので実用上問題がない
△ マジックインキの残存が認められる
× マジックインキの残存が著しい
実施例1
<化粧シート(単色シート)1aの製造>
基材2として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して単色の着色層3を形成した。
着色層3の上に、表1に示す組成の電離放射線硬化性樹脂組成物(電子線硬化性樹脂組成物)を塗工量4g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗布した。塗布後、加速電圧125kV、照射線量30kGyの電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層4とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、図1に示す単色の化粧シート1aを得た。
化粧シート1aの意匠性を目視にて観察し、判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 均一な面状態でムラがない
○ 角度によってムラが見える
△ 軽微なムラが見える
× 明らかなムラが見える
<化粧シート(絵柄シート)1bの製造>
基材2として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて(全面ベタ)層をグラビア印刷にて施して着色ベタ層3Aとした。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層3Bをグラビア印刷にて形成した。
次いで、数平均分子量20,000、ガラス転移温度(Tg)−59.8℃のポリエステルウレタン系樹脂とトリレンジイソシアネートからなるポリイソシアネートをバインダーとする塗料組成物を用いて、全面にグラビア印刷して浸透防止層5を形成した。
浸透防止層5の上に、表1に示す組成の電子線硬化性樹脂組成物を塗工量4g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗布した。塗布後、加速電圧125kV、照射線量30kGyの電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層4とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、図2に示す、絵柄を有する化粧シート1bを得た。
化粧シート1bの意匠性を目視にて観察し、判定基準を以下のようにして評価した。
◎ 均一な面状態でムラがない
○ 角度によってムラが見える
△ 軽微なムラが見える
× 明らかなムラが見える
<化粧シート(同調絵柄シート)1cの製造>
浸透防止層5の形成までは、前記化粧シート1bと同様の方法で行った。
次に、数平均分子量30,000、ガラス転移温度(Tg)−62.8℃のポリエステルウレタン系樹脂をバインダーとした透明インキ100質量部に対して、平均粒子径1.5μmのシリカ粒子を10質量部配合したインキ組成物を用いて、木目模様の導管部分に位置同調するようにグラビア印刷にて絵柄インキ層6を形成した。
これら絵柄インキ層の上に、表1に示す組成の電子線硬化性樹脂組成物を塗工量5g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗布した。塗布後、加速電圧175kV、照射線量50kGyの電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面保護層4とした。次いで、70℃で24時間の養生を行い、図3に示す、同調した絵柄を有する化粧シート1cを得た。
化粧シート1cの意匠性を目視にて観察し、判定基準を以下のようにして評価した。
◎ ムラのない均一な面状態で同調効果がある
○ 角度によってムラが見えるが同調効果はある
△ 軽微なムラが見え、同調効果もやや弱い
× 明らかなムラが見え、同調効果が弱い
また、上記化粧シート1aについて、90度テープ剥離強度及び耐汚染性を評価した。結果を表1に示す。
実施例2〜5、比較例1〜2
実施例1において、表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物として表1に示す組成のものを用いた以外、実施例1と同様にして化粧シートを得た。得られた化粧シートについて、上記の評価を行った。評価結果を表1に示す。なお実施例4については、同一の組成で製品ロットが異なる電離放射線硬化性樹脂組成物を3ロット調製し、各々を用いて化粧シートを作製し、評価を行った(実施例4−1、4−2及び4−3)。
Figure 0006036490
表1に示す各成分は下記のとおりである。
電離放射線硬化性樹脂:4官能アクリレートと2官能アクリレートとの混合樹脂
熱可塑性樹脂:熱可塑性アクリル樹脂
シリカ粒子(1):粒径100〜500nm未満のシリカ粒子
シリカ粒子(2):粒径500〜999nmのシリカ粒子
レベリング剤:シリコーン系レベリング剤
離型剤:シリコーンメタクリレート
艶消剤:表面処理シリカ(平均粒径5μm)
耐傷フィラー(1):天然(鱗片状)カオリン(平均粒径1.5μm、モース硬度7)
耐傷フィラー(2):合成(球状)シリカ粒子(平均粒径3μm、モース硬度7)
表1に示すとおり、本発明の製造方法により得られた化粧シートは、単色、絵柄、及び同調絵柄シートのいずれにおいても意匠性に優れ、また、90度テープ剥離強度、耐汚染性も良好であった。
これに対し、比較例1で用いた電離放射線硬化性樹脂組成物は、40℃における粘度及びTI値のいずれも本発明の範囲を下回るため、単色及び絵柄シートの製造において意匠性が低下し、90度テープ剥離強度にも劣るものであった。また、比較例2で用いた電離放射線硬化性樹脂組成物は、40℃における粘度及びTI値のいずれも本発明の範囲を上回るため塗布性が低く、その結果意匠性も低下し、化粧シートの製造には適さないものであった。
本発明の化粧シートの製造方法によれば、化粧シートに剥離強度や耐汚染性などの表面保護特性を付与しつつ、各種化粧シートの表面保護層を共通の電離放射線硬化性樹脂組成物を用いて形成することが可能である。そのため、化粧シートの種類に応じて異なる電離放射線硬化性樹脂組成物を用いる必要がなく、生産性及び経済性に優れる。該化粧シートは、建築内部の仕上げ材、取り付け材などの造作材、あるいは建具に用いられ、とりわけ、高温、高湿度環境下で用いられるような用途、例えばキッチン、浴室などの部材として好適に用いられる。
1 化粧シート
2 基材
3 着色層
3A 着色ベタ層
3B 絵柄層
4 表面保護層
5 浸透防止層
6 絵柄インキ層
7 低艶模様層
8 凸形状

Claims (9)

  1. 基材上に少なくとも、着色層と、表面保護層とを順に有する化粧シートの製造方法であって、基材上に着色層を形成した後、表面保護層形成用の電離放射線硬化性樹脂組成物を塗布して未硬化樹脂層を形成し、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させて表面保護層を形成する工程を含み、該電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計により測定される粘度が、40℃、回転数5rpmにおいて500〜850mPa・sでありかつ40℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)が1.2〜3.0である、化粧シートの製造方法。
  2. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物のE型粘度計により測定される粘度が、25℃、回転数5rpmにおいて850〜1450mPa・sでありかつ25℃におけるTI値(回転数5rpmにおける粘度/回転数50rpmにおける粘度)が1.1〜2.0である、請求項1に記載の化粧シートの製造方法。
  3. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂が、多官能(メタ)アクリレートモノマーである、請求項1又は2に記載の化粧シートの製造方法。
  4. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し粒径2μm未満のシリカ粒子を1〜10質量部含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  5. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対し熱可塑性樹脂を1〜10質量部含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  6. 前記熱可塑性樹脂がアクリル樹脂である、請求項5に記載の化粧シートの製造方法。
  7. 前記電離放射線硬化性樹脂組成物が、耐傷性フィラーを含有する、請求項1〜6のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  8. 前記着色層と前記表面保護層との間に、更に部分的に設けられた絵柄インキ層を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の化粧シートの製造方法。
  9. 前記絵柄インキ層が熱可塑性樹脂組成物により構成されるものである、請求項8に記載の化粧シートの製造方法。
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