JP5234141B2 - 樹脂化粧板 - Google Patents
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Description
このような樹脂化粧板は、基板上に不飽和ポリエステル樹脂等の樹脂組成物を塗布した後に、凹凸模様を有する賦型シートを重ね合わせて、樹脂組成物を硬化させて、前記凹凸模様を有する賦型シートを剥離することにより、凹凸表面を有する化粧板を製造する方法が知られている。そして、このような方法で凹凸表面を有する樹脂化粧板を製造するのに用いられる賦型シートとしては、表面に木目調の凹凸の柄を有し、表面の全面をシリコーン樹脂で硬化させて得られるものが提案されている(例えば、特許文献1)。しかし、化粧板に十分付与する凹凸形状が十分に繊細ではない、また、表面の強度が十分ではないため、繰返し使用をすることが困難であるといった問題があった。
(1)基板の上面に、接着剤層、化粧シート層を順に積層し、該化粧シート層上に樹脂組成物を塗布し、次いで賦型シートを当接して一体的に硬化させた後に、該賦型シートを剥離して樹脂層を形成する樹脂化粧板の製造方法であって、前記賦型シートが、基材上に、(イ)それ自体撥液性を有するバインダーを含有する撥液性インキ、(ロ)それ自体撥液性のないバインダー中に撥液性を有する物質を添加した撥液性インキ、および(ハ)それ自体撥液性を有するバインダーにさらに撥液性を有する添加剤を添加した撥液性インキからなる群から選ばれたインキによって模様層を形成し、前記模様層上に、離型剤を含有する電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工して塗工層を形成し、前記撥液性模様層と前記塗工層との間の撥液作用によって前記模様層の上部に形成された塗工層に凹部を形成し、さらに前記塗工層に対して電離放射線を照射して、前記模様層に同調した凹凸が形成された塗工層を硬化させたものであることを特徴とする樹脂化粧板の製造方法、
(2)基板の上面に、接着剤層、化粧シート層を順に積層し、該化粧シート層上に樹脂組成物を塗布し、次いで賦型シートを当接して一体的に硬化させた後に、該賦型シートを剥離して樹脂層を形成する樹脂化粧板の製造方法であって、前記賦型シートが、基材上に、全面にわたって(イ)それ自体撥液性を有するバインダーを含有する撥液性インキ、(ロ)それ自体撥液性のないバインダー中に撥液性を有する物質を添加した撥液性インキ、および(ハ)それ自体撥液性を有するバインダーにさらに撥液性を有する添加剤を添加した撥液性インキからなる群から選ばれたインキによってインキ層を形成し、前記インキ層上に、離型剤を含有する硬化性樹脂組成物を塗工して塗工層を形成し、前記インキ層と前記塗工層との間の撥液作用によって前記塗工層は前記インキ層の上部に凸部を形成し、さらにこのようにして形成された凸部を形成する塗工層を硬化させたものであることを特徴とする樹脂化粧板の製造方法、
(3)基板の上面に、接着剤層、化粧シート層を順に積層し、該化粧シート層上に樹脂組成物を塗布し、次いで賦型シートを当接して一体的に硬化させた後に、該賦型シートを剥離して樹脂層を形成する樹脂化粧板の製造方法であって、前記賦型シートが、基材、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面賦型層を有し、前記基材と前記表面賦型層の間に、基材側から、少なくともインキ層と、相互作用防止層とをこの順序で積層され、前記インキ層は相互作用領域を発現させる部分又は基材の全面にわたって形成され、前記相互作用防止層が相互作用領域を発現させる部分を切抜いた形状を有して形成されたものであることを特徴とする樹脂化粧板の製造方法、
(4)前記賦型シートが、基材がポリエステル系フィルムからなり、基材がキシレン中に140℃で24時間浸漬後の重量減少が1.0質量%以下である前記(1)〜(3)に記載の樹脂化粧板、及び
(5)前記樹脂組成物中の樹脂が不飽和ポリエステル樹脂又はシリコーン樹脂である前記(1)〜(4)に記載の樹脂化粧板、
を提供するものである。
本発明の樹脂化粧板について、図1を用いて説明する。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基板の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
木質系の板としては、杉、檜、欅、松、ラワン、チーク、メラピー等各種素材の突板、木材単板、木材合板、パーチクルボード、中密度繊維板(MDF)等の木質材等が挙げられる。これらは単独で、または積層して用いることもできる。なお、木質系の板には、木質板に限らず、紙粉入りのプラスチック板や、補強され強度を有する紙類も包含される。
窯業系素材としては、石膏板、珪酸カルシウム板、木片セメント板などの窯業系建材、陶磁器、ガラス、琺瑯、焼成タイル、火山灰を主原料とした板等が例示される。
これらの他、繊維強化プラスチック(FRP)の板、ペーパーハニカムの両面に鉄板を貼ったもの、2枚のアルミニウム板でポリエチレン樹脂を挟んだもの等、各種の素材の複合体も基板として使用できる。
接着剤層3に用いられる接着剤はスプレー、スプレッダー、バーコーター等の塗布装置を用いて塗布する。この接着剤は、尿素系、酢酸ビニル樹脂系、ユリア樹脂系、メラミン樹脂系、フェノール樹脂系、イソシアネート系等の接着剤を用いることができ、単独であるいは任意混合した混合型接着剤として用いられる。接着剤には、必要に応じてタルク、炭酸カルシウム、クレー、チタン白等の無機質粉末、小麦粉、木粉、プラスチック粉、着色剤、防虫剤、防カビ剤等を添加混合して用いることができる。一般に、接着剤は固形分を35〜80質量%とし、塗布量50〜300g/m2の範囲で基板表面に塗布される。
シート層41としては、通常化粧シートの基材として用いられるものであれば、特に限定されず、各種の紙類、プラスチックフィルム、プラスチックシート等を用途に応じて適宜選択することができる。これらの材料はそれぞれ単独で使用してもよいが、紙同士の複合体や紙とプラスチックフィルムの複合体等、任意の組み合わせによる積層体であってもよい。
これらの基材、特にプラスチックフィルムやプラスチックシートを基材として用いる場合には、その上に設けられる層との密着性を向上させるために、所望により、片面または両面に酸化法や凹凸化法などの物理的または化学的表面処理を施すことができる。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
これらの他、リンター紙、板紙、石膏ボード用原紙、又は紙の表面に塩化ビニル樹脂層を設けたビニル壁紙原反等、建材分野で使われることの多い各種紙が挙げられる。さらには、事務分野や通常の印刷、包装などに用いられるコート紙、アート紙、硫酸紙、グラシン紙、パーチメント紙、パラフィン紙、又は和紙等を用いることもできる。また、これらの紙とは区別されるが、紙に似た外観と性状を持つ各種繊維の織布や不織布も基材として使用することができる。各種繊維としてはガラス繊維、石綿繊維、チタン酸カリウム繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、若しくは炭素繊維等の無機質繊維、又はポリエステル繊維、アクリル繊維、若しくはビニロン繊維などの合成樹脂繊維が挙げられる。
ベタ印刷層42の形成に用いられるインキとしては、バインダーに顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、安定剤、可塑剤、触媒、硬化剤などを適宜混合したものが使用される。該バインダーとしては特に制限はなく、例えば、ポリウレタン系樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル系共重合体樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル/アクリル系共重合体樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、酢酸セルロース系樹脂などの中から任意のものが、1種単独で又は2種以上を混合して用いられる。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
この着色層6は厚さ1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
絵柄層43に用いる絵柄インキとしては、ベタ印刷層42に用いるインキと同様のものを用いることができる。
樹脂組成物は、樹脂、ならびに必要に応じて添加される重合開始剤、重合促進剤、重合禁止剤及びその他の添加物からなる組成物である。
本発明に用いられる樹脂組成物中の樹脂としては、常温又は加熱することにより硬化するものであれば、特に制限はなく、例えば、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ケトン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、炭化水素樹脂(芳香族系及び脂肪族系)、ゴム系樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。中でも、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂が好ましい。
重合開始剤としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルのようなラジカル開始剤から適宜に選択して用いられる。重合開始剤の樹脂組成物中の添加量は0.5〜3質量%が好ましく、0.5〜2.0質量%がより好ましい。重合促進剤としては、例えばナフテン酸コバルト等のコバルト化合物、バナジウム化合物、マンガン化合物等の金属化合物、ジメチルニトリル等のアミン系化合物等が樹脂組成物に対して好ましくは0.1〜2.0質量%、より好ましくは0.3〜1.0質量%の割合で用いられる。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、トリハイドロキノン、ベンゾキノン、トリハイドロベンゼン等を用いることができる。その他の添加物としては、例えば塗工粘度の調整及び樹脂を架橋させるために、スチレンモノマー等のビニル基を有する化合物を好ましく挙げることができ、その樹脂組成物中の添加量は10〜40質量%が好ましく、15〜30質量%がより好ましい。
これらの硬化速度調整剤、及びその他の添加物は、単独で用いることもできるし、併用することもできる。
表面賦型層75の最表面における、相互作用領域74の上部は、インキ層73の形成に伴って隆起し、凸形状77を有している。表面賦型層75の表面がこのように凸形状を有することによって、全体として凹凸形状を有する賦型シートを形成する。なお、該凸形状の高さについては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、通常1〜3μmの範囲である。
図9に示す例は、基材82上に全面を被覆する一様均一な浸透防止層86、インキ層83、硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面賦型層85がこの順に積層されたものであり、表面賦型層85の表面には微細凹凸面813を有するものである。インキ層83は全面にわたって存在し、その直上部における表面賦型層に相互作用領域84が形成される。相互作用領域84は図中で点の集合により表現されている。
表面賦型層85の最表面における、相互作用領域84の上部は、インキ層83の形成に伴って微細凹凸面813を有している。表面賦型層85の表面がこのように微細凹凸面を有することによって、繊細な凹凸形状を有する賦型シートを得ることができる。
さらに図11の例では、インキ層83の厚みを変えることにより、インキ層83の厚みに応じて表面賦型層85の表面に隆起形状87を発現させることによっても、凹凸形状を有することを示すものである。
また、微粒子、焼成カオリン粒子に起因する微細隆起形状812は、表面賦型層85の表面の全体にわたって発現する隆起形状87及び微細凹凸面813に、部分的に微細な隆起形状を与えるものである。
この表面賦型層85中の相互作用領域84による微細凹凸面の効果、表面賦型層85との表面における微粒子の頭出しによる効果、及びインキ層83の厚みに応じて形成される隆起形状の効果により、繊細な凹凸形状を有し、高級感のある緻密な賦型が可能となる賦型シートを得ることができる。
これらのうち、基材としては、耐熱性と寸法安定性に優れた材質が好ましく、中でもポリエチレンテレフタレートフィルム等のポリエステルフィルムが特に好ましい。
賦型シート71及び81における凹凸形状発生の機構については、十分解明されるには至っていないが、各種実験と観察、測定の結果から、インキ層の表面に表面賦型層を形成するための電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、各材料の組合せ、塗工条件の適当な選択によって、インキ層の樹脂成分と表面賦型層が、一部溶出、分散、混合等の相互作用を発現することによるものと推測される。この際、インキ層のインキ組成物と電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、インキ層の直上部及びその近傍に存在し、該懸濁状態となった部分が相互作用領域をなして、凸形状を発現させるものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面賦型層を架橋硬化せしめることにより、かかる状態が固定されると、図3及び図4に示すように、表面賦型層中に相互作用領域が部分的に形成され、凸形状7をなすものと推測される。また、インキ層が全面にわたって設けられる場合には、図9〜11に示すように、表面賦型層中に相互作用領域84が全面にわたって形成され、微細凹凸面813をなすものと推測される。
上記ウレタン樹脂としては、非架橋型のもの、すなわち、3次元架橋して網目状の立体的分子構造を持ったものではなく、線状の分子構造を持った熱可塑性樹脂となったものを選択することが好ましい。このような非架橋型のウレタン樹脂としては、ポリオール成分として、アクリルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールとイソシアネート成分として、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート等の脂肪族ないしは脂環式イソシアネート等のイソシアネートとを反応させてなるウレタン樹脂が挙げられる。通常ポリオール1分子中の水酸基数及びイソシアネート1分子中のイソシアネート基はそれぞれ平均2である。またウレタン樹脂の平均分子量は10,000〜50,000程度であり、ガラス転移温度(Tg)は−70〜−40℃程度のものが相互作用領域発現のために好ましい。
体質顔料としては特に限定されず、例えばシリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。これらのうち吸油度、粒径、細孔容積等の材料設計の自由度が高く、意匠性、白さ、インキ組成物としての塗工安定性に優れた材料であるシリカが好ましく、特に微粉末のシリカが好ましい。シリカの粒径としては、0.1〜5μmの範囲が好ましい。0.1μm以上であるとインキ組成物に添加した際にインキのチキソ性が極端に高くならず、またインキの粘性が上がりすぎず印刷のコントロールがしやすい。いいかえると、凹凸形状のコントロールがしやすくなる。また、木目模様の作製において、導管模様部分を表現しようとした場合、導管模様部分のインキの塗布厚みが通常5μm以下であり、シリカの粒径が塗布厚みよりも小さければ粒子の頭だしが比較的押えられ目立たないことから、相互作用領域発現の状態が自然となることで、凹凸形状の違和感は生じにくく、自然な仕上がりとなる。
これらの体質顔料のインキ組成物における含有量は、5〜15質量%の範囲であることが好ましい。5質量%以上であるとインキ組成物に十分なチキソ性を付与することができ、15質量%以下であると凸形状の発現を付与する効果の低下が全く見られず好ましい。
これは、インキ層の塗布量が相対的に、より多くなるにしたがって、インキ層と表面賦型層との間の相互作用が相対的に増加して、懸濁状態の程度がより高く、凸形状の起伏がより大きくなるためと考えられる。
こうした構造を有する賦型シートにより一層多彩で繊細な質感を付与することが可能となる。インキ層73を構成するインキ組成物の厚みを変化させる方法は、通常、インキ組成物の塗工量を変化させることで容易に行うことができ、インキ組成物の塗工量を連続的に変化させることによって、上記段階的な変化を連続的に無段階で変化させることもできる。
表面賦型層75中に形成される相互作用領域74の広がりの程度については、本発明の効果を奏する範囲内であれば特に限定されず、図5に示すように、インキ層73の表面から表面賦型層75の厚み方向の途中で留まっていてもよく、また図6及び図7に示すように表面賦型層75の最表面に達するものであってもよいし、さらには表面賦型層75の最表面に凸形状を形成していてもよい。
こうした構造を有する賦型シートにより一層多彩で繊細な質感を付与することが可能となる。インキ層83を構成するインキ組成物の厚みを変化させる方法は、通常、インキ組成物の塗工量を変化させることで容易に行うことができ、インキ組成物の塗工量を連続的に変化させることによって、上記段階的な変化を連続的に無段階で変化させることもできる。
代表的には、重合性モノマーとして、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つ(メタ)アクリレート単量体が好適であり、(メタ)アクリレート単量体を含むことによって、上述のインキとの相互作用が生じ、凹凸形状の差を好適に形成するものである。インキとの相互作用をより強いものとし、さらなる凹凸形状を得るとの観点から、(メタ)アクリレート単量体の含有量は50質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明で用いられる賦型シート71及び81においては、上述のようにインキ層を構成するインキと表面賦型層を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物の相互作用が重要であり、この観点から適当なインキと電離放射線硬化性樹脂組成物が選定されるが、電離放射線硬化性樹脂組成物としては、多官能性(メタ)アクリレートモノマーを含有することが好ましい。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明で用いられる賦型シート71及び81においては、電離放射線硬化性樹脂として電子線硬化性樹脂を用いることが好ましい。電子線硬化性樹脂は無溶剤化が可能であって、環境や健康の観点からより好ましく、また光重合用開始剤を必要とせず、安定な硬化特性が得られるからである。
なお、焼成カオリン粒子は含水カオリン粒子よりも塗料安定性にも優れている。
ここで反応性シリコーンとは、側鎖、末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するものをいう。反応性シリコーンは、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型等において、導入する有機基がアミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等であるものが挙げられる。
上記反応性シリコーンは、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化する。したがって、本発明の化粧板を熱圧成型によって成型する際に、化粧板の表面にブリードアウトしない(滲み出ない)ので、本発明の賦型シートと化粧板との密着性を著しく向上させて、微細な凹凸形状を有する繊細な意匠を化粧材に賦型することが可能となる。
上記反応性シリコーンの使用量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部あたり約0.1〜50質量部の範囲、好ましくは約0.5〜10質量部の範囲である。反応性シリコーンの使用量が0.1質量部以上の場合、化粧板と賦型シートの表面との剥離が十分となり、賦型シートの表面の凹凸形状が維持され、より長期間の使用に耐えうる。一方、反応性シリコーンの使用量が50質量部以下であれば、電離放射線硬化性樹脂組成物を基材に塗工する際にはじきが発生しないので塗膜面の面が荒れず、塗料安定性が向上する。
表面賦型層に配合された微粒子78(78−a,78−b)、88は、その平均粒径dAが、インキ層73、83の直上部に位置する表面賦型層75、85の最大厚さtMのプラス側近傍値、すなわちdAがtMよりも若干大きく、インキ層73、83の直上部に位置する表面賦型層75、85の表面から、該微粒子78−a、88の頭出しが起こる。この頭出しが起こった部分は凸形状を形成するために、微細な凹凸感を形成することができる。これと同時に、表面賦型層75の内部では、インキ層73、83におけるインキと、表面賦型層75及び85を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物との相互作用によって、インキ層73、83の直上部及びその近傍部に凸形状を発現させる相互作用領域74、84が形成される。
一方、インキ層73の直上部ではない部分に位置する微粒子78−bは、頭出しをすることがなく、凸形状の発現には寄与しないが、このように表面賦型層内における微粒子の位置による凸形状の発現に対する効果は様々である。
従って、この表面賦型層75、85中の相互作用領域74、84と、該表面賦型層75、85の表面における微粒子の頭出しによる効果と、前記したインキ層73、83の形成に伴い形成される凸形状の効果により、凹凸形状は微細であり、かつさらに強調されたものになる。
なお、インキ層73、83の直上部に位置する表面賦型層75、85の最大厚さtMとは、上記インキ層73、83の形成に伴う凸形状が形成されない場合には、表面賦型層75、85の厚さであり、該凸形状が形成される場合には、その部分を含んだ厚さである。
本発明で用いられる賦型シート71及び81においては、当該微粒子の粒度分布の変動係数CV値[(粒径の標準偏差/平均粒径)×100]は、30%以下であることが好ましい。前記CV値が30%以下であれば、当該微粒子は、実用的な粒度分布を有し、かつ適度の使用量で前記効果を十分に発揮することができる。このCV値は、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。
1.05×tM≦dA≦tG ・・・(I)
の関係を満たすことが好ましい。当該微粒子の平均粒径dAが、1.05×tM以上であれば、インキ層に当該微粒子の沈み込みが生じたとしても、該インキ層の直上部に位置する表面賦型層の表面に当該微粒子の頭出しが生じ、前記効果が十分に発揮される。また、該dAがtG以下であれば、インキ層が存在しない領域における表面賦型層において、当該微粒子の頭出しが抑制される。
当該微粒子の形状については特に制限はなく、球状、楕円体状、多面体状などの微粒子を用いることができるが、球状微粒子が好ましい。なお、本発明においては、球状以外の形状の微粒子の粒径は、外接球の直径で示される値とする。
これらの微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明の効果の点から、シリカ粒子が好適である。
また該微粒子は、同様の効果を有する上記焼成カオリン粒子とあわせて用いてもよい。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。賦型シートの長期使用を図るために添加するものである。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2’−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
このようにして調製された塗工液を、基材の表面に、硬化後の厚さが1〜20μmになるように、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
ここで、電離放射線として電子線を用いる場合、その加速電圧については、用いる樹脂や層の厚みに応じて適宜選定し得るが、通常加速電圧70〜300kV程度で未硬化樹脂層を硬化させることが好ましい。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材への余分の電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
電離放射線として紫外線を用いる場合には、波長190〜380nmの紫外線を含むものを放射する。紫外線源としては特に制限はなく、例えば高圧水銀燈、低圧水銀燈、メタルハライドランプ、カーボンアーク燈等が用いられる。
このようにして、形成された硬化樹脂層には、各種の添加剤を添加して各種の機能、例えば、高硬度で耐擦傷性を有する、いわゆるハードコート機能、防曇コート機能、防汚コート機能、防眩コート機能、反射防止コート機能、紫外線遮蔽コート機能、赤外線遮蔽コート機能などを付与することもできる。
賦型シート91の構造について、図12を用いて説明する。図12は本発明の賦型シート91の断面を示す模式図である。図12に示す例では、基材92上に全面を被覆する一様均一な浸透防止層95、艶消し下塗層93、及び電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した表面賦型層94がこの順に積層されたものである。
表面賦型層94は部分的に設けられ、全体として凹凸形状を有する賦型シートを形成する。なお、該凸形状の高さについては、本発明の効果を奏する範囲で特に限定されないが、通常1〜5μmの範囲である。
艶消し下塗層93は、艶消剤を含有する無色あるいは着色透明インキにより構成される。具体的には、ベヒクル成分として、アクリル系、ポリエステル系、アクリルウレタン系、ウレタン系の樹脂で水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を有する樹脂に、硬化剤としてポリイソシアネートを添加した2液硬化型樹脂が望ましい。
艶消剤としてはシリカが好ましく、その粒径は、1〜10μmの範囲が好ましく、さらには2〜5μmの範囲が好ましい。艶消し下塗り層の艶は、表面賦型層の積層された部分より、艶が低くなるように、艶消剤の粒径、添加量を設定し、意匠性を高める。
ここで反応性シリコーンとは、側鎖、末端に有機基を導入した変性シリコーンオイルのうち、導入する有機基の性質によって反応性を有するものをいう。反応性シリコーンは、具体的には、変性シリコーンオイル側鎖型、変性シリコーンオイル両末端型、変性シリコーンオイル片末端型、変性シリコーンオイル側鎖両末端型等において、導入する有機基がアミノ変性、エポキシ変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、フェノール変性、メタクリル変性、異種官能基変性等であるものが挙げられる。
上記反応性シリコーンは、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化する。したがって、本発明の化粧板を熱圧成型によって成型する際に、化粧板の表面にブリードアウトしない(滲み出ない)ので、本発明の賦型シートと化粧板との密着性を著しく向上させて、微細な凹凸形状を有する繊細な意匠を化粧材に賦型することが可能となる。
添加量としては、使用するシリコーンの種類等に応じて適宜選定されるが、通常、インキ固形分100質量部あたり、0.1〜10質量部の範囲が好ましい。この範囲であると表面賦型層4のグラビア印刷時にシリコーンが表面賦型層4に転移することがなく、また、架橋後の密着を阻害しない。
また、上記のように反応性シリコーンの中でも、シリコーン(メタ)アクリレートが好適に使用される。シリコーン(メタ)アクリレートとは、シリコーンの側鎖、末端にエチレン性不飽和2重結合を有する(メタ)アクリレートを導入し、電離放射線で硬化時に樹脂と反応し結合して一体化させて得られるものである。なお、該シリコーン(メタ)アクリレートの使用量は、上記反応性シリコーンと同様である。
このほか、艶消し下塗り層93には、体質顔料やレベリング剤、消泡剤等の各種添加剤を適宜使用することが出来る。
上記シリコーン(メタ)アクリレートの使用量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜5質量部の範囲である。シリコーン(メタ)アクリレートの使用量が0.1質量部以上であると、化粧板と賦型シートの表面との剥離が十分となり、賦型シートの表面の凹凸形状が維持され、より長期間の使用に耐えうる。一方、シリコーン(メタ)アクリレートの使用量が10質量部以下であると、電離放射線硬化性樹脂組成物を基材に塗工する際に、はじきが発生せず、塗膜面が荒れず、塗料安定性が向上する。
当該艶消剤は、無機微粒子及び有機微粒子のいずれであってもよい。当該微粒子の例としては、無機粒子として、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、カオリナイト、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラスなどの粒子を挙げることができ、有機微粒子として、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物などの粒子を挙げることができる。これらのうち、本発明の効果の点から、シリカ粒子が好適である。
また、これらの微粒子は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる賦型シート101の構造について、図13を用いて説明する。図13は賦型シート101の断面を示す模式図である。図13に示す例では、基材102上に全面を被覆する浸透防止層104、撥液性を有する模様層103、電離放射線硬化性樹脂組成物が架橋硬化した塗工層105が存在するものである。撥液性を有する模様層103は部分的に存在し、模様層103上に電離放射線硬化性樹脂組成物を塗工し、このようにして形成された撥液性を有する模様層103と電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工層105との間の撥液作用によって、該模様層103の上部に形成された塗工層105に凹形状106を形成し、さらにこのようにして形成された塗工層に対して電離放射線を照射して、模様層103に同調した凹凸形状が形成された塗工層を架橋硬化させることによって、賦型シート101を得ることができる。
本発明における賦型シートの凹凸形状は、撥液性を有する模様層103と電離放射線硬化性樹脂組成物からなる塗工層105との間の撥液作用によって、該模様層103の上部の塗工層105に凹形状106を形成させることにより得られる。
イ)の撥液性インキのバインダーに用いる樹脂としては、[結合剤の臨界表面張力<電離放射線硬化性樹脂組成物(液体状態)の表面張力]を満足する樹脂であれば特に制限されることはないが、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等のフッ素樹脂、ポリシロキサン、シリコーン(メタ)アクリレート等のシリコーン樹脂、フッ素及びシリコ−ン樹脂とアクリル樹脂の共重合体樹脂等が挙げられる。
上記体質顔料としては特に限定されず、例えばシリカ、タルク、クレー、硫酸バリウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等から適宜選択される。
また、繊細な意匠性を得るために、該撥液性インキには、艶消剤を添加することができる。艶消剤としては、材料設計の自由度が高く、塗工安定性に優れる点で、シリカが好ましい。粒径としては、2〜5μmの範囲が好ましく、添加量としては、1〜5質量%の範囲が好ましい。
本発明の賦型シートは着色されていても、されていなくても良いが、凹凸形状の状況確認のため、着色してあることが好ましい。賦型シートの着色を目的としてイ)の撥液性インキに添加される顔料としては、例えばキナクリドンレッド、磯インドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラック等の公知の着色用顔料が用いられる。
ロ)の撥液性を有する物質としては、上記イ)のバインダーに用いる樹脂であるシリコーン樹脂、フッ化樹脂の他、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ワックス類等が挙げられる。また、それ自体撥液性のないバインダーとしては、メラミンアルキド樹脂、ユリアアルキド樹脂等として一般に市販されるアミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等が好適に用いられる。
なお、ロ)の撥液性インキには、上記イ)の撥液性インキと同様に、体質顔料及び艶消剤を添加することができる。具体的には、上記イ)の撥液性インキにおいて挙げられるものが用いられる。
ハ)の撥液性を有するバインダーとしては、上記イ)に挙げられる樹脂が好適に用いられるが、電離放射線硬化性樹脂も好ましく用いることができる。電離放射線硬化性樹脂としては、賦型シート71の表面賦型層74で用いられる電離放射線硬化性樹脂と同様である。また、体質顔料及び艶消剤も上記イ)の撥液性インキにおいて挙げられるものが用いられる。
なお、撥液性を有する添加剤は、ハ)の撥液性インキの十分な撥液性と、賦型シートの十分な離型性を得るために添加されるものであり、例えば、シリコ−ン系、フッ素系樹脂等が挙げられる。
離型剤としては、反応性シリコーンが好ましく、中でもシリコーン(メタ)アクリレートが好適に使用される。塗工層5に離型剤を含有させることで、離型性が向上し、反復継続的使用に対する耐性が向上するからである。当該離型剤は、賦型シート91の艶消し下塗り層93で用いられる離型剤と同様である。離型剤の使用量は、電離放射線硬化性樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲、好ましくは0.5〜10質量部の範囲である。反応性シリコーンの使用量が0.1質量部以上の場合、化粧板と賦型シートの表面との剥離が十分となり、賦型シートの表面の凹凸形状が維持され、より長期間の使用に耐えうる。一方、反応性シリコーンの使用量が50質量部以下であれば、電離放射線硬化性樹脂組成物を基材に塗工する際にはじきが発生しないので塗膜面の面が荒れず、塗料安定性が向上する。
また、艶消剤は、賦型シート91の表面賦型層94に用いられるものと同様である。
本発明の賦型シート111の構造について、図14を用いて説明する。図14は本発明の賦型シート111の断面を示す模式図である。図14に示す例では、基材112上に全面を被覆する浸透防止層114、撥液性を有するインキ層113、硬化性樹脂組成物が架橋硬化した塗工層115が存在するものである。撥液性を有するインキ層113は全面にわたって存在し、インキ層113上に硬化性樹脂組成物を塗工し、このようにして形成された撥液性を有するインキ層113と硬化性樹脂組成物からなる塗工層115との間の撥液作用によって、該塗工層115は該インキ層113の上部に形成された硬化性樹脂組成物からなる凸形状117を形成し、さらにこのようにして形成された凸形状を形成する塗工層を架橋硬化させることによって、結果として凹凸形状を有する賦型シート111を得ることができる。
本発明で用いられる賦型シート121の構造について、図15及び図16を用いて説明する。賦型シート121は、大略すると、基材122、インキ層125、相互作用防止層126、表面賦型層127、及び浸透防止層129などにより構成されている。
また、相互作用防止層126はインキ層125より厚く積層されている。従って、切抜き部分126aを含む相互作用防止層126の上に積層された表面賦型層127の原料である未硬化の電離放射線硬化性樹脂組成物は、切抜き部分126a内でインキ層125と接触した状態で積層されている。
インキ層125は、表面賦型層の表面の凸形状を生じさせる層である。このインキ層125の積層範囲については、凹凸形状を形成したい領域のみを選択して形成する必要はなく、基材122の全面に積層(いわゆるベタ印刷)してもよい。従って、凸形状を形成したい部分が100μm幅程度の繊細な模様であっても、容易に製造することが可能である。
インキ層125を形成するインキ組成物は、表面賦型層127を形成する電離放射線硬化性樹脂組成物との間で溶出、分散、混合等の相互作用を発現し得る性質を有するものであり、該電離放射線硬化性樹脂組成物(未硬化物)との関連で適宜選定されるものである。
賦型シート121の表面賦型層127上における凹凸形状発生の機構は、相互作用防止層126が、相互作用領域を発現させる部分を切抜いた形状を有して、前記インキ層125の上に積層されており、さらに表面賦型層127を形成するために電離放射線硬化性樹脂の未硬化物を塗工した際に、相互作用防止層126の切抜き部分126a内又はその近傍で、インキ層125の樹脂成分が一部表面保護層中に溶出、分散、混合、又は浸透などすることによるものと推測される。この際、インキ層125のインキ組成物と電離放射線硬化性樹脂の未硬化物におけるそれぞれの樹脂成分は、短時間には完全相溶状態にならずに懸濁状態となって、インキ層125の直上部及びその近傍、すなわち、相互作用防止層126の切抜いた部分内に存在し、該懸濁状態となった部分が相互作用領域128をなすものと考えられる。この懸濁状態を有したまま、表面賦型層を架橋硬化させることにより、かかる状態が固定されると、表面賦型層中に相互作用領域128が形成され、その部分が凸形状を発現するものと推測される。
また、該相互作用領域128の形状は、それが主として相互作用防止層126の切抜き部分126a内に形成されることから、この切抜き部分126aの幅を超えて存在することはなく、絵柄に基づいた精密(シャープ)な模様の凸形状が形成される。
一方、相互作用防止層126の上部では、上記のように相互作用領域128は発現しないため、凸形状をなすことがなく、結果として相互作用防止層126の有無によって賦型シート121の表面上には凹凸形状が発現する。
ただし、図15及び図16に示される化粧材121のように、相互作用防止層126をインキ層125より厚くする場合には、相互作用防止インキ組成物の塗布量については、1〜30g/m2、さらには2〜10g/m2範囲とするとともに、インキ層125を形成するインキ組成物の塗布量は1〜20g/m2、さらには2〜5g/m2の範囲であることが好ましい。また、この場合の塗布膜の厚さについては、相互作用防止インキ組成物が1〜30μm、さらには2〜10μm、インキ層125を形成するインキ組成物が1〜20μm、さらには2〜5μmであることが好ましい。
また、賦型シート121に用いられる表面賦型層127を構成する電離放射線硬化性樹脂組成物中の電離放射線硬化性樹脂は、賦型シート71の表面賦型層75で用いられる電離放射線硬化性樹脂と同様であり、その他の、各種添加剤、表面賦型層の形成の方法等は、賦型シート71の表面賦型層75と同様である。
基材の厚さについては特に制限はないが、通常20〜150μm程度、好ましくは30〜100μmの範囲である。
以上の点から、基材は上記キシレンへの浸漬による重量減少が0.65質量%以下であることが好ましい。該重量減少の下限値については特に制限はなく、賦型シートの表面の汚染に関しては、該重量減少が低いほど好ましい。しかしながら、過度に該重量減少を抑制することは、以下に詳述するような該重量減少を抑制する手法において、過度の処理を行うことになり、基材の他の物性を低下させることがある。このような観点から、該重量減少は、0.30〜0.65質量%の範囲であることが特に好ましい。
なお、ここでいう不純物は、例えばPETの場合は、エチレンテレフタレート環状三量体などのオリゴマー成分と考えられる。
洗浄処理は、通常、ポリエステルフィルムを、溶媒を張った洗浄槽を通すことで行われる。ここで用いられる溶媒としては、水、アルコールなどが好適に挙げられ、特にエタノールが好ましい。また、洗浄処理中に超音波振動を連続的に付与することが好ましい。超音波振動により、ポリエステルフィルム表面上のオリゴマーを、より完全に洗い流すことができる。洗浄処理後は、再付着したオリゴマーをシャワー状の洗浄液(溶媒)でさらに洗浄し、乾燥することが好ましい。
コロナ放電処理は基材とその上の層との層間密着性を向上させる効果もある。従って、コロナ放電処理の条件は、基材中の不純物の揮散の抑制とともに、層間密着強度の制御を考慮して決定する必要がある。具体的には放電時間をコントロールすることで、表面張力及び層間密着強度を制御することが好ましい。
コロナ放電処理及びプラズマ処理は、ポリエステル基材の表面のオリゴマーのみを分解・除去し、有害物は残留せず、また温度上昇も極めて低いという利点がある。
(評価方法)
各実施例で得られた樹脂化粧板及び用いた賦型シートについて、以下の方法で評価した。
(1)表面粗さの測定
評価対象サンプルを縦400mmx横400mmのサイズとし、3次元非接触表面形状計測システム((株)菱化システム製 Micromap)を用いて、表面形状、表面粗さ(算術平均表面粗さ)、賦型性の効果及び繰返し使用した際の成型再現性を確認した。
(2)剥離性
引張圧縮試験機(オリエンテック(株)製 RTC−1250A)を用いて、賦型シートの剥離強度を測定した。評価対象サンプルは幅25mmx長50mmとし、剥離スピード300mm/min、剥離方向180°(垂直方向)、ロードセル荷重10N、測定環境温度23℃(室温)にて試験を行った。
(3)連続成型適性
同一の賦型シートにて10回成型を行い、各成型毎の剥離強度を測定し、賦型シートを繰返し使用した際の剥離安定性を測定した。
既に易接着処理されたポリエステルフィルム(東洋紡績(株)製「A4100(50μm)」)の易接着処理面上全面にプライマーインキ((株)昭和インク工業所製アクリル系インキ「EBF同調プライマー」)をグラビア印刷して浸透防止層(プライマー層)を形成した。
次に、柄版によりインキ(ザ・インクテック(株)製ウレタン系導管インキ「導管MINI(A)」)を木目模様の導管部分に印刷して、インキ層を形成した。さらにこれらインキ層の上に電子線硬化性樹脂(大日精化工業(株)製「REB−GE」)に焼成カオリン粒子5質量%、反応性シリコーンメタクリレート2質量%を添加した電子線硬化性樹脂組成物を塗工量4g/m2でグラビアオフセットコータ法により塗工した。塗工後、加速電圧175kV、照射線量30kGy(3Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させて表面賦型層5とし、賦型シートを得た。当該賦型シートは、インキ層の直上部及びその近傍の上に位置する表面賦型層の表面が1〜3μm隆起した凸形状を有し、また高級感があり繊細な木目表現を有したフィルムであった。
基材として、米秤量30g/m2の建材用紙間強化紙を用い、その片面にアクリル樹脂と硝化綿をバインダーとし、チタン白、弁柄、黄鉛を着色剤とするインキを用いて、塗工量5g/m2のベタ印刷層をグラビア印刷にて施した。その上に硝化綿をバインダーとし、弁柄を主成分とする着色剤を含有するインキを用いて、木目模様の絵柄層をグラビア印刷にて形成して、化粧シート層を得た。次いで、基板のMFDに尿素−酢酸ビニル系接着剤をロールコートした後、得られた化粧シート層を貼り合わせた。その後、化粧シート層の上面全面に、不飽和ポリエステルと過酸化物とを混合して得られたポリエステル樹脂組成物を200g/m2の塗布量で塗布し、この上に実施例1で得られた賦型シートを見当合せマークで位置合わせをしながら被覆し当接させて、ゴムロールを用いて、10kgf/930m/mで5回、圧延、脱泡し、その位置がずれないようにして、40℃で2時間加熱してポリエステル樹脂を室温で硬化させた。硬化させた後、賦型シートを剥離することにより、表面が繊細な凹凸形状を有したポリエステル化粧板を得た。
2.基板
3.接着剤層
4.化粧シート層
41.シート層
42.ベタ印刷層
43.絵柄層
5.樹脂層
6.賦型シート
71.賦型シート
72.基材
73.インキ層
73−a.インキ組成物
73−b.インキ組成物
73−c.インキ組成物
74.相互作用領域
74−a.相互作用領域
74−b.相互作用領域
74−c.相互作用領域
75.表面賦型層
76.浸透防止層
77.凸形状
77−a.凸形状
77−b.凸形状
77−c.凸形状
78.微粒子または焼成カオリン粒子
78−a.微粒子または焼成カオリン粒子
78−b.微粒子または焼成カオリン粒子
81.賦型シート
82.基材
83.インキ層
83−a.インキ組成物
83−b.インキ組成物
83−c.インキ組成物
84.相互作用領域
84−a.相互作用領域
84−b.相互作用領域
84−c.相互作用領域
85.表面賦型層
86.浸透防止層
87.隆起形状
87−a.隆起形状
87−b.隆起形状
87−c.隆起形状
88.微粒子または焼成カオリン粒子
812.微細隆起形状
813.微細凹凸面
814.凹形状
814−a.凹形状
814−b.凹形状
814−c.凹形状
91.賦型シート
92.基材
93.艶消し下塗層
94.表面賦型層
95.浸透防止層
96.凸形状
101.賦型シート
102.基材
103.模様層
104.浸透防止層
105.塗工層
106.凹形状
107.凸形状
111.賦型シート
112.基材
113.インキ層
114.浸透防止層
115.塗工層
116.凹形状
117.凸形状
121.賦型シート
122.基材
125.インキ層
126.艶消防止層
127.表面賦型層
128.相互作用領域
129.浸透防止層
Claims (3)
- 基板の上面に、接着剤層、化粧シート層を順に積層し、該化粧シート層上に樹脂組成物を塗布し、次いで賦型シートを当接して一体的に硬化させた後に、該賦型シートを剥離して樹脂層を形成した樹脂化粧板の製造方法であって、前記賦型シートが、基材上に、(イ)それ自体撥液性を有するバインダーを含有する撥液性インキ、(ロ)それ自体撥液性のないバインダー中に撥液性を有する物質を添加した撥液性インキ、および(ハ)それ自体撥液性を有するバインダーにさらに撥液性を有する添加剤を添加した撥液性インキからなる群から選ばれたインキによって模様層を形成し、前記模様層上に、離型剤を含有する電離放射線硬化型樹脂組成物を塗工して塗工層を形成し、前記撥液性模様層と前記塗工層との間の撥液作用によって前記模様層の上部に形成された塗工層に凹部を形成し、さらに前記塗工層に対して電離放射線を照射して、前記模様層に同調した凹凸が形成された塗工層を硬化させたものであり、前記模様層の一部が前記塗工層により被覆されている樹脂化粧板の製造方法。
- 前記賦型シートが、基材がポリエステル系フィルムからなり、基材がキシレン中に140℃で24時間浸漬後の重量減少が1.0質量%以下である請求項1に記載の樹脂化粧板の製造方法。
- 前記樹脂組成物中の樹脂が不飽和ポリエステル樹脂又はシリコーン樹脂である請求項1又は2に記載の樹脂化粧板の製造方法。
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