JP4869842B2 - 樹脂製品の製造方法および樹脂製品の補修方法 - Google Patents

樹脂製品の製造方法および樹脂製品の補修方法 Download PDF

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本発明は、液状の熱硬化性樹脂を用いた樹脂製品の製造方法および樹脂製品の補修方法に関する。
熱硬化性樹脂は、一般に高強度であることから、強度が求められる種々の製品に用いられている。例えば、アクリル系等の熱硬化性樹脂を用いた人造大理石製の浴槽やキッチンカウンタや洗面カウンタ等が注型成形等により製造されている。
なお、特許文献1の段落0031には、熱硬化性樹脂を用いるものではないが、ポリエステルトリコット及びポリエステル/綿(50/50)混紡メリヤスを浸漬させて改質させるための仕上げ加工用処理液が記載されている。
特開2002−212297号公報
熱硬化性樹脂製の製品は、高強度である一方、凹み等が生じたときに補修しにくいという問題があった。また、加工するときに、加工品に小さな欠けが生じるチッピングという現象が起きることがあった。
なお、特許文献1記載の発明は、仕上げ加工用処理液に繊維を浸漬して改質する技術であり、上記問題を解決することはできない。
本発明は、ある程度強度を維持しながら硬化後の樹脂製品に弾性や補修性等の有用な性質を容易に付加させることを目的とする。
また、本発明は、強度に弾性や補修性等の有用な性質が付与された有用な新規樹脂およびその補修方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の樹脂製品の製造方法は、熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒に少なくとも前記熱可塑性樹脂を溶解させて熱可塑性樹脂溶液を調製し、液状の熱硬化性樹脂に対する前記熱可塑性樹脂を第一の配合割合とするように前記液状の熱硬化性樹脂と前記熱可塑性樹脂溶液とを少なくとも混合して第一の混合液を調製するとともに前記液状の熱硬化性樹脂に対する前記熱可塑性樹脂を前記第一の配合割合よりも多い第二の配合割合とするように前記液状の熱硬化性樹脂と前記熱可塑性樹脂溶液とを少なくとも混合して第二の混合液を調製し、前記第一の混合液から前記溶媒を除去するとともに前記熱硬化性樹脂を硬化させて外部に接する第一の樹脂層を形成し、前記第二の混合液から前記溶媒を除去するとともに前記熱硬化性樹脂を硬化させて前記第一の樹脂層よりも内側に第二の樹脂層を形成し、これら第一および第二の樹脂層が積層された樹脂製品を得ることを特徴とする。すなわち、熱可塑性樹脂が溶媒に溶解されるので、熱可塑性樹脂が固形状や高粘性であっても容易に熱可塑性樹脂を液状の熱硬化性樹脂と混合することができる。そして、混合液から溶媒を除去すれば、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが混合された樹脂製品が得られ、熱硬化性樹脂が改質される。
液状の熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を混合するために熱可塑性樹脂を加熱すれば、その時点で熱硬化性樹脂が硬化してしまうという問題がある。本発明では、熱可塑性樹脂を加熱して溶融させたり粘度を下げたりしなくても熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合することができ、両樹脂が混合された樹脂製品を得ることができる。従って、ある程度強度を維持しながら硬化後の樹脂製品に弾性や補修性等の有用な性質を容易に付加することができ、強度にこれらの性質が付与された有用な新規樹脂を提供することができる。また、外部に接する層が高強度とされ、内側の層で弾性や補修性等の有用な性質が発現されるので、内側の層の熱可塑性樹脂の配合割合を増やすことができ、弾性や補修性等の有用な性質をさらに利用することができる新規の樹脂積層製品を提供することができる。
さらに、本発明の樹脂製品の製造方法は、熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒に少なくとも前記熱可塑性樹脂を溶解させて熱可塑性樹脂溶液を調製し、着色材を添加した溶融可能な固形状の樹脂と前記熱可塑性樹脂溶液と液状の熱硬化性樹脂とを少なくとも混合して混合液を調製し、この混合液から前記溶媒を除去するとともに前記混合液を加熱して成形しながら前記固形状の樹脂を溶融させ前記熱硬化性樹脂を硬化させて樹脂製品を得ることを特徴とする
さらに、本発明の樹脂製品の補修方法は、揮発性を有する溶媒に少なくとも熱可塑性樹脂を溶解させて熱可塑性樹脂溶液を調製し、この熱可塑性樹脂溶液と液状の熱硬化性樹脂とを少なくとも混合して混合液を調製し、この混合液から前記溶媒を揮発させて除去するとともに前記熱硬化性樹脂を硬化させて得られる樹脂製品を用い、この樹脂製品の補修箇所を加熱して前記熱可塑性樹脂を軟化させることにより前記補修箇所補修することを特徴とする。すなわち、樹脂製品の補修箇所が加熱されると、補修箇所に含まれる熱可塑性樹脂が軟化する。これにより、補修箇所を軟化状態で補修することができ、容易に補修箇所を補修することができる。
請求項1に係る発明によれば、ある程度強度を維持しながら硬化後の樹脂製品に弾性や補修性等の有用な性質を付加することが容易になり、強度にこれらの性質が付与された有用な新規樹脂を提供することができる。
請求項2に係る発明では、弾性や補修性等の有用な性質が付与されたうえ、着色材の模様を有する有用な新規樹脂製品を提供することができる。
請求項3に係る発明では、樹脂製品の補修箇所を容易に補修することが可能な補修方法を提供することができる。
以下、下記の順序に従って本発明の実施形態を説明する。
(1)樹脂製品の製造方法の説明:
(2)樹脂製品の製造方法の作用、効果、および、樹脂製品の用途:
(3)樹脂製品の補修方法の説明:
(4)具体例:
(5)変形例:
(1)樹脂製品の製造方法の説明:
図1は、本発明の一実施形態に係る樹脂製品の製造方法を模式的に示している。本製造方法は、以下の工程(A)〜(C)を備えている。
(A)熱可塑性樹脂12を溶解可能な溶媒11に少なくとも熱可塑性樹脂12を溶解させて熱可塑性樹脂溶液20を調製する熱可塑性樹脂溶解工程(工程1)、
(B)熱可塑性樹脂溶液20と液状の熱硬化性樹脂21とを少なくとも混合して混合液30を調製する樹脂混合工程(工程2)、
(C)混合液30から溶媒11を除去して樹脂製品40,50を得る樹脂製品形成工程(工程3,4)。
工程1では、加熱することなく素材11〜13を混合して熱可塑性樹脂溶液20を調製するのが好ましく、冷却することなく素材11〜13を混合して熱可塑性樹脂溶液20を調製するのが好ましい。混合の際には、手で撹拌器具を持って素材11〜13を撹拌してもよいが、熱可塑性樹脂溶液をより均質にさせる観点からは混合機を用いて撹拌等により混合するのが好ましい。
工程2でも、加熱することなく素材20〜22を混合して混合液30を調製するのが好ましく、冷却することなく素材20〜22を混合して混合液30を調製するのが好ましい。混合の際には、手で撹拌器具を持って素材20〜22を撹拌してもよいが、熱可塑性樹脂溶液をより均質にさせる観点からは混合機を用いて撹拌等により混合するのが好ましい。
そして、樹脂製品形成工程では、混合液30を加熱して熱硬化性樹脂21を硬化させてもよいし、樹脂製品を冷却して熱可塑性樹脂12を固化させてもよい。
液状の熱硬化性樹脂21は、硬化後の樹脂製品に強度を付与する素材であり、熱可塑性樹脂溶液と混合されるときの温度(例えば5℃以上かつ溶媒11の沸点未満)で液状であればよい。従って、常温(5〜35℃)で液状であるのみならず、常温で固体でも溶媒11の沸点未満で液状となる(融点が常温より高く溶媒11の沸点未満の)熱硬化性樹脂も、液状の熱硬化性樹脂21に含まれる。液状熱硬化性樹脂21には、例えば、不飽和ポリエステル樹脂,エポキシ樹脂,ウレタン樹脂,シリコーン樹脂,フェノール樹脂,ユリア樹脂,メラミン樹脂、これらの混合物、等を用いることができる。液状熱硬化性樹脂21には、必要に応じて、スチレンやビニルトルエン等のラジカル重合性モノマー、これらのオリゴマー、ハイドロキノンやp−ベンゾキノン等の重合禁止剤、充填材(フィラー)、相溶化剤、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、等の添加剤が含まれていてもよい。例えば液状の不飽和ポリエステル樹脂の場合、通常、不飽和ポリエステルとラジカル重合性モノマーと重合禁止剤が含まれている。
熱可塑性樹脂12は、硬化後の樹脂製品に弾性や補修性(可塑性)等を付与する素材であり、溶媒11に可溶性である樹脂であればよく、液状熱硬化性樹脂と混合されるときの温度(例えば5℃以上かつ溶媒11の沸点未満。以下同じ)で固体でも液体(高粘性を含む)でもよい。溶媒に可溶性であることには、溶媒に対して任意の量で均質に混合されることと、溶媒に対して溶解度以下の量で均質に溶解されることとの、両方が含まれる。熱可塑性樹脂12には、例えば、ポリオレフィン(ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリブテン、等),パラフィン,ポリスチレン,ポリメチルメタアクリレート,塩化ビニル,ポリアミド(ナイロン),ポリカーボネート,ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンテレフタレート,ポリエチレングリコール(PEG),ポリビニルアルコール(PVA),オレフィン系熱可塑性エラストマー,スチレン系熱可塑性エラストマー、これらの樹脂の原料に不飽和酸等の不飽和単量体(アクリル酸,メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート,2−エチルヘキシルアクリレート等の不飽和カルボン酸のアルキルエステル誘導体、マレイン酸,無水マレイン酸,フマル酸等の不飽和ジカルボン酸または酸無水物、アクリルアミド,マレイン酸のモノまたはジエチルエステル等の不飽和カルボン酸または不飽和ジカルボン酸の誘導体、等)を添加して合成して得られる樹脂、これらの混合物、等を用いることができる。
なお、熱可塑性樹脂の原料に酸(特に有機酸)を添加して合成して得られる酸変性樹脂も、通常、熱可塑性であり、熱可塑性であれば熱可塑性樹脂となる。添加する酸としては、熱可塑性樹脂に親水基を付与するマレイン酸等のカルボキシル基を有する有機酸がよく用いられる。熱可塑性樹脂をマレイン酸で変性した酸変性樹脂を製造するには、付加重合前の熱可塑性樹脂の原料にマレイン酸を添加して付加重合を行えばよい。すると、付加重合後の高分子には親水基が付加される。熱可塑性樹脂の少なくとも一部に酸変性樹脂を用いることにより、親水性の充填材等の添加材を添加した樹脂製品を製造する場合に親水性の添加剤とのなじみが良くなる。
熱可塑性樹脂の分子量については、自らが揮発しないという観点からは分子量500以上が好ましく、溶剤への可溶性を有するという観点からは分子量100万以下が好ましい。熱可塑性樹脂に前記範囲内の分子量のポリオレフィンプラスチックを用いると、液状熱硬化性樹脂と混合されるときの温度で自ら揮発せず良好な弾性や補修性が発現される点で好ましい。前記ポリオレフィンプラスチックは、オレフィンまたはオレフィン類を本質的に唯一の単量体または単量体類として製造される重合体を主成分とし、ポリオレフィンのみから構成されても、ポリオレフィンと等重量未満の副成分が含まれていてもよい。
熱可塑性樹脂の融点については、常温程度で固化して硬化後の樹脂製品を高強度にする観点からは30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。また、熱可塑性樹脂の融点は、良好な弾性および補修性を得る観点からは、230℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましく、210℃以下がさらに好ましい。
溶媒11は、熱可塑性樹脂12を溶解させて液状熱硬化性樹脂と混合させるための物質であり、液状熱硬化性樹脂と混合されるときの温度で液状であればよい。溶媒11には、有機溶剤、水、これらの混合物、等を用いることができる。前記有機溶剤には、炭化水素系溶剤(トルエン,キシレン,ヘプタン,等)、エーテル系溶剤(ジブチルエーテル,エチレングリコールモノブチルエーテル、等)、アルコール系溶剤(エタノール,1−ブタノール,2−プロパノール、等)、エステル系溶剤(酢酸エチル,酢酸ブチル、等)、ケトン系溶剤(2−ブタノン,メチルイソブチルケトン,シクロヘキサノン、等)、これらの混合物、等を用いることができる。
溶媒11に揮発性を有する溶媒を用いると、混合液30に含まれる溶媒11を揮発させることにより混合液30から溶媒11を除去することができるので、樹脂製品に弾性や補修性等の有用な性質を容易に付加することができる。揮発性を有する溶媒には、上述した各種有機溶剤、水、これらの混合物、等を用いることができる。
熱可塑性樹脂がポリオレフィンプラスチックである場合、溶媒にトルエン,キシレン,ヘプタン,等の炭化水素系溶剤を用いると容易にポリオレフィンプラスチックが溶解されるので好ましい。
溶媒と熱可塑性樹脂との配合比は、熱可塑性樹脂を溶解して液状熱硬化性樹脂と均一に混合することができる以上に溶媒を配合する割合とすればよく、例えば、熱可塑性樹脂1重量部に対して溶媒1〜20重量部(1〜20倍)を配合する割合とすることができる。なお、溶媒の割合を多くするほど、容易に熱可塑性樹脂を溶解して液状熱硬化性樹脂と均一に混合することができるが、混合液中に多く存在する溶媒を除去する時間が長くなる。そこで、熱可塑性樹脂を全て溶解して液状熱硬化性樹脂と均一に混合することができる以上でなるべく少なくなるように溶媒の配合比を決定すれば、消費される溶媒が少なくて済むとともに、溶媒を除去する時間が少なくて済む。例えば、溶媒に対する熱可塑性樹脂の溶解度をS(g/100g溶媒)とすると、熱可塑性樹脂1重量部に対して、溶媒の配合量を100/S重量部とするか、1より大きい補正係数K(Kは例えば1.1〜2.0)を用いて100K/S重量部とする。このようにすれば、溶媒の必要最低量を容易に求めることができ、溶媒の消費量および除去時間を少なくさせることができる。
また、100K/S重量部の溶媒に1重量部の熱可塑性樹脂を完全に溶解させた後、熱可塑性樹脂が分離しない程度に溶媒を熱可塑性樹脂溶液から除去して熱可塑性樹脂溶液を調製してもよい。すると、さらに溶媒の消費量および除去時間を少なくさせることができる。例えば、100(K−1)/S重量部分の溶媒を揮発等により熱可塑性樹脂溶液から除去して(100/S)+1重量部の熱可塑性樹脂溶液を調製する。
トルエン,キシレン,ヘプタン,等の炭化水素系溶剤でポリオレフィンプラスチックを溶解する場合、ポリオレフィンプラスチック1重量部に対して炭化水素系溶剤を1〜20重量部とすることができる。
溶媒11と熱可塑性樹脂12のみから熱可塑性樹脂溶液20を調製してもよいが、一種または二種以上の第三の素材13も一緒に混合して熱可塑性樹脂溶液20を調製してもよい。第三の素材13は、固体でも液体でもよく、充填材、相溶化剤、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、これらの組み合わせ、等が考えられる。微粒状の第三の素材を添加する場合、例えば熱可塑性樹脂1重量部に対する配合量を1重量部以下とする。なお、微粒状は、粉末状ないしペレットよりも細かい粒状をいい、粉末状や微細な繊維状を含む。以下、同じである。
上記素材11〜13を混合するときの温度は、溶媒11の融点より高く沸点未満とすることができるが、加熱しない観点からは常温の下限以上(例えば5℃以上)が好ましく、冷却しない観点からは常温の上限以下(例えば35℃以下)が好ましい。
上記素材11〜13を混合するときの撹拌強度(例えば撹拌翼の回転数)は、熱可塑性樹脂が溶媒に溶解されにくい場合にはできるだけ短い時間で溶解させるため強く(例えば回転数を大きく)すればよいし、熱可塑性樹脂が溶媒に溶解されやすい場合には気泡の混入や溶媒の揮散等を防ぐために弱く(例えば回転数を小さく)すればよい。
上記素材11〜13を混合する時間は、撹拌が弱い場合には長く、撹拌が強い場合には短くすればよいが、熱可塑性樹脂が溶媒に溶解されにくい場合には確実かつ均質に溶解させるため長くすればよいし、熱可塑性樹脂が溶媒に溶解されやすい場合には気泡の混入や溶媒の揮散等を防ぐために短くすればよい。
溶媒と熱可塑性樹脂と必要に応じて第三の素材を混合して熱可塑性樹脂溶液20を調製すると、樹脂混合工程2で熱可塑性樹脂溶液20を用いて混合液30を調製する。
液状熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液との配合比は、液状熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とを均一に混合することができる範囲内の割合とすればよく、例えば、熱硬化性樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂溶液0.5〜100重量部(好ましくは1〜30重量部)を配合する割合とすることができる。また、硬化後の樹脂製品に弾性や補修性を発現させる観点からは熱可塑性樹脂を10重量部以上にするのが好ましい。一方、硬化後の樹脂製品に十分な強度を発現させる観点からは熱可塑性樹脂を50重量部以下にするのが好ましい。なお、熱可塑性樹脂の割合を多くするほど弾性が強くなって補修性が向上し、熱硬化性樹脂の割合を多くするほど高強度になる。
トルエン,キシレン,ヘプタン,等の炭化水素系溶剤でポリオレフィンプラスチックを溶解して熱可塑性樹脂溶液を調製した場合、熱硬化性樹脂100重量部に対して、熱可塑性樹脂溶液を0.5〜100重量部(好ましくは1〜30重量部)とすることができる。
熱可塑性樹脂溶液20と熱硬化性樹脂21のみから混合液30を調製してもよいが、一種または二種以上の第三の素材22も一緒に混合して混合液30を調製してもよい。第三の素材22は、固体でも液体でもよく、充填材、相溶化剤、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、これらの組み合わせ、等が考えられる。微粒状の充填材を添加する場合、例えば熱硬化性樹脂1重量部に対する配合量を2重量部以下とする。充填材以外の微粒状の第三の素材を添加する場合、例えば熱硬化性樹脂1重量部に対する配合量を2重量部以下とする。
上記素材20〜22を混合するときの温度は、溶媒11の融点より高く沸点未満とすることができるが、加熱しない観点からは常温の下限以上(例えば5℃以上)が好ましく、冷却しない観点からは常温の上限以下(例えば35℃以下)が好ましい。
上記素材20〜22を混合するときの撹拌強度(例えば撹拌翼の回転数)は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とが均一に混ざりにくい場合にはできるだけ短い時間で均一に混合させるため強く(例えば回転数を大きく)すればよいし、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とが均一に混ざりやすい場合には気泡の混入や溶媒の揮散等を防ぐために弱く(例えば回転数を小さく)すればよい。
上記素材20〜22を混合する時間は、撹拌が弱い場合には長く、撹拌が強い場合には短くすればよいが、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とが均一に混ざりにくい場合には確実かつ均質に混合するため長くすればよいし、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とが均一に混ざりやすい場合には気泡の混入や溶媒の揮散等を防ぐために短くすればよい。
熱可塑性樹脂溶液と熱硬化性樹脂と必要に応じて第三の素材を混合して混合液30を調製すると、樹脂製品形成工程3,4で混合液30から溶媒11を除去して樹脂製品40,50を製造する。
ここで、混合液30から溶媒を除去して形状付与前の樹脂組成物40を生成する工程3で製造工程を完了して該樹脂組成物を樹脂製品(硬化前)としてもよいし、さらに樹脂組成物40に所定の形状を付与して該樹脂組成物を硬化させて樹脂製品(硬化後)50を得る工程4で製造工程を完了してもよい。また、図1に示すように混合液30から溶媒を除去した後に硬化させて樹脂製品を形成してもよいし、図2の工程14のように所定の形状を付与した混合液31から溶媒を除去するのと同時に該混合液31を硬化させて樹脂製品を形成してもよいし、所定の形状を付与した混合液31を硬化させた後に混合液31から溶媒を除去して樹脂製品を形成してもよい。
図1の工程3において、溶媒11に揮発性の溶媒を用いる場合、混合液30から溶媒を揮発させて除去する。このときの温度は、混合液30中の熱硬化性樹脂が硬化しない温度以下とする。溶媒の除去を短時間で済ませる観点からは溶媒11の沸点以上の温度とすることが好ましいが、溶媒は沸点未満でも揮発するので、溶媒の沸騰による気泡を樹脂組成物40に混入させない観点からは例えば室温の下限以上(例えば5℃以上)で溶媒11の沸点未満とすることが好ましい。例えば、トルエンの場合、1atmで沸点110.6℃であるため、沸騰させて除去する場合には熱硬化性樹脂が硬化しない温度以下で111℃以上、沸騰させずに除去する場合には常温の下限以上で110℃以下、の温度にする。また、溶媒の揮散を促進させるために、減圧してもよい。
溶媒の揮発による気泡の混入を防ぐ観点からは、混合液30を撹拌することが好ましい。混合液30を撹拌するときの撹拌強度(例えば撹拌翼の回転数)は、大気を巻き込まないよう強くしすぎないようにしながら溶媒の気泡が脱泡される程度に強くするのが好ましい。
混合液30から溶媒11を揮発させる時間は、混合液中の溶媒の配合量が多い場合や温度が低い場合には長く、混合液中の溶媒の配合量が少ない場合や温度が高い場合には短くすればよい。
工程4では、樹脂組成物40を用いて硬化後の樹脂製品50を形成している。樹脂組成物40のみでも加熱等により硬化する場合には、樹脂組成物に所定の形状を付与して硬化させると所定形状の樹脂製品50が得られる。むろん、樹脂組成物40に一種または二種以上の硬化剤41や一種または二種以上の第三の素材42も一緒に混合して樹脂製品50を形成してもよい。
硬化剤41には、メチルエチルケトンパーオキシド、アセチルアセトンパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、クメンハイドロパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサエート、t−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、等の有機過酸化物、等を用いることができる。硬化剤の添加量は、液状熱硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜2.0重量部程度(例えば1.0重量部程度)とすることができる。
第三の素材42は、固体でも液体でもよく、硬化促進剤(硬化助剤)、ラジカル重合性モノマー、ラジカル重合性オリゴマー、充填材、相溶化剤、滑剤、繊維状素材、核剤、顔料、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、これらの組み合わせ、等が考えられる。硬化促進剤には、ナフテン酸コバルト、オクトエ酸コバルト、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、アセチルアセトン、アセト酢酸エチルエステル、等を用いることができる。ラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーは、樹脂組成物の粘度を下げるために用いられる。微粒状の第三の素材を添加する場合、例えば樹脂組成物1重量部に対する配合量を0.5重量部以下とする。
樹脂組成物40に上記素材41,42を混合するときの温度は、樹脂組成物40が固化しない温度より高く、熱硬化性樹脂21が硬化しない温度未満とされるが、冷却しない観点からは常温の上限以下(例えば35℃以下)が好ましく、加熱しないのが好ましい。
上記素材40〜42を混合するときの撹拌強度(例えば撹拌翼の回転数)は、上記素材41,42が樹脂組成物中で均一になりにくい場合にはできるだけ短い時間で溶解させるため強く(例えば回転数を大きく)すればよいし、上記素材41,42が樹脂組成物中で均一になりやすい場合には気泡の混入等を防ぐために弱く(例えば回転数を小さく)すればよい。
上記素材40〜42を混合する時間は、撹拌が弱い場合には長く、撹拌が強い場合には短くすればよいが、上記素材41,42が樹脂組成物中で均一になりにくい場合には確実に均一化させるため長くすればよいし、上記素材41,42が樹脂組成物中で均一になりやすい場合には気泡の混入等を防ぐために短くすればよい。
樹脂製品50を形成するには、樹脂組成物40または素材40〜42の混合物を注型成形、射出成形、押出成形、プレス成形、等により成形して素材中の熱硬化性樹脂を硬化させたり、被塗布物に刷毛等で塗布して素材中の熱硬化性樹脂を硬化させたりする。熱硬化性樹脂を硬化させるための温度は、例えば、60〜80℃程度とすることができる。熱硬化性樹脂を硬化させる時間は、温度が低い場合には長く、温度が高い場合には短くすればよく、例えば、3〜24時間程度とすることができる。得られる樹脂製品は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが混合され、弾性や補修性等の有用な性質を有する新規の樹脂製品となる。
図2は、溶媒除去と硬化とを同時に行う場合の製造方法を模式的に示している。図1と同じ符号の素材には、上述した素材を用いることができる。本製造方法は、以下の工程(A)〜(D)を備えている。
(A)揮発性の溶媒11に少なくとも熱可塑性樹脂12を溶解させて熱可塑性樹脂溶液20を調製する熱可塑性樹脂溶解工程(工程11)、
(B)熱可塑性樹脂溶液20と液状の熱硬化性樹脂21とを少なくとも混合して混合液30を調製する樹脂混合工程(工程12)、
(C)混合液30に所定の形状を付与する形状付与工程(工程13)、
(D)前記所定の形状が付与された混合液31から溶媒11を揮発させて除去するのと同時に熱硬化性樹脂21を硬化させて樹脂製品50を得る樹脂製品形成工程(工程14)。
工程11は、上記工程1と同じである。
工程12は、必要に応じて硬化剤41が混合される点を除いて、上記工程2と同じである。硬化剤の添加量は、液状熱硬化性樹脂100重量部に対して0.5〜2.0重量部程度(例えば1.0重量部程度)とすることができる。
熱可塑性樹脂溶液と熱硬化性樹脂と必要に応じて硬化剤や第三の素材を混合して混合液30を調製すると、形状付与工程13では、混合液30を注型成形、射出成形、押出成形、プレス成形、等により成形したり、被塗布物に刷毛等で塗布したりして、形状付与された混合液31を形成する。
樹脂製品形成工程14では、溶媒11の除去と熱硬化性樹脂の硬化とを同時に進行させる。このときの温度は、熱硬化性樹脂21が硬化する温度以上とする。溶媒の除去を短時間で済ませる観点からは溶媒11の沸点以上の温度とすることが好ましいが、溶媒は沸点未満でも揮発するので、溶媒の沸騰による気泡を樹脂製品50に混入させない観点からは例えば溶媒11の沸点未満とすることが好ましい。例えば、キシレンの場合、1atmで沸点144.4℃であるため、沸騰させて除去する場合には145℃以上、沸騰させずに除去する場合には熱硬化性樹脂21が硬化する温度以上で144℃以下、の温度にする。また、溶媒の揮散を促進させるために、減圧してもよい。
溶媒を除去し熱硬化性樹脂を硬化させるための温度は、例えば、60〜80℃程度とすることができる。溶媒を除去し熱硬化性樹脂を硬化させる時間は、温度が低い場合には長く、温度が高い場合には短くすればよく、例えば、3〜24時間程度とすることができる。得られる樹脂製品は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが混合され、弾性や補修性等の有用な性質を有する新規の樹脂製品となる。
本製造法では、溶媒の除去と熱硬化性樹脂の硬化とが同時に行われるので、樹脂製品の製造工程が簡素化される。
例えば、熱可塑性樹脂12に分子量500〜1000000のポリオレフィンプラスチックを用い、溶媒11にポリオレフィンプラスチック12を溶解可能な揮発性の有機溶剤11を用い、液状熱硬化性樹脂100重量部に対してポリオレフィンプラスチック12を0.5〜100重量部用い、ポリオレフィンプラスチック1重量部に対して有機溶剤を1〜20重量部用いるとする。工程11〜12で混合液30を調製し、工程13で形状を付与すると、工程14では、形状付与後の混合液31を例えば60〜80℃程度で3〜24時間程度加熱することにより、混合液31から有機溶剤11を揮発させて除去するのと同時に熱硬化性樹脂21を硬化させることができる。その結果、ポリオレフィンプラスチックにより確実に弾性や補修性等の有用な性質が樹脂製品50に付加され、これらの性質が確実に付与された有用な新規樹脂製品が得られる。
(2)樹脂製品の製造方法の作用、効果、および、樹脂製品の用途:
液状熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を添加するために熱可塑性樹脂を加熱すれば、その時点で熱硬化性樹脂が硬化してしまう問題がある。本発明では、溶媒に可溶性の熱可塑性樹脂を溶媒に溶解して液状熱硬化性樹脂に混合するので、熱可塑性樹脂を加熱して溶融させたり粘度を下げたりしなくても熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを混合することができ、熱可塑性樹脂が固形状や高粘性であっても容易に混合することができる。そして、混合液から溶媒を除去すれば、熱硬化性樹脂が改質され、ある程度強度を維持しながら硬化後の樹脂製品に弾性や補修性等の有用な性質を容易に付加することができ、強度にこれらの性質が付与された有用な新規樹脂製品が得られる。
なお、弾性や補修性等が発現されるのは、硬化後の樹脂製品中で熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが相溶せず細かく分離した海島構造になるためと推察される。
また、本樹脂製品は、弾性が付与されることにより、硬化後の熱硬化性樹脂では困難であった曲げ加工が可能となり、切断時に小さく欠けるチッピングという現象が生じなくなり、被積層物に積層された場合に積層物が変形して被積層物が割れる等しても樹脂製品は追従性が向上していることにより割れなくなる。その結果、硬化又は部分的に硬化した熱硬化性樹脂を後成形するポストフォーム加工が容易になり、例えば、木材等の表面に本樹脂製品を容易にポストフォーム加工することが可能になる。
さらに、本樹脂製品は、補修性が付与されることにより、硬化後の熱硬化性樹脂では困難であった補修が加熱により容易に行われる。
なお、分子量500〜1000000と比較的低分子量のポリオレフィンプラスチックのように融点30〜230℃と比較的低融点の熱可塑性樹脂を用いると、日常用途での断熱、補修、等に利用することができる。例えば、本樹脂製品をバスタブ(浴槽)に使用して風呂の温度低下を防止させたり、本樹脂製品に凹み等の傷が生じたときに加熱して熱可塑性樹脂を軟化させることにより傷を補修したりすることができる。
(3)樹脂製品の補修方法の説明:
図3は、本樹脂製品を用いた補修方法を模式的に示している。上述した製造方法により硬化後の樹脂製品50を形成し、バスタブ等として使用するものとする(図の最上段)。樹脂製品50を使用しているうちに、凹み等の傷(補修箇所54)が生じることがある(図の上から2段目)。
ここで、ドライヤー等の送風加熱装置61で補修箇所54に熱風を当て、熱可塑性樹脂12が軟化する温度以上に補修箇所54を加熱する(図の上から3段目)。すると、補修箇所54に含まれる熱可塑性樹脂が軟化する。そこで、金槌や木槌等の補修器具62で補修箇所54周辺を叩くなど力を加えると、平らにする等ほぼ元通りに補修することができる(図の最下段)。このような簡易補修性が発現されるのは、樹脂製品50中で熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とは相溶せず海島構造となる結果、熱可塑性樹脂の熱可塑性が発現されるためと推察される。
以上により、本樹脂製品の補修箇所を加熱して熱可塑性樹脂を軟化させることにより補修箇所を補修することができる。従って、補修箇所を軟化状態で補修することができ、樹脂製品の補修箇所を容易に補修することが可能な補修方法を提供することができる。
なお、得られる樹脂製品に含まれる素材の配合割合を互いに異ならせる複数種類の混合液を調製し、各種類の混合液から溶媒を除去して互いに配合割合の異なる素材を含む各層(51〜53)が形成された樹脂製品を製造してもよい。配合割合を異ならせる素材は、熱可塑性樹脂でも、熱硬化性樹脂でも、充填材等の添加剤でもよい。複数の層からなる樹脂製品を形成するには、各層を形成するための硬化前の各素材(混合液30や樹脂組成物40)を用いた多層成形により硬化前の各素材を積層して熱硬化性樹脂を硬化させたり、被塗布物に刷毛等で基材から順次、各素材を塗布して各素材中の熱硬化性樹脂を硬化させたりする。多層成形は、注型成形、射出成形、押出成形、プレス成形、等により行うことができる。熱硬化性樹脂を硬化させるための温度は、例えば、60〜80℃程度とすることができる。熱硬化性樹脂を硬化させる時間は、温度が低い場合には長く、温度が高い場合には短くすればよく、例えば、3〜24時間程度とすることができる。得られる樹脂製品は、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とが混合された層が積層され、弾性や補修性等の有用な性質を有する新規の樹脂積層製品となる。
樹脂層を積層する基材には、木材、金属、他の樹脂製品、等が考えられる。
ここで、バスタブの表面など液体や外気等となる外部に接する表面側の層(51)で熱可塑性樹脂の配合割合を少なくし、外部に接しない内側の層(52,53)で熱可塑性樹脂の配合割合を多くすると、表層(51)が高強度とされるので、内層(52,53)で弾性や補修性を向上させることができ、好適である。
すなわち、液状熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂を第一の配合割合とするように液状熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とを少なくとも混合して第一の混合液を調製するとともに液状熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂を前記第一の配合割合よりも多い第二の配合割合とするように液状熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂溶液とを少なくとも混合して第二の混合液を調製し、第一の混合液から溶媒を除去するとともに熱硬化性樹脂を硬化させて外部に接する第一の樹脂層を形成し、第二の混合液から溶媒を除去するとともに熱硬化性樹脂を硬化させて第一の樹脂層よりも内側に第二の樹脂層を形成し、これらの第一および第二の樹脂層が積層された樹脂製品を形成すれば、外部に接する層が高強度とされ、外部に接しない内側層で弾性や補修性等の有用な性質が発現される。従って、内側の層の熱可塑性樹脂の配合割合を増やすことができ、弾性や補修性等の有用な性質をさらに利用することができる新規の樹脂積層製品を提供することができる。
また、得られる樹脂製品に含まれる熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂の配合割合を互いに異ならせる複数種類の混合液を調製し、各種類の混合液から溶媒を除去するとともに熱硬化性樹脂を硬化させて外部から離れるほど熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂の配合割合が多くなるように各樹脂層を形成して当該各樹脂層が積層された樹脂製品を形成しても、同様の作用、効果が得られる。
図の例では、例えば、外部に接する表層51(上記第一の樹脂層)に含まれる素材を熱硬化性樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂10重量部を配合した素材とし、外部から一段離れた中間層52(上記第二の樹脂層)に含まれる素材を熱硬化性樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂15重量部を配合した素材とし、さらに外部から一段離れて基材に接する内層53(上記第二の樹脂層)に含まれる素材を熱硬化性樹脂100重量部に対して熱可塑性樹脂30重量部を配合した素材とすれば、外部から離れるほど熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂の配合割合が多くなり、上述した作用、効果が得られる。
以上のように、外部から離れるほど熱硬化性樹脂に対する熱可塑性樹脂の配合割合を多くすることにより、より熱可塑性が強まって加熱により素材が流れやすくなり、凹み等の傷を柔らかい内部の層(外部に接しない層)を流動させることにより復元することが可能になる。
(4)具体例:
以下、本樹脂製品の製造方法の具体例を示すが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
本具体例では、液状熱硬化性樹脂21として常温(5〜35℃)で液状の不飽和ポリエステル樹脂を用い、熱可塑性樹脂12として融点150〜175℃の粒状ポリプロピレン(PP)を用い、溶媒11としてトルエンを用い、硬化剤41としてメチルエチルケトンパーオキシドの希釈液を用い、第三の素材22としてナフテン酸コバルト(硬化促進剤)を用いる。液状不飽和ポリエステル樹脂には、ジャパンコンポジット株式会社人工大理石用KSV−15、特開2005−68167号公報に記載された不飽和ポリエステル樹脂、等を例示することができる。メチルエチルケトンパーオキシドの希釈液には、日本油脂株式会社製のパーメックN等を例示することができる。ナフテン酸コバルトには、6w/v%ナフテン酸コバルト等を例示することができる。
まず、常温で加熱することなく、トルエン135重量部にPP15重量部を均一になるまで溶解してPP溶液を調製する。
次に、常温で加熱することなく、上記PP溶液と、液状不飽和ポリエステル樹脂100重量部とを均一になるまで混合する。その後、上記硬化剤1.0重量部と、上記硬化促進剤0.5重量部とを添加して、均一になるまで混合して混合液を調製する。
さらに、上記混合液を所定形状のトレイに注いで厚みが10mmの平板形状となるよう混合液に形状を付与する。
そして、形状付与後の混合液を入れたトレイを恒温室に入れ、60〜80℃となるように3〜24時間加温してトルエンを揮発させて除去しながら不飽和ポリエステル樹脂を硬化させ、平板状に硬化した樹脂製品を得る。
以上により、PPに由来する弾性や補修性が付加された高強度の不飽和ポリエステル樹脂の硬化製品が形成されると推測される。
また、第三の素材22として水酸化アルミニウム(例えば昭和電工株式会社ハイジライトH−310)100〜200重量部も用いると、人造大理石製の樹脂製品を容易に形成することができる。
(5)変形例:
樹脂混合工程2,12で着色材を添加した溶融可能な固形状の樹脂を第三の素材22として液状熱硬化性樹脂21等に混合して混合液30を調製し、この混合液から前記溶媒を除去するとともに前記混合液を加熱して成形しながら前記固形状の樹脂を溶融させ前記熱硬化性樹脂を硬化させてもよい。着色材には、顔料等を用いることができる。溶融可能な固形状の樹脂には、上述した熱可塑性樹脂を用いることができ、例えば、粒径0.1〜10mm程度(好ましくは0.5〜5mm程度)の粒状樹脂を用いることができる。固形状の樹脂は、混合液中でなるべく融解しないようにする観点から混合液30を調製するときの温度よりも高い融点を有する樹脂が好ましく、混合液中でなるべく溶解しないようにする観点から混合液30を調製するとき最後に添加するのが好ましい。
図4は、着色材を添加した溶融可能な固形状の樹脂23を含む混合液30から硬化した樹脂製品50を形成する様子を模式的に示している。例えば、混合液30を固形状樹脂23の融点以上に加熱しながら押出成形や注型成形や射出成形等により押し出しながら成形すると、混合液30に形状が付与されるとともに、樹脂23が溶融して着色材の流れ模様24が形成される。そして、溶媒11を揮発させる等により除去するとともに熱硬化性樹脂21を硬化させると、着色材の模様24を有する樹脂製品50が得られる。
以上により、弾性や補修性等の有用な性質が付与されたうえ、着色材の模様を有する有用な新規樹脂製品を提供することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態や変形例に限られず、上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術並びに上述した実施形態および変形例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も含まれる。
樹脂製品を製造する過程を模式的に示す流れ図。 溶媒除去と硬化とを同時に行う場合の製造過程を模式的に示す流れ図。 樹脂製品を補修する過程を模式的に示す流れ図。 着色材の模様を有する樹脂製品が形成される様子を示す図。
符号の説明
11…溶媒、12…熱可塑性樹脂、13,22,42…第三の素材、
20…熱可塑性樹脂溶液、21…液状熱硬化性樹脂、
23…着色材含有樹脂、24…着色材の模様、
30…混合液、31…形状付与された混合液、
40…樹脂組成物(樹脂製品)、41…硬化剤、
50…樹脂製品、51〜53…樹脂層、54…補修箇所、
61…加熱装置、62…補修器具、

Claims (3)

  1. 熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒に少なくとも前記熱可塑性樹脂を溶解させて熱可塑性樹脂溶液を調製し、液状の熱硬化性樹脂に対する前記熱可塑性樹脂を第一の配合割合とするように前記液状の熱硬化性樹脂と前記熱可塑性樹脂溶液とを少なくとも混合して第一の混合液を調製するとともに前記液状の熱硬化性樹脂に対する前記熱可塑性樹脂を前記第一の配合割合よりも多い第二の配合割合とするように前記液状の熱硬化性樹脂と前記熱可塑性樹脂溶液とを少なくとも混合して第二の混合液を調製し、前記第一の混合液から前記溶媒を除去するとともに前記熱硬化性樹脂を硬化させて外部に接する第一の樹脂層を形成し、前記第二の混合液から前記溶媒を除去するとともに前記熱硬化性樹脂を硬化させて前記第一の樹脂層よりも内側に第二の樹脂層を形成し、これら第一および第二の樹脂層が積層された樹脂製品を得ることを特徴とする樹脂製品の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂を溶解可能な溶媒に少なくとも前記熱可塑性樹脂を溶解させて熱可塑性樹脂溶液を調製し、着色材を添加した溶融可能な固形状の樹脂と前記熱可塑性樹脂溶液と液状の熱硬化性樹脂とを少なくとも混合して混合液を調製し、この混合液から前記溶媒を除去するとともに前記混合液を加熱して成形しながら前記固形状の樹脂を溶融させ前記熱硬化性樹脂を硬化させて樹脂製品を得ることを特徴とする樹脂製品の製造方法。
  3. 揮発性を有する溶媒に少なくとも熱可塑性樹脂を溶解させて熱可塑性樹脂溶液を調製し、この熱可塑性樹脂溶液と液状の熱硬化性樹脂とを少なくとも混合して混合液を調製し、この混合液から前記溶媒を揮発させて除去するとともに前記熱硬化性樹脂を硬化させて得られる樹脂製品を用い、この樹脂製品の補修箇所を加熱して前記熱可塑性樹脂を軟化させることにより前記補修箇所を補修することを特徴とする樹脂製品の補修方法。
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