JP5240012B2 - 加飾シート、加飾樹脂成形品の製造方法及び加飾樹脂成形品 - Google Patents
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また、表面保護層として紫外線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂を用い、加飾シートの表面保護層を形成する樹脂の架橋密度を高めることにより、加飾成形品の表面の耐摩耗性や耐擦傷性を向上させる試みがなされたが、成形の際に成形品曲面部にクラックが生じるという問題があった。
さらには、表面保護層として紫外線硬化性樹脂などの電離放射線硬化性樹脂を用い、加飾シートの段階では半硬化状態とし、加飾成形された後に完全硬化させる方法が試みられたが(特許文献4参照)、未硬化樹脂成分を含む表面保護層は傷つきやすく、取り扱いが困難であり、また、未硬化樹脂成分が金型に付着することによる金型汚染の問題があった。この問題点を解決するために半硬化状態の表面保護層上に保護フィルムを設ける方法があるが、製造が煩雑になるとともに、コストアップの要因ともなる。また、三次元形状の成形品に紫外線を照射する必要があるため、別途三次元形状の成形品に紫外線照射可能な設備が必要である。
また、特許文献5に開示される化粧シートは、熱可塑性樹脂として、アクリル系樹脂を用いるが、アクリル系樹脂は必ずしも耐溶剤性が高くないために、アルコールを用いた洗剤等の溶剤系生活汚染に表面保護層表層が犯されることがあった。
このような課題に対して、本発明は、極めて高い耐摩耗性や耐擦傷性を有し、かつ、成形性が良好でクラック等が入らない表面保護層を有する加飾成形品の成形に用いる加飾シート、該加飾シートを用いた加飾樹脂成形品の製造方法並びに該製造方法により製造される加飾樹脂成形品を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、
(1)基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂とフェノキシ樹脂を90:10〜10:90の比率(質量比)で含み、該フェノキシ樹脂のゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量が20,000〜150,000である樹脂組成物を架橋硬化したものである加飾シート、
(2)上記(1)に記載の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、該成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程を有する加飾樹脂成形品の製造方法、
(3)上記(1)に記載の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び、可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程を順次施す加飾樹脂成形品の製造方法、及び
(4)上記(2)又は(3)に記載の製造方法により製造した加飾樹脂成形品、
を提供するものである。
本発明の加飾シートの表面保護層を構成する電離放射線硬化性樹脂とは、電磁波または荷電粒子線の中で分子を架橋、重合させ得るエネルギー量子を有するもの、すなわち、紫外線または電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。具体的には、従来電離放射線硬化性樹脂として慣用されている重合性モノマー及び重合性オリゴマーないしはプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。
また、分子中にカチオン重合性官能基を有する重合性オリゴマー等に対しては、芳香族スルホニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物、ベンゾインスルホン酸エステル等が挙げられる。
また、光増感剤としては、例えばp−ジメチル安息香酸エステル、第三級アミン類、チオール系増感剤などを用いることができる。
本発明の加飾シートの表面保護層を構成するもう一方の成分である、フェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と同様の原料から製造されるポリヒドロキシポリエーテル樹脂であり、通常のエポキシ樹脂よりも分子量が大きい熱可塑性樹脂である。典型的には、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンから誘導される、下記一般式(I)を繰り返し単位として有する樹脂である。
なお、ここで重量平均分子量とは、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算のものである。ここで用いる溶媒としては通常用いられるものを適宜選択して行うことができ、例えば、テトラヒドロフラン(THF)又はN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)などが挙げられる。
ここで、耐候性改善剤としては、紫外線吸収剤や光安定剤を用いることができる。紫外線吸収剤は、無機系、有機系のいずれでもよく、無機系紫外線吸収剤としては、平均粒径が5〜120nm程度の二酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛などを好ましく用いることができる。また、有機系紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、具体的には、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール、ポリエチレングリコールの3−[3−(ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル]プロピオン酸エステルなどが挙げられる。一方、光安定剤としては、例えばヒンダードアミン系、具体的には2−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2'−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレートなどが挙げられる。また、紫外線吸収剤や光安定剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基などの重合性基を有する反応性の紫外線吸収剤や光安定剤を用いることもできる。また、本発明のポリマーの表面保護層としての性能(成形性及び耐擦傷性)を損なわない程度に共重合して使用することもできる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、t−ブチルカテコールなどが、架橋剤としては、例えばポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物などが用いられる。
充填剤としては、例えば硫酸バリウム、タルク、クレー、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどが用いられる。
着色剤としては、例えばキナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、酸化チタン、カーボンブラックなどの公知の着色用顔料などが用いられる。
赤外線吸収剤としては、例えば、ジチオール系金属錯体、フタロシアニン系化合物、ジインモニウム化合物等が用いられる。
図1はインサート成形に用いる場合の本発明の加飾シート10の断面を示す模式図である。図1に示す例では、基材11上に絵柄層12、隠蔽層13及び接着剤層14を有し、かつ、基材11の絵柄層12の反対側に表面保護層15を有するものである。ここで、表面保護層15は上述の樹脂組成物を架橋硬化して形成されるものである。
一方、図2に示す例では、基材11がバッカー層20を兼ねる構成を有する加飾シート10の断面を示す模式図である。すなわち、基材11(20)上に絵柄層12及びプライマー層16を有し、該プライマー層の上に表面保護層15を積層してなる加飾シートである。
基材11としては、真空成形適性を考慮して選定され、代表的には熱可塑性樹脂からなる樹脂シートが使用される。該熱可塑性樹脂としては、一般的には、アクリル樹脂、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下「ABS樹脂」という)、塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂等が使用される。また、基材11は、これら樹脂の単層シート、あるいは同種又は異種樹脂による複層シートとして使用することができる。
なお、基材11がバッカー層20を兼ねる図2に示す構成では、基材11の材質としてABS樹脂を用いることが好ましく、いわゆるバッカー層は用いられない。
基材の厚さは、用途に応じて選定されるが、通常、0.03〜1.0mm程度であり、コスト等を考慮すると0.03〜0.5mm程度が一般的である。
上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、クロム酸化処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理法などが挙げられ、凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理は、基材の種類に応じて適宜選択されるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から好ましく用いられる。
また該基材はプライマー層を形成する等の処理を施してもよいし、色彩を整えるための塗装や、デザイン的な観点での模様があらかじめ形成されていてもよい。
図1及び図2に示される絵柄層12は樹脂成形品に装飾性を与えるものであり、種々の模様をインキと印刷機を使用して印刷することにより形成される。模様としては、木目模様、大理石模様(例えばトラバーチン大理石模様)等の岩石の表面を模した石目模様、布目や布状の模様を模した布地模様、タイル貼模様、煉瓦積模様等があり、これらを複合した寄木、パッチワーク等の模様もある。これらの模様は通常の黄色、赤色、青色、および黒色のプロセスカラーによる多色印刷によって形成される他、模様を構成する個々の色の版を用意して行う特色による多色印刷等によっても形成される。
着色剤としては、カーボンブラック(墨)、鉄黒、チタン白、アンチモン白、黄鉛、チタン黄、弁柄、カドミウム赤、群青、コバルトブルー等の無機顔料、キナクリドンレッド、イソインドリノンイエロー、フタロシアニンブルー等の有機顔料又は染料、アルミニウム、真鍮等の鱗片状箔片からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の鱗片状箔片からなる真珠光沢(パール)顔料等が用いられる。
隠蔽層13は所望により設けられる層であり、バッカーフィルム表面の色の変化、ばらつきにより、加飾シートの柄の色に影響を及ぼさないようにする目的で設けられる。通常不透明色で形成することが多く、その厚さは1〜20μm程度の、いわゆるベタ印刷層が好適に用いられる。
加飾シート10は射出樹脂との密着性を向上させるため、所望により、接着剤層14を設けることができる。接着剤層14には、射出樹脂に応じて、熱可塑性樹脂又は硬化性樹脂が用いられる。熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、アクリル変性ポリオレフィン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタン樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、熱硬化性樹脂としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等挙げられる。
なお、図2に示される構成においては、接着剤層14は、通常用いられない。
図2に示す構成では、所望により、プライマー層16を設けてもよい。プライマー層16は絵柄層12の表面をならして平滑化し、基材11及び絵柄層12と、表面保護層15との接着性を向上させる目的で用いられるものである。
プライマー層を構成する材料としては、(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル・ウレタン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、または、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などが好適に用いられる。なお、プライマー層は、絵柄層12が観察されるように、通常、透明又は半透明なもので構成される。
表面保護層15の形成は上述の樹脂組成物を含有する塗工液を調製し、これを塗布し、架橋硬化することで得ることができる。なお、塗工液の粘度は、後述の塗工方式により、基材の表面に未硬化樹脂層を形成し得る粘度であればよく、特に制限はない。
本発明においては、調製された塗工液を、基材11の表面に、硬化後の厚さが1〜1000μmになるようにすることが好ましく、グラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコートなどの公知の方式、好ましくはグラビアコートにより塗工し、未硬化樹脂層を形成させる。
なお、電子線の照射においては、加速電圧が高いほど透過能力が増加するため、基材11として電子線により劣化する基材を使用する場合には、電子線の透過深さと樹脂層の厚みが実質的に等しくなるように、加速電圧を選定することにより、基材11への余分な電子線の照射を抑制することができ、過剰電子線による基材の劣化を最小限にとどめることができる。
また、照射線量は、樹脂層の架橋密度が飽和する量が好ましく、通常5〜300kGy(0.5〜30Mrad)、好ましくは10〜50kGy(1〜5Mrad)の範囲で選定される。
さらに、電子線源としては、特に制限はなく、例えばコックロフトワルトン型、バンデグラフト型、共振変圧器型、絶縁コア変圧器型、あるいは直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの各種電子線加速器を用いることができる。
本発明の加飾シートは、表面保護層15の厚さを従来のものより厚くしても、十分に高い成形性が得られることから、特に表面保護層に高い膜厚を要求される部材の加飾シートとして有用である。
また、表面保護層15の硬化後の厚さを1〜20μm未満とすることにより、成形性が向上し、自動車内装用途などの複雑な3次元形状への高い追従性を得ることができる。従って、本発明の加飾シートにおいて、硬質な電離放射線硬化性樹脂を配合しても優れた成形性を発現させることができ、成形性を損なうことなく、塗膜を硬くすることができるため、加工や実用面で必要な耐擦傷性、耐汚染性等の優れた特性を持たせることができる。
なお、測定条件としては、幅25mm、長さ120mmの試験片を用い、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の条件であり、表面保護層にクラックが入る際の引張伸度で評価するものである。
インサート成形法では、真空成形工程において、本発明の加飾シートを真空成形型により予め成形品表面形状に真空成形(オフライン予備成形)し、次いで必要に応じて余分な部分をトリミングして成形シートを得る。この成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を型締めし、流動状態の樹脂を型内に射出し、固化させて、射出成形と同時に樹脂成形物の外表面に加飾シートを一体化させ、加飾樹脂成形品を製造する。
なお、射出成形同時加飾法では、射出樹脂による熱圧を加飾シートが受けるため、平板に近く、加飾シートの絞りが小さい場合には、加飾シートは予熱してもしなくてもよい。
なお、ここで用いる射出樹脂としてはインサート成形法で説明したものと同様のものを用いることができる。
また、本発明の製造方法では、加飾シートの製造段階で表面保護層が完全硬化されるので、加飾樹脂成形体を製造した後に表面保護層を架橋硬化する工程が不要である。
評価方法
(1)成形性(塗膜の形状追随性)
各実施例及び比較例で得た加飾シートについて、以下に示す方法で真空成形を行い、成形後の外観にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;表面保護層に塗膜割れや白化が見られず、良好に型の形状に追随した。
×;型の形状に追随できずに表面保護層に塗膜割れや白化が見られた。
<真空成形>
加飾シートを赤外線ヒーターで160℃に加熱し、軟化させる。次いで、射出成形用雌型と同形状の型を用いて真空成形を行い(最大延伸倍率150倍)、型の内部形状に成形する。型より加飾シートを離型し、不要部分をトリミングして成形品を得る。
各実施例及び比較例で得た加飾シートについて、表面にエタノールを滴下後、時計皿で滴下部分を被覆した。常温で1時間放置した後、時計皿をはずし、目視にて外観を確認した。評価基準は以下のとおりである。
○;外観に異常なし
△;軽微な白化が見られたり、軽微な塗膜の割れが見られる
×;著しい白化が見られ、塗膜の割れが見られる
各実施例及び比較例で製造した加飾シートについて、以下の基準で評価した。試験に用いた装置は、テスター産業(株)製「学振型摩耗試験機」であり、摩擦用白綿布としてカナキン3号を用い500g荷重で、200往復後の試験片で評価した。評価基準は以下のとおりである。
○;傷付きなし
△;傷付き又は艶変化が試験面の1/2以下の面で発生
×;傷付き又は艶変化が試験面の1/2以上で発生
各実施例及び比較例で製造した加飾シートについて、東洋精機(株)製テーバー摩耗試験機を用い、摩耗輪:CS−17、荷重:1kg、回転数:200回転の条件で試験後の試験片の表面を観察した。評価基準は以下のとおりである。
○;摩耗により絵柄層が欠落していない
△;一部絵柄層が欠落し基材が露出
×;絵柄層全面が欠落し基材が露出
各実施例及び比較例で製造した加飾シートについて、JIS K 7127に準拠して、引張伸度を測定した。測定条件としては、幅25mm、長さ120mmの試験片を用い、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の条件であり、表面保護層にクラックが入る際の引張伸度で評価した。
電子線硬化性樹脂(以下「EB樹脂」という)である2官能のウレタンアクリレート(第1表中では「EB−1」と記載する。)20質量部と、フェノキシ樹脂重量平均分子量(Mw)0.5×105、数平均分子量(Mn)0.1×105、多分散度(Mw/Mn)5.0)80質量部を混合し、電子線硬化性樹脂組成物を得た。EB樹脂とフェノキシ樹脂の質量比は20:80である。
次に、基材として厚さ75μmの透明アクリル樹脂フィルムを用い、グラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成した。次いで、絵柄層を施していない表面に、上記電子線硬化性樹脂組成物を硬化後の厚さが5μmとなるように塗工した。この未硬化樹脂層に加速電圧165kV、照射線量50kGy(5Mrad)の電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させ、次に該シートの絵柄層側に膜厚10μmのウレタン系樹脂接着剤を施し、バッカーフィルムである膜厚400μmの隠蔽着色ABS樹脂シートとラミネートして加飾シートを得た。
該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
EB樹脂とフェノキシ樹脂の質量比を第1表に記載するように変化させたこと以外は実施例1と同様にして加飾シートを得た。該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
EB樹脂として、3官能のウレタンアクリレート(第1表中では「EB−2」と記載する。)を用いたこと以外は、実施例2と同様にして加飾シートを得た。該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
基材として、厚さ400μmのABS樹脂シートを用い、グラビア印刷により木目柄の絵柄層を形成し、該絵柄層上にアクリル/ウレタンブロック共重合体を主剤とし、硬化剤としてイソシアネートを添加した2液硬化型ウレタン系樹脂を塗工して、厚さ2μmの透明なプライマー層を形成した。該プライマー層上に、実施例1で用いたのと同じ電子線硬化性樹脂組成物を、硬化後の厚さが5μmとなるように塗工した。この未硬化樹脂層に、実施例1に記載の条件と同じ条件で電子線を照射して、電子線硬化性樹脂組成物を硬化させ、加飾シートを得た。
実施例1において、フェノキシ樹脂を用いず、2官能のウレタンアクリレート(EB−1)100質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、EB樹脂を用いず、フェノキシ樹脂100質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
実施例1において、フェノキシ樹脂に代えて、メタクリル酸メチルとアクリル酸メチルのモル比100:5であって、重量平均分子量(Mw)1.0×105、数平均分子量(Mn)0.60×105、多分散度(Mw/Mn)1.67の共重合体(以下「PMMA」記載する。)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして加飾シートを得た。該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
EB樹脂とPMMAの質量比を第1表に記載するように変化させたこと以外は比較例3と同様にして加飾シートを得た。該加飾シートについて上記方法にて評価した。評価結果を第1表に示す。
*2 EB−2;3官能のウレタンアクリレート
*3 PMMA樹脂;MMAとMAの共重合体、MMA:MAのモル比が100:5、重量平均分子量(Mw)1.0×105、数平均分子量(Mn)0.60×105、多分散度(Mw/Mn)1.67
また、このように成形性が良好な上、製造された加飾樹脂成形品の表面は高い耐摩耗性及び耐擦傷性を有することが確認された。特に、本発明の加飾シートにおける、表面保護層を形成する樹脂組成物は、熱可塑性樹脂であるフェノキシ樹脂の含有量を、電離放射線硬化性樹脂との質量比で、10:90(フェノキシ樹脂:電離放射線硬化性樹脂)以上に含有させることで十分な効果があるため、相対的に電離放射線硬化性樹脂を多く含ませることができ、化粧シートに優れた表面物性を付与することができる。
さらに、本発明の加飾シートは、表面保護層を形成する樹脂組成物の耐溶剤性が高いために、アルコールを用いた洗剤等の溶剤系生活汚染に表面保護層表層が犯されることがない。
11.基材
12.絵柄層
13.隠蔽層
14.接着剤層
15.表面保護層
16.プライマー層
20.バッカー層
Claims (7)
- 基材上に少なくとも表面保護層を有する加飾シートであって、表面保護層が電離放射線硬化性樹脂とフェノキシ樹脂を90:10〜10:90の比率(質量比)で含み、該フェノキシ樹脂のゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算重量平均分子量が20,000〜150,000である樹脂組成物を架橋硬化したものである加飾シート。
- 前記表面保護層の厚さが1〜1000μmである請求項1に記載の加飾シート。
- JIS K 7127に準拠した以下の測定条件で測定した引張試験における引張伸度が50%以上である請求項1又は2に記載の加飾シート。
測定条件;幅25mm、長さ120mmの試験片を用い、引張速度1000mm/分、チャック間距離80mm、標線間距離50mm、温度160℃の条件で、表面保護層にクラックが入るまでの引張伸度を測定する。 - 前記電離放射線硬化性樹脂が電子線硬化性樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の加飾シート。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シートを真空成形型により予め立体形状に成形する真空成形工程、余分な部分をトリミングして成形シートを得る工程、該成形シートを射出成形型に挿入し、射出成形型を閉じ、流動状態の樹脂を型内に射出して樹脂と成形シートを一体化する工程を有する加飾樹脂成形品の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の加飾シートを、所定形状の成形面を有する可動金型の該成形面に対し、前記加飾シートの基材が対面するように設置した後、該加飾シートを加熱、軟化させると共に、前記可動金型側から真空吸引して、軟化した加飾シートを該可動金型の成形面に沿って密着させることにより、加飾シートを予備成形する工程、成形面に沿って密着された加飾シートを有する可動金型と固定金型とを型締めした後、両金型で形成されるキャビティ内に、流動状態の樹脂成形材料を射出、充填して固化させることにより、形成された樹脂成形体と加飾シートを積層一体化させる射出成形工程、及び、可動金型を固定金型から離間させて、加飾シート全層が積層されてなる樹脂成形体を取り出す工程を順次施す加飾樹脂成形品の製造方法。
- 請求項5又は6に記載の製造方法により製造した加飾樹脂成形品。
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