本明細書において(メタ)アクリレートとはアクリレートとメタクリレートとの総称であり、アクリレート及びメタクリレートの一方又は両方を意味する。(メタ)アクリロイル、(メタ)アクリルについても同様である。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、分子量500以上のポリブタジエンポリオール由来の構造Aおよび分子量500未満のポリオールとポリイソシアネート由来の下記ウレタン結合Bを含むことが必要である。
…B
(X1は分子量500未満のポリオール由来の構造。nは2〜8の整数である。)
前記ポリブタジエンポリオールは、1分子中にポリブタジエンと2個以上のヒドロキシル基とを有する化合物である。
前記ポリブタジエンの構造としては、トランス1,4−ビニル結合、シス1,4−ビニル結合、1,2−ビニル結合を有する構造が挙げられるが、それらのいずれかが含まれていればよい。
また、トランス1,4−ビニル結合、シス1,4−ビニル結合、1,2−ビニル結合を有する構造は、全部または一部が水素添加されていてもよい。
前記ポリブタジエンポリオールは、耐薬品性の点から1,2−ビニル結合を有する構造を、ポリブタジエン構造の総量に対して50重量%以上有することが好ましく、70重量%以上有することがより好ましく、80重量%以上有することがさらに好ましい。
また本発明では、前記ポリブタジエンポリオールの分子量は、500以上が必要である。前記分子量が500以上であれば耐薬品性が良好となり、800以上がより好ましい。また、耐擦傷性が良好となる点で5000以下が好ましく、3500以下がより好ましく、2500以下がさらに好ましい。
なお、ポリブタジエンポリオールとしては、例えば、日本曹達株式会社製「NISSO−PB」シリーズ、出光興産株式会社製「Poly bd」等が挙げられる。
前記ポリブタジエンポリオールの分子量はOH価から、以下の方法で求めることができる。
<OH価による分子量の算出>
三角フラスコにポリオール2gと0.5モル/Lの無水フタル酸ピリジン溶液を入れ、100℃で2時間反応させた後にアセトン150mLで希釈する。その後、0.5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液で滴定する。また、三角フラスコにポリオールを入れない以外は同様にして、ブランク溶液の滴定を行い、以下の式によりOH価及び分子量を算出する。
OH価={(X−Y)×0.5×56.11×1000}/2×1000
X:ポリオール含有溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量
Y:ブランク溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量
ポリオールの分子量={(56.11×1000)/OH価}×官能基の数
なお、上記の式において、「官能基の数」とは、一分子のポリオールに含まれるOH基の数である。
なお、後述のポリブタジエンポリオール以外のポリールの分子量は、前記ポリブタジエンポリオールの分子量と同様にOH価から、求めることができる。
本発明のポリブタジエンポリオール由来の構造Aとしては、下記のA1からA4の構造があげられる。下記のA1からA4の構造を含むことで、疎水性、柔軟性が向上する。
なお、o、p、q、rは2〜200の整数である。耐薬品性、延伸性の点から高いほうがが好ましく、耐擦傷性の点から低いほうが好ましい。5〜100が好ましく、10〜50がより好ましい。
…A1
…A2
…A3
…A4
また、前記A1からA4で表される構造は、ウレタン(メタ)アクリレート中に50〜70重量%含まれることが好ましい。
耐薬品性、延伸性の点から高いほうが好ましく、耐擦傷性の点から低いほうが好ましい。
さらに、二重結合を有する構造による疎水性により耐薬品性が向上する点から、A1で表される構造が好ましく、前記A1からA4で表される構造中に50重量%以上含まれることが好ましく、70重量%以上含まれることがより好ましく、80重量%以上含まれることがさらに好ましい。
また本発明では、前記ポリブタジエンポリオールの水酸基価は、耐薬品性、延伸性の点から、20mgKOH/g以上、250mgKOH/g以下が好ましい。
耐擦傷性が良好となる点から高いほうが好ましく、耐薬品性が良好となる点から低いほうが好ましい。
30mgKOH/g以上がより好ましく、45mgKOH/g以上がさらに好ましい。また、150mgKOH/g以下がより好ましい。
また、本発明では分子量500未満のポリオールとポリイソシアネート由来の下記ウレタン結合Bを含むことが必要である。
…B
(X1は分子量500未満のポリオール由来の構造である。nは2〜8の整数である。)
前記ウレタン結合Bは、分子量500未満のポリオールとポリイソシアネートが反応して形成される。
前記分子量500未満のポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族ジオール;シクロプロパンジオール、シクロプロパンジメタノール、シクロプロパンジエタノール、シクロプロパンジプロパノール、シクロプロパンジブタノール、シクロペンタンジオール、シクロペンタンジメタノール、シクロペンタンジエタノール、シクロペンタンジプロパノール、シクロペンタンジブタノール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、シクロヘキサンジプロパノール、シクロヘキサンジブタノール、シクロヘキセンジオール、シクロヘキセンジメタノール、シクロヘキセンジエタノール、シクロヘキセンジプロパノール、シクロヘキセンジブタノール、シクロヘキサジエンジオール、シクロヘキサジエンジメタノール、シクロヘキサジエンジエタノール、シクロヘキサジエンジプロパノール、シクロヘキサジエンジブタノール、水添ビスフェノールA、トリシクロデカンジオール、アダマンチルジオール等の脂環式ジオール;ビスヒドロキシエトキシベンゼン、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、ビスフェノール−A等の芳香族系ジオール;N−メチルジエタノールアミン等のジアルカノールアミン;ペンタエリスリトール;ソルビトール;マンニトール;グリセリン;及び、トリメチロールプロパンなどが挙げられる。
中でも、得られる硬化膜の耐候性の点から、脂肪族ジオールや脂環式ジオールであることが好ましい。また、特に硬化物の機械的強度が求められる用途では、前記ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,5−トリメチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−エチル−1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール等の水酸基間の炭素数が1〜6の脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等の、2つの水酸基が脂環式構造を挟んで対称な位置に存在している脂環式ジオール;であることが特に好ましい。
これらは、2種以上を併用して用いても良い。
前記ポリオールの分子量は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物としての伸度と弾性率とのバランスの点から、50以上であることが好ましい。また、耐薬品性、耐擦傷性が良好となる点から250以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましい。
また前記ポリイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式構造を有するポリイソシアネート、及び芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
前記脂肪族ポリイソシアネートは、脂肪族構造とそれに結合する2以上のイソシアネート基とを有する化合物である。脂肪族ポリイソシアネートは、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐候性を高め、かつ柔軟性を付与する点から好ましい。
前記脂肪族ポリイソシアネートにおける脂肪族構造は、特に限定されないが、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキレン基であることが好ましい。このような脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートヘキシル)イソシアヌレート等の脂肪族トリイソシアネートが挙げられる。
前記脂環式構造を有するポリイソシアネートは、脂環式構造とそれに結合する二以上のイソシアネート基とを有する化合物である。脂環式構造を有するポリイソシアネートは、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度、耐汚染性を良好とする点から、好ましい。
前記脂環式構造を有するポリイソシアネートにおける脂環式構造は、特に限定されないが、炭素数5〜15であることが好ましく、炭素数6以上であることがより好ましく、炭素数7以上であることがさらに好ましい。また、炭素数14以下であることがより好ましく、炭素数13以下であることがさらに好ましい。
さらに、脂環式構造としてはシクロアルキレン基が好ましい。脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート、及び、トリス(イソシアネートイソホロン)イソシアヌレート等のトリイソシアネートが挙げられる。
前記脂環式構造を有するポリイソシアネートは、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の耐候性を高める点からも好ましく、このような脂環式構造を有するポリイソシアネートとしては、例えば、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、シクロヘキサンジイソシアネート、ビス(イソシアネートシクロヘキシル)メタン、及び、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートは、芳香族構造とそれに結合する二以上のイソシアネート基とを有する化合物である。芳香族ポリイソシアネートは、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物の機械的強度を高める点から好ましく、このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
前記芳香族ポリイソシアネートにおける芳香族構造は、特に限定されないが、炭素数6〜13の二価の芳香族基であることが好ましい。このような芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートが挙げられる。
前記ポリイソシアネートの分子量は、硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化物としての強度と弾性率とのバランスの点から、100以上であることが好ましく、150以上であることがより好ましい。また、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましい。
前記ポリイソシアネートの分子量は、単独の単量体からなるポリイソシアネートの場合には化学式からの計算値、2種以上の単量体からなるポリイソシアネートの場合には、下記のNCO%からの計算値によって求めることができる。
<NCO%によるポリイソシアネートの分子量>
三角フラスコにポリイソシアネート1gと0.5モル/Lのジブチルアミントルエン溶液を20mL入れ、アセトン100mLで希釈した後に25℃で30分反応させる。その後、0.5モル/Lの塩酸水溶液で滴定する。また、三角フラスコにポリイソシアネートを入れない以外は同様にして、ブランク溶液の滴定を行い、以下の式によりNCO%及び分子量を算出する。
NCO%={(Y1−X1)×0.5×42.02}/(1×1000)×100
X1:ポリイソシアネート含有溶液の滴定に要した塩酸水溶液の量(mL)
Y1:ポリイソシアネートを含有しないブランク溶液の滴定に要した塩酸水溶液の量
(mL)
ポリイソシアネートの分子量=(42.02/NCO%)×一分子のポリイソシアネートに含まれるNCO基の数
さらに本発明では、前記ウレタン結合Bにおいて、nは2〜8の整数であるが、好ましくは2〜6であり、より好ましくは2〜4である。具体的には、nの値が2である場合、下記構造B1となり、また、nの値が3である場合、下記構造B2となる。
…B1
…B2
本発明のウレタン(メタ)アクリレート中の前記ウレタン結合Bで表される構造は、0.5重量%以上、25重量%以下が好ましい。本発明のウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化物の耐薬品性、耐擦傷性の点から高いほうが好ましく、延伸性の点から低いほうが好ましい。2.0重量%以上が好ましく、3.0重量%以上がより好ましい。また、20重量%以下が好ましく、15重量%以下がより好ましく、10重量%以下がさらに好ましい。
また本発明では、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構造Cを含むことが好ましい。前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとカプロラクトンとの付加反応物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加反応物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、グリコールのモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の、(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に炭素数が2〜4のアルキレン基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、イソシアネート基との反応性の点から好ましい。また、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加反応物、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートとポリカプロラクトンとの付加反応物等の、(メタ)アクリロイル基と水酸基との間に繰り返し単位構造を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、得られる硬化膜の柔軟性の点から好ましい。また、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジアクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の二個以上の(メタ)アクリロイル基を有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、得られる硬化膜の機械的強度の点から好ましい。
これらは、2種以上を併用しても良い。
前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの分子量は、40以上が好ましく、80以上がより好ましく、また、得られる硬化膜の機械的強度の点から800以下が好ましく、400以下がより好ましい。なお、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが前記の付加反応体や重合体の原料である場合には、前記の付加反応体や重合体の分子量は、前記ポリブタジエンポリオールの分子量と同様にOH価から、求めることができる。
さらに本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、及びシリコンポリオール等に由来する構造を含んでいても良い。本発明のウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化物に柔軟性を付与する点から、ポリエーテルジオールが好ましく、耐候性を損なわない点から、ポリカーボネートジオールが好ましい。
なお。これらのポリオールの分子量は延伸性が良好となる点で500以上が好ましく、耐薬品性、耐擦傷性が良好となる点で10000以下が好ましい。
前記ポリエーテルジオールとしては、環状エーテルを開環重合して得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。
前記ポリエステルジオールとしては、ジカルボン酸又はその無水物と、低分子量ジオールとの重縮合によって得られる化合物が挙げられ、例えばポリエチレンアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、及びポリブチレンセバケート等が挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。
また、前記ポリエステルジオールとしては、例えばポリカプロラクトン、及びポリメチルバレロラクトン等が挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。
なお、前記ジカルボン酸としては、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イソフタル酸、及びフタル酸が挙げられ、ジカルボン酸の無水物としては、例えばこれらの無水物が挙げられる。
前記ポリエーテルエステルジオールとしては、前記ポリエステルジオールに環状エーテルを開環重合した化合物や、前記ポリエーテルジオールと前記ジカルボン酸とを重縮合した化合物が挙げられ、例えばポリ(ポリテトラメチレンエーテル)アジペート等が挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。
前記ポリカーボネートポリオールは、2個以上の水酸基を有するポリカーボネートである。前記ポリカーボネートポリオールは、例えば、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート、及びジアルキルカーボネートから選ばれる少なくとも1つのカーボネート化合物と、ジオール類及びポリエーテルポリオール類のうちの少なくとも1つを反応させて得られる。ポリカーボネートポリオールの原料としてのジオール類としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,12−ドデカンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリブタジエンジオール等が挙げられる。これらの中でも、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオールから選ばれる少なくとも1つを含むことが耐傷付性、耐摩耗性の点から好ましい。ポリカーボネートポリオールは市販品として入手することができる。該当する市販品としては、例えば、デュラノール(登録商標)T4671、T4691、5651、6001(旭化成社製)等が挙げられる。
前記シリコンポリオールは、2個以上の水酸基を有するシリコーンであり、前記シリコンポリオールとしては、例えばポリジメチルシロキサンポリオール等が挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。
また本発明のウレタン(メタ)アクリレートのウレタン結合量は、1.4mmol/g以上が好ましく、1.8mmol/g以上がより好ましく、2.0mmol/g以上がさらに好ましい。また、2.3mmol/g以下が好ましい。ウレタン結合量が前記下限以上であると耐薬品性、耐擦傷性が向上する傾向となり、前記上限以下であると延伸性が向上する。
さらに本発明のウレタン(メタ)アクリレートの不飽和二重結合量は、0.05mmol/g以上が好ましく、0.1mmol/g以上がより好ましく、0.15mmol/g以上がさらに好ましく、0.2mmol/g以上が特に好ましい。また、2.0mmol/g以下が好ましく、1.6mmol/g以下がより好ましく、1.2mmol/g以下がさらに好ましく、0.8mmol/g以下が特に好ましい。不飽和二重結合量が前記下限以上であると耐薬品性、耐擦傷性が向上し、前記上限以下であると延伸性が向上する。
さらに本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、鎖延長剤を含んでいても良い。
前記鎖延長剤は、イソシアネート基と反応する二以上の活性水素を有する化合物である。鎖延長剤は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記鎖延長剤としては数平均分子量500未満の低分子量ジアミン化合物等が挙げられ、例えば、2,4−もしくは2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン等の芳香族ジアミン;エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタンジアミン、2,2,4−もしくは2,4,4−トリメチルヘキサンジアミン、2−ブチル−2−エチル−1,5−ペンタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン等の脂肪族ジアミン;及び、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(IPDA)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジアミン(水添MDA)、イソプロピリデンシクロヘキシル−4,4’−ジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリシクロデカンジアミン等の脂環式ジアミン;が挙げられる。
また本発明のウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は、延伸性の点から1000以上が好ましく、5000以上がより好ましく、耐薬品性の点から30000以下であることが好ましく、20000以下であることがより好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量は後述のGPC測定方法によって求めることができる。
次に、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造方法の一例について説明する。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートは、前記ポリイソシアネートに、前記分子量500以上のポリブタジエンポリオールと、前記分子量500未満のポリオールを公知の方法で付加反応させることにより製造することができる。
また、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート由来の構造を含む場合は、例えば、以下の(a)〜(c)の方法が挙げられる。
(a) 前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート以外の成分を、イソシアネート基が過剰となるような条件下でポリイソシアネートと反応させたイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得て、次いで前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる方法。
(b) 全原料化合物を同時に一括添加して反応させる方法。
(c) 前記ポリイソシアネートと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを先に反応させ、分子中に(メタ)アクリロイル基とイソシアネート基とを同時に有するウレタン(メタ)アクリレートプレポリマーを合成した後、得られたプレポリマーに、それら以外の原料化合物を反応させる方法。
前記(a)〜(c)の方法のうち、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとウレタン化反応する構造を有するため、分子量が制御可能で両末端にアクリロイル基が導入可能である点から、(a)の方法が好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートにおける全イソシアネート基の量と水酸基及びアミノ基等のイソシアネート基と反応する全官能基の量は、通常、理論的に当モルである。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートにおける全イソシアネート基の量とそれと反応する全官能基の量とが等モル、又はイソシアネート基に対する当該全官能基のモル%で50〜200モル%になる量である。
前記ウレタン(メタ)アクリレートを製造する際は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用量を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリブタジエンポリオール、分子量500未満のポリオール、その他のポリオール、並びに必要に応じて用いられるその他の原料化合物である鎖延長剤等のイソシアネートと反応する官能基を含む化合物の総使用量に対して、5モル%以上が好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましい。また、70モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、30モル%以下がさらに好ましい。
前記使用量であれば、得られるウレタン(メタ)アクリレートの分子量を制御することができる。前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用量が多いと、ウレタン(メタ)アクリレートの分子量は小さくなる傾向となり、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの使用量が少ないと分子量は大きくなる傾向となる。
ポリブタジエンポリオールとその他ポリオールとの総使用量に対して、ポリブタジエンポリオールの使用量を60重量%以上とすることが好ましく、70重量%以上とすることがより好ましく、80重量%以上とすることがさらに好ましく、90重量%以上とすることが特に好ましい。ポリブタジエンポリオールの使用量が前記下限値より大きいと、ポリブタジエン構造が有する疎水性、柔軟性が発現され、耐薬品性、延伸性が良好となる。
さらに、前記ポリブタジエンポリオール、前記分子量500未満のポリオール、前記その他のポリオールとの総使用量に対して、前記ポリブタジエンポリオールの使用量は、50重量%以上とすることが好ましく、60重量%以上とすることがより好ましく、70重量%以上とすることがさらに好ましく、80重量%以上とすることが特に好ましい。前記ポリブタジエンポリオールの使用量が前記下限値より大きいと、得られる硬化物の耐薬品性、延伸性が向上する傾向になるので好ましい。
さらに、鎖延長剤を用いる場合には、前記ポリブタジエンポリオール、前記分子量500未満のポリオール、及び前記その他の高分子量ポリオールの全ポリオールと前記鎖延長剤とを合わせた化合物の総使用量に対して全ポリオールの使用量は、85重量%以上が好ましく、90重量%以上がより好ましく、95重量%以上がさらに好ましい。前記全ポリオール量が前記下限値以上であれば、液安定性が向上する傾向になるので好ましい。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造において、粘度の調整を目的に溶媒を使用することができる。硬化性組成物の意図しない硬化反応(ゲル化等)を防ぐ点から、ウレタン(メタ)アクリレートの製造における固形分濃度は5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい。また、塗工性の点から、95重量%以下が好ましく、90重量%以下がより好ましく、85重量%以下がさらに好ましく、80重量%以下が特に好ましい。なお、本発明において、「固形分」とは溶媒を除いた成分を意味するものであり、固体の成分のみならず、半固形や粘稠な液状物のものをも含むものとする。
前記溶媒の種類としては、特に限定されるものではなく、ウレタン(メタ)アクリレートの構成成分の種類や硬化膜を形成する際に用いる基材の種類、基材への塗布方法等を考慮して適宜選択することができる。有機溶媒の具体例としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、2,3−ジメチルヘキサン、2−メチルヘプタン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、シクロヘキサン等の飽和炭化水素系溶媒;トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、アニソール、フェネトール等のエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、エチレングリコールジアセテート等のエステル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等が挙げられる。
これらの溶媒は1種を単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。本発明の硬化性組成物は、使用可能な有機溶媒の種類に制限を受けることがなく、各種の有機溶媒を用いることができるが、これらの有機溶媒のうち、飽和炭化水素系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、アルコール系溶媒及びケトン系溶媒から選ばれる少なくとも1種が好ましく使用される。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造において、生成するウレタン(メタ)アクリレート及びその原料化合物の総含有量は、反応系の総量に対して20重量%以上であることが好ましく、40重量%以上であることがより好ましい。なお、この総含有量の上限は100重量%である。ウレタン(メタ)アクリレート及びその原料化合物の総含有量が20重量%以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。
さらに本発明のウレタン(メタ)アクリレート系の製造に際しては付加反応触媒を用いることができる。前記付加反応触媒としては、本発明の効果が得られる範囲から選ぶことができ、例えばジブチルスズラウレート、ジブチルスズジオクトエート、ジオクチルスズジラウレート、及びジオクチルスズジオクトエート等のスズ系触媒;ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)等のビスマス系触媒等が挙げられる。触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、環境適応性及び触媒活性、保存安定性等の点から、ジオクチルスズジラウレート、ビスマストリス(2−エチルヘキサノエート)が好ましい。触媒の使用量は、原料化合物の総含有量に対して、上限が通常2000ppm以下、好ましくは1,000ppm以下であり、下限が通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上で用いられる。なお、前記(a)の方法により製造する場合、特に、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーを得る工程、次いで前記イソシアネート末端ウレタンプレポリマーと前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとを反応させる工程の両方において前記触媒を用いることが好ましい。
また、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造の反応系に(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含む場合には、重合禁止剤を併用することができる。このような重合禁止剤としては、本発明の効果が得られる範囲で選ぶことができ、例えばハイドロキノン、メチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類、フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類、ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩、酢酸マンガン等のマンガン塩、ニトロ化合物、ニトロソ化合物等が挙げられる。重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
重合禁止剤は、生成するウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー及びその原料化合物の総含有量に対して、上限が通常3000ppm以下、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、下限が通常50ppm以上、好ましくは100ppm以上で用いることができる。
本発明のウレタン(メタ)アクリレートの製造において、反応温度は通常20℃以上であり、40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましい。反応温度が20℃以上であると、反応速度が高くなり、製造効率が向上する傾向にあるために好ましい。また、反応温度は通常120℃以下であり、100℃以下であることが好ましい。反応温度が120℃以下であると、アロハナート化反応等の副反応が起きにくくなるため好ましい。また、反応系に溶媒を含む場合には、反応温度はその溶媒の沸点以下であることが好ましく、(メタ)アクリレートが入っている場合には(メタ)アクリロイル基の反応防止の点から70℃以下であることが好ましい。反応時間は通常5〜20時間程度である。
次に本発明のウレタン(メタ)アクリレートを含有する本発明の硬化性樹脂組成物について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、本発明のウレタン(メタ)アクリレート以外に、硬化性モノマー、硬化性オリゴマー、重合開始剤、光増感剤、エポキシ化合物、添加剤、溶媒等を含んでいても良い。
前記硬化性樹脂組成物において、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの含有量は、前記硬化性樹脂組成物の総量に対して、延伸性及び造膜性の点で50重量%以上が好ましく、延伸性と耐薬品性の点から60重量%以上が好ましい。
前記硬化性モノマーとしては、例えばビニルエーテル類、(メタ)アクリルアミド類、及び(メタ)アクリレート類等が挙げられる。具体的には、スチレン、α−メチルスチレン、α−クロロスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系モノマー類;酢酸ビニル、酪酸ビニル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、アジピン酸ジビニル等のビニルエステルモノマー類;エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ジアリルフタレート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル等のアリル化合物類;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−i−ブチル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸モルフォリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸−2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸フェニル等の単官能(メタ)アクリレート;及び、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸−1,3−ブチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリル酸エステル、ジ(メタ)アクリル酸ジシクロペンタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリオキシプロピル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFエポキシジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中で、特に、本発明の硬化性樹脂組成物に塗布性を要求される用途では、(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリルアミド等の、分子内に環構造を有する単官能(メタ)アクリレートが好ましい。また、得られる硬化物の機械的強度が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸−1,4−ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,6−ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−1,9−ノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリシクロデカン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートが好ましい。得られる硬化物の柔軟性が求められる用途では、ジ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール(n=5〜14)、ジ(メタ)アクリル酸ポリブチレングリコール(n=3〜16)、ジ(メタ)アクリル酸ポリ(1−メチルブチレングリコール)(n=5〜20)等のポリエーテル(メタ)アクリレート類が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、前記硬化性モノマーの含有量は、組成物の粘度調整及び得られる硬化物の硬度、延伸性等の物性調整の点から、前記組成物全量に対して、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
前記硬化性オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート系オリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレート系オリゴマー、及びアクリル(メタ)アクリレート系オリゴマー、ポリブタジエン系オリゴマー等が挙げられる。これらは2種以上を併用しても良い。
前記硬化性オリゴマーの含有量は、得られる硬化物の硬度、延伸性等の物性調整の点から、前記硬化性樹脂組成物の総量に対して、50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましく、20重量%以下であることがさらに好ましく、10重量%以下であることが特に好ましい。
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエート、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、t−ブチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、メチルベンゾイルホルメート、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オン、2,6−ジメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オン等の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
これらの中で、硬化速度が速く架橋密度を十分に上昇できる点から、ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシド、及び、2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましく、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、及び2−ヒドロキシ−1−〔4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル〕−2−メチル−プロパン−1−オンが好ましい。
また、硬化性樹脂組成物に、ラジカル重合性基と共にエポキシ基等のカチオン重合性基を有する化合物が含まれる場合は、重合開始剤として、前記光ラジカル重合開始剤と共に光カチオン重合開始剤が含まれていてもよい。光カチオン重合開始剤も、本発明の効果が得られる範囲で公知の何れのものも使用可能である。
なおこれらは2種以上を併用してもよい。さらに、光ラジカル重合開始剤と光増感剤とを併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物におけるこれらの重合開始剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。光重合開始剤の含有量が10質量%以下であると、開始剤分解物による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記光増感剤としては、例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸アミル、及び4−ジメチルアミノアセトフェノン等が挙げられる。これらは、2種以上を混合して併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、前記光増感剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。光増感剤の含有量が10質量%以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記エポキシ化合物としては、エポキシ基含有アクリル樹脂、エポキシ基含有ビニル樹脂等を用いることができ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物がエポキシ化合物を含有する場合、その含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。エポキシ化合物の含有量が、多過ぎると架橋密度低下及び官能基導入による機械的強度、傷修復性、硬度、耐汚染性等の他性能への悪影響が大きいため好ましくない。
前記添加剤としては、例えば、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、雲母、酸化亜鉛、酸化チタン、マイカ、タルク、カオリン、金属酸化物、金属繊維、鉄、鉛、金属粉等のフィラー類;炭素繊維、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、C60等のフラーレン類等の炭素材料類(フィラー類、炭素材料類を総称して「無機成分」と称することがある);酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、HALS(ヒンダードアミン光安定剤)、耐指紋剤、表面親水化剤、帯電防止剤、滑り性付与剤、可塑剤、離型剤、消泡剤、レベリング剤、沈降防止剤、界面活性剤、チクソトロピー付与剤、滑剤、難燃剤、難燃助剤、重合禁止剤、充填剤、シランカップリング剤等の改質剤類;顔料、染料、色相調整剤等の着色剤類;及び、モノマー及びそのオリゴマーのうちの少なくとも1つ、又は無機成分の合成に必要な硬化剤、触媒、硬化促進剤類;等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物において、前記添加剤の含有量は、前記の活性エネルギー線反応性成分の合計100質量%に対して、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。添加剤の含有量が10質量%以下であると、架橋密度低下による機械的強度の低下が起こり難いため好ましい。
前記溶媒としては、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロパノール、イソブタノール、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトン等が挙げられる。これらは2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、公知の混合、分散方法等で製造できる。例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式攪拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物の粘度は、前記組成物の用途や使用態様等に応じて適宜調節し得るが、取り扱い性、塗工性、成形性、立体造形性等の点から、E型粘度計(ローター1°34’×R24)における25℃での粘度が、10mPa・s以上であることが好ましく、30mPa・s以上であることがより好ましく、また、50,000mPa・s以下であることが好ましく、10,000mPa・s以下であることがより好ましく、5,000mPa・s以下であることがさらに好ましく、2,000mPa・s以下であることが特に好ましい。硬化性樹脂組成物の粘度は、例えば本発明のウレタン(メタ)アクリレートの含有量や、前記の任意成分の種類や、その配合割合等によって調整することができる。
本発明の硬化性樹脂組成物の塗工方法としては、バーコーター法、アプリケーター法、カーテンフローコーター法、ロールコーター法、スプレー法、グラビアコーター法、コンマコーター法、リバースロールコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、スロットダイコーター法、エアーナイフコーター法、ディップコーター法等の公知の方法を適用可能であるが、その中でもバーコーター法及びグラビアコーター法が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は、これに活性エネルギー線を照射することにより硬化膜とすることができる。
上記組成物を硬化させる際に使用する活性エネルギー線としては、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等が使用可能である。装置コストや生産性の点から電子線又は紫外線を利用することが好ましく、光源としては、電子線照射装置、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、太陽光等があげられる。
活性エネルギー線の照射量は、活性エネルギー線の種類に応じて適宜に選ぶことができ、例えば、電子線照射で硬化する場合には、その照射量は1〜10Mradであることが好ましい。また、紫外線照射の場合は50〜1,000mJ/cm2であることが好ましい。硬化時の雰囲気は、空気、窒素やアルゴン等の不活性ガスでもよい。また、フィルムやガラスと金属金型との間の密閉空間で照射してもよい。
本発明の硬化膜の膜厚は、目的とされる用途に応じて適宜決められるが、下限は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。また、同上限は好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。膜厚が1μm以上であると3次元加工後の意匠性や機能性の発現が良好となり、また、200μm以下であると内部硬化性、3次元加工適性が良好であるため好ましい。また、工業上での使用の際には、下限は好ましくは1μm以上であり、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。上限は好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下である。
本発明によれば、基材上に、上記の本発明の硬化膜からなる層を有する積層体を得ることができる。
本発明の積層体は、本発明の硬化膜からなる層を有していれば特に限定されず、基材及び本発明の硬化膜以外の層を基材と本発明の硬化膜との間に有していてもよいし、その外側に有していても良い。また、前記積層体は、基材や本発明の硬化膜を複数層有していてもよい。
複数層の硬化膜を有する本発明の積層体を得る方法としては、全ての層を未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法、下層を活性エネルギー線にて硬化、あるいは半硬化させた後に上層を塗布し、再度活性エネルギー線で硬化する方法、それぞれの層を離型フィルムやベースフィルムに塗布した後、未硬化あるいは半硬化の状態で層同士を貼り合わせる方法等の公知の方法を適用可能であるが、層間の密着性を高める点から、未硬化の状態で積層した後に活性エネルギー線で硬化する方法が好ましい。未硬化の状態で積層する方法としては、下層を塗布した後に上層を重ねて塗布する逐次塗布や、多重スリットから同時に2層以上の層を重ねて塗布する同時多層塗布等の公知の方法を適用可能であるが、この限りではない。
基材としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン、ナイロン、ポリカーボネート、(メタ)アクリル樹脂等の種々のプラスチック、又は金属で形成された板等の種々の形状の物品が挙げられる。
本発明の硬化膜は、インキ、エタノール等の一般家庭汚染物に対する耐汚染性及び硬度に優れる膜とすることが可能であり、本発明の硬化膜を各種基材への被膜として用いた本発明の積層体は、意匠性及び表面保護性に優れたものとすることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、3次元加工時の変形に追従可能な延伸性、耐薬品性、及び耐擦傷性を同時に兼ね備える硬化膜を与えることができる。
また、本発明の硬化性樹脂組成物は、1層塗布により簡便に薄膜状の樹脂シートを製造することが可能となることが期待される。
本発明の硬化膜及び本発明の積層体は、塗装代替用フィルムとして用いることができ、例えば内装・外装用の建装材や自動車、家電、情報電子材料等の各種部材等に有効に適用することが可能である。特に、本発明の硬化膜は、これをトップコート層とする加飾フィルムとして有用である。
以下に以下実施例により本発明を説明する。
各原料化合物の仕込み比は、目的とするウレタン(メタ)アクリレートの組成と実質的に同等、ないしは同一とする。
なお、評価は以下の方法で行った。
<ウレタン(メタ)アクリレートのGPCによる分子量の測定>
GPC(Waters社製「e2695」)で、溶媒にTHF、標準サンプルにポリスチレン、カラムにTSKgel superH3000+H4000+H6000を使用して、送液速度0.5mL/分、カラムオーブン温度40℃にて、ウレタン(メタ)アクリレートの数平均分子量、重量平均分子量を測定した。
<ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物中の構造A1からA4で表される構造比率>
ポリブタジエンポリオール中の構造A1からA4で表される構造比率と、ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物に含まれるポリブタジエンポリオールの含有率とを掛け合わせて算出した。
<構造A1からA4で表される構造中の構造A1で表される構造比率>
ポリブタジエンポリオールにおける構造A1からA4で表される構造中の構造A1で表される構造比率はカタログ値を引用した。
<ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物中のウレタン結合Bで表される構造比率>
低分子ポリオールのヒドロキシル基がウレタン化された構造量(g)を、ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物の構成成分の総量(g)でそれぞれ除して算出した。
<ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物のウレタン結合量>
各実施例及び比較例のウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート、ポリブタジエンポリオール、低分子ポリオール及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの四種の成分を構成単位として含んでいる。これらの構成単位は、ウレタン(メタ)アクリレートにおいて、各成分の分子量が保たれたまま形成されていることから、本実施例及び比較例では、ウレタン結合数(イソシアネート基の総モル数と同一:mmol)をウレタン(メタ)アクリレートの構成成分の総量で除して、ウレタン(メタ)アクリレートのウレタン結合量を算出した。
硬化性樹脂組成物のウレタン結合量は、硬化性樹脂組成物中のウレタン(メタ)アクリレートの含有率を考慮することで算出した。(ウレタン結合量3.0mmol/gのウレタン(メタ)アクリレートを60重量%含有する硬化性樹脂組成物のウレタン結合量は、3.0×60%=1.8mmol/gとする。)
<ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物の不飽和二重結合量>
不飽和二重結合濃度は、反応に寄与せず重合体中に残存する不飽和二重結合数(mmol)を、ウレタン(メタ)アクリレート、硬化性樹脂組成物の構成成分の総量(g)でそれぞれ除して算出した。
<硬化膜の延伸性>
(製膜方法I)
硬化性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、さらに23℃で1日養生して硬化膜を形成した後、ポリエチレンテレフタレートフィルムから硬化膜を剥離して膜厚約30μmの硬化膜を得た。
(破断伸度測定)
前記製膜方法Iで得られた硬化膜を10mm幅に切断し、テンシロン引張試験機(島津製作所社製「EZ−S」)を用いて、温度23℃、相対湿度55%RH、引張速度50mm/分、チャック間距離50mmの条件で引張試験を行って、破断伸度(Eb)を測定して、下記基準で評価した。
破断伸度は引っ張る前の状態を0%とし、2倍の長さ(100mm)になった状態を100%、3倍の長さ(150mm)になった状態を200%とした。
◎:100%<Eb
○:67%<Eb≦100%
×:Eb≦67%
<硬化膜のその他の評価>
(製膜方法II)
硬化性樹脂組成物をポリエチレンテレフタレートフィルム上にバーコーターで塗工して塗膜を形成した後、60℃で1分間乾燥させ、電子線照射装置(CB175、アイグラフィック社製)を用いて、加速電圧165kV、照射線量5Mradの条件で電子線を乾燥塗膜に照射し、さらに23℃で1日養生して、ポリエチレンテレフタレート上に積層された膜厚約10μmの硬化膜を得た。
<耐擦傷性:耐スチールウール摩擦性>
前記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜について耐スチールウール摩擦試験前に測定したヘイズ値をH1とする。一方、23℃、55%RHの雰囲気下、日本スチールウール(株)製スチールウール(#0000)に500gf(面積4cm2あたり)の荷重をかけて、前記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜についてポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜面を15往復擦り、直後に測定したヘイズ値をH2とした。
H2とH1との差:ΔH(ΔH=H2−H1)を耐擦傷性の指標として求め、下記基準で評価した。
なお、上記において、ヘイズ値は、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所(株)社製「HAZE METER HM−65W」)を用いて、JIS K7105に準拠して測定した。
◎:ΔH≦5.0
○:5.0<ΔH≦10.0
×:10.0<ΔH
<耐薬品性>
前記製膜方法IIでポリエチレンテレフタレート上に積層された硬化膜面を、エタノールで湿潤させた布(東洋紡STC社製「金巾S618−92」)で、500gf(面積4cm2あたり)の荷重をかけて擦った。硬化膜に白化、傷付き、剥がれ等の状態変化が見られた時点での摩擦往復数(CE)を指標として、下記基準で評価した。
◎:50<CE
○:28<CE≦50
△:10<CE≦28
×:CE≦10
[使用原料]
<ポリイソシアネート>
・IPDI:エボニック デグサ ジャパン社製 イソホロンジイソシアネート「VESTANAT IPDI」(分子量:222)
<ポリブタジエンポリオール>
・G−1000:日本曹達社製 「NISSO−PB(登録商標)G−1000」ポリブタジエンポリオール
1,2−ビニル結合構造/トランス1,4−ビニル結合構造=85/15(重量比)
分子量:1492
構造A1からA4で表されるで表される構造比率:94%
水酸基価:75.2mg−KOH/g
<分子量500未満のポリオール>
・EG:和光純薬社製 エチレングリコール(分子量:62)
・1,4−BD:三菱化学社製 1,4−ブタンジオール(分子量:90)
・1,12−DD:宇部興産社製 1,12−ドデカンジオール(分子量:202)
<その他のポリオール>
・T4691:旭化成社製 「デュラノール(登録商標)T4691」ポリカーボネートポリオール
1,4−ブタンジオール/1,6−ヘキサンジオール=9/1(重量比)
分子量:974
水酸基価:115.2mg−KOH/g
<ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート>
・R−167:日本化薬社製 「KAYARAD(登録商標)R−167」1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート(分子量:374)
官能基数:2
・AE−400:日油社製 「ブレンマー(登録商標)AE−400」ポリエチレングリコールモノアクリレート
分子量:549
水酸基価:102.3mg−KOH/g
官能基数:1
・AP−400:日油社製 「ブレンマー(登録商標)AP−400」ポリプロピレングリコールモノアクリレート
分子量:449
水酸基価:125.0mg−KOH/g
官能基数:1
<硬化性モノマー>
・V−300:大阪有機工業社製 「ビスコート(登録商標)300」ペンタエリスリトールトリアクリレート40〜45重量%とペンタエリスリトールテトラアクリレート35〜40重量%の混合物(カタログ値)
不飽和二重結合量:10.47mmol/g
[実施例1]
攪拌器、還流冷却器、滴下漏斗、及び温度計を取り付けた4つ口フラスコに、ポリイソシアネートとしてIPDIを128gと、ポリブタジエンポリオールとしてG−1000を286g入れ、低分子量ポリオールとしてEGを20g入れ、さらにメチルエチルケトン434g、ジオクチルスズジラウレート0.07gを入れてオイルバスにて80℃に加熱しながら9時間反応させた。反応終了後60℃まで冷却した後、ジオクチルスズジラウレート0.08g、メチルハイドロキノン0.25g、メチルエチルケトン66gを加え、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしてAE−400を66g滴下して反応を開始させた。反応はオイルバスにて70℃に加熱しながら10時間行い、赤外吸収スペクトルでのイソシアネート(NCO)基に由来したピークの減少により反応の進行を確認し、消失により反応の終点を確認して、ウレタン(メタ)アクリレート1溶液を得た。
このウレタン(メタ)アクリレート1の製造に用いた原料化合物の組成比はIPDI/G−1000/EG/AE−400=10.5/3.5/6/2.2(モル比)であり、反応液中の樹脂成分(固形分)の含有量は50重量%である。
得られたウレタン(メタ)アクリレート1の計算分子量は9000であった。また、GPCにより求めたウレタン(メタ)アクリレート1の数平均分子量は7200で、重量平均分子量は53000であった。ウレタン(メタ)アクリレート1中の構造A1からA4で表される構造比率は54重量%、構造A1からA4で表される構造中の構造A1で表される構造比率は85重量%、ウレタン(メタ)アクリレート1中のウレタン結合Bで表される構造比率は6.7重量%だった。また、ウレタン結合量は2.33mmol/gで、不飽和二重結合量は0.24mmol/gであった。その他の分析結果は表1に示す。
フラスコにウレタン(メタ)アクリレート1溶液(固形分50重量%)を195gと硬化性モノマーとしてV−300を2.5g、メチルエチルケトン2.5gを入れ、25℃で1時間攪拌して、硬化性樹脂組成物1を得た。
硬化性樹脂組成物1中の構造A1からA4で表される構造比率は54重量%、硬化性樹脂組成物1中のウレタン結合Bで表される構造比率は6.7重量%だった。また、ウレタン結合量は2.33mmol/gで、不飽和二重結合量は0.24mmol/gであった。その他の分析結果は表1に示す通りであった。さらに硬化性樹脂組成物1におけるウレタン(メタ)アクリレート1の含有量は97.5重量%であった。
得られた硬化性樹脂組成物1について、前記の評価を行い、結果を表1に示した。
[実施例2〜9、比較例1、2]
原料化合物の種類及びその使用量を変えて、表1に示すモル比のウレタン(メタ)アクリレート原料としたこと以外は、実施例1と同様にしてウレタン(メタ)アクリレートを合成した。また、表1に示す比率で硬化性モノマーを配合したこと以外は、実施例1と同様にして硬化性樹脂組成物を製造し、同様に評価を行って、結果を表1に示した。
以上の結果から、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化膜は、3次元加工時の変形に追従可能な延伸性、且つ優れた耐薬品性、耐擦傷性を同時に兼ね備えるものであることが分かる。