JP3585620B2 - 化粧材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、家具、壁面、床材などの表面意匠を付与するとともに表面保護性能が優れた建材用の化粧材に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、基材に接着剤層、化粧紙及び表面保護層が積層された化粧材において、意匠性、耐摩耗性、耐水性や耐薬品性などの向上のために種々の構成が提案されている。
例えば、基材に接着剤層を介して、化粧紙を設け、更に耐摩耗性をもつポリウレタン系塗料、又はポリエステル系塗料を厚く塗装して、耐摩耗性の向上、光沢の調整などの意匠性を向上していた。
しかしながら、塗料の吸収性がある化粧紙の表面に樹脂系塗料を塗装するには、化粧紙と表面保護層との密着を強固にするために、化粧紙層内への樹脂塗料の浸透を完全にしたり、塗装表面を厚くして、完全に覆うために数回の塗装工程が必要であり、硬化に長時間を必要とするなどの問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の数回の塗装工程を簡略にして、表面の耐摩耗性、耐薬品性や意匠性が高くするとともに、表面保護層と化粧紙との密着に優れた化粧材を提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は、基材に耐摩耗性層及び硬化性表面保護層を積層してなる化粧材において、該耐摩耗性層が、電離放射線硬化型樹脂組成物、及び上記硬化性表面保護層の組成物と化学的に反応する官能基をもつ組成物、並びにヌープ硬度が、1300Kg/mm2を最低とする無機粒子を含み、硬化した表面保護層と該耐摩耗性層とが、その界面で化学反応により結着してなる化粧材である。そして、上記の硬化性表面保護層の組成物がイソシアネート化合物とポリオール化合物とからなり、耐摩耗性層に含まれる前記硬化性表面保護層の組成物と化学反応する官能基を持つ化合物の該官能基が活性水素基である化粧材である。また、上記の硬化性表面保護層の組成物が、イソシアネート化合物とポリオール化合物とからなり、上記の耐摩耗性層に含まれる硬化性表面保護層の組成物と化学反応する官能基が活性水素基である化合物が、ヒドロキシエチルメタアクリレートの化粧材である。
【0005】
【発明の実施の形態】
本願発明は、図1に示すように、基材1に耐摩耗性層3及び硬化性表面保護層4を積層してなる化粧材1において、該耐摩耗性層3が、電離放射線硬化型樹脂組成物、及び上記硬化性表面保護層6の組成物と化学的に反応した官能基をもつ組成物、並びにヌープ硬度が、1300Kg/mm2 を最低とする無機粒子5を含み、硬化した表面保護層6と該耐摩耗性層3とが、その界面で化学反応により結着してなる化粧材10である。
そして、上記の耐摩耗性層3が、球状アルミナ系粒子よりなる無機粒子5を含む化粧材である。
また、上記の硬化性表面保護層6の組成物が、イソシアネート化合物とポリオール化合物とからなり、上記の耐摩耗性層3に含まれる樹脂組成物と化学反応する官能基が活性水素基をもつ化合物の化粧材である。
【0006】
本発明の化粧材基材は、紙又は紙に類似した繊維質シートからなるものを使用できる。例えば、薄葉紙、クラフト紙、チタン紙、リンター紙、ビニル壁紙用紙、コート紙、アート紙、板紙、石膏ボード紙、パーチメント紙などの天然パルプを用いた紙、ガラス繊維、石綿、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、炭素繊維などの無機質繊維及びポリエステル、ポリアミド、ポリビニルアルコールのアセタール化物(商品名:ビニロン)などの有機高分子化合物の繊維からなるシートが使用できる。
これらは、晒、未晒、着色のいずれのものもデザインに応じて選択することができる。
【0007】
この他の基材としては、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)などの木質板、及び石膏板、石膏スラグ板などの石膏系板、珪酸カルシウム板などが適し、この他に石綿スレート板、コンクリート板、軽量発泡コンクリート板、セラミックス板、鋼板、樹脂板、繊維強化プラスチック板並びに上記の各種基材を2種以上積層した複合基材を使用することができる。
【0008】
本発明の化粧材は、基材として2種類以上の積層による積層基材としてもよく、基材に接着剤を塗布し、耐摩耗性層を設けた化粧紙の耐摩耗性層を設けていない面と、上記基材の接着剤層とを重ね合わせ、加熱加圧により化粧紙と基材とを積層して化粧材を形成することもできる。
また、木質系の耐水合板は、JAS規格に準ずる耐水試験及び浸漬剥離試験により合格したものであり、木質系の耐水性化粧材を得るためには好ましい材料である。
【0009】
木質系基材と化粧紙とを積層する場合は、接着剤として、アクリル樹脂系、酢酸ビニル系樹脂や、それらの共重合体のエマルジョン型接着剤、尿素系、フエノール系などの熱硬化型接着剤などを使用できる。ここで、尿素系接着剤は、ホルマリンと反応させて得られるものであり、メチロール化尿素と反応触媒とを含むものである。また、フエノール系接着剤は、フエノールとホルマリンとを反応させて得られるものであり、メチロール化フエノールと反応触媒とを含むものである。
【0010】
本発明の、耐摩耗性層を形成する電離放射線硬化型樹脂組成物は、電離放射線により架橋重合反応を起こし固体化するポリマー、プレポリマー、あるいはオリゴマーが使用できる。
例えば、(メタ)アクリルアミド〔本明細書では、アクリル・・・及びメタアクリル・・・を(メタ)アクリル・・・と記載する。〕、(メタ)アクリルニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリロイル基をもつ化合物からなるラジカル重合系組成物、エポキシ、環状エーテル、環状アセタール、ラクトン、ビニルモノマー、環状シロキサンとアリールジアゾウム塩、ジアリールヨードニウム塩などとの組合せからなるカチオン重合系組成物、チオール基をもつ化合物であるトリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピレート、ペンタエリスリトールテトラチオグルコールとポリエン化合物とからなるポリエン・チオール系組成物などが使用できる。
【0011】
ラジカル重合系の(メタ)アクリレート化合物の単官能モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジベンジルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、フエノキシエチル(メタ)アクリレート、フエノキシポリエチレンフリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドキシフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングルコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレートなどの化合物がある。
【0012】
また、ラジカル重合系多官能モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシルジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフエノールA−ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グセリンポリエチレンオキサイドトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフオスフエートなどがある。
【0013】
プレポリマーとしては、アルキッド(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポコシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレートや不飽和ポリエステルなどがある。
【0014】
これらの(メタ)アクリロイル基を含む化合物の中でも特にアクリロイル基を含む化合物、すなわち、アクリレートがより重合反応速度が速い。そのため、電離放射線硬化型組成物を塗布形成するときの生産速度を重視する場合は、アクリレートが、メタアクリレートより好ましい。
【0015】
本発明の耐摩耗性層は、これらの化合物を1種若しくは2種以上混合して用いる。
また、混合された組成物の(メタ)アクリロイル基の総和は0.2〜12ミリモル/g、好ましくは、2〜10ミリモル/gである。
【0016】
本発明の電離放射線硬化型組成物としてより好ましいものは、化学式1の一般式で表せるポリエーテル系ポリウレタン(メタ)アクリレートである。
【0017】
【化1】
【0018】
上記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートに使用されるジイソシアネートとしては公知のものがある。例えば、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどが挙げられる。
【0019】
上記ポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートの製造に用いられるジオールとしては、分子量が500〜3000のポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールなどが挙げられる。
【0020】
本発明において、電離放射線硬化型組成物が反応した後の架橋間平均分子量は、通常200〜1000、好ましくは250〜800である。
架橋間平均分子量が200未満では、電離放射線硬化型組成物層自体の可撓性が低下し、基材が屈曲したときにひび割れをすることがあり、1000を超えると電離放射線硬化型組成物層が柔らかくなりすぎて、球状無機粒子の保持力に欠けるため、耐擦傷性が不充分となる。
【0021】
ここでいう架橋間平均分子量とは、
〔m/〔2×(f−1)〕の式で表すことができる値である。
但し、
f:電離放射線硬化型組成物層の重合官能基の平均官能基数
m:平均分子量
【0022】
本発明の電離放射線硬化型組成物を塗布に供するときは、作業性の点からは、比較的低粘度が好ましく、800センチポイズ以下、より好ましくは500センチポイズ以下である。粘度が800センチポイズを超えると作業性が悪く平滑な塗布面を得られないことがある。
【0023】
本発明の電離放射線硬化型組成物を塗布するときに、粘度を調整する溶剤は、電離放射線硬化型組成物を溶解し、かつ常圧で沸点が70°〜150℃である1種以上の溶剤を使用する。
上記の溶剤は、通常の塗料、インキなどに供されるものである。例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどの酢酸エステル類、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル類及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0024】
電離放射線硬化型組成物の反応促進剤は、ラジカル発生剤を添加してもよい。また、紫外線により硬化する場合の光反応開始剤には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、アセトフエノン、ミヒラーケトン、ジフエニルサルフアイド、ジベンジルサルフアイド、ジエチルオキサイド、トリフエニルビイミダゾール、イソプロピル−N,N−ジメチルアミノベンゾエートなどの1種又は2種以上を該電離放射線硬化型組成物100重量部に対して、0.1〜10重量部を混合して用いることができる。
【0025】
本発明の硬化性表面保護層の組成物と反応する官能基をもつ耐摩耗性層の組成物は、硬化性表面保護層の種類により適宜選択できる。例えば、硬化性表面保護層の組成物の官能基が、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、不飽和ポリエステル系などの場合は、それらの官能基をもつものであればよい。すなわち、アクリル系、エポキシ系、ウレタン系、不飽和ポリエステル系などのものが使用される。このうち、硬化性表面保護層の組成物が、主剤と硬化剤とからなる組成物、すなわち、主剤のエポキシ化合物と硬化剤のアミン化合物とからなるエポキシ系組成物、主剤のポリオール化合物と硬化剤のイソシアネート化合物とからなるウレタン系組成物の場合には、少なくとも、主剤又は硬化剤のいずれか一方を耐摩耗性層の成分として使用することができる。
【0026】
更に、硬化性表面保護層がイソシアネート化合物とポリオールとからなる2液硬化型ウレタン系樹脂の場合は、硬化性表面保護層の組成物と反応する官能基が、活性水素基であることが好ましく、例えば、アルコール、アミン、アミド、フエノール、カルボン酸などが挙げられる。
【0027】
本発明の耐摩耗性層が含む球状無機粒子とは、その粒子形状が球形又はそれに類似するものである。例えば、溶融アルミナ、バイヤー方法アルミナ、ジルコニア、チタニア、あるいは、これらの共融混合物で、ヌープ硬度が1300Kg/mm2 以上のものを挙げられる。これらのうちで好ましくは、ヌープ硬度が1800Kg/mm2 以上のものであり、具体的には溶融アルミナがある。
【0028】
ここでいうヌープ硬度とは、ASTM C−849に記載されている、ヌープ圧子を用いて測定される微小押し込み硬さで、試料面に菱形の圧痕をつけたときの荷重を、永久凹みの長い方の対角線の長さより求めた凹みの投影面積で除した商で表される値である。
【0029】
無機粒子の形状を球形にするには、粉砕した不定形の上記の無機ものを融点以上の高温炉の中に投入して溶融し、表面張力を利用して球状にしたりする方法や、上記の無機物を高温炉の中に投入して溶融したものを霧状に吹き出して球状にしたりする方法がある。
【0030】
本発明の耐摩耗性層は、球状無機粒子を5〜50重量%好ましくは10〜40重量%含むものである。
該球状無機粒子の含有量が5重量%未満では、耐擦傷性が不充分であり、50重量%を超えると電離放射線硬化型組成物によるバインダー効果が損なわれて可撓性を低下するなどの弊害を生じる。
【0031】
球状無機粒子の平均粒径は、通常3〜50μm、好ましくは、8〜40μmである。平均粒径が3μm未満では、所望の耐摩耗性を得るための添加量を多く必要となり、耐摩耗性層の透明性を損ない好ましくない。また、平均粒径が50μmを超えると、通常の耐摩耗性層より厚くなり表面平滑性を低下する。
【0032】
本発明の耐摩耗性層に構成することができる熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、セルロース誘導体、ポリエステル系樹脂、線状ウレタン樹脂などがある。なかでも、絵柄層を形成するインキとの接着がよく、可撓性に優れるセルロース誘導体のニトロセルロースを主とするものが好ましい。
【0033】
また、上記の耐摩耗性層を構成する電離放射線硬化型組成物には、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナなどの充填剤、粘性調整剤、レベリング剤や着色顔料、光輝性顔料などを添加することもできる。
【0034】
本発明における電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち重合あるいは架橋できるエネルギー量子をもつものを意味し、このようなものには、可視光線、紫外線、エックス線などの電磁波、又は電子線などの粒子線があるが、通常は紫外線、又は電子線が用いられる。
【0035】
本発明の電離放射線硬化型組成物を硬化するために用いる電離放射線照射装置として、紫外線を照射する場合は、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、ブラックライトランプ、又はメタルハライドランプなどの光源を用いることができる。
また、電子線を照射する装置は、コックロフトワルト型、バンデラフ型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器などを用いる。尚、電子線の照射量は、通常100〜1000keV、好ましくは、100〜300keVのエネルギーをもつ電子を0.1〜30Mradである。
【0036】
電離放射線の照射方法は、塗布面に先ず紫外線を照射して、電離放射線硬化型組成物の表面を少なくとも、指触乾燥する程度以上に硬化させたものを、電子線で完全に硬化させる方法をとることもできる。耐摩耗性層と硬化性表面保護層とを別工程で設けるときに、双方の層に含まれる電離放射線硬化型組成物の硬化を完結でき、相互間の接着を強固にすることができる。
【0037】
また、電離放射線硬化型組成物を基材に塗布する方法は、通常のグラビア、グラビアリバースコート、ロールコート、コンマーコートなどが挙げられる。塗布を行うときの電離放射線硬化型組成物の粘度は、コート方法、塗布量によって決められるが1000センチポイズ以下が好ましい。組成物は、揮発性溶剤を含まない無溶剤型のものと、揮発性溶剤を含むもののいずれをも選ぶことができる。無溶剤型で常温で高粘度のために塗布が困難なときは、電離放射線硬化型組成物を40°〜80℃に加熱して適度な粘度、例えば1000センチポイズ以下に下げて塗布することもできる。
【0038】
本発明の基材には、印刷による絵柄層を設けることができる。印刷方法は、通常に用いられる、凹版(グラビア版を含む)、平版、凸版、孔版による、枚葉又は輪転印刷やオフセット印刷の他に静電印刷、インクジェットにより絵柄層を形成することができる。これらのなかでも、グラビア輪転印刷、フレキソ輪転印刷、シルクスクリーン印刷による方法が好ましく使用される。
また、離形性フイルムに一旦絵柄層を形成した転写フイルムを用いて、所定の基材に絵柄層を転写印刷で設けることもできる。
【0039】
また、絵柄層を形成する印刷インキは、印刷方式に適合した通常のインキで、接着などの後加工に支障のない材料から選択する。
耐久性のある着色料、体質顔料、バインダー、硬化剤、添加剤、溶剤などからなる組成物でインキを構成する。
また、バインダーは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化型樹脂などから自由に選択できる。
【0040】
絵柄層は木目、石目、布目などの天然物を模写した階調のあるもの、文字、記号、線画などのベタ印刷のものや、抽象柄などから適宜に選択できる。
【0041】
本発明の硬化性表面保護層は、熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化型樹脂などのワニスから適宜に選択できる。耐水性をもち接着性に優れているイソシアネート化合物とポリオールとからなるウレタン系組成物が好ましい。イソシアネート化合物には、トリレンジイソシアネートプレポリマー、ジフエニルメタンジイソシアネートプレポリマー、ヘキサメチレンジイソシアネートプレポリマー、リジンイソシアネートプレポリマーなどが挙げられる。また、ポリオール化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオールなどがある。
【0042】
また、硬化性表面保護層には、シリカ、アルミナなどの無機系及び/又はプラスチックビーズなどの有機系の微粒子を艶消し剤及び表面強化剤として上記のワニスに添加することができる。更に防湿性、耐候性、潤滑性、耐汚染性を向上するために、シリコーン化合物、フッ素化合物などを加えることができる。
【0043】
次に本発明における化粧材の実施例について、更に詳細に説明する。
【0044】
(実施例1)
坪量30g/m2 の薄葉紙を基材1としてその一方の面に、グラビアインキ(HAT ザ・インクテッック株式会社製 商品名)を用いて木目柄の絵柄層2を印刷し、更に、下記の球状アルミナ5を含む(電離放射線硬化型組成物1)をグラビアコートで25g/m2 (固形分、以下本明細書の塗布量は固形分の数値を記載する。)塗布し、その塗布面から175keV、3Mradの電子線を照射して、電離放射線硬化型組成物を硬化して耐摩耗性層3を形成し図3に示す実施例1の化粧紙7を作成した。
【0045】
(実施例2)
実施例1と同様に、坪量30g/m2 の薄葉紙1に木目柄の絵柄層2を印刷し、更に、下記の球状アルミナを含む(電離放射線硬化型組成物2)をグラビアコートで25g/m2 を塗布し、その塗布面から175keV、3Mradの電子線を照射して、電離放射線硬化型組成物硬化して耐摩耗性層3を形成し実施例2の化粧紙7を作成した。
【0046】
(比較例)
実施例1と同様に、坪量30g/m2 の薄葉紙1に木目柄の絵柄層2を印刷し、更に、下記の組成の(電離放射線硬化型組成物3)よりなる耐摩耗性層3をグラビアコートで25g/m2 塗布し、その塗布面から175keV、3Mradの電子線を照射して、電離放射線硬化型組成物硬化して比較例の化粧紙7を作成した。
(電離放射線硬化型組成物3)
ウレタンアクリレート 20重量部
2官能アクリレートモノマー 30重量部
単官能アクリレートモノマー 30重量部
アクリルビーズ 20重量部
【0047】
次いで、実施例1及び実施例2、並びに比較例の化粧紙7を、基材1Aとして(耐水合板1類、1類浸漬剥離試験に合格するもの)に、尿素系の接着剤層4を55g/m2 の厚さで塗布し、実施例1で得た化粧紙7の裏面(基材1)とを重ね合せて、プレス機を用いて150℃、15kg/m2 で15分間、加熱加圧し、冷却後圧力を除いて化粧紙7と合板1Aとを積層した積層基材8に化粧紙7を積層した図3に示す化粧積層基材9を得た。
【0048】
更に、上記の化粧積層基材9の化粧紙8の面から全面に2液硬化型ウレタン樹脂を、硬化性表面保護層6として20g/m2 の厚さで塗装した図2に示す本発明の化粧材10を得た。
【0049】
実施例及び比較例の化粧材について、硬化性表面保護層に粘着テープを強く、圧着し、急激に剥離して、硬化性表面保護層と、耐磨耗性層との間における剥離の有無を確認した結果は次のとおりである。
実施例1 全く剥離なし。
実施例2 極く一部剥離が認められる。
比較例 全面的に剥離する。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載するような効果を奏する。
【0051】
硬化性表面保護層が上記耐摩耗性層との界面で化学反応により強固に結着できる。したがって、表面保護層と化粧紙の耐摩耗性層との間で剥離することがなく優れた耐摩耗性を発揮することができる。
また、耐摩耗性層が、球状無機粒子を含むことにより、強靱な耐摩耗性を与えることができる。更に、この球状の粒子を分散した耐摩耗性層の塗布液は、印刷機やコーターの塗布部の摩耗を最小にすることができる。
【0052】
また、球状アルミナ系粒子を含む耐摩耗性層の塗布液は優れた流動性と、それにより形成された耐摩耗性層をもつものであった。
更に、イソシアネート化合物とポリオールとからなる表面保護層に含まれる活性水素基が、化粧紙の耐摩耗性層と化学的に結合して、強固な結着を示す効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の化粧材の断面概略図である。
【図2】基材を2層積層した実施例の化粧材の断面概略図である。
【図3】実施例の化粧積層基材の断面概略図である。
【符号の説明】
1、1A 基材
2 絵柄層
3 耐摩耗性層
4 接着剤層
5 無機粒子
6 硬化性表面保護層
7 化粧紙
8 積層基材
9 化粧積層基材
10 化粧材
Claims (3)
- 化粧材の基材に耐摩耗性層及び硬化性表面保護層を積層してなる化粧材において、該耐摩耗性層が、電離放射線硬化型樹脂組成物、及び上記硬化性表面保護層の組成物と化学的に反応する官能基をもつ組成物、並びにヌープ硬度が、1300Kg/mm2を最低とする無機粒子を含み、前記電離放射線硬化性樹脂組成物が(メタ)アクリロイル基を持つ化合物からなるラジカル重合性組成物であり、硬化した表面保護層と該耐摩耗性層とが、その界面で化学反応により結着してなることを特徴とする化粧材。
- 硬化性表面保護層の組成物がイソシアネート化合物とポリオール化合物とからなり、耐摩耗性層に含まれる前記硬化性表面保護層の組成物と化学反応する官能基を持つ化合物の該官能基が活性水素基であることを特徴とする請求項1記載の化粧材。
- 耐摩耗性層に含まれる硬化性表面保護層の組成物と化学反応する官能基が活性水素基である化合物が、ヒドロキシエチルメタアクリレートであることを特徴とする請求項2記載の化粧材。
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