JP6330433B2 - ケイ素化合物、コーティング剤用樹脂組成物、成形体、画像表示装置 - Google Patents

ケイ素化合物、コーティング剤用樹脂組成物、成形体、画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、コーティング剤に用いることができるケイ素化合物およびコーティング剤用樹脂組成物に関し、特に、耐傷付き性を著しく向上させるケイ素化合物、および耐傷付き性を著しく向上させたコーティングが可能な樹脂組成物に関する。
近年、持ち運び可能で屋外でも使用できるLCD(liquid crystal display)端末の普及が目覚しく、スマートフォン、PND(personal navigation device)に代表される携帯端末や、Google Glassに代表されるウェアラブルディスプレイ(wearable display)が例として挙げられる。
これら製品は携帯して使用するため、軽量化する必要があり、部材の一部をガラスからプラスチックへ切り替える方法がとられている。しかし、プラスチック(特にPET、PC、PMMA、シクロオレフィン等)は、軽量かつ透明性の高い特徴を持っているが、耐傷付き性が乏しい。その解決手段として、ハードコート剤による表面処理により、傷付きを防止する方法が広く用いられている。
傷付きを防止する方法として、特許文献1には、ガラス基板用の耐擦傷性に優れたコーティング剤であって、ガラスとの密着性および飛散防止性に優れたコーティング剤が開示されている(段落0019)。特許文献2には、深い傷に対しても修復能力を有し、繰り返し修復能力を発現する自己修復層を有する積層体が開示されている(段落0004)。傷の修復は、活性エネルギー線硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合させて生成した塗布液を基材層上に塗布し、活性エネルギー線硬化性樹脂を硬化させて塗膜を生成し、塗膜に傷が入った場合に当該塗膜を加熱することにより、塗膜に含まれた熱可塑性樹脂が軟化して傷を埋めることにより行われる(段落0005)。
特開2006−290696号公報 特開2013−154631号公報
しかし、上記のようなコーティング剤や積層体であっても、耐傷付き性を向上させることは常に求められる。
そこで、本発明は、ハードコート剤等の耐傷付き性を向上させることができる化合物、および当該化合物を含むコーティング剤用樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、シリコーン化合物の両末端をアクリル変性した化合物(ケイ素化合物)をハードコート剤等に添加すると、耐傷付き性が著しく向上することを見出し、本発明を完成させた。なお、「アクリル変性」とは、(メタ)アクリロイル基を化合物中に導入することをいう。
本発明の第1の態様に係るケイ素化合物は、下記式(I)で示されるケイ素化合物(a)であって、nが、1〜20の整数であり、Xが、ウレタン骨格と末端に(メタ)アクリレート基とを有する、下記式(II)で示される基であり、Rが、水素またはメチル基である。
Figure 0006330433
Figure 0006330433
このように構成すると、ケイ素化合物(a)をハードコート剤等に添加することにより、耐傷付き性を著しく向上させたコーティング剤を得ることができる。これは、ケイ素化合物(a)が含むシリコーン骨格が、滑り性、離形性、可とう性(柔軟性)を有するため、ケイ素化合物(a)を硬化性樹脂とともに用いると、応力緩和によると考えられる耐傷付き性を著しく向上させることができる。
本発明の第2の態様に係るコーティング剤用樹脂組成物は、上記第1の態様に係るケイ素化合物と;硬化性樹脂(b)とを含有する。
このように構成すると、応力緩和によると考えられる耐傷付き性を著しく向上させたコーティング剤用樹脂組成物を得ることができる。
本発明の第3の態様に係るコーティング剤用樹脂組成物は、上記本発明の第2の態様に係るコーティング剤用樹脂組成物において、前記硬化性樹脂(b)が、(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂である。
このように構成すると、紫外線照射により、ケイ素化合物(a)が有する(メタ)アクリロイル基と、硬化性樹脂(b)が有する(メタ)アクリロイル基との結合が可能になり、ケイ素化合物(a)が硬化性樹脂(b)に固定化することができる。
本発明の第4の態様に係る成形体は、成形体であって、上記本発明の第2の態様または第3の態様に係るコーティング剤用樹脂組成物を硬化させた硬化物と:前記硬化物に覆われた基材とを備える。
このように構成すると、基材の表面を、コーティング剤用樹脂組成物を硬化させた硬化物で保護することができ、成形体の耐傷付き性を著しく向上させることができる。
本発明の第5の態様に係る成形体は、上記本発明の第4の態様に係る成形体において、前記成形体と前記基材とのヘイズ値の差が1%以下である。
このように構成すると、成形体を画像表示装置等の画像パネルの表面に設置した場合、画像パネルの表示が見づらくなることなく、画像パネルの表面を保護できる。
本発明の第6の態様に係る画像表示装置は、上記本発明の第5の態様に係る成形体と;前記成形体を画面上に設置した画像パネルとを備える。
このように構成すると、画像パネル表面を、耐傷付き性を著しく向上させた成形体で保護することができ、画像表示装置成の耐傷付き性を著しく向上させることができる。
本発明のケイ素化合物は、シリコーン化合物の両末端をアクリル変性したケイ素化合物であって、ハードコート剤等の耐傷付き性を著しく向上させることができる化合物である。また、当該化合物を含有させることにより、耐傷付き性が著しく向上したコーティング剤用樹脂組成物を得ることができる。
本発明の第4の実施の形態に係る画像表示装置を例示する図である。 (a)は実施例の磨耗痕のイメージ図であり、(b)は比較例の磨耗痕のイメージ図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一または相当する部分には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではない。
[ケイ素化合物(a)]
本願の第1の実施の形態に係るケイ素化合物としてのケイ素化合物(a)について説明する。ケイ素化合物(a)の構造は、以下のとおりである。
ケイ素化合物(a)は、シリコーン鎖(主鎖となるシロキサン結合)を含み、その両末端がアクリル変性された化合物である。両末端は、官能基としての(メタ)アクリロイル基を含む同一の基を有するため、官能基の数により、2官能アクリル変性ケイ素化合物、4官能アクリル変性ケイ素化合物、8官能アクリル変性ケイ素化合物等に分類することができる。
なお、ケイ素化合物(a)は、同一のシリコーン鎖を有するケイ素化合物(a)に対して、導入する(メタ)アクリロイル基の数を変えてアクリル当量を調整することで、硬化性樹脂(b)に対する相溶性を調節することができる。また、(メタ)アクリロイル基の数を変更せずに、シリコーン鎖を変えてアクリル当量を調整することでも硬化性樹脂(b)に対するケイ素化合物(a)の相溶性を調節することができるため好ましい。
ケイ素化合物(a)の骨格となる構造を、下記式(III)に示す。式(III)において、nは、1〜20の整数である。Xは(メタ)アクリロイル基を有する基である。XにおいてRは、水素またはメチル基である。
なお、シリコーン鎖のnを1〜20にすることで、ケイ素化合物(a)の相溶性を向上させることができ、ヘイズ値を適性値以下に維持できるため好ましい。
Figure 0006330433
・2官能アクリル変性ケイ素化合物
Xは、下記式(IV)の基である。
Figure 0006330433
・4官能アクリル変性ケイ素化合物
Xは、下記式(V)または式(VI)の基である。
Figure 0006330433
式(VI)においてYは、下記式(VII)、式(VIII)、または式(IX)の基である。
Figure 0006330433
・8官能アクリル変性ケイ素化合物
Xは、下記式(X)の基である。
Figure 0006330433
以下に、例として2官能アクリル変性ケイ素化合物(式(III)においてXが式(IV))、4官能アクリル変性ケイ素化合物(式(III)においてXが式(V))であって、Rが水素の場合を例示する。
Figure 0006330433
本願のケイ素化合物(a)の合成方法を以下に例示する。
ケイ素化合物(a)は、ヒドロキシル基含有シロキサン化合物(例えばJNC(株)製サイラプレーンFM44シリーズ)を、スズ触媒(例えばジラウリン酸ジブチルスズ)の存在下で、アクリロイルオキシエチルイソシアナート(例えば昭和電工(株)製カレンズAOI)等の(メタ)アクリロイル基を有するイソシアナートと反応させることによって、2官能アクリル変性ケイ素化合物を得ることができる。
Figure 0006330433
または、ヒドロキシル基含有シロキサン化合物(例えばJNC(株)製サイラプレーンFM44(商品名)シリーズ)を、スズ触媒(例えばジラウリン酸ジブチルスズ)の存在下で、1,1’−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート(例えば昭和電工(株)製カレンズBEI(商品名))等の(メタ)アクリロイル基を有するイソシアナートと反応させることによって4官能アクリル変性ケイ素化合物を得ることができる。
Figure 0006330433
または、両末端ジメチルシリルポリジメチルシロキサン(例えばJNC(株)製サイラプレーンFM11(商品名)シリーズ)を、白金触媒の存在下で、トリメチロールプロパンアリルエーテル等と反応させ両末端ジヒドロキシル変性ケイ素化合物を得る。
次に、両末端ジヒドロキシル変性ケイ素化合物をスズ触媒(例えばジラウリン酸ジブチルスズ)の存在下で、1,1’−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアナート(例えば昭和電工(株)製カレンズBEI)等の(メタ)アクリロイル基を有するイソシアナートと反応させることによって8官能アクリル変性ケイ素化合物を得ることができる。
なお、ヒドロキシル基含有シロキサン化合物の製造方法については、特許第3661807号公報を参照することができる。
また、両末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物と(メタ)アクリロイル基を有するイソシアナートとの反応に使用する触媒としては、アミン系触媒(例えばトリエチレンジアミン)、カルボキシレート触媒(例えばナフテン酸鉛、酢酸カリウム)、トリアルキルホスフィン触媒(例えばトリエチルホスフィン)、チタン系触媒(例えばチタンノルマルブトキシド)なども使用することができる。
[コーティング剤用樹脂組成物]
本願の第2の実施の形態に係るコーティング剤用樹脂組成物は、上記のアクリル変性したケイ素化合物(a)を含有する樹脂組成物である。本願のコーティング剤用樹脂組成物は、硬化性樹脂(b)を含有するコーティング液にケイ素化合物(a)を加えることにより、容易に調製することができる。例えば、特許第5375100号公報に記載の方法により調製されたコーティング液に、ケイ素化合物(a)、必要に応じて、硬化性樹脂(b)に適した重合開始剤、混合を促進するための溶媒等を加えることにより本願のコーティング剤用樹脂組成物を得ることができる。
溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジフェニルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、プロピレングリコールモノメチルエーテルなど)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼンなど)、ケトン系溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、アルコール系溶媒(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなど)、ニトリル系溶媒(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなど)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、カーボネート系溶媒(エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなど)、アミド系溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド)、ハイドロクロロフルオロカーボン系溶媒(HCFC−141b、HCFC−225)、ハイドロフルオロカーボン(HFCs)系溶媒(炭素数2〜4、5および6以上のHFCs)、パーフルオロカーボン系溶媒(パーフルオロペンタン、パーフルオロヘキサン)、脂環式ハイドロフルオロカーボン系溶媒(フルオロシクロペンタン、フルオロシクロブタン)、酸素含有フッ素系溶媒(フルオロエーテル、フルオロポリエーテル、フルオロケトン、フルオロアルコール)、芳香族系フッ素溶媒(α,α,α−トリフルオロトルエン、ヘキサフルオロベンゼン)、水が含まれる。これらを単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
ケイ素化合物(a)は、ケイ素化合物(a)と硬化性樹脂(b)の総量を100wt%とした場合に、0.5〜40wt%含有させることが好ましい。2官能アクリル変性ケイ素化合物では、0.5wt%以上20wt%未満が好ましく、5〜10wt%が特に好ましい。4官能アクリル変性ケイ素化合物では、0.5〜30wt%が特に好ましく、8官能アクリル変性ケイ素化合物では0.5〜40wt%が特に好ましい。官能基数が多くなると、溶解性が上昇するため添加量を多くすることができる。
・硬化性樹脂(b)
硬化性樹脂(b)としては、活性エネルギー線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を挙げることができる。硬化方法の容易性から活性エネルギー線硬化性樹脂がより好ましく、紫外線硬化性樹脂が特に好ましい。
なお、本明細書において、活性エネルギー線とは、活性種を発生する化合物を分解して活性種を発生させることのできるエネルギー線をいう。このような活性エネルギー線としては、可視光、紫外線、赤外線などの光エネルギー線や、X線、α線、β線、γ線、電子線などの放射線が挙げられる。中でも、特に紫外線が好ましい。
・活性エネルギー線硬化性樹脂
活性エネルギー線硬化性樹脂としては、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートモノマー、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などのラジカル重合が可能な不飽和結合を有する樹脂を挙げることができる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。中でも、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂が好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート樹脂は、ウレタン構造により強靭な塗膜が得られやすく、同時に柔軟性を備える。
ウレタン(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、ポリイソシアナートとポリヒドロキシ化合物あるいは多価アルコール類とを反応させた後、さらに水酸基含有(メタ)アクリル化合物および必要に応じて水酸基含有アリルエーテル化合物を反応させることによって得ることができるラジカル重合性不飽和基含有オリゴマーが挙げられる。
前記ポリイソシアナートとしては、具体的には2,4−トリレンジイソシアナートおよびその異性体、ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、水添キシリレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、ナフタリンジイソシアナート、トリフェニルメタントリイソシアナート、バーノックD−750、クリスボンNK(商品名:大日本インキ化学工業(株)製)、デスモジュールL(商品名:住友バイエルウレタン(株)製)、コロネートL(商品名:日本ポリウレタン工業(株)製)、タケネートD102(商品名:三井武田ケミカル(株)製)、イソネート143L(商品名:三菱化学(株)製)などが挙げられる。
前記ポリヒドロキシ化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオールなどが挙げられ、具体的にはグリセリン−エチレンオキシド付加物、グリセリン−プロピレンオキシド付加物、グリセリン−テトラヒドロフラン付加物、グリセリン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−プロピレンオキシド付加物、トリメチロールプロパン−テトラヒドロフラン付加物、トリメチロールプロパン−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−プロピレンオキシド付加物、ジペンタエリスリトール−テトラヒドロフラン付加物、ジペンタエリスリトール−エチレンオキシド−プロピレンオキシド付加物などが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、ビスフェノールAとプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドとの付加物、1,2,3,4−テトラヒドロキシブタン、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ブタンジオール、1,2−シクロヘキサングリコール、1,3−シクロヘキサングリコール、1,4−シクロヘキサングリコール、パラキシレングリコール、ビシクロヘキシル−4,4−ジオール、2,6−デカリングリコール、2,7−デカリングリコールなどが挙げられる。
前記水酸基含有(メタ)アクリル化合物としては、特に限定されるものではないが、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレート樹脂としては、(1)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルにα,β−不飽和カルボン酸エステル基を含有するエポキシ化合物を反応して得られる(メタ)アクリレート、(2)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端カルボキシル基のポリエステルに水酸基含有アクリレートを反応させて得られる(メタ)アクリレート、(3)飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸と多価アルコールから得られる末端水酸基のポリエステルに(メタ)アクリル酸を反応して得られる(メタ)アクリレートが挙げられる。
ポリエステル(メタ)アクリレートの原料として用いられる飽和多塩基酸としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバチン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物と、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和多塩基酸またはその無水物が挙げられる。さらに多価アルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などが挙げられる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、多価アルコールにα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物が挙げられる。例えば、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレンポリトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンテトラエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンペンタエトキシトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂としては、多価アルコールと不飽和多塩基酸(および必要に応じて飽和多塩基酸)とのエステル化反応による縮合生成物(不飽和ポリエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記不飽和ポリエステルとしては、無水マレイン酸などの不飽和酸とエチレングリコールなどのジオールとを重縮合させて製造できる。具体的にはフマル酸、マレイン酸、イタコン酸などの重合性不飽和結合を有する多塩基酸またはその無水物を酸成分とし、これとエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの多価アルコールをアルコール成分として反応させ、また、必要に応じてフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、アジピン酸、セバシン酸などの重合性不飽和結合を有していない多塩基酸またはその無水物も酸成分として加えて製造されるものが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、グリシジル基(エポキシ基)を有する化合物と、アクリル酸などの重合性不飽和結合を有するカルボキシル化合物のカルボキシル基との開環反応により生成する重合性不飽和結合を持った化合物(ビニルエステル)を、重合性モノマーに溶解したものが挙げられる。
前記ビニルエステルとしては、公知の方法により製造されるものであり、エポキシ樹脂に不飽和一塩基酸、例えばアクリル酸またはメタクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
また、各種エポキシ樹脂をビスフェノール(例えばA型)またはアジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸(ハリダイマー270S(商品名):ハリマ化成(株))などの二塩基酸で反応させ、可撓性を付与してもよい。
原料としてのエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAジグリシジルエーテルおよびその高分子量同族体、ノボラック型グリシジルエーテル類などが挙げられる。
活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合は、必要に応じて硬化剤を添加してもよい。この場合、硬化剤の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂の全体量に対して、0.1〜10wt%が好ましく、0.1〜5wt%がより好ましく、0.1〜4wt%が特に好ましい。硬化剤としては、活性エネルギー線重合開始剤が利用できる。活性エネルギー線重合開始剤としては、紫外線や可視光線などの活性エネルギー線の照射によりラジカルを発生する化合物であれば特に限定しない。活性エネルギー線重合開始剤として用いられる化合物としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4′−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4′−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、1,4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,4′−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′,4′−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2′−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4′−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2′−クロロフェニル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4′−メトキシフェニル)−s−トリアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3′−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムなどがある。これらの化合物は単独で使用してもよく、2つ以上を混合して使用することも有効である。中でも、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジ(メトキシカルボニル)−4,4′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4′−ジ(メトキシカルボニル)−4,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4′−ジ(メトキシカルボニル)−3,3′−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線源により、紫外線(UV)または電子線等を照射して硬化させることができる。
一例として、活性エネルギー線硬化性樹脂に紫外線を照射させて用いる場合を説明する。活性エネルギー線硬化性樹脂は、光重合開始剤の存在下で紫外線を照射して重合させることにより硬化するものが好ましい。光重合開始剤としては、例えば、各種のベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、フェニルケトン誘導体、オニウム塩光開始剤、有機金属光開始剤、金属塩カチオン光開始剤、光分解性オルガノシラン、潜在性スルホン酸、酸化ホスフィンなどが挙げられる。光重合開始剤の添加量は、活性エネルギー線硬化性樹脂100重量部に対して、1〜5重量部とすることが好ましい。
・熱硬化性樹脂
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、アルキド樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ウレタン系樹脂、熱硬化性ポリイミドおよびシリコーン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂を単独で用いてもよいし、複数の樹脂を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、多官能エポキシ樹脂、可撓性エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、高分子型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂、メチルエーテル化メラミン樹脂、ブチルエーテル化メラミン樹脂、メチルブチル混合エーテル化メラミン樹脂等のメラミン系樹脂、イソシアナート基を2個以上持ったポリイソシアナート化合物(O=C=N-R-N=C=O)と、水酸基を2個以上持ったポリオール化合物(HO-R'-OH)、ポリアミン(H2N-R"-NH2)、または水などの活性水素(-NH2,-NH,-CONH-など)を持った化合物などとの反応により得ることができるウレタン系樹脂等が加工適性上好ましい。
エポキシ系樹脂は耐熱性、接着性、耐薬品性、メラミン系樹脂は耐熱性、硬度、透明性、ウレタン系樹脂は接着性、低温硬化性に優れており、適宜選択して使用することができる。
熱硬化性樹脂は、所望の硬化温度(80〜160℃)、時間(30〜180秒)で迅速硬化させる必要がある。樹脂の種類に応じて、硬化反応開始剤や硬化反応促進剤を用いてもよい。例えば、エポキシ系樹脂の場合、脂肪族アミンや芳香族アミンのアミン類、ポリアミド樹脂、3級アミンおよび2級アミン、イミダゾール類、ポリメルカプタン、酸無水物類、ルイス酸錯体、メラミン系樹脂の場合、スルホン酸系触媒、ウレタン系樹脂の場合、有機金属系ウレタン化触媒と3級アミン系ウレタン化触媒等を挙げることができる。
上記硬化反応開始剤や硬化反応促進剤は、活性エネルギー線照射や熱エネルギーによりカチオン重合を開始させる物質を放出することができる化合物であればよい。かかる硬化反応開始剤の例としては、カルボン酸、アミン、酸無水物化合物や酸発生剤などが含まれ、好ましくはルイス酸を放出するオニウム塩である複塩またはその誘導体である。
上記の硬化反応開始剤の代表的なものとしては、下記式(1)で示される陽イオンと陰イオンの塩を挙げることができる。
[A]m+[B]m− (1)
上記式(1)において、陽イオン[A]m+はオニウムイオンであることが好ましく、例えば下記式(2)で示される。
[(α)Q]m+ (2)
上記式(2)において、αは炭素数が1〜60であり、炭素原子以外の原子をいくつ含んでもよい有機基である。aは1〜5の整数である。a個のαは各々独立で、同一でも異なっていてもよい。また、少なくとも1つのαは、芳香環を有する有機基であることが好ましい。
Qは、S、N、Se、Te、P、As、Sb、Bi、O、I、Br、Cl、F、N=Nからなる群から選ばれる原子あるいは原子団である。また、陽イオン[A]m+中のQの原子価をqとしたとき、m=a−qである(但し、N=Nは原子価0として扱う)。
一方、陰イオン[B]m−は、ハロゲン化物錯体であるのが好ましく、例えば下記式(3)で示される。
[LXm− (3)
上記式(3)において、Lはハロゲン化物錯体の中心原子である金属または半金属(Metalloid)であり、B、P、As、Sb、Fe、Sn、Bi、Al、Ca、In、Ti、Zn、Sc、V、Cr、Mn、Coなどである。Xはハロゲン原子である。bは3〜7なる整数である。また、陰イオン[LXm−中のLの原子価をpとしたとき、m=b−pである。
上記式(3)で示される陰イオン[LXm−の具体例には、テトラフルオロボレート(BF)、ヘキサフルオロフォスフェート(PF)、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF)、ヘキサフルオロアルセネート(AsF)、ヘキサクロロアンチモネート(SbCl)などが含まれる。
また陰イオン[B]m−としては、下記式(4)で示されるものも好ましく用いることができる。L、X、bは上記と同様である。
[LXb−1(OH)]m− (4)
陰イオン[B]m−の例には、さらに過塩素酸イオン(ClO、トリフルオロメチル亜硫酸イオン(CFSO、フルオロスルホン酸イオン(FSO、トルエンスルホン酸陰イオン、トリニトロベンゼンスルホン酸陰イオンなども含まれる。
本発明における硬化反応開始剤は、このようなオニウム塩の中でも、下記の(イ)〜(ハ)に例示される芳香族オニウム塩であることがさらに好ましい。これらの中から、その1種を単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
(イ)フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メトキシフェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェートなどのアリールジアゾニウム塩
(ロ)ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジ(4−メチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジ(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェートなどのジアリールヨードニウム塩
(ハ)トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−チオフェノキシフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス(ジフェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、4−[4’−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−[4'−(ベンゾイル)フェニルチオ]フェニル−ジ−(4−フルオロフェニル)スルホニウムヘキサフルオロホスフェートなどのトリアリールスルホニウム塩
さらに、本発明における硬化反応開始剤は、鉄アレーン錯体またはアルミニウム錯体と、トリフェニルシラノールなどのシラノール類との混合物であってもよい。
鉄アレーン錯体の例には、(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)〔(1,2,3,4,5,6−η)−(1−メチルエチル)ベンゼン〕−アイアン−ヘキサフルオロホスフェートなどが含まれ、アルミニウム錯体の例には、トリス(アセチルアセトナト)アルミニウム、トリス(エチルアセトナトアセタト)アルミニウム、トリス(サリチルアルデヒダト)アルミニウムなどが含まれる。
上記の中でも実用面の観点から、本発明の実施の形態における硬化反応開始剤は、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩、鉄−アレーン錯体であることが好ましい。
硬化反応開始剤(好ましくは酸発生剤)の含有量は、エポキシ樹脂が含有するエポキシ基10〜300モルに対して、1モルであることが好ましい。
硬化樹脂層は、用途に応じて適宜、耐候性、低屈折率特性、高屈折率特性、汚れ防止特性、低摩耗特性、ガスバリア特性、耐傷つき特性を有することが好ましい。このような特性を付与するための下記の添加剤や手法を用いることもできる。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール類、ヒドロキシフェニルトリアジン類、ベンゾフェノン類、サリシレート類、シアノアクリレート類、トリアジン類、または、ジベンゾイルリソルシノール類などが挙げられる。これらの紫外線吸収剤を単独で用いてもよいし、複数の紫外線吸収剤を組み合わせて用いてもよい。紫外線吸収剤は、吸収したい紫外線の波長に基づいて種類や組み合わせを適宜選択することが好ましい。
酸化防止剤としては、モノフェノール類(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなど)、ビスフェノール類(2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど)、高分子型フェノール類(1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノールなど)、硫黄系酸化防止剤(ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネートなど)、ホスファイト類(リフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビ(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイトなど)、およびオキサホスファフェナントレンオキサイド類(9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドなど)を挙げることができる。これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、フェノール系/硫黄系またはフェノール系/リン系と組み合わせて使用することが特に好ましい。市販のフェノール系の酸化防止剤としては、BASF社製のIRGANOX 1010(商品名)やIRGAFOS 168(商品名)をそれぞれ単独で利用することができ、また、これらを混合して利用することもできる。
光安定剤(HALS)としては、BASF社製TINUVIN(登録商標)5100(中性タイプの汎用HALS)、TINUVIN292(化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート)、TINUVIN152(化合物名:2,4−ビス[N−ブチル−N−(1−シクロヘキシロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ]−6−(2−ヒドロキシエチルアミン)−1,3,5−トリアジン)、TINUVIN144(化合物名:ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート)、TINUVIN123(化合物名:デカン二酸、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−(オクチルオキシ)−4ピペリジニル)エステルの反応生成物(1,1−ジメチルエチルヒドロぺルオキシドおよびオクタン存在下))、TINUVIN111FDL(約50%、TINUVIN622、化合物名:(ブタン二酸ポリマー(4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル ピペリジニル−イル)エタノール存在下)、約50%、CHIMASSORB119、化合物名:N−N’−N’’−N’’’−テトラキス(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン)、または、株式会社アデカ製アデカスタブLAシリーズ等、具体的には、LA−52((5)−6116)、LA−57((5)−5555)、LA−62((5)−5711)、LA−67((5)−5755)を挙げることができる。なお、括弧内は、既存化学物質番号である。
低屈折率特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にフッ化マグネシウムなどの無機微粒子や、フルオロシルセスキオキサン、WO2008/072766およびWO2008/072765に記載されているフルオロシルセスキオキサン重合体からなる群から選ばれる化合物や、フッ素原子を含有するアクリレート化合物などを1種以上混合させることが好ましい。
高屈折率特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にジルコニア、チタニア、硫化亜鉛などの金属微粒子や、フルオレン骨格を有するアクリレート化合物およびエポキシ化合物や、硫黄原子を含有するアクリレート化合物およびエポキシ化合物などを1種以上混合させることが好ましい。
高屈折率特性を付与された硬化樹脂層上にITOや銀ナノワイヤーに代表される透明電極材料を塗布し、エッチングによりパターニングすることによって、静電容量方式のタッチパネルに組み込まれる透明電極フィルムに使用することができる。高屈折率特性を付与された硬化樹脂層を用いることで、ITOや銀ナノワイヤーなど透明電極材料の導電パターンを見えにくくすることができる。
また、高屈折率特性を付与された硬化樹脂層に前記低屈折率特性を有する層を積層することにより、反射防止特性を有する第1の硬化樹脂層を得ることができる。
汚れ防止特性や低摩擦特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にシリコーン化合物、フッ素化合物、フルオロシルセスキオキサン、WO2008/072766およびWO2008/072765に記載されているフルオロシルセスキオキサン重合体からなる群から選ばれる1種以上の化合物を混合させることが好ましい。
シリコーン化合物としては、BYK−UV3500、BYK−UV−3570(いずれも商品名:ビックケミー社製)、TEGO Rad2100、2200N、2250、2500、2600、2700(何れも商品名:デグサ社製)、X−22−2445、X−22−2455、X−22−2457、X−22−2458、X−22−2459、X−22−1602、X−22−1603、X−22−1615、X−22−1616、X−22−1618、X−22−1619、X−22−2404、X−22−2474、X−22−174DX、X−22−8201、X−22−2426、X−22−164A、X−22−164C(いずれも商品名:信越化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
フッ素化合物としては、ダイキン工業株式会社製のオプツールDAC、オプツールDAC−HP、R−1110、R−1210、R−1240、R−1620、R−1820、R−2020、R−5210、R−5410、R−5610、R−5810、R−7210、R−7310、メガファックRS−75、メガファックRS−72−K、メガファックRS−76−E、メガファックRS−76−NS、メガファックRS−77、メガファックRS−903−3、メガファックRS−914−2、メガファックRS−761−3(いずれも商品名)等を挙げることができる。
ガスバリア特性を付与する手法としては、硬化樹脂層中にグラフェンに代表される層状クレイやシリカ、アルミナ、多孔質ガラスなどの無機成分を1以上混合させることが好ましい。
耐傷つき性を付与する手法としては、本願のコーティング剤用樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させるために無機微粒子を添加してもよい。具体的な無機微粒子の例として、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、ルチル型酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、フッ化マグネシウム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アンチモン、氷晶石、蛍石)、燐灰石、方解石、石膏およびタルクを例示できる。用いられる無機酸化物の量は、本願の樹脂組成物中の硬化性樹脂(b)に対して、60wt%未満が好ましい。60wt%未満であれば、基材に対する良好な密着性を維持することができる。
また、無機微粒子の平均粒子径は、5nm〜2μmが好ましく、塗膜の透明性を考慮すると、5nm〜500nmが好ましく、より好ましくは、5nm〜50nmである。5nm以上であると、硬化膜の表面硬度および耐傷つき性を向上させることができ、2μm以下であると、硬化膜の透明性に悪影響を及ぼさない。なお、無機微粒子の平均粒子径は、日機装(株)MICROTRAC UPAを使用し、動的光散乱法にて測定する。
そのほかに必要に応じて、活性エネルギー線増感剤、重合禁止剤、ワックス、可塑剤、レベリング剤、界面活性剤、分散剤、消泡剤、濡れ性改良剤、帯電防止剤、硬化助剤等の各種添加剤を混合させることができる。
活性エネルギー線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂などを混合させて用いると、その樹脂本来の特性(力学物性、表面・界面特性、相溶性など)を改質することができる。
熱可塑性樹脂の例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ(メタ)アクリレート樹脂、超高分子量ポリエチレン、ポリ−4−メチルペンテン、シンジオタクチックポリスチレン、ポリアミド(ナイロン6:デュポン社商品名、ナイロン6,6:デュポン社商品名、ナイロン6,10:デュポン社商品名、ナイロン6,T:デュポン社商品名、ナイロンMXD6:デュポン社商品名など)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン2,6−ナフタレンジカルボキシラート、など)、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイド、フッ素樹脂(ポリテトラフロロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、など)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリラート(Uポリマー:ユニチカ(株)商品名、ベクトラ:ポリプラスチックス(株)商品名、など)、ポリイミド(カプトン:東レ(株)商品名、AURUM:三井化学(株)商品名、など)、ポリエーテルイミドおよびポリアミドイミドなどが含まれる。
[成形体]
本発明の第3の実施の形態に係る成形体について説明する。成形体は、上記第2の実施の形態に係るコーティング剤用樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物と、その硬化物に覆われた基材とを備える。よって、基材表面のハードコーティングが可能となり、基材表面の耐傷付き性を著しく向上させることができ、基材表面をキズや汚れから守ることができる。
・コーティング
本願のコーティング剤用樹脂組成物のコーティングには、組成物を均一にコーティングするウェットコーティング法を用いることが好ましい。ウェットコーティング法としては、グラビアコート法やダイコート法等を用いることができる。なお、コーティング剤用樹脂組成物は、コーティングに適した状態であることが好ましく、溶媒を含まず、または溶媒との混合物であってもよい。
グラビアコート法は、表面に凸凹の彫刻加工が施されたグラビアロールを塗布液に浸し、グラビアロール表面の凸部に付着した塗布液をドクターブレードで掻き落とし凹部に液を貯めることで正確に計量し、基材に転移させる方式である。グラビアコート法により、低粘度の液を薄くコーティングすることができる。
ダイコート法は、ダイと呼ばれる塗布用ヘッドから液を加圧して押出しながらコーティングする方式である。ダイコート法により、高精度なコーティングが可能となる。さらに、塗布時に液が外気にさらされないため、乾きによる塗布液の濃度変化などが起こりにくい。
その他のウェットコーティング法としては、スピンコート法、バーコート法、リバースコート法、ロールコート法、スリットコート法、ディッピング法、スプレーコート法、キスコート法、リバースキスコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ロットコート法などを挙げることができる。コーティングの方法は、これらの方法から必要とする膜厚に応じて適宜選択することができる。
・基材
基材には、透明性を有する各種のプラスチックやガラスを用いることができる。透明性を有するプラスチックの材料としては、例えば、ポリエステル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリウレタン樹脂等の樹脂が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルエーテルケトン等が好ましい。シクロオレフィン系樹脂はゼオノア(登録商標)、ゼオネックス(登録商標):日本ゼオン製、アートン(登録商標):JSR製、アペル(登録商標):三井化学製、トパス(登録商標):ポリプラスチックス製が好ましい。なお、ポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートは、機械的強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性、光学特性等、およびフィルム表面の平滑性やハンドリング性に優れているためより好ましい。ポリカーボネートは、透明性、耐衝撃性、耐熱性、寸法安定性、燃焼性に優れているためより好ましい。価格・入手の容易さをも考慮すると、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。透明性を有するガラスの材料としては、LCDディスプレイやタッチパネルなどに使用される寸法安定性、光学特性に優れるガラスであれば制限されない。たとえばソーダ石灰ガラス、無アルカリガラス、アルカリバリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルカリホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、シリカガラス、鉛ガラス等が挙げられる。
基材は、上記材料から造られた、光学用保護フィルムで用いる基材フィルムであってもよく、PC、携帯端末、カーナビゲーション、液晶ディスプレイ等の電子機器の表示部やタッチパネル部で用いられる基材であってもよく、カメラ、メガネ、ゴーグル等のレンズであってもよい。
また、コーティングされる基材は、透明でなくてもよく、電子機器、電気機器、IT関連機器などの筐体であってもよい。このように、基材は、透明、不透明に関わらず、ハードコーティングを必要とするものであればよい。
・厚み
基材の厚みは特に制限するものではなく、上記に例示された物品により異なるものである。例えば、光学用保護フィルムの場合は、基材の厚みは好ましくは50〜300μmであり、より好ましくは80〜200μmである。基材の厚みが50μm以上であると基材の機械的強度が充分となり、基材上にコーティングを形成することが可能になる。また、厚みが300μm以下であると、光学用保護フィルムの厚みが厚くなりすぎず、当該フィルムを用いた製品(例えば後述の画像表示装置)がコンパクトである。
基材表面に製膜されたコーティング剤用樹脂組成物の硬化物の厚みも特に制限するものではなく、上記に例示された物品より適宜変更することができる。
・ヘイズ値
コーティング剤用樹脂組成物を硬化させて得られた硬化物を、画像表示装置の画像パネル表面等に使用する場合は、基材と硬化物を備える成形体(例えば光学用保護フィルム)のヘイズ値と、基材のみのヘイズ値との差が1%以下であることが好ましい。すなわち、下記式(5)の関係となる。1%以下であると、硬化物の存在を全く意識することなく、画像パネルの表示を認識することができる。
|成形体のヘイズ値−基材のヘイズ値|≦1% (5)
なお、ヘイズとは、フィルムの透明性に関する指標で、濁度(曇度)を表す。下記式(6)を用いて、拡散透過光の全光線透過光に対する割合から求めることができる。(Td:拡散透過率 Tt:全光線透過率)
ヘイズ(%)=Td/Tt×100 (6)
[画像表示装置]
本発明の第3の実施の形態に係る画像表示装置について説明する。画像表示装置は、図1に示すように、第2の実施の形態に係る成形体(例えば光学用保護フィルム11)と、機械的処理により映し出された像を表示する画像パネル12とを備える。画像パネル12には、例えば、CRT、PDPまたはLCD等のフラットパネルやディスプレイを挙げることができる。図1に示すように、画像パネル12上に、光学用保護フィルム11の備える基材が下側になるように、光学用保護フィルム11が載置される。
[合成例1]
<両末端ジヒドロキシル変性ケイ素化合物Aの合成例>
両末端ジメチルシリルポリジメチルシロキサン(商品名:サイラプレーンFM1105、重量平均分子量約500、JNC(株)製)20.0gに、トリメチロールプロパンアリルエーテル(シグマ−アルドリッチ(株)製)139.5gを添加し、窒素雰囲気下オイルバスを用いて、70℃まで加熱した。さらに、白金触媒キシレン溶液(商品名:PT−VTSC−3.0X、ユミコアジャパン(株)製、Pt含有量3wt%)4μlを添加した。両末端ジメチルシリルポリジメチルシロキサン(商品名:サイラプレーンFM1105、JNC(株)製)80.1gを反応系内が100℃を超えないように滴下した。滴下後1時間攪拌し、さらに白金触媒キシレン溶液(4μl)添加し、1時間攪拌した後に室温まで冷却し、目的物を得た。その後、未反応のトリメチロールプロパンアリルエーテルをキャピラリー蒸留(18mmHg、130℃)にて留去し、両末端ジヒドロキシル変性ケイ素化合物A162.5g(収率96%)を得た。
[合成例2]
<8官能アクリル変性ケイ素化合物Bの合成例>
合成例1で合成した両末端ヒドロキシル変性ケイ素化合物A(100g)に、ジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成(株)製)0.15gをメチルエチルケトン(和光純薬(株)製)1.54gに溶かした溶液を添加し、窒素雰囲気下オイルバスを用いて、40℃まで加熱した。イソシアナート(カレンズBEI、昭和電工(株)製)137.6gを反応系内が50℃を超えないように滴下した。滴下後40度〜50℃にて2時間攪拌し、さらにジラウリン酸ジブチルスズ(東京化成(株)製)0.081gをメチルエチルケトン(和光純薬(株)製)0.81gに溶かした溶液を滴下し、さらに40℃〜50℃で2時間攪拌した。その後反応液を氷冷し、メタノール(27.7g)を滴下した。同温度で30分攪拌し、8官能アクリル変性ケイ素化合物Bのメタノール溶液(266g、固形分濃度80%)を得た。
[調製例1]
<コーティング液1の調製>
特許第5375100号公報に記載の方法により固形分濃度40wt%のコーティング液を調製しこれをコーティング液1とした。コーティング液1は、固形分濃度が40wt%であり、固形分中の組成は、多官能ウレタンアクリレート76wt%、無機フィラー19wt%、UV硬化剤5wt%であった。さらに、コーティング液1中に0.2wt%の防汚添加剤(in liquid)と希釈溶剤としてのPGM/IPAを含む。
[調製例2]
<コーティング液2の調製>
調製例1と同様の方法にて調製したコーティング液1(固形分濃度40wt%)450.0gに8官能アクリル変性ケイ素化合物Bのメタノール溶液(固形分濃度79wt%)25.3gを添加し、固形分中に官能アクリル変性ケイ素化合物が10wt%になるようにした。さらにイルガキュア127(BASF(株)製)1.0g、メチルイソブチルケトン(和光純薬(株)製)24.7gを添加し、固形分濃度が40wt%になるようにした。攪拌・混合して透明な溶液になったのを確認し、コーティング液2とした。
[実施例1]
<硬化樹脂層1の形成>
基材としてポリカーボネート(製品名:ユーピロンNF2000VU、サイズ:1.5×70×150mm、三菱ガス化学(株)製)を用いた。調製例2で調製したコーティング液2を用いて、ポリカーボネート基材へディップコートした。初めにポリカーボネート基材をコーティング液2へ垂直に沈め、1分間浸漬させた後に引き上げ、速度1mm/secでポリカーボネート基材を垂直に引き上げ、乾燥膜厚が5μmになるようにし、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯を用いて両面をそれぞれ1000mJ/cmの光照射条件で塗膜を光硬化させ、硬化樹脂層1を形成した。
[比較例1]
<硬化樹脂層2の形成>
実施例1で用いた方法と同様の方法で硬化樹脂層2を形成した。
コーティング液2の代わりに調製例1で調製したコーティング液1を用いた事以外は実施例1と同様の方法にて硬化樹脂層2を形成した。
<皮膜の試験>
(1)全光線透過率
硬化樹脂層をヘイズメーター(NDH5000、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。JIS−K−7361の規格に準拠し実施した。
(2)ヘイズ
硬化樹脂層をヘイズメーター(NDH5000、日本電色工業(株)製)を用いて測定した。JIS K 7136の規格に準拠し実施した。
(3)鉛筆硬度
硬化樹脂層をJIS K 5600に準拠し、測定を行なった。
(4)基材密着性試験
塗膜に1mm間隔で縦横それぞれ11本の切れ目を付け、100個のマス目を作り、市販のセロハンテープ(セロテープ(登録商標)、CT24、ニチバン(株)製)をよく密着させ、90度手前方向に急激に剥がした際の、皮膜が剥離せずに残存した碁盤目の個数を表した。なお、この方法はJIS K5400に準拠している。
(5)接触角および表面自由エネルギー(SFE)測定
プローブ液体として、蒸留水(窒素・りん測定用、関東化学(株)製)、およびリン酸トリクレジル(99%(GC)、東京化成工業(株)製)を用いて接触角を測定し、かつKaelble−Uyの理論に従って表面自由エネルギーを算出した。
(6)スチールウール耐磨耗性試験
(株)井元製作所製耐磨耗試験機「IMC−1557型」を使用した。測定条件は垂直荷重1kg、往復速度30回/分、往復距離100mm、往復回数1000回、5000回、10000回、磨耗布取付部形状は直径10mm。磨耗布としてスチールウール(#0000)を使用した。1000回、5000回、10000回往復後の皮膜の磨耗痕の深さを測定した。ケーエルエーテンコール(株)製の接触式段差計「Alpha−step−IQ」を用いて、磨耗布接触部分と未接触部分の差を磨耗痕深さとして測定した。
上記(1)〜(6)の結果を表1に示す。
Figure 0006330433
実施例1(8官能アクリル変性ケイ素化合物を加えたコーティング液)と比較例1(8官能アクリル変性ケイ素化合物を加えていないコーティング液)を比較すると、8官能アクリル変性ケイ素化合物の添加は、全光線透過率、ヘイズ、基材密着性、SFEにはほとんど影響していないことがわかる。一方で、鉛筆硬度が若干軟らかくなっているものの、スチールウール耐擦傷性試験での磨耗痕深さは浅く、耐傷付き性が著しく向上しているのがわかる。また磨耗痕の形状を観察したところ、実施例の磨耗痕は薄く均一に削れている(図2(a))のに対し、比較例の磨耗痕は鋭角に削れていることが観察された(図2(b))。
10 画像表示装置
11 光学用保護フィルム
12 画像パネル

Claims (6)

  1. 下記式(I)で示されるケイ素化合物(a)であって、
    nが、1〜20の整数であり、
    Xが、ウレタン骨格と末端に(メタ)アクリレート基とを有する、下記式(II)で示される基であり、
    が、水素またはメチル基である、
    ケイ素化合物。
    Figure 0006330433
    Figure 0006330433
  2. 請求項1に記載のケイ素化合物と;
    硬化性樹脂(b)とを含有する;
    コーティング剤用樹脂組成物。
  3. 前記硬化性樹脂(b)が、(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ有する紫外線硬化性樹脂である、
    請求項2に記載のコーティング剤用樹脂組成物。
  4. 成形体であって、
    請求項2または請求項3に記載のコーティング剤用樹脂組成物を硬化させた硬化物と;
    前記硬化物に覆われた基材とを備える;
    成形体。
  5. 前記成形体と前記基材とのヘイズ値の差が1%以下である、
    請求項4に記載の成形体。
  6. 請求項5に記載の成形体と;
    前記成形体を画面上に設置した画像パネルとを備える;
    画像表示装置。
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