JP2019099750A - 光造形用樹脂組成物 - Google Patents
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前記光硬化性化合物は、擬似架橋点を形成し得る官能部位および化学架橋点を形成し得る1つの第1反応性官能基を有する第1化合物と、化学架橋点を形成し得る2つ以上の第2反応性官能基を有する第2化合物と、を含み、
前記光硬化性化合物に占める前記第1化合物の割合は、40質量%以上であり、
前記光硬化性化合物に占める前記第2化合物の割合は、5質量%以上であり、
前記光造形用樹脂組成物の硬化物の23℃における損失正接tanδが、0.3以上である、光造形用樹脂組成物に関する。
本発明の一局面に係る光造形用樹脂組成物は、光硬化性化合物と、光反応開始剤とを含む。光硬化性化合物は、擬似架橋点を形成し得る官能部位および化学架橋点を形成し得る1つの反応性官能基(第1反応性官能基)を有する化合物(第1化合物)と、化学架橋点を形成し得る2つ以上の反応性官能基(第2反応性官能基)を有する化合物(第2化合物)と、を含む。光硬化性化合物に占める第1化合物の割合は、40質量%以上であり、光硬化性化合物に占める第2化合物の割合は、5質量%以上である。光造形用樹脂組成物の硬化物の23℃における損失正接tanδは、0.3以上である。
(光硬化性化合物)
光硬化性化合物は、第1化合物と、第2化合物とを含む。
第1化合物は、擬似架橋点を形成し得る官能部位を有するが、化学架橋点を形成し得る反応性官能基(第1反応性官能基)は1つしか有しておらず、硬化反応に使用される硬化性材料では、一般に、単官能化合物と呼ばれるものである。それに対し、第2化合物は、化学架橋点を形成し得る反応性官能基(第2反応性官能基)を2つ以上有しており、硬化反応に使用される硬化性材料では、一般に、多官能化合物と呼ばれるものである。
第1化合物の擬似架橋点としては、水素結合およびπ−π相互作用の少なくとも一方が好ましい。水素結合を形成する官能部位としては、ヒドロキシ基、ウレタン結合、尿素結合、アミド結合、アミノ基などが挙げられる。ポリマー鎖間で擬似架橋点が形成され易いように、ヒドロキシ基は、第1化合物の末端に存在する末端ヒドロキシ基であるよりも、側鎖に存在する側鎖ヒドロキシ基であることが好ましい。π−π相互作用を形成する官能部位としては、芳香族環が挙げられる。芳香族環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環(C6−20芳香族環など)などが挙げられる。芳香族環のうち、π−π相互作用が形成され易い観点からは、ベンゼン環が好ましい。
第2化合物が有する第2反応性官能基は、第1反応性官能基について例示したものから選択できる。中でも、第2反応性官能基としては、ラジカル重合性の官能基(アクリロイル基およびメタクリロイル基など)が好ましい。アクリロイル基および/またはメタクリロイル基を有する第2化合物は、アクリル系化合物と呼ばれる。
第2化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
光硬化性化合物は、さらに、第1化合物および第2化合物以外の第3化合物を含んでいてもよい。第3化合物としては、例えば、反応性官能基を1つ有するが、擬似架橋点を形成し得る官能基を有さない化合物(単官能化合物)が挙げられる。第3化合物としては、反応性官能基としては、アクリロイル基およびメタクリロイル基などのラジカル重合性の官能基を有するもの(アクリル系化合物)が好ましい。第3化合物としては、例えば、モノアルコールの(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。第3化合物として一般に反応性希釈剤(好ましくはアクリル系反応性希釈剤)と呼ばれるものを用いてもよい。
光硬化性化合物に占める第3化合物の比率は、10質量%以下であることが好ましい。
光造形用樹脂組成物に含まれる光反応開始剤(または光重合開始剤)は、光の作用により活性化して、光硬化性化合物の硬化(具体的には重合)を開始させる。光反応開始剤としては、例えば、光の作用によりラジカルを発生するラジカル重合開始剤のほか、光の作用により酸(またはカチオン)を生成するもの(具体的には、カチオン発生剤)が挙げられる。光反応開始剤は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。光反応開始剤は、光硬化性化合物のタイプ、例えば、ラジカル重合性であるか、カチオン重合性であるかなどに応じて選択される。ラジカル重合開始剤(ラジカル光重合開始剤)としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが挙げられる。
光造形用樹脂組成物は、さらに、その他の公知の硬化性樹脂などを含んでもよい。
また、光造形用樹脂組成物は、公知の添加剤を含むことができる。
上記の粘度は、例えば、コーンプレート型のE型粘度計を用いて、10rpmの回転速度で測定したものとすることができる。
(i)液膜を形成し、硬化させてパターンを形成する工程
工程(i)では、(a)に示すように、まず、樹脂槽3に収容された光造形用樹脂組成物5に、プラットフォーム2のパターン形成面2aを、プロジェクタ4(つまり、樹脂槽3の底面)に向けた状態で浸漬させる。このときに、パターン形成面2aとプロジェクタ4(または樹脂槽3の底面)との間に液膜7a(液膜a)が形成されるように、パターン形成面2a(またはプラットフォーム2)の高さを調整する。次いで、(b)に示すように、プロジェクタ4から液膜7aに向けて、光Lを照射(面露光)することで、液膜7aを光硬化させてパターン8a(パターンa)を形成する。
工程(ii)では、工程(i)で得られたパターンaと、光源との間に、光造形用樹脂組成物を供給して、液膜(液膜b)を形成する。つまり、パターン形成面に形成されたパターンa上に液膜bを形成する。光造形用樹脂組成物の供給は、工程(i)についての説明が参照できる。
工程(iii)では、工程(ii)で形成した液膜bに対して、光源から露光して、液膜bを光硬化させ、パターンaに別のパターン(液膜bの光硬化により得られるパターンb)を積層する。このようにパターンが厚み方向に積層されることで、三次元造形パターンを形成することができる。
光源や露光波長などは、工程(i)についての記載を参照できる。
第1工程は、工程(ii)と工程(iii)とを複数回繰り返す工程(iv)を含むことができる。この工程(iv)により、複数のパターンbが厚み方向に積層されることになり、さらに立体的な造形パターンが得られる。繰り返し回数は、所望する三次元造形物(三次元造形パターン)の形状やサイズなどに応じて適宜決定できる。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(1)光造形用樹脂組成物の調製
表1および表2に示す光硬化性化合物および光反応開始剤(光ラジカル重合開始剤)を表2に示す質量比で混合し、攪拌しながら80℃のオーブンで加熱して、固形成分を溶解させることにより均一な液状の樹脂組成物を調製した。
上記(1)で得られた樹脂組成物を用いて以下の評価を行った。
(a)粘度
E型粘度計(TVE−20H、東機産業(株))を用いて、25℃にて、10rpmの回転速度で樹脂組成物の粘度を測定した。
トレイに、樹脂組成物を注いで、厚み300μmの液膜を作製し、液膜の両方の主面に対して、波長405nmのLED光を光照射して液膜を完全に硬化させることにより、硬化物のサンプルを作製した。トレイには、上記LED光を透過するものを用いた。
得られたサンプルについて、DMA((株)日立ハイテクサイエンス製、DMS6100)を用いて、周波数1Hz、5℃/minの昇温速度にて−100℃から+100℃まで昇温し、tanδおよび貯蔵引っ張り弾性率(Pa)を測定した。23℃のときのtanδおよび貯蔵引っ張り弾性率、ならびにtanδがトップピークとなる温度をTgとして求めた。
上記(b)と同様に作製したサンプルについて、23℃および50%RHの条件下、JIS K7127−1999に準拠して、引張り速度50mm/分、標線間距離20mmの条件で、破断時の最大伸び(%)を測定した。
DLP(登録商標)方式の3Dプリンタ(武藤工業(株)製、ML−48)を用いて樹脂組成物を硬化させて、JIS K6253:2012のタイプA用サンプル(厚み6mm)を硬化物のサンプルを作製した。このサンプルについて、デュロメーター(テクロック社製、GS−719H)を用いて、JIS K6253:2012に準拠して、荷重1kgの条件でのショアA硬度を測定した。
トレイに、樹脂組成物を注いで、厚み150μmの液膜を作製し、液膜に対して光照射して液膜を硬化させた。このときの硬化が完了するまでの照射量を硬化速度の指標とした。なお、光照射は、波長405nmのLED光により、照度を0.2mW/cm2に固定して行った。硬化の完了は、液膜の硬化物を指触して確認した。
上記(b)でサンプルを作製する際に、硬化前の樹脂組成物の密度d1および得られた硬化物の密度d2を、それぞれ、気体式の密度計を用いて測定し、下記式から硬化収縮量(%)を求めた。
硬化収縮量(%)=(d2−d1)/d2×100
DLP(登録商標)方式の3Dプリンタ(武藤工業(株)製、ML−48)を用いて、1層当たりの照射時間30秒およびz軸(高さ方向)のピッチ100μmの条件で、10mm角で、吊り下げ用の孔(直径1mm)が開いたプレート状サンプルを作製した。孔に棒状物を通した状態で、サンプルを吊り下げ、このときのサンプルの状態を下記の条件で評価した。
○:サンプルの落下や垂れ下がりが見られない。
△:吊り下げたサンプルの鉛直方向の長さが、サンプルの初期の長さの20%未満である。
×:吊り下げたサンプルの鉛直方向の長さが、サンプルの初期の長さの 20%以上である。
なお、サンプルの初期の長さは、サンプルを吊り下げた直後に鉛直方向の最大長さを取る部分の、吊り下げ前の長さである。
DLP(登録商標)方式の3Dプリンタ(武藤工業(株)製、ML−48)を用いて、1層当たりの照射時間30秒およびz軸(高さ方向)のピッチ100μmの条件で、短冊状のサンプル(縦40mm×横20mm×厚み(高さ)6mm)を作製した。このサンプルを縦方向の中央付近で180°折り曲げ、このときの状態を下記の基準で評価した。
○:折り曲げにより接触する部分の粘着およびクラックが見られない。
×:折り曲げにより接触する部分が粘着する。クラックは見られない。
実施例および比較例の評価結果を表2に示す。表1には、実施例および比較例で用いた光硬化性化合物および光反応開始剤を示す。
Claims (9)
- 光硬化性化合物と、光反応開始剤とを含む、光造形用樹脂組成物であって、
前記光硬化性化合物は、擬似架橋点を形成し得る官能部位および化学架橋点を形成し得る1つの第1反応性官能基を有する第1化合物と、化学架橋点を形成し得る2つ以上の第2反応性官能基を有する第2化合物と、を含み、
前記光硬化性化合物に占める前記第1化合物の割合は、40質量%以上であり、
前記光硬化性化合物に占める前記第2化合物の割合は、5質量%以上であり、
前記光造形用樹脂組成物の硬化物の23℃における損失正接tanδが、0.3以上である、光造形用樹脂組成物。 - 前記擬似架橋点は、水素結合およびπ−π相互作用の少なくとも一方である、請求項1に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記官能部位は、ヒドロキシ基、ウレタン結合、および芳香族環からなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記ヒドロキシ基は、前記第1化合物の側鎖に存在する側鎖ヒドロキシ基である、請求項3に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記第1反応性官能基および前記第2反応性官能基は、それぞれ、ラジカル重合性である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記第1化合物および前記第2化合物は、それぞれ、アクリル系化合物である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記第1化合物の割合は、50質量%以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記第2化合物の割合は、10質量%以上50質量%以下である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
- 前記光造形用樹脂組成物の硬化物の引張り伸びが200%以上である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光造形用樹脂組成物。
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