JP6507601B2 - 樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムおよび樹脂成型品 - Google Patents

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本発明は、樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムおよび樹脂成型品に関する。詳しくは、自動車の内装部材、携行用収納容器、電子機器筺体、家電などの樹脂成型品の外表面に傷が付くことを抑制することができる樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムに関するものである。
自動車の内装部材(インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアトリムなど)、電子機器筺体(携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話、電子手帳など)、家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)などの樹脂成型品の外表面に傷が付くことを抑制するために、樹脂成型品の外表面に自己修復性機能(傷を自己修復する機能)を有する樹脂層(自己修復性樹脂層)を被覆(塗布)することが知られている。
上記の樹脂成型品に自己修復性樹脂層を適用する方法として、自己修復性の樹脂塗料を電着塗装法やスプレー法により塗装する方法が提案されている(特許文献1〜6)。
また、基材フィルム上に自己修復性樹脂層が積層された自己修復性フィルムを樹脂成型品に適用することも提案されている(特許文献7〜10)。
また更に、上記の樹脂成型品の外表被覆材として成型用ハードコートフィルムが一般に知られており、また提案されている(特許文献11〜13)。
特開2010−65168号公報 特開2010−65169号公報 特開2010−260979号公報 特開2005−150668号公報 特開2001−200017号公報 特開2000−342127号公報 特開2011−207009号公報 特開2011−77266号公報 特開2013−27998号公報 特開2014−181207号公報 特開2009−184284号公報 特開2011−74105号公報 特開2014−69523号公報
一般に市販されている成型用ハードコートフィルムあるいは特許文献11〜13に開示されているような成型用ハードコートフィルムは、一旦、傷が付くとその傷は回復することはなく、従って、長期の使用により傷の付着箇所が多くなり外観品質が低下するという問題がある。また、成型用ハードコートフィルムのハードコート層は、硬度が比較的高く設計されているので成型性が不十分である(延伸加工するときにハードコート層にクラック、白化あるいは膜剥がれが起こりやすい)。
特許文献1〜6に記載されているように、樹脂成型品に自己修復性塗料を電着塗装法やスプレー法により直接に塗装すると、塗布ムラや厚みムラ等により良好な外観品質が得られないことがある。
一方、特許文献7〜9に記載されている自己修復性フィルムを樹脂成型品の外表面に被覆する場合、以下のような問題がある。
一般に、樹脂成型品は、射出成型法、TOM成型法、真空成型法、圧空成型法あるいはプレス成型法などにより成型加工される。樹脂成型品への自己修復性フィルムの被覆は、射出成型法では、金型に合わせてプレフォームされた自己修復性フィルムを金型内部に装填し、金型内に樹脂を射出することによって行われる。一方、TOM成型法、真空成型法、圧空成型法あるいはプレス成型法では、自己修復性フィルムを加熱した状態で接着剤等を介して樹脂成型品に貼り合わされる。また、真空成型法、圧空成型法、プレス成型法では、事前に樹脂板を溶融押出し成型するときに自己修復性フィルムをラミネートし、自己修復性フィルムがラミネートされた樹脂板を真空成型、圧空成型あるいはプレス成型により成型加工されることがある。
射出成型法における自己修復性フィルムのプレフォームは加熱した状態で延伸加工され、同様にTOM成型、真空成型法、圧空成型法あるいはプレス成型法等における成型についても加熱した状態で延伸することによって行われる。このような加熱状態で延伸加工されるとき、自己修復性フィルムにクラック、白化あるいは膜剥がれ(基材フィルムから自己修復性樹脂層が剥離すること)が発生するという問題が起こる。
上記のプレフォームあるいは成型時の加熱温度は100〜200℃程度が一般的であり、加熱温度が150℃を超えることもあり、そのような高温での加熱成型性が表面被覆用積層フィルムに求められている。
また、一般に市販されている成型用ハードコートフィルムあるいは特許文献11〜13に開示されているような成型用ハードコートフィルムは、一旦、傷が付くとその傷は回復することはなく、従って、長期の使用により傷の付着箇所が多くなり外観品質が低下するという問題がある。また、成型用ハードコートフィルムのハードコート層は、硬度が比較的高く設計されているので成型性が不十分である(延伸加工するときにハードコート層にクラック、白化あるいは膜剥がれが起こりやすい)。
従って、本発明の目的は、上述の課題に鑑み、加熱成型時におけるクラック、白化および膜剥がれの発生を抑制し、かつ傷付きを抑制することができる、樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム、およびこの表面被覆用積層フィルムが被覆された樹脂成型品を提供することにある。
上記課題は、以下の発明によって基本的に解決される。
[1]基材フィルム上に自己修復性樹脂層を有する樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムであって、基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力が40MPa以下であり、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度が40%以上であることを特徴とする、樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[2]自己修復性樹脂層の厚みが8μm以上50μm以下である、[1]に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[3]自己修復性樹脂層がポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有する、[1]または[2]に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[4]自己修復性樹脂層が有機ケイ素化合物を含有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[5]有機ケイ素化合物がポリジメチルシロキサン系共重合体である、[4]に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[6]自己修復性樹脂層が更にイソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有する、[5]に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[7]自己修復性樹脂層が活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層であり、活性エネルギー線硬化性組成物がポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有する、[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[8]活性エネルギー線硬化性組成物が、更にポリジメチルシロキサン系共重合体を含有する、[7]に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[9]活性エネルギー線硬化性組成物が、ポリジメチルシロキサン系共重合体を更に含有し、更に、イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有する、[7]に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
[10][1]〜[9]のいずれかに記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムが、樹脂成型品の外表面に、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層が外側となるように被覆されてなる、樹脂成型品。
本発明によれば、加熱成型時におけるクラック、白化および膜剥がれの発生を抑制し、かつ傷付きを抑制することができる、樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムを提供することができる。また、本発明は、前記表面被覆用積層フィルムが被覆され、傷付きが抑制された樹脂成型品を提供することができる。
図1は、本発明の表面被覆用積層フィルムの一例の模式断面図である。 図2は、プレフォームされた表面被覆用積層フィルムの模式断面図である。 図3は、本発明の表面被覆用積層フィルムが被覆された樹脂成型品(自動車内装部材)の一例の模式断面図である。 図4は、本発明の表面被覆用積層フィルムが被覆されたスーツケースの一例の概略断面図である。
本発明にかかる樹脂成型品は、特に限定されず、例えば、自動車の内装部材(インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアトリムなど)、携行用収納容器(スーツケースやトランクなど)、電子機器筺体(携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話、電子手帳など)、家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)などの一部分もしくは全体を構成する樹脂成型品であることが好ましい。本発明の表面被覆用積層フィルムは、上記した樹脂成型品の中でも自動車の内装部材および携行用収納容器に好適であり、特に自動車の内装部材に好適に用いられる。
本発明の樹脂成型品に用いられる樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂 ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
本発明の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムは、基材フィルム上に自己修復性樹脂層を備えた表面被覆用積層フィルムである。基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力が40MPa以下であることが好ましい。また、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度が40%以上であることが好ましい。
本発明の表面被覆用積層フィルムは、成型加工性が良好であり、加熱成型(加熱延伸)における外観不良因子の発生が抑制され、かつ傷修復性が良好であるという特長を有する。
つまり、本発明にかかる表面被覆用積層フィルムを構成する基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力が40MPa以下であることにより、表面被覆用積層フィルムの成型加工性が良好となる。つまり、基材フィルムが比較的小さい力によって伸長されることによって、プレフォームや成型加工を容易に行うことができるようになり、また樹脂成型品の比較的複雑な形状(凹凸)にも追従することが可能となる。
また、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度が40%以上であることにより、表面被覆用積層フィルムの加熱成型時の外観不良因子の発生を抑制することができる。
本発明において、基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力とは、160℃に加熱された試験サンプル(基材フィルム)を100%伸長したときの試験サンプルにかかる荷重を試験サンプルの断面積で除した値である。
基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力は、JIS K 7127(1999)に準拠した、以下の測定条件下での引張試験で測定することができる。
<測定条件>
・試験サンプルのサイズ:長辺150mm×短辺10mmの短形
・引張速度:300mm/min
・初期チャック間距離:50mm
・荷重計測時のチャック間距離(伸長距離):100mm
・測定時の温度:160℃。
表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度とは、表面被覆用積層フィルムを160℃に加熱した状態で延伸することによって、クラック、白化および膜剥がれ(基材フィルムから自己修復性樹脂層が剥離すること)のいずれか1つの現象が発生するときの伸度である。
以下、表面被覆用積層フィルムを延伸したときに発生するクラック、白化および膜剥がれを総称して、「外観不良因子」ということがある。
ここで、クラックとは自己修復性樹脂層に発生する亀裂であり、白化とは基材フィルムにマイクロクラック(極微小クラック)が発生することにより表面被覆用積層フィルムが白くなる現象であり、膜剥がれとは基材フィルムから自己修復性樹脂層が剥離する現象である。これらの外観不良因子は、目視観察で発生の有無が判断できるものを指す。
引張伸度は、JIS K 7127(1999)に準拠した、以下の測定条件下での引張試験において、試験サンプル(表面被覆用積層フィルム)に外観不良因子(クラック、白化および膜剥がれ)のいずれか1つの因子が発生したときの伸度である。
<測定条件>
・試験サンプルのサイズ:長辺125mm×短辺20mmの矩形
・引張速度:50mm/min
・初期チャック間距離(A):50mm
・測定時の温度:160℃。
<引張伸度の計算式>
Y=((X―A)/A))×100 ・・・式1
(式中、Yは引張伸度[%]、Aは初期チャック間距離(延伸前の長さ)[50mm]、Xは試験サンプルに外観不良因子のいずれか1つの因子が発生した時のチャック間距離(延伸後の長さ)[mm]を表す)。
本発明にかかる自己修復性樹脂層は、自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が自己修復する機能を有する層である。具体的には、常温(23℃)環境下で金属ブラシ(真鍮ブラシ)によって自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が消失することを意味する。
以下、常温(23℃)環境下で金属ブラシ(真鍮ブラシ)によって自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が消失する時間を「傷消失時間」という。
本発明の表面被覆用積層フィルムにおける自己修復性樹脂層の傷消失時間は、24時間未満であることが好ましく、30分未満であることがより好ましく、3分未満であることが更に好ましく、10秒未満が特に好ましい。消失時間の下限は特に限定されないが、視覚的に傷消失が確認できる時間は0.1秒程度である。
自己修復性樹脂層表面に金属ブラシ(真鍮ブラシ)によって付けられた傷が消失したかどうか(傷修復機能を有するかどうか)は、目視もしくはヘイズ値を測定することによって判定することができる。
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層あるいはこれまでに一般に知られている成型用ハードコートフィルムのハードコート層に、金属ブラシ(真鍮ブラシ)で傷を付けると、ヘイズ値は通常0.40%以上上昇する。しかし、自己修復性樹脂層が傷修復機能を有する場合は、一旦上昇したヘイズ値は傷が消失することによって傷を付ける前のヘイズ値に近くなる。従って、傷修復機能を有するかどうかをヘイズ値の変化で判定する場合は、試験前(傷を付ける前)のヘイズ値(Hz0)と、試験後(金属ブラシ(真鍮ブラシ)で傷を付けた後)に一定時間経過した後のヘイズ値(HzX)との差を(HzX−Hz0)が0.30%未満であれば、傷修復機能を有すると判定する(詳しい判定法は後述する)。
従来から一般的に知られている自己修復性フィルムは、基材フィルム上に自己修復性樹脂層が積層されたものであり、常温(23℃)においては50%程度延伸しても外観不良因子は発生しない。しかし、従来から一般的に知られている自己修復性フィルムは、160℃程度の高温で延伸すると外観不良因子が発生しやすくなるという特性を有していることが分かった。これは、自己修復性樹脂層(ガラス転移温度が比較的低い樹脂層)の特有の性質であると推定される。
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムは、160℃における引張伸度は、更に45%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、55%以上が特に好ましい。これによって、表面被覆用積層フィルムの加熱成型性が向上する。引張伸度の上限は特に限定されないが実用的には200%もあれば十分である。
以下、本発明の表面被覆用積層フィルムを構成する各構成要素について詳細に説明する。
[基材フィルム]
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムは、基材フィルムとして、160℃における100%伸長時の応力が40MPa以下である樹脂フィルムが用いられる。かかる樹脂フィルムとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂フィルム、易成型ポリエステル樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリカーボネート樹脂フィルムとアクリル樹脂フィルムとの積層樹脂フィルムなどが挙げられる。これらの樹脂フィルムは一般に市販されており、これらの市販品の中から選択して用いることができる。
ポリカーボネート樹脂フィルムの市販品としては、例えば、帝人化成(株)製の「パンライトフィルム」や「ピュアエース」、三菱ガス化学(株)製の「ユーピロン」、旭硝子(株)製の「レキサンフィルム」、General Electric社製の「Lexan」、バイエル社製の「マクロフォル」等が挙げられる。
易成型ポリエステル樹脂フィルムの市販品としては、例えば、東洋紡(株)製の「ソフトシャイン」、帝人デュポンフィルム(株)製の「テフレックス」等が挙げられる。
アクリル樹脂フィルムの市販品としては、例えば、住友化学(株)製の「テクノロイ」、三菱レイヨン(株)製の「アクリプレン」、(株)カネカ製の「サンデュレン」などが挙げられる。
基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力は、更に35MPa以下が好ましく、30MPa以下がより好ましく、更に25MPa以下が好ましく、20MPa以下が特に好ましい。下限の応力は特に限定されないが、0.1MPa程度である。
本発明にかかる基材フィルムとしては、伸長時の応力が比較的小さく、かつ強度が比較的高い、ポリカーボネートフィルムが最も好ましく用いられる。
基材フィルムの厚みは、20〜400μmの範囲が適当であるが、強度や加工性等の観点から50〜350μmの範囲が特に好ましく、特に75〜330μmの範囲が好ましい。
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムを自動車内装部材に適用する場合、比較的複雑な形状に追従させる必要から、加熱成型時に表面被覆用積層フィルムにシワ(熱ジワ)が発生することがあり、これを抑制するために、基材フィルムの厚みは比較的大きいことが好ましい。具体的には、基材フィルムの厚みは100μm以上が好ましく、125μm以上より好ましく、150μm以上が好ましい。上限の厚みは400μm以下が好ましく、350μm以下がより好ましい。
このように、厚みが比較的大きい基材フィルムを用いる場合は、前述したように基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力は小さい方が有効である。
[自己修復性樹脂層]
本発明にかかる自己修復性樹脂層は、自己修復性樹脂層表面に付けられた傷が自己修復する機能を有する層であることが好ましい。
自己修復性樹脂層の自己修復性機能は、自己修復性樹脂層を構成する樹脂のソフトセグメントとハードセグメントとをバランスさせることによって発現する。ソフトセグメントはクッション的な働きをすることによって外力を緩和し、傷を弾性回復するように機能し、ハードセグメントは外力に対して抵抗するように機能する。ソフトセグメントだけでは弾性が弱くなり形状を保持することが困難となり、また傷回復性が低下する。一方、ハードセグメントだけでは傷が刻印される(傷が回復しない)。
自己修復性樹脂層に用いられる樹脂層としては、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂、ポリカプロラクトン骨格を有するウレタン樹脂、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂などが知られており、これらのポリカーボネート構造、ポリカプロラクトン構造、ポリエステル構造がソフトセグメントとして機能し、ウレタン結合がハードセグメントとして機能する。
本発明にかかる自己修復性樹脂層は、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有することが好ましい。後述するように、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂が架橋剤によって架橋された場合、架橋部分もハードセグメントとして機能する。また、後述するように、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の前駆体としてポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを用いた場合は、(メタ)アクリレート部分もハードセグメントとして機能する。
自己修復性樹脂層がポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂を含有することにより、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度を40%以上とすることが可能となる。
上記観点(自己修復性機能を発現させ、かつ表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度を40%以上とするという観点)から、後述するように、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂およびポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを合成するための原料であるポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、300〜7,000の範囲が好ましい。ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が300未満であると、ソフトセグメント成分の比率が小さくなり過ぎて傷回復機能が発現しなかったり、成型性が低下するなどの不都合が生じることがある。一方、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量が7,000を超えると、ソフトセグメント成分の比率が多くなり過ぎて樹脂層の硬度が低下し、逆に傷が付きやすくなる。
自己修復性樹脂層におけるポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の含有量は、表面被覆用積層フィルムの加熱成型性を向上させるという観点から、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、30質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、更に60質量%以上が好ましく、特に70質量%以上が好ましい。一方、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の含有量が多くなりすぎると、傷の回復性が低下すること(傷消失時間が長くなること、あるいは傷が消失しないこと)があるので、上限の含有量は自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。
自己修復性樹脂層は、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂以外の他の樹脂、例えば、ポリカプロラクトン骨格を有するウレタン樹脂、ポリエステル骨格を有するウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、あるいは後述するポリジメチルシロキサン系共重合体などの樹脂(他の樹脂という)を含有することができる。
これらの他の樹脂の含有量は、多くなりすぎると加熱成型性が低下することがあるので、含有量は適宜調整する必要がある。他の樹脂の含有量は、具体的には、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、更に20質量%以下が好ましく、特に15質量%以下が好ましい。
自己修復性樹脂層は、更に、界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、粒子等を含有することができる。
自己修復性樹脂層の厚みは、傷付き抑制効果を十分に発現させるという観点から、8μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、13μm以上が特に好ましい。自己修復性樹脂層の厚みが8μm未満であると、この表面被覆用積層フィルムを樹脂成型品の表面に適用した時の傷付き性を十分に抑制することができないことがある。
一方、自己修復性樹脂層の厚みが大きくなり過ぎると、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度が低下し、加熱成型性が低下することがあるので、上限の厚みは50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。自己修復性樹脂層の厚みが50μmを超えると、加熱成型時に外観不良因子が発生しやすくなる。
[ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂]
ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂は、分子中にポリカーボネート骨格とウレタン結合を有する樹脂である。分子中へのポリカーボネート骨格の導入は、例えば合成原料としてポリカーボネートポリオールを用いることによって行うことができる。同様にウレタン結合の導入は、合成原料としてイソシアネート化合物を用いることによって行うことができる。
ウレタン結合は、ポリカーボネートポリオールの水酸基とイソシアネート化合物のイソシアネート基との反応によって生起する。
ポリカーボネートポリオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、またはホスゲンもしくはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。
アルキレングリコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、n−プロピルカーボネート、ジ−n−プロピルカーボネート、イソプロピルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、n−ブチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート、イソブチルカーボネート、ジイソブチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,2−ブチレンカーボネートなどが挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、ポリカーボネートジオールが好ましく、更に分子の両末端にそれぞれ水酸基を有するポリカーボネートジオールが好ましい。
ポリカーボネートポリオールとしては市販品を使用することができる。例えば、(株)ダイセル製の「プラクセルCD」シリーズ、(株)クラレ製の「クラレポリオール」シリーズ、日本ポリウレタン工業(株)製の「ニッポラン」シリーズ、旭化成ケミカルズ(株)製の「デュラノール」シリーズなどが挙げられる。
前述したように、ポリカーボネートポリオールの数平均分子量は、300〜7,000の範囲が好ましく、500〜5,000の範囲がより好ましく、700〜3,000の範囲が特に好ましい。
イソシアネート化合物としては、分子中にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシアネート化合物が好ましい。かかるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネート、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレット体、および上記イソシアネートのブロック体などを挙げることができる。
[有機ケイ素化合物]
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムは、加熱成型性を向上させる必要性から、自己修復性樹脂層は比較的軟質状態となることがある。このため、自己修復性樹脂層表面は紙粉や繊維等の塵埃が付着しやすくなる。以下、この自己修復性樹脂層表面への塵埃の付着しやすさを「紙粉付着性」という。従って、自己修復性樹脂層の紙粉付着性を抑制することが好ましく、かかる紙粉付着性は、自己修復性樹脂層に有機ケイ素化合物を含有することによって抑制することができる。
上記の有機ケイ素化合物としては、ポリシロキサン系化合物、ポリジメチルシロキサン系化合物、ポリジメチルシロキサン系共重合体が挙げられる。また、これら化合物を組む合わせたものであってもよい。有機ケイ素化合物としては、特にポリジメチルシロキサン系共重合体が好ましく用いられる。
自己修復性樹脂層における有機ケイ素化合物の含有量は、自己修復性樹脂層の紙粉付着性を抑制するという観点から、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、0.5質量%以上が好ましく、1.0質量%以上がより好ましく、3.0質量%以上が特に好ましい。一方、有機ケイ素化合物の含有量が多くなりすぎると、加熱成型性が低下することがあるので、有機ケイ素化合物の上限の含有量は、自己修復性樹脂層の固形分総量100質量%に対して、12質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下が特に好ましい。
[ポリシロキサン系化合物]
ポリシロキサン系化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、または該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。
[ポリジメチルシロキサン系化合物]
ポリジメチルシロキサン系化合物としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン(例えば、東亞合成(株)製GUV−235)などが挙げられる。
[ポリジメチルシロキサン系共重合体]
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、ポリジメチルシロキサン部分(ポリジメチルシロキサンセグメント)とビニルモノマーの重合体鎖部分(ビニル基を有するモノマーが重合されてなるセグメント)とを有する共重合体である。かかるポリジメチルシロキサン系共重合体は、ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体のいずれであってもよいが、ブロック共重合体およびグラフト共重合体が好ましい。かかるポリジメチルシロキサン系共重合体の重量平均分子量は、1,000〜30,000の範囲が好ましい。
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、リビング重合法、高分子開始剤法、高分子連鎖移動法などによって製造することができるが、生産性を考慮すると高分子開始剤法、高分子連鎖移動法を用いるのが好ましい。
高分子開始剤法を用いる場合には、下記の化1で表される高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を用いて他のビニルモノマーと共重合させることにより、効率よくブロック共重合体を合成することができる。
またペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法を用いる場合は、例えば、下記の化2に示すようなシリコーンオイルに「HS−CHCOOH」や「HS−CHCHCOOH」等を付加してSH基を有する化合物とした後、該SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることでブロック共重合体を合成することができる。
更にポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体を合成するには、例えば、下記の化3に示す化合物、すなわちポリジメチルシロキサンのメタクリルエステルなどとビニルモノマーとを共重合させることにより容易にグラフト共重合体を得ることができる。
Figure 0006507601
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ポリジメチルシロキサン系共重合体の合成に用いられるビニルモノマーとしては、例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート,n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセチトンアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコールなどを挙げることができる。
ポリジメチルシロキサン系共重合体は、通常、溶液重合によって製造される。このような溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが単独または混合溶剤として用いられる。
また、必要に応じてベンゾイルパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどの重合開始剤を併用する。重合反応は50〜160℃で3〜12時間行うのが好ましい。
また、ポリジメチルシロキサン系共重合体の合成において、イソシアネート基を有するモノマー(例えば、イソシアネート基を有する(メタ)アクリレート)と水酸基を有するモノマー(例えば、水酸基を有する(メタ)アクリレート)を用いることによって、活性エネルギー線硬化性のポリジメチルシロキサン系共重合体を得ることができる。
本発明においては、自己修復性樹脂層が更にイソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤を含有することが好ましい。中でも、自己修復性樹脂層がポリジメチルシロキサン系共重合体を含み、更に、イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有することが好ましい。
なお、ポリジメチルシロキサン系共重合体が上記の活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体である場合は、それ自体が架橋性を有するので、上記の架橋剤(イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤)は必ずしも併用する必要はない。
自己修復性樹脂層が、有機ケイ素化合物としてポリジメチルシロキサン系共重合体を含有する場合は、イソシアネート系架橋剤あるいはメラミン系架橋剤を併せて含有させて、ポリジメチルシロキサン系共重合体を架橋することが好ましい。この場合、ポリジメチルシロキサン系共重合体と上記架橋剤との架橋反応を促進するために、ポリジメチルシロキサン系共重合体は水酸基を有していることが好ましい。
自己修復性樹脂層が、ポリジメチルシロキサン系共重合体とイソシアネート系架橋剤あるいはメラミン系架橋剤とを含有することによって、更に自己修復性樹脂層の紙粉付着性が抑制される。
上記のイソシアネート系架橋剤として、例えば、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体などのポリイソシアネート、上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネートなどが挙げられる。
上記のメラミン系架橋剤としては、アルコキシメチロールメラミンを使用することができる。
[自己修復性樹脂層の形成]
本発明にかかる自己修復性樹脂層は、熱硬化性樹脂層あるいは活性エネルギー線硬化性樹脂層であることが好ましく、特に活性エネルギー線硬化性樹脂層であることが好ましい。
自己修復性樹脂層が熱硬化性樹脂層である場合は、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂および架橋剤を含有する熱硬化性組成物を、ポリカーボネート樹脂フィルム上に塗布し、必要に応じて乾燥した後、加熱することによって得ることができる。乾燥工程の中で加熱してもよい。架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、メラミン系架橋剤、エポキシ系架橋剤等が挙げられる。
熱硬化性組成物は、更に前述した有機ケイ素化合物(特にポリジメチルシロキサン系共重合体)を含有することが好ましい。
自己修復性樹脂層が活性エネルギー線硬化性樹脂層である場合は、例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン樹脂の前駆体(例えば、ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物を、基材フィルム上に塗布し、必要に応じて乾燥した後、活性エネルギー線を照射することによって得ることができる。
従って、本発明では、樹脂層が活性エネルギー線硬化性組成物を硬化せしめた層であり、活性エネルギー線硬化性組成物がポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
ここで、活性エネルギー線としては、紫外線や電子線等が挙げられ、本発明においては特に紫外線が好ましく用いられる。電子線の照射量は、1〜10Mradの範囲が適当である。紫外線の照射量は、50〜1,000mJ/cmの範囲が適当であり、100〜800mJ/cmの範囲が好ましく、200〜600mJ/cmの範囲がより好ましい。
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートは、ポリカーボネートジオール、イソシアネート化合物およびヒドロキシ変性(メタ)アクリレートを反応させることによって製造することができる。
上述および後述において、「・・・(メタ)アクリレート」なる表現は、「・・・アクリレート」と「・・・メタクリレート」の両方の化合物を含む。
ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートの合成に用いられるポリカーボネートジオールおよびイソシアネート化合物は、前述と同様の化合物が用いられる。
また、ヒドロキシ変性(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーを含むことができる。
重合性モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニルアクリレート、酢酸ビニル、スチレン等の単官能の重合性モノマー、
ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート等の2官能の重合性モノマー、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート等の多官能の重合性モノマーが挙げられる。
重合性オリゴマーとしては、不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物には、更に光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメートなどが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートに加えて、前述の光重合開始剤および有機ケイ素化合物(特にポリジメチルシロキサン系共重合体)を含有することが好ましく、更にポリジメチルシロキサン系共重合体の架橋剤(イソシアネート系架橋剤あるいはメラミン系架橋剤を)を含有することが好ましい。また更に、活性エネルギー線硬化性組成物は、前述の重合性モノマーあるいは重合性オリゴマーを含有することが好ましい。
このように本発明では、活性エネルギー線硬化性組成物が、上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートに加えて、特にポリジメチルシロキサン系共重合体を含有することが好ましい。より好ましくは、活性エネルギー線硬化性組成物が、更にイソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有することである。なお、ポリジメチルシロキサン系共重合体が活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体である場合は、それ自体が架橋性を有するので、上記の架橋剤(イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤)は必ずしも含有する必要はない。
[表面被覆用積層フィルム]
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムは、基材フィルムに自己修復性樹脂層が積層されたものである。自己修復性樹脂層は、基材フィルムの片面のみに積層されていてもよいし、両面に積層されていてもよい。しかし、以下に説明するように、樹脂成型品に意匠性付与するという観点から片面のみに積層されていることが好ましい。
本発明の表面被覆用積層フィルムが適用される樹脂成型品は、意匠性(デザインやロゴ等を加飾)が付与されていることが好ましい。かかる意匠性の付与は、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層が積層された面の反対側の基材フィルムの面に加飾印刷を施す方法が好ましく用いられる。加飾印刷は、公知の印刷方法、例えばシルクスクリーン法、グラビア法、インクジェット法等の印刷方法により行うことができる。
加飾印刷が施された表面被覆用積層フィルムは、成型加工時の樹脂成型品との密着性、あるいは樹脂板の溶融押出し成型時のラミネート加工性が悪化すること(溶融押出しされた樹脂板と表面被覆用積層フィルムの加飾印刷面との密着性が低下すること)があるので、加飾印刷の上に更に接着剤あるいは熱溶融樹脂(例えばホットメルト樹脂)を貼り合わせるか、もしくはコーティングしておくことが好ましい。
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムは、前述したように良好な加熱成型性が求められる。この加熱成型性は、基材フィルムが160℃における100%伸長時の応力が40MPa以下であり、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度が40%以上である表面被覆用積層フィルムによって良好となる。
基材フィルムとして、例えば、従来から一般的に知られているポリエチレンテレフタレートフィルム(通常、二軸延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムを指す)は、通常、160度における100%伸長時応力は50MPa以上であり、従って、このポリエチレンテレフタレートフィルムを基材フィルムとした自己修復性フィルム(表面被覆用積層フィルム)は、加熱成型性は不十分であり、樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムとして適用することは難しい。
上記の観点(加熱成型性を向上させるという観点)から、本発明の表面被覆用積層フィルムは、160℃における引張伸度は40%以上が必要であり、好ましくは45%以上であり、更に好ましくは50%以上であり、特に好ましくは55%以上である。
また、本発明にかかる表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層面の傷消失時間は、30分未満が好ましく、3分未満がより好ましく、10秒未満が特に好ましい。上記のように、傷消失時間を短くすることによって耐傷性が向上する。
[表面被覆用積層フィルムの樹脂成型品への適用例]
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムは、樹脂成型品の外表面に被覆されることが好ましい。そのため、このとき、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層が外側となるように被覆されることが好ましい。
本発明にかかる表面被覆用積層フィルムが被覆される(適用される)樹脂成型品としては、特に限定されず、例えば、自動車の内装部材(インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアトリムなど)、携行用収納容器(スーツケースやトランクなど)、電子機器筺体(携帯型パーソナルコンピュータ、モバイル機器、携帯電話、電子手帳など)、家電(テレビ、冷蔵庫、洗濯機など)などの樹脂成型品が挙げられる。
本発明の表面被覆用積層フィルムは、上記した樹脂成型品の中でも、自動車の内装部材や携行用収納容器に好適であり、特に自動車の内装部材に好適である。これらの樹脂成型品は、比較的高温(例えば100℃以上、好ましくは150℃以上)で成型されることから、本発明の表面被覆用積層フィルムは、加熱成型性に優れているので好適に用いられる。
[表面被覆用積層フィルムの自動車内装部材への適用例]
以下、本発明にかかる表面被覆用積層フィルムの自動車内装部材への適用例について、射出成型法を例に挙げて説明する。
射出成型法では、先ず、表面被覆用積層フィルムが射出成型の金型(樹脂成型品の表面形状と同型)に合わせてプレフォームされる。プレフォーム工程は、例えば、表面被覆用積層フィルムを加熱して金型に沿わせて真空吸引することによって行われる。この時の加熱温度は、100〜200℃が一般的であり、比較的複雑な形状(凹凸形状など)にプレフォームする場合は、比較的高温(例えば150℃以上)に加熱されることがある。
次に、プレフォームされた表面被覆用積層フィルムを射出成形機の成型用金型である可動型と固定型の間もしくは可動型の内面に装着配置し、可動型と固定型を型締めした後、金型のキャビティ内に溶融された樹脂を射出する。このとき金型内で成型された樹脂成形品の表面に表面被覆用積層フィルムが一体的に接着され被覆される。冷却固化後に型開きして、表面被覆用積層フィルムが被覆された樹脂成形品を型外に取り出すことによって、表面被覆用積層フィルムを被覆した樹脂成型品が製造される。
図1は、本発明の表面被覆用積層フィルムの一例の模式断面図である。表面被覆用積層フィルム10は、基材フィルム1に自己修復性樹脂層2が積層されたものである。
図2は、プレフォームされた表面被覆用積層フィルムの模式断面図である。
図3は、本発明の表面被覆用積層フィルムが被覆された樹脂成型品(例えば、自動車内装部材)の一例の模式断面図である。射出成型された樹脂成形品20の表面にプレフォームされた表面被覆用積層フィルム11が一体的に接着され被覆される。プレフォームされた表面被覆用積層フィルム11は、自己修復性樹脂層2が樹脂成型品20の外側となるように被覆されている。
[表面被覆用積層フィルムの携行用収納容器への適用例]
以下、本発明にかかる表面被覆用積層フィルムの携行用収納容器(例えばスーツケース)への適用例について、真空成型法を例に挙げて説明する。
図4は、本発明の表面被覆用積層フィルム(図1)が被覆されたスーツケースの一例の概略断面図である。スーツケース30は、収納部31と蓋部32で構成されており(取手やキャスター等の図示は省略)、収納部31および蓋部32の外表面は、表面被覆用積層フィルム10で被覆されている。表面被覆用積層フィルム10は、自己修復性樹脂層2が外側となるように、収納部2および蓋部3の外表面に被覆されている。
真空成型法では、先ず、スーツケースを構成する部材(収納部や蓋部)となる樹脂板が溶融押出し成型される。この溶融押出し成型時に、押出成形機のダイから溶融状態でシート状に押し出された樹脂シートを一対のローラ(冷却ローラ)間を通過させて樹脂板を成型する。このとき、溶融状態の樹脂シートと一緒に表面被覆用積層フィルムを一対のローラ間を通過させることによって、表面被覆用積層フィルムがラミネート(被覆)された樹脂板が製造される。このラミネートでは、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層とは反対側の基材フィルムの面が樹脂板と密着(接着)される。
表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層の面には、予め保護フィルムを貼り合わせておくことが好ましい。
表面被覆用積層フィルムがラミネートされた樹脂板は、スーツケースの構成部材(収納部や蓋部)のサイズに合わせて切断された後、加熱され、加熱された樹脂板を金型の上に載置させ、真空(吸引)もしくは真空圧空して、樹脂板に金型の形状を賦型することによってスーツケースの構成部材(収納部や蓋部)が成型される。表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層表面に貼り合わされた保護フィルムは、少なくとも加熱する前には剥離しておくことが好ましい。
ここで、加熱温度は、成型性を上げるという観点から、150℃以上が好ましく、160℃以上がより好ましく、170℃以上が特に好ましい。上限の温度は200℃程度である。
成型された収納部および蓋部と、他の部材とを組み立てることによってスーツケースが作製される。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。尚、本実施例における測定方法および評価方法を以下に示す。
(1)引張伸度の測定
[1−1]160℃における引張伸度の測定
表面被覆用積層フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長辺125mm×短辺20mmの短形に切り出して、表面被覆用積層フィルムの長手方向が長辺となるように切り出した試験サンプルa、および表面被覆用積層フィルムの幅方向が長辺となるように切り出した試験サンプルbをそれぞれ準備した。
窓付きオーブンの中に、引張試験機((株)オリエンテック製の「テンシロン UCT−100」)を、オーブンの窓から白色LEDライト照射しながら試験サンプルの引っ張り状態が観察できるように設置し、更にオーブンの外から引張試験機を操作できるようにした。
オーブンの温度が160℃に到達したところで、オーブンを開けて引張試験機に試験サンプルを素早くセットし、再度オーブンを昇温して160℃になったのを確認後、試験を開始し、オーブンの窓から目視にて試験サンプルに、外観不良因子(クラック、白化および膜剥がれ)のいずれか1つの因子が発生した時点で延伸を終了し、その時点での延伸長さを読み取り、以下の式1で引張伸度を算出した。引張試験機の引張速度は50mm/min、初期引張チャック間距離は50mmである。測定は、試験サンプルaおよび試験サンプルbについてそれぞれ5回ずつ行い、得られた全ての値を平均した。
Y=((X―A)/A))×100 ・・・式1
(式中、Yは引張伸度[%]、Aは初期チャック間距離(延伸前の長さ)[50mm]、Xは試験サンプルに外観不良因子のいずれか1つの因子が発生した時のチャック間距離(延伸後の長さ)[mm]を表す)。
[1−2]100℃における引張伸度の測定
上記の(1−1)と同様の装置を用いて、オーブンの温度を100℃に設定する以外は、上記の(1−1)と同様にして測定した。
[1−3]23℃における引張伸度の測定
引張試験機を23℃の部屋に設置する以外は、上記(1−1)と同様にして測定した。
(2)基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力の測定
基材フィルムを長手方向および幅方向にそれぞれ長辺150mm×短辺10mmの短形に切り出して、基材フィルムの長手方向が長辺となるように切り出した試験サンプルa、および基材フィルムの幅方向が長辺となるように切り出した試験サンプルbをそれぞれ準備した。
上記の[1−1](160℃における引張伸度の測定)と同様の装置を用いて、引張試験機の引張速度が300mm/min、初期チャック間距離が50mmにて測定した。試験サンプルが100%伸長したとき(チャック間距離が100mmとなったとき)の試験サンプルにかかる荷重を読み取り、試験前の試料の断面積(基材フィルムの厚み×10mm)で除した値を100%伸長時応力とした。測定は、試験サンプルaおよび試験サンプルbについてそれぞれ5回ずつ行い、得られた全ての値を平均した。
(3)自己修復性樹脂層の傷修復機能の判定
表面被覆用積層フィルムを150mm×50mmのサイズに切り出して試験サンプルを作製した。
学振型摩擦堅牢度試験器(テスター産業(株)製の「AB−301」)の移動台に、試験サンプルを樹脂層が上側となるように粘着テープで試験サンプルの両端を固定する。次に、試験サンプル上に真鍮ブラシ(トラスコ中山(株)製)を載せた状態で水平方向に移動しないように固定する。真鍮ブラシには更に500gの荷重を載せる。この状態で、移動台を水平に10回往復させて樹脂層に真鍮ブラシによる傷を付ける。試験条件は以下の通りである。
・移動台の移動速度;300mm/分
・移動台の移動距離;片道120mm
・測定環境;23℃、55%RH。
上記の試験前のヘイズ値(Hz0)、および試験後3分経過する直前のヘイズ値(Hz)、試験後30分経過する直前のヘイズ値(Hz)、試験後24時間経過する直前のヘイズ値(Hz)をそれぞれ測定した。次に、試験前のヘイズ値(Hz0)と、試験後それぞれの時間経過後に測定したそれぞれのヘイズ値との差(ΔHz1、ΔHz2およびΔHz3)を下記式2〜4により求め、以下の基準で判定した。ヘイズ値の単位はいずれも[%]である。
ΔHz1=(Hz)−(Hz0) ・・・式2
ΔHz2=(Hz)−(Hz0) ・・・式3
ΔHz3=(Hz)−(Hz0) ・・・式4。
<傷修復機能の判定>
S;ΔHz1が0.30%未満である(優れた傷修復機能を有する)。
A;ΔHz1が0.30%以上、ΔHz2が0.30%未満である(良好な傷修復機能を有する)。
B;ΔHz2が0.30%以上、ΔHz3が0.30%未満である(傷修復機能を有する)。
C;ΔHz3が0.30%以上である(傷修復機能を有しない)。
<ヘイズ値の測定>
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。測定に際し、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層が設けられている側の表面に光が入射するように配置した。
(4)傷消失時間の測定
表面被覆用積層フィルムを150mm×50mmのサイズに切り出し、裏面(自己修復性樹脂層が積層された面とは反対面)のほぼ全面に黒粘着テープを貼り付けて試験サンプルを作製した。
学振型摩擦堅牢度試験器(テスター産業(株)製の「AB−301」)の移動台に、試験サンプルを自己修復性樹脂層が上側となるように粘着テープで試験サンプルの両端を固定する。次に、試験サンプル上に真鍮ブラシ(トラスコ中山(株)製)を載せた状態で水平方向に移動しないように固定する。真鍮ブラシには更に500gの荷重を載せる。この状態で、移動台を水平に5回往復させて自己修復性樹脂層に真鍮ブラシによる傷を付け、その傷が消失する時間を測定した。傷が消失したかどうかは目視で評価した。測定は下記条件にて5回行い、平均し、以下の基準で評価した。
・移動台の移動速度;300mm/分
・移動台の移動距離;片道120mm
・測定環境;23℃、55%RH
<傷消失時間の評価基準>
S;傷消失時間が10秒未満である。
A;傷消失時間が10秒以上3分未満である。
B;傷消失時間が3分以上30分未満である。
C;傷消失時間が30分以上24時間未満である。
D;24時間以上経過しても傷が消失しない。
(5)紙粉付着性試験
表面被覆用積層フィルムを5cm×5cmのサイズに切り出して試験サンプルを作製した。この試験サンプルの自己修復性樹脂層表面に、同サイズのコピー用紙((株)リコー製のコピー用普通紙「オフィスペーパーNT」)を1枚載せた状態で、2枚のガラス板(10cm×10cm)の間に挟んで固定した(積層順は、ガラス板A/表面被覆用積層フィルム(基材フィルム/自己修復性樹脂層)/コピー用紙/ガラス板B)。次に、ガラス板Bの上に1kgの荷重を載せた状態で150℃のオーブンの中で1分間加熱した。その後、オーブンから取り出し、1kgの荷重を取り外した状態で常温(23℃、55%RH)下にて5分間放置した後、試験サンプルを取り出し、自己修復性樹脂層上のコピー用紙をゆっくり剥離した。
上記の紙粉付着試験前後のヘイズ値を測定し、その差(ΔHz(%))を下記式5により求めた。
ΔHz=(Hz1)−(Hz0) ・・・式5
(式中、Hz0は紙粉付着試験前のヘイズ値、Hz1は紙粉付着試験後のヘイズ値を表す)。
本発明において、ΔHzは0.50%以下が好ましく、0.40%以下がより好ましく、0.30%以下が特に好ましい。
<ヘイズ値の測定>
JIS K 7136(2000)に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−2000」を用いて測定した。測定に際し、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層が設けられている側の表面に光が入射するように配置した。
(6)耐傷性試験(タンブリング試験)
表面被覆用積層フィルムを直径9cmの円形に切り出して試験サンプルを作製した。タンブラー(上面および底面は直径10cmの円形で深さが5cmの円柱状容器)内の底面(円形)に試験サンプルを貼り付けた。このとき、自己修復性樹脂層が設けられている面とは反対の面をタンブラー内の底面に貼り付けた。一方、タンブラーの上面(円形)には、同様の方法で、ブランクを貼り付けた。その後、タンブラー内に十円硬貨と百円硬貨をそれぞれ1枚入れて、タンブラーをしっかり閉じた。このタンブラーを横にして水平方向に下記条件でタンブリングした後、試験サンプルとブランクを取り出して、目視で傷のつき具合を観察し、下記の基準で評価した。
<タンブリング条件>
・移動距離;30cm
・タンブリング回数;120回/分
・タンブリング時間;5分。
<ブランク>
・東レフィルム加工(株)の成型用ハードコートフィルム(タフトップTHS);比較例4で用いられるフィルムと同一のフィルムである。
<評価基準>
A;ブランクより傷付きが明らかに少ない。
B;ブランクより傷付きがやや少ない。
C;ブランクと同程度である。
D;ブランクより傷付きが多い。
(7)自己修復性樹脂層の厚みの測定
表面被覆用積層フィルムの断面を透過型電子顕微鏡(日立製H−7100FA型)で加速電圧100kVにて観察した。試料調整は超薄切片法もしくは凍結超薄切片法を用いた。5〜30万倍の倍率で観察して自己修復性樹脂層の厚みを測定した。
(8)成型性の評価−1
実施例および比較例で作製した表面被覆用積層フィルムを160℃に加熱して、自動車内装部材(インスツルメントパネル)の金型に沿ってプレフォームした。次に、プレフォームされた表面被覆用積層フィルムを射出成形機の成型用金型にセットし、溶融したABS樹脂を金型内に射出して、樹脂成形品の表面に表面被覆用積層フィルムが一体化的に接着された自動車内装部材(インスツメントパネル)を作製した。得られた自動車内装部材(インスツメントパネル)を以下の基準で評価した。
A;外観不良因子(クラック、白化および膜剥がれ)の発生が全くなく、外観的に良好である。
B;極一部に薄いクラックの発生が認められるが、外観的に許容できる。
C;外観不良因子(クラック、白化および膜剥がれ)のいずれか1以上の因子が強く発生しており、外観的に許容できない。
(9)成型性の評価−2
実施例および比較例で作製した表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層表面に保護フィルム(厚み25μm)を貼り付けた。次に、上記の保護フィルム付き表面被覆用積層フィルムを溶融押出し成型法にてABS樹脂板に被覆した。
次に、表面被覆用積層フィルムが被覆されたABS樹脂板の保護フィルムを剥離後、180℃で真空成型してスーツケースの収納部を作製した。得られたそれぞれの収納部を目視観察して、成型性を以下の基準で評価した。
A;外観不良因子(クラック、白化および膜剥がれ)の発生が全くなく、外観的に良好である。
B;極一部に薄いクラックの発生が認められるが、外観的に許容できる。
C;外観不良因子(クラック、白化および膜剥がれ)のいずれか1以上の因子が強く発生しており、外観的に許容できない。
[実施例1]
下記の要領で表面被覆用積層フィルムを作製した。
厚みが200μmのポリカーボネート樹脂フィルム(帝人化成(株)製の「パンライトフィルム」)の一方の面に、下記の活性エネルギー線硬化性組成物(1)を厚み(乾燥硬化後の厚み)が20μmとなるようにスリットダイコータで塗布し、90℃で乾燥後、紫外線(400mJ/cm)を照射し硬化して自己修復性樹脂層を形成した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(1)>
下記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で90質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
<ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)の合成>
トルエン100質量部、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート(協和発酵工業(株)製「LDI」)50質量部およびポリカーボネートジオール((株)ダイセル製「プラクセルCD−210HL」、数平均分子量1,000)119質量部を混合し、40℃にまで昇温して8時間保持した。次に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(共栄社化学(株)製「ライトエステルHOA」)28質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を加えて70℃で30分間保持した後、ジブチル錫ラウレート0.02質量部を加えて80℃で6時間保持した。そして、最後にトルエン97質量部を加えて固形分濃度が50質量%となるように調整した。
[実施例2]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(2)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(2)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で83質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、下記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を固形分換算で5質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)2質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
<ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トルエン50質量部、メチルイソブチルケトン50質量部、ポリジメチルシロキサン系高分子重合開始剤(和光純薬(株)製「VPS−0501」)20質量部、メタクリル酸メチル30質量部、メタクリル酸ブチル26質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート23質量部、メタクリル酸1質量部および1−チオグリセリン0.5質量部を仕込み、80℃で8時間反応させて、固形分濃度が50質量%のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を得た。
[実施例3]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(3)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(3)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で83質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、下記のポリジメチルシロキサン系グラフト6共重合体(b)を固形分換算で5質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)2質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
<ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トルエン50質量部およびメチルイソブチルケトン50質量部を仕込み、80℃まで昇温した。別に、メタクリル酸メチル27質量部、ポリカプロラクトンメタクリルエステル((株)ダイセル製「プラクセルFM−5」)35質量部、片末端メタクリル変性ポリジメチルシロキサン(信越化学工業(株)製「X−22−174DX」)20質量部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート17質量部、メタクリル酸1質量部およびアゾビス−2−メチルブチロニトリル(日本ヒドラジン工業(株)製「ABN−E」 )1質量部を混合し、この混合モノマーを上記トルエンおよびメチルイソブチルケトンの混合液に2時間かけて滴下した。その後6時間反応させて、固形分濃度が50質量%のポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体(b)を得た。
[実施例4]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(4)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(4)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で85質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、下記の活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体(c)を固形分換算で5質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
<活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体(c)の合成>
攪拌機、温度計、コンデンサー及び窒素ガス導入管を備えたフラスコに、トルエン50質量部、メチルイソブチルケトン50質量部およびポリジメチルシロキサンマクロモノマー(チッソ(株)製「FM0721」)20質量部を仕込み、113℃還流下で、メチルメタクリレート30質量部、ブチルメタクリレート30質量部、イソシアネートエチルメタクリレート(昭和電工(株)製「カレンズMOI」)20質量部、および2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル5質量部からなる混合溶液を2時間かけて滴下した。その後、同温度で5時間保持して重合を終了し、固形分濃度が50重量%の共重合体溶液を得た。
次に、上記得られた共重合体溶液200質量部に、トルエン80質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート(東亞合成(株)製「アロニックスM305」)80質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.2質量部を仕込み、70℃まで昇温した。その後、同温度で5時間保持して反応を終了し、固形分濃度が50質量%の活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体(c)を得た。
[実施例5]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(5)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(5)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で69質量部、下記のポリカプロラクトン骨格のウレタンアクリレート(ua1)を固形分換算で18質量部、上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を固形分換算で5質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)2質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
<ポリカプロラクトン骨格のウレタンアクリレート(ua1)の合成>
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)50質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製「プラクセルFA3」)114質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、およびハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を加え、70℃で3時間保持した。その後、トルエン118.2質量部を加えて固形分濃度が50質量%のポリカプロラクトン骨格のウレタンアクリレート(ua1)を得た。
[実施例6]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(6)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(6)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で77質量部、上記のポリカプロラクトン骨格のウレタンアクリレート(ua1)を固形分換算で10質量部、上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を固形分換算で5質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)2質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
[実施例7]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(7)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(7)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で82質量部、上記のポリカプロラクトン骨格のウレタンアクリレート(ua1)を固形分換算で5質量部、上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を固形分換算で5質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)2質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
[実施例8]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(8)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(8)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で87質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を固形分換算で2質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)1質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
[実施例9]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(9)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(9)>
上記のポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレート(pcu1)を固形分換算で78質量部、ジペンタエリストールヘキサアクリレート4質量部、上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を固形分換算で8質量部、イソシアネート系架橋剤(ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体;武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)4質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部、トルエン10質量部を混合して調製した。
[実施例10〜14]
実施例2において、自己修復性樹脂層の厚み(乾燥硬化後の厚み)を、7μm、10μm、30μm、45μmおよび60μmに変更する以外は、実施例2と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
[実施例15]
実施例2において、基材フィルムを厚みが188μmの易成型ポリエステルフィルム(東洋紡(株)製の「ソフトシャイン」)に変更する以外は、実施例2と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
[比較例1]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(10)に変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(10)>
下記のポリカプロラクトン骨格を有するウレタンアクリレート(ua2)を固形分換算で70質量部、上記のポリカプロラクトン骨格のウレタンアクリレート(ua1)を固形分換算で30質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)6質量部を混合して調製した。
<ポリカプロラクトン骨格を有するウレタンアクリレート(ua2)の合成>
トルエン50質量部、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(武田薬品工業(株)製の「タケネートD−170N」)25質量部、(ポリ)カプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート((株)ダイセル製「プラクセルFA10」)162.8質量部、ジブチル錫ラウレート0.02質量部、及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.02質量部を混合し、70℃で5時間保持した。その後、トルエン137.8部を加えて固形分濃度が50質量%のポリカプロラクトン骨格を有するウレタンアクリレート(ua2)を得た。
[比較例2]
厚みが200μmのポリカーボネート樹脂フィルム(帝人化成(株)製の「パンライトフィルム」)の一方の面に、下記の熱硬化性組成物(11)を厚み(乾燥硬化後の厚み)が20μmとなるようにスリットダイコータで塗布し、160℃で1分間、熱風乾燥機で加熱した(加熱工程)。その後、40℃で14日間加熱(エージング)を行って表面被覆用積層フィルムを作製した。
<熱硬化性組成物(11)>
上記のポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体(a)を75質量部、下記のポリシロキサン(d)10質量部、およびポリカプロラクトントリオール((株)ダイセル製「プラクセル308」)15質量部を混合した混合物の100質量部に対し、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(武田薬品工業(株)製「タケネートD−170N」)を25質量部添加し、さらにメチルエチルケトンを用いて希釈し、固形分濃度が40質量%の熱硬化性組成物を調製した。
<ポリシロキサン(d)>
拡販機、温度計、コンデンサおよび窒素ガス導入管を備えたフラスコに、エタノール106質量部、テトラエトキシシラン320質量部、脱イオン水21質量部、および1質量%塩酸1質量部を仕込み、85℃で2時間保持した後、昇温しながらエタノールを回収し、180℃で3時間保持した。その後、冷却し、粘調なポリシロキサン(d)を得た。
[比較例3]
基材フィルムを厚み188μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 “ルミラー”)に変更する以外は、実施例2と同様にして表面被覆用積層フィルムを作製した。
[比較例4]
東レフィルム加工(株)製の成型用ハードコートフィルム「タフトップTHS」を用いた。この成型用ハードコートフィルムは、厚み125μmポリエチレンテレフタレートフィルム上にハードコート層が積層されたものである。
[比較例5]
下記の活性エネルギー線硬化性組成物(12)に変更し、かつ厚みを7μmに変更する以外は、実施例1と同様にして表面被覆用積層フィルム(成型用ハードコートフィルム)を作製した。
<活性エネルギー線硬化性組成物(12)>
ウレタンアクリレート(新中村化学工業(株)製「UA−122P」)50質量部、光重合開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ(株)製「イルガキュア184」)2.5質量部、メチルエチルケトン110質量部を混合して調製した。
[比較例6]
ハードコート層の厚みを15μmに変更する以外は、比較例5と同様にして表面被覆用積層フィルム(成型用ハードコートフィルム)を作製した。
[評価]
上記の実施例および比較例で作製した表面被覆用積層フィルムについて、引張伸度、紙粉付着性、傷消失時間(傷修復性)、耐傷性および成型性を評価した。その結果を表1に示す。
Figure 0006507601
なお、表1において、「PC」はポリカーボネート樹脂フィルム、「易PET」は易成型ポリエステルフィルム、「PET」はポリエチレンテレフタレートフィルムを表す。また、23℃における引張伸度において、「150以上」は、伸度が150%以上の領域で、外観不良因子の発生より前に基材フィルムが破断したことを表す。
本発明の実施例は、いずれも、成型性が良好もしくは許容レベルである。また、本発明の実施例は、いずれも優れた傷修復機能を有している。
また、本発明の実施例は、いずれも耐傷性がブランク(東レフィルム(株)製の成型用ハードコートフィルム「タフトップTHS」)に比べて良好である。
実施例2〜9は、自己修復性樹脂層が有機ケイ素化合物(ポリジメチルシロキサン系共重合体)を含有しており、有機ケイ素化合物を含有しない実施例1に比べて紙粉付着性が良化している。
実施例10は、自己修復性樹脂層の厚みが8μm未満と比較的薄膜であるので、実施例11〜13(自己修復性樹脂層の厚みが10〜45μm)に比べて傷消失時間が長くなっており、耐傷性も低下している。また、実施例14は、自己修復性樹脂層の厚みが50μm超と比較的大きくなっているので、実施例11〜13(自己修復性樹脂層の厚みが10〜45μm)に比べて160℃における引張伸度が低下し、加熱加工性も低下している。
実施例15は、基材フィルムとして易成型ポリエステル樹脂フィルムを用いているが、160℃における100伸長時の応力が、実施例2のポリカーボネート樹脂フィルムに比べて高めであり、その分、160℃における引張伸度が低くなっており、成型評価2が低下している。
一方、比較例1〜3は、基材フィルム上に自己修復性樹脂層が積層されているので、傷修復機能は優れているが、成型性が低下している。
また、本発明の実施例および比較例1〜3から、自己修復性樹脂層からなる表面被覆用積層フィルムは、常温(23℃)あるいは100℃程度の温度における引張伸度は、比較的高い数値(40%以上)を示しているが、160℃の高温になると引張伸度は、大きく低下することが分かる。このような中にあって、本発明の表面被覆用積層フィルムは、160℃における引張伸度を40%以上に維持することができ、その結果、良好な成型性が得られる。
一方、比較例4の成型用ハードコートフィルムは、ハードコート性を付与するために、ハードコート層は比較的硬く設計されており、常温(23℃)、100℃および160℃における引張伸度はあまり差がなく、いずれも低い数値(40%未満)を示しており、加熱成型性が不十分である。
比較例5の成型用ハードコートフィルムは、成型性を優先させるためにハードコート層の硬度が比較的柔らかく設計されており、常温、100℃および160℃における引張伸度は、自己修復性樹脂層と同様な挙動を示す。しかし、このハードコート層は傷修復機能を有しないので、耐傷性が劣る。
比較例6は、比較例5におけるハードコート層の厚みを7μmから15μmに変更した成型用ハードコートフィルムであるが、ハードコート層の厚みが大きくなると(8μm以上あるいは10μm以上と大きくなると)、成型性が低下する。
1 基材フィルム
2 自己修復性樹脂層
10 表面被覆用積層フィルム
11 プレフォームされた表面被覆用積層フィルム
20 樹脂成型品(例えば、自動車内装部材)
30 スーツケース
31 スーツケースの収納部
32 スーツケースの蓋部

Claims (3)

  1. 基材フィルム上に自己修復性樹脂層を有する樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムであって、基材フィルムの160℃における100%伸長時の応力が40MPa以下であり、表面被覆用積層フィルムの160℃における引張伸度が40%以上であり、自己修復性樹脂層が下記の活性エネルギー線硬化性組成物(I)または(II)を硬化せしめた層であることを特徴とする、樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム。
    <活性エネルギー線硬化性組成物(I)>
    ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有し、ポリジメチルシロキサン系共重合体を更に含有し、更に、イソシアネート系架橋剤またはメラミン系架橋剤の少なくとも一方を含有する
    <活性エネルギー線硬化性組成物(II)>
    ポリカーボネート骨格を有するウレタン(メタ)アクリレートを含有し、更に活性エネルギー線硬化性ポリジメチルシロキサン系共重合体を含有する
  2. 自己修復性樹脂層の厚みが8μm以上50μm以下である、請求項1に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルム
  3. 請求項1または2に記載の樹脂成型品の表面被覆用積層フィルムが、樹脂成型品の外表面に、表面被覆用積層フィルムの自己修復性樹脂層が外側となるように被覆されてなる、樹脂成型品。
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