JP2001129959A - 化粧板 - Google Patents

化粧板

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JP2001129959A
JP2001129959A JP31812999A JP31812999A JP2001129959A JP 2001129959 A JP2001129959 A JP 2001129959A JP 31812999 A JP31812999 A JP 31812999A JP 31812999 A JP31812999 A JP 31812999A JP 2001129959 A JP2001129959 A JP 2001129959A
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JP
Japan
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resin
paper
impregnated
pattern
decorative
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Application number
JP31812999A
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English (en)
Inventor
Kaori Imamichi
香織 今道
Tomoji Nagasawa
智司 長澤
Ryuichi Numata
隆一 沼田
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Toppan Inc
Original Assignee
Toppan Printing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水平面への使用にも十分に堪える優れた耐擦傷
性や耐磨耗性、耐セロハンテープ性等の表面物性を有
し、しかも表面の平滑性や光沢性を確保しつつ生産性良
く安価に製造可能な化粧板を提供する。 【解決手段】吸水性の良い原紙11に絵柄模様12を施
すと共に、好ましくは該絵柄模様12の形成後に樹脂1
3を含浸してなる樹脂含浸模様紙14の絵柄模様12面
に、電離放射線硬化型樹脂等の硬化型樹脂からなる表面
保護層15を設けてなる化粧紙1を、硬化性樹脂含浸紙
2を介して、好ましくは連続ラミネート方式にて基材3
に積層してなる化粧板である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家具、器物の表面
や建築物の内装材もしくは床材の表面等に使用する化粧
板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、上記用途の化粧板としては種
々のものが用いられているが、それらの内の最も代表的
なものとして、以下の3種を挙げることができる。
【0003】(1)薄葉紙又はチタン紙等の原紙の表面
に、木目等の所望の絵柄模様を印刷形成し、更に透明又
は半透明の硬化性樹脂組成物からなる表面保護層を形成
してなる化粧紙を、接着剤を介して合板等の基材の表面
に貼着してなるもの。
【0004】(2)チタン紙等の吸収性の良い原紙の表
面に、木目等の所望の絵柄模様を印刷形成し、これにメ
ラミン樹脂又はジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹
脂を含浸してなる樹脂含浸模様紙を、合板等の基材の上
に載置したコア紙(クラフト紙等の原紙にフェノール樹
脂等の熱硬化性樹脂を含浸したもの)の上に載置し、更
に必要に応じてその上にオーバーレイ紙(樹脂を含浸す
ると透明化する性質を有する原紙に、メラミン樹脂等の
熱硬化性樹脂を含浸したもの)を載置して、加熱加圧成
形してなるもの。
【0005】(3)ポリ塩化ビニル樹脂フィルム又はポ
リオレフィン系樹脂フィルム等の熱可塑性樹脂フィルム
の表面、裏面又は層間に、木目等の所望の絵柄模様を印
刷形成してなる化粧シートを、接着剤を介して合板等の
基材の表面に貼着してなるもの。
【0006】しかるに、上記(3)は、化粧板の表面が
熱可塑性樹脂フィルムから構成されているので、表面硬
度や耐熱性等の面で劣っており、例えば机や家具類の天
板や床材、階段踏み板等の水平面の様に耐擦傷性や耐摩
耗性が要求される用途や、厨房又は浴室等の様に高熱に
曝される用途には、使用することができない。また、熱
可塑性樹脂は本質的に柔軟な材料であるから、表面に十
分な平滑性や光沢性を付与し維持することは困難であ
る。
【0007】一方、上記(1)は、硬化性樹脂からなる
表面保護層を有することにより、表面硬度や耐摩耗性、
耐熱性に優れ、しかも化粧紙の表面保護層の塗工硬化時
に十分な平滑性や光沢性を付与すれば、化粧板の表面に
十分な平滑性や光沢性を容易に付与し維持することがで
きる利点がある。しかしながら、硬化性樹脂からなる表
面保護層と基材との間に、本質的に多孔質の繊維組成物
である紙の層が介在しているので、層間強度が弱く、耐
セロハンテープ性や耐擦傷性は必ずしも十分ではない。
【0008】これらに対し、上記(2)は、基材上の紙
の層の全てに熱硬化性樹脂が含浸され硬化しているの
で、表面硬度、耐摩耗性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐セロ
ハンテープ性、耐熱性等、あらゆる物性面で最も優れて
おり、しかも、鏡面板を使用した加熱加圧成形方式によ
れば、表面に優れた平滑性や光沢性を付与することも容
易である利点があり、各種の要求性能の最も厳しい用途
に使用されている。この類型の化粧板は、熱硬化性樹脂
化粧板と一般に称されている。
【0009】この熱硬化性樹脂化粧板は、樹脂含浸模様
紙又はオーバーレイ紙の表面に鏡面板を当接して、平圧
式プレス機により熱と圧力を印加して成形する、枚葉式
の生産方式によって製造されるのが一般的である。しか
しながら、この生産方式は不連続なバッチ式であるので
生産速度の向上が困難である他、加熱加圧成形のサイク
ル毎にプレス機全体の加熱と冷却を繰り返す事により熱
エネルギーロスも大きく、製造コストを押し上げる一因
となっている。
【0010】これに対し、ロールラミネーターを使用し
た連続的な生産方式(連続ラミネート方式)も実用化さ
れている。これは、基材上にコア紙や樹脂含浸模様紙を
載置した重合体を水平方向に搬送しつつ、1段又は多段
の熱ロールを使用して加熱加圧することにより、相互に
接着させると同時に樹脂を硬化させて成形する生産方式
であり、高速度での連続生産が可能で、しかも熱エネル
ギーロスも少なく、安価に大量生産が可能な生産方式と
して広く用いられている。
【0011】しかしながら、上記の連続ラミネート方式
にあっては、鏡面板を使用した平圧プレス方式と異な
り、基材上にコア紙や樹脂含浸模様紙を載置した重合体
への加圧は、熱ロールとの円圧的接触により瞬間的に印
加されるのであるから、製造される化粧板の表面状態
は、機械の振動や基材表面の不陸、コア紙や樹脂含浸模
様紙の厚みの不均一などの影響を受け易く、化粧板の表
面の平滑性を維持することが難しいという問題点があ
る。従って、表面に例えば鏡面の様な光沢性や平滑性が
要求される用途の化粧板を製造する場合は、生産性の劣
る平圧プレス方式に拠らざるを得ず、原価低減が困難で
あるという問題点があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術
における上記した問題点を解決する目的でなされたもの
であり、その目的とするところは、水平面への使用にも
十分に堪える優れた耐擦傷性や耐摩耗性、耐セロハンテ
ープ性等の表面物性を有し、しかも表面の平滑性や光沢
性を確保しつつ生産性良く安価に製造可能な化粧板を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、吸水性の良い原紙に絵柄模様を施すと共に
樹脂を含浸してなる樹脂含浸模様紙の絵柄模様面に、硬
化型樹脂からなる表面保護層を設けてなる化粧紙を、硬
化性樹脂含浸紙を介して基材に積層してなることを特徴
とする化粧板を提供する。
【0014】また本発明は、上記化粧板において、前記
樹脂含浸模様紙が、吸水性の良い原紙に絵柄模様を施し
た後、更に樹脂を含浸してなることを特徴とする化粧板
を提供する。
【0015】また本発明は、上記化粧板において、前記
絵柄模様が、水性インキによって形成されてなることを
特徴とする化粧板を提供する。
【0016】また本発明は、上記化粧板において、前記
水性インキのバインダー樹脂が、カゼイン、エマルジョ
ン樹脂及び/又はラテックス樹脂を主成分とすることを
特徴とする化粧板を提供する。
【0017】また本発明は、上記化粧板において、前記
表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂からなることを特
徴とする化粧板を提供する。
【0018】また本発明は、上記化粧板において、前記
絵柄模様を施した原紙に含浸する樹脂が、熱可塑性樹脂
を主体として含有することを特徴とする化粧板を提供す
る。
【0019】また本発明は、上記化粧板において、前記
化粧紙及び前記硬化性樹脂含浸紙を、連続ラミネート方
式によって基材に積層してなることを特徴とする化粧板
を提供する。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の化粧板の実施の形
態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明
の化粧板の実施の形態を示す模式断面図であり、図2は
本発明の化粧板の実施の形態に使用する化粧紙の製造工
程を示す模式断面図である。
【0021】本発明の化粧板の一例を挙げれば、図1に
示す様に、吸水性の良い原紙11の表面に絵柄模様12
が設けられ、該絵柄模様12を含む原紙11の全体に樹
脂が含浸され(該樹脂の一部は原紙11及び絵柄模様1
2上に樹脂層13を形成する)、これによって樹脂含浸
模様紙14が構成されており、該樹脂含浸模様紙14の
絵柄模様12面に、硬化型樹脂からなる表面保護層15
が設けられて化粧紙1が構成されており、該化粧紙1
を、熱硬化性樹脂含浸紙2を介して基材3上に積層して
構成されるものである。
【0022】なお、本発明の化粧板において、上記樹脂
含浸模様紙14は、原紙11に樹脂を含浸した後に、該
原紙11の表面に絵柄模様12を形成したものであって
も良く(この場合は樹脂層13は形成されない)、係る
構成によっても、化粧板の表面の硬度や耐摩耗性、平滑
性や光沢性等の点では、十分に本発明の目的を達成する
ことが可能である。
【0023】但し、上記の構成では、樹脂が含浸された
原紙と表面保護層との層間に介在する絵柄模様12のイ
ンキ層の脆弱性の為に、層間強度が必ずしも十分でなか
ったり、表面保護層15を形成するための硬化型樹脂の
硬化収縮によって絵柄模様12のインキ層が破壊され剥
離する等の問題を発生する場合があるので、表面保護層
15の形成前に絵柄模様12上にインキ層の補強や硬化
収縮応力の吸収等を目的としてアンカー層を設けるか、
及び/又は、表面保護層15の形成用の硬化型樹脂とし
て硬化収縮の小さい樹脂を選択する等の工夫が必要とな
る場合が多い。
【0024】これに対し、前記した如く、上記樹脂含浸
模様紙14として、原紙11に絵柄模様12を形成後
に、該絵柄模様12を含む原紙11の全体に樹脂を含浸
したものを採用すれば、絵柄模様12のインキ層が含浸
樹脂によって強化されると共に、絵柄模様12上に含浸
樹脂の一部が残存して形成された樹脂層13が、表面保
護層15の硬化収縮応力に対する緩衝層として作用し、
絵柄模様12のインキ層の破壊が防止されるので、アン
カー層を設けたり硬化収縮の小さい硬化型樹脂を特に選
択したりしなくても、層間密着性に優れた化粧板を容易
に得ることができる利点がある。
【0025】原紙11は化粧紙1の支持体となるもので
あって、本発明においては後に樹脂の含浸が可能な吸水
性の良い紙であれば良く、例えば薄葉紙、チタン紙、上
質紙、クラフト紙等が使用可能である。中でも印刷適性
と樹脂含浸適性の両面で優れたチタン紙が最も好適であ
る。その厚さには特に制約はないが、一般的には坪量2
0〜100g/m2程度の範囲内のものが使用される。
【0026】絵柄模様12は、化粧紙1、延いては本発
明の化粧板に、所望の色彩絵柄による意匠性を付与する
目的で設けられるものであって、その絵柄の種類には特
に制約はなく、例えば木目柄、石目柄、布目柄、抽象
柄、幾何学図形、文字、記号等、或いはそれらの2種以
上の組み合わせ等、所望により任意である。また、特定
の柄を必要としない場合には、単色無地であっても良
い。
【0027】上記絵柄模様12は、通常の印刷インキを
使用して通常の印刷方法で設けることができる。印刷イ
ンキの種類には特に制約はなく、油性インキであっても
良いが、特に絵柄模様12の形成後に原紙11に樹脂を
含浸する場合には、樹脂含浸適性を考慮すると、水性イ
ンキを使用することが望ましい。それは、水性インキの
方が油性インキと比較して含浸樹脂の水溶液との馴染み
が良く、後の含浸工程において迅速且つ均一に含浸可能
であり、しかも含浸樹脂との一体化によって優れた強度
を発現することができるからである。
【0028】上記水性インキの種類にも特に制約はない
が、特にそのバインダー樹脂がカゼイン、エマルジョン
樹脂及び/又はラテックス樹脂を主成分とするものを使
用することが最も望ましい。これらのバインダー樹脂
は、インキの印刷後に乾燥工程を経ることによって難水
溶化する性質を有しており、後の樹脂含浸工程において
含浸樹脂の水溶液に再溶解しにくいので、絵柄模様を損
なうことがなく、且つ含浸樹脂の汚染のおそれもないか
らである。
【0029】上記エマルジョン樹脂としては、例えばア
クリル系、酢酸ビニル系、スチレン系、ウレタン系等、
上記ラテックス樹脂としては、例えばスチレン−ブタジ
エン系、アクリロニトリル−ブタジエン系、メチルメタ
クリレート−ブタジエン系等を使用することができる。
【0030】また、これらカゼイン、エマルジョン樹脂
及び/又はラテックス樹脂の他に、インキの安定性の向
上を目的として、例えばポリビニルアルコール等の水溶
性樹脂や、多糖類、セルロース誘導体等の水溶性高分子
等を併用したものであっても良い。
【0031】絵柄模様12の形成方法にも特に制約はな
く、例えばグラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリ
ーン印刷法、フレキソ印刷法、凸版印刷法、インクジェ
ット印刷法等の任意の印刷方法によることができる。ま
たベタインキ層を設ける場合には、該ベタインキ層の形
成方法として、上記各種の印刷方法の他、例えばロール
コート法、グラビアコート法、ロッドコート法、ナイフ
コート法、エアーナイフコート法、スプレーコート法、
リップコート法、ダイコート法等の任意のコーティング
方法によることもできる。
【0032】原紙11に含浸する樹脂は、水中に溶解又
は分散して含浸可能な樹脂であれば特に制約はなく、熱
可塑性樹脂であっても熱硬化性樹脂であっても良いが、
化粧紙1の基材3へのラミネートの為の加工適性等を考
慮すると、柔軟性に優れた含浸紙を与える熱可塑性樹脂
を主体として含有する樹脂組成物を使用することが望ま
しい。
【0033】原紙11に含浸する樹脂として、熱可塑性
樹脂を主体として含有する樹脂組成物を使用すると、含
浸後の原紙11が適度な柔軟性を有することにより、化
粧紙1を基材3及び硬化性樹脂含浸紙2の上に積層した
際に、基材3の表面の不陸や硬化性樹脂含浸紙2の厚み
の不均一等を吸収するクッション層的な役割を果たすこ
とにより、目的物である化粧板の表面に十分な平滑性や
光沢性を付与することができる利点がある。
【0034】係る熱可塑性樹脂としては、例えば水溶性
アクリル系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピ
ロリドン、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、膠、デキストリ
ン等の水溶性樹脂や、例えばスチレン−ブタジエンゴム
系、アクリロニトリル−ブタジエンゴム系、メチルメタ
クリレート−ブタジエンゴム系等の合成ゴムラテック
ス、または例えばアクリル系、スチレン系、塩化ビニル
系、酢酸ビニル系、アクリル−スチレン系、塩化ビニル
−エチレン系、塩化ビニル−エチレン−酢酸ビニル系、
酢酸ビニル−マレイン酸系、アクリル−マレイン酸系等
の合成樹脂エマルジョン等、或いはこれらから選ばれる
2種以上の混合物等を使用することができる。
【0035】また、含浸後の化粧紙1に適度の硬度(強
度)や耐熱性、耐水性、耐溶剤性を与える目的で、上記
した熱可塑性樹脂に加えて、例えばメラミン樹脂、尿素
樹脂等の熱硬化性樹脂、及び/又は、アジリジン、エポ
キシ化合物、ブロックイソシアネート化合物等の架橋剤
等を併用することもできる。これら熱硬化性樹脂及び/
又は架橋剤の使用量は、多すぎると化粧紙1の柔軟性が
低下し、後加工適性や基材3等への積層後の表面の平滑
性や光沢性が悪化する要因ともなるので、熱可塑性樹脂
100重量部(固形分)当たり30重量部(同)以下と
することが望ましい。
【0036】樹脂の含浸は、原紙11の表面側(絵柄模
様12面側)から行っても良いし、裏面側から行っても
良い。また、片面ずつ2回に分けて含浸させたり、両面
から同時に含浸させたりしても良い。樹脂の含浸率(含
浸後の重量にしめる含浸樹脂の重量の比率)は、通常の
化粧紙用の樹脂含浸紙の場合と概略同様で、通例10〜
60%程度であり、中でも25〜40%程度の範囲内が
最も望ましい。この樹脂含浸処理によって、原紙11の
紙間が強化され、層間強度や硬度が向上する。
【0037】特に、原紙11への絵柄模様12の形成後
に樹脂含浸処理を施すと、絵柄模様12を含む原紙11
の全体に均一に樹脂が含浸されることにより、絵柄模様
12のインキ層と原紙11とが含浸樹脂によって一体化
される。更に、含浸樹脂の一部は原紙11及び絵柄模様
12上に樹脂層13を形成する。この樹脂層13は、後
に塗工される表面保護層15の形成用の硬化型樹脂の塗
工液の原紙11中または絵柄模様12中への浸透を防止
すると共に、硬化型樹脂の硬化収縮による内部応力の原
紙11や絵柄模様12への影響を緩和する緩衝層として
の作用をなし、絵柄模様12のインキ層の破壊を防止す
る。この効果は、例えば電離放射線硬化型樹脂等の様に
硬化収縮の大きな硬化型樹脂を表面保護層15に使用す
る場合には殊に顕著である。
【0038】上記の様にして構成された樹脂含浸模様紙
14の表面に、硬化型樹脂からなる表面保護層15が設
けられる。この表面保護層15を形成するための硬化型
樹脂としては、例えばメラミン系樹脂、フェノール系樹
脂、尿素系樹脂、エポキシ系樹脂、アミノアルキド系樹
脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン
系樹脂等の熱硬化性樹脂や、不飽和ポリエステル系樹
脂、アクリレート系樹脂、メタクリレート系樹脂、シリ
コーン系樹脂等の電離放射線硬化型樹脂等を好適に使用
することができる。特に、目的物である化粧板の表面に
鏡面状等の高光沢を付与したい場合には、高光沢の硬化
塗膜を容易に得ることができる電離放射線硬化型樹脂を
採用することが最も望ましい。電離放射線硬化型樹脂
は、架橋密度が高く高硬度の硬化塗膜が得られることか
ら、特に厳しい耐摩耗性や耐擦傷性が要求される用途に
も好適に使用することができる。
【0039】表面保護層15を電離放射線硬化型樹脂か
ら構成する場合には、一般的には、電離放射線硬化型樹
脂を主成分とする無溶剤型又は溶剤型の液状体である電
離放射線硬化型塗工液を適宜の塗工方法によって塗工し
て塗工被膜を形成し、これに紫外線又は電子線等の電離
放射線を照射して架橋硬化させることによって形成され
る。
【0040】表面保護層15の形成のための電離放射線
硬化型塗工液の主成分たる電離放射線硬化型樹脂組成物
とは、紫外線又は電子線等の電離放射線の照射により重
合架橋反応可能なラジカル重合性二重結合を分子中に少
なくとも一つ有するプレポリマー、オリゴマー及び/又
はモノマーを適宜配合してなるものである。
【0041】係るプレポリマー、オリゴマーとしては、
ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エ
ポキシアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリ
オールアクリレート等のアクリレート類、ポリエステル
メタクリレート、ウレタンメタクリレート、エポキシメ
タクリレート、ポリエーテルメタクリレート、ポリオー
ルメタクリレート等のメタクリレート類があげられる。
【0042】上記モノマーとしては、n−アルキルアク
リレート、イソ・プロピルアクリレート、イソ・ブチル
アクリレート、t−ブチルアクリレート、シクロヘキシ
ルアクリレート、β−ヒドロキシエチルアクリレート、
ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリ
コールアクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレ
ート、グリシジルアクリレート、エチレングリコールジ
アクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、
トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレン
グリコールジアクリレート、ジアルキルアミノエチルア
クリレート、2−シアノエチルアクリレート、β−エト
キシ・エチルアクリレート、アリールアクリレート、ベ
ンゾイルオキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレ
ート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシ・ジ
エチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシ−3
−フェノキシプロピルアクリレート、テトラヒドロフル
フリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアルコー
ルとε−カプロラクトン付加物アクリレート、イソ・ボ
ロニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル
アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9
−ノナンジオールジアクリレート、ネオ・ペンチルグリ
コールジアクリレート、トリエチレングリコールジアク
リレート、テトレエチレングリコールジアクリレート、
ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレ
ングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネ
オペンチルグリコールジアクリレート、アセタールグリ
コールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペン
チルグリコールとε−カプロラクトン付加物ジアクリレ
ート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ
メチロールプロパン・ポリエトキシレイト・トリアクリ
レート、トリメチロールプロパン・ポリプロポキシレイ
ト・トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアク
リレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
ト、ジペンタエリスリトールとε−カプロラクトン付加
物ヘキサアクリレート、アクリロキシエチルフォスフェ
ート、フロロアルキルアクリレート、スルホプロピルア
クリレート、等のアクリレートモノマー類や、メチルメ
タクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタク
リレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタク
リレート、イソ・ブチルメタクリレート、セカンダリー
・ブチルメタクリレート、ターシャリー・ブチルメタク
リレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリ
レート、イソ・オクチルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、デシルメタクリレート、ラウリ
ルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、2−ヒ
ドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピ
ルメタクリレート、2−ジメチルアミノエチルメタクリ
レート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、2
−ターシャリー・ブチルアミノエチルメタクリレート、
グリシジルメタクリレート、アリルメタクリレート、シ
クロヘキシルメタクリレート、フェニールメタクリレー
ト、ノニールフェニールメタクリレート、ベンジルメタ
クリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、ボル
ニルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタク
リレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリ
コールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメ
タクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレ
ート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサ
ンジオールジメタクリレート、ジプロピレングリコール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、グリセロールメタクリレート、メタクリロキ
シエチルフォスフェート、ビス・メタクリロキシエチル
フォスフェート、等のメタクリレートモノマー類などが
あげられる。
【0043】上記電離放射線硬化型塗工液の塗工被膜を
紫外線の照射によって硬化させる場合には、当該電離放
射線硬化型塗工液には、例えばベンゾイン、ベンゾイン
メチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等の
ベンゾイン又はそのアルキルエーテル類、アセトフェノ
ン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノ
ン、1−ヒドロキシシクロヘキシルアセトフェノン等の
アセトフェノン類、チオキサントン、2,4−ジイソプ
ロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフ
ェノンジメチルケタール、ベンジルメチルケタール等の
ケタール類、ベンゾフェノン、4,4−ビスメチルアミ
ノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、アゾ化合物等
から選ばれる1種以上の光ラジカル重合開始剤が添加さ
れる。また必要に応じて、例えばトリエタノールアミ
ン、メチルジエタノールアミン等の第3級アミン類、2
−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ
安息香酸エチル等の安息香酸誘導体等から選ばれる1種
以上の光増感剤が併用される。
【0044】さらに、上記電離放射線硬化型塗工液の副
成分として、着色剤、充填剤、艶消剤、消泡剤、離型
剤、耐磨剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、抗菌剤、防黴
剤、希釈溶剤その他の添加物を、必要に応じて適宜含有
させても良い。希釈溶剤を含有する電離放射線硬化型塗
工液を使用する場合には、塗工後希釈溶剤を揮発除去し
た後に電離放射線を照射して硬化させることが望まし
い。
【0045】電離放射線硬化型塗工液の塗工方法には特
に制約はなく、例えばグラビアコート法、ダイコート
法、リップコート法、ナイフコート法、エアーナイフコ
ート法、スプレーコート法、フローコート法、ロールコ
ート法、ディップコート法等の従来公知の任意の塗工方
法から、電離放射線硬化型塗工液の性状や樹脂含浸模様
紙14の性状に合致した適切な方法を選択して実施すれ
ば良い。
【0046】また、電離放射線硬化型塗工液を塗工する
前に、樹脂含浸模様紙14の塗工面に予め例えばコロナ
処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、酸
処理又はアルカリ処理等の適宜の表面処理を施して濡れ
性を高めておくことによって、樹脂含浸模様紙14と表
面保護層15との密着性の更なる向上を図ることもでき
る。また、電離放射線硬化型塗工液を塗工する前に、樹
脂含浸模様紙14の表面に研磨又はスーパーキャレンダ
ー仕上げ等の平滑化処理を施しておくと、塗工硬化後の
表面保護層15の表面を更に平滑に仕上げることが可能
である。
【0047】表面保護層15の厚さには特に制限はない
が、薄すぎると必要な表面強度や耐汚染性が達成でき
ず、逆に厚すぎると可撓性が低下し巻取適性や後加工適
性を損なう結果となるから、両者のバランスの取れる厚
さ範囲を選択する必要がある。具体的には、電離放射線
硬化型樹脂の組成にもよるが、硬化後の厚さを1μm以
上50μm以下の範囲とすることが望ましく、中でも3
μm以上20μm以下の範囲とすることが最も望まし
い。
【0048】表面保護層15を構成する電離放射線硬化
型樹脂の硬化の為に使用する電離放射線の種類には特に
制約はなく、要するに電離放射線硬化型樹脂又はそれに
添加された光ラジカル重合開始剤又は増感剤等に作用し
てこれらを電離(ラジカル化)させ、ラジカル重合反応
を開始せしめるに十分なエネルギーを有する電離放射線
であれば良く、具体的には、例えば可視光線、紫外線、
X線、γ線等の電磁波や、電子線、α線、β線等の荷電
粒子線等が考えられるが、感度や硬化能力、照射装置
(光源・線源)の簡便性等から見て、最も実用性の高い
のは紫外線又は電子線である。
【0049】紫外線照射の光源としては、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、
ブラックライト、カーボンアーク灯等の光源が適用でき
る。照射量は、50〜1000mJ/cm2が好まし
い。50mJ/cm2未満では硬化不十分のおそれがあ
る一方、1000mJ/cm2を越えると原紙11の劣
化の原因となるおそれがあるからである。通常この処理
は50〜500m/minのライン速度で可能であるか
ら極めて生産効率が高い。
【0050】電子線照射の線源としては、コックロフト
ワルトン型、ハンデグラフ型、共振変圧器型、絶縁コア
変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各
種の電子線加速器を使用した電子線照射装置が適用でき
る。電子線照射装置より照射する電子線の加速電圧は1
50〜250kV、照射量は0.5〜5Mrad程度が
良い。0.5Mrad未満では硬化不十分のおそれがあ
る一方、5Mradを越えると原紙11の劣化の原因と
なるおそれがあるからである。通常この処理は50〜5
00m/minのライン速度で可能であるから極めて生
産効率が高い。
【0051】表面保護層15を電離放射線硬化型樹脂以
外の硬化型樹脂から構成する場合にも、その形成方法と
しては一般的に塗工法が採用される。塗工方法は任意で
あり、例えば上掲の電離放射線硬化型塗工液の塗工方法
として挙げたものの中から任意の方式を適宜選択して実
施することができる。硬化方法も硬化型樹脂の特性に応
じて任意であり、例えば熱硬化型樹脂であれば熱風加熱
法や赤外線加熱法、高周波加熱法、熱盤接触法等であ
り、常温硬化可能なものであれば塗工後常温又は加温養
生する方法を採用することもできる。
【0052】表面保護層15の表面は、鏡面状等の平滑
面であっても良いが、艶消剤等の添加による砂目状等の
艶消面であっても良い。また、所望により適宜の模様の
エンボスを設けることもできる。エンボスの模様の種類
には特に制約はなく、例えば木目調、石目調、布目調、
和紙調、幾何学模様状、砂目状、ヘアライン状、スウェ
ード調等、所望により任意である。エンボスの模様を絵
柄模様12と同調させると、更に意匠性を向上させるこ
とができる。
【0053】上記エンボスの形成方法にも特に制約はな
く、エンボス版若しくはエンボス賦型フィルムを使用し
て賦型するのが一般的である。具体的には、例えば電離
放射線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂の塗工被膜を電離放
射線の少量照射又は短時間の低温加熱等により半硬化状
態とし、これにエンボス版等を圧接してエンボスを賦型
した後に完全硬化させる方法、硬化型樹脂の塗工液を樹
脂含浸模様紙14とエンボス版等との間に挟持した状態
で硬化させる手法などが採用される。また、常温で熱可
塑性固体状の硬化型樹脂を主成分とする溶剤型の塗工液
を使用する場合には、乾燥固化させた塗工被膜にエンボ
ス版等を圧接してエンボスを賦型した後に硬化させる手
法なども採用可能である。なお、エンボスの凹部にワイ
ピング法等の手法により着色剤を充填することにより、
更なる意匠性の向上を図ることもできる。
【0054】上記の要領で作製した化粧紙1を、硬化性
樹脂含浸紙2を介して、適宜の基材3の表面に載置圧着
し、硬化性樹脂含浸紙2に含浸されている硬化性樹脂を
硬化させることによって、本発明の化粧板を完成するこ
とができる。
【0055】基材3の種類は目的物である化粧板の用途
に応じて任意であり、例えば木材単板、合板、集成材、
パーティクルボード、中密度繊維板等の木質基材や、板
紙、織布、不織布、樹脂含浸紙、樹脂含浸布等の繊維質
基材、石膏ボード、スレート板、珪酸カルシウム板、ス
ラグ石膏板、木毛セメント板、スラグセメント板、軽量
気泡コンクリート板、ガラス繊維強化コンクリート板等
の無機質基材、鋼板、真鍮板、アルミニウム板、ジュラ
ルミン板、ステンレス板等の金属基材、アクリル樹脂
板、スチロール樹脂板、ABS樹脂板、ポリカーボネー
ト樹脂板、ナイロン樹脂板、ポリエチレン樹脂板、ポリ
プロピレン樹脂板、ポリエステル樹脂板、ガラス繊維強
化プラスチック板等の合成樹脂基材等、或いはこれらか
ら選ばれる2種以上の複合体又は積層体等を適宜使用す
ることができる。
【0056】硬化性樹脂含浸紙2は、基材3と化粧紙1
とを接合する接着剤としての役割を果たすと共に、基材
3表面の機械的強度を補強し、化粧紙1の表面の硬化型
樹脂からなる表面保護層15と協働して、化粧材の表面
硬度や層間強度、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等、従来の
熱硬化性樹脂化粧板に匹敵する各種物性を発現する。
【0057】硬化性樹脂含浸紙2としては、例えばチタ
ン紙や晒又は未晒クラフト紙等の適宜の原紙に未硬化状
態の硬化性樹脂が含浸されているものであり、該硬化性
樹脂としては電離放射線硬化性樹脂の採用も可能である
が、加熱加圧により簡便に硬化接着可能な熱硬化性樹脂
を使用するのが一般的である。該熱硬化性樹脂として
は、例えばメラミン系樹脂、尿素系樹脂、フェノール系
樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹
脂等、任意であり、目的物の化粧板に要求される物性等
に応じて適宜選択すれば良い。具体例を挙げれば、従来
よりメラミン化粧板等の熱硬化性樹脂化粧板においてコ
ア紙として採用されているフェノール樹脂含浸紙等を使
用することができる。
【0058】本発明において化粧紙1を硬化性樹脂含浸
紙2を介して基材3に積層する為の積層方式としては、
平圧プレス方式であっても良いし、円圧式の連続ラミネ
ート方式であっても良い。本発明の化粧板は、化粧紙1
の表面に硬化済みの硬化型樹脂からなる硬質の表面保護
層15が施されていることによって、連続ラミネート方
式であっても、機械の振動や基材3の表面の不陸、硬化
性樹脂含浸紙2の厚みの不均一等の影響を受けにくく、
表面の平滑性に優れた化粧板を容易に得ることができる
利点がある。
【0059】また、同様の原理により、化粧紙1の製造
時に表面保護層15の表面の光沢性を所望の任意の状態
に調整しておけば、連続ラミネート方式によってもその
光沢性が何ら損なわれることなく、所望の通りの光沢性
を表面に有する化粧板を生産性良く容易に得ることがで
きる。係る効果は、表面に例えば鏡面状等の高光沢性が
要求される場合に、特に顕著である。
【0060】また、本発明の化粧板を平圧プレス方式に
よって生産する場合にあっても、化粧紙1の表面に硬化
済みの硬化型樹脂からなる硬質の表面保護層15が施さ
れていることによって、成形時に該表面に当接する鏡面
板に多少の傷があったり鏡面性が十分でなかったりして
も影響を受けにくいことや、完全硬化前に解圧してプレ
ス機から取り出し、無加圧で常温又は加熱養生硬化させ
ても、表面の平滑性や光沢性への悪影響がないので、平
圧プレス機や鏡面板の利用効率が向上し、製造原価の低
減に寄与することができるなどの利点がある。
【0061】
【実施例】吸水性の良い坪量60g/m2の化粧紙用チ
タン紙を原紙とし、その表面に、カゼインを主成分とす
る水性グラビア印刷インキを使用して、ダイレクトグラ
ビア印刷方式によって木目の絵柄模様を印刷形成し、熱
乾燥によって十分に乾燥させ巻き取った。
【0062】引き続き、得られた印刷紙を水溶性アクリ
ル系樹脂を主成分とする水性含浸樹脂液中をくぐらせて
樹脂を浸漬含浸し、熱乾燥によって樹脂を乾燥硬化させ
て巻き取った。その際、含浸乾燥後の樹脂含浸模様紙の
坪量が、90g/m2となるように樹脂含浸量を調節し
た。
【0063】上記樹脂含浸模様紙の絵柄模様面に、エポ
キシアクリレート系樹脂を主成分とする粘度約500c
psの電離放射線硬化型塗工液をグラビアオフセット方
式にて硬化後の膜厚が10μmとなる様に塗工し、引き
続き電子線照射装置にてライン速度150m/minの
条件で加速電圧200kV、照射線量3Mradの電子
線を照射して電離放射線硬化型塗工液の塗工被膜を架橋
硬化させて化粧紙を作製した。
【0064】上記化粧紙の裏面側を、坪量250g/m
2のメラミン化粧板用コア紙を介して厚さ5mmのパー
ティクルボードの表面上に載置し、円圧式の連続ラミネ
ーターを用いて加熱加圧接着積層して、本発明の化粧板
を作製した。
【0065】得られた化粧板は、セロハンテープ剥離試
験は合格であり、耐摩耗性や耐擦傷性も実用上十分な水
準にあり、しかも、表面は平滑な鏡面仕上げとなって、
目視検査にて問題となる表面欠陥は認められなかった。
【0066】
【発明の効果】本発明の化粧板は、吸水性の良い原紙に
絵柄模様を施すと共に樹脂を含浸してなる樹脂含浸模様
紙の絵柄模様面に、硬化型樹脂からなる表面保護層を設
けてなる化粧紙を、硬化性樹脂含浸紙を介して基材に積
層してなることにより、化粧紙の表面特性がそのまま化
粧板の表面特性として発揮されるのみならず、基材上に
積層された紙層の全体が樹脂により含浸されているため
に、化粧板全体としても層間強度が十分に強く、表面硬
度や耐擦傷性に優れた化粧板が得られる。また、基材へ
の積層時の加工条件による化粧紙の表面の平滑性や光沢
性への悪影響が非常に少ないので、例えば鏡面状等の任
意の所望の光沢性を有する高品質の化粧板を容易に得る
ことができる。
【0067】特に、前記樹脂含浸模様紙が、吸水性の良
い原紙に絵柄模様を施した後、更に樹脂を含浸してなる
ことにより、原紙及びその表面に施した絵柄模様が、含
浸した樹脂によって強化されると共に強固に一体化され
ている。そして、その上に表面保護層が設けて化粧紙を
構成したので、表面保護層の表面強度(表面硬度、耐擦
傷性、耐摩耗性、耐セロハンテープ性等)が下地の原紙
や絵柄模様のインキ層によって大幅に減殺されることな
く存分に発揮されるので、化粧紙総体としての表面強度
が格段に向上する。
【0068】しかも、予め絵柄模様を施した原紙に樹脂
含浸処理を施すことによって、絵柄模様のインキ層が含
浸樹脂によって強化され原紙と一体化すると共に、絵柄
模様上に残存した含浸樹脂による薄膜状の樹脂層が形成
され、これが表面保護層に対して緩衝層として作用する
ので、表面保護層を形成する硬化型樹脂の硬化収縮応力
の絵柄模様のインキ層への影響が緩和され、絵柄模様の
インキ層の破壊を防止し、以て化粧紙総体としての優れ
た表面強度を得ることができる。
【0069】更に、表面保護層形成用の硬化型樹脂の塗
工時には、絵柄模様を含む原紙全体に樹脂が含浸され一
体化しており、塗工液が原紙中や絵柄模様のインキ層中
に浸透することがないので、塗工液の塗工被膜には平滑
な塗工面が容易に得られ、艶ムラのない意匠品質に優れ
た化粧紙を容易に得ることができる。斯くして、優れた
耐擦傷性や耐磨耗性、耐セロハンテープ性等の表面物性
を有し、しかも表面の平滑性や光沢性を確保しつつ生産
性良く安価に製造可能な化粧板を容易に実現することが
できる。
【0070】また特に、前記絵柄模様が、水性インキに
よって形成されてなることにより、該絵柄模様を施した
原紙に樹脂を含浸する工程において、絵柄模様のインキ
と含浸樹脂との馴染みが良く、含浸樹脂が原紙中に迅速
に浸み込むことができるので、樹脂含浸の加工速度を上
げても含浸樹脂を原紙中に均一に含浸させることができ
ると共に、含浸ムラの発生も防止され、以て安定した品
質の製品を生産性良く安価に製造することができる。し
かも、絵柄模様のインキ層と含浸樹脂との馴染みが良
く、両者が隙間なく密着して強化されることにより、表
面保護層として塗工する硬化型樹脂の効果収縮による絵
柄模様のインキ層の破壊の虞もなく、層間強度や密着性
に優れた製品を安定的に生産することができる。
【0071】また特に、前記水性インキのバインダー樹
脂が、カゼイン、エマルジョン樹脂及び/又はラテック
ス樹脂を主成分とすることにより、これらのバインダー
樹脂が印刷後の乾燥により難水溶化し、樹脂含浸工程に
おいて水性の含浸樹脂液への再溶解が発生しにくいの
で、インキ層の溶失により絵柄模様を損なうことがな
く、しかも含浸樹脂液を汚染する虞もなく、安定した品
質の製品を生産性良く製造することができる。
【0072】また特に、前記表面保護層を、電離放射線
硬化型樹脂から構成したことにより、電離放射線硬化型
樹脂は硬度が高く、耐摩耗性や耐擦傷性に優れるので、
水平面への使用も可能な高物性の化粧板を容易に得るこ
とができるのみならず、表面の平滑性や鏡面状等の光沢
性に特に優れた化粧板をも容易に得ることができる。
【0073】また特に、前記絵柄模様を施した原紙に含
浸する樹脂が、熱可塑性樹脂を主体として含有すること
により、含浸後の化粧紙に適度な柔軟性が付与され、硬
化性樹脂含浸紙を介して基材上に積層する際に、基材の
表面の不陸や硬化性樹脂含浸紙の厚みの不均一等を吸収
するクッション層的な役割を果たすので、表面保護層の
形成時にその表面に付与された平滑性や光沢性が基材へ
の積層時に損なわれることなく、表面に十分な平滑性を
有し、鏡面状等の所望の任意の光沢性を有する化粧板を
容易に得ることができる。
【0074】勿論、上記の如く、原紙に含浸する樹脂が
熱可塑性樹脂を主体とする構成の化粧板にあっても、化
粧紙の表面側には硬化型樹脂からなる表面保護層が、裏
面側には硬化性樹脂含浸紙が、それぞれ配置されている
ので、両者の共働作用により、化粧板には十分な表面硬
度や機械的強度、耐熱性、耐水性、耐溶剤性等の各種物
性を確保することができる。
【0075】そして、本発明の化粧板は、前記化粧紙及
び前記硬化性樹脂含浸紙の基材への積層方法として、最
も生産効率に優れた連続ラミネート方式を採用した場合
にあっても、製造される化粧板の表面が、機械の振動や
基材の表面の不陸、硬化性樹脂含浸紙の厚みの不均一等
の影響を受けにくく、表面の平滑性に優れた化粧板が容
易に得られると共に、化粧紙1の製造時の表面保護層1
5の表面の光沢性は、連続ラミネート方式による基材へ
の積層後も何ら損なわれることないので、例えば鏡面状
等、所望の任意の光沢性を表面に有する化粧板を、生産
性良く安価に製造することができるという、極めて顕著
な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧板の実施の形態を示す模式断面図
である。
【図2】本発明の化粧板の実施の形態に使用する化粧紙
の製造工程を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1‥‥化粧紙 11‥‥原紙 12‥‥絵柄模様 13‥‥樹脂層 14‥‥樹脂含浸模様紙 15‥‥表面保護層 2‥‥硬化性樹脂含浸紙 3‥‥基材
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB12 AJ01A AK01A AK01B AK01C AK25 AK53 AP03 AS00A AT00D BA04 BA07 BA10B BA10D DG10A DG15C EH46 EJ05 EJ08 EJ53 EJ82 EJ82A EJ82C EJ86 GB08 GB81 HB01 HB31 HB31A JB12B JB12C JB14B JB16A JD15A JK09 JK14 JK15 JL02 JM01A JN21

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】吸水性の良い原紙に絵柄模様を施すと共に
    樹脂を含浸してなる樹脂含浸模様紙の絵柄模様面に、硬
    化型樹脂からなる表面保護層を設けてなる化粧紙を、硬
    化性樹脂含浸紙を介して基材に積層してなることを特徴
    とする化粧板。
  2. 【請求項2】前記樹脂含浸模様紙が、吸水性の良い原紙
    に絵柄模様を施した後、更に樹脂を含浸してなることを
    特徴とする請求項1に記載の化粧板。
  3. 【請求項3】前記絵柄模様が、水性インキによって形成
    されてなることを特徴とする請求項2に記載の化粧板。
  4. 【請求項4】前記水性インキのバインダー樹脂が、カゼ
    イン、エマルジョン樹脂及び/又はラテックス樹脂を主
    成分とすることを特徴とする請求項3に記載の化粧板。
  5. 【請求項5】前記表面保護層が、電離放射線硬化型樹脂
    からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
    載の化粧板。
  6. 【請求項6】前記絵柄模様を施した原紙に含浸する樹脂
    が、熱可塑性樹脂を主体として含有することを特徴とす
    る請求項1〜5のいずれかに記載の化粧板。
  7. 【請求項7】前記化粧紙及び前記硬化性樹脂含浸紙を、
    連続ラミネート方式によって基材に積層してなることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の化粧板。
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