JP5803072B2 - 鏡面化粧シート及びこれを用いた化粧板 - Google Patents
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Description
該ポリエステル樹脂層の厚さが40〜110μmであり、かつ該熱可塑性樹脂基材層と該ポリエステル樹脂層との合計厚さが100〜220μmであり、
下記測定方法により測定される該表面保護層の塗膜伸び率が10〜30%であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物を構成する電離放射線硬化性樹脂がウレタン(メタ)アクリレート系樹脂であり、かつ該樹脂が多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを少なくとも含むものである鏡面化粧シート。
(塗膜伸び率の測定)ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm)上に、乾燥後の厚さが5μmとなるように電離放射線硬化性樹脂をグラビア印刷し、電子線を照射して(加圧電圧:175kV,照射線量:30kGy)架橋硬化して製膜したシートについて、JIS K7113−1995に準拠して、塗膜伸び率を測定した(2号試験片を使用,試験温度;23℃,試験速度:50mm/min±10%)。
2.電離放射線硬化性樹脂に含まれる多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が、50質量%以上である上記1に記載の鏡面化粧シート。
3.ポリエステル樹脂層が、その接着層側にポリエステル樹脂易接着層を有する上記1又は2に記載の鏡面化粧シート。
4.接着層が、ポリエステル樹脂系接着剤を用いてなるものである上記1〜3のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
5.ポリエステル樹脂層が、その表面保護層側にアクリル樹脂易接着層を有する上記1〜4のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
6.ポリエステル樹脂層が、透明の二軸延伸ポリエステル樹脂からなるものである上記1〜5のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
7.熱可塑性樹脂基材層の厚さが、10〜150μmである上記1〜6のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
8.電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である上記1〜7のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
9.曲げ加工、Vカット加工、またはラッピング加工に用いられる上記1〜8のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
10.上記1〜9のいずれかに記載の鏡面化粧シートと基板とが接着剤を介して接合されてなる化粧板。
本発明の鏡面化粧シートの好ましい構造の一例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の鏡面化粧シートの好ましい態様の一例の断面を示す模式図である。図1に示す例は、熱可塑性樹脂基材層2上にベタ着色層31と絵柄着色層32とからなる絵柄層3、接着層4、ポリエステル樹脂層5、及び表面保護層6がこの順に積層されたものであり、ポリエステル樹脂層5はその接着層側に易接着層a51を有し、かつ表面保護層側に易接着層b52を有している。
本発明で用いられる熱可塑性樹脂基材層2は、熱可塑性樹脂からなる基材層である。基材層を形成する熱可塑性樹脂としては、低密度ポリエチレン樹脂(線状低密度ポリエチレン樹脂を含む)、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、エチレンαオレフィン共重合体、ポリプロピレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリブテン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマーあるいは、これらの混合物などのポリオレフィン樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、あるいはこれらの混合物などのビニル系樹脂;ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマーなどのポリエステル樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸メチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エチル樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル樹脂などのアクリル樹脂;ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド樹脂;三酢酸セルロース樹脂、セロファンなどのセルロース系樹脂;ポリスチレン樹脂;又はポリイミド樹脂などが挙げられる。
これらのなかから単独で、又は2種以上を選んで混合物として用いることができるが、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂が好ましく、なかでも製造後の化粧シートを焼却廃棄処分にする際に有毒な塩素系ガスが発生しないこと、コストなどの観点から、ポリオレフィン樹脂がより好ましく、ポリオレフィン樹脂のなかでもポリエチレン樹脂あるいはポリプロピレン樹脂が好ましい。
このような目的で用いられる着色剤は、用途に応じて適宜選択すればよく、例えば、基材2を有色透明や、有色不透明に着色することができる。一般的には被着体の表面を隠蔽することが必要であるため、有色不透明とすることが好ましい。着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが用いられる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また、該基材は基材と各層との層間密着性の強化などを目的として、プライマー層を形成するなどの処理を施してもよい。
着色層3は、本発明の化粧シートに意匠を与えるものであり、ベタ着色層31及び/又は絵柄着色層32からなることが好ましい。ベタ着色層31は、基材2の地肌の隠蔽などの目的で設けられ、通常は模様のない全ベタ状の着色層として形成される。一方、絵柄着色層32は、図形、文字、記号、色彩、それらの組み合わせなどにより、木目模様、石目模様、布目模様、皮絞模様、天然皮革の表面柄、幾何学図形、抽象柄などからなる模様ないし色彩を有し、ベタ着色層31上に、平面状、凹凸状、凸状の層として形成される。なお、絵柄着色層32がベタ着色層31の作用を兼ねる場合もあり、ベタ着色層31のみ、または絵柄着色層32のみから着色層3が構成されることもある。
着色剤としては、特に制限なく、例えば、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルーなどの無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルーなどの有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮などの鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛などの鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料などが挙げられる。
この着色層3の厚さは、通常1〜20μm程度であり、1〜10μmが好ましい。
接着層4は、着色層3と後述するポリエステル樹脂層5の易接着層51aとの間に設けられる層であり、接着層4は、樹脂組成物、溶媒、及びその他の添加剤からなる接着塗工剤により形成される。
樹脂組成物としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系樹脂などが挙げられる。このうち、ポリエステル樹脂が好ましく用いられる。樹脂組成物としてポリエステル樹脂を採用することで、熱可塑性樹脂基材層とポリエステル樹脂層との接着強度が向上し、本発明の鏡面化粧シートの薄膜化を可能とすることができる。樹脂組成物として好ましく採用されるポリエステル樹脂としては、多価カルボン酸及びアルコール成分の各々少なくとも一種を反応させたものが好ましく挙げられる。
硬化剤の使用量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、1~30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。
また、弾性率は、−0.8〜4MPaの範囲であることが好ましく、1〜3MPaであることがより好ましい。ここで、弾性率は、JIS K6732に準拠し、100%以上の伸びを与えたときの応力を測定した値である。
接着層4は、乾燥後の塗工量が0.1〜20g/m2、好ましくは1〜10g/m2程度になるように塗工される。
ポリエステル樹脂層5は、擦り傷などからの着色層3の保護、化粧シートの表面強度向上、及び塗装感の付与などの観点から、接着層4の上に積層される層である。ポリエステル樹脂層5を形成するポリエステル樹脂は、製造後の化粧シートを焼却廃棄処分する際に発生する有機ガスの安全性が高いという環境の面でも優位である。
また、ポリエステル樹脂層5を形成するポリエステル樹脂は、無延伸でも延伸されたものでもよいが、寸法安定性、強度や結晶性、あるいは耐溶剤性などの表面物性を向上させる観点から二軸延伸されたものが好ましい。また、本発明においては鏡面性が重要となるため、化粧シートに優れた鏡面性を付与する観点からも、延伸配向により結晶化した、二軸延伸されたものが好ましい。
また、ポリエステル樹脂層5を形成するポリエステル樹脂の加熱収縮率は、0〜5%が好ましく、より好ましくは0〜3%である。ここで、加熱収縮率は、JIS C2318に準拠して測定した値である。加熱収縮率が上記範囲内であると、優れた表面物性が得られる。
また、熱可塑性樹脂基材層2とポリエステル樹脂層5との合計厚さは、100〜220μmであることを要し、好ましくは100〜180μmであり、より好ましくは110〜160μmであり、さらに好ましくは120〜140μmである。熱可塑性樹脂基材層2とポリエステル樹脂層5との合計厚さが上記範囲内であれば、優れた加工特性が得られ、かつ加工した際にシート表面にクラックなどが発生せず、優れた外観を有する化粧板を得ることができる。
易接着層aは、ポリエステル樹脂層5の接着層側に設けられる易接着層であり、接着層4との接着強度を高め、本発明の鏡面化粧シートに優れた加工特性を付与するために好ましく設けられる層である。
易接着層aの形成に用いられる樹脂としては、ポリエステル樹脂が好ましく挙げられ、該ポリエステル樹脂は、接着層4に用いられるポリエステル樹脂として例示したものと同様のものを採用することができる。易接着層aに用いるポリエステル樹脂としては、少なくとも二種以上のポリエステル樹脂を組み合わせたものが好ましく、ガラス転移点(Tg)が異なる二種のポリエステル樹脂、より具体的には、110℃以上、好ましくは120℃以上の高いガラス転移点(Tg)を有するポリエステル樹脂Iと、60℃以上110℃未満、好ましくは65〜100℃、より好ましくは70〜90℃の低いガラス転移点(Tg)を有するポリエステル樹脂IIとを組み合わせることが好ましい。
易接着層bは、ポリエステル樹脂層5の表面保護層側に設けられる易接着層であり、表面保護層6との接着強度を高め、本発明の鏡面化粧シートに優れた加工特性を付与するために好ましく設けられる層である。
易接着層bを形成する樹脂としてはアクリル樹脂が挙げられ、アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレートなどの単官能性(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、メトキシ(メタ)アクリルアミド、エトキシ(メタ)アクリルアミド、フェニル(メタ)アクリルアミドなどの窒素含有(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有(メタ)アクリレートなどから選ばれる一種以上を重合して得られる単独重合体か共重合体が好ましく挙げられる。
また、易接着層bには、接着強度を高め、本発明の鏡面化粧シートに優れた加工特性を付与する観点から、硬化剤を用いることができる。硬化剤としては、接着層4で採用されるものとして例示した硬化剤が好ましく挙げられる。硬化剤の使用量は、ポリエステル樹脂100質量部に対して、70〜150質量部が好ましく、100〜150質量部がより好ましい。
表面保護層6は、本発明の鏡面化粧シートに優れた鏡面性と同時に、耐摩擦性、耐擦傷性、耐汚染性、及び耐薬品性などの表面特性を付与するために設けられる層である。
表面保護層6は、その塗膜伸び率が10〜30%であることを要し、10〜25%であることが好ましい。塗膜伸び率が10%未満であると、加工特性が低下し、30%よりも大きいと表面特性の低下を招いてしまう。ここで、該塗膜伸び率は、ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm)上に、乾燥後の厚さが5μmとなるように電離放射線硬化性樹脂をグラビア印刷し、電子線を照射して(加圧電圧:175kV,照射線量:30kGy)架橋硬化して製膜したシートについて、JIS K7113−1995に準拠して、測定した伸び率である(2号試験片を使用,試験温度;23℃,試験速度:50mm/min±10%)。表面保護層6は、所定の伸び率を有することで、本発明の鏡面化粧シートに優れた加工特性を付与することができる。
電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線又は電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂をいう。本発明においては電離放射線硬化性樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレート系樹脂であり、かつ該樹脂が多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを少なくとも含むものが用いられる。
本発明において、多官能性は官能基数が2以上であることを示し、好ましい官能基数は、2〜8であり、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。官能基数が上記範囲内であると、優れた鏡面性と表面特性とを有し、かつ優れた加工特性が得られる。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、シリコーン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。シリコーン(メタ)アクリレートは、電離放射線硬化性樹脂との相乗効果により、主に本発明の鏡面化粧シートに鏡面性、及び耐汚染性などの表面物性を付与する目的で添加されるものである。
シリコーン(メタ)アクリレートは、ポリシロキサンからなるシリコーンオイルのうち、または片方乃至両方の末端に(メタ)アクリル基を導入した変性シリコーンオイルの中の一つである。シリコーン(メタ)アクリレートとしては、従来公知のものが使用でき、有機基が(メタ)アクリル基であれば特に限定されず、該有機基を1〜6つ有する変性シリコーンオイルを好ましく用いることができる。また、変性シリコーンオイルの構造は、置換される有機基の結合位置によって、側鎖型、両末端型、片末端型、側鎖両末端型に大別されるが、有機基の結合位置には、特に制限はない。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、シリカ微粒子を含有することが好ましい。このシリカ微粒子は、特に上述したシリコーン(メタ)アクリレートとの併用により、本発明の鏡面化粧シートに干渉防止形状を十分に発生させることで優れた干渉縞防止性能を付与し、かつ、指紋痕が付着しにくくし(耐汚染性の向上)、指紋痕がついた場合であっても、これを拭き取り易くさせることができる。
このようなシリカ微粒子としては、コロイダルシリカを好ましく挙げることができる。コロイダルシリカは、添加量を多くしても透明性に影響を及ぼしにくく、流動性も損なわないことから、電離放射線硬化性樹脂組成物の塗工性に与える影響も少ない点からも好ましい。また、シリカ微粒子としては、その表面にビニル基、(メタ)アクリロイル基、及びアリル基といったエチレン性不飽和結合や、エポキシ基などの反応性官能基を有するシリカ粒子、いわゆる反応性シリカ粒子も好ましく挙げられる。
本発明に用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物は、塗工性の向上の観点から、溶媒を含有することが好ましい。
溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどの非水溶性有機溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールなどの水溶性有機溶剤、水、またはこれらの混合溶剤などの、接着層で用いられるものと同様のものを用いることができる。なかでも、干渉防止形状の発生の観点から、メチルエチルケトンのような速い乾燥速度を有する溶媒を好ましく用いることができる。また、表面保護層6の形成条件(乾燥温度、乾燥時間など)によっては、メチルイソブチルケトンのような比較的遅い乾燥速度を有する溶媒が好適となる場合もある。
また、電離放射線硬化性樹脂組成物中の溶媒の量は、該組成物の粘度により異なるが、電離放射線硬化性樹脂組成物が固形分基準で65〜85質量%となるような量が好ましく、70〜80質量%がより好ましい。
また、本発明で用いられる電離放射線硬化性樹脂組成物には、得られる硬化樹脂層の所望物性に応じて、各種添加剤が配合される。添加剤としては、例えば耐候性改善剤、耐摩耗性向上剤、重合禁止剤、架橋剤、赤外線吸収剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤などが挙げられる。
本発明においては、前記の硬化成分である重合性モノマーや重合性オリゴマーなどの硬化性樹脂、必要に応じて添加される成分、及び各種添加剤を、それぞれ所定の割合で均質に混合して、電離放射線硬化性樹脂組成物を調製する。この電離放射線硬化性樹脂組成物の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、このようにして調製された電離放射線硬化性樹脂組成物を、ポリエステル樹脂層5あるいは易接着層b52の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。硬化後の厚さが1μm以上であると所望の機能を有する硬化樹脂層が得られる。硬化後の表面保護層の厚さは、好ましくは2〜20μm程度である。
電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
また、電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈などが用いられる。
本発明の鏡面化粧シートは、表面保護層6の表面に干渉防止形状(図示せず)を有することができる。干渉防止形状は、表面保護層6の表面上に存在し、本発明の鏡面化粧シートに優れた干渉縞防止性能を付与するものである。その形状は、表面保護層6の表面に窪みを与えうる形状であれば特に制限されず、例えば、円錐状、三角錐状、及び四角錐状などの錐体状の窪みや、凹面鏡状の窪みなどの形状が挙げられるが、凹面鏡状であることが好ましい。
本発明の化粧板は、上述した本発明の鏡面化粧シートと基板とを接着剤を介して接合されてなるものである。
本発明の樹脂化粧板の基板は、特に限定されず、プラスチックフィルム、プラスチックシート金属板、木材などの木質系の板、窯業系素材などを用途に応じて適宜選択することができる。これらの基板、特にプラスチックシートを基板として用いる場合には、化粧シートとの密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的又は化学的表面処理を施すことができる。上記酸化法及び凹凸化法は、本発明の鏡面化粧シートの基材におけるものと同様である。
金属板としては、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス鋼、又は銅などからなるものを用いることができ、またこれらの金属をめっきなどによって施したものを使用することもできる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピーなどの各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)などの木質材などが挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板などが例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだものなど、各種の素材の複合体も基板として使用できる。
本発明の化粧板に用いられる接着剤としては、1液硬化型、2液硬化型、あるいは無溶剤型などのポリウレタン樹脂系のほか、尿素系、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系などの接着剤が好ましく挙げられ、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白などの無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤などを添加混合して用いることができる。
(評価方法)
各実施例で得られた鏡面化粧シートについて、以下の方法で評価した。
(1)塗膜伸び率の測定
各実施例及び比較例で用いた電離放射線硬化性樹脂について、ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm)上に、乾燥後の厚さが5μmとなるように該電離放射線硬化性樹脂をグラビア印刷し、電子線を照射して(加圧電圧:175kV,照射線量:30kGy)架橋硬化して製膜したシートについて、JIS K7113−1995に準拠して測定した値を伸び率を塗膜伸び率とした(2号試験片を使用,試験温度;23℃,試験速度:50mm/min±10%)。
(2)鏡面性の評価
得られた鏡面化粧シートの表面の状態を、蛍光灯(直管型)の下で該蛍光灯が該シートに写りこむ像を目視により確認し、下記の基準で評価した。
◎ :蛍光灯の像が直線で見える
○ :蛍光灯の像が軽微に波打って見える
△ :蛍光灯の像が波打って見えるが、実用上問題がない
× :蛍光灯の像の波打ちが著しかった
(3)耐擦傷性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、29.4kPa(300g/cm2)の荷重となるように調整された重りに、スチールウール(#0000)を取り付けて、化粧材の表面を50回擦り、該表面の艶の変化を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ :変化が全く確認されなかった
○ :変化はほとんど確認されなかった
△ :多少の変化は確認されたが、実用上問題がない
× :変化が著しかった
(4)耐汚染性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、JIS K−6902に準拠して、汚染物を化粧材表面に塗布し、ふき取った後の汚染物の残存具合を目視にて観察した。判定基準を以下のようにして評価した。
◎ :汚染物の残存は全く確認されなかった
○ :汚染物の残存はほとんど確認されなかった
△ :多少の汚染物の残存は確認されたが、実用上問題がない
× :汚染物の残存が著しかった
(5)Vカット加工特性の評価
各実施例及び比較例で得られた化粧シートについて、該化粧シートをポリウレタン系接着剤を用いてMDF基板に貼り合わせ、Vカット加工を行ったのち、目視にてVカット部分の確認を行い、下記の基準で評価した。
◎ :化粧シートの表面の割れは全く確認されなかった
○ :化粧シートの割れはほとんど確認されなかった
△ :化粧シートの割れが若干確認されたものの、実用上問題ない
× :化粧シートの割れが著しかった
熱可塑性樹脂基材層2として、酸化チタンにより着色されたポリプロピレン系樹脂からなる厚さ60μmのポリオレフィン系樹脂シート(三菱化学MKV株式会社製、品名:PPフィルム)を用い、この基材上にウレタン系樹脂を主体とし、着色顔料として酸化チタンを含有するインキ(株式会社 昭和インク工業所製、品名:Pタイプ)をグラビア印刷することにより乾燥後の塗工量が2g/m2となるようにベタ着色層31を形成し、さらにウレタン系樹脂を主体として、一般的な有機顔料(フタロシアニンブルーなど)を含有するインキ(株式会社 昭和インク工業所製、品名:Tタイプ)をグラビア印刷することにより乾燥後の塗工量が2g/m2となるように木目柄の絵柄着色層32を形成した。次いで、2液硬化型のポリエステルポリオールタイプの接着剤(「E295タイプ(商品名)」,大日精化株式会社製)を75℃に加温した状態で、ロールコート法により塗工し、5g/m2の接着層4を形成した。
ポリエステル樹脂層5として、ポリエステル樹脂を主体とするPETフィルム(厚さ:75μm)の一方の面に易接着層aを形成し、他方の面に易接着層bを形成した。ここで易接着層aは、多価カルボン酸としてナフタレンジカルボン酸、アルコール成分としてエチレングリコールを用いて重合したポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)120℃)を30質量部、多価カルボン酸としてテレフタル酸、アルコール成分としてエチレングリコールを用いて重合したポリエステル樹脂(ガラス転移点(Tg)65℃)を70質量部、及びメチロール化メラミン系架橋剤70質量部を添加したポリエステル樹脂水分散体をPETフィルムの一方の面に塗工して形成した。また、易接着層bは、メチルメタクリレート及びエチルアクリレートの混合物97質量部、アクリル酸2質量部、及びメチロールアクリルアミド1質量部からなる混合物にメチロール化メラミン系架橋剤100質量部を添加したアクリル樹脂塗工液をPETフィルムの他方の面に塗工して形成した。得られた易接着層a及びbを有するPETフィルムを、易接着層aが接着層4と接するように接着層4の上にラミネートして、ポリエステル樹脂層5を形成した。その後、40℃で3日間養生して上記接着層4を硬化させた。
次いで、電子線硬化性樹脂である4官能ウレタンアクリレートオリゴマーA(重量平均分子量:4800)を主体とする電子線硬化性樹脂100質量部に、シリコーンアクリレート1.5質量部(官能基当量約500)、及び固形分基準で80%となるように溶媒としてメチルエチルケトンを20質量部加えてなる電子線硬化性樹脂組成物をグラビア印刷することにより乾燥後の厚さが5μmとなるようにポリエステル樹脂層5上の塗工した後、電子線を175keV、30kGy(3Mrad)の条件で照射して塗膜を架橋硬化させて表面保護層6を形成し、鏡面化粧シートを作製した。
得られた鏡面化粧シートの評価結果を第1表に示す。
実施例1において、表面保護層6の形成に用いる電離放射線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂基材層2で用いるポリオレフィン系樹脂シートの厚さを第1表に示される厚さとした以外は、実施例1と同様にして鏡面化粧シートを作製した。
得られた鏡面化粧シートの評価結果を第1表に示す。
2.基材
3.着色層
31.ベタ着色層
32.絵柄着色層
4.接着層
5.ポリエステル樹脂層
51.易接着層a
52.易接着層b
6.表面保護層
Claims (8)
- 熱可塑性樹脂基材層の上に、絵柄層、接着層、ポリエステル樹脂層、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化してなる表面保護層を順に有する鏡面化粧シートであって、
該熱可塑性樹脂基材層がポリオレフィン樹脂又はポリエステル樹脂からなり、
該ポリエステル樹脂層の厚さが40〜110μmであり、
該ポリエステル樹脂層がその接着層側に少なくとも二種以上のポリエステル樹脂を組み合わせたポリエステル樹脂易接着層を有し、該ポリエステル樹脂層がその表面保護層側にアクリル樹脂易接着層を有し、かつ該熱可塑性樹脂基材層と該ポリエステル樹脂層との合計厚さが100〜220μmであり、
下記測定方法により測定される該表面保護層の塗膜伸び率が10〜30%であり、該電離放射線硬化性樹脂組成物を構成する電離放射線硬化性樹脂がウレタン(メタ)アクリレート系樹脂であり、かつ該樹脂が多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーを少なくとも含むものである鏡面化粧シート。
(塗膜伸び率の測定)ポリプロピレン樹脂シート(厚さ:60μm)上に、乾燥後の厚さが5μmとなるように電離放射線硬化性樹脂をグラビア印刷し、電子線を照射して(加速電圧:175kV,照射線量:30kGy)架橋硬化して製膜したシートについて、JIS K7113−1995に準拠して、塗膜伸び率を測定した(2号試験片を使用,試験温度;23℃,試験速度:50mm/min±10%)。 - 電離放射線硬化性樹脂に含まれる多官能性ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマーの含有量が、50質量%以上である請求項1に記載の鏡面化粧シート。
- 接着層が、ポリエステル樹脂系接着剤を用いてなるものである請求項1又は2に記載の鏡面化粧シート。
- ポリエステル樹脂層が、透明の二軸延伸ポリエステル樹脂からなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
- 熱可塑性樹脂基材層の厚さが、10〜150μmである請求項1〜4のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
- 電離放射線硬化性樹脂組成物が電子線硬化性樹脂組成物である請求項1〜5のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
- 曲げ加工、Vカット加工、またはラッピング加工に用いられる請求項1〜6のいずれかに記載の鏡面化粧シート。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の鏡面化粧シートと基板とが接着剤を介して接合されてなる化粧板。
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