本発明の成形シートは、ポリカプロラクトン構造を有する化合物を構成成分として含有する組成物を硬化させて得られる樹脂層を耐擦傷層として有する。
図1に示す様に、本発明の成形シート1は、基材3の片側の面に耐擦傷層5が設けられた積層構造を有するものである。
また、基材3と耐擦傷層5との間に、基材3と耐擦傷層5との密着性を増進するアンカーコート層を設けても良い。密着性を増進するものであれば、特に限定されるものではないが、比較的低分子のイソプレン、ポリスチレンなどのタキファイヤ類、ウレタン、イソシアネートなどを用いることができる。
基材3は、物理的、機械的、化学的強度、成形性が要求され、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、もしくはポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂類、ポリ塩化ビニル(PVC)もしくはポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリアリレート、アクリル樹脂系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、含フッ素系ポリマー、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66等)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルスルフォン、もしくはポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂からなる未延伸フィルムを挙げることができ、あるいは、一軸ないし二軸に延伸した延伸フィルムを挙げることができ、また、これらのフィルムは単層あるいは二層以上の複数フィルムであってもよい。
屋外で使用する用途にはアクリル樹脂系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、含フッ素系ポリマー、PVC系ポリマーのフィルムが好ましい。さらに、屋外で使用する用途に特に好ましいものとしては、ポリメチルメタアクリレート等のアクリル樹脂にアクリルゴムなどを配合したもの、メチルメタアクリレートなどのガラス転移温度の高いポリマーを形成するモノマーとメチルアクリレートのようなガラス転移温度の低いポリマーを与えるモノマーとの共重合体、脂肪族ジイソシアネートとグリコールを主体としたポリオールとの反応により得られる分岐の少ない、本質的に線状のポリウレタン樹脂、(メタ)アクリルモノマーとフッ化ビニリデンなどの含フッ素重合性モノマーとの共重合体、軟質PVC等が挙げられ、これらの樹脂は単独、又は必要に応じて相互に混練したりアロイ化して使用することができる。
これらはフィルムとして用いられるが、これらのフィルム中には通常樹脂のフィルム化に使用する各種の添加剤を使用することができる。
基材3は、着色して用いることができるが、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷等により印刷して用いることもできる。
基材3の厚みは、後加工適性やコスト等を考慮するならば、10〜200μm程度の範囲であることが好ましい。厚みが10μm未満であると、基材3が柔軟過ぎて、加工する際の張力により伸張やシワが発生しやすく、また、厚みが200μmを超えると、フィルムの可撓性が減少し、各工程での連続巻き取りが困難になる上、基材3どうしを複数枚、積層する際の加工性が大幅に劣るといった問題も生じるからである。
また、必要により基材3の表面にコロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理などの表面処理により基材3の表面濡れ性を上げておくこともできる。
本発明の耐擦傷層5の厚みは、特に限定するものではないが、3〜30μであることが好ましい。3μmより薄いと耐擦傷性が不十分となり、30μmより厚くても耐擦傷性は変わらないので材料の無駄となる
本発明の耐擦傷層5は、自己修復性を有し、少なくともポリカプロラクトン構造を有する化合物を構成成分として含有する組成物を硬化させることにより得られる。
本発明の耐擦傷層を形成するための、ポリカプロラクトン構造を有する化合物を含有する組成物としては、(1)紫外線、電子線等の放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレートを主成分として含有する放射線硬化型組成物、(2)ポリジメチルシロキサン系共重合体、ポリカプロラクトン及びポリシロキサンを含有する組成物、が使用できる。本発明の耐擦傷層は、熱硬化型樹脂でも、紫外線や電子線等の放射線硬化型樹脂でもよいが、生産効率の観点から放射線硬化型組成物を硬化させることが好ましい。
前記(1)放射線硬化型組成物について詳細に説明する。本発明の放射線硬化型組成物は、例えば、(i)1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)とを反応させることによって合成される放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C1)が主成分として含有されている組成物、(ii)ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上の放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C1)が主成分として含有されている組成物、(iii)放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C1)及び、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)とを反応させることによって合成される放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C2)が主成分として含有されている組成物、(iv)1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とカプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)とを反応させることによって合成される放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C3)が主成分として含有されている組成物、および(v)1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)とを反応させることによって合成される放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C4)が主成分として含有されている組成物が有効に使用可能である。
また、前記各放射線硬化型組成物(i)〜(v)は、更に前記ウレタン(メタ)アクリレート(C)と共重合可能な放射線硬化性官能基を有する化合物(E)及び/又は放射線硬化性シリコーングラフトもしくはブロック共重合体(F)を含有させることも好ましい。
前記放射線硬化型組成物(i)について具体的に説明する。
放射線硬化型組成物(i)は、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)とを反応させることによって合成される放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C1)が主成分として含有されている。
本発明の有機イソシアネート(A)は、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機化合物であるが、有機イソシアネート1分子中に含まれるイソシアネート基の数は3個以上であることが好ましい。
1分子中にイソシアネート基を2個有する有機イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチル−2,6−ジイソシアネートヘキサノエート、ノルボルナンジイソシアネートなどのジイソシアネートモノマーが挙げられる。
1分子中に3個以上のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとしては、ジイソシアネートモノマーをイソシアヌレート変性させた下記一般式(1)で表される化合物、ジイソシアネートモノマーをアダクト変性させた下記一般式(2)で表される化合物、ジイソシアネートモノマーをビウレット変性させた下記一般式(3)で表される化合物、2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート、トリアミノノナントリイソシアネートなどのイソシアネートプレポリマーが挙げられる。イソシアヌレート環を有する有機イソシアネートが特に好ましく、これにより、耐熱特性が向上し、耐熱保存時にも光透過性が維持できる。
本発明のポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)は、下記一般式(4)で表される化合物であり、放射線硬化性官能基(CH2=)を有している。このポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、特に好ましくは、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。
ウレタン(メタ)アクリレート(C1)を主成分とする放射線硬化型組成物とすることで、ウレタン(メタ)アクリレートの性質に基づいて比較的軟質な特性を発現することができる。
前記放射線硬化型組成物(ii)について説明する。但し、放射線硬化型組成物(i)と異なる点でのみ説明する。
放射線硬化型組成物(ii)は、ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上の放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C1)が主成分として含有されている。
前記放射線硬化型組成物に含有されるウレタン(メタ)アクリレート間におけるポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数の平均は、1〜3.5の範囲が好ましい。また同繰り返し数の差は、上限については9以下が好ましく、下限については4以上が好ましい。
なお、前記放射線硬化型組成物に含有される各ウレタン(メタ)アクリレートは、前記放射線硬化型組成物(i)の場合と同様、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)とを反応させることによって合成される。
(ii)によれば表面の自己修復機能に基づく耐擦傷性を向上させることができる。
前記放射線硬化型組成物(iii)について説明する。但し、放射線硬化型組成物(i)と異なる点でのみ説明する。
放射線硬化型組成物(iii)は、放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C1)及び、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート(A)とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)とを反応させることによって合成される放射線硬化性のウレタン(メタ)アクリレート(C2)が主成分として含有されている。
ここで、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、カプロラクトン単位の繰り返し数がゼロの(メタ)アクリレートモノマーと見なすことができる。
そうしたとき、上記2種類のウレタン(メタ)アクリレート間における(メタ)アクリレートモノマー残基当たりのカプロラクトン単位の繰り返し数の平均は、1〜3.5の範囲が好ましい。また同繰り返し数の差は、上限については9以下が好ましく、下限については4以上が好ましい。
なお、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)は、下記一般式(5)で表される化合物であり、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
以上説明した(iii)によれば、表面の自己修復機能に基づく耐擦傷性を向上させることができる。
前記放射線硬化型組成物(iv)について説明する。但し、放射線硬化型組成物(i)と異なる点でのみ説明する。
放射線硬化型組成物(iv)には、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上のポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)と有機イソシアネート(A)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(C3)が主成分として含有されている。
カプロラクトン単位の繰り返し数が異なるポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート間における前記繰り返し数の平均は、1〜3.5の範囲が好ましい。また同繰り返し数の差は、上限については9以下が好ましく、下限については4以上が好ましい。
以上説明した放射線硬化型組成物(iv)によれば、表面の自己修復機能に基づく耐擦傷性を向上させることができる。
前記放射線硬化型組成物(v)について説明する。但し、放射線硬化型組成物(i、iii)と異なる点でのみ説明する。
硬化型組成物(v)には、ポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)及びヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)と有機イソシアネート(A)とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(C4)が主成分として含有されている。
ここで、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、カプロラクトン単位の繰り返し数がゼロの(メタ)アクリレートモノマーと見なせば、前記放射線硬化型組成物には、カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる2種以上の(メタ)アクリレートモノマーと有機イソシアネートとを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートが主成分として含有されていると見なすことができる。
カプロラクトン単位の繰り返し数が異なる(メタ)アクリレートモノマー間における前記繰り返し数の平均は、1〜3.5の範囲が好ましい。また同繰り返し数の差は、上限については9以下が好ましく、下限については4以上が好ましい。
以上説明した(v)によれば、表面の自己修復機能に基づく耐擦傷性を向上させることができる。
前記(i)〜(v)の放射線硬化型組成物に、放射線硬化性官能基含有化合物(E)及び/又は放射線硬化性シリコーングラフトもしくはブロック共重合体(F)を加えてもよい。
放射線硬化性官能基含有化合物(E)の例としては、ウレタン(メタ)アクリレート(C)と共重合可能な放射線硬化性官能基を有する化合物であり、代表例として、(メタ)アクリロイル基を有する単官能性又は多官能性のモノマー又はオリゴマーが挙げられる。具体的には、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、N―ビニルピロリドン、アクリロイルモルホリン、イソボルニル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、スチレンなどの単官能性のモノマー;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの二官能性のモノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの3モルプロピレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンの6モルエチレンオキサイド付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレートなどの多官能性のモノマー;不飽和ポリエステル、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートなどのオリゴマーが挙げられる。
放射線硬化性官能基含有化合物(E)を加えることにより、放射線硬化型組成物を低粘度化、ハイブリット化することができると共に、樹脂層の基材に対する密着性及び耐溶剤性を向上させることができる。
本発明における放射線硬化性シリコーングラフト又はブロック共重合体(F)は、ポリジメチルシロキサン部分(グラフト又はブロック)と、放射線硬化性ウレタン(メタ)アクリレート(C)(上記イソシアネートプレポリマー化合物(A)及びポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(B)を反応させて得られる)と共重合可能な放射線硬化性官能基とを有する化合物であり、グラフト共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。放射線硬化性シリコーングラフトもしくはブロック共重合体(F)により、シリコーン成分を架橋構造中に導入することにより、耐衝撃層の自己修復性がより優れる。
この放射線硬化性シリコーングラフト又はブロック共重合体(F)は、グラフトタイプの反応性シリコーン(f1-1 )又はブロックタイプの反応性シリコーン(f1-2 )と、グリシジル基、イソシアネート基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を有するビニル単量体(f2-1,2-2,2-3,2-4 )と、さらに必要に応じて、上記反応性シリコーン(f1-1 及び/又はf1-2 )と共重合可能なその他のビニル単量体(f3)とを共重合するとともに、上記ビニル単量体(f2-1,2-2,2-3,2-4
)の官能基と反応可能であって、放射線硬化性官能基を有する化合物(f4-1,4-2,4-3,4-4 )を付加することにより得られる。
グラフトタイプの反応性シリコーン(f1-1 )としては、例えば、下記式(6)で示される化合物等の、一方の末端に不飽和二重結合を有するものが挙げられる。
また、ブロックタイプの反応性シリコーン(f1-2
)としては、例えば、下記式(7)で示される化合物等が挙げられる。
グリシジル基を有するビニル単量体(f2-1 )としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられ、イソシアネート基を有するビニル単量体(f2-2 )としては、例えば、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート、ビニルイソシアネート等が挙げられ、水酸基を有するビニル単量体(f2-3 )としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート等が挙げられ、カルボキシル基を有するビニル単量体(f2-4 )としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
上記反応性シリコーン(f1-1 及び/又はf1-2 )と共重合可能なその他のビニル単量体(f3)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート等の脂肪族又は環式アクリレート又はメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単量体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン含有単量体、エチレン、プロピレン等のオレフィン類、イソプレン、クロロプレン、ブタジエン等のジエン類などがある。これらのビニル単量体(f3)は、上記ビニル単量体(f2-1,2-2,2-3,2-4 )の官能基と反応性を有しないものである。
また、グリシジル基と反応可能であって、放射線硬化性官能基を有する化合物(f4-1 )としては、カルボキシル基を有するアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸等が挙げられ、イソシアネート基と反応可能であって、放射線硬化性官能基を有する化合物(f4-2 )としては、水酸基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコール型、ブトキシヒドロキシアクリレート、フェノキシヒドロキシプロピルアクリレート等のエポキシ型、あるいはジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する化合物などが挙げられ、水酸基と反応可能であって、放射線硬化性官能基を有する化合物(f4-3 )としては、2−イソシアネートエチル(メタ)アクリレート、メタクリロイルイソシアネート、ビニルイソシアネート等が挙げられ、カルボキシル基と反応可能であって、放射線硬化性官能基を有する化合物(f4-4 )としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル等が挙げられる。なお、以上の例示は本発明を限定するものではない。
前記各放射線硬化型組成物に光開始剤(G)を加えてもよい。これにより、硬化速度が速まるなど放射線硬化型組成物の硬化特性を向上させることができる。
本発明の光開始剤(G)としては、例えば、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、アセトフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、エチルアントラキノン、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、チバガイギー株式会社製のイルガキュア184)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製のダロキュア1173)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、チバガイギー株式会社製のイルガキュア651)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、メチルベンジルホルメートなどがある。
前記活性放射線硬化型組成物に帯電防止剤を加えてもよい。このようにすれば、耐擦傷層に帯電防止効果を付与することができる。
帯電防止剤の例としては、アルキルホスフェートなどのアニオン系帯電防止剤、第4級アンモニウム塩などのカチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン系帯電防止剤、リチウム・ナトリウム・カリウムなどのアルカリ金属塩を使用した帯電防止剤などが挙げられる。その中でもリチウム塩を使用した帯電防止剤が好ましい。
前記放射線硬化型組成物に溶剤、レベリング剤、紫外線吸収剤などを加えてもよい。溶剤の例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶剤などが挙げられる。
レベリング剤の例としては、アクリル共重合体やシリコーン系、フッ素系のレベリング剤が挙げられる。紫外線吸収剤の具体例としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シュウ酸アニリド系、トリアジン系及びヒンダードアミン系の紫外線吸収剤が挙げられる。
有機イソシアネート(A)をポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)やヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)と反応させてウレタン(メタ)アクリレート(C)を合成する反応は、溶剤中で行なってもよい。溶剤の例としては、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチルなどのエステル系溶剤が挙げられる。また、上記反応は、無溶剤系で行うこともできるし、放射線硬化性官能基を有する化合物、例えばスチレン、イソボルニルアクリレート、アクリロイルモルホリン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート等の中で行うこともできる。
前記有機イソシアネート(A)とポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレート(B)やヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート(D)とを反応させるにあたっての反応温度は常温〜100℃が好ましく、反応時間は1〜10時間が好ましい。
有機イソシアネートをポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートやヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成する際に、その反応系に触媒や重合禁止剤を加えてもよい。触媒の例としては、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジエチルヘキソエート、ジブチル錫サルファイトなどが挙げられる。一方、重合禁止剤の例としては、ハイドロキノンモノメチルエーテルなどが挙げられる。
有機イソシアネートをポリカプロラクトン変性アルキル(メタ)アクリレートやヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと反応させてウレタン(メタ)アクリレートを合成する際に、その反応系に長鎖アルキルアルコールを加えて該長鎖アルキルアルコールを有機イソシアネートと反応させるようにしてもよい。こうして得られるウレタン(メタ)アクリレートを含有する放射線線硬化型組成物から樹脂層を形成すれば、表面滑性の向上によって耐擦傷性を向上させることができる。
前記放射線硬化型組成物に、長鎖アルキル基含有化合物、シリコーン系化合物及びフッ素系化合物のいずれかを加えてもよい。これにより、表面滑性の向上、自己修復性を向上させることができる。
なお、前記長鎖アルキル基含有化合物としては、ポリエーテル変性された長鎖アルキルアルコールが好ましい。ポリエーテル変性された長鎖アルキルアルコールを使用すれば、帯電防止効果を付与することができる。ポリエーテル変性された長鎖アルキルアルコールの例としては、ポリエーテル変性セチルアルコール、ポリエーテル変性ステアリルアルコールなどが挙げられる。
また、前記長鎖アルキル基含有化合物のアルキル基の炭素数は13〜25であることが好ましい。このアルキル基の炭素数を上記範囲内に設定すれば、自己修復機能に基づく耐擦傷性を向上させることができる。アルキル基の炭素数が13〜25である長鎖アルキル基含有化合物の具体例としては、トリデカノール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ポリオキシエチレンセチルアルコール、ポリオキシエチレンステアリルアルコール、グリセロールモノステアレートなどの長鎖アルキルアルコール;トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの放射線硬化性化合物が挙げられる。これらのうち放射線硬化性化合物は、放射線硬化性官能基を有している。
シリコーン系化合物の具体例としては、ポリジメチルシロキサン、アルキル変性ポリジメチルシロキサン、カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、アミノ変性ポリジメチルシロキサン、エポキシ変性ポリジメチルシロキサン、フッ素変性ポリジメチルシロキサン、(メタ)アクリレート変性ポリジメチルシロキサン(例えば東亞合成株式会社製GUV−235)などが挙げられる。
フッ素系化合物の具体例としては、フルオロアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキル第四級アンモニウム塩、フルオロアルキルエチレンオキシド付加物などのフルオロアルキル基を有する化合物;ペルフルオロアルキルカルボン酸塩、ペルフルオロアルキル第四級アンモニウム塩、ペルフルオロアルキルエチレンオキシド付加物などのペルフルオロアルキル基を有する化合物;フルオロカーボン基を有する化合物;テトラフルオロエチレン重合体;フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンの共重合体;フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸エステル;含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体;含フッ素(メタ)アクリル酸エステルと他モノマーの共重合体が挙げられる。
フッ素系化合物に関してさらに補足すると、含フッ素(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては以下に列挙するものが挙げられる。すなわち、3−ペルフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロヘキシル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロオクチル−2−((メタ)アクリロイルオキシ)プロピル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロヘキシル−(1−ヒドロキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロヘキシル−1−((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロオクチル−(1−ヒドロキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロオクチル−1−((メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2−((メタ)アクリロイルオキシメチル)−2−(ヒドロキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロブチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロヘキシル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロオクチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロシクロペンチルメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロシクロヘキシルメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、3−ペルフルオロシクロヘプチルメチル−2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロブチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロヘキシル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロオクチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロシクロペンチルメチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、ペルフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ペルフルオロシクロヘキシルメチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、2−ペルフルオロシクロヘプチルメチル−(1−(メタ)アクリロイルオキシメチル)エチル=2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)プロピオナート、(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−トリデカフルオロオクチル、(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル、(メタ)アクリル酸−2−トリフルオロメチル−3,3,3−トリフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−3−トリフルオロメチル−4,4,4−トリフルオロブチル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、(メタ)アクリル酸−1−メチル−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチル、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,2−トリフルオロエチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロブチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,5−ノナフルオロペンチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6−ウンデカフルオロヘキシルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7−トリデカフルオロヘプチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8−ペンタデカフルオロオクチルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ノナデカフルオロデシルエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3−テトラフルオロブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4−ヘキサフルオロペンタジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−デカフルオロヘプタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロオクタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−テトラデカフルオロノナンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9−ヘキサデカフルオロデカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−オクタデカフルオロウンデカンジオール、ジ(メタ)アクリル酸−2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11−エイコサフルオロドデカンジオール等である。
本発明の放射線硬化型組成物を硬化させるには、紫外線又は電子線を照射する。紫外線を照射する場合の照射条件としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ等を用いることが好ましく、積算光量が100〜5000mJ/cm2の紫外線を照射することが好ましい。また、電子線を照射する場合の照射条件としては、加速電圧150〜250keVで1〜20Mradの電子線を照射することが好ましい。
上記放射線硬化型樹脂組成物の配合割合は、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート(C1)、放射線硬化性官能基を有する化合物(E)、放射線硬化性シリコーングラフト若しくはブロック共重合体(F)及び光開始剤(G)の配合割合では、固形分比(重量)で20〜99:0〜40:0〜40:0.5〜10であるのが好ましく、特に30〜90:5〜35:5〜35:1〜5であるのが好ましい。
前記(2)ポリジメチルシロキサン系共重合体、ポリカプロラクトン及びポリシロキサンを含有する組成物について説明する。ポリカプロラクトン及びポリシロキサンは、各々ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入されていてもよいし、個別に存在していてもよい。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体は、ポリジメチルシロキサン部分と、ビニルモノマーの重合体鎖部分とを有する共重合体であり、ブロック共重合体であってもよいし、グラフト共重合体であってもよい。
ポリジメチルシロキサン系ブロック共重合体の合成は、リビング重合法、高分子開始剤法又は高分子連鎖移動法等によって行うことができるが、工業的には、高分子開始剤法又は高分子連鎖移動法によって行うのが好ましい。
高分子開始剤法では、例えば、
のごとき高分子アゾ系ラジカル重合開始剤を使用してビニルモノマーと共重合させることにより、効率よくブロック共重合体を合成することができる。また、ペルオキシモノマーと不飽和基を有するポリジメチルシロキサンとを低温で共重合させて、過酸化物基を側鎖に導入したプレポリマーを合成し、該プレポリマーをビニルモノマーと共重合させる二段階の重合を行うこともできる。
高分子連鎖移動法では、例えば、
のごときシリコーンオイルに、HS−CH
2COOHや、HS−CH
2CH
2COOH等を付加してSH基を有するシリコーン化合物とした後、該SH基の連鎖移動を利用して該シリコーン化合物とビニルモノマーとを共重合させることにより、ブロック共重合体を合成することができる。
一方、ポリジメチルシロキサン系グラフト共重合体については、例えば、
のごときポリジメチルシロキサンのメタクリルエステル等とビニルモノマーとを共重合させることにより、容易にかつ収率良くグラフト共重合体を合成することができる。
ポリジメチルシロキサンとの共重合体に用いられるビニルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、オクチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。また、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール等のOH基を有するビニルモノマーを用いることもできるし、カージュラEとアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等との反応物を用いることもできる。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。
前記組成物(2)におけるポリカプロラクトンとしては、例えば、
のごとき2官能ポリカプロラクトンジオール類や、
のごとき3官能ポリカプロラクトントリオール類、その他4官能ポリカプロラクトンポリオール等を使用することができる。該ポリカプロラクトンをポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入する場合には、ラクトン変成ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート類を使用するのが好ましく、例えば、
の構造式で示されるラジカル重合性ポリカプロラクトンが挙げられる。
本発明におけるポリシロキサンとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトキエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するシラン化合物の部分加水分解物や、有機溶媒中に無水ケイ酸の微粒子を安定に分散させたオルガノシリカゾル、または該オルガノシリカゾルにラジカル重合性を有する上記シラン化合物を付加させたもの等を使用することができる。なお、上記例示は本発明を限定するものではない。該ポリシロキサンは、得られる組成物に耐熱性、耐汚染性等を付与し、塗膜の表面硬度を向上させるのに重要な役割を果たす。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体は、通常溶液重合によって製造される。この溶液重合では、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール等のアルコール系溶剤などが単独又は混合溶剤として用いられ、所望により、ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性の重合開始剤が用いられる。上記溶液重合の反応温度は、50〜150 ℃であるのが好ましく、反応時間は、3〜12時間であるのが好ましい。
なお、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格中にポリカプロラクトン及び/又はポリシロキサンを導入する場合には、該ポリジメチルシロキサン系共重合体を重合する際に該ポリカプロラクトン及び/又はポリシロキサンを添加して共重合すればよい。
本発明におけるポリジメチルシロキサン系共重合体(ポリカプロラクトン及び/又はポリシロキサンが骨格中に導入されたものを含む。)中のポリジメチルシロキサン部分の量は、1〜30重量%であるのが好ましく、特に1〜20重量%であるのが好ましい。このポリジメチルシロキサン部分は、塗膜表面に潤滑性を与え、摩擦係数を低くすることにより、耐擦傷性を付与する働きを有するが、該ポリジメチルシロキサン部分の量が1重量%未満ではかかる効果が十分に発揮されず、一方、該ポリジメチルシロキサン部分の量が30重量%を超えると、塗膜の耐汚染性が低下する。該ポリジメチルシロキサン部分の分子量は、1000〜30000程度であるのが好ましく、効果的に塗膜表面に配向し、潤滑性を与える分子量としては、特に5000〜20000程度であるのが好ましい。
本発明におけるポリカプロラクトンは、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入される場合であっても、組成物内で個別に存在する場合(この場合、塗料製造時に外部添加する)であっても、樹脂固形分中5〜50重量%であるのが好ましい。このポリカプロラクトンは、樹脂塗膜に対して高い反撥弾性と良好な密着性を付与し、擦過力が及ぼされると、該擦過力をエネルギー弾性変形により吸収する働きを有するが、該ポリカプロラクトンの量が5重量%未満では、塗膜の耐擦傷性及び耐チッピング性が低下し、一方、該ポリカプロラクトンの量が50重量%を超えると、樹脂塗膜の耐汚染性が低下する。
本発明におけるポリシロキサンは、ポリジメチルシロキサン系共重合体の骨格に導入される場合であっても、組成物内で個別に存在する場合(この場合、塗料製造時に外部添加する)であっても、樹脂固形分中1〜20重量%であるのが好ましい。このポリシロキサンは、樹脂塗膜に対して耐汚染性、耐候性、耐熱性を付与するとともに塗膜の表面硬度を向上させる働きを有するが、該ポリシロキサンの量が1重量%未満ではかかる効果が十分に発揮されず、一方、該ポリシロキサンの量が20重量%を超えると、樹脂塗膜の耐擦傷性が低下する。
本発明の樹脂組成物(2)を硬化させるには、上記ポリジメチルシロキサン系共重合体(ポリカプロラクトン及び/又はポリシロキサンが骨格中に導入されたものを含む。)をウレタン架橋及び/又はメラミン架橋するのが好ましい。該ポリジメチルシロキサン系共重合体をウレタン架橋するには、OH基を有する該ポリジメチルシロキサン系共重合体に対して、メチレンビス−4−シクロヘキシルイソシアネート、トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体等のポリイソシアネート、あるいは上記ポリイソシアネートのブロック型イソシアネート等のウレタン架橋剤を使用することができる。一方、該ポリジメチルシロキサン系共重合体をメラミン架橋するには、アルコキシメチロールメラミン等のメラミン架橋剤を使用することができる。
本発明の耐擦傷層5は、染料等を用いて着色を行うこと、輝度が高い金属粉の添加により光沢を与えることや、樹脂粒子を添加することによりつや消しを行うことができる。
本発明の耐擦傷層5は、基材3に、前記硬化性組成物から選択した組成物を必要に応じて溶剤に溶解して粘度調整した塗工液を、塗工・硬化して形成する。塗工は、通常のマイヤーバーコーティング、ドクターブレードコーティング、グラビアコーティング、グラビアリバースコーティング、キスリバースコーティング、3本ロールリバースコーティング、スリットリバースダイコーティング、ダイコーティング、もしくはコンマコーティング等の各種コーティングの方式で、1〜60g/m2、好ましくは3〜15g/m2(固形分換算、以下同様に記載する)塗布・溶剤を乾燥する。
本発明の成形シートは種々の成形方法において、使用可能である。成形方法は特に限定するものではないが、例えば、真空成形、圧空成形、射出成形、熱成形、プレス成形等、又はこれらを組み合わせた成形方法において、好適に使用できる。
熱成形と組み合わせた真空成形、圧空成形が特に好ましい。
(実施例)
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、これらの記載により本発明を制限するものではない。
(合成例1)
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(武田薬品工業株式会社製タケネートD−170N、イソシアネート含有量:21%)50部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFA2)90部、及びジブチル錫ラウレート0.02部を混合した。それから室温で30分間保持し、さらに70℃にまで昇温して同温度で5時間保持しカプロラクトン変性ウレタンアクリル樹脂を得た。
(合成例2)
2−イソシアネートエチル−2,6−ジイソシアネートカプロエート(協和発酵工業株式会社製LTI、イソシアネート含有量:47%)50部、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFA2)202部、及びジブチル錫ラウレート0.02部を混合した。それから、室温で30分間保持し、さらに70℃にまで昇温して同温度で5時間保持しカプロラクトン変性ウレタンアクリル樹脂を得た。
(合成例3)
ポリエーテル変性ステアリルアルコール(日本油脂株式会社製ノニオンS−2)5部及びヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性タイプ(武田薬品工業株式会社製タケネートD−170N)50部を混合し、70℃にまで昇温して同温度で30分間保持した。続いて、ジブチル錫ラウレート0.02部を加えて70℃で3時間さらに保持した後、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート(ダイセル化学工業株式会社製プラクセルFA2)85.7部及びジブチル錫ラウレート0.02部をさらに加え、70℃で5時間保持してカプロラクトン変性ウレタンアクリル樹脂を得た。