JP4900000B2 - 鏡面化粧シート及びこれを用いた化粧板 - Google Patents
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このような問題を解決するために、特許文献1で開示されるような構成を有する化粧シートに、さらに電子線硬化型樹脂からなる干渉防止層を設け、干渉縞がシート表面に映らないようにすることを目的とした化粧シートが提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、当該化粧シートは、干渉縞防止性能、及び指紋痕が付着しにくくし、指紋痕がついた場合であっても、これを拭き取り易くさせるという指紋拭取り性の点で一定の効果を有しているが、耐汚染性(油性マジック拭取り性)の点で十分とはいえなかった。このように、鏡面仕上げである化粧シートにおいて、鏡面性、指紋拭取り性、及び耐汚染性(油性マジック拭取り性)という、相反する性能を高いレベルで有する化粧シートのさらなる改良が望まれていた。
(1)基材上に少なくとも、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層を有し、該表面保護層の表面の接触角が80〜95°であり、かつ滑り角が20〜35°である鏡面化粧シート、
(2)表面保護層の表面の接触角が85〜95°であり、かつ滑り角が20〜30°である上記(1)に記載の鏡面化粧シート、及び
(3)上記(1)又は(2)に記載の鏡面化粧シートと基板とが接着剤層を介して接合されてなる化粧板、
を提供するものである。
本発明の鏡面化粧シートの構造について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の鏡面化粧シート1の断面を示す模式図である。図1に示す例は、基材2上にベタ着色層31と絵柄層32とからなる着色層3、接着層4、透明樹脂層5、及び表面保護層6がこの順に積層されたものである。
本発明で用いられる基材2は、化粧シートの基材として用いられるものであれば特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法等が挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法等が挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性等の面から好ましく用いられる。
また、該基材は基材と各層との層間密着性の強化等を目的として、プライマー層を形成する等の処理を施してもよい。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装等に用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維等の合成樹脂繊維が挙げられる。
基材2としては、プラスチックフィルム又はプラスチックシートが好ましく、これらの中から単独で、又は2種以上を選んで混合物として用いることができるが、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、なかでも製造後の化粧シートを焼却廃棄処分にする際に有毒な塩素系ガスが発生しないこと、コスト等の観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、特に着色されたポリオレフィン樹脂が特に好ましい。着色されたポリオレフィン樹脂を用いることで、化粧シートの表面に形成される絵柄層の色調の安定性を確保することができ、化粧シート貼り付けられる被着基板の表面色相がばらついている場合に、ばらついた表面の色相を良好に隠蔽することができる。
なお、基材2には、必要に応じてその他の各種添加剤、例えば、充填剤、発泡剤、難燃剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が配合されていてもよい。
基材2の厚さについては特に制限はないが、プラスチックを素材とするシートを用いる場合には、厚さは、通常20〜500μm程度、好ましくは20〜150μm、より好ましくは30〜100μmの範囲であり、紙基材を用いる場合には、坪量は、通常20〜150g/m2程度、好ましくは30〜100g/m2の範囲である。
着色層3は、本発明の化粧シートに意匠を与えるものであり、ベタ着色層31及び/又は絵柄着色層32からなることが好ましい。ベタ着色層31は、基材2の地肌の隠蔽等の目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。一方、絵柄着色層32は、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせ等により、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、天然皮革の表面柄、幾何学図形、抽象柄等からなる模様ないし色彩を有し、ベタ着色層31上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。なお、絵柄着色層32がベタ着色層31の作用を兼ねる場合もあり、ベタ着色層31のみ、または絵柄着色層32のみから着色層3が構成されることもある。
着色剤としては、特に制限なく、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が挙げられる。
この着色層3の厚さは、通常1〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
接着層4は、着色層3と後述する透明樹脂層5との間に設けられ、着色層3が形成された基材2と透明樹脂層5との密着性を向上させるプライマ層又はアンカー層としての役割を有する層である。耐久性や長期にわたる外観維持性を向上させる観点から、本発明の鏡面化粧シートは、接着層4を有することが好ましい。
樹脂組成物としては、ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂等が挙げられる。このうち、ウレタン系樹脂が好ましく用いられる。ウレタン系樹脂を用いることにより、より強力な接着強度が得られ、可撓性に優れた化粧シートが提供できる。ここで、ウレタン系樹脂は、ポリオール(多価アルコール)を主剤とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするポリウレタンである。
接着層4は、乾燥後の塗工量が0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2程度になるように塗工される。
透明樹脂層5は、擦り傷等からの着色層3の保護、化粧シートの表面強度向上、及び塗装感の付与等の観点から、接着層4の上に積層される層であり、本発明の鏡面化粧シートにおいて、好ましく設けられる。
透明樹脂層5を形成する樹脂としては、上述した接着層4を介して着色層3上に密着よく形成される透明な樹脂であれば特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂が好ましく挙げられる。
表面保護層6は、本発明の鏡面化粧シートに優れた鏡面性と指紋拭取り性、ならびに干渉縞防止性能、耐摩擦性、耐擦傷性、耐汚染性、及び耐薬品性を付与するために設けられる層である。
表面保護層6は、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなり、その表面の接触角は80〜95°であり、かつ滑り角が20〜35°であることを要し、接触角は85〜95°であり、かつ滑り角が20〜30°であることが好ましい。表面保護層6の接触角及び滑り角が上記の範囲内にあれば、特に指紋拭取り性及び耐汚染性が良好となる。ここで、接触角は、接触角測定機(協和界面科学製 接触角計CA−X型)を用いて測定したJIS R 3257で規定される接触角(測定水温25℃)であり、スベリ試験機(東洋精機製、フリクションテスターAN型(スリップアングルタイプ))を用いて測定される角度である。滑り角は、数字(滑り角)が大きいほどすべりにくいことを示し、数字が小さいほどすべりやすいことを示す。
表面保護層6は、電離放射線硬化性樹脂成物が架橋硬化してなる層である。ここで、電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性樹脂、溶媒その他の必要に応じて添加される成分、及び各種添加剤からなるものであり、例えば、電離放射線硬化性樹脂が後述する電子線硬化性樹脂である場合は、電子線硬化性樹脂組成物という。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を2個以上有する(メタ)アクリレートであればよく、特に制限はない。具体的にはエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤等を用いることができる。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性樹脂との相乗効果により、主に本発明の鏡面化粧シートに鏡面性、指紋拭取り性、及び耐汚染性等の表面物性を付与する目的で添加されるものである。
シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、または片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、シリカ微粒子を含有することが好ましい。このシリカ微粒子は、特に上述したシリコーン(メタ)アクリレートとの併用により、指紋痕が付着しにくくし、指紋痕がついた場合であっても、これを拭き取り易くさせるという優れた指紋拭取り性を付与することができる。
このようなシリカ微粒子としては、干渉防止形状を十分に発生させる観点から、コロイダルシリカを好ましく挙げることができる。また、コロイダルシリカは、添加量を多くしても透明性に影響を及ぼしにくく、流動性も損なわないことから、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工性に与える影響も少ない点からも好ましい。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、干渉縞防止性能の向上、及び塗工性等の観点から、溶媒を含有することができる。
溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等の非水溶性有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコール等の水溶性有機溶剤、水、またはこれらの混合溶剤等の、接着層で用いられるものと同様のものを用いることができる。なかでも、干渉縞防止性能の向上の観点から、メチルエチルケトンのような速い乾燥速度を有する溶媒を好ましく用いることができる。また、表面保護層6の形成条件(乾燥温度、乾燥時間等)によっては、メチルイソブチルケトンのような比較的遅い乾燥速度を有する溶媒が好適となる場合もある。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶媒の量は、干渉縞防止性能の向上の観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物が固形分基準で65〜85質量%となるような量が好ましく、70〜80質量%がより好ましい。
また、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤が配合される。添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤等が挙げられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
本発明においては、前記の硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマー等の硬化性樹脂、必要に応じて添加される成分、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層(表面賦型層)が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと未硬化樹脂層の厚みとが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
本発明の化粧板は、上述した本発明の鏡面化粧シートと基板とを接着剤層を介して接合されてなる。
本発明の樹脂化粧板の基板は、特に限定されず、プラスチックフィルム、プラスチックシート金属板、木材等の木質系の板、窯業系素材等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法等の物理的又は化学的表面処理を施すことができる。上記酸化法及び凹凸化法は、本発明の鏡面化粧シートの基材におけるものと同様である。
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅等からなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっき等によって施したものを使用することもできる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等の各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板等の窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基板として使用できる。
接着剤層は、基板と鏡面化粧シートとを接着するために設けられる層である。
接着剤層に用いられる接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤は、尿素系、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を用いることができ、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
(評価方法)
各実施例で得られた鏡面化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)接触角の測定
接触角測定機(協和界面科学製 接触角計CA−X型)を用いて測定したJIS R 3257で規定される接触角(測定水温25℃)を測定した。
(2)滑り角の測定
スベリ試験機(東洋精機製、フリクションテスターAN型(スリップアングルタイプ))を用いて測定した。
(3)鏡面性の評価
蛍光灯(ナショナルパルック(商標)3波長型昼白色)を用い、該蛍光灯の化粧シート表面上への映り込み像の状態を目視により下記の基準で評価した。
○ :像の荒れはほとんど確認できない
△ :多少の像の荒れは確認されるが、問題ない
× :像の荒れが著しい
(4)指紋拭取り性
各実施例及び比較例で得られた化粧シート表面に指紋を付着させて、市販されるガーゼを用いて荷重200g/cm2にて拭取りを行い、指紋が完全に拭取れるまで要したガーゼの往復回数を指紋拭取り性とした。該往復回数は、5回以内で合格とした。
(5)油性マジック拭取り性
各実施例及び比較例で得られた化粧シートの表面に油性マジックインキで筆記した後、3分後にガーゼでふき取りを行い、化粧シートの表面を目視により下記の基準で評価した。
○ インキの跡が全くない
△ インキの跡はあるものの軽微なもので実用上問題がない
× インキの跡の残りが著しい
(6)干渉縞低減性能の評価
蛍光灯(ナショナルパルック(商標)3波長型昼白色)を用い、表面に虹色の干渉縞が発生するか否かを目視により下記の基準で評価した。
○ :ほとんど干渉縞が確認できない
△ :多少の干渉縞が確認されるが、問題ない
× :干渉縞が顕著に確認される
基材2として、酸化チタンにより着色されたポリプロピレン系樹脂からなる厚さ80μmのポリオレフィン系樹脂シート(三菱化学MKV株式会社製、品名:PPフィルム)を用い、この基材上にウレタン系樹脂を主体とし、着色顔料として酸化チタンを含有するインキ(株式会社 昭和インク工業所製、品名:Pタイプ)をグラビア印刷することにより乾燥後の塗工量が2g/m2となるようにベタ着色層31を形成し、さらにウレタン系樹脂を主体として、一般的な有機顔料(フタロシアニンブルー等)を含有するインキ(株式会社 昭和インク工業所製、品名:Tタイプ)をグラビア印刷することにより乾燥後の塗工量が2g/m2となるように木目柄の絵柄着色層32を形成した。
次いで、2液硬化型のポリエステルポリオールタイプの接着剤を75℃に加温した状態で、ロールコート法により塗工し、5g/m2の接着層4を形成した後、透明樹脂層5として、ポリエステル樹脂を主体とするPETフィルム(東レ株式会社製、品名:ルミラー、厚み:75μm)を上記接着層4の上にラミネートして透明樹脂層5を形成した。その後、40℃で3日間養生して上記接着層4を硬化させた。
電子線硬化性アクリレート樹脂及び多官能モノマーを主体とする電子線硬化性樹脂100質量部(ザ・インクテック株式会社製、品名:KDタイプ)に、シリコーンアクリレート1.0質量部(官能基当量約500)、シリカ微粒子としてコロイダルシリカ20質量部(日産化学工業(株)製、品名:MEK−ST、粒子径:10〜20nm、固形分として6質量部)、及び固形分基準で80%となるように溶媒としてメチルエチルケトンを20質量部加えてなる電子線硬化性樹脂組成物をグラビア印刷することにより乾燥後の厚さが3μmとなるように透明樹脂層5上に塗工した後、電子線を175keV、30kGy(3Mrad)の条件で照射して塗膜を架橋硬化させ、さらに45℃で45秒間乾燥させて表面保護層6を形成し、図1に示すような実施例1の鏡面化粧シートを作製した。
得られた鏡面化粧シートの評価結果を第1表に示す。
電離放射線硬化性樹脂へのシリコーン(メタ)アクリレート、及びシリカ微粒子の添加量を第1表に示されるものとする以外は、実施例1と同様にして鏡面化粧シートを作製した。
得られた鏡面化粧シートの評価結果を第1表に示す。
2.基材
3.着色層
31.ベタ着色層
32.絵柄層
4.接着層
5.透明樹脂層
6.表面保護層
Claims (2)
- 基材上に少なくとも、電離放射線硬化性樹脂、シリコーン(メタ)アクリレート、溶媒及びシリカ微粒子を含有する電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層を有し、該表面保護層の表面
のJIS R 3257で規定される接触角(測定水温25℃)が80〜95°であり、かつ滑り角が20〜30°である鏡面化粧シートの製造方法であって、
該シリコーン(メタ)アクリレートの添加量が電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.75〜1.75質量部であり、
該電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶媒の量が固形分基準で65〜85質量%となる量であり、
該シリカ微粒子が平均粒径5〜100nmのコロイダルシリカであり、その添加量が該電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して固形分として1〜10質量部であり、
該基材上に該電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工して未硬化樹脂層を形成し、該未硬化樹脂層に電離放射線を照射して硬化させて、20〜55℃の温度で10〜120秒間で乾燥させて表面保護層を形成することを特徴とする鏡面化粧シートの製造方法。 - 表面保護層の表面のJIS R 3257で規定される接触角(測定水温25℃)が85〜95°であり、かつ滑り角が20〜30°である請求項1に記載の鏡面化粧シートの製造方法。
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