JP4428606B2 - 化粧シートの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床、机や食卓等のテーブルトップ等の耐磨耗性、耐陥没性を要求される部位(表面)に用いられる化粧シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の化粧シートとしては、例えば、フェノール樹脂含浸紙からなる基材と、メラミン樹脂含浸チタン白混抄紙と、絵柄インキ層と、メラミン樹脂透明紙からなる表面保護層とをこの順で積層し、加熱加圧して樹脂を硬化させたものが知られている(例えば、特公昭26−4540号公報等参照)。そして、この化粧シートを、MDF、パーチィクルボード、合板等の被着基板上にラミネートし、上記用途の化粧板として使用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の技術で述べたタイプの化粧シートは、耐磨耗性の点で未だ不十分であった。また、製造するに際しても、130℃、100g/cm2 程度の加熱加圧条件で、一枚毎に10〜20分程度プレス成形するために量産性が低かった。そこで、特許第2740943号公報により、紙からなる基材層と、絵柄インキ層と、球状α−アルミナ粒子を添加した電子線硬化型樹脂層とからなる化粧シートが提案されている。ところが、この化粧シートは、耐磨耗性と量産性は大幅に向上するものの、メラミン化粧板に比べると、耐陥没性、耐シガレット(煙草)性に劣るという欠点がある。また、電子線によるセルロース分子の破壊によって紙基材の強度が低下することから、被着基板に貼着する際に張力変化等で破断しやすいという問題点が生じた。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、耐陥没性、耐シガレット性が良好で、貼着時の破断が防止され、生産効率が向上する化粧シートを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の化粧シートの製造方法は、電離放射線硬化型樹脂組成物を、無機質繊維からなる基材層の表面から裏面に至るまで含浸せしめた後に乾燥せしめて含浸樹脂が非粘着性固体状態の未硬化物からなる基材層となす工程と、樹脂含浸済みの前記基材層の表面全面に、電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工した後に乾燥せしめて塗工樹脂が非粘着性固体状態の未硬化物からなる目止層となす工程と、前記目止層面に絵柄インキ層を印刷形成する工程と、前記絵柄インキ層を形成した面全面に、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物より高硬度の無機質粒子を添加した電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工した後に乾燥せしめて塗工樹脂が非粘着性固体状態の未硬化物からなる表面保護層となす工程と、前記表面保護層側から電離放射線を照射して各層の未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物を一斉に架橋させて硬化完了せしめる工程とからなることを特徴とするまた、前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、電離放射線硬化型樹脂に少なくとも室温(10〜40℃)で固体の熱可塑性樹脂が添加されてなることを特徴とする。また、前記電離放射線硬化型樹脂に対する前記熱可塑性樹脂の添加量は、電離放射線硬化型樹脂/熱可塑性樹脂=10/100〜90/100(質量比)であることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る化粧シートの一例を示す断面図であり、同図に示されるように、この化粧シートは、基材層1の上に目止層2を介して絵柄インキ層3が形成され、さらにそれを覆って表面保護層4が積層されている。基材層1は電離放射線硬化型樹脂を含浸して硬化せしめた無機質繊維からなり、その上の目止層2は電離放射線硬化型樹脂硬化物からなる。また、表面保護層4は電離放射線硬化型樹脂中に該樹脂の硬化物よりも高硬度の無機質粒子5を添加して硬化せしめることで形成される。
【0007】
基材層1への含浸、目止層2の形成及び表面保護層4の形成に用いる電離放射線硬化型樹脂は、具体的には、分子中に重合不飽和結合又はカチオン重合性官能基を有するプレポリマー(所謂オリゴマーも包含する)及び/又はモノマーを適宜混合した電離放射線により架橋反応を起こして硬化可能な組成物が好ましく用いられる。なお、ここで電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられる。
【0008】
硬質塗膜を形成する電離放射線硬化型樹脂は、具体的には、分子中に(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基等のラジカル重合性不飽和基、エポキシ基等のカチオン重合性官能基又はチオール基を2個以上有する単量体又はプレポリマーからなる。これら単量体又はプレポリマーは単体で用いるか、或いは複数種混合して用いる。なお、ここで、例えば、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタアクリロイル基の意味で用いている。
【0009】
ラジカル重合性不飽和基を有するプレポリマーの例としては、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等が挙げられる。分子量としては、通常250〜100,000程度のものが用いられる。
【0010】
カチオン重合性官能基を有するプレポリマーの例としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、脂肪族系ビニルエーテル、芳香族系ビニルエーテル等のビニルエーテル系樹脂等のプレポリマーがある。
【0011】
ラジカル重合性不飽和基を有する単官能単量体の例としては、(メタ)アクリレート化合物の単官能単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等がある。
【0012】
ラジカル重合性不飽和基を有する多官能単量体の例としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等がある。
【0013】
チオール基を有する単量体の例としては、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、ジペンタエリスリトールテトラチオグリコレート等がある。
【0014】
紫外線又は可視光線にて硬化させる場合には、電離放射線硬化型樹脂中に光重合開始剤を添加する。ラジカル重合性不飽和基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等を単独又は混合して用いることができる。また、カチオン重合性官能基を有する樹脂系の場合は、光重合開始剤として、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタセロン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等を単独又は混合物として用いることができる。なお、これらの光重合開始剤の添加量としては、該電離放射線硬化型樹脂100重量%に対して、0.1〜10重量%程度である。
【0015】
上記電離放射線硬化型樹脂を表面保護層に用いる場合は、該樹脂硬化物よりも高硬度の無機質粒子の添加を必須とする。また、該樹脂を表面保護層の形成、目止層の形成、基材層への含浸に用いる場合には、必要に応じて各種添加剤を添加する。
【0016】
これらの添加剤としては、例えば、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、セルロース系樹脂等の熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤、光安定剤、体質顔料(充填剤)、染料、顔料等の着色剤等がある。
【0017】
紫外線源としては、超高圧水銀燈、高圧水銀燈、低圧水銀燈、カーボンアーク燈、ブラックライト蛍光灯、メタルハライドランプ等の光源が使用できる。紫外線の波長としては、通常1900〜3800Åの波長域が主として用いられる。電子線源としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、或いは、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器を用い、100〜1000KeV、好ましくは、100〜300KeVのエネルギーをもつ電子を照射するものを使用する。
【0018】
基材層1を構成する無機質繊維には、硝子、石英、炭素、チタン酸カリウム、石綿等からなる繊維を単体で用いるか、或いはこれらの異種の繊維を2種類以上混抄乃至は混紡したものを用いる。そして、無機質繊維の形態は、不織布或いは織布(布帛)とし、基材層1の米坪量は、20〜200g/m2 程度とする。
【0019】
目止層2は、基材層1表面の粗面(凹凸)を埋めて平滑化し、また基材層1の多孔質空隙を充填することによって、絵柄インキ層3を印刷形成する際の印刷適性、絵柄再現適性、すなわち版から基材層1へのインキの転移性、転移率の向上を図る役目を果たすものである。
【0020】
目止層2は、前記の電離放射線硬化型樹脂を基材層1の表面(絵柄インキ層形成側)に塗工して形成する。塗工は、ロールコート、グラビアロールコート、コンマコート、カーテンフローコート等の塗工方法による。目止層2の塗工量は、基材層1の表面平滑化と表面近傍の空隙の充填硬化が得られるのに必要十分な量だけあればよいが、通常は5〜100g/m2 程度である。
【0021】
絵柄インキ層3は、バインダー樹脂中に、染料、顔料等の着色剤、その他必要に応じて体質顔料、可塑剤、界面活性剤、酸化防止剤、溶剤等の添加剤を添加してなるインキを用いて形成する。
【0022】
バインダー樹脂としては、セルロース(繊維素)系樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、ポリアミド樹脂、前記の電離放射線硬化型樹脂等の単体、或いはこれら2種以上の混合物を用いる。
【0023】
セルロース(繊維素)系樹脂としては、硝化綿(硝酸セルロース)、酢酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート等が用いられる。
【0024】
アクリル樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ブチル−(メタ)アクリル酸2ヒドロキシエチル−スチレン共重合体等が挙げられる(なお、ここで(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する)。
【0025】
ウレタン樹脂としては、熱可塑性ウレタン樹脂、或いは2液硬化型ウレタン樹脂が用いられる。2液硬化型ウレタン樹脂は、ポリオールを主剤として、これに多価イソシアネートを硬化剤(架橋剤)として添加してなる。
【0026】
ここでポリオールとしては、2価以上のアルコールが用いられ、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリウレタンポリオール等が用いられる。
【0027】
多価イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート等の脂肪族乃至は脂環式イソシアネート等が用いられる。或いは、これらのイソシアネートの付加体、これらのイソシアネートの多量体、これらのイソシアネートをアルコール、フェノール等で暫定的にブロックした所謂ブロックイソシアネート等を用いることもできる。
【0028】
着色剤としては、弁柄、カドミウムレッド、黄鉛、チタンイエロー、群青、コバルトブルー、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、3酸化2アンチモン等の無機顔料、キナクリドンレッド、ポリアゾレッド、イソインドリノンイエロー、ペリレンレッド、フタロシアニンブルー、インダスレンブルー等の有機顔料、アルミニウム、真鍮等の金属の鱗片状箔粉からなる金属顔料、2酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔粉からなる真珠(パール)顔料等が単体、或いはこれら2種以上の混合物として用いられる。
【0029】
絵柄としては、木目柄、石目柄、布目柄、砂目柄、タイル貼柄、煉瓦積柄、文字、幾何学模様、全面ベタ等が用いられる。
【0030】
絵柄インキ層3の印刷形成は、グラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷、転写印刷等の公知の印刷方法による。
【0031】
表面保護層4は、前記した電離放射線硬化型樹脂中に該樹脂の硬化物よりも高硬度の無機質粒子を添加したものの硬化物からなり、その膜厚は、通常5〜100μm程度とする。
【0032】
表面保護層4に用いる無機質粒子5は、α−アルミナ等のアルミナ(酸化アルミニウム)、シリカ(二酸化硅素)、炭化硼素、炭化硅素、ダイヤモンド(金剛石)、硝子、炭酸カルシウム等の材料から選択する。なお、電離放射線硬化型樹脂の硬化物よりも無機質粒子が高硬度であるとは、該樹脂硬化物と無機質粒子とを互いに擦り合わせたときに、該樹脂硬化物の方に傷が付き、且つ該無機質粒子側には傷が付かない関係になるもの同士を組み合わせることを意味する。
【0033】
無機質粒子5の硬度は、モース硬度、ユニバーサル硬度、ビッカーズ硬度等の適当な測定法で評価すればよい。
【0034】
また、必要に応じて、これらの材料の粒子の表面をシランカップリング剤で処理して、電離放射線硬化型樹脂との接着力を向上せしめることもできる。
【0035】
無機質粒子5の形状は、4面体、6面体(立方体、平行6面体等)、8面体等の多面体、球形、回転楕円体、鱗片形等がある。
【0036】
無機質粒子5の粒径は、通常、平均粒径2〜200μm程度であるが、好ましくは、表面保護層4の膜厚tと無機質粒子5の平均粒径dとの関係は、
0.3t≦d≦2.0t
となるように選択する。このように設定することによって、表面保護層4の耐摩耗性と接触する他の物品の摩耗の防止を両立させることができる。
【0037】
膜厚tの値を先ず固定して考えると、0.3t>dとなると表面保護層に十分な耐摩耗性が得られない。また、d>2.0tとなると表面に突出した無機質粒子のため、表面保護層と接触する物品、例えば、靴底、靴下、家具等を摩耗させる作用が増大してしまう。加えて、接触する他の物品によって無機質粒子が脱落しやすくなるため、表面保護層自体の耐摩耗性も予期したほどには得られなくなる。
【0038】
無機質粒子5の添加量は、5〜30質量%程度とする。添加量が下限値未満であると十分な耐摩耗性が得られない。逆に、添加量が上限値を超過すると、表面保護層が脆くなり耐陥没性が低下する。また、表面粗度が増加して、表面保護層に接触する他の物品を摩耗させやすくなる。
【0039】
本発明の化粧シートは、基材層を構成する無機質繊維に電離放射線硬化型樹脂を含浸し、含浸した基材層上に電離放射線硬化型樹脂の目止層を塗工し、その上に絵柄層を印刷し、さらにその上に電離放射線硬化型樹脂の表面保護層を形成し、そして各電離放射線硬化型樹脂を適宜タイミングにて硬化せしめることによって得られる。
【0040】
各層の電離放射線硬化型樹脂は、各層の含浸又は塗工の直後に硬化せしめ、しかる後に次工程(塗工又は印刷)を行ってもよい。ただこの場合、一旦硬化完了した電離放射線硬化型樹脂は反応性、相溶性に乏しく、その上に形成する層との接着性を十分に得ることが難しくなることが多い。
【0041】
そこで、電離放射線硬化型樹脂を全層未硬化のまま、含浸、塗工を行って、〔未硬化樹脂含浸基材層/未硬化目止層/絵柄インキ層/未硬化表面保護層〕の積層体を形成し、その状態で電離放射線を一気に全層に照射して、全層の電離放射線硬化型樹脂を一斉に硬化完了せしめることが、各層間の接着性の向上のため、さらには耐摩耗性、耐陥没性及び耐シガレット性を最大限に発現せしめるのに有効である。
【0042】
その場合、液状乃至は粘着状態のままの電離放射線硬化型樹脂層上に塗工ないしは印刷することが困難であるため、電離放射線硬化型樹脂として、未硬化状態であっても溶剤乾燥後は非粘着性固体となるタイプのものを選択し、溶剤希釈により液状化して含浸或いは塗工した後、溶剤を揮発乾燥させ、表面を非粘着性固体化(指触乾燥状態)してから、該層の上に印刷或いは塗工を行うようにすることが好ましい。
【0043】
このようなタイプの電離放射線硬化型樹脂としては、前記した単量体、プレポリマーのうちの液状のものに対して、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の室温(通常10〜40℃程度)で固体の熱可塑性樹脂を適量添加したものが使用される。
【0044】
これらの中でも、非粘着固体化の効果、硬化物の耐摩耗性と可撓性との両立性の点で、前記バインダー樹脂で例示した如き種類のアクリル樹脂が好ましい。また、使用するアクリル樹脂は、平均分子量が5000〜600000、且つ硝子転移温度が50〜130℃の範囲のものが好適である。
【0045】
平均分子量或いは硝子転移温度が上記の下限値未満であると、電離放射線硬化型樹脂の未硬化時の非粘着化並びに電離放射線硬化型樹脂の硬化物の硬度が不足し、耐摩耗性及び耐シガレット性が不十分となる。一方、平均分子量或いは硝子転移温度が上記の上限値超過であると、硬化物の耐陥没性と可撓性が不十分となる。添加量は、通常、(単量体又はプレポリマー/熱可塑性樹脂)=10/100〜90/100(質量比)程度である。添加量がこの下限値未満であると、電離放射線硬化型樹脂の硬化物の硬度が不足し、耐摩耗性、耐陥没性及び耐シガレット性が不十分となる。また、添加量がこの上限値超過の場合は、熱可塑性樹脂添加の効果が不十分となる。
【0046】
本発明の化粧シートは、各種の被着基板に積層し、壁、床、天井、出窓カウンター等の建築物内装材、流し台等の厨房器具表面材、浴室等の内装材、机、食卓、箪笥等の家具の表面材等の用途に用いる。
【0047】
被着基板としては、通常は主として平板、曲面板等の板材が用いられる。材質としては、杉、松、欅、樫、楢、ラワン、チーク等の樹木の単板、合板、集成材、パーチクルボード、繊維板(中密度繊維板(MDF)、ハードボード等)等の木質材、鉄、炭素綱、ステンレス綱、アルミニウム、ジュラルミン、銅等の金属板、セメント、スラグセメント、パルプセメント、ALC(軽量気泡コンクリート)、GRC(硝子繊維強化コンクリート)、石膏、珪酸カルシウム等の非セラミックス窯業系板、陶器、磁器、土器等のセラミックス板、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ABS樹脂、フェノール樹脂、ポリオレフィン樹脂、FRP(繊維強化プラスチック)等の樹脂板等が用いられる。
【0048】
これらの被着基板に本発明の化粧シートを積層するには、接着剤層を間に介して接着せしめる。接着剤としては、酢酸ビニル系樹脂、アクリル樹脂、2液硬化型ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ゴム等の樹脂からなる公知のものを用いればよい。
【0049】
【実施例】
(実施例)
基材層を形成する無機質繊維として、米坪量100g/m2 の硝子繊維不織布を用意した。そして、その硝子繊維不織布に、下記組成Aからなる電離放射線硬化型樹脂組成物を、該不織布の表面から裏面に至るまで含浸せしめてから、60℃の温風吹付けにより溶剤を揮発乾燥せしめ、含浸樹脂を非粘着性固体状態の未硬化物とした。
【0050】
<組成A>
・2官能ビスフェノールA系エポキシアクリレートプレポリマー 20質量部
・2官能フェノール系エポキシアクリレートプレポリマー 20質量部
・ウレタンアクリレートプレポリマー(平均分子量1700) 20質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 20質量部
・熱可塑性アクリル樹脂(平均分子量95000、硝子転移温度 105℃) 188質量部
・溶剤(トルエンとメチルエチルケトンの1対1質量比混合物) 適当量
【0051】
組成Aの溶剤は、塗工適性粘度となるように適当量添加した。また、組成Aのウレタンアクリレートプレポリマーは以下の成分の反応物からなる。
【0052】
・ポリテトラメチレングリコール(平均分子量1000) 1000質量部
・イソホロンジイソシアネート 444質量部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 232質量部
【0053】
なお、上記組成Aからなる組成物(溶剤は除く)の架橋、硬化後の平均架橋間分子量(理論値)は272である。
【0054】
次に、含浸済みの基材層の表面に、ロールコーターにより上記組成Aの電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工してから、60℃の温風吹付けにより溶剤を揮発乾燥せしめ、塗工樹脂を非粘着性固体状態の未硬化物として目止層を得た。目止層の塗工量は、乾燥時で20g/m2 であった。
【0055】
次いで、グラビアオフセット印刷機により、下記組成Bのインキを用いて、全面ベタ柄と木目柄をこの順に印刷し、絵柄インキ層とした。なお、組成Bにおける各インキの溶剤は、それぞれ塗工適性粘度となるように適当量添加した。
【0056】
<組成B>
(ベタインキ)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 40質量部
・アクリル樹脂 60質量部
・顔料(チタン白、弁柄及び黄鉛) 所望の絵柄色に合わせて添加
・溶剤(トルエンとメチルエチルケトンの1対1質量比混合物) 適当量
(木目柄インキ)
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 40質量部
・アクリル樹脂 60質量部
・顔料(弁柄、墨及び黄鉛) 所望の絵柄色に合わせて添加
・溶剤(トルエンとメチルエチルケトンの1対1質量比混合物) 適当量
【0057】
続いて、絵柄インキ層の上に、ロールコーターにより下記組成Cの電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工してから、60℃の温風吹付けにより溶剤を揮発乾燥せしめ、塗工樹脂を非粘着性固体状態の未硬化物として表面保護層を形成した。この時の塗工量は25g/m2 とした。
【0058】
<組成C>
・2官能ビスフェノールA系エポキシアクリレートプレポリマー 20質量部
・2官能フェノール系エポキシアクリレートプレポリマー 20質量部
・ウレタンアクリレートプレポリマー(平均分子量1700) 20質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 20質量部
・シリコンアクリレート 0.8質量部
・熱可塑性アクリル樹脂(平均分子量95000、硝子転移温度 105℃) 188質量部
・球形α−アルミナ粒子(平均粒径25μm) 15質量部
・溶剤(トルエンとメチルエチルケトンの1対1質量比混合物) 適当量
【0059】
組成Cの溶剤は、塗工適性粘度となるように適当量添加した。また、組成Cのウレタンアクリレートプレポリマーは以下の成分の反応物からなる。
【0060】
・ポリテトラメチレングリコール(平均分子量1000) 1000質量部
・イソホロンジイソシアネート 444質量部
・2−ヒドロキシエチルアクリレート 232質量部
【0061】
なお、上記組成Cからなる組成物(溶剤は除く)の架橋、硬化後の平均架橋間分子量(理論値)は272である。
【0062】
以上の工程で得られた〔樹脂含浸基材層/目止層/絵柄インキ層/表面保護層〕の層構成の積層体に対し、スキャニング型電子線照射装置を用いて、表面保護層側から、電離放射線として加速エネルギー175keVの電子線を線量5Mrad照射し、各層の未硬化の電離放射線硬化型樹脂を架橋させて硬化せしめた。斯くして、本発明の化粧シートを得た。
【0063】
このようにして得られた化粧シートを、酢酸ビニル系樹脂エマルジョンの接着剤層を用い、厚さ12mmの珪酸カルシウム板からなる被着基板上に積層して化粧板を作製した。その際、基材層が被着基板と対面する向きとした。そして、これらの化粧板に対し、次の方法で耐摩耗性と耐シガレット性を評価した。
【0064】
(耐摩耗性)
「JIS K6902」に準拠し、表面保護層の厚みが試験前の半分になるまでの磨耗輪の回転数で評価した(数値が高いほど耐摩耗性が高い)。
【0065】
(耐シガレット性)
火の付いたままの煙草1本を化粧板の表面保護層の上に載置し、燃え尽きるまで放置し、燃え尽きてから煙草を除去した後、表面保護層の煙草の火の跡を中性洗剤を滲み込ませた布で拭き取った上で、周囲との表面の色及び外観の変化を目視で観察した。
【0066】
(評価結果)
耐磨耗性については、2000回転と良好であった。また、耐シガレット性については、目視にて微かに黄変を認められたが、焼け焦げ、熔融、燃焼の痕跡、龜裂は全く認められなかった。
【0067】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法による化粧シートは、電離放射線硬化型樹脂を含浸して硬化せしめた無機質繊維からなる基材層と、電離放射線硬化型樹脂硬化物からなる目止層と、絵柄インキ層と、電離放射線硬化型樹脂中に該樹脂の硬化物よりも高硬度の無機質粒子を添加して硬化せしめてなる表面保護層とがこの順に積層されている。したがって、基材層に無機質繊維を用いたことで、耐シガレット性が向上する。また、基材層の含浸樹脂を電離放射線硬化型樹脂とし、しかも基材をセルロースではなく無機質繊維としたことにより耐陥没性が向上する。また、紙に比べて伸長性があり且つ電離放射線により強度劣化のない無機質繊維を基材とすることで、化粧シート貼着時の破断が防止され、Vカット加工適性やラッピング加工適性が向上する。また、基材の含浸樹脂が電離放射線硬化型樹脂としたことで、硬化時間は数秒間程度以下でよいため、メラミン化粧シートに比べ、含浸硬化工程の生産スピードが大幅にアップする。基材層の表面に目止層を形成したことにより、紙よりも表面粗さが大きく且つ多孔質の無機質繊維の表面の凹凸を埋めて平滑化し、表面近傍の多孔質を充填するため、絵柄インキ層の印刷適性(インキ転移性、着肉性)が向上する。また、目止層に電離放射線硬化型樹脂を用いたことで、基材層及び表面保護層との接着性が良好となり、且つ耐陥没性の低下もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る化粧シートの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材層
2 目止層
3 絵柄インキ層
4 表面保護層
5 無機質粒子

Claims (3)

  1. 電離放射線硬化型樹脂組成物を、無機質繊維からなる基材層の表面から裏面に至るまで含浸せしめた後に乾燥せしめて含浸樹脂が非粘着性固体状態の未硬化物からなる基材層となす工程と、樹脂含浸済みの前記基材層の表面全面に、電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工した後に乾燥せしめて塗工樹脂が非粘着性固体状態の未硬化物からなる目止層となす工程と、前記目止層面に絵柄インキ層を印刷形成する工程と、前記絵柄インキ層を形成した面全面に、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化物より高硬度の無機質粒子を添加した電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工した後に乾燥せしめて塗工樹脂が非粘着性固体状態の未硬化物からなる表面保護層となす工程と、前記表面保護層側から電離放射線を照射して各層の未硬化の電離放射線硬化型樹脂組成物を一斉に架橋させて硬化完了せしめる工程とからなることを特徴とする化粧シートの製造方法
  2. 前記電離放射線硬化型樹脂組成物は、電離放射線硬化型樹脂に少なくとも室温(10〜40℃)で固体の熱可塑性樹脂が添加されてなることを特徴とする請求項1記載の化粧シートの製造方法
  3. 前記電離放射線硬化型樹脂に対する前記熱可塑性樹脂の添加量は、電離放射線硬化型樹脂/熱可塑性樹脂=10/100〜90/100(質量比)であることを特徴とする請求項2記載の化粧シートの製造方法
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