JP5929252B2 - 自己修復層を備えた積層体およびその製造方法 - Google Patents

自己修復層を備えた積層体およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、積層体に関し、特に、基材層と自己修復層を備えた積層体であって、自己修復層は加熱により傷を自己修復する積層体に関する。
傷が入っても自己修復が可能な自己修復層を塗工した積層体の開発は、従来から行われている。例えば、ポリウレタン系材料を用いて、形状記憶の機能を持たせることで、擦過傷や圧力によるへこみ傷を自然に修復させることを特徴とする積層体がある(例えば、特許文献1参照)。また、マイクロカプセル内に傷を修復させる成分を内包させ、傷が入った時にカプセル内から修復成分を放出させることで傷を自然に修復させることを特徴とする積層体がある(例えば、特許文献2参照)。
特開2002−256053号公報(段落0028、0142) 特開1995−40491号公報(段落0028、図3)
しかし、形状記憶の機能を持つ自己修復層が塗工された積層体は、深い傷に対する修復能力がない。また、マイクロカプセル内から修復成分を放出させる自己修復層が塗工された積層体は、修復成分を一度放出させてしまうと、繰り返して修復能力を発現させることができない。
そこで本発明は、深い傷に対しても修復能力を有し、さらに繰り返し修復能力を発現する自己修復層が塗工された積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、活性エネルギー線硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合させて生成した塗布液を、基材層上に塗布し、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させて塗膜を生成すると、塗膜に傷が入った場合に当該塗膜を加熱することにより、塗膜に含まれた熱可塑性樹脂が軟化して傷を埋め、傷を消滅させることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の第1の態様に係る積層体は、例えば図1に示すように、積層体の強度を保持する基材層11と;基材層11上に積層され、生じた傷を加熱により自己修復する自己修復層12を備え;自己修復層12は、活性エネルギー線の作用により硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13と、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13中に分散して存在する熱可塑性樹脂14とを含み、前記自己修復は、前記加熱により熱可塑性樹脂14が軟化して傷を埋めることにより発現する。
なお、「〜上に積層」とは、接触して上に積層する場合に限られず、他の層を介して上に積層する場合をも含む。「自己修復」とは、傷を埋めて消滅させること、または、傷を埋めて見えにくくすることをいう。
このように構成すると、自己修復層に傷が入った場合でも、加熱することで傷が自己修復される。なお、自己修復は、加熱により軟化した熱可塑性樹脂が傷を埋めることにより発現する。したがって本願の自己修復機能は、従来のポリウレタン系の材料を用いて形状記憶の機能を持たせた層では修復できなかった深い傷に対しても有効であり、また、加熱により繰り返して発現させることができる。
本発明の第2の態様に係る積層体は、上記本発明の第1の態様に係る積層体において、例えば図1に示すように、自己修復層12は、ナノ粒子15を含む。
このように構成すると、ナノ粒子は補強材として作用し、自己修復層の強度を増加させることができる。
本発明の第3の態様に係る積層体は、上記本発明の第2の態様に係る積層体において、自己修復層12は、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂を50〜75重量部と、熱可塑性樹脂を10〜45重量部と、ナノ粒子を1〜15重量部含む層である。
このように構成すると、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂の量に対して、熱可塑性樹脂の量が適切となるので、自己修復という本願発明の効果を十分に発現させることができる。さらに、ナノ粒子の量が適切となるので、成膜された自己修復層に十分な強度を与えることができる。
本発明の第4の態様に係る積層体は、上記本発明の第1の態様〜第3の態様のいずれか1の態様に係る積層体において、基材層11は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、および、ポリカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種からなり、熱可塑性樹脂14の融点は、40〜230℃である。
このように構成すると、熱可塑性樹脂の融点が40〜230℃となるので、この温度範囲の温度まで加熱することで、確実に自己修復機能を発現させることができる。したがって、基材層に上記の高分子樹脂を用いたとしても、これらの高分子樹脂が変形するような温度まで加熱されることなく、自己修復層に生じた傷を修復することができる。
本発明の第5の態様に係る積層体は、上記本発明の第1の態様〜第3の態様のいずれか1の態様に係る積層体において、熱可塑性樹脂14は、ポリカプロラクトン(PCL)、アクリル酸重合体、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルケトン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、および、これらの誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種である。
このように構成すると、熱可塑性樹脂の中でも自己修復成分として自己修復機能を発現するのにより好適な材料で、自己修復層を形成することができる。
本発明の第6の態様に係る積層体は、上記本発明の第1の態様〜第5の態様のいずれか1の態様に係る積層体において、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13は、ウレタン(メタ)アクリレートおよびポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、熱可塑性樹脂14は、ポリカプロラクトンおよびポリアクリル酸メチルからなる群から選ばれた少なくとも1種である。
このように構成すると、活性エネルギー線硬化性樹脂の中でも、自己修復層の骨格として特に好適な材料で自己修復層を形成することができる。また、熱可塑性樹脂の中でも、自己修復成分として特に好適な材料で自己修復層を形成することができる。
本発明の第7の態様に係る積層体は、上記本発明の第2の態様または第3の態様に係る積層体において、ナノ粒子15は、有機系ポリマー、無機系酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群から選ばれた少なくとも1種である。
このように構成すると、ナノ粒子の中でも、自己修復層の補強に特に好適な材料で自己修復層を形成することができ、自己修復層に適度な強度を与えることができる。
本発明の第8の態様に係る機器は、上記本発明の第1の態様〜第7の態様のいずれか1の態様に係る積層体と;自己修復層12が最外層となるように積層体を表面に載置した筐体を備える。
このように構成すると、機器(電子機器、電気機器、IT関連機器等)の表面に傷が生じた場合でも、加熱するだけで容易に傷を修復することができる。すなわち、加熱により自己修復層に含まれた熱可塑性樹脂が、軟化して傷を埋めるように作用する。
本発明の第9の態様に係る積層体の製造方法は、例えば図2に示すように、活性エネルギー線の作用により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂に、熱可塑性樹脂と硬化剤を混合させ、塗布液を作製するステップ(S01)と;塗布液を基材層11上に塗布するステップ(S02)と;得られた塗膜に活性エネルギー線を照射し活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させて自己修復層12を形成するステップ(S04)とを備え;自己修復層12は、生じた傷を加熱により自己修復し、前記自己修復は、前記加熱により熱可塑性樹脂が軟化して傷を埋めることにより発現する。
このように構成すると、自己修復層に傷が入った場合でも、加熱することで傷が自己修復される積層体を製造することができる。なお、自己修復は、加熱により軟化した熱可塑性樹脂が傷を埋めることにより発現する。したがって本願の自己修復機能は、深い傷に対しても有効であり、また、加熱により繰り返して発現させることができる。
本発明の積層体が備える自己修復層は、加熱により容易に傷を自己修復することができる。さらに、深い傷に対しても修復能力を発現でき、また、繰り返して修復能力を発現することができる。
左図は、本発明の第1の実施の形態に係る積層体としての積層フィルム10の断面図である。右図は、自己修復層12を構成する材料のイメージ図である。 本発明の第2の実施の形態に係る積層体の製造方法を示すフロー図である。 基材層11の両面に自己修復層12を備えた積層フィルム20の断面図である。 基材層11の一方の面に自己修復層12を備え、他方の面にはハードコート層16を備えた積層フィルム30の断面図である。 基材層11の一方の面に自己修復層12を備え、他方の面には粘着層およびセパレータ層を備えた積層フィルム40の断面図である。 硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂、自己修復成分(熱可塑性樹脂)、ナノ粒子で構成された自己修復層のイメージ図である。 自己修復の仕組みを示すイメージ図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
本発明の積層体を、高分子樹脂で形成した基材層11と、基材層11にさらに積層された自己修復層12を備える積層フィルム10を例に説明する。しかし、本発明の積層体は、これに限られるものではない。
[積層フィルム10]
図1を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る積層体としての積層フィルム10について説明する。なお、図1は積層フィルム10の層構成を説明するものであり、各層の厚みは誇張されている。積層フィルム10は、基材層としての透明プラスチック基材11と、自己修復層12を備える。自己修復層12は、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13で形成される。硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13中には、熱可塑性樹脂14が分散して存在する。なお、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13中には、ナノ粒子15をさらに含んでもよい。ナノ粒子15により、自己修復層12の強度を増加させることができる。
[透明プラスチック基材11]
透明プラスチック基材11は、フィルム状の高分子樹脂で形成された透明な基材層である。透明プラスチック基材11には、フィルム状の高分子樹脂として、透明性を有する各種のプラスチックフィルムを用いることができる。透明性を有するプラスチックフィルムの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の樹脂が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等が好ましい。中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、および、ポリカーボネートが特に好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等、およびフィルム表面の平滑性やハンドリング性等に優れているため好ましい。トリアセチルセルロースは、透明性、表面外観、複屈折が小さいという点等において優れているため好ましい。ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、燃焼性等に優れているため好ましい。価格・入手の容易さをも考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
積層フィルム10を構成するための透明プラスチック基材11の膜厚は、2〜250μmであり、好ましくは10〜200μmであり、特に好ましくは20〜190μmである。透明プラスチック基材11の膜厚が2μm以上であると基材層としての機械的強度を維持でき、膜厚が250μm以下であると、積層フィルム10をタッチパネル用の保護フィルムなどに用いた場合にタッチパネルの厚みを薄くでき、携帯電話や携帯音楽端末などのモバイル機器等に適する。
透明プラスチック基材11は、易接着処理(透明プラスチック基材を製膜する際に、インラインで易接着剤を塗布する処理であり、透明プラスチック基材と他層との密着性を向上させる)、プライマーコート処理(透明プラスチック基材を製膜後、オフラインでプライマーコート剤を塗布する処理であり、透明プラスチック基材と他層との密着性を向上させる)、コロナ放電処理、火炎処理、紫外線照射処理、電子線照射処理、オゾン処理、グロー放電処理、スパッタリング処理などの表面活性化処理を施すことが好ましい。表面活性化処理により、透明プラスチック基材11に接触させて積層する他層(例えば本願の自己修復層12)の透明プラスチック基材11に対する密着性を向上させることができる。
[自己修復層12]
自己修復層12は、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13と、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13中に含まれる熱可塑性樹脂14で形成される。硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13は層骨格として機能する樹脂であり、熱可塑性樹脂14は自己修復成分として機能する樹脂である。また、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13中には、ナノ粒子15をさらに含んでもよい。ナノ粒子15は、層の補強材として機能する。
なお、本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線をいう。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線などの光エネルギー線や、X線、α線、β線、γ線、電子線などの放射線が挙げられる。中でも、特に紫外線が好ましい。
<活性エネルギー線硬化性樹脂>
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などのラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂を挙げることができる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。中でも、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ウレタン構造により強靭な塗膜が得られやすく、同時に傷を修復する際に必要な柔軟性を備える。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアネートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
前記ポリイソシアネートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアネートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ナフタリンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、バノックD−750、クリスボンNK(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)、デスモジュールL(商品名:住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名:三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名:三菱化学(株)製)などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられ、具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコールなどが挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S:ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて硬化剤を添加してもよい。この場合、硬化剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の全体量(すなわち、塗膜を形成する組成物全体量)に対して、0.1〜10重量%が好ましく、0.1〜5重量%がより好ましく、0.1〜4重量%が特に好ましい。硬化剤としては、活性エネルギー線重合開始剤が利用できる。活性エネルギー線重合開始剤としては、紫外線や可視光線などの活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。活性エネルギー線重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどがある。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。中でも、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線源により、紫外線(UV)または電子線等を照射して硬化させることができる。
一例として、活性エネルギー線硬化性樹脂に紫外線を照射させて用いる場合を説明する。活性エネルギー線硬化性樹脂は、光重合開始剤の存在下で紫外線を照射して重合させることにより硬化するものが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、各種のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルケトン誘導体、オニウム塩光開始剤、有機金属光開始剤、金属塩カチオン光開始剤、光分解性オルガノシラン、潜在性スルホン酸、酸化ホスフィンなどが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、1〜5重量部とすることが好ましい。
<熱可塑性樹脂>
熱可塑性樹脂としては、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂等の樹脂を挙げることができる。具体的には、ポリカプロラクトン(PCL)、アクリル酸重合体、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルケトン、ポリスチレン、熱可塑性ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、または、これらの誘導体が好ましい。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。特に、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸メチル、またはこれらの混合物が好ましい。ポリカプロラクトンは、融点が60℃の結晶性高分子であり、自己修復成分として用いると、100℃以下で自己修復機能を発現することができる。よって、PETフィルムなどの比較的耐熱性が低い基材にも対応することができる。ポリアクリル酸メチルは、塗布液を調製する際に、活性エネルギー線硬化性樹脂と混合させた際の相溶性が良い。
なお、自己修復層12に用いる、硬化前の活性エネルギー線硬化性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、86〜5000が好ましい。86以上であると、樹脂を膜にした時の強度(硬度)が十分となり、また5000以下であると塗布液の粘度が高くなり過ぎず、取り扱い易い。熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、1000以上80000未満であり、40000〜60000が特に好ましい。この範囲であると、自己修復機能を十分に発現させることができる。
<ナノ粒子>
自己修復層12を成膜するための塗布液には、ナノ粒子を加えてもよい。具体的には、有機系ポリマー、無機系酸化物、カーボンナノチューブ、またはこれらの混合物が好ましい。有機系ポリマーは、粒子表面に種々の官能基を導入しやすいため、塗布液に添加した場合の分散性を制御しやすい。また、粒子径や粒子径分布をコントロールしやすいため、塗膜にした場合の透明性を維持することができる。無機系酸化物は、硬度が高く、塗膜の硬度を上げるという点から好ましい。カーボンナノチューブも機械的強度が強く、また軽量なため、塗膜の補強剤として好ましい。なお、ナノ粒子の粒径は、透明性を維持するという点から、体積平均1次粒子径が1〜100nmであることが好ましく、特に1〜50nmであることが好ましい。
自己修復層12は成膜後に、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂13を50〜75重量部と、熱可塑性樹脂14を10〜45重量部と、必要に応じてナノ粒子15を1〜15重量部含むことが好ましい。熱可塑性樹脂14が10重量部以上であると、自己修復機能を発現し易く、45重量部以下であると、塗膜の強度を保つ事ができる。また、ナノ粒子15が1重量部以上であると、塗膜の硬度を向上させることができ、15重量部以下であると自己修復機能の性能を維持しつつ、塗膜の透明性を維持できる。
[自己修復層12の積層方法]
自己修復層12は、熱可塑性樹脂を添加した活性エネルギー線硬化性樹脂を主成分とする塗布液を、透明プラスチック基材11に塗布し、得られた塗膜を乾燥させた後に活性エネルギー線を照射して硬化させることで形成することができる。塗布液には、前記樹脂以外に必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ワックス、シリカ、可塑剤、分散材、または、レベリング剤、界面活性剤、消泡剤等の表面調整剤といった各種添加剤や溶媒を混合させることができる。
酸化防止剤としては、モノフェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど)、ビスフェノール類(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)、高分子型フェノール類(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノールなど)、硫黄系酸化防止剤(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(リフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイトなど)、およびオキサホスファフェナントレンオキサイド類(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなど)を挙げることができる。これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/硫黄系またはフェノール系/リン系と組み合わせて使用することが特に好ましい。市販のフェノール系の酸化防止剤としては、BASF社製IRGANOX 1010(商品名)やIRGAFOS 168(商品名)をそれぞれ単独で利用することができ、また、これらを混合して利用することもできる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類、ヒドロキシフェニルトリアジン類、ベンゾフェノン類、サリシレート類、シアノアクリレート類、トリアジン類、または、ジベンゾイルリソルシノール類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤を単独で用いてもよいし、複数の紫外線吸収剤を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤は、吸収したい紫外線の波長に基づいて種類や組み合わせを適宜選択することが好ましい。
光安定剤(HALS)としては、BASF社製TINUVIN(登録商標)5100(中性タイプの汎用HALS)、TINUVIN292(化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート)、TINUVIN152(化合物名:2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、TINUVIN144(化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)、TINUVIN123(化合物名:デカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4ピペリジニル)エステルの反応生成物(1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドおよびオクタン存在下))、TINUVIN111FDL(約50%、TINUVIN622、化合物名:(ブタン二酸ポリマー(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジニル−イル)エタノール存在下)、約50%、CHIMASSORB119、化合物名:N−N’−N’’−N’’’−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン)、または、(株)アデカ製アデカスタブLAシリーズ等、具体的には、LA−52((5)−6116)、LA−57((5)−5555)、LA−62((5)−5711)、LA−67((5)−5755)を挙げることができる。なお、括弧内は、既存化学物質番号である。
塗布液中の樹脂成分の濃度は、例えば、ウェットコーティング法等の積層方法に応じた粘度に調整して適切に選択することができる。前記濃度は、例えば、5〜80重量%が好ましく、より好ましくは、10〜60重量%の範囲である。溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸ブチル、酢酸エチル、キシレン、ブタノール、エチレングリコールモノエチルアセテート等を用いることができる。
なお、活性エネルギー線硬化性樹脂は、塗布液として用いることから硬化前が液状であることが好ましい。
積層には、塗布液を均一にコーティングするウェットコーティング法を用いることが好ましい。ウェットコーティング法としては、グラビアコート法やダイコート法等を用いることができる。グラビアコート法は、表面に凸凹の彫刻加工が施されたグラビアロールを塗布液に浸し、グラビアロール表面の凸凹部に付着した塗布液をドクターブレードで掻き落とし凹部に液を貯めることで正確に計量し、基材層に転移させる方式である。グラビアコート法により、低粘度の液を薄くコーティングすることができる。ダイコート法は、ダイと呼ばれる塗布用ヘッドから液を加圧して押出しながらコーティングする方式である。ダイコート法により、高精度なコーティングが可能となる。さらに、塗布時に液が外気にさらされないため、乾きによる塗布液の濃度変化などが起こりにくい。その他のウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロッドコート法などを挙げることができる。
自己修復層12の積層は、これらの方法から必要とする膜厚に応じて適宜選択することができる。さらに、ウェットコーティング法を用いることにより、毎分数十メートルのライン速度(例えば約20m/分)で積層できるため、大量に製造でき、生産効率を上げることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させるための方法としては、例えばUV照射による硬化法では、UVランプ(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ)から200〜400nmの波長のUVを層に短時間(数秒〜数十秒の範囲内)照射すればよい。また、電子線照射による硬化法では、300keV以下の自己遮蔽型の低エネルギー電子加速器から低エネルギー電子線を層に照射すればよい。
積層フィルム10における自己修復層12の膜厚は、1.0〜15μmが好ましい。1.0μm以上の膜厚であれば、自己修復層として十分な厚みであり、表面についた傷を修復できる。また10μm以下の膜厚であれば、塗布液の固形分濃度を上げる必要もないので、塗布液の取り扱いが容易となり、さらにフィルムの外観を良好に保つことができ、生産性も良好となる。
なお、上記膜厚は、積層フィルムに用いた場合の例であり、他の製品に用いる場合は適宜自己修復層の膜厚を変更することができる。
[積層フィルム10の製造方法]
図2を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る積層体の製造方法を、積層フィルム10の製造方法を例に説明する。しかし、本発明の積層体は、これに限定されるものではない。
まず、自己修復層12を成膜するための塗布液を調製する(S01)。具体的には、活性エネルギー線硬化性樹脂を有機溶媒に溶解させて均一になったことを確認後、さらに、熱可塑性樹脂、硬化剤を添加して再度均一にする。必要に応じて、ナノ粒子の分散液を添加する。また、必要に応じて、表面調整材等を添加してもよい。
調製した塗布液を基材層である透明プラスチック基材11に塗布する(S02)。
積層フィルム10を乾燥させ、塗膜中に含まれた有機溶媒を除去する。(S03)。
活性エネルギー線硬化性樹脂に活性エネルギー線を照射し硬化させる(S04)。
上記手順により、透明プラスチック基材11に自己修復層12が成膜される。
上記の積層フィルム10は、基材層11と自己修復層12の2層を備える積層体として説明したが、本願の積層体はこれに限られない。
例えば、図3に示すように、基材層11の両面に自己修復層12を備えてもよい。または、図4に示すように、基材層11の一方の面に自己修復層12を備え、他方の面にはハードコート層16を備えてもよい。このように構成すると、図3の積層フィルム20では、基材層11は活性エネルギー線硬化性樹脂が硬化した自己修復層12に挟まれた構成となり、図4の積層フィルム30では、基材層11は活性エネルギー線硬化性樹脂が硬化した自己修復層12と硬化性樹脂が硬化したハードコート層16で挟まれた構成となるので、基材層11としての透明プラスチック基材がカールするのをより抑制することができる。
ハードコート層16は、硬化性樹脂を塗布し得られた塗膜を硬化させることで形成される。ここで硬化性樹脂とは、加熱、紫外線照射、電子線照射などにより硬化する樹脂である。硬化性樹脂としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタアクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの硬化性樹脂の中で好ましくは、生産性上の観点から、紫外線硬化性樹脂が好適である。
また、ハードコート層の膜厚は、必要に応じて調整する。例えば、積層フィルム30では、1.0〜15μmである。15μm以下であると、全光線透過率などの透明性の低下が生じることなく、タッチパネル等に使用した場合に軽量化が可能となる。
硬化性樹脂を硬化させるための硬化処理としては、加熱、紫外線照射、電子線照射等の硬化処理が挙げられる。なお、塗膜に希釈溶媒を含む場合には、通常、70〜200℃の範囲内で数十分、塗膜を加熱し、塗膜中に残留している希釈溶媒を除いた後に、硬化処理を行うことが好ましい。加熱による硬化としては、例えば、通常、80〜250℃、好ましくは100〜200℃の加熱温度で加熱すればよい。このとき、オーブンを用いた場合には、30〜90分間、ホットプレートを用いた場合には、5〜30分間加熱すればよい。また、紫外線照射による硬化としては、UVランプ(例えば、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ)から200〜400nmの波長の紫外線を塗布液に短時間(数秒〜数十秒の範囲内)照射すればよい。また、電子線照射による硬化としては、300keV以下の自己遮蔽型の低エネルギー電子加速器から低エネルギー電子線を塗布液に照射すればよい。
また、図5に示すように、基材層11の一方の面に自己修復層12を備え、他方の面にはハードコート層16に代えて、粘着層17/セパレータ層18を備えてもよい。粘着層17を備えることにより、液晶ディスプレイやタッチパネル等の保護フィルムとして用いる場合に、容易にそれらの表面に積層フィルムを貼付することができる。粘着層17に使用する粘着剤としては、主に、アクリル系、ビニルアルコール系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等のポリマー製接着剤や、ゴム系接着材等を挙げることができる。粘着層17の膜厚は、10〜100μmが好ましい。
なお、積層フィルムを実用に供するまでの間は、粘着層17が表面に露出するのを避けるために、粘着層17にさらに保護層としてセパレータ層18を積層することが好ましい。
[自己修復のしくみ]
本願の自己修復層が有する自己修復のしくみについて説明する。
図6は、硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、ナノ粒子で構成された自己修復層のイメージ図である。硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂は自己修復層の骨格として作用し、熱可塑性樹脂は自己修復成分として機能し、ナノ粒子は自己修復層の強度を増加させる補強材として機能する。活性エネルギー線硬化性樹脂としては、例えばウレタンアクリレート(UV硬化性樹脂)を、熱可塑性樹脂としては、例えばポリカプロラクトン(PCL)を、ナノ粒子としては、例えばアルミナ粒子を挙げることができる。
図7は、自己修復層に傷が入った場合に、自己修復層を加熱すると、自己修復成分である熱可塑性樹脂が軟化(融解含む)し、傷を埋めて塞ぐように作用しているのを示す図である。このように本願の積層体では、加熱により容易に自己修復機能を発現させることができる。なお、熱可塑性樹脂としてポリカプロラクトン(融点60℃)を用いると、加熱は60℃程度で十分である。よって、加熱方法として、ドライヤーで熱風を当てたり、オーブンに入れたりするだけで、容易に傷の修復が可能となる。
このように、本願の自己修復層を備えた積層体は、熱可塑性樹脂として用いた樹脂を軟化(融解含む)させる温度まで加熱できれば、自己修復機能を発現させることができる。特に熱可塑性樹脂として融点の比較的低い樹脂(例えば、カプロラクトン:融点60℃)を用いることにより、ドライヤー等の簡易な加熱装置を用いて容易に傷を修復させることができる。
以上のとおり、本発明の積層体は、自己修復層に自己修復成分として熱可塑性樹脂を含有させることで、浅い傷または深い傷に関わらず、ドライヤー等で熱を与えることで、傷を修復させることができる。また、自己修復層は透明性に優れていることから、基材層に透明プラスチックフィルムを用いて、積層体をフィルム状にすることで、タッチパネルやLCD等に用いる光学用保護フィルムとして用いることができる。さらにトップコート層に用いる保護フィルムとして、携帯電話やノートPC等の電子機器、電気機器、IT関連機器などの筐体表面への展開が可能である。
なお、本願の積層体において、基材層はプラスチックフィルムに限られず、自己修復層が積層可能な材料であればよく、自己修復機能が発現できることは明白である。
[実施例1]
<コーティング剤aの調製>
ウレタンアクリレート(商品名:Evecry1265、CYTEC社製、16.58g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.59g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、ポリカプロラクトン(商品名:PolyCaprolactone、Polysciences社製、7.2g)、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.22g)、アルミナ分散液(商品名:NanoBYK3601、BYK社製、0.41g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤a(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤aを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Aを形成した。
[実施例2]
<コーティング剤bの調製>
ウレタンアクリレート(商品名:Evecry1265、CYTEC社製、16.58g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.59g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、ポリカプロラクトン(商品名:PolyCaprolactone、Polysciences社製、7.2g)、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.22g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤b(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤bを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Bを形成した。
[実施例3]
<コーティング剤cの調製>
ウレタンアクリレート(商品名:Evecry1265、CYTEC社製、16.58g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.59g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、ポリアクリル酸メチル(商品名:ポリアクリル酸メチル トルエン溶液、関東化学社製、7.2g)、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.22g)、アルミナ分散液(商品名:NanoBYK3601、BYK社製、0.41g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤c(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤cを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Cを形成した。
[実施例4]
<コーティング剤dの調製>
ポリエステルアクリレート(商品名:CN2298、サートマー社製、16.58g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.59g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、ポリカプロラクトン(商品名:PolyCaprolactone、Polysciences社製、7.2g)、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.22g)、アルミナ分散液(商品名:NanoBYK3601、BYK社製、0.41g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤d(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤dを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Dを形成した。
[実施例5]
<コーティング剤eの調製>
ウレタンアクリレート(商品名:CN9006、サートマー社製、16.58g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.6g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、ポリカプロラクトン(商品名:Polycaprolactone、Polysciences社製、7.2g)、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.2g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤e(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤eを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Eを形成した。
[比較例1]
<コーティング剤fの調製>
ウレタンアクリレート(商品名:Evecry1265、CYTEC社製、23.78g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.59g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.22g)、アルミナ分散液(商品名:NanoBYK3601、BYK社製、0.41g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤f(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤fを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Fを形成した。
[比較例2]
<コーティング剤gの調製>
ポリエステルアクリレート(商品名:CN2298、CYTEC社製、23.78g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.59g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.22g)、アルミナ分散液(商品名:NanoBYK3601、BYK社製、0.41g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤g(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材層11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤gを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材層11の上に自己修復層Gを形成した。
[比較例3]
<コーティング剤hの調製>
ペンタエリスリトールトリアクリレート(商品名:PETRA、CYTEC社製、16.58g)、メチルイソブチルケトン(MIBK、27.6g)、イソプロピルアルコール(IPA、19.3g)、トルエン(27.6g)を遮光されたプラスチックボトルに導入し、攪拌・混合させた。均一になった事を確認した後、ポリカプロラクトン(商品名:Polycaprolactone、Polysciences社製、7.2g)、硬化剤(商品名:Irgacure184、BASF社製、1.2g)、表面調整剤を3種類(BYK301、BYK306、BYK371、BYK社製 各々0.17g)を導入し、再度、攪拌・混合させた後、均一な溶液になったのを確認し、コーティング剤h(塗布液)とした。
<自己修復層を備える積層フィルムの作製>
基材11としてPETフィルムを用いた。PETフィルムの膜厚は、125μmであった。コーティング剤hを、乾燥膜厚が4μmになるように、バーコーターでPETフィルムに塗布し、100℃で60秒間乾燥させた後、高圧水銀灯を用いて150mJ/cmの紫外線UVA波照射条件で塗膜を光硬化させ、基材11の上に自己修復性層Hを形成した。
<塗膜透明性>
前記、作製したフィルムについて、日本電色工業(株)製ヘーズメーター「NDH5000」を用いて、JIS K7136に基づき、ヘイズ値を測定した。
<鉛筆硬度>
前記、作成したフィルムを、表面性試験機HEIDON Type:14W(新東科学(株)製)を用いて、JIS K5600に準じて測定を行った。
<基材密着性>
JIS K5400に準拠して、碁盤目剥離試験をおこなった。
<自己修復機能>
#0000のスチールウールを使って400gの荷重で塗膜を往復3回ラビングする試験をおこない、スチールウール試験後のΔヘイズ値を測定した。その後、オーブン乾燥機の60℃雰囲気下で20秒間放置し、乾燥機から取り出した後に、室温に戻して15分放置し、加熱後の△ヘイズ値を測定した。
自己修復率(%)は以下の式にて計算をおこない、80%以上で回復しているものを○、傷が20〜80%未満で回復しているものを△、20%未満で回復しているものを×とした。
Figure 0005929252
実施例1〜実施例5の測定値を表1に示す。
Figure 0005929252
比較例1〜比較例3の測定値を表2に示す。
Figure 0005929252
上記の通り、UV硬化性樹脂に自己修復成分としてポリカプロラクトンまたはポリアクリル酸メチルを導入して自己修復層が成膜された実施例1〜5の積層フィルムは、スチールウールの摩耗傷に対して、自己修復機能が20%以上(○および△)発現した。一方、自己修復成分を導入していない比較例1〜2の積層フィルムおよび、UV硬化性樹脂として硬化後の硬度が高いアクリルモノマーを用いた比較例3の積層フィルムは、自己修復機能が20%未満(×)の発現であった。これらより、UV硬化性樹脂としてウレタンアクリレートまたはポリエステルアクリレートに、自己修復成分を導入することで、自己修復機能が発現することがわかった。また、自己修復成分としてポリアクリル酸メチルを用いた実施例3の積層フィルムよりも、ポリカプロラクトンを用いた実施例2の積層フィルムのほうが、自己修復機能がより高く発現した。さらに、実施例1の積層フィルムは、塗膜の補強材としてアルミナ粒子を導入する事で、アルミナ粒子を添加していない実施例2の積層フィルムと比べて、塗膜の硬度が上昇した。
10 積層体、積層フィルム
11 基材層、透明プラスチック基材
12 自己修復層
13 硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂
14 熱可塑性樹脂
15 ナノ粒子
16 ハードコート層
17 粘着層
18 セパレータ層
20 積層体、積層フィルム
30 積層体、積層フィルム
40 積層体、積層フィルム

Claims (7)

  1. 積層体の強度を保持する基材層と;
    前記基材層上に積層され、生じた傷を加熱により自己修復する自己修復層を備え;
    前記自己修復層は、活性エネルギー線の作用により硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂と、前記硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂中に分散して存在する熱可塑性樹脂とを含み、
    前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は、1000以上80000未満であり、
    前記硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレート、および、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリカプロラクトン、および、ポリアクリル酸メチルからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
    前記自己修復は、前記加熱により前記熱可塑性樹脂が軟化して傷を埋めることにより発現する、
    積層体。
  2. 前記自己修復層は、ナノ粒子を含む、
    請求項1に記載の積層体。
  3. 前記自己修復層は、前記硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂を50〜75重量部と、前記熱可塑性樹脂を10〜45重量部と、前記ナノ粒子を1〜15重量部含む層である、
    請求項2に記載の積層体。
  4. 前記基材層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、および、ポリカーボネートからなる群から選ばれた少なくとも1種からなり、
    前記熱可塑性樹脂の融点は、40〜230℃である、
    請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記ナノ粒子は、有機系ポリマー、無機系酸化物、および、カーボンナノチューブからなる群から選ばれた少なくとも1種である、
    請求項2または請求項3に記載の積層体。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の積層体と;
    前記自己修復層が最外層となるように前記積層体を表面に載置した筐体を備える;
    機器。
  7. 活性エネルギー線の作用により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂に、重量平均分子量が1000以上80000未満である熱可塑性樹脂と硬化剤を混合させ、塗布液を作製するステップと;
    前記塗布液を基材層上に塗布するステップと;
    得られた塗膜に活性エネルギー線を照射し活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させて自己修復層を形成するステップと;
    前記熱可塑性樹脂を軟化させる温度まで加熱するステップを備え;
    前記硬化した活性エネルギー線硬化性樹脂は、ウレタン(メタ)アクリレート、および、ポリエステル(メタ)アクリレートからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
    前記熱可塑性樹脂は、ポリカプロラクトン、および、ポリアクリル酸メチルからなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
    前記自己修復層は、生じた傷を前記加熱により自己修復し、
    前記自己修復は、前記加熱により前記熱可塑性樹脂が軟化して傷を埋めることにより発現する、
    積層体の製造方法。
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