JP6671049B2 - 表面化粧パネル、これを備えた化粧パネル及びパネル製造方法 - Google Patents
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例えば、下記特許文献1には、化粧材の裏面に熱硬化性樹脂をガラス繊維に含浸させ硬化させたバックシートを貼り合わせた積層仕上材が開示されている。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る表面化粧パネルは、化粧面を構成する化粧層と繊維強化樹脂層との間に、前記繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物と樹脂主成分が同一の表層側樹脂層が介在されており、当該表面化粧パネルの裏面側には、溝底が前記表層側樹脂層に位置するように折曲溝が設けられていることを特徴とする。
図1〜図3は、第1実施形態に係る表面化粧パネルの一例、これを備えた化粧パネルの一例及び表面化粧パネルの製造方法の一例を模式的に示す図である。
また、本実施形態に係る化粧パネル1は、図1に示すように、この表面化粧パネル20を、パネル芯材10に貼着した構成とされている。また、パネル芯材10のパネル厚さ方向両側に表面化粧パネル20,20を設けた構成としている。
例えば、化粧パネル1を、建具パネルとして用いられるものとした場合には、当該化粧パネル1の上下寸法(戸高寸法)を1800mm〜3000mm程度とし、戸幅寸法を600mm〜1200mm程度とし、戸厚寸法を20mm〜40mm程度としてもよい。また、この場合には、化粧パネル1の適所に、開閉する際のハンドルや引手等を設けたり、錠装置や、蝶番等の回転連結部材、ランナーや戸車等の走行部材、ガイド溝等を設けたりしてもよい。
枠体11は、四周枠12,13,13,14を構成する上横枠12、左右一対の縦枠13,13及び下横枠14を備えている。また、枠体11は、左右の縦枠13,13に架け渡されるように上下に間隔を空けて設けられた複数本の横桟15,15を備えている。また、図例では、下横枠14を、複数本(図例では、2本)を上下に積層した構成とされたものとした例を示している。また、下横枠14の左右(長手方向)両端部の上側に、戸車等の走行部材の取付孔の加工下地となる桟部材を積層した例を示している。なお、当該化粧パネル1の用途等に応じて、上横枠12の左右両端部の下側や一方の縦枠13の内方側に、上述のようなランナー等の走行部材やハンドル、錠装置等の取付孔の加工下地や取付下地を設けた構成としてもよい。また、上横枠12も同様、複数本を上下に積層した構成とされたものとしてもよい。また、枠体11に、横桟15を設けた態様に代えて、または加えて、上下方向に長尺な縦桟を設けた構成としてもよい。
これら四周枠12,13,13,14及び横桟15は、合板やLVL(単板積層材)等の木質積層板や、PB(パーティクルボード)等の木質ボード、MDF(中密度繊維板)やハードボード等の木質繊維板などの木質系材料から形成されたものとしてもよい。また、木質系材料としては、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材(WPC)としてもよい。また、枠体11は、このような木質系材料から形成されたものに限られず、合成樹脂系材料や金属系材料から形成されたものでもよい。
この表面化粧パネル20を構成する化粧層21は、本実施形態では、薄シート状とされた化粧シート21とされている。この化粧シート21としては、天然木材(銘木)から形成された突板等の単板(化粧単板)や、木目柄等の種々の柄(模様)が印刷された化粧印刷紙や合成樹脂系の樹脂シート(フィルム)等としてもよい。樹脂フィルムとしては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が例示される。また、樹脂フィルムの厚さとしては、例えば、0.02mm〜1.0mm、好ましくは0.05mm〜0.2mm、更に好ましくは0.06mm〜0.12mmの範囲が例示される。
また、この表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22(図2(a)参照)は、樹脂主成分が後記する繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24(図2(c)参照)の樹脂主成分と同一とされている。これら樹脂組成物22,24としては、無発泡性または低発泡性の樹脂が例示される。例えば、これら樹脂組成物22,24の樹脂主成分としては、ウレタン(ポリウレタン)樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂等を単独または2種類以上を併用したものが例示される。
繊維シート25としては、ガラス繊維や炭素繊維、鉱物繊維等の強化繊維の織布や不織布、マット等が例示される。ガラス繊維の織布としては、例えば、縦糸及び横糸にガラスロービングを用いて製織した平織、絡み織等の織物であるガラスクロス等が例示される。ガラス繊維の不織布としては、例えば、長さ約10mmのガラス繊維を水中分散させた後に、湿式抄紙法によってすくい取り、脱水、シート化させて、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の接着剤を塗布したものであるガラスペーパー等が例示される。ガラス繊維のマットとしては、長繊維状(例えば、長さ30mm前後、好ましくは長さ50mm前後)に切断したガラスストランドを、無方向に均等に分散させ、ポリエステルバインダー等の結合剤を用いてマット状に成形したものであるガラスマット等が例示される。
繊維シート25の目付けとしては、例えば、150g/m2以上700g/m2以下の範囲が例示される。この繊維シート25の目付けが小さ過ぎれば、強度が低下する傾向がある一方、大き過ぎれば、重くなる傾向がある。繊維シート25としてガラスクロスを用いる場合は、目付けを200g/m2以上としてもよい。また、繊維シート25としてガラスペーパーを用いる場合は、目付けを50g/m2以上としてもよい。また、繊維シート25としてガラスマットを用いる場合は、目付けを300g/m2以上としてもよい。また、繊維シート25としては、このようなガラス繊維シートのうちガラスマットまたはガラスクロスが好ましい。
また、樹脂組成物24の繊維シート25への含浸は、樹脂組成物24を貯留する容器内に繊維シート25を浸漬させた後に、余剰分を適宜、絞り取る態様や、繊維シート25にスプレーやローラー等によって塗布する態様としてもよい。または、後記する好ましい製法のように、上記した表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が硬化または半硬化の状態で、その反化粧シート側にスプレーやローラー等によって塗布された樹脂組成物24に繊維シート25を積層することで、繊維シート25に結果的に樹脂組成物24が含浸される態様等としてもよい。
これら表面化粧パネル20,20は、互いに同様の構成とされ、パネル芯材10の角部に応じた位置となるように、裏面側に折曲溝(角部折曲溝)27,27,27,27を設けた構成とされている。また、本実施形態では、これら表面化粧パネル20,20の裏面側に、角部折曲溝27,27,27,27に加えて、パネル芯材10の差込溝13a,13aの両開口縁に応じた位置となるように、端部折曲溝28,28,28,28を設けた構成としている。
各表面化粧パネル20,20は、これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28の部位において残存する少なくとも化粧シート21の部位がヒンジ部(折曲部)のように機能し、これらの部位において折り曲げ可能とされている。
また、本実施形態では、これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28を、溝底が表層側樹脂層23に位置するように設けた構成としている(図1(b)参照)。つまり、これら角部折曲溝27及び端部折曲溝28を、溝底が表層側樹脂層23に留まり、化粧シート21に達しないように、かつ繊維強化樹脂層26の厚さ方向の全体に亘って設けた構成としている。
また、角部折曲溝27,27は、パネル芯材10の厚さ方向一方面に沿わせられる表面化粧パネル20の表面側片部20aと、パネル芯材10の幅方向各端面に沿わせられる側端面片部20b,20bと、の境界部に位置するように設けられている。
また、端部折曲溝28,28は、側端面片部20b,20bと、パネル芯材10の差込溝13a,13aに差し込まれる差込片部20c,20cと、の境界部に位置するように設けられている。パネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20の差込片部20c,20c,20c,20cは、パネル芯材10の差込溝13a,13aに嵌め込まれるように納められる。
上記構成とされたパネル厚さ方向両側の表面化粧パネル20,20がパネル芯材10の四周表面に貼着されて当該化粧パネル1の四周表面が化粧面とされる。これら表面化粧パネル20,20のパネル芯材10への貼着は、上記同様な適宜の接着剤等を用いてなされたものでもよい。
本実施形態では、化粧シート21の裏面に表層側樹脂層23を構成する未硬化の樹脂組成物22を供給した後に、表層側樹脂層23の裏面側に位置するように繊維強化樹脂層26を形成して表面化粧パネル20を製造する構成としている。
また、本実施形態では、互いに向き合う面が平坦面とされた上下の成形型2,3を用いて表面化粧パネル20を製造する構成としている。このような成形型2,3としては、樹脂組成物22,24の種類にもよるが、硬化に加熱を要する場合には、ヒーターや熱媒体が流通される媒体流通路が設けられたものでもよい。つまり、成形型2,3を、ホットプレスとしてもよい。
つまり、図2(b)、(c)に示すように、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が硬化または半硬化すれば、繊維強化樹脂層26を構成する未硬化の樹脂組成物24を塗り重ねるように塗布する。そして、図2(d)に示すように、この樹脂組成物24が含浸するように、繊維シート25を積層する。この際、繊維シート25が表層側樹脂層23内に略移動しないように表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が半硬化または完全硬化した後に、繊維強化樹脂層26を構成する未硬化の樹脂組成物24及び繊維シート25を配するようにしてもよい。
上記のような工程を経て表面化粧パネル20が製造される。そして、この表面化粧パネル20を、化粧パネル1の表面材として用いる場合には、適宜、裏面側に上記のような角部折曲溝27及び端部折曲溝28を設け、パネル芯材10に貼着し、化粧パネル1を製造するようにしてもよい。
また、本実施形態では、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22が硬化または半硬化すれば、繊維シート25に先だって、繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24を供給する構成としている。従って、表層側樹脂層23を構成する樹脂組成物22上に載置された繊維シート25に対して繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24を供給して含浸させる態様と比べて、表層側樹脂層23と繊維強化樹脂層26との境界剥離等を効果的に防止することができる。
また、上記した本実施形態に係るパネル製造方法の各工程の順序等は一例に過ぎず、別順序でなされるものでもよく、種々の変形が可能である。
つまり、化粧面を構成する化粧シート21と繊維強化樹脂層26との間に、繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24と樹脂主成分が同一の表層側樹脂層23を介在させた構成としている。従って、従来のMDF等の木質板を基材とした表面材に比べて、吸放湿等による寸法変化が生じ難くなり、寸法安定性を向上させることができる。また、化粧シート21の裏面側に表層側樹脂層23を設けた構成としているので、化粧シート21を薄くした場合にも、繊維強化樹脂層26に含まれる繊維による凹凸が表面に生じ難くなり、表面平滑性を向上させることができ、表面の外観を向上させることができる。また、繊維強化樹脂層26を構成する樹脂組成物24と樹脂主成分が同一の表層側樹脂層23としているので、各層における馴染み性を向上させることができ、境界剥離等を生じ難くすることができる。
また、本実施形態では、パネル芯材10のパネル厚さ方向両側のそれぞれに表面化粧パネル20,20を設けた構成としている。従って、パネル厚さ方向両面側を、上記のような外観を向上させた化粧面とすることができる。
また、本実施形態では、パネル芯材10を、四周枠12,13,13,14を含む枠体11で囲まれた空間にコア材16が収容された構成としている。従って、パネル芯材10をコア材16のみや三辺以下に桟材を設けたようなものとした場合と比べて、化粧パネル1の強度を向上させることができ、建具等として好適に用いることができる。また、中実状のパネル芯材10としたものと比べて、軽量化を図ることができる。
図4は、第2実施形態に係る表面化粧パネルの一例を模式的に示す図である。
なお、上記第1実施形態との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。
また、この表面化粧パネル20Aは、適宜の接着剤や粘着材等によって巾木6に取り付けられるものとしてもよい。
なお、本実施形態では、表面化粧パネル20Aを、既設の巾木6を覆う巾木カバーとした例を示しているが、このような態様に限られず、既設の開口枠や窓枠、廻縁等の他の既設内装建材を覆うカバー等として用いられるものでもよい。
また、上記各実施形態では、化粧層を、化粧シート21とした例を示しているが、このような態様に限られず、塗膜層等としてもよい。
各実施例1,2及び比較例では、いずれも、化粧層としての化粧シートを、0.06mm厚のポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムとした。
実施例1,2では、表層側樹脂層を構成する樹脂組成物を、無発泡性(発泡倍率1倍)のポリウレタン樹脂とし、化粧シート裏面側への塗布量を50g/m2とした。また、型温度を48℃とし、15分放置した後に、繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物を塗布した。実施例1では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物を、上記同様、無発泡性(発泡倍率1倍)のポリウレタン樹脂とし、塗布量を150g/m2とした。実施例2では、繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物を、発泡倍率1.5倍のポリウレタン樹脂とし、塗布量を150g/m2とした。また、実施例1,2では、目付けが200g/m2のガラスマットを、樹脂組成物が含浸するように樹脂組成物上に載置し、上下の成形型を用いて圧締し、15分放置して樹脂組成物を硬化させた。実施例1では、表層側樹脂層の厚さが0.05mm、繊維強化樹脂層の厚さが0.4mmであった。
また、各実施例1,2及び比較例の表面化粧パネルの裏面に、溝長手方向に見て略V字溝状の折曲溝を少なくとも化粧シートを残存させるように(実施例1,2では、溝底が表層側樹脂層に位置するように)設けた。
<表面外観評価>
各実施例1,2及び比較例の表面化粧パネルの表面を目視観察し、評価した。結果は、図5に示すように、実施例1及び実施例2では、表面に目立つようなガラス繊維による凹凸が生じておらず、比較例では、表面にガラス繊維による凹凸が目立つ結果となった
<引っかき硬度試験>
各実施例1,2及び比較例の表面化粧パネルの表面に対して、JIS K5600−5−4(引っかき硬度(鉛筆法))に準拠し、硬度Hの鉛筆を用いて引っかき硬度試験を行い、表面の傷跡の有無を目視観察し、評価した。結果は、図5に示すように、実施例1及び実施例2では、表面に目立つような傷跡が生じておらず、比較例では、表面に傷跡が目立つ結果となった。
各実施例1,2及び比較例の表面化粧パネルを、折曲溝において折り曲げ、角部表面を目視観察した。結果は、図5に示すように、実施例1及び実施例2では、角部表面に目立つような歪みや凹凸が生じておらず、比較例では、角部表面に歪みや凹凸が目立つ結果となった。
以上の結果から、実施例1,2の各表面化粧パネルは、比較例と比較して、表面外観及び表面硬度に優れ、また、折り曲げ後の角部外観も優れ、良好な結果となった。
10 パネル芯材
20,20A 表面化粧パネル
21 化粧シート(化粧層)
22 樹脂組成物(表層側樹脂層を構成する樹脂組成物)
23 表層側樹脂層
24 樹脂組成物(繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物)
26 繊維強化樹脂層
27 角部折曲溝(パネル芯材の角部に応じた折曲溝)
28 端部折曲溝(折曲溝)
29 折曲溝
Claims (5)
- 化粧面を構成する化粧層と繊維強化樹脂層との間に、前記繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物と樹脂主成分が同一で厚さが0.05mm〜0.5mmの表層側樹脂層が介在されており、
前記繊維強化樹脂層は、目付が150g/m 2 〜700g/m 2 で厚さが0.1mm〜0.3mmのガラスクロスに100g/m 2 〜300g/m 2 の樹脂組成物が含浸された構成とされ、当該表面化粧パネルの厚さが0.5mm〜5.0mmであることを特徴とする表面化粧パネル。 - 化粧面を構成する化粧層と繊維強化樹脂層との間に、前記繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物と樹脂主成分が同一の表層側樹脂層が介在されており、
当該表面化粧パネルの裏面側には、溝底が前記表層側樹脂層に位置するように折曲溝が設けられていることを特徴とする表面化粧パネル。 - 請求項2において、
前記表層側樹脂層を構成する樹脂組成物の発泡倍率は、前記繊維強化樹脂層を構成する樹脂組成物の発泡倍率以下であることを特徴とする表面化粧パネル。 - パネル芯材と、このパネル芯材の角部に応じた位置となるように前記折曲溝が設けられ、このパネル芯材に貼着される請求項2または3に記載の表面化粧パネルと、を備えていることを特徴とする化粧パネル。
- 化粧シートの裏面に表層側樹脂層を構成する未硬化の樹脂組成物を供給した後に、前記表層側樹脂層の裏面側に位置するように繊維強化樹脂層を形成して表面化粧パネルを製造し、該表面化粧パネルの裏面側に、溝底が前記表層側樹脂層に位置するように折曲溝を設けることを特徴とするパネル製造方法。
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