WO2017094254A1

WO2017094254A1 - 化粧パネル及びパネル製造方法

Info

Publication number: WO2017094254A1
Application number: PCT/JP2016/004998
Authority: WO
Inventors: 一哲梅岡; 前田　直彦; 正彦松尾; 新開　弘一; 剛倉員; 章彦田中; 克洋八木; 雅石井
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2015-11-30
Filing date: 2016-11-29
Publication date: 2017-06-08

Abstract

化粧パネル（１）は、ハニカムコア（２１）を有する芯層（２）と、この芯層（２）の表裏の両面側に配設された化粧シートからなる化粧層（３，３）と、を備えており、芯層と化粧層とが、両者の間に介設された樹脂含浸繊維シート層（４，４）により接着されている。

Description

化粧パネル及びパネル製造方法

　本発明は、化粧パネル及びパネル製造方法に関する。

　従来より、開き戸や引き戸などの建具等として、中空軽量な芯層の表裏の両面に、化粧層を備える化粧パネルが広く知られている。このような化粧パネルとして、例えば、芯層にハニカムコアを用いたものが知られている。

　従来のハニカムコアを用いた化粧パネルにおいては、軽量化が可能とされるものの、強度面に配慮が必要であることから、通常は、化粧パネル表面の強度、硬度を保つために硬質の板状化粧層が用いられている。

　また、ハニカムコアの表裏面には多数のセルが開口しており、接着可能な断面積が小さいことから、硬質の板状化粧層と芯層との接着についての工夫が施されている。例えば、化粧層と芯層の間に板状あるいはシート状の中間層を設け、その表裏面に接着剤を塗布し、化粧層と芯層とを接着する。

　このような中間層としては、例えば、MDF（中密度繊維ボード、Medium density fiberboard）などが用いられている。ただ、MDFは木質繊維を豊富に含んでいるため、接着剤に含まれる水分を吸湿し、寸法変化が大きくなるという問題があり、防湿シート等を貼付する必要があった。

　一方、寸法変化を抑えつつ、接着剤による接着強度を改善することを目的として、硬質の板状化粧層とハニカムコアの間に、ガラス繊維等の糸状素材あるいは紙、布等からなる軟質芯材に熱硬化性樹脂を含浸させた接着層を介在させて接着するようにした化粧パネルが提案されている（特許文献１参照）。

特開平３－９０３４０号公報

　しかしながら、特許文献１に記載された化粧パネルにおいても、化粧層にFRP、金属板等の硬質基板を用いていることから、パネル構成の軽量化の観点からは制約があり、また基板表面への化粧シートの貼付等の作業工程が欠かせず、意匠性の向上にも難点があった。

　本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、軽量化や意匠性の向上を図ることができ、生産性が高く、かつ化粧層が薄くても表面の硬度や強度、表面平滑性及び寸法安定性等が良好な化粧パネル並びにこのような化粧パネルを効果的に製造し得るパネル製造方法を提供することを課題としている。

　上記の課題を解決するために、本発明の化粧パネルは、ハニカムコアを有する芯層と、前記芯層の表裏の両面側に配設された化粧シートからなる化粧層と、を備えており、前記芯層と前記化粧層とが、両者の間に介設された樹脂含浸繊維シート層により接着されていることを特徴とする。

　また、上記の課題を解決するために、本発明のパネル製造方法は、ハニカムコアを有する芯層の表裏両側に、樹脂含浸繊維シート層を構成する繊維シート及び未硬化の樹脂組成物をそれぞれに介在させて表裏両側の化粧層を構成する化粧シートを配した状態で、表裏両側から圧締して樹脂組成物を硬化させて化粧パネルを製造することを特徴とする。

　本発明の化粧パネルによれば、軽量化や意匠性の向上を図ることができ、生産性が高く、かつ化粧層が薄くても表面の硬度や強度、表面平滑性及び寸法安定性等が良好な化粧パネルが実現される。また、本発明のパネル製造方法によれば、このような化粧パネルを効果的に製造することができる。

（Ａ）は、本発明の一実施形態に係る化粧パネルの一例を模式的に示した一部切欠斜視図、（Ｂ）は、（Ａ）におけるＸ１－Ｘ１線矢視に対応させた断面図である。（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）は、同化粧パネルの製造方法の一例における断面を例示した図である。（Ａ）は、繊維シートに樹脂を含浸させる工程における断面図を示しており、（Ｂ）は一体成形後の樹脂含浸繊維シート層と芯層の断面図である。（Ｃ）は、（Ｂ）の円でかこまれた領域の拡大図であり、（Ｄ）は、（Ｃ）の樹脂含浸繊維シート層の断面を模式的に表した図である。同実施形態の一変形例に係る化粧パネルの一例が芯層に枠体を有する場合の分解斜視図である。（Ａ）（Ｂ）は、枠体に補強材を設け、化粧層の表面に取っ手を取り付けて開き戸とした建具を示した平面概略図、（Ｃ）（Ｄ）は、化粧層の表面に凹部を設け、この凹部に金具を取り付けて引き戸とした建具を示した平面概略図である。（Ａ）（Ｂ）は、同実施形態の一変形例に係る化粧パネルの一例の芯層の端部を化粧層及び樹脂含浸繊維シート層によって被覆する例を示した要部断面図である。（Ａ）は、一方の化粧層及び樹脂含浸繊維シート層が延設され、樹脂含浸繊維シート層の芯層側の面にＶ字溝（折曲溝）が設けられていることを示している。（Ｂ）は、（Ａ）のＶ字溝において延設された一方の化粧層及び樹脂含浸繊維シート層を折り曲げて、化粧パネルの芯層の端部を被覆した状態を示している。（Ｃ）（Ｄ）は、同実施形態の一変形例に係る化粧パネルの一例の芯層の端部を化粧層によって被覆する例を示した要部断面図である。（Ｃ）は、一対の対向する化粧層が延設されていることを示している。（Ｄ）は、延設された一対の対向する化粧層を折り曲げて重ね、化粧パネルの芯層の端部を被覆した状態を示している。（Ｅ）は、化粧層とは別体の端部化粧材を貼付して、化粧パネルの芯層の端部を被覆した状態を示した要部断面図である。（Ａ）（Ｂ）は、Ｖ字溝（折曲溝）を有する樹脂含浸繊維シート層と化粧層の端部を折り曲げた状態で枠体を有する芯層の端部を被覆する工程を例示した概要断面図である。（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）（Ｆ）は、同実施形態の一変形例に係る化粧パネルの一例及びそのパネル製造方法の一例を模式的に示した概要断面工程図である。（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）（Ｆ）は、同実施形態の一変形例に係る化粧パネルの一例及びそのパネル製造方法の一例を模式的に示した概要断面工程図である。（Ａ）は、同パネル製造方法において、樹脂含浸繊維シート層に形成される折曲溝の変形例を示した概要断面図である。（Ｂ）は、スペーサー型の一例を示した斜視図である。（Ｃ）は、スペーサー型の変形例を示した側面図である。（Ｄ）は、スペーサー型の別の変形例を示した側面図である。（Ａ）（Ｂ）は、本発明の他の実施形態に係る化粧パネルの一例を模式的に示し、（Ａ）は、一部破断概略横断面図、（Ｂ）は、同化粧パネルのパネル製造方法の一例を模式的に示し、（Ａ）に対応させた一部破断概略横断面図である。（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）は、同パネル製造方法の一例を模式的に示す一部破断概略側面図である。（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）は、本発明の更に他の実施形態に係る化粧パネルの一例を模式的に示し、（Ａ）は、（Ｂ）におけるＸ２－Ｘ２線矢視に対応させた一部破断概略横断面図、（Ｂ）は、一部破断概略正面図、（Ｃ）は、同化粧パネルが備える芯層の一例を模式的に示す一部破断概略正面図、（Ｄ）は、同芯層の一部破断概略平面図である。（Ａ）（Ｂ）（Ｃ）（Ｄ）（Ｅ）は、同化粧パネルのパネル製造方法の一例を模式的に示し、図１２（Ａ）におけるＹ部に対応させた一部破断概略横断面図である。

　本発明の化粧パネル及びパネル製造方法について、図面に基づいて以下に説明する。
　なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
　また、以下の各実施形態では、一方向に長尺状とされた化粧パネルを、長手方向を上下方向に沿わせて配した状態を基準として、上下方向等の方向を説明する。

　図１（Ａ）は、本発明の化粧パネルの一実施形態（第１実施形態）を示した一部切欠斜視図、（Ｂ）は、（Ａ）に示した化粧パネルのＸ１－Ｘ１断面図である。
　図１（Ａ）、（Ｂ）に示したように、化粧パネル１は、ハニカムコア２１を有する芯層２と、芯層２の表裏の両面側に配設された化粧シートからなる化粧層３，３と、を備えている。この化粧パネル１では、芯層２と化粧層３，３とが、両者の間に介設された樹脂含浸繊維シート層４，４により接着されている。

　この化粧パネル１は、図１（Ａ）に示すように、一方向に長尺な略矩形平板状とされている。この化粧パネル１は、出入口や収納開口を開閉する建具パネルやパーティション等の間仕切パネル、家具構成部材等として用いられるものとしてもよい。
　また、化粧パネル１は、パネルの一部、例えば、框状パネルの框部や鏡板部を構成するように用いられるものでもよい。例えば、複数の化粧パネル１を建具の框材として用い、面材等と組み合わせ、接合固定することによって建具とすることや、このような框材を用いた建具においては、框材の対向する面に溝部を設け、溝部にガラス等の透光性板材を嵌め込み、透光性を備えた建具とすることもできる。また、化粧パネル１は、天井パネルや壁パネル（間仕切壁パネル）、腰壁パネル、床パネル、巾木パネル、廻縁パネル、開口枠パネル等として用いられるものでもよい。

　また、この化粧パネル１の長さ寸法（上下寸法、高さ寸法）や、幅寸法、厚さ寸法等は、当該化粧パネル１の用途等に応じて、適宜の寸法としてもよい。
　例えば、化粧パネル１を、建具パネルとして用いられるものとした場合には、当該化粧パネル１の上下寸法（戸高寸法）を１８００ｍｍ～３０００ｍｍ程度とし、戸幅寸法を６００ｍｍ～１２００ｍｍ程度とし、戸厚寸法を２０ｍｍ～４０ｍｍ程度としてもよい。

　芯層２は、パネル芯材を構成する。この芯層２を構成するハニカムコア２１としては、通常、フラッシュ構造を有するパネル等に用いられるハニカムコア（ハニカム状のコア材）であれば特に限定されないが、化粧パネル１の強度や耐久性、寸法安定性等を考慮すると、クラフト紙、ボール紙、段ボール、プラスチック成形品等を用いることが好ましい。このようなハニカムコア２１としては、パネル厚さ方向両側に開口する多数の中空筒状セルの集合体からなるいわゆるペーパーコアとしてもよい。また、このようなハニカムコア２１としては、段ボール原紙やクラフト紙等の紙材を接着剤で重積接着して形成されたものでもよい。また、ハニカムコア２１としては、このような紙材に、エポキシ樹脂等の補強用の樹脂を更に含浸させたものでもよく、その他、アルミ材等の金属系材料や硬質ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂系材料から形成されたものでもよい。

　本実施形態では、ハニカムコア２１を、断面形状が正六角形のセル２２が、隣接するセル２２と正六角形の一辺に相当する壁面を共有し、多数連結された構成とされたものとしている。本実施形態の化粧パネル１に用いられるハニカムコア２１においては、セル２２の断面形状は、上記の正六角形（蜂の巣状）に限定されるものではなく、縦長や横長の六角形、四角形、台形、円形、波形（図１２（Ｃ）参照）等その他各種形状をとるものであってもよい。

　ハニカムコア２１のセル２２の平均径（セルサイズ（セル径、セル幅））は、軽量化を図る観点や強度上の観点等から適宜のサイズとしてもよく、１ｍｍ以上１００ｍｍ以下としてもよく、好ましくは、５ｍｍ以上１５ｍｍ以下としてもよい。このハニカムコア２１のセル２２の平均径としては、後述の繊維シート４１（図２参照）の目付けにもよるものの、例えば、１０ｍｍ前後、好ましくは１０ｍｍ以下の範囲が例示される。セル２２の平均径が上記の範囲内であれば、軽量さと強度を兼ね備えた芯層２、ひいては化粧パネル１が実現される。

　化粧層３は、薄シート状とされた化粧シートから構成されている。この化粧層３としては、天然木材（銘木）から形成された突き板（化粧単板）や、木目柄等の種々の柄（模様）が印刷された印刷化粧紙や合成樹脂系の樹脂フィルム（樹脂シート）等としてもよく、突き板または樹脂フィルムとしてもよい。
　化粧層３を構成する樹脂フィルムとしては、通常、化粧パネルや化粧ボードの製造に用いられているものであれば特に限定されない。例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレン樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム、ポリプロピレン樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ウレタン樹脂フィルム等が例示される。

　樹脂フィルムの厚さとしては、例えば、０．０２ｍｍ～１．０ｍｍ、好ましくは０．０５ｍｍ～０．２ｍｍ、更に好ましくは６０μｍ～１２０μｍ（０．０６ｍｍ～０．１２ｍｍ）の範囲が例示される。化粧層３の強度特性、ハンドリング性等を考慮すると、上記範囲とするのが好ましい。樹脂フィルムとしては、この他、メラミン樹脂板、フェノール樹脂板、又はこれらを用いた不燃面材を用いることもできる。

　化粧層３を構成する突き板としては、通常、化粧パネルや化粧ボードの製造に用いられているものであれば特に限定されない。例えば、厚さ０．２ｍｍ～１．０ｍｍの木質の薄板等が例示される。
　また、化粧層３を突き板とする場合には、化粧層３の表面平滑性や強度等を考慮すると、樹脂含浸繊維シート層４と対向する面に、接着剤を介して不織布等が貼着され、裏打ち補強されていることが好ましい。

　この場合の接着剤としては、突き板に水分が移行しにくい非水溶性接着剤が好ましく例示される。非水溶性接着剤としては、例えば、溶液型のアクリル共重合体、合成ゴム系の接着剤、熱可塑性合成樹脂であるホットメルト系の接着剤を単独または２種類以上を併用したもの等を例示することができる。ホットメルト系接着剤としては、例えば、エチレン酢酸ビニル（ＥＶＡ）やウレタン系ホットメルト（ＰＵＲ）等が例示される。また、エポキシ樹脂系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系の接着剤等を単独または２種類以上を併用したものを例示することができる。
　なお、化粧パネル１の表裏面においては、同一の材料を化粧層３として用いてもよいし、表裏面でそれぞれ異なる材料を用いてもよい。

　樹脂含浸繊維シート層４は、繊維シート４１に、未硬化の樹脂組成物（樹脂）４２が含浸されこの樹脂組成物４２が硬化した構成とされている（図２参照）。この樹脂含浸繊維シート層４は、繊維強化樹脂層とも言い得る。
　この樹脂含浸繊維シート層４の厚さは、化粧パネル１の用途等に応じて選択される繊維シート４１の種類や目付け、厚さ等に応じて、適宜の厚さとしてもよい。この樹脂含浸繊維シート層４の厚さとしては、例えば、０．１ｍｍ～１．０ｍｍ程度でもよく、好ましくは０．２ｍｍ～０．６ｍｍ程度でもよい。
　また、ここで「繊維」とは、固体としての形状は、その断面の径または長さよりも、断面直交方向の長さが大きい、いわゆるファイバー、ウィスカー、ロッド等と呼ぶことができる各種のものであってよい。

　繊維シート４１としては、ガラス繊維や炭素繊維、鉱物繊維等の強化繊維の織布や不織布、マット等が例示される。この繊維シート４１としては、ガラス繊維の織布、不織布またはマットが好ましく採用される。ガラス繊維の織布としては、例えば、縦糸及び横糸にガラスロービングを用いて製織した平織、絡み織等の織物であるガラスクロス等が例示される。ガラスクロスの場合、平織のガラスクロスが好ましい。ガラス繊維の不織布としては、例えば、長さ約１０ｍｍのガラス繊維を水中分散させた後に、湿式抄紙法によってすくい取り、脱水、シート化させて、エポキシ樹脂、アクリル樹脂等の接着剤を塗布したものであるガラスペーパー等が例示される。ガラス繊維のマットとしては、長繊維状（例えば、長さ３０ｍｍ前後、好ましくは長さ５０ｍｍ前後）に切断したガラスストランドを、無方向に均等に分散させ、ポリエステルバインダー等の結合剤を用いてマット状に成形したものであるガラスマット等が例示される。

　繊維シート４１の厚さとしては、例えば、０．１ｍｍ～０．５ｍｍの範囲が例示される。また、繊維シート４１をガラスマットとした場合には、厚さを、０．３ｍｍ～０．５ｍｍ程度としてもよく、ガラスクロスとした場合には、厚さを、０．１ｍｍ～０．３ｍｍ程度としてもよい。また、ガラスクロスの密度としては、例えば、３０～１２０本／２５ｍｍのものが例示される。また、ガラスクロスを構成するガラス糸の番手（太さ）としては、例えば、６７～１３５ｔｅｘ（ｇ／１０００ｍ）の範囲が例示される。

　繊維シート４１の目付けとしては、例えば、１５０ｇ／ｍ^２以上７００ｇ／ｍ^２以下の範囲が例示され、好ましくは１５０ｇ／ｍ^２以上３５０ｇ／ｍ^２以下の範囲が例示される。この繊維シート４１の目付けを小さくし過ぎれば、強度が低下する傾向がある一方、大きくし過ぎれば、重くなる傾向がある。また、繊維シート４１の目付けが上記の範囲内であれば、得られる化粧パネル１が所望の表面強度と表面平滑性を発揮することができる。繊維シート４１としてガラスクロスを用いる場合は、目付けを２００ｇ／ｍ^２以上としてもよい。また、繊維シート４１としてガラスペーパーを用いる場合は、目付けを５０ｇ／ｍ^２以上としてもよい。また、繊維シート４１としてガラスマットを用いる場合は、目付けを１００ｇ／ｍ^２以上としてもよく、目付けを３００ｇ／ｍ^２以上としてもよい。また、繊維シート４１としては、このようなガラス繊維シートのうちガラスマットまたはガラスクロスが好ましい。

　また、繊維シート４１としては、上記のガラス繊維の織布、不織布またはマット（ガラス繊維シート）を複数枚積層したものや、ガラス繊維シートと、植物繊維の織布、不織布、フィルム、紙またはマットと、が積層されたものでもよい。植物繊維としては、通常、植物繊維マットや製紙に用いられる植物繊維であれば特に限定されないが、繊維シート４１の強度や耐久性、寸法安定性等を考慮すると、麻系天然繊維、ヤシ繊維及び農産廃棄物繊維のうちのいずれか１種以上であることが好ましい。

　この繊維シート４１に含浸される樹脂組成物（樹脂）４２としては、無発泡性または低発泡性の樹脂が例示される。例えば、この樹脂組成物４２の樹脂主成分としては、ウレタン（ポリウレタン）樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、フェノール樹脂等を単独または２種類以上を併用したものが例示される。
　一方、特許文献１に記載された化粧パネルのように、液状の不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂を用いた場合、硬質基板の接着用としては優れているが、ハニカムコア２１との接着においてはその性能、取り扱い性、コスト等の観点において必ずしも満足できるものではない。

　樹脂組成物４２が発泡樹脂の場合には、その種類にもよるが、発泡倍率が７倍以下、より好ましくは５倍以下の低発泡性のものでもよい。また、樹脂組成物４２としては、ウレタン樹脂が好適なものとして例示されるが、この場合には、発泡倍率が１倍～５倍、より好ましくは１倍～３倍、さらに好ましくは１倍～２倍のものでもよい。樹脂組成物４２を、このようなウレタン樹脂とした場合には、繊維シート４１への含浸性と化粧層３の樹脂フィルム、突き板、そして芯層２のハニカムコア２１との接着性において優れ、しかもバランスがとれたものとなる。また、ウレタン樹脂としては、耐水性を有したエーテル系やひまし油系のウレタン樹脂が好ましく例示される。なお、樹脂組成物４２には、硬化剤や難燃材等の各種添加剤を添加することができる。

　また、樹脂含浸繊維シート層４に、遮光性顔料を含有させた構成としてもよい。このような遮光性顔料としては、黒色顔料や、黒色以外の赤色や青色等の他の色の比較的に濃色な顔料、複数色の顔料を混合した顔料などでもよく、比較的に隠蔽性の高い淡色な顔料が挙げられる。また、遮光性顔料としては、隠蔽性や分散性の良好な顔料が好ましく採用され、隠蔽性の観点からは、無機顔料としてもよい。このような隠蔽性や分散性等の観点から遮光性顔料としてカーボンブラックを採用するようにしてもよい。また、カーボンブラック以外の黒色顔料としては、グラファイトなどの炭素系黒色顔料や、鉄や銅、クロムなどの酸化物からなる酸化物系黒色顔料、チタンブラックなどが挙げられるが、その他、種々の黒色顔料でもよい。比較的に濃色な顔料としては、弁柄等の酸化鉄が挙げられ、また、隠蔽性の高い淡色な顔料としては、酸化チタンや亜鉛華（酸化亜鉛）が挙げられるが、その他、種々の顔料でもよい。また、樹脂組成物４２中に含まれる遮光性顔料の含有率は、樹脂組成物４２の組成や遮光性顔料の種類、樹脂含浸繊維シート層４の厚さ等に応じて、樹脂含浸繊維シート層４に遮光性が付与されるように適宜の含有率としてもよい。この樹脂組成物４２中に含まれる遮光性顔料の含有率を低くし過ぎれば、遮光性が低下する傾向がある。一方、樹脂組成物４２中に含まれる遮光性顔料の含有率を高くし過ぎれば、樹脂の凝集力が低下する傾向があり、樹脂含浸繊維シート層４を含む表面層の剥離強度や曲げ強度が低下する傾向がある。このような観点等から、樹脂組成物４２中に含まれる遮光性顔料の含有率を、好ましくは、１～５質量％としてもよく、より好ましくは２～３質量％としてもよい。

　樹脂含浸繊維シート層４においては、繊維シート４１への樹脂組成物４２の含浸量の増加にともなって、一体成形後の化粧パネル１の表面強度、表面平滑性及び寸法安定性等の物性が向上する。
　この繊維シート４１に含浸させる樹脂組成物４２の量は、繊維シート４１の厚さや、樹脂含浸繊維シート層４の所望する厚さ、化粧パネル１の表面強度や表面平滑性、寸法安定性、コスト等の観点から適宜の量としてもよい。例えば、繊維シート４１に含浸させる樹脂組成物４２の量を、１００ｇ／ｍ^２以上としてもよく、好ましくは１５０ｇ／ｍ^２以上としてもよい。また、製造コスト等の観点からは、繊維シート４１に含浸させる樹脂組成物４２の量を、３００ｇ／ｍ^２以下としてもよく、好ましくは２５０ｇ／ｍ^２以下としてもよい。つまり、繊維シート４１に含浸させる樹脂組成物４２の量としては、１５０ｇ／ｍ^２以上、２５０ｇ／ｍ^２以下の範囲が好ましく例示される。

　また、樹脂組成物４２の繊維シート４１への含浸は、例えば、繊維シート４１の上方からスプレー塗布やローラー塗布によって一様に塗布する態様が例示される。また、化粧層３を構成する化粧シート（例えば、樹脂フィルムまたは突き板）の裏面にスプレー塗布やローラー塗布によって樹脂組成物４２を一様に塗布した後に、繊維シート４１を載置して繊維シート４１に樹脂組成物４２を含浸させてもよい。さらには、樹脂組成物４２を貯留する容器内に繊維シート４１を浸漬させた後に、余剰分を適宜、ローラー等で絞り取り、繊維シート４１に樹脂組成物４２を含浸させてもよい。

　このような樹脂含浸繊維シート層４を芯層２と化粧層３との間に介設することにより、良好な硬度と強度の化粧層３の形成と同時に、樹脂含浸繊維シート４を構成する樹脂（樹脂組成物４２）の自己接着性によって、芯層２と化粧層３とをほぼ同時に、一体として接着結合して積層することができる。これにより、薄い樹脂フィルムまたは突き板を用いた化粧層３を配設することができる。そして、化粧パネル１の軽量化を図ることができ、意匠の選択性や多様性、自然感等を生かすことができる。また、化粧層３が薄くても、表面硬度や強度が高く、表面平滑性、寸法安定性にも優れた化粧パネル１を一体積層成形で高い生産性をもって実現することができる。
　本実施形態の化粧パネル１は、このような特性を有するので、特に建具用パネルとして好適に用いられる。

　次に、本実施形態に係る化粧パネル１を製造するパネル製造方法の一例について説明する。
　このパネル製造方法は、ハニカムコア２１を有する芯層２の表裏両側（パネル厚さ方向両側）に、樹脂含浸繊維シート層４，４を構成する繊維シート４１，４１及び未硬化の樹脂組成物４２，４２をそれぞれに介在させて表裏両側の化粧層３，３を構成する化粧シートを配した状態で、表裏両側から圧締して樹脂組成物４２，４２を硬化させて化粧パネル１を製造する構成とされている。このように表裏両側から圧締する際に用いられる成形型（金型）としては、樹脂組成物４２，４２の種類にもよるが、硬化に加熱を要する場合には、ヒーターや熱媒体が流通される媒体流通路が設けられたホットプレスとしてもよい。

　まず、上下の成形型のうちの下型の表面（上面）に、所定の大きさに切断した化粧層３を構成する化粧シートを、その裏面（反化粧面）を上向きとした状態で載置する。そして、この化粧シートの裏面上に、繊維シート４１を載置し、この状態で繊維シート４１に含浸させるように未硬化の樹脂組成物４２を供給し、樹脂含浸繊維シート層４を形成するようにしてもよい。樹脂組成物４２の供給態様としては、繊維シート４１に含浸される樹脂組成物４２の量が上記のような一様な量（塗布量）となるように、スプレーやローラー等を用いて塗布するようにしてもよい。

　次に、下型上の繊維シート４１上に、所定の大きさのハニカムコア２１（芯層２）を載置し、この芯層２上に、繊維シート４１を載置する。また、上記と概ね同様にして、この繊維シート４１に含浸させるように未硬化の樹脂組成物４２を供給し、その上に化粧層３を構成する化粧シートを載置する。そして、この化粧シートの表面（上面）に成形型の上型を載置し、上下の成形型を型締めし、適宜のプレス圧等、所定条件で圧締（加圧）して樹脂組成物４２，４２を硬化させるようにしてもよい。また、この際、必要に応じて加熱し、樹脂組成物４２，４２を硬化させるようにしてもよく、また、加熱加圧した後に、成形型を冷却して解圧するようにしてもよい。これにより、化粧層３を構成する化粧シートとハニカムコア２１（芯層２）とは、繊維シート４１に含浸された樹脂組成物４２を介して接着され、化粧パネル１が一体形成される。

　上記のようなパネル製造方法によれば、製造効率を向上させることができる。つまり、樹脂含浸繊維シート４，４を構成する樹脂組成物４２，４２を、化粧層３，３と芯層２とを接合一体化させる接着成分として機能させることができ、別途に接着剤を塗布して積層するようなものと比べて、製造効率を向上させることができる。この芯層２、樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３の一体化接着が可能とされることは、本実施形態において大きな特徴点、利点の一つであり、この一体化接着により、多段階での貼り合わせに比べてはるかに生産性は優れたものとなる。
　なお、繊維シート４１，４１に含浸させた樹脂組成物４２，４２として発泡樹脂を用いた場合には、成形型による加熱加圧により発泡し、繊維シート４１，４１に含浸した状態で発泡体が形成される。

　また、上記したパネル製造方法の各工程やその順序等は一例に過ぎず、種々の変形が可能である。例えば、化粧シート（化粧層３）の裏面（反化粧面）に、未硬化の樹脂組成物４２を一様に供給（塗布）した後に、この樹脂組成物４２が含浸するように繊維シート４１に積層する構成としてもよい。つまり、未硬化の樹脂組成物４２に繊維シート４１を積層することで、繊維シート４１に結果的に樹脂組成物４２が含浸される態様としてもよい。このような構成とすれば、化粧層３の表面平滑性を向上させることができる。この場合、例えば、ハニカムコア２１（芯層２）のパネル厚さ方向両側に、繊維シート４１，４１を予め固定した状態で、それぞれの裏面に樹脂組成物４２，４２が塗布された化粧シートを積層するような態様等としてもよい。または、樹脂組成物４２を含むプリプレグ状の繊維シート４１を、ハニカムコア２１（芯層２）と化粧シート（化粧層３）との間に介在させるような態様等としてもよい。また、バッチ成形的に製造する態様に限られず、連続成形的に製造するような態様としてもよく、その他、種々の変形が可能である。

　例えば、上記のような方法によって製造可能とされる本実施形態の化粧パネル１について、その具体的なパネル構造の特徴を図２により例示することができる。
　図２（Ａ）に示すように、ハニカムコア２１を芯層２として、その表裏両面に配置した繊維シート（例えば、ガラス繊維シート）４１，４１に樹脂組成物（例えば、ウレタン樹脂）４２をスプレー塗布して含浸させ、加熱加圧成形した化粧パネル１では、図２（Ｂ）に示すように、強固な樹脂含浸繊維シート層４，４が形成される。図２（Ｃ）は、図２（Ｂ）の円で囲まれた領域の拡大図であり、ハニカムコア２１と一体となって樹脂含浸繊維シート層４が硬化接着されていることが分かる。しかも、繊維シート４１は、化粧パネル１の表面の硬度や強度等を担保し、樹脂組成物４２と一体となって表面平滑性をも良好としていることが分かる。

　また、化粧パネル１としては、図３に例示したように、芯層２がハニカムコア２１を内側に収納する枠体２３を備えている構成としてもよい。
　枠体２３は、芯層２の長手方向に延び、対向する端縁２ａ，２ａに配置された第１桟材（左右の縦枠）５，５と、芯層２の短手方向に延び、対向する端縁２ｂ，２ｂに配置された第２桟材（上下の横枠）６，６と、を備えている。第２桟材６，６は、第１桟材５，５の長さ方向の両端部のそれぞれにおいて、第１桟材５，５に接合されている。なお、枠体２３は、必ずしも第１桟材５，５と第２桟材６，６の両方を備えている必要はなく、芯層２の対向する一対の端縁２ａ，２ａに第１桟材５，５のみを備えた枠体や、他の一対の対向する端縁２ｂ，２ｂに第２桟材６，６のみを備えた枠体としてもよい。また、枠体２３の組合わせについては、図３の例に限定されることはない。化粧パネル１の枠体２３の内側にはパネル芯材としてのハニカムコア２１が収納されるが、ここでの「内側」の用語は、化粧パネル１の外方ではないことを意味している。そして、「収納」の用語は、必ずしも図３の例のように四周を枠体で囲むことだけではなく、四周の一辺もしくは一部に枠材を配置し、その内側にハニカムコア２１を収めることを含んでいる。
　このように芯層２が、枠体２３を備えている場合、木口面の仕上げがしやすくなる。特に、芯層２の長手方向に延びる第１桟材５，５を備えている枠体２３においては、化粧パネル１を建具として用いた際に、戸当たりが良好となる。また、金具取付用の補強材としての機能の付与も考慮される。

　第１桟材５及び第２桟材６は、比較的反りの少ない材質である限りその種類については特に限定されない。例えば、木質材、金属材または樹脂材や、これらの複合材料等が例示される。
　木質材としては、例えば、無垢の角材、ＬＶＬ（単板積層材、Laminated Veneer Lumber）やＰＢ（パーティクルボード、Particle board）等の木質ボード、ＭＤＦ（中密度繊維板、medium density fiberboard）やハードボード等の木質繊維板などを用いることができる。また、木質材としては、合成樹脂系材料に、木粉や無機フィラー、相溶化剤、着色剤などを所定の含有割合で含有させた木粉・プラスチック複合材（ＷＰＣ）としてもよい。
　第１桟材５及び第２桟材６として木質材を用いる場合は、比較的曲げ強度に優れている無垢の角材やＬＶＬを使用することが好ましく考慮される。第１桟材５及び第２桟材６として木質材を用いた場合、両者の接合が容易となり、枠体２３の軽量化が図られ、ひいては化粧パネル１の軽量化に有効となる。

　金属材としては、例えば、鉄板、鋼板等が例示される。中でもさび等の発生が抑制されたステンレス鋼の鋼板が好ましく例示される。
　第１桟材５と第２桟材６との接合には、一般に、接着剤やステープル、釘、ビス、ボルト及びナット等の固定具等が好ましく用いられる。ステープルは、第１桟材５と第２桟材６の木質材の同一面側からタッカーなどによって打入することができる。このため、両者の固定強度は必要かつ十分に確保される。また、枠体２３に対するハニカムコア２１の固定も、上記同様の固定具等を用いて固定するようにしてもよい。

　図４は、化粧パネル１を、開き戸や引き戸等の建具として利用することも考慮した例を示している。この例では、芯層２を、対向する一対の第１桟材５，５及び第２桟材６，６からなる枠体２３に囲まれた領域の内に、ハニカムコア２１の収納空間を区画して形成することや枠体２３の強度の向上を考慮して、中間桟材７を設けた構成としている。中間桟材７は、例えば、図４（Ａ）、（Ｃ）に示すように、第２桟材６と平行に配置される。その材質は、第１桟材５及び第２桟材６と同種であってもよいし、他種としてもよい。また、枠体２３の長手方向にほぼ等間隔に複数本の中間桟材７を設けた構成としてもよい。また、これら中間桟材７を、その長手方向の両端面を第１桟材５，５に接合させた構成としている。第１桟材５と中間桟材７との接合は、接着剤やステープル、釘、ビス、ボルト及びナット等の固定具を用いて行うことができる。このため、中間桟材７の枠体２３への固定強度は必要かつ十分に確保される。

　また、図４（Ａ）に例示した化粧パネル１は、枠体２３の内部に取っ手の基部等を埋め込むために、金具取付用補強材（取付下地）８を設けた構成とされている。金具取付用補強材８は、例えば、化粧パネル１の長手方向の下端より９０～１２０ｃｍ（９００ｍｍ～１２００ｍｍ）程度の高さ位置で、かつ枠体２３を構成する一方の第１桟材５と当接するように配置されている。金具取付用補強材８は、第１桟材５及び第２桟材６と同等の厚みを有していてもよいし、異なっていてもよい。その材質は、第１桟材５及び第２桟材６と同種であってもよいし、他種とすることもできる。金具取付用補強材８は、図４（Ａ）の例では、複数の部材からなり、一辺を欠いた矩形状に配置されている。

　このように金具取付用補強材８が設けられた芯層２を有する化粧パネル１は、図４（Ｂ）に示すように、例えば、金具取付用補強材８の間の空間に木口からラッチケース（不図示）を挿入し、ラッチケースのハンドル挿入孔にハンドル１０の軸部を取り付け、ハンドル台座を化粧層３の表面にビス等の固定具９を用いて取り付けることにより、１枚の化粧パネル１から建具である開き戸が形成される。この場合、化粧パネル１の適所に、蝶番等の回転連結部材を設けてもよい。
　また、図４（Ｃ）（Ｄ）に示すように、対向する化粧パネル１の化粧層３の表面に設けられた貫通孔１１の両面から引手１２をビス等の固定具９または接着剤を用いて固定することによって、化粧パネル１を引き戸として使用することも可能である。この場合、化粧パネル１の適所に、ランナーや戸車等の走行部材、ガイド溝等を設けてもよい。なお、引手１２は、貫通孔１１に両面から嵌め込まれて固定されるものでもよい。

　また、化粧パネル１としては、化粧層３の少なくとも一方が芯層２の端部（側端面）１４において延設されて折り曲げられた状態で芯層２の側端面１４を被覆する構成とされたものとしていてもよい。また、芯層２の表裏の一方の面に配設された化粧層３と他方の面に配設された化粧層３とが、各々の最端部において相互に接触して芯層２の側端面１４を被覆した構成としてもよい。例えば、一対の対向する化粧層３，３がいずれも延設されており、芯層２の側端面１４において、対向する化粧層３，３が相互に芯層２側に折り曲げられ、かつ重ねられた状態で芯層２の側端面１４を被覆していてもよい。または、一対の対向する化粧層３，３がいずれも延設されており、芯層２の側端面１４において、対向する化粧層３，３が相互に芯層２側に折り曲げられ、対向する化粧層３，３の端部が突き合わされた状態で芯層２の側端面１４を被覆していてもよい。また、芯層２の側端面１４において、樹脂含浸繊維シート層４と化粧層３とが延設されて折り曲げられた状態で、芯層２の側端面１４を被覆した構成としてもよい。以下、芯層２の側端面１４の被覆態様の一例について説明する。

　図５（Ａ）（Ｂ）は、化粧パネル１の芯層２の側端面１４を化粧層３及び樹脂含浸繊維シート層４によって被覆する例を示した要部断面図である。この例では、延設された一方の化粧層３ａ及び樹脂含浸繊維シート層４ａにおける芯層２側の面（裏面）に、折曲溝（Ｖ字溝）１３が設けられている。この折曲溝１３において、図５（Ｂ）に示すように、一方の化粧層３ａ及び樹脂含浸繊維シート層４ａの延設部位が芯層２の側端面１４側に折り曲げられ、接着剤を介して芯層２の側端面１４に接合されて芯層２の側端面１４が被覆されている。

　この折曲溝１３は、少なくとも化粧層３ａを残すように樹脂含浸繊維シート層４ａの裏面側に、芯層２の角部に応じた位置となるように設けられている。化粧層３ａ及び樹脂含浸繊維シート層４ａは、折曲溝１３の部位において残存する少なくとも化粧層３ａの部位がヒンジ部（折曲部）のように機能し、これらの部位において折り曲げ可能とされている。
　また、図例では、樹脂含浸繊維シート層４ａの延設方向先端面を、化粧層３ａの端部によって被覆した例を示している。また、図例では、化粧層３ａ及び樹脂含浸繊維シート層４ａが折曲溝１３において折り曲げられた状態で、樹脂含浸繊維シート層４ａの延設方向先端面を被覆する化粧層３ａが他方の化粧層３と略同一平面状となる構成とした例を示している。また、図例では、折曲溝１３において折り曲げられて形成された角部が略直角状となるように折曲溝１３を設けた例を示しているが、後述する変形例のように、該角部がＲ面取り形状やＣ面取り形状となるように、折曲溝１３を設けた構成としてもよい。

　上記のような樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３の端部の折り曲げと芯層２の端部１４の被覆の方法としては、各種の方法が挙げられるが、例えば、以下の方法が例示される。第１の方法としては、芯層２の上下に、芯層２よりも大きい面積に設定した樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３を配設した状態で、上下から鉄板プレートで挟み込み加熱加圧して各層を一体化する。次に、鉄板プレートから一体化した積層体を取出し、芯層２の側端面１４から延設した状態の樹脂含浸繊維シート層４と化粧層３とが積層された延設部分を所定の寸法に切り揃える。そして、延設部分を芯層２の側端面１４において折り曲げて、化粧パネル１の表裏両面の各々の最端部において相互に接触するように接着させて芯層２の側端面１４を被覆する。第二の方法としては、芯層２の上下に、芯層２よりも大きい面積に設定した樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３を配設する。また、この段階で芯層２の側端面１４から延設した樹脂含浸繊維シート層４，４と化粧層３，３とを所定の寸法に切り揃えて、芯層２の側端面１４において折り曲げておく。そして、この状態で上下から鉄板プレートで挟み込むとともに、樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３の延設部分を芯層２の側端面１４において折り曲げた部分に対し、側面から加熱治具を押し当てて、上下及び側面から加熱加圧して各層を一体化させるようにしてもよい。

　なお、上記のように化粧層３ａ及び樹脂含浸繊維シート層４ａを芯層２から延設させる場合には、上記した上下の成形型によって圧締して化粧パネル１を形成する際に延設部位を形成するようにしてもよい。この際、詳細については後述するが、上下の成形型を変形したり、スペーサー状の型部材（スペーサー型２７）を介在させて化粧層３ａ及び樹脂含浸繊維シート層４ａの延設部位を圧締して形成するようにしてもよい。また、この場合、折曲溝１３を切削等ではなく、成形型やスペーサー状の型部材（スペーサー型２７）によって形成するようにしてもよい。
　また、芯層２の側端面１４の被覆は、図５（Ａ）（Ｂ）の例に限られず、他方の化粧層３及び樹脂含浸繊維シート層４の延設部位を重ね合わせたり、突き合わせたりして被覆する態様や、芯層２の側端面１４に枠体２３を配置している場合には、その枠体２３の端面を被覆する態様としてもよい。

　図５（Ｃ）（Ｄ）は、化粧パネル１の芯層２の側端面１４を化粧層３によって被覆する例を示した要部断面図である。例えば、図５（Ｃ）のように、化粧パネル１は、芯層２に枠体２３を備えており、一対の対向する化粧層３ａ，３ｂが延設されている。一対の対向する化粧層３ａ，３ｂは、図５（Ｄ）に示すように、芯層２の側端面１４側に折り曲げられ、重ねられた状態で接着剤を介して接合され、芯層２の側端面１４を被覆する構成とされている。つまり、本例では、裏面に樹脂含浸繊維シート層４，４が設けられていない化粧層３ａ，３ｂの延設部位によって、芯層２の側端面１４を被覆した構成としている。この場合、化粧層３ａ，３ｂの延設部位の裏面に樹脂含浸繊維シート層４，４が形成されないように、上記した樹脂組成物４２を塗布する際に、当該部位に樹脂組成物４２が塗布されないように、適宜のマスキング（養生）を施した状態で塗布するようにしてもよい。

　なお、図例では、化粧層３ａ，３ｂにおける枠体２３のパネル厚さ方向両側を被覆する部位の裏面側にも樹脂含浸繊維シート層４，４を設けていない例を示しているが、樹脂含浸繊維シート層４，４を設けた構成としてもよい。また、芯層２の側端面１４の被覆は、図５（Ｃ）（Ｄ）の例に限られない。例えば、芯層２の側端面１４を、裏面に樹脂含浸繊維シート層４が設けられていない一方の化粧層３ａの延設部位によって被覆した構成や、裏面に樹脂含浸繊維シート層４，４が設けられていない化粧層３ａ，３ｂを突き合わせて被覆した構成としてもよい。また、化粧パネル１の端部に枠体２３が配設されていない場合には、単に芯層２のハニカムコア２１の側端面１４を被覆してもよい。

　また、図５（Ｅ）に示すように、化粧層３とは別体の端部化粧材１５を、接着剤を介して芯層２の側端面１４に貼付して、側端面１４を被覆するエッジ貼りを行ってもよい。
　端部化粧材１５の材質としては、化粧層３と同種であってもよいし、他種としてもよい。また、端部化粧材１５の貼付に用いる接着剤としては、樹脂含浸繊維シート４に含浸させた樹脂と同種のものを用いてもよいし、他種のものを用いてもよい。図５（Ｅ）においては、端部化粧材１５は、樹脂板１６の表面に樹脂フィルムまたは突き板が貼付された化粧層３を有し、２層構造の板体を形成している。

　図６は、化粧パネル１の芯層２の側端面１４を化粧層３及び樹脂含浸繊維シート層４によって被覆する他の変形例を示した要部断面図である。
　この例では、化粧層３及び樹脂含浸繊維シート層４の最端部が突き合わされた状態で糊付けされて、芯層２の側端面１４が被覆されている。すなわち、芯層２の側端面１４に位置する枠体２３の側端面が被覆される。なお、樹脂含浸繊維シート層４の最端部が突き合わされた部分に隙間を設けておき、この隙間に目地材を充填してもよい。目地材を充填することにより、化粧パネルの水密性、気密性が向上し、例えば、枠体２３の枠材として木質材を使用した際の吸湿による寸法変化等を抑制することができる。目地材としては、通常、建物の目地材として使用されるものである限り特に限定されないが、例えば、シリコーン系樹脂、変性シリコーン系樹脂、ポリウレタン樹脂等が例示される。さらにまた、図６では、芯層２の側端面１４から延設された表裏両面側の化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４同士が突き合わされた例を示している。つまり、芯層２の表裏の一方の面に配設された樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３と他方の面に配設された樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３との各々の最端部が相互に突き合わされた状態で芯層２の側端面１４を被覆した構成としている。なお、これら表裏の両面側から折曲げられて突き合わされるまでの部分の長さは互いに相違していてもよい。

　芯層２の側端面１４の被覆態様としては、もちろん、上記のような被覆の形態に限られることはなく、様々な被覆態様でもよい。いずれの態様であっても、芯層２の側端面１４が化粧層３，３ａにより隠され、優れた意匠性を有する化粧パネル１とすることができる。また、この側端面１４の被覆によって層間の剥離を効果的に抑え、平面平滑性や寸法安定性、耐衝撃性、表面硬度や強度が優れたものとなる。
　また、上記した各例のように芯層２の側端面１４が被覆されている化粧パネル１では、芯層２の側端面１４からの吸湿によって化粧パネル１全体に反りが生じることが抑制される。また、芯層２の側端面１４が被覆されていることにより、化粧パネル１の木口面の意匠性が高く、仕上げが容易であるという利点も生じる。
　なお、図５及び図６では、化粧パネル１の芯層２の一端部側のみを図示しているが、他端部側も同様に、種々の態様によって被覆されていてもよい。また、芯層２の側端面１４の被覆については、化粧パネル１の四周端部の全周が被覆されたものでもよく、化粧パネル１の用途に応じて、部分的に被覆を省略してもよい。例えば、化粧パネル１の用途が横スライドのドアや間仕切り等である場合においては、化粧パネル１の上下端は被覆せずに芯層２の枠体２３が露出したままであってもよい。つまり、芯層２の側端面１４の被覆は、化粧パネル１の用途に応じて少なくとも一部が被覆されていればよい。例えば、化粧パネル１の一対の端縁のみが被覆されていてもよいし、枠体２３の側端面の一部のみが被覆されていてもよい。また。例えば、化粧パネル１を吊戸として用いる場合、長尺の枠材（第１桟材）５，５の側端面が被覆されていれば戸当たりが良好となるため、短尺の枠材（第２桟材）６，６の側端面については、芯層２が露出していても構わない。つまり、化粧パネル１の芯層２の少なくともパネル幅方向両側端部が上記のような種々の態様によって被覆されていてもよい。

　次に、本発明の第１実施形態に係る化粧パネルの製造例を実施例として示すが、本実施形態に係る化粧パネルは、これらに限定されるものではない。
　（実施例１）
　厚さ６０μｍのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムを化粧層に用い、この樹脂フィルムの裏面に発泡倍率１倍の無発泡ウレタン樹脂を２００ｇ／ｍ^２塗布した。このウレタン樹脂に、繊維シートとして目付け５０ｇ／ｍ^２のガラスペーパーを載置してウレタン樹脂を含浸させて樹脂含浸繊維シート層を形成した。次に、樹脂含浸繊維シート層の上に、ＬＶＬ製の枠体の内部に、セル径１０．５ｍｍの段ボール製ハニカムコアを嵌め込んだものを芯層として載置した。さらに芯層の表面に繊維シートを載置し、繊維シートに上記のウレタン樹脂を塗布して含浸させた後、その上に上記の樹脂フィルムを載置して積層体を作成した。この積層体を、熱間プレートを用いて、８０℃、１．２５ｋｇｆ／ｃｍ^２（約０．１２ＭＰａ）の条件で２分間加熱加圧し、化粧パネルの試験体を一体成形した。

　（実施例２）
　繊維シートを目付け１００ｇ／ｍ^２のガラスマットに変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。
　（実施例３）
　繊維シートを目付け２００ｇ／ｍ^２のガラスマットに変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。
　（実施例４）
　繊維シートを目付け２００ｇ／ｍ^２のガラスマットに変更し、繊維シートに塗布する樹脂を発泡倍率２倍のウレタン樹脂に変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。
　（実施例５）
　繊維シートを目付け２００ｇ／ｍ^２のガラスマットに変更し、繊維シートに塗布する樹脂を発泡倍率３倍のウレタン樹脂に変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。
　（実施例６）
　繊維シートを目付け２００ｇ／ｍ^２のガラスマットに変更し、繊維シートに塗布する樹脂を発泡倍率５倍のウレタン樹脂に変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。
　（実施例７）
　繊維シートを目付け２００ｇ／ｍ^２のガラスマットに変更し、繊維シートに塗布する樹脂を発泡倍率６倍のウレタン樹脂に変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。
　（実施例８）
　繊維シートを目付け２００ｇ／ｍ^２のガラスクロスに変更し、繊維シートに塗布する樹脂を発泡倍率６倍のウレタン樹脂に変更したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。

　（比較例）
　繊維シートを用いず、発泡倍率１倍の無発泡ウレタン樹脂１００質量部に対し、フィラーとしてワラストナイトを２０質量部含有する樹脂を化粧層と芯層との間に所定量塗布したこと以外は、実施例１と同様にして化粧パネルの試験体を得た。

　実施例及び比較例で得られた化粧パネルの試験体について、耐おもり落下性試験及び引っかき硬度試験を行い、以下の物性を評価した。
＜衝撃強度＞
　実施例及び比較例で得られた化粧パネルの試験体について、ＪＩＳ　Ｋ５６００　５－３の落球式に準拠した耐おもり落下性試験を行い、表面強度を測定した。すなわち、３００ｇの鋼球を５０ｃｍ（５００ｍｍ）の高さから試験体に落下させた後の試験体表面の凹みを目視評価した。評価基準は、以下のとおりである。
　◎：　まったく凹みがない
　○：　ほとんど凹みがない
　△：　わずかに凹みが認められる（該当なし）
　×：　明らかに凹みあり

＜鉛筆硬度＞
　実施例及び比較例で得られた化粧パネルの試験体について、ＪＩＳ　Ｋ５６００　５－４の鉛筆法に準拠した引っかき硬度試験を行い、鉛筆硬度を測定した。すなわち、鉛筆硬度３Ｂで試験体の表面を引っかいたときに生じる凹みを目視評価した。評価基準は、以下のとおりである。
　◎：　まったく凹みがない
　○：　ほとんど凹みがない
　△：　わずかに凹みが認められる（該当なし）
　×：　明らかに凹みあり（該当なし）
　評価結果を表１に示す。

　表１に示したように、ハニカムコアを有する芯層と、芯層の表裏の両面に配設された樹脂フィルムからなる化粧層とを備え、芯層と化粧層との間に樹脂含浸繊維シート層が介設された実施例１～８については、表面強度及び鉛筆硬度がいずれも良好であることが確認された。
　しかしながら、樹脂含浸繊維シート層を備えていない比較例では、鉛筆硬度は良好であるが、表面強度が実施例１～８に比べて著しく劣ることが確認された。
　これらの結果から、軽量化や意匠性の向上を図ることができ、生産性が高く、かつ化粧層が薄くても表面の硬度や強度、寸法安定性等が良好な化粧パネルが実現されることが確認された。

　次に、芯層２Ａの側端面１４の被覆態様の更に他の例について、説明する。
　図７の例では、芯層２Ａの側端面１４に溝を構成する差込溝５Ａａ，５Ａａを設けた構成としている。また、表裏の一方の面に配設された化粧層３及び他方の面に配設された化粧層３の各々の最端部を相互に密着した状態で差込溝５Ａａ，５Ａａに収納させた構成としている。予め芯層２Ａの枠材、例えば第１桟材５Ａの側端面の長手方向に沿って差込溝５Ａａを設けておき、化粧パネル１の表裏両面の化粧層３，３の最端部を相互に密着させた状態にして、差込溝５Ａａ，５Ａａ内に収納されるように側面から加熱加圧して成形することもできる。この差込溝５Ａａ，５Ａａの幅や深さは、差込溝５Ａａ，５Ａａ内に収納する樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３の厚さや収納する寸法に応じて適宜決定することができる。また、差込溝５Ａａ，５Ａａ内に樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３を成形する前段階で、予め化粧パネル１の表裏両面の化粧層３，３の各々の最端部を接着剤等で相互に仮留めしておき、側圧治具を用いて側圧をかけてその先端部を樹脂含浸繊維シート層４，４の先端部とともに差込溝５Ａａ，５Ａａに収納することもできる。
　このように、芯層２Ａの差込溝５Ａａ，５Ａａ内に化粧層３，３の最端部を相互に密着させた状態で収納させて成形することにより、経年の使用によっても化粧層３，３が芯層２Ａの側端面１４から剥離することを抑制することができる。本例では、芯層２Ａの差込溝５Ａａ，５Ａａ内に樹脂含浸繊維シート層４，４が積層された化粧層３，３の最端部を相互に密着させた状態で収納させて成形することにより、経年の使用によっても化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４が側端面１４から剥離することが抑制される。
　芯層２Ａの枠体２３Ａを組む枠材としての第１桟材５Ａに差込溝５Ａａを設ける方法としては、例えば、フライス等の工具を用いて予め工場において差込溝５Ａａを備えた枠体２３Ａを生産しておくこと等が例示される。もちろん、施工現場において枠体２３Ａに差込溝５Ａａを設けてもよい。

　図７（Ａ）の工程では、まず、金型１８の下金型１８ａの金型面に化粧層３となる樹脂フィルムまたは突き板を載置し、化粧層３の上方からスプレー塗布により樹脂組成物４２を一様に塗布する。また、樹脂組成物４２の表面に、芯層２Ａよりも大きい面積に設定した繊維シート４１を配設し、繊維シート４１に樹脂組成物４２を含浸させる。さらに、繊維シート４１の表面に芯層２Ａを配設し、芯層２Ａの表面には上記と同様に、繊維シート４１、樹脂組成物４２、化粧層３を配設する。そして、この工程では、化粧層３の端部までの長さに比べて樹脂組成物４２及び繊維シート４１の層を短くしている。
　次いで、図７（Ｂ）の第２工程では、表裏両面の化粧層３，３の最端部を相互に密着させて仮留めした積層体を作製する。化粧層３，３の最端部を相互に密着させる方法としては、例えば、化粧層３，３が樹脂フィルムの場合、一対の加熱された金属ロッドで対向する一対の樹脂フィルムを上下方向から摘まみ、溶着する方法等が例示される。また、化粧層３，３が突き板の場合、例えば、接着剤を用いて対向する一対の突き板の最端部を接着する方法等が例示される。

　図７（Ｃ）の工程では、積層体の仮留め部位と対向するように側圧冶具１９，１９を備える一対の横金型１８ｂ，１８ｂを設置し、図７（Ｄ）の工程では、一対の横金型１８ｂ，１８ｂを移動させる。これにより、横金型１８ｂ，１８ｂの側圧冶具１９，１９の先端は、芯層２Ａの枠体２３Ａを構成する第１桟材５Ａ，５Ａの側端面に形成された差込溝５Ａａ，５Ａａに、積層体の仮留めした部位を押し込みながら挿入される。この時、積層体の表面においては、化粧層３，３を左右方向へ引っ張るようにテンションがかかり、化粧層３，３の表面に生じるシワが解消され、得られる化粧パネル１の表面の意匠性が向上する。
　次いで、図７（Ｅ）の工程では、横金型１８ｂ，１８ｂを積層体に当接させて、側圧冶具１９，１９の先端が第１桟材５Ａ，５Ａの差込溝５Ａａ，５Ａａの壁面に突き当たるまで挿入する。そして、化粧層３，３を左右方向へ引っ張るテンションを保持したまま、バイス２０，２０を用いて横金型１８ｂ，１８ｂごと積層体に側圧を掛けて固定する。

　図７（Ｆ）の工程では、横金型１８ｂ，１８ｂより側圧冶具１９，１９を抜き取り、積層体の上面に上金型１８ｃを載置し、上下及び側面から加熱加圧して各層を一体化させる。樹脂含浸繊維シート層４，４では、加熱加圧時に樹脂組成物４２，４２が溶融し、側圧冶具１９，１９を抜き取った後に生じる空隙が埋められる。特に樹脂組成物４２，４２として発泡性樹脂を用いる場合、加熱加圧時に樹脂組成物４２，４２が発泡し、側圧冶具１９，１９を抜き取った後に生じる空隙が効率よく充填される。この方法では、上下面及び側面を一工程で一体化できるため、非常に効率よく化粧パネル１を製造することが可能となる。

　また、別の方法として、図８に例示することができる。
　本例では、少なくとも、以下の（ａ）、（ｂ）及び（ｃ）の工程を含んでいる。
　（ａ）ハニカムコア２１を収納した枠体２３Ａの外側に、芯層２Ａの枠体２３Ａ及びハニカムコア２１と略面一の表裏面に突条部２７ａを備えるスペーサー型２７を当接させる工程。
　（ｂ）芯層２Ａ及びスペーサー型２７の表裏面に、樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３を積層し、加熱加圧すると同時に樹脂含浸繊維シート層４の芯層２Ａ側にスペーサー型２７の突条部２７ａに対応する形状の折曲溝１３を転写する工程。
　（ｃ）樹脂含浸繊維シート層４及び化粧層３を、折曲溝１３において折り曲げて、芯層２Ａの側端面１４を被覆する工程。
　この方法によって、本例では、図７を用いて説明した例と同様、枠体２３Ａの内側に収納されたハニカムコア２１を備えた芯層２Ａと、この芯層２Ａの表裏面に配設された化粧層３，３と、芯層２Ａと化粧層３，３との間に介設された樹脂含浸繊維シート層４，４と、を有した化粧パネル１を製造する。また、本例では、化粧層３，３及び芯層２Ａが樹脂含浸繊維シート層４，４に接着されているとともに、化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４が芯層２Ａの側端面（端部）１４をも被覆している化粧パネル１を製造する。

　まず、前記の工程（ａ）として、図８（Ａ）に示すように、芯層２Ａの側端面１４に、樹脂含浸繊維シート層４，４と対向する面に芯層２Ａの側端面１４と平行な突条部２７ａ，２７ａを有するスペーサー型２７を当接させる。芯層２Ａの枠体２３Ａの側端面１４には、長手方向に沿って、上記同様、予め差込溝５Ａａが設けられている。
　また、前記の工程（ｂ）として、図８（Ａ）に示すように、化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４（樹脂組成物４２及び繊維シート４１）を積層する。化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４としては、化粧パネル１の芯層２Ａ及びスペーサー型２７の表裏面の一方、好ましくは両方で、芯層２Ａの側端面１４に位置する枠体２３Ａの側端面を覆うことのできる面積を有しているようにする。この場合、好ましくは、枠体２３Ａの両側端部の端縁から化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４が延長されていることが考慮される。

　そして、図８（Ｂ）に示すように、芯層２Ａ及びスペーサー型２７の表裏面に、積層した化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４を加熱加圧し、樹脂含浸繊維シート層４，４（樹脂組成物４２，４２）の硬化とスペーサー型７の突条部２７ａ，２７ａの転写とを同時に行う。この場合、まず、下金型１８ａの金型面に所定の大きさに切断した化粧層３としての樹脂フィルムまたは突き板を載置し、その上に繊維シート４１を載置する。この状態で繊維シート４１にスプレー塗布やローラー塗布により接着剤でもある樹脂組成物４２を一様に塗布して繊維シート４１に含浸させる。次に、繊維シート４１及び樹脂組成物４２の上に、枠体２３Ａとこれに囲まれた空間に収納されたハニカムコア２１とからなる芯層２Ａを載置する。この際、芯層２Ａの側端面１４にスペーサー型２７を当接させておくようにしてもよい。

　そして、芯層２Ａ及びスペーサー型２７の厚さ方向上側の表面に繊維シート４１を載置し、繊維シート４１に樹脂組成物４２を含浸させた後、その上に化粧層３としての樹脂フィルムまたは突き板を載置する。
　このとき、芯層２Ａの側端面１４に、芯層２Ａと略面一のスペーサー型２７が当接していることにより、芯層２Ａ及びスペーサー型２７の厚さ方向上側に載置された繊維シート４１、樹脂組成物４２及び化粧層３を裏面側から支持して、撓みを抑制し、化粧パネル１の表面を平坦な面一に仕上げることができる。

　さらに、工程（ｂ）では、上金型１８ｃと下金型１８ａとを用いて加熱加圧成形する。加熱加圧成形により、樹脂組成物４２，４２が繊維シート４１，４１に含浸し、樹脂含浸繊維シート層４，４が形成されると同時に、芯層２Ａと化粧層３，３とを相互に接着結合して一体成形することができる。また、このとき、スペーサー型２７の表裏面に設けられた突条部２７ａ，２７ａが、未硬化の樹脂含浸繊維シート層４，４の芯層２Ａと対向する面に押し当てられて、加熱加圧成形と同時に突条部２７ａ，２７ａの形状に対応した折曲溝１３，１７を樹脂含浸繊維シート層４，４に転写することができる。突条部２７ａ，２７ａの形状としては、転写した折曲溝１３，１７において化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４を折り曲げた際に、折曲溝１３，１７の傾斜面同士が重なり、外観が良好であるように、その頂点の開き角度を調整してもよい。化粧パネル１の角部がほぼ直角の場合には、頂点開き角度が９０°の直角二等辺三角形であるものが好適に用いられる。また、化粧パネル１の角部が曲面の場合には、図９（Ａ）に示すように、折曲溝１３Ａの直角三角形の頂点部分には、樹脂含浸繊維シート層４，４の厚さ方向に複数の微小スリットを設けた構成とすることも好ましく考慮される。なお、折曲溝１３，１３Ａ，１７の本数や形状は、角部の形状や、樹脂含浸繊維シート層４，４を構成する繊維シート４１の種類等に応じて適宜に変更可能である。
　本例では、後記する第２実施形態と概ね同様、芯層２Ａの角部に応じた角部折曲溝１３（１３Ａ），１３（１３Ａ）と差込溝５Ａａ，５Ａａの両開口縁に応じた端部折曲溝１７，１７とを設けた構成としている。つまり、スペーサー型２７の表裏面には、これら折曲溝１３，１３，１７，１７に応じた突条部２７ａ，２７ａ，２７ａ，２７ａが設けられている。

　なお、加熱加圧成形の条件としては、例えば、８０℃、１．２５ｋｇｆ／ｃｍ^２（約０．１２ＭＰａ）で２分間加熱加圧すること等が例示される。
　そして、図８（Ｃ）に示したように、スペーサー型２７、上金型１８ｃ及び下金型１８ａを解圧して取り外し、芯層２Ａと化粧層３，３と樹脂含浸繊維シート層４，４とが積層一体化されてなる積層体を取り出す。
　このように、樹脂含浸繊維シート層４，４の芯層２Ａ側に突条部２７ａ，２７ａを有するスペーサー型２７を押し当てて加熱加圧成形することにより、未硬化の樹脂含浸繊維シート層４，４の硬化と樹脂含浸繊維シート層４，４への折曲溝１３，１３，１７，１７の形成とを一工程で行うことができる。

　前記の工程（ｃ）では、まず、図８（Ｄ）に示すように、積層一体化された樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３の端部を切断して所定の寸法に端部切断（トリミング）する。樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３の端部の切断は、従来公知の方法を各種用いることが可能である。例えば、ブレード１９Ａを用いて化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４の不要な部分を裁断する方法等が例示される。また、切断部位には、予め樹脂含浸繊維シート層４，４の芯層２Ａ側と対向する面に折曲溝が設けられていることが好ましく考慮される。切断部位に折曲溝が設けられていることにより、一体となった化粧層３，３と樹脂含浸繊維シート層４，４の端部におけるトリミング精度が向上し、化粧パネル１の生産性や品質の向上につながる。この場合、スペーサー型２７が、化粧層３，３と樹脂含浸繊維シート層４，４の切断箇所に対応する位置に、突条部２７ａ，２７ａを備えることが好ましく考慮される。

　次いで、図８（Ｅ）に示すように、化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４を、折曲溝１３，１３，１７，１７において芯層２Ａの側端面１４側に折り曲げて、側圧冶具２０Ａを押し当てて、差込溝５Ａａに延設部分を収納する。芯層２Ａの側端面１４には予め接着剤を塗布しておくことで、樹脂含浸繊維シート層４，４と芯層２Ａの側端面１４とを強固に接着して被覆することができる。側圧冶具２０Ａとしては、既存の化粧パネルの製造工程において用いられている各種のものを利用することができるが、加熱可能であることが好ましく考慮される。樹脂含浸繊維シート層４，４が積層された化粧層３，３の最端部は、相互に密着した状態で、差込溝５Ａａ内部に収納され、側圧冶具２０Ａによって加熱加圧成形される。
　なお、前述したように、枠体２３Ａ（芯層２Ａ）の側端面１４に差込溝５Ａａを設けず、化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４の最端部を突き合わせて芯層２Ａの側端面１４を被覆してもよい。
　以上の工程を経ることによって、図８（Ｆ）に示すように、芯層２Ａの側端面１４が樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３によって被覆された化粧パネル１が得られる。

　前記の化粧パネル１の製造例においては、ハニカムコア２１を収納した枠体２３Ａの外側に、芯層２Ａの枠体２３Ａ及びハニカムコア２１と略面一の表裏面に突条部２７ａ，２７ａを備えるスペーサー型２７を当接させているが、スペーサー型２７については各種のものが採用可能である。例えば、図９（Ｂ）に示すように厚さ方向の中央部に外端部に向かって拡がるテーパー状の分割型２８を備えることが好ましく考慮される。分割型２８はスペーサー型２７Ａから着脱自在とされており、分割型２８を図中の矢印で示したスペーサー型２７Ａの外端部方向に引っ張ることで、スペーサー型２７Ａより容易に取り外すことができる。
　このようなスペーサー型２７Ａでは、芯層２Ａ、樹脂含浸繊維シート層４，４及び化粧層３，３の各層を加熱加圧成形によって一体化させた後、スペーサー型２７Ａを脱型する前に予め分割型２８を取り外すことが好ましく考慮される。分割型２８を取り外すことにより、一体成形された化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４を撓ませることなく、スペーサー型２７Ａを脱型することができる。これにより、一体成形された化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４の破損を未然に防止することもできる。

　また、スペーサー型２７は、化粧パネル１の角部と対応する位置に、突条部２７ａを複数本備えることが好ましく考慮される。例えば、図８及び図９（Ｂ）～（Ｄ）に示した例のように、複数本の突条部２７ａ，２７ａを備えたスペーサー型２７，２７Ａ，２７Ｂ，２７Ｃを用いた場合には、樹脂含浸繊維シート層４，４に突条部２７ａ，２７ａに対応する折曲溝１３，１７を複数本形成することができる。複数本の突条部２７ａ，２７ａは離間配置されていてもよいし、隣接配置されていてもよい。図９（Ｃ）に示すように、複数本の突条部２７ａ，２７ａが隣接配置されている場合、加熱加圧成形工程において、スペーサー型２７Ｂと対向する樹脂含浸繊維シート層４，４の裏面に複数本の折曲溝１３が隣接配置するように形成される。樹脂含浸繊維シート層４，４が、複数本の折曲溝１３を備えることにより、折曲溝１３が一本の場合と比べて、樹脂含浸繊維シート層４，４を折り曲げやすくすることができる。特に、繊維シート４１として、ガラス繊維シートを用いた場合には、樹脂含浸繊維シート層４，４の強度が高くなるため、複数本の折曲溝１３を隣接配置するように形成することで、硬化した樹脂含浸繊維シート層４，４を段階的に折り曲げることができ、折り曲げ加工が格段に容易となる。

　さらに、図９（Ｄ）に示すように、スペーサー型２７Ｃが、化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４の切断箇所に対応する位置に、突条部２７ａを備えることが好ましく考慮される。切断部位に折曲溝１３が設けられていることにより、一体となった化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４のトリミングの精度が向上し、化粧パネル１の生産性や品質の向上につながる。

　以上のような化粧パネル１の製造方法によれば、化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４の積層構造、さらには芯層２Ａの側端面１４の被覆の構造という特徴のある化粧パネル１が得られる。しかも、未硬化の樹脂含浸繊維シート層４，４を加熱加圧成形して硬化させ、化粧層３，３と一体化させると同時に、スペーサー型２７の表裏面に設けられた突条部２７ａ，２７ａを樹脂含浸繊維シート層４，４の芯層２Ａ側に転写して折曲溝１３，１３，１７，１７を設けることができる。このため、従来に比べて、スペーサー型２７を用いる製法とすることで少ない工程数をもって高い生産性で実現される。しかも、樹脂含浸繊維シート層４，４によって化粧層３，３と芯層２Ａとを接着し、さらに芯層２Ａの側端面１４を被覆することができ、かつ化粧層３，３が薄くても表面の硬度や強度、表面平滑性及び寸法安定性等が良好な化粧パネル１が得られる。そして薄い化粧層３，３及び樹脂含浸繊維シート層４，４として軽量化が図られ、意匠性を高めることができる。
　なお、折曲溝１３，１３Ａ，１７に応じた突条部２７ａ，２７ａを設けたスペーサー型２７を用いる態様に代えて、表裏面が芯層２Ａの枠体２３Ａ及びハニカムコア２１と略面一の平坦面とされたスペーサー型を用いるようにしてもよい。この場合は、切削加工等によって折曲溝１３，１３Ａ，１７を設ける構成としてもよい。

　次に、本発明の他の実施形態（第２実施形態）に係る化粧パネル及びパネル製造方法の一例について、図１０及び図１１を参照しながら説明する。
　なお、上記した各例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。

　本実施形態に係る化粧パネル１Ａは、図１０に示すように、化粧層３と樹脂含浸繊維シート層４との間に、表層側樹脂層４４を介在させた構成としている。つまり、本実施形態では、芯層２Ａと化粧層３とを、樹脂含浸繊維シート層４及び表層側樹脂層４４を介して接着一体化した構成としている。このような表層側樹脂層４４を設けた場合には、上記した遮光性顔料を、樹脂含浸繊維シート層４及び表層側樹脂層４４のうちの少なくとも一方に含有させた構成としてもよい。
　また、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物（樹脂）４３（図１１（Ａ）参照）を、樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物（樹脂）４２（図１１（Ｃ）参照）と樹脂主成分が同一とされたものとしている。換言すれば、化粧層３の裏面側の樹脂層４，４４に含まれる繊維シート４１（図１１（Ｄ）参照）を、厚さ方向で反化粧層側となる裏面側（芯層２Ａ側）に位置させるように（偏在させるように）設けた構成としている。
　また、芯層２Ａのパネル厚さ方向両側（表裏両側）のそれぞれに、樹脂含浸繊維シート層４，４、表層側樹脂層４４，４４及び化粧層３，３をパネル厚さ方向外方側に向けてこの順に有した表面層２４，２４を設けた構成としている。

　芯層２Ａは、上記した各例と概ね同様、四周枠５Ａ，５Ａ，６，６（図３等参照）を含む枠体２３Ａで囲まれた空間にハニカムコア２１を収納させた構成とされている。
　また、上記した例と概ね同様、図１０（Ｂ）に示すように、芯層２Ａの側端面（端部）１４，１４を構成する第１桟材５Ａ，５Ａのパネル幅方向外側に向く外側面に、表面層２４，２４の差込片部２４ａ，２４ａが差し込まれる差込溝５Ａａ，５Ａａを全長に亘って設けた構成としている。つまり、上記した例と概ね同様、芯層２Ａの側端面１４，１４に設けられた溝を構成する差込溝５Ａａ，５Ａａに、表裏の一方の面に配設された化粧層３と他方の面に配設された化粧層３の各々の最端部を相互に密着させた状態で差込溝５Ａａ，５Ａａに収納させた構成としている。
　これらパネル幅方向両側の差込溝５Ａａ，５Ａａは、パネル幅方向外側に向けて開口するように設けられている。また、これら差込溝５Ａａ，５Ａａを、各第１桟材５Ａ，５Ａのパネル厚さ方向略中心に位置するように設けた構成としている。これら差込溝５Ａａ，５Ａａのパネル幅方向に沿う溝深さ寸法及びパネル厚さ方向に沿う溝幅寸法は、差込片部２４ａ，２４ａの差込性や保持性等の観点から適宜の寸法としてもよい。

　表層側樹脂層４４は、化粧層３の裏面側の略全面に亘って設けられている。この表層側樹脂層４４は、表面外観を向上させる観点や寸法安定性、生産性等の観点から適宜の厚さとしてもよい。例えば、この表層側樹脂層４４の厚さとしては、０．０１ｍｍ～１．５ｍｍ、好ましくは０．０３ｍｍ～１．０ｍｍ、更に好ましくは０．０５ｍｍ～０．５ｍｍの範囲が例示される。この表層側樹脂層４４の厚さを小さくし過ぎれば、表面外観が低下する傾向があり、表層側樹脂層４４の厚さを大きくし過ぎれば、当該表層側樹脂層４４による熱膨張の影響が大となったり、生産性が低下したりする傾向がある。

　また、この表層側樹脂層４４は、樹脂含浸繊維シート層４に含まれるような繊維を略含んでいない構成（実質的に繊維を含まない構成）とされている。なお、実質的に繊維を含まない構成とは、表層側樹脂層４４に、製造過程等において僅かに繊維が混入されるような場合を含む。
　また、この表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３（図１１（Ａ）参照）は、樹脂主成分が樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２（図１１（Ｃ）参照）の樹脂主成分と同一とされている。なお、これら樹脂組成物４２，４３としては、上記同様な樹脂の採用が可能である。

　また、本実施形態では、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３の発泡倍率を、樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２の発泡倍率以下としている。つまり、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３の発泡倍率を、樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２の発泡倍率と同一か、それよりも小としている。このような構成とすれば、表層側樹脂層４４の強度を比較的に向上させることができる。また、樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２の発泡倍率を適宜、調整することで、表面層２４の厚さを効率的に大きくしたり、軽量化を図るようなことも可能となる。
　これら樹脂組成物４２，４３が発泡樹脂の場合には、その種類にもよるが、上記同様、発泡倍率が７倍以下、より好ましくは５倍以下の低発泡性のものでもよい。なお、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３にも、上記同様、硬化剤や難燃材等の各種添加剤を添加することができる。

　また、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３の量は、表層側樹脂層４４が上記のような厚さとなるように、適宜の量としてもよい。また、表層側樹脂層４４は、化粧層３の裏面（反化粧面）に、スプレーやローラー等によって塗布された樹脂組成物４３が硬化したものでもよい。また、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３が半硬化（未硬化）の状態で、樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２や繊維シート４１が配されるものとしてもよい。
　また、樹脂含浸繊維シート層４は、上記第１実施形態と略同様の構成とされている。本実施形態では、樹脂含浸繊維シート層４の厚さを、表層側樹脂層４４の厚さよりも大としている。例えば、この樹脂含浸繊維シート層４の厚さを、表層側樹脂層４４の厚さの２倍～１０倍程度としてもよい。

　また、上記と概ね同様、一対の対向する化粧層３，３を含む表面層２４，２４の両方を芯層２Ａの幅方向両端部位において延設させ、これら延設部位を折り曲げて相互に接触させた状態で、芯層２Ａの両側端面１４，１４を被覆した構成としている。また、これら表面層２４，２４の延設部位に、枠体２３Ａに設けられた差込溝５Ａａ，５Ａａに差し込まれる差込片部２４ａ，２４ａを設けた構成としている。また、これら表面層２４，２４の裏面側（芯層２Ａ側）に、溝底が表層側樹脂層４４，４４に位置するように、折曲溝１３，１３，１７，１７を設けた構成としている（図１０（Ｂ）参照）。つまり、これら折曲溝１３，１３，１７，１７は、溝底が化粧層３，３には達しないように表層側樹脂層４４，４４に留まり、かつ樹脂含浸繊維シート層４，４の厚さ方向の全体に亘って設けられている。このような構成とすれば、折り曲げられた角部において樹脂含浸繊維シート層４，４に含まれる繊維による凹凸等が生じ難くなり、角部表面の外観を向上させることができる。
　また、これら表面層２４，２４の裏面側に、上記と概ね同様、芯層２Ａの角部に応じた角部折曲溝１３，１３，１３，１３と差込溝５Ａａ、５Ａａの両開口縁に応じた端部折曲溝１７，１７，１７，１７とを設けた構成としている。

　これら角部折曲溝１３及び端部折曲溝１７が設けられた部位の表層側樹脂層４４の厚さ、つまり、溝底側の残り厚さは、上記のようにヒンジ部として機能するように、化粧層３の厚さや表層側樹脂層４４の厚さに応じて、適宜の厚さとしてもよい。図例では、表層側樹脂層４４の溝底側の残り厚さを、表層側樹脂層４４の全体厚さの１／２程度とした例を示しているが、このような厚さに限られない。
　また、これら角部折曲溝１３及び端部折曲溝１７は、上記同様、切削等によって形成されたものでもよく、成形型やスペーサー型２７によって形成されたものでもよい。

　次に、本実施形態に係る化粧パネル１Ａを製造するパネル製造方法の一例について説明する。
　本実施形態では、化粧層３を構成する化粧シートの裏面（芯層２Ａ側に向く面）に表層側樹脂層４４を構成する未硬化の樹脂組成物４３を供給した後に、表層側樹脂層４４の裏面側（芯層２Ａ側）に位置するように樹脂含浸繊維シート層４を形成する構成としている。
　まず、図１１（Ａ）に示すように、上記と概ね同様、上下の成形型のうちの下型の上面に、化粧面を対面させるようにして化粧シートを載置し、その裏面（反化粧面）に、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３を塗布する。この樹脂組成物４３の化粧シートへの塗布は、表層側樹脂層４４が上記のような所望する厚さとなるように、上記同様、一様な塗布量でスプレーやローラー等を用いて塗布するようにしてもよい。この表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３は、下型を適度の温度（例えば、４０℃～８０℃程度の比較的低温）に加熱した状態で供給して硬化または半硬化させるようにしてもよい。この際、下型による加熱に加えて、上方側から適宜の遠赤外線ヒーター等の輻射式ヒーターによって加熱するようにしてもよい。また、この際の硬化（半硬化）時間は、樹脂組成物４３の種類や量にもよるが、１分～３０分程度、好ましくは１５分以下としてもよい。

　そして、この表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３が硬化または半硬化した後に、樹脂含浸繊維シート層４を構成する未硬化の樹脂組成物４２を供給し、この樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２を、繊維シート４１に含浸させる態様としている。
　つまり、図１１（Ｂ）（Ｃ）に示すように、表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３が硬化または半硬化すれば、樹脂含浸繊維シート層４を構成する未硬化の樹脂組成物４２を塗り重ねるように塗布する。そして、図１１（Ｄ）に示すように、この樹脂組成物４２が含浸するように、繊維シート４１を積層する。この際、繊維シート４１が表層側樹脂層４４内に略移動しないように表層側樹脂層４４を構成する樹脂組成物４３が半硬化または完全硬化した後に、樹脂含浸繊維シート層４を構成する未硬化の樹脂組成物４２及び繊維シート４１を配するようにしてもよい。

　そして、図１１（Ｄ）及び図１０（Ｂ）に示すように、上記と概ね同様にして、芯層２Ａを載置し、上下の成形型によって芯層２Ａの表裏両側に配された表面層２４，２４を圧締し、樹脂含浸繊維シート層４，４を構成する樹脂組成物４２，４２を硬化させて一体化するようにしてもよい。この際、芯層２Ａの幅方向両側に表面層２４，２４の延設部位が形成されるように、上記したようなスペーサー型２７等を介在させて一体化した後に、延設部位を折り曲げ、適宜の接着剤を介して芯層２Ａの両側端面１４，１４を被覆するようにしてもよい。
　なお、上記のような態様に代えて、樹脂組成物４２が含浸された繊維シート４１を表層側樹脂層４４に積層する態様や、表層側樹脂層４４に繊維シート４１を積層した状態で、樹脂組成物４２を繊維シート４１に塗布する態様等としてもよい。また、上記した本実施形態に係るパネル製造方法の各工程の順序等は一例に過ぎず、別順序でなされるものでもよく、種々の変形が可能である。

　上記のような構成とされた本実施形態に係る化粧パネル１Ａによれば、化粧層３の裏面側に表層側樹脂層４４を設けた構成としているので、化粧層３を薄くした場合にも、樹脂含浸繊維シート層４に含まれる繊維による凹凸が表面に生じ難くなる。従って、表面平滑性をより向上させることができ、表面の外観を向上させることができる。
　また、樹脂含浸繊維シート層４を構成する樹脂組成物４２と樹脂主成分が同一の表層側樹脂層４４としているので、各層における馴染み性を向上させることができ、境界剥離等を生じ難くすることができる。

　なお、本実施形態では、枠体２３Ａに設けられた差込溝５Ａａ，５Ａａに表面層２４，２４の差込片部２４ａ，２４ａを差し込んで納めた例を示しているが、上記同様、表面層２４，２４の延設部位同士を突き合わせて納めた態様としてもよい。また、芯層２Ａの側端面１４を被覆する態様としては、図５～図８を参照して説明したような種々の態様の採用が可能である。

　次に、本発明の更に他の実施形態（第３実施形態）に係る化粧パネル及びパネル製造方法の一例について、図１２及び図１３を参照しながら説明する。
　なお、上記した各例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一の符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。

　本実施形態に係る化粧パネル１Ｂは、図１２に示すように、芯層２Ｂのハニカムコア２１Ａが圧縮変形可能とされ、この芯層２Ｂの一部分２５が圧縮されて少なくともパネル厚さ方向一方側に凹状部２６が設けられた構成とされている。本実施形態では、化粧パネル１Ｂは、芯層２Ｂの一部分２５がパネル厚さ方向に圧縮されて凹状部２６が設けられた構成とされている。また、化粧パネル１Ｂは、上記と概ね同様、芯層２Ｂのパネル厚さ方向両側のそれぞれに表面層２４，２４を設けた構成とされている。また、上記と概ね同様、芯層２Ｂを、四周枠６Ｂ，６Ｂ，７Ｂ，７Ｂを含む枠体２３Ｂで囲まれた空間にハニカムコア２１Ａが収容された構成としている。

　また、本実施形態では、図１２（Ａ）に示すように、化粧パネル１Ｂの厚さ方向両側に、芯層２Ｂの一部分２５がパネル厚さ方向に圧縮されて凹状部２６，２６が設けられた構成としている。また、これら厚さ方向両側の凹状部２６，２６を、パネル厚さ方向に見て互いに重なり合う位置となるように設けた構成としている。また、これら凹状部２６，２６を、化粧パネル１Ｂの上下方向（長手方向）に延びる凹溝状としている。また、これら凹状部２６，２６のそれぞれの戸幅方向に沿う幅寸法（溝幅寸法）及び戸厚方向に沿う深さ寸法（溝深さ寸法）を、溝長手方向の全体に亘って略同寸法とした構成としている。

　また、本実施形態では、これら凹状部２６，２６を、これらが手掛部（引手部）として機能するように、化粧パネル１Ｂの戸先側端部となる戸幅方向一方側端部においてパネル厚さ方向外側に向けて開口するように設けた構成としている。また、これら凹状部２６，２６の溝幅寸法を互いに略同寸法とし、溝深さ寸法を互いに略同寸法とした構成としている。これら凹状部２６，２６の溝幅寸法や溝深さ寸法は、手掛性等の観点から適宜の寸法としてもよい。また、図例では、これら凹状部２６，２６を、溝幅方向両側内面が互いに平行状で戸幅方向に向き、溝底面が戸厚方向に向く略矩形溝状とした例を示している。なお、このような態様に代えて、溝幅方向両側内面の両方または一方を、パネル厚さ方向外側や厚さ方向中心側に向く傾斜面状としたりしてもよい。また、これら凹状部２６，２６の溝幅方向両側内面と溝底面との入隅部及び溝幅方向両側開口縁部を、Ｒ面取り状の面取り部とした例を示している。

　また、本実施形態では、枠体２３Ｂの少なくともパネル厚さ方向一方側に、凹状部２６に連続状に設けられる凹状部を構成するように凹部６Ｂａ，７Ｂａを設けた構成としている。本実施形態では、パネル厚さ方向両側に設けられた凹状部２６，２６に対応させて、枠体２３Ｂのパネル厚さ方向両側に、これら凹状部２６，２６に連続状に設けられる凹状部を構成するように凹部６Ｂａ，７Ｂａを設けた構成としている。この枠体２３Ｂの凹部６Ｂａ，７Ｂａは、後記するように、上下の成形型に設けられた凸状部によってハニカムコア２１Ａの一部分２５が圧縮される際に、ハニカムコア２１Ａの一部分２５の圧縮変形を阻害しないように設けられている。換言すれば、この枠体２３Ａの凹部６Ｂａ，７Ｂａは、上下の成形型に設けられた凸状部を受入可能なように設けられている。

　また、パネル厚さ方向両側の凹状部２６，２６が化粧パネル１Ｂの一方側端部において全長に亘って設けられるように、上下の第２桟材（横枠）６Ｂ，６Ｂ及び各中間桟材（横桟）７Ｂのパネル厚さ方向両側のそれぞれに凹部６Ｂａ，６Ｂａ，７Ｂａ，７Ｂａを設けた構成としている。つまり、図１２（Ｃ）、（Ｄ）に示すように、上下の第２桟材６Ｂ，６Ｂ及び中間桟材７Ｂの長手方向一端側部位のパネル厚さ方向両側に、パネル厚さ方向外側及び上下両側に開口するように、切欠状に凹部６Ｂａ，６Ｂａ，７Ｂａ，７Ｂａを設けた構成としている。また、下側の第２桟材６Ｂに積層された桟材及び取付下地にも同様に凹部が設けられている。
　これら凹部６Ｂａ，６Ｂａ，７Ｂａ，７Ｂａは、パネル幅方向で一致した位置となるように設けられ、パネル幅方向に沿う寸法及びパネル厚さ方向に沿う寸法が互いに略同寸法とされている。これら凹部６Ｂａ，６Ｂａ，７Ｂａ，７Ｂａのパネル幅方向に沿う寸法及びパネル厚さ方向に沿う寸法は、上記した凹状部２６，２６が所望する溝幅寸法及び溝深さ寸法となるように、表面層２４，２４の厚さに応じて適宜の寸法とされる。また、これら凹部６Ｂａ，６Ｂａ，７Ｂａ，７Ｂａの底面部の両入隅部及び両側開口縁部は、凹状部２６，２６に対応させてＲ面取り状の面取り部とされている。

　図１２（Ａ）に示すように、圧縮変形可能とされたハニカムコア２１Ａの一部分としての圧縮部２５がパネル厚さ方向に圧縮されて化粧パネル１Ｂに凹状部２６，２６が形成されている。ハニカムコア２１Ａの圧縮された部位（圧縮部）２５のパネル厚さ方向に沿う寸法（圧縮部厚さ寸法）ｔ２は、圧縮されていない部位のパネル厚さ方向に沿う寸法（非圧縮部厚さ寸法）ｔ１から厚さ方向両側の表面層２４，２４の厚さ寸法を差し引いた寸法よりも小としてもよい。つまり、化粧パネル１Ｂの厚さ方向両側に、表面層２４，２４の厚さ寸法よりも深さ寸法が大とされた凹状部２６，２６が形成されるように、ハニカムコア２１Ａの圧縮部２５が圧縮された構成としてもよい。例えば、圧縮部厚さ寸法ｔ２を、非圧縮部厚さ寸法ｔ１の３／５以下としてもよい。図例では、圧縮部厚さ寸法ｔ２を、非圧縮部厚さ寸法ｔ１の３／１０程度とした例を示している。この圧縮部厚さ寸法ｔ２は、圧縮部２５の厚さ寸法ｔ２が部位によって異なる場合には、最も薄い部分の厚さ寸法ｔ２として把握するようにしてもよい。また、この圧縮部厚さ寸法ｔ２は、所望する凹状部２６，２６の深さ寸法やハニカムコア２１Ａの圧縮可能な寸法等に応じて、適宜の寸法としてもよく、非圧縮部厚さ寸法ｔ１の１／２０以上の寸法としてもよい。

　また、凹状部２６，２６は、化粧パネル１Ｂを製造する際に形成されたものでもよい。このような化粧パネル１Ｂの製造方法としては、例えば、以下のようにしてもよい。
　上記した各例における表裏両側から圧締（加熱加圧）する工程において、上下の成形型のうちの少なくとも一方の成形型に設けられた凸状部によって芯層２Ｂの圧縮変形可能とされたハニカムコア２１Ａの一部分２５をパネル厚さ方向に圧縮するようにこれら上下の成形型によって圧締する構成としてもよい。つまり、上記した各例と概ね同様、芯層２Ｂのパネル厚さ方向両側に、樹脂含浸繊維シート層４，４を構成する繊維シート４１，４１及び未硬化の樹脂組成物４２，４２をそれぞれに介在させてパネル厚さ方向両側の化粧層３，３を配した状態で、上下の成形型によって圧締して化粧パネル１Ｂを製造するようにしてもよい。この際、上下の成形型に設けられた凸状部によって芯層２Ｂの一部分（圧縮部）２５をパネル厚さ方向に圧縮するようにしてもよい。このような製造方法によれば、成形型の凸状部を種々の形状とすることで、化粧パネル１Ｂの少なくとも厚さ方向一方側に、種々の凹状部２６を設けることができる。これにより、切削等によって表面に凹凸形状を付与するようなものと比べて、表面層２４の薄型化を図りながらも効果的に立体感を付与することができる。また、表面層２４を構成する化粧層３及び樹脂含浸繊維シート層４と芯層２Ｂとを上下の成形型で圧締して一体化することができるので、製造効率を向上させることができる。

　なお、凹状部２６としては、上記のような構成に限られない。例えば、厚さ方向両側または一方側に、パネル長手方向の全長に亘って延びる凹溝状の複数の凹状部を、パネル幅方向に間隔を空けて設けた構成等としてもよい。また、凹状部２６としては、パネル長手方向の全長に亘って設けられたものに限られず、長手方向の途中部位に設けられたものや、幅方向に延びるように設けられたもの、点在状に設けられたものでもよい。また、パネル厚さ方向両側の凹状部２６を、パネル厚さ方向に見て互いに重なり合う位置となるように設けた例に限られず、異なる位置となるように設けた態様等としてもよい。また、化粧パネル１Ｂの少なくとも厚さ方向一方側に設けられる凹状部２６としては、溝幅寸法や溝深さ寸法が溝長手方向の全体に亘って一様な凹溝状とされたものに限られない。例えば、溝長手方向の途中部位に、溝幅や溝深さが異なる部位が設けられた凹溝状の凹状部２６としてもよい。また、凹状部２６としては、凹溝状とされたものに限られず、浮造状の凹凸形状を構成したり、その他、種々の立体（３次元）形状を構成するものでもよい。さらには、化粧パネル自体の一部または略全体が平面視して（長手方向に沿う方向に見て）湾曲状とされて凹状部２６が設けられた構成等としてもよい。

　また、化粧パネル１Ｂは、芯層２Ｂの一方側端部に全長に亘って設けられた凹溝５Ｂａにシート端部納め部材３０が嵌め込まれた構成とされている。また、シート端部納め部材３０には、図１３に示すように、表裏両側から一方側端部の端面５Ｂｂを覆うように設けられた化粧層３，３の各端部３ｃ，３ｃが差し込まれた差込溝３１が全長に亘って設けられている。また、シート端部納め部材３０は、凹溝５Ｂａの溝底との間に隙間が形成されるように嵌め込まれた状態で、凹溝５Ｂａの溝底側に押し込まれれば、差込溝３１の開口側部位を区画する反溝底側部位が差込溝３１の開口幅Ｗ３を狭めるように変位する構成とされている。また、シート端部納め部材３０は、押し込まれて開口幅Ｗ４を狭めた状態で凹溝５Ｂａの溝底側部位の溝幅方向両内面５Ｂｃ，５Ｂｃに係止する係止部３４，３４を備えている。

　また、本実施形態では、図１２（Ａ）、（Ｃ）に示すように、芯層２Ｂの両側端部となる第１桟材５Ｂ，５Ｂのそれぞれに、シート端部納め部材３０，３０が嵌め込まれる凹溝５Ｂａ，５Ｂａを設けた構成としている。つまり、芯層２Ｂを構成する枠体２３Ｂのパネル幅方向両側端部のそれぞれに、シート端部納め部材３０，３０が嵌め込まれる凹溝５Ｂａ，５Ｂａを設けた構成としている。これらパネル幅方向両側の凹溝５Ｂａ，５Ｂａは、パネル幅方向の各側端部の全長、つまり、各第１桟材５Ｂ，５Ｂの全長に亘って設けられている。
　また、これらパネル幅方向両側の凹溝５Ｂａ，５Ｂａは、各第１桟材５Ｂ，５Ｂのパネル幅方向外側に向く外側面となる端面５Ｂｂ，５Ｂｂのそれぞれにパネル幅方向外側に向けて開口するように設けられている。また、これら凹溝５Ｂａ，５Ｂａを、各第１桟材５Ｂ，５Ｂのパネル厚さ方向略中心に位置するように設けた構成としている。なお、パネル幅方向両側の凹溝５Ｂａ，５Ｂａ及びこれらにそれぞれに嵌め込まれるシート端部納め部材３０，３０は、互いに同様の構成であるので、以下では、パネル幅方向一方側の凹溝５Ｂａ及びシート端部納め部材３０を例にとって説明する。

　凹溝５Ｂａは、図１３（Ａ）に示すように、パネル幅方向外側に向く溝底とパネル厚さ方向に向く溝幅方向両内面５Ｂｃ，５Ｂｃとによって区画されており、溝長手方向に見て略方形溝状とされている。また、凹溝５Ｂａは、全長に亘って一様な形状とされている。
　また、本実施形態では、凹溝５Ｂａの開口両側縁部に、溝幅を大きくするように凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄをそれぞれに設けた構成としている。これら凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄは、凹溝５Ｂａの全長に亘って設けられており、パネル幅方向外側に向く段底面と、溝幅方向中心側に向く段壁面と、によって区画されている。また、これら凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄは、互いに同様の構成とされている。凹溝５Ｂａは、これら凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄによって開口側の溝幅が溝底側の溝幅Ｗ１よりも大とされている。図例では、開口側の溝幅を、溝底側の溝幅Ｗ１の略２倍程度とした例を示している。なお、これら凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄを含む凹溝５Ｂａの溝深さ寸法や開口側の溝幅、溝底側の溝幅Ｗ１は、後記するシート端部納め部材３０の受け入れが可能なように適宜の寸法とされている。

　シート端部納め部材３０は、凹溝５Ｂａの溝長手方向に沿って長尺状とされ、全長に亘って一様な形状とされている。このシート端部納め部材３０は、凹溝５Ｂａの全長に亘って設けられるものとしてもよい。この場合は、シート端部納め部材３０を、凹溝５Ｂａの長さと略同長さとされたものとしてもよく、または、凹溝５Ｂａの長さよりも小とされた複数からなるものとしてもよい。また、このシート端部納め部材３０は、凹溝５Ｂａの長手方向に沿って間隔を空けて複数箇所に設けられるものとしてもよい。例えば、上記のように化粧パネル１Ｂが、建具パネルや間仕切パネルを構成し、パネル幅方向の端面５Ｂｂにおいて開口するように芯層２Ｂに収納凹所や加工孔等が設けられている場合には、当該部位にはシート端部納め部材３０を設けないようにしてもよい。

　このシート端部納め部材３０は、凹溝５Ｂａの溝底との間に隙間が形成されるように嵌め込まれ、かつ凹溝５Ｂａの溝底側に押し込まれていない状態（非押込状態）の差込溝３１の開口幅Ｗ３が、押し込まれた状態の開口幅Ｗ４よりも大となるように構成されている。
　また、このシート端部納め部材３０は、図１３（Ｅ）に示すように、凹溝５Ｂａの溝底側に押し込まれた状態（押込状態）で、凹溝５Ｂａ内に全体が収容される構成とされている。本実施形態では、シート端部納め部材３０を、押込状態で、パネル幅方向外側に向く外側面３６ａ，３６ａがパネル幅方向の端面５Ｂｂと略同一平面状となる構成としている。

　このシート端部納め部材３０の差込溝３１は、図１３（Ａ）に示すように、パネル幅方向外側に向けて開口するように、かつ当該シート端部納め部材３０の長手方向に延びるように全長に亘って設けられている。また、この差込溝３１は、パネル幅方向外側に向く溝底側が溝底部３２によって区画され、パネル厚さ方向に向く溝幅方向両内面側が両側壁部３３，３３によって区画されている。また、図例では、この差込溝３１を、シート端部納め部材３０が凹溝５Ｂａに嵌め込まれていない状態（及び凹溝５Ｂａに押し込まれていない状態）で、溝長手方向に見て略方形溝状としている。
　この差込溝３１の溝深さや溝幅は、化粧層３の厚さや、化粧層３の各端部３ｃ，３ｃを差し込む際に用いられる治具２９（図１３（Ｄ）参照）等の厚さに応じて、また、化粧層３の各端部３ｃ，３ｃの差込性の観点等から適宜、設定するようにしてもよい。また、非押込状態における差込溝３１の開口側の溝幅（開口幅）Ｗ３を含む溝幅を、化粧層３の厚さ寸法の略２倍程度としてもよい。なお、差込溝３１は、非押込状態において略方形溝状とされたものに限られず、開口側に向かうに従い溝幅が狭まるような形状とされたものでもよい。

　また、シート端部納め部材３０の係止部３４，３４は、パネル厚さ方向両側に設けられており、凹溝５Ｂａの溝幅方向両内面５Ｂｃ，５Ｂｃに係止し、シート端部納め部材３０のパネル幅方向外側への抜け（移動）を抑制する構成とされている。また、これら両側の係止部３４，３４を、シート端部納め部材３０の凹溝５Ｂａへの押し込み（嵌め入れ）方向先側となる溝底側部位に設けた構成としている。
　また、本実施形態では、これら両側の係止部３４，３４を、凹溝５Ｂａの溝幅方向両内面５Ｂｃ，５Ｂｃに食い込むように係止する係止突部３４，３４としている。これら係止突部３４，３４は、パネル厚さ方向外側に向けて突出するように設けられている。また、これら係止突部３４，３４は、突出方向先側に向かうに従い先細り状となるように設けられ、尖頭状とされている。本実施形態では、シート端部納め部材３０の溝底側部位のパネル厚さ方向両側に、パネル幅方向に複数（図例では、３つ）の係止突部３４，３４を設けた構成としている。

　これら係止突部３４，３４は、シート端部納め部材３０の長手方向の全体に亘って、長手方向に間隔を空けてドット状や突条状に設けられたものでもよく、全長に亘って延びるように設けられたものでもよい。なお、図例では、これら係止突部３４，３４のシート端部納め部材３０の長手方向に見た形状を略二等辺三角形状とした例を示しているが、このような形状に限られず、不等辺三角形状や、その他の形状としてもよい。
　また、パネル厚さ方向一方側の係止突部３４の突出方向先端からパネル厚さ方向他方側の係止突部３４の突出方向先端までのパネル厚さ方向に沿う寸法（シート端部納め部材３０の溝底側部位の幅寸法）Ｗ２は、凹溝５Ｂａの（溝底側の）溝幅Ｗ１よりも大とされている。このシート端部納め部材３０の溝底側部位の幅寸法Ｗ２は、シート端部納め部材３０の凹溝５Ｂａへの嵌め入れ性（押し込み性）や、凹溝５Ｂａの両内面５Ｂｃ，５Ｂｃに食い込むように係止する係止突部３４，３４の係止強度等の観点から適宜の寸法としてもよい。

　また、本実施形態では、シート端部納め部材３０の両側壁部３３，３３の溝深さ方向途中部位に、開口幅Ｗ３を狭めるように変位する際に屈曲部となるように、他の部位よりもパネル厚さ方向に沿う寸法が小とされた括れ部３５，３５を設けた構成としている。
　これら括れ部３５，３５は、係止突部３４，３４よりも反溝底側（凹溝５Ｂａの溝深さ方向で溝底側とは異なる側）に設けられている。また、これら括れ部３５，３５は、両側壁部３３，３３のパネル厚さ方向両方側または一方側に溝状に凹部が設けられて他の部位よりも薄く形成されている。本実施形態では、両側壁部３３，３３の溝深さ方向途中部位に、パネル厚さ方向外側に向けて開口するように溝状に凹部を設けて括れ部３５，３５としている。また、図例では、両側壁部３３，３３の凹部を、溝長手方向に見て、略Ｖ字溝形状とした例を示しているが、略Ｕ字溝形状や略コ字溝形状、略逆台形溝状等とされたものとしてもよい。
　また、これら括れ部３５，３５のパネル厚さ方向に沿う寸法は、両側壁部３３，３３の反溝底側部位が差込溝３１の開口幅Ｗ３を狭めるように変位し易いように、また、強度上の観点等から、適宜、設定するようにしてもよい。

　また、本実施形態では、シート端部納め部材３０の反溝底側部位に、凹溝５Ｂａの両側の凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄのそれぞれに受け入れられる鍔状部３６，３６を設けた構成としている。これら鍔状部３６，３６は、図１３（Ｂ）に示すように、非押込状態で、差込溝３１の開口両側縁から離間するに従い溝底側に向かうように傾斜する傾斜片状とされている。
　これら鍔状部３６，３６は、薄板状とされ、差込溝３１の開口両側縁を構成する両側壁部３３，３３の反溝底側端部から斜め溝底側となるパネル厚さ方向外側に向けて突出するように設けられている。また、これら鍔状部３６，３６は、当該シート端部納め部材３０が非押込状態では、凹溝５Ｂａの両側の凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段底面に基端側部位が離間した状態で突出方向先端部が当接または近接される構成とされている。また、これら鍔状部３６，３６は、図１３（Ｅ）に示すように、当該シート端部納め部材３０が押込状態では、厚さ方向をパネル幅方向に沿わせた状態とされる。この状態では、これら鍔状部３６，３６のパネル幅方向内方側に向く裏面３６ｂ，３６ｂが凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段底面に平行状となって当接され、差込溝３１の開口側が狭められた開口幅Ｗ４となる。

　つまり、非押込状態で傾斜片状とされた鍔状部３６，３６は、当該シート端部納め部材３０が押し込まれれば、裏面３６ｂ，３６ｂが凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段底面に当接して押し付けられ、厚さ方向をパネル幅方向に沿わせた状態とされる。また、これら鍔状部３６，３６の変形に伴い、括れ部３５，３５において両側壁部３３，３３が屈曲するように変形し、差込溝３１の開口側が非押込状態の開口幅Ｗ３から狭められた開口幅Ｗ４となる。また、この状態では、これら鍔状部３６，３６によってシート端部納め部材３０の溝底側への更なる移動が抑制される。また、この状態では、凹溝５Ｂａの両内面５Ｂｃ，５Ｂｃに係止する係止突部３４，３４によってシート端部納め部材３０のパネル幅方向外側への移動が抑制され、差込溝３１の開口側が狭められた状態で維持される。

　また、本実施形態では、鍔状部３６，３６の厚さ寸法を、凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段差（パネル幅方向に沿う深さ寸法）と略同寸法としている。これにより、押込状態で、これら鍔状部３６，３６の表面となるパネル幅方向外側に向く外側面３６ａ，３６ａが端面５Ｂｂと略同一平面状となる構成としている。つまり、本実施形態では、非押込状態において、シート端部納め部材３０が芯層２Ｂの端面５Ｂｂからパネル幅方向外側に向けて突出する構成とされている。
　また、押込状態で、鍔状部３６，３６の突出方向先端面が凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段壁面に当接される構成としている。このような構成とすれば、芯層２Ｂの端面５Ｂｂと鍔状部３６，３６の外側面３６ａ，３６ａとが連なるような略面一状となり、これらに跨るように貼着される化粧層３，３の段差を生じ難くすることができる。

　なお、上記のような態様に代えて、鍔状部３６，３６の厚さ寸法を、凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段差よりも小としたり、押込状態で、鍔状部３６，３６の突出方向先端面と凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段壁面との間に隙間が形成される構成としたりしてもよい。このような構成とすれば、凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄを含む凹溝５Ｂａに加工誤差やシート端部納め部材３０に成形誤差等があった場合にも、押込状態においてシート端部納め部材３０が芯層２Ｂの端面５Ｂｂから突出するようなことを抑制することができる。
　また、図例では、鍔状部３６，３６の基端部に、上記のような変形を容易とする括れ部を設けた例を示している。図例では、差込溝３１の開口両側縁に溝状の凹部を設けて括れ部とした例を示している。

　また、押込状態における鍔状部３６，３６の裏面３６ｂ，３６ｂから凹溝５Ｂａの溝底に対面される押込方向先端面までのパネル幅方向に沿う寸法を、凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段底面から凹溝５Ｂａの溝底までのパネル幅方向に沿う寸法以下としている。図例では、押込状態における鍔状部３６，３６の裏面３６ｂ，３６ｂからシート端部納め部材３０の押込方向先端面までのパネル幅方向に沿う寸法を、凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段底面から凹溝５Ｂａの溝底までのパネル幅方向に沿う寸法よりも小としている。つまり、押込状態で、シート端部納め部材３０の押込方向先端面と凹溝５Ｂａの溝底との間に隙間が形成される構成としている。なお、このような態様に代えて、押込状態における鍔状部３６，３６の裏面３６ｂ，３６ｂからシート端部納め部材３０の押込方向先端面までのパネル幅方向に沿う寸法と、凹段部５Ｂｄ，５Ｂｄの段底面から凹溝５Ｂａの溝底までのパネル幅方向に沿う寸法と、を略同寸法としてもよい。
　また、このシート端部納め部材３０は、例えば、長手方向に沿って押出成形や射出成形等された一体成形品としてもよい。また、シート端部納め部材３０は、硬質の合成樹脂系材料から一体的に成形されたものとしてもよい。

　このような構成とされたシート端部納め部材３０に化粧層３，３の端部３ｃ，３ｃを納める際には、以下のようにしてもよい。
　化粧層３，３における芯層２Ｂの両端面５Ｂｂ，５Ｂｂに貼着される部位及び差込溝３１，３１に差し込まれる両端部３ｃ，３ｃの裏面に樹脂含浸繊維シート層４，４が形成されないように、化粧層３，３の両端部３ｃ，３ｃを延設させた構成とする。そして、芯層２Ｂの両端面５Ｂｂ，５Ｂｂに適宜の接着剤を塗布し、図１３（Ｃ）～（Ｅ）に示すように、芯層２Ｂのパネル幅方向両側に延出する化粧層３，３を、芯層２Ｂの両端面５Ｂｂ，５Ｂｂに貼着するようにしてもよい。この際、シート端部納め部材３０，３０の鍔状部３６，３６，３６，３６の外側面３６ａ，３６ａ，３６ａ，３６ａにも接着剤を塗布するようにしてもよい。なお、このような態様に代えて、または加えて、化粧層３，３側に接着剤を塗布するようにしてもよい。

　また、化粧層３，３の各端部３ｃ，３ｃを、シート端部納め部材３０，３０の差込溝３１，３１に差し込む。この際、パネル厚さ方向両側の化粧層３，３のうち一方側から順に、両端面５Ｂｂ，５Ｂｂへの貼着とその端部３ｃ，３ｃのシート端部納め部材３０，３０の差込溝３１，３１への差し込みとを行うようにしてもよい。また、化粧層３，３の各端部３ｃ，３ｃを差込溝３１，３１に差し込んだ状態で、シート端部納め部材３０，３０を凹溝５Ｂａ，５Ｂａの溝底側に押し込む。これら化粧層３，３の各端部３ｃ，３ｃの差込溝３１，３１への差し込みやシート端部納め部材３０，３０の押し込みは、適宜の薄板状のローラー等の治具２９を用いて行うようにしてもよい。
　また、このように化粧層３，３の各端部３ｃ，３ｃを差込溝３１，３１に差し込み、シート端部納め部材３０，３０を押し込んだ後に、適宜の押圧部材によって幅方向両側から押圧して接着剤を硬化させるようにしてもよい。
　上記のような構成とすれば、化粧層３，３の端部３ｃ，３ｃを見栄え良く納めることができ、かつ端部３ｃ，３ｃの抜けを抑制することができる。

　なお、シート端部納め部材３０としては、上記構成とされたものに限られない。例えば、上記のような鍔状部３６，３６を設けていない構成とし、凹溝５Ｂａに凹段部を設けていない構成としてもよい。この場合は、非押込状態で少なくとも端面５Ｂｂから突出するシート端部納め部材３０の反溝底側部位のパネル厚さ方向両側面を、反溝底側部位のパネル厚さ方向に沿う寸法が反溝底側に向かうに従い大となるように傾斜面状としてもよい。このような構成としても、シート端部納め部材３０が凹溝５Ｂａに押し込まれれば、反溝底側部位のパネル厚さ方向両側面が凹溝５Ｂａの両内面に当接規制されて反溝底側部位が差込溝３１の開口幅Ｗ３を狭めるように変位することとなる。
　また、上記した各実施形態及び各変形例等の互いに異なる構成を、互いに組み合わせたり、組み替えたりして適用するようにしてもよい。もちろん、本発明は以上の実施形態に限定されることはない。実施上の細部の様々な変更、変形が考慮されてよい。

　１，１Ａ，１Ｂ　　　　化粧パネル
　２，２Ａ，２Ｂ　　　　芯層
　２１，２１Ａ　　　　　ハニカムコア
　２３，２３Ａ，２３Ｂ　枠体
　２５　　　　　　　　　圧縮部（一部分）
　２６　　　　　　　　　凹状部
　２７，２７Ａ～２７Ｃ　スペーサー型
　２７ａ　　　　　　　　突条部
　３，３ａ，３ｂ　化粧層
　３ｃ　　　　　　端部
　４，４ａ　　　　樹脂含浸繊維シート層
　４１　　　　　　繊維シート
　４２　　　　　　樹脂組成物（樹脂含浸繊維シート層を構成する樹脂組成物、樹脂）
　４４　　　　　　表層側樹脂層
　５，５Ａ，５Ｂ　第１桟材（枠材）
　５Ａａ　　　　　差込溝（溝）
　５Ｂａ　　　　　凹溝
　５Ｂｂ　　　　　端面
　５Ｂｃ　　　　　内面
　１３，１３Ａ　　角部折曲溝（折曲溝）
　１４　　　　　　側端面（端部）
　３０　　　　　　シート端部納め部材
　３１　　　　　　差込溝
　３４　　　　　　係止突部（係止部）
　Ｗ３　　　　　　非押込状態における開口幅（開口幅）
　Ｗ４　　　　　　押込状態における開口幅（開口幅）

Claims

　ハニカムコアを有する芯層と、前記芯層の表裏の両面側に配設された化粧シートからなる化粧層と、を備えており、
　前記芯層と前記化粧層とが、両者の間に介設された樹脂含浸繊維シート層により接着されていることを特徴とする化粧パネル。
　前記樹脂含浸繊維シート層は、繊維シートに、無発泡または発泡倍率５倍以下の低発泡性の樹脂が含浸されたものであることを特徴とする請求項１に記載の化粧パネル。
　前記繊維シートは、ガラス繊維の織布、不織布またはマットであることを特徴とする請求項２に記載の化粧パネル。
　前記芯層は、前記ハニカムコアを内側に収納する枠体を備えていることを特徴とする請求項１から３のうちのいずれか一項に記載の化粧パネル。
　前記化粧層の少なくとも一方は、前記芯層の端部において、延設されて折り曲げられた状態で前記芯層の端部を被覆していることを特徴とする請求項１から４のうちのいずれか一項に記載の化粧パネル。
　前記樹脂含浸繊維シート層と前記化粧層とが、前記芯層の端部において、延設されて折り曲げられた状態で前記芯層の端部を被覆していることを特徴とする請求項５に記載の化粧パネル。
　前記芯層の表裏の一方の面に配設された前記化粧層と他方の面に配設された前記化粧層とは、各々の最端部において相互に接触して前記芯層の端部を被覆していることを特徴とする請求項５または６に記載の化粧パネル。
　前記芯層の一方側端部に全長に亘って設けられた凹溝にシート端部納め部材が嵌め込まれており、
　前記シート端部納め部材には、表裏両側から前記一方側端部の端面を覆うように設けられた前記化粧層の各端部が差し込まれた差込溝が全長に亘って設けられており、
　前記シート端部納め部材は、前記凹溝の溝底との間に隙間が形成されるように嵌め込まれた状態で、前記凹溝の溝底側に押し込まれれば、前記差込溝の開口側部位を区画する反溝底側部位が該差込溝の開口幅を狭めるように変位する構成とされ、かつ、押し込まれて開口幅を狭めた状態で前記凹溝の溝底側部位の溝幅方向両内面に係止する係止部を備えていることを特徴とする請求項５に記載の化粧パネル。
　前記化粧層と前記樹脂含浸繊維シート層との間に、表層側樹脂層を介在させたことを特徴とする請求項１から８のうちのいずれか一項に記載の化粧パネル。
　前記芯層のハニカムコアは、圧縮変形可能とされ、該芯層の一部分が圧縮されて少なくともパネル厚さ方向一方側に凹状部が設けられていることを特徴とする請求項１から９のうちのいずれか一項に記載の化粧パネル。
　ハニカムコアを有する芯層の表裏両側に、樹脂含浸繊維シート層を構成する繊維シート及び未硬化の樹脂組成物をそれぞれに介在させて表裏両側の化粧層を構成する化粧シートを配した状態で、表裏両側から圧締して樹脂組成物を硬化させて化粧パネルを製造することを特徴とするパネル製造方法。
　前記表裏両側の化粧層の裏面に表層側樹脂層を構成する未硬化の樹脂組成物を供給した後に、該表層側樹脂層の前記芯層側に位置するように前記樹脂含浸繊維シート層を形成して前記化粧パネルを製造することを特徴とする請求項１１に記載のパネル製造方法。
　前記ハニカムコアを内側に収納する枠体を備えた前記芯層における前記枠体の外側に、前記芯層の枠体及び前記ハニカムコアと略面一の表裏面に突条部を備えるスペーサー型を当接させる工程と、
　前記芯層及び前記スペーサー型の表裏面に、前記樹脂含浸繊維シート層と前記化粧層とを積層し、加熱加圧すると同時に前記樹脂含浸繊維シート層の前記芯層側に前記スペーサー型の突条部に対応する形状の折曲溝を転写する工程と、
　前記樹脂含浸繊維シート層と前記化粧層とを、前記折曲溝において折り曲げて、前記芯層の側端面を被覆する工程と、を備えていることを特徴とする請求項１１または１２に記載のパネル製造方法。
　前記枠体を組む枠材の長手方向の外方側端面に設けられた溝内に、前記樹脂含浸繊維シート層及び前記化粧層の端部を折り曲げて収納し、前記芯層の側端面を被覆することを特徴とする請求項１３に記載のパネル製造方法。
　前記スペーサー型として、前記化粧パネルの角部に対応する位置に、複数本の前記突条部を備えるスペーサー型を用いることを特徴とする請求項１３または１４に記載のパネル製造方法。